今夜はDL第5戦オスロからの連戦で、第6戦ストックホルム大会『DNガラン』が行われるのですけど、前回書いたような事情もあって、いま一つ観戦気分が盛り上がりません。それと何より、この伝統の北欧2大会には今回、アメリカ勢がほとんどエントリーしていないんですね。日本と同様、大事な国内大会を控えているから、というところでしょう。日程編成の大失敗でしょうかね。
ということで、放送は後でゆっくりビデオチェックすることにして、「見どころ」を進めておきます。
◆男子110mHは久々のハイレベル
昨年は難関と思われたリオ五輪の標準記録を矢澤航(デサント)がクリアしてオリンピック出場を射止めましたが、今年はすでに到達済みの大室秀樹(大塚製薬)を筆頭に、矢澤ほか複数の選手により標準突破と3位以内を目指しての激戦が期待されます。
先の『布施スプリント』では、予選(第1レース)のみを走った大室が13秒54(+1.5)で余裕の1着となり、決勝は大室を除き、矢澤、高山峻野(ゼンリン)、増野元太(ヤマダ電機)、佐藤大志(日立化成)と実力者が揃う前哨戦さながらの顔ぶれとなりました。レースは+3.2mの追風参考だったものの、増野が標準記録を上回る13秒43で快勝。日本選手権でも、これらに金井大旺(法政大4)、古谷拓夢(早稲田大3)ら学生勢を交えた熾烈な代表争いが繰り広げられそうです。
大室には優勝で代表内定、3位以内でほぼ当確というアドバンテージがありますが、あと1名か2名、標準を突破してくることは十分に期待できます。谷川聡・内藤真人の「2強」時代以来の活況を再現してもらいたいものです。
◆野澤の復調なるか?
昨季は世界のトップ戦線に躍り出るかとまで期待させた野澤啓佑(ミズノ)が、今年はマウントサック・リレーズでの開幕戦以来、絶不調に喘いでいます。5月以降は予定されていた試合もキャンセルして調整に努めているようではありますが、48秒台を連発していた1年前の勢いは取り戻せそうにありません。
現状、この種目での標準到達者は安部孝駿(デサントTC)ただ一人で、その安部にしてもレースにムラが大きく、すんなり3位以内を獲ることは容易ではありません。松下祐樹(ミズノ)、小西勇太(住友電工)、岸本鷹幸(富士通)らがよほど奮起しないと、日本伝統のこの種目で、何十年ぶりかに代表なしという事態も起こりかねません。まずは予選で、各選手の気迫を見てみたいものです。
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◆木村文子が絶好調
『布施スプリント』決勝で男子110mHと同様強い追い風(+3.7m)ながら、12秒99の快記録を叩き出した木村文子(エディオン)が好調です。その前には『GG川崎』で、13秒10(0.0)をマークしています。
ただこの種目は世界のレベルも昨年来急速に上がり、標準記録はとうとう日本記録を上回る12秒98という高いラインに設定されてしまっています。20代最後の日本選手権にピークを作らんとしている木村の孤軍奮闘ぶりには何とか結果で報われてほしいものだと思います。
本来なら木村とともに代表狙いの最前線にいる柴村仁美(東邦銀行)は、今季やや低空飛行。「美女トリオ」の一角・伊藤愛里(住友電工)はエントリーなし。あとは青木益未(七十七銀行)、ヘンプヒル恵(中央大3)、福部真子(日体大4)といった若手の躍進に、期待です。
◆常勝・久保倉の後継者は?
通算9度の日本一とリオ五輪出場、55秒34の日本記録(2011年日本選手権)を置き土産に引退した久保倉里美の後継者を巡っての争い。
本命は世界代表経験のある青木沙弥佳(東邦銀行)か一昨年の優勝者・吉良愛美(アットホーム)かというところ。優勝戦線に入ってくる力を持っているはずの石塚晴子(東大阪大2)は昨季のU-20世界選手権から長いスランプ状態で、その石塚に代わって日本インカレを制した梅原紗月(立命館大→住友電工)も、社会人1年目は苦戦中。あとは本職の七種競技でDNFに終わった宇都宮絵莉(長谷川体育施設)が、男子の中村明彦さながらに大駆けをやってのけるか、というあたりまででしょう。
標準記録の56秒10は、勢い次第で決して不可能な数字ではありません。