豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

鈴木亜由子

半年ぶりブログ~世紀の一戦『MSG』を直前大予想


多忙にかこつけて休載状態にしてたら、あっという間に半年が経ってしまいました。
東京五輪前年の今季、日本の陸上界はなかなかに活況を呈しています。記事にしなかったのが今となってはもったいない気がしますけど、諸般の事情により、ということで…。陸上競技を伝えるメディアには相変わらず細かく目を通していますんで、浦島太郎状態ではありません。その点はご心配なく。

さて、いよいよMGC=マラソン・グランド・チャンピオンシップ本番です。
このプロジェクトが世に伝えられた当初は、当ブログでも対案を提示したりするなど、そのプロセスには幾ばくかの疑問も抱いていたのですが、まずまず盛り上がって、何よりも当事者の選手およびその周辺関係者が一様に納得してこの方式を受け容れていることが、最大のメリットだったと思います。
久々のブログは、「ハズレてもともと」のつもりで、このMSG大予想と参りたいと思います。ほんと、直前も超直前で済みません。結果が出てから読んだ人、大笑いしてくださいな…。
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 ※日本陸上競技連盟HPより
【ファイテンオフィシャルストア】公式通販サイト

◇女子
MSGの経緯で一つ残念だったのは、女子の有資格者があまりにも少なかったことでしょう。といって、他に誰が資格者になっていて欲しかったかと言えば、そうそう顔が思い浮かびません。清田真央、田中智美、田中華絵、堀江美里、竹地志帆…といったところでしょうかね。上位争いまではちと難しいが、レースのスケールアップにはなったことでしょう。
それと、新しい人が意外に出てこなかった。資格獲得第1号が前田穂南というフレッシュな名前だっただけに、続々と新規デビュー組の勝ち名乗りに期待したんですが、続いたのは松田瑞生と上原美幸、関根花観(欠場)、一山麻緒くらいで、大森菜月は惜しくも間に合わず。
どうせ復活するんなら、新谷仁美にチャレンジして欲しかったですけどね。

さて、その女子。もともと少ない有資格者から3人がドーハ世界選手権代表に回り、さらに残念なことに、ともに穴馬的存在だった関根花観(JP日本郵政G.)と前田彩里(ダイハツ)が故障欠場。たった10人でのフルマラソンという、かつてアジア大会でも見たことのない少人数のレースとなってしまいました。
ここ数日、放送担当局のNHKではしきりに松田瑞生(ダイハツ)・鈴木亜由子(JP日本郵政G.)・福士加代子(ワコール)の3人を取り上げ、あたかも「3強」の様相であるかのように事前告知を煽っていますけど、いやいやそんなに単純じゃあないですよ。だいたい、その絞り込みにはおそらく、珍しくNHKのコメンテーターに起用された増田明美さんの思惑が絡んでいることでしょうから、全然アテにはできません。
(増田さん本人が以前に言っていることですが、「NHKでは技術や戦術の解説を求められるのでお呼びではなく、日テレでは自分以上にアナウンサーらが細かい選手取材をするので声がかからない」んだそうです)
昨今のトラックを含めた長距離戦線の実績、福士の場合は20年近くに及ぶ業績の数々から、「強い!」というイメージが定着しているのがこの3人と言えます。その一方で、松田は5月の日本選手権10000mで好調を伝えられながら惨敗したトラウマがあり、鈴木にはマラソンランナーとしての経験不足、福士には年齢的な衰えという、それぞれに不安を抱えた3人でもあります。
当然、歴代4位のタイムを持つ安藤友香(ワコール)や、マラソンの経験値では一番と言える岩出玲亜(アンダーアーマー)、リオ選考会では代表まで1秒差と大魚を逃した小原怜(天満屋)など、後に控えるのは遜色のない実力者ばかりです。

いずれにしろ、頭数は少なくても予想をするのは非常に難しい中、私は敢えて!と言いますか、ここへ来ての成長度という意味で最も期待するのが、前田穂南(天満屋)です。
MGC切符を獲得した2017北海道マラソンでの鮮烈な初優勝ぶりはともかく、次戦の大阪国際女子マラソンでは高校の先輩である松田を激しく揺さぶり、結果的に優勝は譲ったものの「ホンモノ!」の感を強くしました。大阪薫英女学院高時代は駅伝エースの松田に対して万年補欠という立場だった彼女が、天満屋ならではの“武富マジック”によって見事な成長を遂げていたのです。
その後の駅伝やトラックレースなどでも安定して好位置をキープしており、完全に天満屋のエースとしての地位を不動のものにしつつあります。1年前のベルリンでは再び松田に及ばず、今年の東京では寒さの故か失速しているので評価はイマイチというところでしょうが、マラソンにおける潜在能力は相当のものがある、と私は睨んでいます。

レース展開は、10人という少人数であること、数日前までの猛暑は免れたとはいえ20度を大きく超える暑さの中の戦いであることを考えれば、誰かが飛び出す展開になることはちょっと考えにくい。先頭を買って出る選手がいるとすれば鈴木だと思いますが、それも自重を決め込むと、2004年のアテネ五輪選考会だった大阪の時のように、極端なスローペースに陥ることだって考えられます。
天満屋の坂本直子が優勝したあのレースは、実にスリリングな名勝負でした。そのレースに、私は同じピンクのユニフォームを重ね合わせて想像してしまうのです。そういえば坂本も、千葉真子に2度苦杯をなめさせられた後の3度目の正直で、見事に千葉を破って代表の座を勝ち得たものでした。
いずれにしろ、展開のカギを握るのは鈴木でしょう。スピードランナーと言ってもラスト勝負になるとスプリントが利かないタイプなので、スローでの集団走が続けば勝機は遠のくばかりでなく、あの時の渋井陽子のように走りを狂わされます。中盤にしろ終盤の登り坂にしろ、彼女が仕掛ける場面が必ず訪れる筈です。鈴木がロングスパートを仕掛けた時、誰がそこに付いているか、あるいは誰も付いていけなくなるか…。
終盤までもつれれば、ラストが強いのは松田と安藤。松田の粘り強さはやはりピカイチですし、駅伝1区のスペシャリストだった安藤は、勝負どころの見極めが実に上手い。あとは、ダークホースで一山麻緒(ワコール)の瞬発力も侮れません。残っていられれば、の話ですけどね。
もう一人、レースをメイクする可能性が高いのは、言うまでもなく福士おばさん。ただ、どうなんでしょう。私はもしかしたら、彼女が安藤や一山のサポート役に回ろうと考えるような心境の変化がレース中に訪れる可能性があるんじゃないか、という気がしています。
心情的には小原を応援したい気持ちもあるんですが、決して順調に来ているという雰囲気ではないので、強くは推せません。岩出、上原にも一発の可能性は十分にあります。野上さん、ゴメンナサイ!

ということで、私の大予想は
◎前田穂南
〇松田瑞生
▲安藤友香



◇男子

名門旭化成勢の全滅という意外さはあったものの、現有のビッグネームはほぼほぼ揃ってまずは賑やかな顔ぶれとなりました。
大迫傑(NIKE O.P.)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)、服部勇馬(トヨタ自動車)が「4強」と言われています。1年前に日本記録を更新した大迫、前記録保持者で安定感抜群の設楽、猛暑のジャカルタ・アジア大会を制した井上、9年ぶりに国内3大大会の優勝者となった服部と、それぞれにそう呼ばれるだけの立派な肩書があり、持ちタイムでもトップ4です。

こちらも、スローな滑り出しが予想されるところですが、30人もいれば、走り易いイージー・ペースに持って行こうという動きが自然に発生することが考えられ、巷間伝えられるように設楽が序盤からレースメイクをするようなことでもなければ、3分5秒/㎞程度の安定したペースになるんではないでしょうか?(スタート直後は下り坂が続くので、数字上は速いタイムになると思いますが)
大迫は早大時代に箱根駅伝1区で2年続けてロケットスタートを決めて後続をぶっちぎっていますが、強豪が揃った4年時にはそれも通用せず、もうその手は使わないでしょう。先頭を引くことのデメリットを無視して設楽が引っ張ってくれると、非常に面白くなるところではありますが、果たしてそこまで、往年の中山竹通みたいな大胆不敵さがありますかね?
「自信満々のコメントを発する時の設楽はコケる」というイメージが、私にはあります。こちらもラスト勝負になれば大迫に一日の長があることを知っていますから、早めの仕掛けがあるのは間違いないとして、どうしても早く仕掛けた方が不利になるのが、このレースの悩ましいところだと思えます。

淡々としたペースで進んだ場合、途轍もなく恐ろしい力を秘めているのが佐藤悠基(日清食品G.)ではないでしょうか。
佐久長聖高校時代には「天才」、東海大時代には「化け物」と呼ばれ、社会人となって日本選手権10000mを4連覇した必殺のスプリントは、大迫が3度挑んで返り討ちにあったほどの威力がありました。その佐藤もいつの間にか33歳、「黄金世代」と呼ばれた竹澤健介や木原真佐人、メクボ・モグスらが大成することなく、佐藤自身もマラソンでは苦戦続き、この世代の代表格は川内優輝ということになっています。稀有な素質の開花を阻んできたものは、大学時代から見えていた痙攣などの脚部不安、いわゆる“ガラスの脚”であったかもしれません。夏場のレースは、彼にとって有利な材料となる要素を孕んでいます。
マラソンランナーとしては平凡な実績しかなく、いつも30㎞を待たずに先頭集団から消えていく佐藤が、ここで遂に本領を発揮するのではないか、という期待に胸が躍ります。ただし、佐藤が好走するような展開になった場合に、やはり今の大迫には勝てないんではないかな、とも思います。

オールドファンの私から見て、最もマラソンランナーらしい選手だなと思えるのが井上。コツコツと走り込んで蓄えたスタミナと精神力には自信を持っていることでしょうし、過去の経緯から設楽を徹底マークする戦術が確固としているのも強みです。
他に、やたらと威勢のいいコメントが聞こえてくるのが神野大地(セルソース)です。終盤の登り坂までもつれ込めばしめたものかもしれませんが、果たしてそこまで我慢できるかどうか。むしろ、中団でじっくり構えた時の今井正人(トヨタ自動車九州)の方が、荒れたレースになった時は不気味さを感じます。

で、私の結論は
◎大迫傑
〇井上大仁
▲佐藤悠基
△設楽悠太
△今井正人

男子の方は、さらに予想困難。個人的には、強いと言われる選手が胸を張って先頭を引っ張るレースが見たいですし、3人出しをするトヨタやMHPS、富士通勢のチーム戦略にも興味津々です。

なにぶんにも久々のブログですんで、予想はご愛敬ということでお察しくださいませ。

第101回日本選手権の見どころ ⑤ ~女子中長距離


このカテゴリーは、私にとってのメインイベントです。
特に女子10000mは、創成期の松野明美と朝比奈美代子の大逆転レース、鈴木博美・千葉真子・川上優子らをラスト1周62秒の猛スパートで一網打尽にした弘山晴美、無敵の6連覇で時代を創った福士加代子、北京代表を争った福士・赤羽有紀子・渋井陽子の鍔迫り合い、2位以下を全員周回遅れにした新谷仁美の圧巻の独走など、いくつもの名勝負・名場面が思い浮かびます。昨年の雨中の激闘も素晴らしいレースでしたが、放送の演出にこだわって大部分を見せなかったNHKのボーンヘッドにはやきもきしました。
今年も、タレントは豊富です。秘かに自分が注目する選手がどんな走りをしてどのポジションに入ってくるか、期待に胸躍るここ数日です。
2016日本選手権10000

◆「女王」待望の800m
400mと並んで、ここのところ上位の顔ぶれが猫の目のように変わる女子800m。2011年の岸川朱里(長谷川体育施設)以降、連覇した選手がいません。昨年高校生で制覇した福田翔子(松江北高→島根大学)も今季はまったく音沙汰なしで、競技を辞めてしまったのでしょうか、エントリーリストにも名前がありません。記録的にも、停滞が続きます。
その中ではインカレの関東・個人を連覇した北村夢(日本体育大4)が2分4秒台で安定した力を発揮、一歩リードの感があります。これに福田の好敵手・池崎愛里(順天堂大1)や卜部蘭(東京学芸大4)といった学生勢、大森郁香(ロッテ)や山田はな(わらべや)といった優勝経験者がどう絡むか。400とのダブルエントリーとなる川田朱夏(東大阪大敬愛高3)、塩見綾乃(京都文教高3)、後藤夢(西脇工業高3)らの高校勢はどうか…・
これだけ大勢の名前を挙げなければならないということは、主役不在ということです。個人的には、2011年の400m優勝者、新宮美歩(東邦銀行)にももう一花咲かせてもらいたいものですが。

◆1500mはニューカマーに期待
昨年何度目かのブレイクを果たした木村友香(ユニバーサル)が、今回は代表権にリーチをかけている5000mをメインで狙ってくると思われますので、この種目も混戦模様です。
優勝経験のある陣内綾子(九電工)や須永千尋(資生堂)、森川千明(ユニクロ)、飯野摩耶(第一生命G.)といったベテランもまだまだやる気の一方で、エントリーリストには高校中長距離界の一線級や高卒ルーキー・2年目の名前がズラリと並びます。
髙橋ひな(NIKE TOKYO)・田中希実・後藤の「西脇工3人娘」やインターハイ戦線での主役が期待される高松智美ムセンビ(薫英女学院高3)、リンズィーヘレナ芽衣(市立金沢高3)、林英麻(健大高崎高3)らにも食指が動きますが、イチオシは昨季の駅伝での快走ぶりが印象深い和田有菜(長野東高3)でしょうか。
かつて小林祐梨子、小林美香(ともに須磨学園高)といった高校生が優勝をさらってあっと言わせたこの種目、今年もその再現が見られるかもしれません。

◆オリンピアン高見澤の安定政権?
3000mSCは、予想外のリオ五輪出場を勝ちとった高見澤安珠(松山大4)の長期安定政権が続きそうな気配です。対抗格の森智香子(積水化学)も故障のない順調ぶりで追随しますが、とにかくあのお粗末なハードリングを改善しないことには、ラスト勝負に持ち込んでも勝ち目はありません。3番手も三郷実沙希(スズキ浜松AC)で安定状態。新勢力、たとえば向井智香(名城大2)あたりに一波乱を期待したいところでしたが、エントリーは1500だけでした。
もちろん(?)、早狩実紀(京都陸協)も出場します。レジェンドです。

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◆百花繚乱の5000、10000
長距離2種目は、セットで語る必要があります。男子も同様ですが、先に行われる10000mの結果を承けて、5000mの動向が変わってくるところがあるからです。
現在、女子の「標準」到達者は全種目を通じて5000mの3名、10000mの16名、これだけです。世界選手権代表が長距離オンリーになってしまう危惧を孕んでいる状況ですが、中で10000の到達者数が突出しているのも珍現象です。(10000mは標準記録の有効期間が昨年1月1日からと長いことと、世界的にレース数が少ない、あるいは強豪国が偏っているためレベルが引き下げられていることが原因)

10000m到達者16人のうち、すでにマラソン代表を決めている安藤友香・清田真央(ともにスズキ浜松AC)と5000mに専念する松﨑璃子(積水化学)を除いた13人が、全員エントリーしています。
リオ代表の鈴木亜由子、関根花観(ともに日本郵政G.)、高島由香(資生堂)はいずれも5月のペイトン・ジョーダン招待を走って順調の模様。この3人が今のところ実力上位である状況は、昨年とそう変わりありません。食い下がる存在としては、5000代表の上原美幸(第一生命G.)、実業団覇者の松田瑞生(ダイハツ)、進境著しい一山麻緒(ワコール)あたりでしょうか。石井寿美(ヤマダ電機)はマラソンにチャレンジした影響が懸念されますし、私が大好きな中村萌乃(ユニバーサル)では今一つ実力不足か?…。

5000の到達者は木村友香、松﨑璃子、森田香織(パナソニック)の3人。ランキングトップの木村が真剣に代表を狙ってきますが、まだ5000mの経験が十分ではなく、一抹の不安を感じさせます。その意味では安定した実力を発揮している松﨑が、5連覇・3大会連続代表を目指す尾西美咲との連携を含めて優位な立場にいると見られます。
先に10000で代表権を確保した選手がどういうレースに持ち込もうとするかで、展開は大きく変わってくるところがあります。その中で、福田有以、横江里沙という有力選手2人を擁する豊田自動織機勢が、助っ人アン・カリンジを使って主導権を取りにくる展開が予想されます。特に春先から好調の福田はあと一歩のところで「標準」を逃すレースが続いており、盤石の仕上げで臨んでくるものと思われます。
男子と違ってまず間違いなく「標準」を見据えた速い展開になるだろうと思いますが、その中で「代表」云々をあまり意識せずに追随する、矢田みくに(ルーテル学院高3)、小笠原朱里(山梨学院高2)、森林未来(諫早高3)といった高校生ランナーの一発にも注目です。となると、佐藤成葉(立命館大2)、関谷夏希(大東文化大2)、岡本春美(三井住友海上)などの若手勢にも奮起を期待したいところ。言うまでもなく、“復活”が待ち望まれる鷲見梓沙(ユニバーサル)からも、目が離せません。

2017日本選手権5000
2017日本選手権10000

松﨑、一山が標準突破!~PJ招待陸上



『ペイトン・ジョーダン招待陸上』が日本時間の今朝9時(現地時間5日17時)から行われ、女子5000mで松﨑璃子(積水化学)、同10000mで一山麻緒(ワコール)が、新たにロンドン世界選手権参加標準記録を突破しました。
5000m1組に出場した松﨑は、昨年の世界室内1500m優勝者シファン・ハッサン(NED)らと先頭争いを繰り広げ、ラスト1周62秒というハッサンのスピードには屈したものの2位に食い込みました。松﨑はすでに10000mの標準は突破していますが、“本業”の5000では木村友香(ユニバーサル)、森田香織(パナソニック)に続く3人目の到達者となります。
また女子10000mでは、リオ長距離代表の4人と一山が参戦。有効期間が昨年1月1日までさかのぼる種目のため、代表の4選手はすでに標準突破を果たしている中、唯一人暮れの記録会で1秒弱及ばず突破を逃していた一山が、新たに16人目の到達者となりました。
この種目の優勝者はリオ五輪1500m6位のメラフ・バータ(SWE)で、PBを2分近く更新する31分13秒06でした。
日本人選手の結果は、以下のとおりです。

◇男子10000m(35人出場・標準記録:27'45"00)
㉗ 29'17"60 大石 港与(トヨタ自動車)

◇女子3000mSC(14人出場・9'42"00)
⑪ 10'12"65 森 智香子(積水化学)

◇女子5000m2組(18人出場・15'22"00)
⑦ 15'31"92 尾西 美咲(積水化学)

◇女子5000m1組(21人出場)
② 15'19"91 松崎 璃子(積水化学)
⑪ 15'27"62 阿部 有香里(しまむら)
⑫ 15'27"97 鍋島 莉奈 (日本郵政G.)
⑯ 15'44"78 森田 香織(パナソニック)

◇女子10000m(36人出場・32'15"00)
⑤ 31'33"33 高島 由香 (資生堂)
⑧ 31'41"74 鈴木 亜由子(日本郵政G.)
⑩ 31'49"01 一山 麻緒(ワコール)
⑬ 32'10"22 関根 花観(日本郵政G.)
㉖ 32'56"38 上原 美幸(第一生命G.)

「プリンセス駅伝」に物申す!



日曜日に行われました『全日本実業団女子駅伝予選会』(第2回プリンセス駅伝)について、振り返ってみたいと思います。(スンマセンね、今頃…)

まず、声を大にして言いたいことが一つ。
「予選会」なのに「優勝」チームがいるというのは、どう考えてもおかしくありませんか?
意外な(失礼!)1着通過を果たしたTOTOチームの奮闘に水を差すつもりは毛頭ないのですけど、本戦にシードされたチームが8つも不在、と言うか参加資格すら与えられないレースで、「優勝」はないでしょう。
箱根駅伝や全日本大学駅伝の関東予選会で、1位になったチームを「優勝校」扱いしますか?それは、実業団女子とは予選の形式が異なるというだけの理由ではないですよね。
「予選会」は、悪い言い方をするならば、本戦に進出する1部チームと2部チームを仕分けする「入れ替え戦」です。何度も言うようですが、「優勝」の文字はあり得ない。
本当なら「優勝」する力を持ったチームが他にいくつも存在するのに、それらを出場させてしまっては本戦の意味がなくなってしまう。本戦を少数の実力チームだけで行うための予選だと割り切るのであれば、それ相応の位置づけをしないと、いけません。「優勝」という言葉の持つ華やかさが欲しい気持ちは分からないでもないですが、そこはケジメをきっちりしないと。
でないと、この「プリンセス駅伝」の開催意義が、薄れてしまうような気がします。「じゃあ、もう予選会なしの一発本戦でいこうや」てなことに、なりかねません。

なんでここまで言葉に拘るかと言うとですね、その「優勝」したTOTOチームやみごと予選を勝ち残った各チームそっちのけで、「惜しくも」ボーダーラインからこぼれたチームばかりに焦点を当てるTV屋のスタンスが、どうしても納得できないからなんです。
番組の冒頭からして、昨年1秒差で本戦出場を逃したチームの話題や映像を繰り返し繰り返しアピールして、レース後半もほとんど14位前後の争いばかりを報じる姿勢が、なんというか、あまりにも見え透いていて厭らしかったからなんですよ。(冒頭で取り上げたチームは途中でお呼びでないとなると、途端に一顧だにしないという冷酷さ!)
予選会ですから当然、どこがギリギリ通ってどこが僅かに力及ばずだったか、は大きな興味の対象です。ですが、それ以上に、上位で通過したチームや戦力的に優れたものを持っていながら下位通過に留まったチームなどの実力分析をして、1か月後の本戦につなげる話を盛り上げていく…それが駅伝ファンとして本来知りたいことじゃないでしょうかね?
「優勝」と呼ぶのならば、「優勝チーム」や上位通過チームには、それに相応しい扱いを番組でしろよ、と。
まあ、陸上界では悪名高いあのTV局のやることですから、改まることはないんでしょうけどね…。

ということで、じゃあしょうがない、不肖ながらこの私メが、スチャラカTV局に代わって11月27日に行われる本戦へ向けて、各チームの実力診断を試みてみましょうか。

◇意外だった上位3チーム
第1回大会となった昨年は、「なんでシードに残れなかったんだろう?」とむしろ不思議な感のあったユニバーサルが下馬評どおりの圧勝劇を演じたのですが、今年はそうした意味では「前年取りこぼし」のチームが見当たりませんでした。しいて挙げるなら、大エースの前田彩里を長く故障で欠くダイハツでしょうが、今回も前田のエントリーはありませんでしたからね。
そうした混戦模様の中なので、どこが勝っても不思議ではなかったとは言えますが、それにしてもTOTO、ノーリツ、京セラという上位3チームは、まったく予測できませんでした。結果を見ても、何が決め手になった好成績なのか、今一つピンと来ないんですねえ。それほどに、駅伝の順位予測というのは困難を極めます。
結局、穴のない堅実な走りをできたチームは、他の「大砲頼み」のチームがコケた時にはきっちり順位を上げてこれる、ということでしょう。ただし、これが本戦となりますと、シード8チームがこぞって大穴を開けるということは考えにくいでしょうから、これら3チームが上位争いに割って入る可能性は低い、と言わざるを得ません。今回と同じような堅実なレース運びでギリギリのシード入り、が目指すところとなるでしょう。

◇日本郵政の“伸びしろ”と「ダイハツ再生工場」に期待
4位以下のチームではどうでしょう?
パナソニックは、エースの山崎里菜、中村仁美を欠き、マラソンランナー加藤麻美も今一つの状態での4位という成績は、希望がつながったのではないでしょうか?それらの選手が本戦にはきっちりと仕上げてくるのかどうか、は分かりませんが。

ギリギリ・シード逃しの常連(?)ホクレンは、上位3チームと同様、堅実さで一つでも上に行きたいチームでしょうね。なかなか赤羽有紀子やオンゴレ・フィレスに匹敵する大砲が出てこないのが不思議です。(金は持ってると思いますけどね)
今のままだと、シード入りはなかなか厳しそうです。

6位しまむらは、新宅里香が去った一方で、下門美春が着実にエースとしての実力を蓄えつつあります。今回は区間8位と今一つでしたが、長い距離には自信を持っているので、本戦のハードコース5区あたりに起用されると一気に順位を上げてくる可能性がありますよ。

私の地元県代表の日立は、姉御の風格漂っていたキャプテン上谷田愛美が引退したのが惜しまれます。ジョーカー的存在のオバレ・ドリカはともかく、エースである菊池理沙、次期エースの期待が高い伊坂菜生の両美女ランナーが、駅伝になると案外実力を発揮できないのが悩みどころです。菊池などは10kmのエース区間に配置されてしかるべきところ、 そこまで信頼感を得ていないということなのでしょうね。

大エース鈴木亜由子を欠き、もう一人の関根花観が大コケしながらも若手選手の奮起で踏みとどまったJP日本郵政グループは、本戦での“伸びしろ”が最も期待できるチームかもしれません。鈴木・関根がOKならば、また1区で期待外れに終わった鍋島莉奈あたりの底上げがあれば、上位争いも夢ではない戦力と見えます。

本戦3連覇・デンソーの立役者だった高島由香を迎え入れた資生堂は、「残り300mまで13位」から地獄を見た昨年とは打って変わって「優勝」候補の呼び声がありましたが、現状では高島・竹中理沙・吉川侑美の3人と他の選手の実力差が大きすぎます。1500m日本チャンピオン(2015年)の須永千尋、マラソンで実績のある奥野有紀子、あの立命館でキャプテンを務めた池田睦美と、いい素材は揃っているのですが、駅伝にはどうにも力が出せないでいます。シードまでには少なくともあと1年、かかりそうです。

ダイハツは前述のとおり、前田彩里の復調次第、というところがありますが、実業団選手権で10000mを制した松田瑞生が完全に力を付けたことで、昨年の本戦1区区間賞・坂井田歩の抜けた穴は十分に塞がっています。そして今回の収穫は、長らく顔を見ることのなかった吉本ひかり、久馬悠、岡小百合の復活でしょう。久々に登場した木﨑良子、悠の妹・萌などを含めて、「ダイハツ再生工場」の手腕に、今後は注目です。
メンバーだけを見れば、本戦で優勝争いを演じても決しておかしくはないチームだと思います。

10年以上「福士頼み」の状況が続くワコールは、その福士の爆発力が影を潜めた現在、よくぞ勝ち残った、というレベルに思えます。1区のルーキー・一山麻緒の成長が今後の楽しみではありますが。

前半戦の台風の目となったのが、ユタカ技研。名門チームの一つでありながら、何せ昨年1年間、部員は宮田佳菜代ただ一人という厳しい状況から、新人選手だけでの前半の首位争いは見ごたえがありました。4区・5区がともに区間20位と沈んで予選通過ラインギリギリの戦いとなったものの、最後は宮田が(まだ若干太目ながら)貫録の走りで本戦進出を確保。今回は出場しなかったミリアム・ガチュンガという助っ人選手もいますから、シードまでは無理でも10位近くでの健闘は期待できるかもしれません。

本戦出場は既定の事実と思われがちだった三井住友海上は、キャプテンの日高侑紀とコーチ兼任の渋井陽子が欠場、しかも若手エース野田沙織が1区で大ブレーキとなるアクシデントに見舞われながら、何とか底力を示しました。何より、2区・田邊美咲の区間賞とルーキー岡本春美が4区で日本人1位と実力のほどを見せたのが大きな収穫。全日本7回優勝の実績は伊達ではなく、本気でシード入りを狙ってくることでしょう。

今回の「滑り込み」は、1区・前川晴菜が資生堂の竹中らを破って区間賞の大金星を挙げた十八銀行。昨年の本戦・1区での18位という成績からは考えられないような躍進ぶりです。このチームも、扇まどか、藤田真弓といったお馴染みの名前が消えましたが、こうした若い(22歳)力の台頭は、頼もしい限りです。



◇でも強いシード組

以上、本戦進出を決めた14チームの状況をざっと見てきましたが、今年のシード8チーム(意地でも「クィーンズ・エイト」とか呼んでやらない)は、当たり前ですけどそれぞれに強いんですよね。

高島由香と石橋麻衣を失ったデンソーはやや戦力ダウンの感を免れませんが、新人・倉岡奈々や荘司麻衣がどう穴を埋めていけるか?

昨年来、戦力充実が著しい豊田自動織機は今回、優勝候補の筆頭だと思われます。第一人者の地位に近づきつつある横江里沙、合宿での好調が伝えられる林田みさきや福田有以、キャプテン沼田未知の「四天王」プラス、アン・カリンジ…チーム力は、強烈です。

スター軍団ユニバーサルエンターテインメントは、中村萌乃が10000m31分台に突入していよいよ本格化。後藤奈津子が抜けたのは痛手ですが、あとは鷲見梓沙待ち。

ヤマダ電機には石橋麻衣、森知奈美が移籍加入していよいよ「佛教大軍団」の様相を呈してきましたが、そんな中で石井寿美の成長が大きい。調子の波が激しい西原加純の出来如何で優勝争いも。

積水化学もメンバー充実。清水裕子がかつての強さを取り戻すと、相当上位を賑わすことになります。

オリンピック代表2人を抱える第一生命。

加藤岬が第一人者に成長してきた九電工。

レースにきっちりと照準を合わせてくる天満屋。

これらの一角に、予選会組が食い込んでいくのは容易なことではありません。
しかし…駅伝はほんと、いったい何が起きるのか、まったく分かりませんからね!

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day5(展望も)

【ミズノ】WAVE EKIDEN 11  ウェーブエキデン/ランニングシューズ/駅伝/ランニングシューズ ミズノ/MIZUNO (U1GD1620) 10 フラッシュオレンジ×ブラック×フラッシュイエロー
【ミズノ】WAVE EKIDEN 11  ウェーブエキデン/ランニングシューズ/駅伝/ランニングシューズ ミズノ/MIZUNO (U1GD1620) 10 フラッシュオレンジ×ブラック×フラッシュイエロー

陸上競技開始の1週間前から書き始めた「直前展望」が、Day5で止まったまんまになってしまって、スイマセン。
前にも書きましたように、私はオリンピック全部が大好物なもんですから、序盤はとうぜん競泳・柔道・体操などに熱中し、今もバドミントンに卓球に、自転車にレスリングにと大忙しです。テレビでやらない馬術とかボートとかも見てました。もうじきトライアスロンもあります。(グエン・ジョーゲンセンのランに、ぜひ注目してください!)
意外に時間のかかるこの記事、もういっぱいいっぱいで書いてますんでね、何とぞご理解を。
そういうわけで、Day6以降の「展望」については、日々の「観戦記」の中で要所要所に触れていきたいと思います。


◇女子5000m予選(2組5着+5)
RIO023

いやあ、上原美幸、見事な世界デビューでしたね!
スタート(一度仕切り直しがありましたが、上原がフライングしたわけではなくて、明らかにラインを踏んでいたエチオピアの選手を見咎めてのものと思われます)してすぐ飛び出し、200m34秒のダッシュを決めた上原が、大逃げを打つ展開。一時は集団との差が70mにも開き、「よし行け、プリティキャスト!(…分かる人にしか分からない)」と当方大興奮。
集団の中で翻弄されるよりは行けるところまで先頭を走る、同じ負けるなら目立って負けろ、というのが新谷仁美が日本女子長距離界に授けた遺産なのでしょうか、最近はこうした積極レースが目立ちます。にしても、ここまでの大逃げは初めて見ます。ただ、ラップタイムは75-76秒と遅く、いい記録を目指すとすれば5000なら72-73秒、10000なら73-74秒(まあ新谷でも74秒がやっとでしたが)が望まれるところです。
1000mを過ぎたあたりでいったんイギリス、アメリカの選手が追走を開始しようとしたら、すかさずジャン(TUR)やケニアの2人が「まだ早いわよ!」とばかりに叩いて出て、集団のペースを落としたのは面白い展開。おかげで、上原の逃げは3500mまで持ちこたえ、かなりの長時間楽しませてもらえました。

しかしながら、彼女の真骨頂はここから!こういう展開では、集団に吸収されるとそのままズルズル…というお決まりのパターンを思い描いていたら、意外にも粘るわ粘るわ、力の残っている限りは前を追い越さずにいられないといった感じで再び先頭を奪い返すなど、必死の抵抗を試みます。
いかんせん最後はトップ集団のスピードに置いて行かれたとはいえ、大きく離れることもなく、競り合っていたエチオピアのエシャネを最後はねじ伏せるように先着するという根性を見せてくれました。
素晴らしい!結果的に今日一番のレースを見せてもらえましたね。

2組の尾西美咲、鈴木亜由子はともに昨年の世界選手権で予選を突破していただけに期待が寄せられましたが、いつもの展開に策なし、といったレースになって、敗退です。
鈴木は大会直前に10000mをキャンセルする脚部不安があって、その影響を否定するコメントをしていましたけれども、痛みなどはないとしても調整に狂いが出たことは間違いなく、本来の力を出せずにオリンピックを終えたのは残念でした。
日本の長距離は、多くの競争相手を倒して代表になるのが一番苦労するところなので、せっかくのチャンスは大切にしなければなりません。マラソンとともに、日本選手が今一つ万全のコンディションでリオに臨めていないことが、少々気になります。


◇男子三段跳決勝
ご存知クリスチャン・テイラー(USA)が1回目の17m86であっさりと優勝を決めました。2位ウィル・クレイ(USA)との差は僅か10センチで、意外な僅差に少々浮かない顔。1回目から手拍子を要求し、大きな声を上げて跳躍に臨んでいたのは「6回目のテイラー」にしてはやや珍しい光景で、ピチャルド(CUB)のいない今回、それだけぶっちぎりの楽な展開での金メダルを狙っていたのでしょう。
お得意の6回目、面目躍如とばかりに18メートルラインを超えた着地に見えましたが、赤旗だったのは残念。


◇女子円盤投決勝
「鉄板」と思っていたサンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)が、予選で2回ファウルの後Qライン突破、決勝でも2回右のネットにぶち当てて絶体絶命のピンチに追い込まれました。3投目、「この一投」の集中力はさすがで、ややバランスを崩しながらも69m21の大投擲を繰り出し、結果的には2位以下に大差をつけはしたものの、その後の3回もすべてファウル。「絶対女王」の風格は影を潜めて終始おびえたような表情が目についたのは、オリンピックの魔物との戦いだったのでしょうか。
ゲーム前はノーマークだった一番投擲者メリナ・ロベール-ミションが66m73のナショナルレコードで銀メダル。この記録を超えられない3番手以下の記録が、かなり低調でした。



◇男子1500m予選(3組6着+6)
 15WC ①3'34"40A.キプロプ(KEN) ②3'34"63E.マナンゴイ(KEN) ③3'34"67A.イギデル(MAR)
 15DL ①17p/4 キプロプ ②10p/3 S.キプラガト(KEN) ③4p/1 マナンゴイ
 16DL ①31p/4 キプロプ ②28p/4 マナンゴイ ③10p/1 R.
ケモイ(KEN)
 16SB ①3'29"33 キプロプ ②3'30"49 ケモイ ③3'31"19マナンゴイ
この種目では、アズベル・キプロプという絶対王者がいて、スローペースの優勝争いだろうとペースメーカーつけての記録狙いだろうと、とにかく強い。強さの安定感でいけば、かつてのヒシャム・エルゲルージ(MAR)級ではないかという感じだったのですが、1か月前のモナコDLで惨敗してミソをつけたことから、予選の走りが注目されました。
1周目は後方で様子を伺い、700mでスルスルと前に出て、ラスト1周をぶっ飛ばす、いつものレースパターンでまずは楽勝。この相手では、調子を伺うところまでは行きませんでした。
同僚のマナンゴイ、ケモイ(小森コーポレーション)ではなかなかキプロプの牙城を崩すことはできなさそうですが、ロンドン王者のタオフィク・マクルフィー(ALG)に余裕を感じます。前回も優勝間違いなしと思われたキプロプが謎の失速をしたレースをものにしていますし、DL出場が少ないため直接対決もあまりなく、キプロプにとっては最も警戒する相手だと思われます。
今回男女とも中長距離各種目で健闘が目立つアメリカ勢からも、マシュー・セントロヴィッツのメダル獲りが注目されます。


◇女子100mH予選(6組3着+6)
 15WC ①12"57D.ウィリアムズ(JAM) ②12"59C.ロルダー(GER) ③12"66A.タライ(BLR)
 15
DL ①18p/4D.ハーパー-ネルソン(USA) ②14p/4S.ネルヴィス(USA) ③12p/4J.ストワーズ(USA)
 16DL ①40p/4K.ハリソン(USA) ②28p/4B.ローリンズ(USA) ③13p/4N.アリ(USA)
 16SB ①12"34 ローリンズ ②12"50 K.キャスト
リン(USA) ③12"55 アリ
何度も死んだ子の齢を数えるようですが、現役世界記録保持者でありDL4戦全勝のケニ・ハリソン(USA)のいないチャンピオンシップというのが、残念。ただ速いだけでなく抜群に安定したハードリングを見せていただけに、全米での敗退というのがいまだに信じられません。
代わって王国アメリカ代表になった3人が、出場選手ランキングの上位を独占。しかし、アメリカは昨年の世界選手権でも同じような状況で、しかもワイルドカードで4人出場という優位性を持っていたにも関わらず、一人も表彰台に立てないという結果に終わっています。(上記データの上から3段目までを見ると、すべて異なる名前がベスト3に入っていて、この種目の混沌ぶりを伺わせます。それを“統一”していたのが、今季のハリソンだったのです)

アメリカ3人は順調な立ち上がりを見せましたが、まぎれの多いこの種目で昨年と同じ轍を踏まないとは限りません。しかしWC女王のダニエレ・ウィリアムズは今回エントリーがなく、ジャマイカ勢は全般に低調。WC2位のシンディ・ロルダーやイギリスのポーター/オフィリ姉妹など、ヨーロッパ勢が虎視眈々と狙っている様子が伺える予選でした。

RIO025

◇男子200m予選(10組2着+4)
期待が大きかっただけに、あまりの体たらくに言葉がありません。あの日本選手権での盛り上がりぶりは、何だったのでしょうか?(長距離種目もそうですが…せめて100mくらいの結果を残してくれれば、こんな言い方はしないと思います)
原因は、絶対的な国際レースの経験不足。これに尽きるかと思います。日本選手は、「ボルトのように速く走る」ことを追及する前に、「ボルトのように試合で実力を発揮する」にはどうしたらいいか、それを真剣に研究するべきだと考えます。ダイヤモンドリーグのレースなどで揉まれ続けない限り、同じ光景が繰り返されるだけでしょう。

Evening Session(日本時間今朝)については、また追ってアップします。


ギャラリー
  • 『第42回全日本実業団対抗女子駅伝』大胆展望
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
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