先週になりますが、30日(土)に日本テレビ系で放映された『坂上忍の勝たせてあげたいTV』という番組を、ご覧になりましたか?
これ、不定期に放送されている競輪の中継&PR番組なので、「陸上ひとすじ」の方のアンテナにはあまり引っ掛かってこないかもしれません。
この日は、武井壮が修善寺にある日本競輪学校をレポート。ほかに千鳥がアニおたの競輪選手を、岡田圭右らがオリンピック代表の渡邉一成選手をレポートしました。

武井壮が訪れた競輪学校で、来年のデビューを目指し訓練に励む男子111期生の面々(規則で全員坊主頭)の中に、ひときわ屈強な体格の、やや年かさの生徒がいました。
名前は野口裕史(33歳)…そう!昨年の日本選手権で、男子ハンマー投に21年ぶりで「室伏広治」以外の優勝者名を刻んだ、あの野口選手です。
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十種競技の元日本チャンピオンとして知られる武井壮ですが、現在は陸上界と特別なつながりはなく、野口もこの時が初対面だったようです。(それとは別に生徒の一団の中には、かつて陸上で武井のコーチを受けていたという人がいました)
そして奇縁なことに、プロデビューを目指して修行中の野口が個人的に「師匠」と仰ぐのが、武井壮の従弟である武井大介選手(86期・千葉・S級1班)。競輪では、基本的にはプロとして拠点とする場所の先輩選手に弟子入りするのが慣例になっているんです。

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ところで、競輪学校への入学は1年度あたり男子70名限定。倍率は約5倍という狭き門です。
入試は自転車競技経験者(技能組)と未経験者(適性組)とで異なり、この111期のうち他競技などから適性を認められて入校した「適性組」は、僅かに5人。番組取材中に行われた1000mTT(タイムトライアル)で野口は自転車の国際大会入賞実績などの若き猛者がひしめく中、全体の6位に入り、潜在能力の高さを証明しました。

32歳(受験当時)での転身は遅過ぎるのではないか、と思われる方もいるでしょうが…
競輪界で、たとえば武田豊樹選手(88期・茨城・S級S班)は2002年ソルトレークシティ冬季五輪のスピードスケートに出場した選手ですが、現在42歳でトップに君臨しています。自転車でオリンピック出場経験のあるグランドスラマー・神山雄一郎選手(61期・栃木)は、「輪界のレジェンド」と呼ばれ48歳にして年間9人しかなれないS級S班の一人です。

投擲選手はパワーばかりでスピードには弱いのでは?と思う人もいるかもしれませんね。
パワーとスピードというのは表裏一体のものです。走ることを専門にしていないというだけで、脚の遅い一流投擲選手なんて、たぶんあまりいないと思います。かつて世界一の力持ちと謳われた重量挙げのヘビー級選手が、100mを10秒台で走ったという有名な話がありますよ。
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おそらく、永年追い続けた「日本一」の称号が、室伏の勇退によってではあるけれども達成できたことで、一つの区切りがついたという心境だったのでしょう。素晴らしい決断、羨ましいほどの夢追い人生だと思います。

我が陸上界からは、すでに1年先輩として短距離・走幅跳で活躍した佐藤友香選手(35歳・110期・青森・女子は全員A級2班)が、ガールズケイリンで今年デビューを果たしています。
これまで2開催に出場して8戦中6戦最下位(現在高知ミッドナイト競輪にも出場中)と非常に苦しいレースが続いていますが、何とか陸上選手の底力を見せてほしいものです。
あの“世界の”中野浩一さんだって、元をただせば陸上競技出身。
三十路を越えてからの輝かしい未来を、応援していきましょう!