豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

桐生祥秀

実業団選手権最終日~やはりツートップ、山縣亮太の10秒00


『第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権』3日目の“目玉”は、男子100m。
予選・準決勝・決勝の3レースを1日で消化するハードスケジュールの中で、実業団の「大将」山縣亮太が見事に完全復活、学生「大将」の桐生祥秀が出したばかりの日本記録9秒98に事実上肩を並べる10秒00のPB(+0.2m)で優勝を飾りました。
10秒0台を6人が記録するという、史上空前の群雄割拠ぶりを呈していた今年の日本短距離界でしたが、世界的にはシーズンオフを迎えた9月に入り、数年来9秒台への先陣を競ってきた桐生・山縣の二枚看板がきっちりとその存在を印象付ける形となりました。
山縣はレース後のコメントで「今年中に9秒台」への意欲を語っており、10月の国体、あるいは地区記録会などを含めて記録を狙うレースをあと2,3計画しているようです。


<2017年男子100mパフォーマンス10傑+α>

 ① 9"98(+1.8) 桐生 祥秀(東洋大4) 9/9 日本インカレ決勝(福井)
 ② 10"00(+0.2) 山縣 亮太(SEIKO) 9/24 全日本実業団決勝(長居)
 ③ 10"04(+1.4) 桐生 3/11 サマー・オブ・アスレティックスGP(キャンベラ)
10"04(-0.3) 桐生 4/29 織田記念決勝(広島)
 ⑤ 10"05(+0.6) サニブラウン・ハキーム(東京陸協) 6/24 日本選手権決勝(長居)
10"05(-0.6) サニブラウン 8/4 世界選手権予選(ロンドン)
 ⑦ 10"06(+1.3) 山縣 3/11 サマー・オブ・アスレティックスGP(キャンベラ)
10"06(+0.4) サニブラウン 6/23 日本選手権予選(長居)
10"06(+0.5) サニブラウン 6/23 日本選手権準決勝(長居)
 ⑩ 10"07(+1.8) 多田 修平(関西学院大3) 9/9 日本インカレ決勝(福井)
 ⑪ 10"08(+1.9) 飯塚 翔太(ミズノ) 6/4 布施スプリント(鳥取)
10"08(-0.9) ケンブリッジ飛鳥 6/23 日本選手権予選(長居)
10"08(+1.9) 多田 6/10 日本個人インカレ決勝(平塚)
10"08(-0.1) 山縣 3/11 サマー・オブ・アスレティックスGP(キャンベラ)
10"08(-0.5) 桐生 4/23 吉岡記念決勝(出雲)

 ※  9"94(+4.5) 多田 6/10 日本個人インカレ準決勝(平塚)
 9"98(+5.1) ケンブリッジ 4/15 (フロリダ州クレアモント)

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最終日のリザルト上位は、次のとおりです。

― 男子 ―
◇100m(+0.2)
 ① 10"00 山縣 亮太(SEIKO) GR
 ② 10"24 飯塚 翔太(ミズノ)
 ③ 10"29 女部田 祐(筑波銀行)

◇400m
 ① 46"79 東 魁輝(NTN)
 ② 46"93 山田 淳史(山口FG)
 ③ 47"03 板鼻 航平(リニアート)

◇5000m(タイムレース3組)
 ① 13'24"07 ジョナサン・ディク(日立物流)
 ② 13'33"72 レダマ・ウェズレイ(SUBARU)
 ③ 13'34"48 アッバイナ・デグ(安川電機)
 ⑦ 13'41"30 横手 健(富士通)

◇110mH(+1.1)
 ① 13"61 増野 元太(ヤマダ電機)
 ② 13"65 高山 峻野(ゼンリン)
 ③ 13"65 大室 秀樹(大塚製薬)

◇4×400mR
 ① 3'08"82 ミズノ(松下・飯塚・川面・野澤)
 ② 3'12"19 リニアート
 ③ 3'13"52 新潟アルビレックスRC

◇棒高跳
 ① 5m60 山本 聖途(トヨタ自動車)
 ② 5m50 澤野 大地(富士通)
 ③ 5m20 逸見 俊太(近大高専教)
 -  NM 荻田 大樹(ミズノ)

◇三段跳
 ① 15m93(+0.5) 石川 和義(長野吉田高教)
 ② 15m86(-0.1)  花谷 昂(ユメオミライ)
 ③ 15m57(-0.4)  濱口 隆翔(まるよし)

◇砲丸投
 ① 17m92 畑瀬 聡(群馬綜合ガードシステム)
 ② 17m76 山元 隼(フクビ化学)
 ③ 17m45 中村 太地(落合中教)

◇やり投
 ① 77m37 田原 紘樹(京大職)
 ② 76m64 寒川 建之介(大体大職)
 ③ 73m23 高力 裕也(倉北高教)



― 女子 ―
◇100m(+0.1)
 ① 11"65 名倉 千晃(NTN)
 ② 11"78 青木 益未(七十七銀行)
 ③ 11"79 市川 華菜(ミズノ)

◇400m
 ① 54"13 青木 沙弥佳(東邦銀行)
 ② 54"54 武石 この実(東邦銀行)
 ③ 54"91 樫山 楓(NTN)

◇5000m(タイムレース2組)
 ① 15'09"68 ローズメリー・ワンジル・モニカ(スターツ)
 ② 15'16"36 シュル・ブロ(TOTO)
 ③ 15'20"11 福田 有以(豊田自動織機)
 ㉑ 15'55"66 福士 加代子(ワコール)

◇100mH(-0.5)
 ① 13"33 青木 益未(七十七銀行)
 ② 13"55 柴村 仁美(東邦銀行)
 ③ 13"56 清山 ちさと(いちご)

◇4×400mR(出場1チーム)
 ① 3'52"57 七十七銀行(倉沢・佐藤・伊藤・齋藤)

◇走高跳
 ① 1m79 福本 幸(甲南大職)
 ② 1m76 平山 遥(高稜高教)
 ③ 1m73 照井 はるか(埼玉医科大職)

◇三段跳
 ① 13m40(+0.9) 宮坂 楓(ニッパツ)GR
 ② 12m94(-0.3) 喜田 愛以(ミライトテクノ)
 ③ 12m80(+0.2) 中野 瞳(マグノリア)

◇円盤投
 ① 47m01 敷本 愛(新潟アルビレックスRC)
 ② 43m45 中村 枝理子(鹿児島きもつき)
 ③ 43m10 中田 恵莉子(四国大職)

◇ハンマー投
 ① 64m16 渡邊 茜(丸和運輸機関)
 ② 61m93 勝山 眸美(オリコ)
 ③ 59m27 佐藤 若菜(東邦銀行)

◇ジュニア3000m
 ① 9'08"01 一山 麻緒(ワコール)
 ② 9'09"13 渡邊 菜々美(パナソニック)
 ③ 9'18"56 中舎 朱音(積水化学)

日本インカレ2日目・その他の結果~橋岡不在の男LJで大会新



鈴木スポーツ庁長官「9月9日を国民の祝日にしましょう!」
安倍総理「北朝鮮の建国記念日と同じ日は、いかがなものか?」
…ウソです。すいません、夜中になっても浮かれてます。

ヒーロー桐生祥秀は、400mリレーでもアンカーで5連覇の中大を猛追する激走。200m予選も順当に勝ち上がっています。万全ではないという脚の状態が心配ですが、去年のようにマイルリレーにまで駆り出されるという予定はないので大丈夫でしょう。
男子走幅跳では、ユニバをキャンセルした橋岡優輝(日本大1)が今大会も欠場。しかしながら2選手が大会記録を更新するハイレベルなジャンプで盛り上げてくれています。

◇男子5000m
 ① 13'35"19 レダマ・キサイサ(桜美林大2)
 ② 13'46"60 パトリック・ワンブイ(日本大3)
 ③ 13'47"85 阪口 竜平(東海大2)

◇男子4×100mリレー
 ① 39"40 中央大学
 ② 39"42 東洋大学
 ③ 39"58 関西学院大学


◇男子10000mW
 ① 40'22"28 山西 利和(京都大4)
 ② 40'28"48 池田 向希(東洋大1)
 ③ 40'32"57 及川 文隆(東洋大4)

◇男子走幅跳
 ① 8m09(+2.0)津波 響樹(東洋大2)GR
 ② 8m06(+1.9)山川 夏輝(日本大4)GR
 ③ 7m97(+2.5)川島 鶴槙(順天堂大3)

◇男子円盤投
 ① 52m41 吉田 惇(東海大4)
 ② 51m15 幸長 慎一(四国大2)
 ③ 50m62 松井 俊樹(国士舘大3)

◇十種競技
 ① 7546pt. 田上 駿(順天堂大2)※追風参考
 ② 7353pt. 奥田 啓祐(東海大3)※追風参考
 ③ 7336pt. 森本 公人(大阪教育大M2)


◇女子100m(+2.3)
 ① 11"56 中村 水月(大阪成蹊大4)
 ② 11"63 前山 美優(新潟医療福祉大4)
 ③ 11"74 君嶋愛梨沙(日本体育大4)

◇女子5000m
 ① 16'04"45 清水 真帆(大阪学院大4)
 ② 16'05"22 加世田 梨花(名城大1)
 ③ 16'07"09 佐藤 成葉(立命館大2)

◇女子4×100mリレー
 ① 45"20 大阪成蹊大学
 ② 45"29 立命館大学
 ③ 45"43 日本体育大学


◇女子走幅跳
 ① 6m39(+3.0)辻本 愛莉香(大阪成蹊大4)
 ② 6m17(+1.7)石原 薫子(中京大4)
 ③ 6m14(+2.8)山下 友佳(立命館大2)

◇女子三段跳
 ① 13m05(+1.9)河合 栞奈(大阪成蹊大2)
 ② 13m04(+3.5)剱持クリア(筑波大2)
 ③ 12m87(+2.8)林 小百合(日本女子体育大4)

◇女子円盤投
 ① 52m56 辻川 美乃利(筑波大4)
 ② 51m98 藤森 夏美(順天堂大4)
 ③ 49m28 塗 真奈美(東京女子体育大4)

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出たぁっ!桐生祥秀の「9・9」!





2017年9月9日・土曜日、福井運動公園陸上競技場。
この「9・9」という日付を、私たち日本の陸上競技ファンは生涯忘れることがないでしょう。
歴史が、刻まれました。
17歳で10秒01の快記録を叩き出して以来「日本最速」の名を身に纏いながらも、今年の日本選手権ではトップ3の座を逃すなど、歓喜と失意を交互に味わってきたスプリンター・桐生祥秀(東洋大4)によって、レコードブックに「9・98」という新たな数字が書き加えられたのです。

1968年10月メキシコシティで開催された第19回オリンピックで、アメリカのジム・ハインズが電子計時で初の9秒台に突入してからほぼ半世紀。
1983年5月、カール・ルイスが初めて高地以外の場所で9秒97を刻んでから34年。
1998年12月、伊東浩司さんが世界で27人目の、アジア人・黄色人種として初めての9秒台をすんでのところで逃してから19年。
この間、100人近いスプリンターが日本人選手に先駆けて、10秒の扉をこじ開けてきました。
史上125人目の100m9秒台。
21歳268日での10秒突破は、20番目に若い年齢での達成。
速報で掲示された9秒99ではなく9秒98という記録には、大きな意味があります。なぜなら、スー・ビンチャン(CHN)が持っていた「黄色人種記録」「東アジア記録」(という公式の用語はありませんが)を僅かながらに上回ったからです。

日本のスプリント界は、ここに新しい局面を迎えました。
先日の世界選手権まで、「9秒台が一人もいない400mリレーの強豪国」という事実が世界から驚異の目で見られていたのが、そうではなくなるのです。
そして、これから短い期間で、複数の日本人選手が雪崩をうって9秒台に突入してくることが期待されます。
競泳界でも永年の「夢」だった男子100m自由形「50秒の壁」が、2005年、佐藤久佳によってこじ開けられた途端に多くのスイマーが呪縛を解き放たれ、いとも簡単に追随したように、です。
世界が恐れるアジアの短距離強国へ。
その先にあるのは、東京オリンピックです。

2017全カレ100m

日本インカレ初日~男子棒高跳・女子やり投で大会新


『天皇賜杯第86回日本学生陸上競技対抗選手権(通称:日本インカレ、全カレ)』が開幕しました。
桐生祥秀と多田修平の100m頂上対決が話題を占めています。予選・準決勝はともに強い追い風の吹く中、まずは両者互角の睨み合いといったところ。3番手以降の選手も僅差で続いており、土曜日の決勝では好記録のレースが期待されます。

◇男子100m・準決勝
 1組(+2.9) ①多田 修平(関西学院大3) 10"20 Q
②染谷 佳大(中央大1) 10"27 Q
 2組(+2.4) ①桐生 祥秀(東洋大4) 10"14 Q
②田中 佑典(日本ウェルネス大2)10"28 Q
③川上 拓也(中央大4) 10"31 q
 3組(+2.8) ①竹田 一平(中央大3) 10"21 Q
②大嶋 健太(日本大2) 10"23 Q
③西村 顕志(富山大4) 10"26 q


その一方で、男子棒高跳、女子やり投というフィールド2種目で大会新記録が生まれるレベルの高い戦いがありました。

男子PVでは、ゴールデンルーキー江島雅紀と関東チャンピオンの来間弘樹が登場しましたが、機先を制して大会新の5m60を先にクリアした中京大4年の鈴木康太が競り勝ち、さらにバーを5m70に上げる見せ場を作りました。
江島は関カレに続いて全カレでも狙っていた4連覇の出鼻を挫かれた格好となり、注目のルーキーイヤーは吉凶相半ばするシーズンとなりました。

◇男子棒高跳
 ①鈴木 康太(中京大4) 5m60 GR
 ②江島 雅紀(日本大1) 5m50
 ③来間 弘樹(順天堂大4) 5m50

女子やり投は、ともにユニバーシアードに出場して余裕の予選通過を果たしながら、片や日本学生新記録で銀メダル、片やトップ8落ちと明暗を分けた斉藤真理菜と北口榛花が再びマッチアップ。
1投目でいきなり自身の持つ大会記録を1m40も上回る59m61でトップに立った斉藤が、2投目にして早くも60オーバーの60m24でトップに立ち、さすがの貫録を見せます。
一方の北口は3投目まで55mラインにも届かず、5位で4投目以降に進出。4投目に56m11、5投目に58m54と調子を上げる一方、斉藤は「ライバルは自己記録のみ」と力んだ投擲が続いたか3投目以降は55m前後をウロウロ。
すると最終6投目に、北口が昨年7月以来の60超えとなる60m49で大逆転。斉藤の最終投擲は54m台に終り、見事なユニバのリベンジが達成されました。
3位は北口とともに昨年のU-20世界選手権に出場した山下実花子。彼女にも早く、「60mクラブ」の仲間入りをして欲しいものです。

◇女子やり投
 ①北口 榛花(日本大2) 60m49 GR
 ②斉藤 真理菜(国士舘大4) 60m24 GR
 ③山下 実花子(九州共立大2) 57m11

アシックス(アシックス) 日本代表応援Tシャツ A17B11.JP90 (ブラック/S/Men's)

その他の決勝リザルト上位3名は、次のとおりです。

◇男子400m
 ①ウォルシュ・ジュリアン(東洋大3) 46"80
 ②髙橋 祐満(近畿大4) 47”65
 ③好岡 郁弥(福岡大4) 47”67

ウォルシュが戻って来た!…というのが唯一の収穫で、ひと頃勢いのあった学生400mはどうしちゃったんでしょうか?世界選手権代表の北川貴理(順天堂大3)は48秒台、U-20代表の松清和希(福岡大2)は49秒台でいずれも予選落ち、オリンピアンの加藤修也(早稲田大4)はDNS…いやはやなんとも。

◇男子1500m
 ①舟津 彰馬(中央大2) 4’01”31
 ②清水 鐘平(山梨学院大3) 4’01”46
 ③田母神 一喜(中央大3) 4’01”51

1位から10位までが1秒29差。動画を見ましたらラスト1周からのヨーイドンになったみたいですね。それにしても4分かかるシニアのレースって…。本命の呼び声高かった館澤亨次(東海大2)は6位に終っています。

◇10000m
 ①サイモン・カリウキ(日本薬科大3) 28’20”50
 ②パトリック・ワンブイ(日本大3) 28’21”85
 ③西山 和弥(東洋大1) 28’44”88

ユニバ銅メダルの塩尻和也(順天堂大3)は、東洋のルーキー西山に先を越されて表彰台ならず(4位)。全体を見渡すと、青山学院、駒澤といったところがエントリーしていないものの、今季の男子学生長距離陣はやや小粒感あり、でしょうか?

◇男子ハンマー投
 ①根本 太樹(流通経済大M2) 67m18
 ②木村 友大(九州共立大3) 66m00
 ③奥村 匡由(流通経済大M1) 65m83

茨城県の大学院生が大活躍!それにしても、室伏広治の大会記録71m84は、決して雲の上の数字じゃないんですけどねえ。(日本記録は雲の上ですが)

◇男子やり投
 ①小南 拓人(国士舘大4) 78m53
 ②小椋 健司(日本大4) 78m32
 ③相原 大聖(日本大4) 77m41

女子ほどではないが、上位はなかなかの好記録。ユニバ・コンビがワンツー。

◇女子400m
 ①岩田 優奈(中央大2) 55”37
 ②佐藤 日奈子(大東文化大3) 55”56
 ③小林 茉由(日本体育大3) 55”67

男子に付き合ったのか、こちらも記録低調。春先から下降線の青山聖佳(大阪成蹊大3)は7着惨敗。石塚晴子(東大阪大2)はエントリーなし。

◇女子1500m
 ①卜部 蘭(東京学芸大4) 4’28”06
 ②上田 未奈(城西大3) 4’28”50
 ③保坂 野恋花(東京農業大2) 4’28”65

◇女子10000m
 ①今村 咲織(順天堂大4) 33’05”02
 ②清水 真帆(大阪学院大3) 33’07”45
 ③古谷 奏(松山大3) 33’10”88

中長距離2種目が終った段階ですが、去年ほどの「松山旋風」は吹き荒れていません。大学女子駅伝の大本命・立命館は、太田琴菜(4年)の10000m4位が最高ながら、関紅葉(3年)・和田優香里(4年)と主力どころが出場して順調の模様。5000mには佐藤成葉(2年)・加賀山恵奈(3年)も出ます。松山ではやはり3000mSCの高見澤安珠(4年)が注目。
ユニバ・ハーフマラソン金メダルの棟久由貴(東京農業大2)は10000m5位。

◇女子走高跳
 ①仲野 春花(早稲田大3) 1m81
 ②寺谷 諭美(筑波大3) 1m75
 ③濱津 麻愛(大阪国際大4) 1m75

この種目はいまや仲野の一人天下。トワイライト・ゲームズで1m83を跳んで今回は84に上げましたが残念。久々の90の大台を彼女に期待するのは、酷でしょうかね?

◇女子砲丸投
 ①郡 菜々佳(九州共立大2) 16m57
 ②太田 亜矢(福岡大4) 15m68
 ③長沼 瞳(国士舘大4) 15m19

これって、もしかして郡のPB?森千夏さん亡き後、なんか久々にまともな女子SPの記録を見たような気がします。その森さんが残した大会記録まで、あと4センチ!順調にいけば、標準記録レベルも見えてくるかもしれません。

さて、第2日は男子100m決勝を中心に、さらなる盛り上がりを期待しましょう。

ロンドン世界選手権観戦記 ⑧ ~チームJAPANのこれから


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10日間の2017IAAF世界選手権が終って、私のブログもすっかり静かになりました。終盤、無駄に長すぎるTV放映時間(おそらく男子400mリレーのVTRが10回は流れたでしょうね)と仕事と飲み会が錯綜した結果、更新が滞ってしまいましてすみません。
日本にとっては、400mRの銅メダル、男子50km競歩の銀・銅メダル、さらにはDay7の男子200m7位入賞と、終盤にいいところが集中した結果となったわけですけれども、全般的にはメダル3個はよしとして、入賞5名、ほか決勝進出者なし(一発決勝種目除く)という成果は、目標達成には程遠いものだったと思われます。
今回の世界選手権は、事前に何度か触れましたように、世界の陸上界がオリンピック翌年ということもあってか、やや停滞気味な中で行われました。ダイヤモンドリーグなどを見ていても、トップレベルの競争が、実は意外に日本記録などと近いレベルのところで行われている、ということがままあったのです。
典型的だったのが男子の100m、200mで、あのボルトをはじめとする別世界にいたスプリンターたちが、日本選手が手を伸ばせば届くような距離にいた、というところがありました。
ただ、世界の停滞に輪をかけて、日本選手の多くが実力を発揮できませんでした。100mのサニブラウンと400mHの安部孝駿は「ああっ!」の瞬間がなければあるいは、という惜しさはありましたが、その他はほぼ壊滅状態。地区インカレ・レベルの記録に終始した男子400m、4×400mRをはじめ、箸にも棒にも掛からない結果が多過ぎたようです。「なぜそうなったのか」を、単に「実力不足」の一言で片づけずに研究することは、とても重要な課題です。
逆に、そうした研究が積み重ねられ、チームで総力を挙げる結果が実を結んだ種目が、400mリレーと競歩だった、ということが言えるかもしれません。

典型的な個人スポーツである陸上競技に、チームとしての戦いを取り込んでいくことは、リレーに限らず今後の大きなテーマとなっていくことでしょう。
同じ個人スポーツの競泳では、早くからそうした意識が浸透し、「トビウオJAPAN」というチーム名称も定着しています。
種目は違えど同じプールで競技をし、一人がさまざまな種目を掛け持ちすることも多い競泳は、陸上に比べて仲間意識・共有意識が容易に形成される、ということはあるでしょう。ですが、個人競技と言っても一人だけの力で強くなることには限界がある、コーチや仲間や裏方の人々とのコミュニケーションが、個人の成長を大いにサポートするということに早くから着目してきたのが日本の競泳界です。選手選考にまつわる悶着を一掃するなど周辺の環境を整備し、チーム意識を高めることでこんにちの「世界と戦う」日本競泳陣を作り上げてきたことは、ひところ競泳が陸上競技と同じく1個のメダル獲得に四苦八苦するような日本スポーツ界の“お荷物”であったことを思い返せば、その努力と成果は明らかなのです。
激しい競争を経て同じチームになったからには、先輩が後輩の面倒を見たり、後輩がサポートに奔走し力いっぱいの応援に声を涸らしたり、叱咤激励し合うことの効果は計り知れないと思います。そうしたチーム精神は、チームJAPANの大先達である古橋廣之進氏のニックネームから採った「トビウオ」のチーム名と、国際大会ではおなじみとなった士気鼓舞のパフォーマンス「ワンパ」に象徴されています。

陸上競技も競泳と同じように、ということはなかなか難しいかもしれません。短距離、中長距離、ハードル、跳躍、投擲、混成、競歩といった種目ブロックの隔たりがあり、またたった一人で海外遠征に出向くこともままある陸上で、どうやって仲間意識を醸成していけというのか?…まあ、方法はいくらでもあります。基本的な考え方としては、チームJAPANがあくまでも一つの「陸上部」である意識を共有すること、そして一人では強くなれない、みんなであいつを強くしようという意識を共有すること、それでスタートすればよいのです。もちろんそれは、チームの指導者たる立場の人々が率先して持たなければならない意識です。
同時に、種目ブロックごとのチーム体制にも、いっそうの工夫と努力が傾けられなければなりません。

競歩ブロックにチーム意識が強くてマラソンにはそれが欠けている…それは明らかに、実業団という日本の長距離・ロードレース界を支配する構造に起因している弊害です。もちろん、企業のバックアップに支えられた実業団は、個々の競技環境や実力養成に大いに貢献しているのも事実です。実業団どうしの競争と協力、そこのところを大人の話し合いをじっくり重ねてうまくやってもらえたら、頓挫した「日本マラソン・ナショナルチーム」の構想も再び日の目を見ることができるのではないでしょうか。
そしてまた、競泳の平井伯昌氏のような指導力と統率力、政治力を兼ね備えたリーダーシップを、瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーに、そんな長ったらしい肩書はやめて「瀬古ヘッドコーチ」として発揮してもらいたいものだと思います。

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チームJAPANといえば、リオ五輪に続いて今回も、400mリレーをメダルに導いた短距離ブロックのチーム戦略が大きくクローズアップされています。
今回、400mリレー・チームは選手6人。コーチ陣は短距離・リレー担当オリンピック強化コーチの苅部俊二氏に、土江寛裕・小島茂之の両コーチ。

ご存知のように、陸上競技のリレーでは最大6人を1チームとしてエントリーし、そのうちの4人を予選・決勝のメンバーとして出場させることができます。したがって、予選から決勝に向けて、2人までを入れ替えることが可能となります。
従来、戦力に余裕のない日本チームは、予選からその時点でベストと考えられるオーダーで戦うことが当たり前となっていました。現在でも、同じです。
ところが今回、個々の走力においては現状ナンバーワンと目されるまでに成長したサニブラウン・ハキームが200m決勝でハムストリングスに軽い故障を発生し、当初計画されていた1走での起用を見送られることになりました。代役として起用されたのが、今大会の100mでスタートダッシュの鋭さを世界に印象付けた多田修平です。
予選を6番目のタイムで無事通過した後、今度は従前から脚部に不安を抱えていたケンブリッジ飛鳥に代わって、今回個人種目では標準記録に到達できなかった藤光謙司が投入されることになりました。
期せずして、日本チームは6枚のカードをすべて使う総動員体制でリレーの決勝に臨むことになったわけです。

400mリレーリレーのメンバーは、単純に100mの走力の優れた者が選ばれる、というわけではありません。私があえて「4×100mリレー」ではなく「400mリレー」と表記し続けているのは、「400mリレーは4人が100mずつ走る競走ではない」というかねてからの考えによるものなのです。
(このあたりの論証は、1年前に投稿した以下の記事をご参照ください)
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/6261252.html

多田はスタートの鋭さは世界でも一流であることを示したとはいえ、その分100mないし110mの距離における終盤のスピードには不安があり、それは彼が200mではほとんど試合経験のない100mに特化したスプリンターだということにも表れています。多田が当初から本番メンバー入りの構想に入っていなかったのは、当然と言えば当然だと私には思えましたが、走力の調子は上々と見られます。
また藤光は、6人の中で唯一100mのベストが10秒23と見劣りがするものの、引退した朝原宣治の後任として2009年にアンカーに抜擢されて以来、2015年のワールドリレーズ銅メダル・メンバーでは2走を務めるなど、代表経験は豊富で最も信頼されるバトンワークの持ち主です。
バトンワークの習得に不安の残るサニブラウン、調子の上がらないケンブリッジ、2人に代えて総合的に遜色のない2人のサブを投入できたというのが、日本のチーム力の現れ、その1でした。

その2は、予選通過したとはいえ日本記録からは大きく遅れる38秒21というタイムをいかに修正してメダル圏内まで押し上げるか、というチーム戦略に発揮されました。(結果的には予選のタイムでも同じ着順に入れたのですが、あくまでも結果論です)
リオでも、実は2走から3走、3走から4走のバトンパスは詰まり気味、つまり受け手のスタートが若干遅れ気味でテイクオーバーゾーンの半ばでバトンを受ける形になっていたのが、同じメンバーによる今回も課題として残っていました。1走の多田も、初代表だけに予選のままでよいのか疑問が残ります。このタイミングはスタートマークを変えることで調整するわけですが、一歩間違えると今度はバトンが届かないというミスのリスクが高まります。話し合いの結果、3走までは予選より半足長マークを遠ざけ、4走の藤光は練習時よりも1足長伸ばしたのだそうです。これを躊躇なくやってのけたのが、年間何十日もの合宿を重ね、経験と情報を集積した成果であったことは間違いありません。

実業団や大学といった本来の属性を超えて、チームJAPANとして普段から行動することによって培ってきた日本ヨンケイ・チームの強さが、改めて浮き彫りになった今回の世界選手権でした。
ちなみに、私は当日前々から約束があった宴席に出ていまして、ライブで見られないリレーの結果にソワソワと気を揉んでいたんですけど、そこは陸上観戦半世紀のキャリアにモノを言わせ、
「イギリスが優勝するであろう」
と大胆な予言をカマしていました。
今回のイギリス・チームはチジンドゥ・ウジャをはじめとして戦力は充実、特に200m4位のネザニール・ミッチェル‐ブレイクとサニブラウンより速いタイムながら準決勝敗退したダニエル・タルボットを投入してきたことで、リオ五輪以降、地元開催の今回に向けてヨンケイの本格的強化と研究に取り組んでいることが伺えたからです。(ヨンケイにロングスプリンターを投入するのは、日本の“隠し玉”的な高等戦略なのです)
100mの金・銀を擁するアメリカは例によってバトンワークの成否は五分五分、ボルト・ブレイクがもはや「超人」ではなくなったジャマイカは、日本にとっても与しやすい相手に思えました。いちばんの強敵はイギリスだろう、と思ったわけです。

今や超人不在となった短距離界、「チームのチカラ」は、ますます日本が頂点に駆け上がる可能性を大きくしていくことになるでしょう。その一方でイギリスのように、他の国々もこうしたことに少しずつ目覚めてくるに決まっています。
来年5月の「ワールドリレーズ」では、ますます面白いヨンケイが見られることを楽しみにしています。蛇足ながら、日本ヨンケイの「韋駄天スプリンターズ」という愛称は、さすがにTBSでも一言も使いませんでしたが、もう少しどうにかならないものですかね?

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