『天皇賜杯第86回日本学生陸上競技対抗選手権(通称:日本インカレ、全カレ)』が開幕しました。
桐生祥秀と多田修平の100m頂上対決が話題を占めています。予選・準決勝はともに強い追い風の吹く中、まずは両者互角の睨み合いといったところ。3番手以降の選手も僅差で続いており、土曜日の決勝では好記録のレースが期待されます。
◇男子100m・準決勝
1組(+2.9) ①多田 修平(関西学院大3) 10"20 Q
②染谷 佳大(中央大1) 10"27 Q
2組(+2.4) ①桐生 祥秀(東洋大4) 10"14 Q
②田中 佑典(日本ウェルネス大2)10"28 Q
③川上 拓也(中央大4) 10"31 q
3組(+2.8) ①竹田 一平(中央大3) 10"21 Q
②大嶋 健太(日本大2) 10"23 Q
③西村 顕志(富山大4) 10"26 q
その一方で、男子棒高跳、女子やり投というフィールド2種目で大会新記録が生まれるレベルの高い戦いがありました。
男子PVでは、ゴールデンルーキー江島雅紀と関東チャンピオンの来間弘樹が登場しましたが、機先を制して大会新の5m60を先にクリアした中京大4年の鈴木康太が競り勝ち、さらにバーを5m70に上げる見せ場を作りました。
江島は関カレに続いて全カレでも狙っていた4連覇の出鼻を挫かれた格好となり、注目のルーキーイヤーは吉凶相半ばするシーズンとなりました。
◇男子棒高跳
①鈴木 康太(中京大4) 5m60 GR
②江島 雅紀(日本大1) 5m50
③来間 弘樹(順天堂大4) 5m50
女子やり投は、ともにユニバーシアードに出場して余裕の予選通過を果たしながら、片や日本学生新記録で銀メダル、片やトップ8落ちと明暗を分けた斉藤真理菜と北口榛花が再びマッチアップ。
1投目でいきなり自身の持つ大会記録を1m40も上回る59m61でトップに立った斉藤が、2投目にして早くも60オーバーの60m24でトップに立ち、さすがの貫録を見せます。
一方の北口は3投目まで55mラインにも届かず、5位で4投目以降に進出。4投目に56m11、5投目に58m54と調子を上げる一方、斉藤は「ライバルは自己記録のみ」と力んだ投擲が続いたか3投目以降は55m前後をウロウロ。
すると最終6投目に、北口が昨年7月以来の60超えとなる60m49で大逆転。斉藤の最終投擲は54m台に終り、見事なユニバのリベンジが達成されました。
3位は北口とともに昨年のU-20世界選手権に出場した山下実花子。彼女にも早く、「60mクラブ」の仲間入りをして欲しいものです。
◇女子やり投
①北口 榛花(日本大2) 60m49 GR
②斉藤 真理菜(国士舘大4) 60m24 GR
③山下 実花子(九州共立大2) 57m11
アシックス(アシックス) 日本代表応援Tシャツ A17B11.JP90 (ブラック/S/Men's)
その他の決勝リザルト上位3名は、次のとおりです。
◇男子400m
①ウォルシュ・ジュリアン(東洋大3) 46"80
②髙橋 祐満(近畿大4) 47”65
③好岡 郁弥(福岡大4) 47”67
ウォルシュが戻って来た!…というのが唯一の収穫で、ひと頃勢いのあった学生400mはどうしちゃったんでしょうか?世界選手権代表の北川貴理(順天堂大3)は48秒台、U-20代表の松清和希(福岡大2)は49秒台でいずれも予選落ち、オリンピアンの加藤修也(早稲田大4)はDNS…いやはやなんとも。
◇男子1500m
①舟津 彰馬(中央大2) 4’01”31
②清水 鐘平(山梨学院大3) 4’01”46
③田母神 一喜(中央大3) 4’01”51
1位から10位までが1秒29差。動画を見ましたらラスト1周からのヨーイドンになったみたいですね。それにしても4分かかるシニアのレースって…。本命の呼び声高かった館澤亨次(東海大2)は6位に終っています。
◇10000m
①サイモン・カリウキ(日本薬科大3) 28’20”50
②パトリック・ワンブイ(日本大3) 28’21”85
③西山 和弥(東洋大1) 28’44”88
ユニバ銅メダルの塩尻和也(順天堂大3)は、東洋のルーキー西山に先を越されて表彰台ならず(4位)。全体を見渡すと、青山学院、駒澤といったところがエントリーしていないものの、今季の男子学生長距離陣はやや小粒感あり、でしょうか?
◇男子ハンマー投
①根本 太樹(流通経済大M2) 67m18
②木村 友大(九州共立大3) 66m00
③奥村 匡由(流通経済大M1) 65m83
茨城県の大学院生が大活躍!それにしても、室伏広治の大会記録71m84は、決して雲の上の数字じゃないんですけどねえ。(日本記録は雲の上ですが)
◇男子やり投
①小南 拓人(国士舘大4) 78m53
②小椋 健司(日本大4) 78m32
③相原 大聖(日本大4) 77m41
女子ほどではないが、上位はなかなかの好記録。ユニバ・コンビがワンツー。
◇女子400m
①岩田 優奈(中央大2) 55”37
②佐藤 日奈子(大東文化大3) 55”56
③小林 茉由(日本体育大3) 55”67
男子に付き合ったのか、こちらも記録低調。春先から下降線の青山聖佳(大阪成蹊大3)は7着惨敗。石塚晴子(東大阪大2)はエントリーなし。
◇女子1500m
①卜部 蘭(東京学芸大4) 4’28”06
②上田 未奈(城西大3) 4’28”50
③保坂 野恋花(東京農業大2) 4’28”65
◇女子10000m
①今村 咲織(順天堂大4) 33’05”02
②清水 真帆(大阪学院大3) 33’07”45
③古谷 奏(松山大3) 33’10”88
中長距離2種目が終った段階ですが、去年ほどの「松山旋風」は吹き荒れていません。大学女子駅伝の大本命・立命館は、太田琴菜(4年)の10000m4位が最高ながら、関紅葉(3年)・和田優香里(4年)と主力どころが出場して順調の模様。5000mには佐藤成葉(2年)・加賀山恵奈(3年)も出ます。松山ではやはり3000mSCの高見澤安珠(4年)が注目。
ユニバ・ハーフマラソン金メダルの棟久由貴(東京農業大2)は10000m5位。
◇女子走高跳
①仲野 春花(早稲田大3) 1m81
②寺谷 諭美(筑波大3) 1m75
③濱津 麻愛(大阪国際大4) 1m75
この種目はいまや仲野の一人天下。トワイライト・ゲームズで1m83を跳んで今回は84に上げましたが残念。久々の90の大台を彼女に期待するのは、酷でしょうかね?
◇女子砲丸投
①郡 菜々佳(九州共立大2) 16m57
②太田 亜矢(福岡大4) 15m68
③長沼 瞳(国士舘大4) 15m19
これって、もしかして郡のPB?森千夏さん亡き後、なんか久々にまともな女子SPの記録を見たような気がします。その森さんが残した大会記録まで、あと4センチ!順調にいけば、標準記録レベルも見えてくるかもしれません。
さて、第2日は男子100m決勝を中心に、さらなる盛り上がりを期待しましょう。