豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

福島千里

山本聖途・福田有以が優勝!~『マウントサック・リレーズ』日本選手の成績


アメリカ・カリフォルニア州トーランスのエル・カミノ・カレッジで開催された『第59回マウントサック・リレーズ』に出場した日本選手の結果をお伝えします。
ゲーム数が非常に多いため、日本選手の名前をピックアップするのに遺漏があったかもしれません。その点はご容赦を!
また一部エントリーリストに名前がありながら、DNSだった選手もいるようです。

― 男子 ー
◇100mオープン8組/9(+2.1) ①10"24 飯塚 翔太(ミズノ)※総合1位
②10"37 馬場 友也(LALL AC)
◇100m招待2組/2(-0.2) ④10"34 多田 修平(関西学院大)
◇200mオープン1組/7(+0.4) ⑤21"54 高平 慎二(富士通)
◇400mH招待2組/2 ⑤51"78 野澤 啓佑(ミズノ)
◇棒高跳 ①5m70 山本 聖途(トヨタ自動車)
④5m20 山本 智貴
⑥5m20 笹瀬 弘樹(スズキ浜松AC)
◇走幅跳 ③7m69(0.0) 城山正太郎(ゼンリン)

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― 女子 ―
◇100mオープン1組/7(+0.5) ④11"51 福島 千里
⑧12"05 土井 杏南(大東文化大)
◇100m招待1組/2(+0.7) ⑧11"47 福島 千里
◇200mオープン5組/6(+1.1) ⑥24"79 土井 杏南
◇200m招待1組/2(+2.1) ⑨23"90 福島 千里
◇800mオープン2組/5 ④2'10"89 大宅 楓(大東建物管理)
◇5000m招待 1組/2 ①15'23"48 福田有以(豊田自動織機)※総合1位
◇100mH招待 1組/2(-2.2) ③13"62 木村 文子(エディオン)
◇400mH招待 1組/2 ③57"66 青木沙弥佳(東邦銀行)
⑧61"96 石塚 晴子(インプレス)
◇棒高跳 招待 -NH 仲田 愛(水戸信用金庫)

 

2017トラック&フィールドのお楽しみ


トラック&フィールド・シーズンが始まっています。
すでに男子400mリレーの銀メダル・メンバーのうち、桐生祥秀と山縣亮太は3月上旬にオーストラリアの大会で100mレースに出場して、それぞれ10秒04(+1.4)、10秒06(+1.3)という上々のシーズンインを飾りました。遅れじと、飯塚翔太は本日行われる『マウントサック・リレーズ』で、ケンブリッジ飛鳥も15日にアメリカの別の競技会で、と、いずれも海外で初戦を迎えます。

『マウントサック』は日本時間の今未明から3日間の日程で始まっていて、飯塚選手だけでなく結構な数の日本選手がエントリーしています。
400mHには野澤啓佑、棒高跳には山本聖途、荻田大樹など4選手、走幅跳に城山正太郎などなど。
女子では100mにプロ転向した福島千里、100mHに木村文子・柴村仁美の美女コンビ。女子5000mには、豊田自動織機の横江里沙・福田有以・林田みさきの3選手が登場。

いっぽう国内では、日本GPシリーズとして22(土)・23(日)の両日に『兵庫リレーカーニバル』(神戸総合)と『TOKYO COMBINED EVENTS MEET』(駒沢)が、29日(土)には『織田幹雄記念』(エディオン)、3日(水)には『静岡国際』(草薙)が開催されます。『TOKYO COMBINED…』は、開催が打ち切られた『混成和歌山』の代替大会で、男子十種競技と女子七種競技のみが行われる模様です。
22・23日には『出雲陸上』もあり、短距離勢は出雲、長距離勢は兵庫、という分かれ方になりそうです。
とりあえず、『兵庫RC』のエントリー・リストが出ていますので、ここに貼っておきましょう。
2017HyogoRC(1)
2017HyogoRC(2)
2017HyogoRC(3)
2017HyogoRC(4)

さらにさらに、同じ2日間、海外では『第3回ワールドリレーズ』(ナッソー)。今年はオリンピック出場権云々とは無関係のためか、日本は男子のみ、若手主体のチームを派遣します。
●4×100m 山下 潤・齊藤勇真(以上筑波大)・増田拓巳(東海大)・
大嶋健太(日大) 水久保漱至(城西大)
●4×400m ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)・堀井浩介・田村朋也(以上住友電工)・
小林直己(セゾン情報システムズ)・藤原 武(ユメオミライ)

5月5日(金)には毎年全米のトップクラスや好条件を狙って日本からも多くの長距離選手が遠征する『ペイトン・ジョーダン招待陸上(旧・カーディナル招待)』があります。日本時間では同じ日になりますが、6日(土)は『ゴールデンゲームズ・インのべおか』(西階)。
例年GWの終盤に行われてきた『セイコー・ゴールデングランプリ』(等々力)は、今年は5月21日(日)の開催です。20(土)・21の両日は『東日本実業団選手権』(秋田県立中央公園)も開催されますので、ちょっともったいない日程編成となりました。
翌週の25日(木)~28日(日)は『第96回関東インカレ陸上』(日産)…
だいたいこのあたりまでに、世界選手権(ロンドン)代表を目指す選手たちは参加標準記録の突破を果たして、6月の『日本選手権』(長居)に備えたいところ。特に気候条件に左右されやすく試合数も限られる長距離勢は、海外レースや各地区での記録会などを含めたスケジュールから、狙いのレースをそれぞれに決めていることでしょう。

個人的に、私が今年期待しているのが女子やり投という種目です。
海老原有希(スズキ浜松AC)という絶対女王が君臨しつつ、たまに宮下梨沙(大体大AC)が足元を掬うという構図が長年続いてきたこの種目、昨年は日本歴代2位のU-20記録61m38をぶん投げた北口榛花(日大2)を筆頭に、イキのいい若手スロワーがぐんぐんと台頭してきました。
ランク4位以下にも58m21の斉藤真理菜(国士舘大4)、56m79の瀧川寛子(東大阪大→大学院)、56m57(PB59m22)の佐藤友佳(東大阪市陸協)、56m48の長 麻尋(和歌山北高3)、56m17の當間沙織(九州共立大4)、55m94(PB58m98)の久世生宝(筑波大→コンドーテック)、55m74(PB58m76)の山内 愛(大阪成蹊大→長谷川体育施設)と、ベスト10の人材は豊富でいずれも若い!高校時代に58m59を投げた山下実花子(九州共立大2)もいます。
日本人には不利と言われ、その“風評”がまた逸材の参入を阻んできた感のある投擲種目の中で、新井涼平選手や村上幸史選手、そして海老原選手などが世界に互して戦う姿に、僅かながらも競技人口、あるいはその質の底上げが見られるのがこの種目、と言えるのではないかと思っています。
4人目・5人目…の60mスロワーが誕生し、「標準」をめぐるレベルでデッドヒートが繰り広げられる日本選手権を期待します。

※これを書いた時点では知らなかったのですが、3月24日(金)の国士舘大競技会(国士舘大多摩競技場)で、斉藤真理菜が60mスロワーの仲間入りを果たしていました。記録は日本歴代5位・現役4位・学生歴代2位となる60m01です。昨年の関東インカレでは6投目に2㎝差大逆転で久世の4連覇を阻止した勝負強さが、ここでも発揮されましたね。

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トラック&フィールドではありませんが、明後日・16日(日)には『日本選手権50km競歩』(輪島)と『長野マラソン』、翌週23日(日)には『高橋尚子記念ぎふ清流ハーフマラソン』と、ロードでも春のお楽しみは盛りだくさん。『50km競歩』には、世界選手権代表の残り2枠をめぐる激しい争いが期待されています。
17日(月)には、大迫 傑(NIKE O.P.)や宇都宮亜未(キヤノンAC九州)がマラソン初挑戦するボストンマラソン、こちらも楽しみです。

国内ハーフ大会では唯一のIAAFゴールドレーベル・レース『ぎふ清流』では、当初エントリーされていた神野大地がアキレス腱の故障で欠場となったのは残念ですが、女子でロンドン代表に決定している安藤友香・清田真央(ともにスズキ浜松AC)が揃って参加、さらに、つい先日の4月1日にプラハ・ハーフマラソンで1時間04分52秒という途轍もない世界新記録(公認保留中)を叩き出したジョイシリネ・ジェプコスゲイ(KEN)が参戦するということで、俄然注目度が高まりました。

ほとんどの大会にテレビ中継がないため、よほど時間とお金と行動力に恵まれた人でないと、主要大会だけでも観戦フォローするのは厳しいですね。私のようなしがない陸上ファンにできるのは、せいぜいネットに上がってくるリザルトや動画サイトに目を配りつつ、ヤキモキするくらいが関の山です。でもそれが、陸上ファンの密やかな楽しみだったりもするんです。
できるだけ早く詳しく、情報を共有していきたいと思いますので、今シーズンも当ブログをご贔屓に、よろしくお願いいたします。

 

元陸上競技王者の、いま<第2弾!>




47

この顔、この名前、陸上競技ファンならば「おぉ!」と膝を叩くでしょうね。
100mHのU-20日本記録(13秒05)保持者であり、ベルリン世界選手権にも出場した元日本チャンピオン、寺田明日香さんです。

恵庭北高時代はインターハイの100mHで3年連続優勝、さらに3年時には100mと400mRも制して今年青山学院大が達成したのと同じ「3連覇・3冠」を達成、日本選手権でも100mH3連覇、とくれば堂々の「トリプル3」。
社会人2年目の2009年には、2度にわたって13秒05をマークして、一躍「12秒台突入」の急先鋒に躍り出ました。100mでもランキング上位にいたため、ヨンケイの代表チームに加わることもありました。当時在籍していた北海道ハイテクACでは、1つ先輩の福島千里と並ぶ2大スター選手であり、掛け値なしに日本短距離界にとって最大のホープだったのです。
2010年、20歳での日本選手権3連覇を最後に精彩を欠くようになり、おそらく度重なる故障のためでしょう、そのままひっそりと名前を聞かなくなっていきました。
その後、結婚して現姓は佐藤、1児の母親になっているとのことです。

その寺田選手の近況が、今週のテレビ朝日系『Get Sports』の中で、ほんの1分ほどではありましたが紹介されました。なんと、7人制ラグビーの日本代表候補として、東京オリンピック出場を目指しているというのです。
故障で陸上生活を断念したとはいえ、彼女の「黄金の脚」をもってすれば、女子ラグビー界のスピードスターとしての大活躍が、もしかすると見られるかもしれませんね。

※なお<第1弾>は、昨年8月2日の投稿で、元ハンマー投チャンピオンの野口裕史選手について紹介しています。

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day4



Day4は好記録に沸いたMorning Sessionと、雨でドッチラケ半分、でも面白い半分のEvening Session、好対照な1日となりました。結果的には、好コンディションの午前中に決勝2種目を行ったスケジュールは大正解だったかもしれません。

◇女子200m予選(9組2着+6)
やはり、100mの新女王エレイン・トンプソン(JAM)とこの種目の世界女王ダフネ・スキッパーズ(NED)、100m2位のトリ・ボウイ(USA)が強いですねえ。タイム的には22秒31のPBで走ったマリー・ジョゼ・タルー(CIV)が1位でしたが、順当にいけば決勝は「3強」の争いになりそうです。
我らが福島千里は、脚に不安があった割には23秒21は悪くない出来だったと思いますが、本人としてはマネージメントが思うようにいかないままに本番を迎えてしまい、「終わっちゃったなあ」というコメントが全てを物語っていたようです。「この後」を問われたときに少し口ごもる(彼女はいつでも口ごもるんですけど)感じで言葉を濁したのが、もしかしたら「引退」を仄めかしたのかな、という印象で、少々気になります。

◇女子ハンマー投決勝
RIO018

Day3の「観戦記」をアップした後に、「世界新記録の期待はむしろこっちじゃないか?」という思いが脳裏をかすめたんですが、まあいいやとそのまま訂正せずにおきました。しかしっ…
出ちゃいました!女子3000mSCのレース中に飛び込んできた大歓声と「ウォールド・レコォ~~~ド!!」の場内アナウンス。アニータ・ヴォダルチク(POL)、2位に5メートル半もの大差をつけての圧勝で、もはやどこにも敵はいませんでした。
思えば2009年のベルリン世界選手権で、当時の世界新記録で優勝しながら嬉しさのあまりはしゃぎ過ぎて足首をグネってしまい、しばしのブランクと不振が続いた彼女、オリンピック初制覇というのが意外な感じすらします。
2位のチャン・ウェンシウ(CHN)は、4年前のロンドンで、競技終了時点で「3位」となり国旗を掲げて大喜びしたのが、ベティ・ハイドラー(GER)の取り消されていた(これじたいが実に不可解な判定でした)一投が“復権”して4位に下がるという、何とも理不尽な辛い思いを味わいました。ようやく4年越しに掴んだ、オリンピック・メダルです。
そのハイドラーを逆転して、ソニー・ヒチョン(GBR)が3位。またまた「6回目の大逆転」です。

◇女子3000mSC決勝
「展望」でルース・ジェベト(BRN)とハイヴィン・キエン・ジェプケモイ(KEN)の実力は互角、てなことを書きましたが、あのユージーンのレースから3カ月、ジェベトは更に実力をアップさせていたようです。序盤のスローペースがたたって世界新はなりませんでしたが、8分59秒75のみごとなPBでぶっちぎりの優勝。途中で飛び出した決断が、功を奏した感があります。
3位のエマ・コバーン(USA)も9分7秒63の北米新記録で、単独4位からじっくりと前のケニア2選手を追い詰めていった勝負強さは、さすがでした。

◇男子400mH予選(6組3着+6)
RIO019

「異常事態」だったこの種目もオリンピックともなると、48秒台がゾロゾロと出てきたのはまあ予想の範疇でしたが、そんな中で野澤啓佑が4組で独走1着、タイムも全体で6番目と期待通りの、超痛快な走りを見せてくれました。
今日(日本時間あす朝・9時35分)行われる準決勝(3組2着+2)での対戦相手は、次のとおりです。
<1組>
 1.セルジオ・フェルナンデス ESP   PB49”02   Q49"31
 2.ジャヒール・ハイド JAM 48"81 49"24
 3.野澤啓佑 JPN 48"67 48"62
 4.ジャック・グリーン GBR 48"60 48"96
 5.アブデルマリク・ラフールー ARG 48"67 48"62
 6.ボニフィス・トゥムリ KEN 48"29 48"91
 7.エリック・クレイ PHI 48"98 49"05
 8.カーロン・クレメント USA 47"24 49"17

どーです、何となく2着もありそうなメンツじゃあないですか?クレメントの実績が図抜けてますけど、彼は大ポカやらかしますからね、チャンス大ありです。
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◇男子110mH予選(5組4着+4)
雨で2組終わったところで長時間の中断。1組に出た矢澤航は13秒89の6位でタイム通過もならずガックリ、としていたところ、全組終了後に「1、2組のコンディションが悪すぎた」という理由で、両組の5着以下の選手を対象に「再レース」を行うということに。陸上競技でこんな裁定、見たことありません。2組はともかく、矢澤の出た1組はさほど深刻な大降りでもなかったように思いましたけど…とにかくラッキー!で2度目の予選レースに登場した矢澤は、13秒88とタイムを伸ばせずやっぱり不通過。
なお、元世界記録保持者のダイロン・ロブレス(CUB)は結局、最終エントリーはしてきませんでした。

◇男子800m決勝
不調が心配されたデーヴィッド・ルディシャ(KEN)でしたが、終わってみれば文句なしの圧勝。好ペースで逃げた同僚アルフレッド・キプケテルにピタリと貼りつかなかったあたりには、ロンドンの時ほどの自信がなかったが故でしょうけど、これを捕まえにいってからの走りは王者の風格でした。
全米予選で「デーヴィッド・ウォトル(1972年ミュンヘン大会優勝者)の再来」と言われたクレイトン・マーフィーが、ウォトルさながらの後方からの追い込みを決めて3着に食い込みましたが、王者には遠く及びませんでした。

◇女子400m決勝
4レーン:アリソン・フェリックス(USA)か、7レーン:ショーナ・ミラー(BAH)か?…2強の対決が注目されたこのレースは、大きくリードしたミラーが直線でイッパイになり、あわやゴール寸前アリソンの逆転??と思わされた刹那に繰り出した必殺「ダイヴィング・フィニッシュ」で、ミラーが殊勲の勝利を挙げました。まさに勝利への執念、魂のダイヴィングでした。
実は、このレースの前に行われた110mH予選の3組で、ブラジルの選手が鮮やかな「ヘッドスライディング」を決めて、通過ギリギリの4位をもぎ取ったレースがありました。豪雨の直後で走路が水たまり状態になっていたのを見越しての計画的な作戦と見えましたが、トルソーは地面に着く前に、フィニッシュラインを超えています。
RIO022

私は「連載・100m競走を語ろう」の中で、大昔の一時期に流行した「フライング・フィニッシュ」や、野球でよく見られる「一塁へのヘッド・スライディング」について、その非合理性を指摘しましたが、この「ダイヴィング・フィニッシュ」はアリですね。突き詰めれば、正当な技術である「トルソー倒し」の究極形で、体を倒したところにフィニッシュ・ラインがあれば、より速いフィニッシュとなり得るものだからです。(もちろん、スライディング状態でフィニッシュラインに到達するのは論外です。野球の場合でも、「倒れて手を伸ばしたところが一塁ベース」ならば、OKということになります)言うまでもなく、この「技」は激しい擦過傷などの危険をはらみますから、いつでもやっていいというものではなく、ここぞ!という場面では今後検討する選手も出てくるのではないでしょうか。

光電管計時による速報タイムは49秒51、これはおそらくアリソンの胸がビームを遮った時間で、その下をかいくぐったミラーの正式タイムは49秒44。面白いレースでした。

◇男子棒高跳決勝
豪雨で長時間中断(それまでに跳躍した3選手の失敗記録はキャンセル)、バー昇降機の故障でまたまた長時間お休み。こうなると、さすがにシラけます。
そんな中で、5m50を一発クリアした澤野大地が、5m65で姿を消したにも関わらず優勝候補ショーン・バーバー(CAN)らの失敗に助けられた格好で7位タイと、35歳にしてオリンピック初入賞を果たしました。
それにしても5m65を6人(5m75からスタートのラヴィレニ含む)しか越えないとはなんと低レヴェルな…と思っていたら、TV放送が終わった後にとんでもないドラマが待っていました!
RIO020

断然の優勝候補、ルノー・ラヴィレニ(FRA)が自身のオリンピック記録を破る5m98を一発で跳んで盤石かと思われましたが、5m93に成功した後この高さをパスした地元ブラジルのティアゴ・ブラズ-ダ-シルバが6m03に成功(オリンピック史上初の6m超え)、大観衆の熱狂の中でラヴィレニ(6m03を2回失敗)は6m08を落とし、開催国に3つ目の金メダルをもたらしたのです。
ダ・シルバは室内で5m93、屋外でも5m92のPBがありましたが2012年の世界ジュニア優勝以外にこれといった実績がなく、事前の下馬評ではほぼノーマークの存在。地元の大会で6mヴォルターの仲間入りとは、その精神力に恐れ入ります。

日本選手の出場場面ばかりを取り上げて、こういうシーンを放送しないテレビって、本当にバカですね。

 

リオ五輪直前展望・Day4(8/15)



あちゃー!
悲報が飛び込んできました。
「女子100m福島千里、10000m鈴木亜由子が欠場」
どうにも致し方ありませんが、残念で残念でなりません。
どうか養生に努めて、次のチャンスに捲土重来を。
その福島、回復が早ければ今回展望するDay4には200の出番が巡ってきます。

◆Day4のプログラム

―Morning Session—
 (  9:30) 男子三段跳予選/女子200m予選/男子3000mSC予選
 (10:40) 女子ハンマー投決勝
 (11:15) 女子3000mSC決勝
 (11:30) 男子400mH予選

―Evening Session—
 (  8:30) 女子円盤投予選/男子棒高跳決勝/男子110mH予選/女子400mH予選
 (10:25) 男子800m決勝/女子400m決勝


◇男子三段跳
 15WC ①18m21C.テイラー(USA) ②17m73P.P.ピチャルド(CUB) ③17m52N.エヴォラ(POR)
 15DL ①22p/5 テイラー ②20p/6 ピチャルド ③3p/3 O.クラドック(USA)
 16DL ①40p/4 テイラー ②20p/5 A.コペイヨ(CUB) ③12p/3 ドン・ビン(CHN)
 16WL ①17m78テイラー ②17m65W.クレイ ③17m30R.マヘスウォリ(IND)
25)16m88長谷川大悟
 ※WC=世界選手権
  DL=ダイヤモンドリーグ…「総ポイント数/試合数」(2015年と16年とではポイント設定が異なる)
  WL=シーズン・ランキング…1国4人目以降および欠場が明らかな選手を除外

Christian Taylor & Pedro Pablo Pichardo
 https://www.iaaf.org/news/feature/triple-jump-taylor-pichardo-2015

夢の60フィートジャンプ=世界記録を射程に入れた昨年北京での大ジャンプから1年、クリスチャン・テイラーの王座に揺るぎはありません。
今年は18m超えの好敵手ペドロ・ピチャルドの姿がなく、テイラー自身も記録的には停滞気味。17m50以上を跳んでいるのはテイラーのほか同僚のウィル・クレイだけで、そのクレイに全米で不覚をとるなど現状では唯一のライヴァルと言うべき存在ですが、大一番となればなるほど強いメンタルを発揮するテイラーに死角はないでしょう。
メダル候補には、エヴォラ、コペイヨなどのベテラン勢も狙ってくるでしょうが、跳躍全般に躍進著しい中国勢も要注意です。
日本代表の2人は、とにかく久々の17m超えを目指してもらいたいものです。全般的に記録が低調なので、17mならば入賞が見えてくると思われます。

◇女子200m

 15WC ①21"63D.スキッパーズ(NED) ②21"66E.トンプソン(JAM) ③21"97V.キャンベル-ブラウン(JAM)
 15DL ①14p/4A.フェリックス(USA) ②12p/3スキッパーズ ③9p/3J.ターモー(USA)
 16DL ①26p/3スキッパーズ ②10pトンプソン・M.アウレ(CIV)・D.アッシャースミス(GBR)・T.ボウイ(USA)
 16WL ①21"93スキッパーズ ②21"99ボウイ ③22"05S.ミラー(BAH) 34)22"88福島千里

 
Dafne Schippers
 https://www.iaaf.org/athletes/netherlands/dafne-schippers-250353

シーズン開幕当初に100と200でボウイに連敗したスキッパーズでしたが、ジワジワと調子を上げて「女王」の風格を漂わせる強さを発揮してきています。アリソン・フェリックス(USA)は全米予選で敗退しましたが、代表になったとしてももはやスキッパーズには敵わないでしょう。

そのスキッパーズを一撃で倒しそうな勢いがあるのが、世界選手権で僅差の2位に敗れたエレイン・トンプソンです。ジャマイカ選手権100mを10秒70で制した一方で、今年は200のレースが少ない(選手権も決勝DNS)のがむしろ不気味で、21秒中盤をサラッと出してくる可能性を感じます。
福島選手には、なんとか故障を回復させて元気な姿を見せてもらいたいものです。



◇男子3000mSC

 15WC ①8'11"28E.ケンボイ(KEN) ②8'12"38C.キプルト(KEN) ③8'12"54B.キプルト(KEN)
 15DL ①20p/6J.K.ビレチ(KEN) ②12p/4P.K.コエチ(KEN) ③C.キプルト
 16DL ①50p/5C.キプルト ②20p/4ビレチ・コエチ
 16WL ①8'00"12C.キプルト ②8'03"90ビレチ ③8'08"32コエチ 46)8'31"89塩尻和也


ご存知ケニアのお家芸。1968年メキシコシティで水壕を跳び越す驚異の走りでワンツーを占めて以来、不参加の76年・80年を除くすべての大会で優勝、しかも銀または銅メダルを逃したのは1回だけという圧倒的な“国力”は、今回もビクともしなさそうです。
あれだけ強い選手がウジャウジャいると、誰が誰やら区別がつかず、誰が出てきても勝てそうな気がしてきますが、そこはきちんと序列があって、今回の代表3人は現段階で不動のトリオ…アテネ・ロンドンの覇者で世界選手権4連覇中のエゼキエル・ケンボイ、今季DL5戦全勝のコンセスラス・キプルト、北京五輪と大阪世界選手権の覇者ブリミン・キプルトです。(昨年世界選手権と同じ)
昨年来DLで好成績を残しているジャイラス・キプチョゲ・ビレチあたりでもいざとなると歯が立たないようで、ケニアの国内選考会では3人が他を大きく引き離し、最後はスピードを緩めて手をつながんばかりにしてゴールしたというのですから、推して知るべし。他の国で最近これに迫る走りを見せたのは、唯一昨年のパリDLで8分00秒45の米国記録をマークした(7分台目前だったが最終障害で転倒)エヴァン・ジェイガー(USA)くらいです。
残る興味は、それぞれ3度目、2度目の五輪制覇を目論むケンボイ、B.キプルトを、21歳のC.キプルトがいかにしてねじ伏せるか、というところでしょうか。

なおこの種目では、標準記録到達者が少なかった(というかケニアとエチオピアとアメリカばっかしだった)ため、大会直前に未到達者の上位選手として塩尻和也(順大)がIAAFよりインヴィテーションを受け、急遽代表に追加となりました。日本選手権と同じく、若さに任せた積極的な走りを期待したいものです。 

◇女子ハンマー投

 15WC ①80m85A.ヴォダルチク(POL) ②76m33チャン・ウェンシウ(CHN) ③74m02A.タヴェルニエ(FRA)
 16WL ①80m26ヴォダルチク ②75m77B.ハイドラー(GER) ③75m58チャン
 ※DL非実施種目


ロンドンを制したタチアナ・リセンコ(RUS)が去って(いても今回は出られませんが)、その時の2~4位がそのまま「3強」を形成しているのが昨今の現状。特にヴォダルチクの充実ぶりは完全にリセンコから歴代世界一の称号を奪い、女性唯一の80mスロワーとして他を圧倒します。
2位争いは、波の大きいハイドラーよりも安定して75m前後を投げてくるチャン(PBは77m33)、これに劣らぬ力量を持つワン・ジェン(同77m68)の中国勢に分があると見ています。

◇男子400mH

 15WC ①47"79N.ベット(KEN) ②48"05D.クドリャフツェフ(RUS) ③48"17J.ギブソン(BAH)
 15DL ①18p/5B.ジャクソン(USA) ②9p/3J.ダッチ(USA)・9p/2ギブソン
 16DL ①25p/4K.クレメント(USA) ②24p/3M.ティンズレー(USA) ③22p/3J.クルソン(PUR)
 16WL ①48"40クレメント ②48"42Y.コペイリョ(TUR) ③48"63クルソン ⑤48"67野澤啓佑


この種目は、「異常事態」と言ってよいかもしれません。
昨年の世界選手権、DLで活躍した選手のうち、クドリャフツェフはロシアゆえエントリー不可、バーション・ジャクソンと今季WLのジョニー・ダッチは米国代表漏れ、ニコラス・ベットはDLでまるでいいところなし。
47秒台はおろか、48秒台前半で走ったのはダッチを含め3人だけ。48秒台を3回以上出したのはコペイリョ、ティンズレーと野澤の3人だけ。
オープニング・レースに選ばれることの多いDLでは、どの試合でも49秒前後の低調なレースが続いています。
オリンピック本番ともなれば、ガラリと様相が変わるだろうという声もありますが、ベットやギブソン、クルソンあたりがよほど上げてこない限りは47秒台まで行かないレヴェルなのではないか、と私は思います。
そこで、野澤にオリンピックでは初となる「決勝進出」を期待してしまうのです。
ただ、こうした状況にあることは皆が承知の上ですから、49秒前後のレヴェルにいる選手たちが目の色を変えて狙ってくることは間違いないでしょう。混戦の中で準決勝の「2着+2」を拾うことは容易ではないはずで、それは実績ある上位選手たちにも等しく言えることです。

◇女子400m

 15WC ①49"26A.フェリックス(USA) ②49"67S.ミラー(BAH) ③49"99S.ジャクソン(JAM)
 15DL ①20p/5F.マッコロリー(USA) ②14p/3ミラー ③12p/6S.A.マクファーソン(JAM)
 16DL ①30p/3ミラー ②25p/4マクファーソン ③18p/4N.ヘイスティングス(USA)
 16WL ①49"55ミラー ②49"68フェリックス ③49"94P.フランシス(USA)


Shaunae Miller
https://spikes.iaaf.org/post/shaunae-millers-words-of-wisdom?utm_source=iaaf.org&utm_medium=gridclick

予測の難しい種目の一つですが、現状では昨年の世界選手権チャンピオン、アリソン・フェリックスと今季DL3戦全勝のショーナ・ミラーの一騎討ちが濃厚でしょう。

ロングスプリント界のアイドル的存在だったフェリックスも30歳になり、全米予選で200m4着に敗れたことは明らかにスプリント力の衰えを感じさせる、という見方と、深刻な故障から癒えたばかりのコンディションではあの結果もやむなし、とする声とが交錯します。日程的に一部重複する200mに出なくて済む、と前向きに考えればよいかと思いますが、ゴール前の接戦となった時にかつての爆発的なゴール前の瞬発力があるかというと、少し不安が残るのは確かでしょう。
一方のミラーは上り調子の22歳で、おそらく49秒切りを狙って仕上げてくると思われます。私は、こちらにやや分がある、と感じています。
2人以外で49秒台はフランシスのみで、3着争いもまた混戦模様です。

 
 
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