このカテゴリーは、私にとってのメインイベントです。
特に女子10000mは、創成期の松野明美と朝比奈美代子の大逆転レース、鈴木博美・千葉真子・川上優子らをラスト1周62秒の猛スパートで一網打尽にした弘山晴美、無敵の6連覇で時代を創った福士加代子、北京代表を争った福士・赤羽有紀子・渋井陽子の鍔迫り合い、2位以下を全員周回遅れにした新谷仁美の圧巻の独走など、いくつもの名勝負・名場面が思い浮かびます。昨年の雨中の激闘も素晴らしいレースでしたが、放送の演出にこだわって大部分を見せなかったNHKのボーンヘッドにはやきもきしました。
今年も、タレントは豊富です。秘かに自分が注目する選手がどんな走りをしてどのポジションに入ってくるか、期待に胸躍るここ数日です。
2016日本選手権10000

◆「女王」待望の800m
400mと並んで、ここのところ上位の顔ぶれが猫の目のように変わる女子800m。2011年の岸川朱里(長谷川体育施設)以降、連覇した選手がいません。昨年高校生で制覇した福田翔子(松江北高→島根大学)も今季はまったく音沙汰なしで、競技を辞めてしまったのでしょうか、エントリーリストにも名前がありません。記録的にも、停滞が続きます。
その中ではインカレの関東・個人を連覇した北村夢(日本体育大4)が2分4秒台で安定した力を発揮、一歩リードの感があります。これに福田の好敵手・池崎愛里(順天堂大1)や卜部蘭(東京学芸大4)といった学生勢、大森郁香(ロッテ)や山田はな(わらべや)といった優勝経験者がどう絡むか。400とのダブルエントリーとなる川田朱夏(東大阪大敬愛高3)、塩見綾乃(京都文教高3)、後藤夢(西脇工業高3)らの高校勢はどうか…・
これだけ大勢の名前を挙げなければならないということは、主役不在ということです。個人的には、2011年の400m優勝者、新宮美歩(東邦銀行)にももう一花咲かせてもらいたいものですが。

◆1500mはニューカマーに期待
昨年何度目かのブレイクを果たした木村友香(ユニバーサル)が、今回は代表権にリーチをかけている5000mをメインで狙ってくると思われますので、この種目も混戦模様です。
優勝経験のある陣内綾子(九電工)や須永千尋(資生堂)、森川千明(ユニクロ)、飯野摩耶(第一生命G.)といったベテランもまだまだやる気の一方で、エントリーリストには高校中長距離界の一線級や高卒ルーキー・2年目の名前がズラリと並びます。
髙橋ひな(NIKE TOKYO)・田中希実・後藤の「西脇工3人娘」やインターハイ戦線での主役が期待される高松智美ムセンビ(薫英女学院高3)、リンズィーヘレナ芽衣(市立金沢高3)、林英麻(健大高崎高3)らにも食指が動きますが、イチオシは昨季の駅伝での快走ぶりが印象深い和田有菜(長野東高3)でしょうか。
かつて小林祐梨子、小林美香(ともに須磨学園高)といった高校生が優勝をさらってあっと言わせたこの種目、今年もその再現が見られるかもしれません。

◆オリンピアン高見澤の安定政権?
3000mSCは、予想外のリオ五輪出場を勝ちとった高見澤安珠(松山大4)の長期安定政権が続きそうな気配です。対抗格の森智香子(積水化学)も故障のない順調ぶりで追随しますが、とにかくあのお粗末なハードリングを改善しないことには、ラスト勝負に持ち込んでも勝ち目はありません。3番手も三郷実沙希(スズキ浜松AC)で安定状態。新勢力、たとえば向井智香(名城大2)あたりに一波乱を期待したいところでしたが、エントリーは1500だけでした。
もちろん(?)、早狩実紀(京都陸協)も出場します。レジェンドです。

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◆百花繚乱の5000、10000
長距離2種目は、セットで語る必要があります。男子も同様ですが、先に行われる10000mの結果を承けて、5000mの動向が変わってくるところがあるからです。
現在、女子の「標準」到達者は全種目を通じて5000mの3名、10000mの16名、これだけです。世界選手権代表が長距離オンリーになってしまう危惧を孕んでいる状況ですが、中で10000の到達者数が突出しているのも珍現象です。(10000mは標準記録の有効期間が昨年1月1日からと長いことと、世界的にレース数が少ない、あるいは強豪国が偏っているためレベルが引き下げられていることが原因)

10000m到達者16人のうち、すでにマラソン代表を決めている安藤友香・清田真央(ともにスズキ浜松AC)と5000mに専念する松﨑璃子(積水化学)を除いた13人が、全員エントリーしています。
リオ代表の鈴木亜由子、関根花観(ともに日本郵政G.)、高島由香(資生堂)はいずれも5月のペイトン・ジョーダン招待を走って順調の模様。この3人が今のところ実力上位である状況は、昨年とそう変わりありません。食い下がる存在としては、5000代表の上原美幸(第一生命G.)、実業団覇者の松田瑞生(ダイハツ)、進境著しい一山麻緒(ワコール)あたりでしょうか。石井寿美(ヤマダ電機)はマラソンにチャレンジした影響が懸念されますし、私が大好きな中村萌乃(ユニバーサル)では今一つ実力不足か?…。

5000の到達者は木村友香、松﨑璃子、森田香織(パナソニック)の3人。ランキングトップの木村が真剣に代表を狙ってきますが、まだ5000mの経験が十分ではなく、一抹の不安を感じさせます。その意味では安定した実力を発揮している松﨑が、5連覇・3大会連続代表を目指す尾西美咲との連携を含めて優位な立場にいると見られます。
先に10000で代表権を確保した選手がどういうレースに持ち込もうとするかで、展開は大きく変わってくるところがあります。その中で、福田有以、横江里沙という有力選手2人を擁する豊田自動織機勢が、助っ人アン・カリンジを使って主導権を取りにくる展開が予想されます。特に春先から好調の福田はあと一歩のところで「標準」を逃すレースが続いており、盤石の仕上げで臨んでくるものと思われます。
男子と違ってまず間違いなく「標準」を見据えた速い展開になるだろうと思いますが、その中で「代表」云々をあまり意識せずに追随する、矢田みくに(ルーテル学院高3)、小笠原朱里(山梨学院高2)、森林未来(諫早高3)といった高校生ランナーの一発にも注目です。となると、佐藤成葉(立命館大2)、関谷夏希(大東文化大2)、岡本春美(三井住友海上)などの若手勢にも奮起を期待したいところ。言うまでもなく、“復活”が待ち望まれる鷲見梓沙(ユニバーサル)からも、目が離せません。

2017日本選手権5000
2017日本選手権10000