豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

木村友香

第101回日本選手権の見どころ ⑤ ~女子中長距離


このカテゴリーは、私にとってのメインイベントです。
特に女子10000mは、創成期の松野明美と朝比奈美代子の大逆転レース、鈴木博美・千葉真子・川上優子らをラスト1周62秒の猛スパートで一網打尽にした弘山晴美、無敵の6連覇で時代を創った福士加代子、北京代表を争った福士・赤羽有紀子・渋井陽子の鍔迫り合い、2位以下を全員周回遅れにした新谷仁美の圧巻の独走など、いくつもの名勝負・名場面が思い浮かびます。昨年の雨中の激闘も素晴らしいレースでしたが、放送の演出にこだわって大部分を見せなかったNHKのボーンヘッドにはやきもきしました。
今年も、タレントは豊富です。秘かに自分が注目する選手がどんな走りをしてどのポジションに入ってくるか、期待に胸躍るここ数日です。
2016日本選手権10000

◆「女王」待望の800m
400mと並んで、ここのところ上位の顔ぶれが猫の目のように変わる女子800m。2011年の岸川朱里(長谷川体育施設)以降、連覇した選手がいません。昨年高校生で制覇した福田翔子(松江北高→島根大学)も今季はまったく音沙汰なしで、競技を辞めてしまったのでしょうか、エントリーリストにも名前がありません。記録的にも、停滞が続きます。
その中ではインカレの関東・個人を連覇した北村夢(日本体育大4)が2分4秒台で安定した力を発揮、一歩リードの感があります。これに福田の好敵手・池崎愛里(順天堂大1)や卜部蘭(東京学芸大4)といった学生勢、大森郁香(ロッテ)や山田はな(わらべや)といった優勝経験者がどう絡むか。400とのダブルエントリーとなる川田朱夏(東大阪大敬愛高3)、塩見綾乃(京都文教高3)、後藤夢(西脇工業高3)らの高校勢はどうか…・
これだけ大勢の名前を挙げなければならないということは、主役不在ということです。個人的には、2011年の400m優勝者、新宮美歩(東邦銀行)にももう一花咲かせてもらいたいものですが。

◆1500mはニューカマーに期待
昨年何度目かのブレイクを果たした木村友香(ユニバーサル)が、今回は代表権にリーチをかけている5000mをメインで狙ってくると思われますので、この種目も混戦模様です。
優勝経験のある陣内綾子(九電工)や須永千尋(資生堂)、森川千明(ユニクロ)、飯野摩耶(第一生命G.)といったベテランもまだまだやる気の一方で、エントリーリストには高校中長距離界の一線級や高卒ルーキー・2年目の名前がズラリと並びます。
髙橋ひな(NIKE TOKYO)・田中希実・後藤の「西脇工3人娘」やインターハイ戦線での主役が期待される高松智美ムセンビ(薫英女学院高3)、リンズィーヘレナ芽衣(市立金沢高3)、林英麻(健大高崎高3)らにも食指が動きますが、イチオシは昨季の駅伝での快走ぶりが印象深い和田有菜(長野東高3)でしょうか。
かつて小林祐梨子、小林美香(ともに須磨学園高)といった高校生が優勝をさらってあっと言わせたこの種目、今年もその再現が見られるかもしれません。

◆オリンピアン高見澤の安定政権?
3000mSCは、予想外のリオ五輪出場を勝ちとった高見澤安珠(松山大4)の長期安定政権が続きそうな気配です。対抗格の森智香子(積水化学)も故障のない順調ぶりで追随しますが、とにかくあのお粗末なハードリングを改善しないことには、ラスト勝負に持ち込んでも勝ち目はありません。3番手も三郷実沙希(スズキ浜松AC)で安定状態。新勢力、たとえば向井智香(名城大2)あたりに一波乱を期待したいところでしたが、エントリーは1500だけでした。
もちろん(?)、早狩実紀(京都陸協)も出場します。レジェンドです。

アシックス レディース ブラトップ W'Sサポートクロス asics 女性用 ランニング ジョギング マラソン ジム トレーニング 吸汗 速乾 アンダーウェア/XA3703/【返品不可】【取寄せ】

価格:3,880円
(2017/6/21 11:25時点)
感想(0件)


◆百花繚乱の5000、10000
長距離2種目は、セットで語る必要があります。男子も同様ですが、先に行われる10000mの結果を承けて、5000mの動向が変わってくるところがあるからです。
現在、女子の「標準」到達者は全種目を通じて5000mの3名、10000mの16名、これだけです。世界選手権代表が長距離オンリーになってしまう危惧を孕んでいる状況ですが、中で10000の到達者数が突出しているのも珍現象です。(10000mは標準記録の有効期間が昨年1月1日からと長いことと、世界的にレース数が少ない、あるいは強豪国が偏っているためレベルが引き下げられていることが原因)

10000m到達者16人のうち、すでにマラソン代表を決めている安藤友香・清田真央(ともにスズキ浜松AC)と5000mに専念する松﨑璃子(積水化学)を除いた13人が、全員エントリーしています。
リオ代表の鈴木亜由子、関根花観(ともに日本郵政G.)、高島由香(資生堂)はいずれも5月のペイトン・ジョーダン招待を走って順調の模様。この3人が今のところ実力上位である状況は、昨年とそう変わりありません。食い下がる存在としては、5000代表の上原美幸(第一生命G.)、実業団覇者の松田瑞生(ダイハツ)、進境著しい一山麻緒(ワコール)あたりでしょうか。石井寿美(ヤマダ電機)はマラソンにチャレンジした影響が懸念されますし、私が大好きな中村萌乃(ユニバーサル)では今一つ実力不足か?…。

5000の到達者は木村友香、松﨑璃子、森田香織(パナソニック)の3人。ランキングトップの木村が真剣に代表を狙ってきますが、まだ5000mの経験が十分ではなく、一抹の不安を感じさせます。その意味では安定した実力を発揮している松﨑が、5連覇・3大会連続代表を目指す尾西美咲との連携を含めて優位な立場にいると見られます。
先に10000で代表権を確保した選手がどういうレースに持ち込もうとするかで、展開は大きく変わってくるところがあります。その中で、福田有以、横江里沙という有力選手2人を擁する豊田自動織機勢が、助っ人アン・カリンジを使って主導権を取りにくる展開が予想されます。特に春先から好調の福田はあと一歩のところで「標準」を逃すレースが続いており、盤石の仕上げで臨んでくるものと思われます。
男子と違ってまず間違いなく「標準」を見据えた速い展開になるだろうと思いますが、その中で「代表」云々をあまり意識せずに追随する、矢田みくに(ルーテル学院高3)、小笠原朱里(山梨学院高2)、森林未来(諫早高3)といった高校生ランナーの一発にも注目です。となると、佐藤成葉(立命館大2)、関谷夏希(大東文化大2)、岡本春美(三井住友海上)などの若手勢にも奮起を期待したいところ。言うまでもなく、“復活”が待ち望まれる鷲見梓沙(ユニバーサル)からも、目が離せません。

2017日本選手権5000
2017日本選手権10000

桐生10秒04、TJ山本とPV荻田が標準到達~織田記念


『第51回織田幹雄記念』…TV中継をご覧になった方も多いでしょうが、桐生祥秀(東洋大3)の9秒台突入はまたもお預けとなりました。
ちょうど男子100m決勝が整列した頃合いには、ホーム両サイドの吹き流しが揃って真っすぐゴール方向を向いていたのに、僅か数分が経過したレース中は予選と同じ-0.3m。桐生の走りは予選と打って変わってゴールまで滑らかでしたから、風さえ味方なら、という感じでしたね。
「そんなちょっとの風くらいで…」と言うなかれ。0.3mでもプラスとマイナスとじゃ大違いだと思いますよ。競技が違えば、たとえばスキージャンプの場合なんか、大騒ぎレベルの違いです。
それにしても、国内レースで当たり前のように10秒0台を出してくる桐生や山縣は、本当に力をつけたものです。4年前より、また昨年より、確実に成長しています。
桐生はこの後『静岡国際』で200mに出場した後、『GG川崎』は回避して『関東インカレ』に臨むものと思われます。
追記…次戦
は5月13日のDL上海大会だそうです。とうぜんスー・ビンチャン(CHN)も出てくるでしょう。

その他の種目では、TVにまーったく映らなかった男子三段跳で、山本凌雅(順大4…この人だけ桐生とすれ違いざまに何事か会話してるところがチラッと映りました)が16m91の好記録で優勝。4回目に跳んだこの記録は+4.1mの追風参考でしたが、1回目に公認(+1.8m)で16m87のPBを跳んで、ロンドン標準記録(16m80)を突破しました。オリンピック組の山下航平(県北陸協)は15m台で6位、長谷川大悟(横浜陸協)は14m台の最下位と、低調に終わりました。

同じく男子棒高跳でも好コンディションのもとで、リオ代表の荻田大樹(ミズノ)が5m70の標準記録にピタリ到達して優勝。すでにアメリカで5m71、5m70を跳んでいる山本聖途(トヨタ自動車)は70を2度ミスして75に上げましたが失敗。5m60で2位でした。注目の大学ルーキー・江島雅紀(日大1)は5m20を3ペケで記録なし、澤野大地(富士通)はDNSでした。

【ポイント最大20倍&3000円以上購入で送料無料!】【4/28 19:00~5/2 9:59】【ミズノ】mizuno WAVE EKIDEN11 【ウエーブエキデン11】[u1gd162009]メンズ ランニング 16AW

価格:8,990円
(2017/4/29 20:35時点)
感想(2件)


グランプリおよびユニバーシアード選考対象レースの男女5000mについては、全着順を掲載しておきます。日本人選手の標準突破はありませんでしたけど、今季の仕上がり具合が伺える結果だったようです。
高校2年生の小笠原朱里、PBには2秒ばかり及ばなかったとはいえ、ホンモノですねえ。学生陣では関谷夏希、実業団若手では小井戸涼が頭角を顕してきました。
男子では、鎧坂が久々の好走。神戸でGP1500mを制した実業団2年目の松枝も、なかなかの成長ぶりで今後が期待されます。

◇女子5000m(GP・ユニバ)
①15'11"48GR ローズメリー・ワンジル(スターツ)
②15'12"13 シュル・ブロ(TOTO)
③15'27"68 木村 友香(ユニバーサル)
④15'30"92 グレース・キマンズィ(スターツ)
⑤15'31"46 小笠原 朱里(山梨学院高2)
⑥15'33"16 マリアム・ワイディラ(九電工)
⑦15'33"61 小井戸 涼(日立)
⑧15'40"26 鷲見 梓沙(ユニバーサル)
⑨15'40"42 関谷 夏希(大東文化大2)
⑩15'43"18 中村 萌乃(ユニバーサル)
⑪15'46"12 高見沢 里歩(松山大2)
⑫15'50"63 加世田 梨花(名城大1)
⑬15'52"70 田中 希実(西脇工高3)
⑭15'52"72 宮田 佳菜代(ユタカ技研)
⑮15'54"25 井上 藍(ノーリツ)
⑯15'55"39 スーサン・ワイリム(デンソー)
⑰15'57"42 佐藤 成葉(立命館大2)
⑱16'04"28 棟久 由貴(東京農業大2)
⑲16'06"98 野添 佑莉(三井住友海上)
⑳16'07"79 堀 優花(パナソニック)
㉑16'15"03 筒井 咲帆(ヤマダ電機)
㉒16'16"73 森林 未来(諫早高3)
㉓16'19"17 新井 沙紀枝(肥後銀行)
㉔16'19"45 青木 和(名城大3)
㉕16'22"41 上田 未奈(城西大3)
㉖16'29"23 菊池 理沙(日立)
㉗16'36"33 岡本 春美(三井住友海上)
㉘16'43"13 石澤 ゆかり(エディオン)
㉙16'43"37 藤原 あかね(松山大3)
㉚16'51"28 青山 瑠衣(ユニバーサル)
㉛17'12"29 花田 咲絵 (順天堂大1)
㉜17'53"39 緒方 美咲 (松山大3)

◇男子5000m(GP・ユニバ)
①13'30"79 ポール・タヌイ(九電工)
②13'32"16 鎧坂 哲哉(旭化成)
③13'33"62 松枝 博輝(富士通)
④13'34"80 チャールズ・ディランゴ(JFE)
⑤13'36"20 ジョン・マイナ(富士通)
⑥13'36"52 上野 裕一郎(DeNA)
⑦13'52"44 鬼塚 翔太(東海大2)
⑧13'53"81 市川 孝徳 (日立物流)
⑨13'54"36 小野田 勇次(青山学院大3)
⑩14'00"35 市田 孝(旭化成)
⑪14'06"19 館澤 亨次(東海大2)
⑫14'06"43 戸田 雅稀(日清食品G.)
⑬14'08"83 關 颯人(東海大2)
⑭14'09"47 坂口 裕之(明治大3)
⑮14'11"23 森田 佳祐(筑波大4)
⑯14'18"72 舟津 彰馬(中央大2)
⑰14'28"31 平 和真(カネボウ)
⑱14'36"09 中村 匠吾(富士通)
⑲14'40"97 阪口 竜平(東海大2)
⑳14'44"62 秦 将吾(大塚製薬)
 DNF 服部 弾馬(トーエネック)

 

なかなか面白かった『北九州駅伝』



九州地区では生放送が見られたのでしょうが、こちら(関東)では1週間遅れの録画放送となった、『第28回選抜女子駅伝北九州大会』を観ました。
北九州市を舞台に、一般(実業団・大学)と高校の精鋭チームが同時に競い合うという、なかなか他では見られない形式の駅伝です。
距離は、『実業団女子駅伝』のフルマラソン・ディスタンスと『高校駅伝』のハーフ・ディスタンスのほぼ中間、32.8km。「高校の部」は「一般の部」の5区を5区・6区と分割して走るため、成績は同列扱いにはなりませんが、4区まではまったくのガチンコ勝負となります。一般チームにとっては大変なプレッシャーを抱えながらのレースとなるわけで、ハンデを貰っているとは言っても高校勢が実際に、一般チームと遜色ない競走を展開しています。女子ならでは成立する駅伝大会、と言ってもいいでしょう。

レースは、地元中の地元、コースの途中で本社正面入り口前を通過するというTOTOが悲願の初優勝を、これまた地元福岡県の九電工が3連覇を狙うという中で、ベストメンバーではないユニバーサルエンターテインメント、そして昨年末の『全国』上位4校が勢ぞろいした高校勢がどこまで絡むか、というのが事前の展望。

気合満点のTOTOは、1区(最短4.2km)で大森巴菜が渾身のスパート。今シーズン好調を続けていた木村友香(ユニバーサル)を置き去りにするという願ってもない絶好のスタートを切り、続く2区(5.9km)では外国人ランナーの最有望株と言われるシュル・ブロが独走態勢を築き上げます。
エース加藤岬が大阪国際女子マラソン準備のため欠場した九電工は、1区6位と出遅れ2区ワイディラもパッとせず3位に上がっただけ。2区終了時点で一般2位は木村-青山瑠衣とつないだユニバーサルですが、青山も高校生の嵯峨山佳菜未、後藤夢に競り落とされる苦しい走りで、大阪薫英女学院と西脇工業がユニバの前に出ています。

ミズノ メンズコンプレッション 長袖ハイネック 『3カラー』オールシーズン用【MIZUNO】【アンダーシャツ】【スポーツインナー】【野球】【auktn】【RCP】【あす楽対応】【楽ギフ_包装】

価格:2,980円
(2017/1/31 02:55時点)
感想(0件)


TOTOの3区(5.1km)・川上さくらが2番手の薫英に36秒、一般2位のユニバには1分近いリードをもらってスタートし、悠々とトップを走る姿に解説・増田明美さんが絶賛のコメントを連発している頃、後方では大きな動きが起こっていました。
またまた「キタ!」んです、ユタカ技研の宮田佳菜代が。
首位から1分10秒差の5位(全体7位)でスタートした宮田は、先行する十八銀行、九電工、ユニバーサル、西脇工業を次々とゴボウ抜き。何度か立ちはだかる急坂をものともしない軽快なピッチで、まだ実況席では増田さんが「さくらさんの走り、後半になっても本当に素晴らしいですね!」とか言ってる間に、秘かに迫りくる赤いつむじ風となって薫英をも並ぶ間もなくパス、とうとう中継所寸前でトップを奪ってしまいました。
実は私、当日のうちにリザルトを見ていましたんで、宮田の区間賞・トップ中継は知っていたのですが、テレビで見ている限り、3区が始まった時は、あの位置からたった5km少々の距離で追いついてくる様子は、まったく想像ができませんでした。他にこれといった有力選手がいなかった、ということはありますけれども、ここのところノリに乗っている勢いそのままに、見事な韋駄天走りだったと思います。
18

中盤に大きな動きを迎えたレースは、4区(5.9km)で黒田純菜の区間賞でトップを奪い返したTOTOが、一般を上回る区間タイムで猛追する薫英(竹内ひかり)とのデッドヒートに持ち込まれつつも、一般首位は安泰。2位のユタカ技研には13秒、3位ユニバーサルには47秒の差をつけてアンカー・川上わかばへと初優勝を託します。
しかしながら、一般5区は全体の3分の1を上回る11.7kmの長距離区間。ここに、絶好調でないとはいえ大エースの鷲見梓沙を投入したユニバーサルの猛攻の前には、なすすべがありませんでした。
『実業団』でも『全国女子駅伝』でも、ゲームチェンジャーとはなり得ない不本意な走りに終わった鷲見は、たった1週間で劇的に変わったというわけではないのでしょうけど、九電工の実力者・宮崎悠香を44秒上回る36分36秒で区間賞を獲得。「復活」へ向けて、確かな手ごたえを掴んだレースにはなったことでしょう。

高校の部は、高松智美ムセンビを欠きながらも高校駅伝より1区間多いところに隙のない陣容を配置した薫英が、2位・西脇工に1分51秒差の圧勝。最後はユニバには交わされましたが、TOTOには競り勝って2番手でのゴールとなりました。キャプテン嵯峨山は区間賞こそ逃したものの、インタビューに応え、清々しい笑顔で高校最後のタスキリレーを振り返っていました。
3位に筑紫女学園、4位に北九州市立と地元勢が続き、立命館宇治は前週に続く片山弓華の3区区間賞(総合は宮田に次ぐ2位)はあったものの5位。

ユニバーサルは、木村・青山・鷲見の他は、篠塚麻衣と伊澤菜々花という予備軍起用のメンバーでしたが、さすがの貫録、ここでシード外のTOTOや加藤のいない九電工に負けるわけにはいかないですからね。伊澤は大学4年時の『富士山女子駅伝』以来久々にレースで走る姿を見ましたけど、ひと頃に比べて随分と身体が絞れてきているようで、かつての順大エースの復活が楽しみです。
なお、私ご贔屓の中村萌乃は来週、『香川丸亀国際ハーフマラソン』に出場予定です。ユニバを退部した永尾薫も、「浦安市陸協」所属でエントリーしています。
好調の続く宮田は、次のターゲットは次々週の『全日本実業団ハーフマラソン』でしょうか、それとも『クロスカントリー日本選手権』あたりでしょうか?まだ一線級には少し差があると思いますが、引き続き、目が離せません。

なお、この大会の模様は7日、12日にも再放送がありますので、詳しくはGAORA SPORTSチャンネルのHPでお確かめください。

 

木村友香が5000mランク1位を奪取!



1週間遅れの記事になってしまいましたが、12月4日(日)に横浜市青葉区の日本体育大学健志台陸上競技場で行われた『第255回日本体育大学長距離競技会』女子5000mで、好記録が続出しました。
『全日本実業団女子駅伝』から僅か1週間後のレースながら、この10月1日から有効期間となったロンドン世界選手権の参加標準記録に挑む貴重なチャンスということもあって、実業団・大学・高校の多くのトップランナーが集まる記録会となりました。

<女子5000m第6組成績>

255日体大記録会1-20
255日体大記録会21-41

「日本体育大学長距離競技会」HPより(http://www.nittai-ld.com/result/pc/C201616/main.html)

高校留学生ランナーのエカラレに次いで2着に入った木村友香(ユニバーサルエンターテインメント)のタイムは、7月に横江里沙が『ホクレンディスタンスチャレンジ網走大会』で記録した15分18秒11を僅か0.03秒上回り、堂々2016年の日本ランキング・トップに躍り出ました。
木村は日本選手権を初制覇した1500mでは記録ランキング3位に甘んじていましたが、9月の『デカネーション』で2000mに日本新記録、先週の『実業団駅伝』では初の2区区間賞と続いた充実の1年を締めくくる、見事なレースをしてみせました。これまでの「中距離ランナー」としての活躍から、さらに一皮むけた長距離界のニュー・リーダーへと、着実な成長を続けています。
なお、木村と3着・森田香織(パナソニック)は、ロンドンの標準記録(15分22秒00)を突破。横江や今季2位だった尾西美咲(積水化学)のタイムは有効期間以前に出されたものなので、この2人が来年の代表レースの先陣を切ったことになります。

大特価40%OFF!アシックス(asics) ランニングロングタイツ 【ユニセックス】 [ XXR842 ](送料無料)

価格:3,175円
(2016/12/11 11:47時点)
感想(1件)


4位以降も好記録が続出した中で、特筆すべきは7位・矢田、9位・小笠原、10位・森林と、3人の高校生が出して見せた快記録です。
U-20世界選手権にも出場した矢田の15分25秒87は、藤永佳子(諫早高)の高校記録15分22秒68に次ぐ高校歴代2位。絹川愛、新谷仁美、小林祐梨子、上原美幸といった後の日本代表の高校時代の記録を抜き去ってしまいました。小笠原と森林のタイムもそれぞれ、高校歴代5位・6位にランクされるものです。
エカラレ、矢田、森林は2年生、小笠原に至ってはまだ1年生です。矢田のルーテル学院は残念ながら今年の都大路で見ることはできませんが、高校女子長距離界もしばらくの間、逸材たちの動向がいっそう楽しみになりました。

3人の高校生に挟まれる格好となった立命館大1年・佐藤成葉のタイムも、大森菜月の15分28秒32を上回る学内現役最高記録(もしかして立命記録?)となります。10月の『全日本大学女子駅伝』ではほろ苦い駅伝デビュー戦となった佐藤が、年末の『全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)』で巻き返しを期す立命大の"秘密兵器”として、俄然注目を集めそうです。

年内にはあと1回、『第17回日本体育大学女子長距離競技会』が24日(土)に予定され、5000mと10000mのレースがプログラムされています。時期的に見て、ここにも多くのトップ選手たちが「標準突破」を目指して挑んでくるものと思われます。
クリスマスイヴの記録ラッシュを、楽しみにしましょう!

 

『全日本実業団女子駅伝』大外れ予想の言い訳集



予想どおり、駅伝の予想で赤っ恥をかいてしまいました。
「3強」と断言していた豊田自動織機、ヤマダ電機、ユニバーサルエンターテインメントはいずれも前半の3区までに撃沈。5区では資生堂、九電工、ワコール、日本郵政グループ、第一生命グループという最大4行しか取り上げなかった5チームが横一線で競り合う展開に、茫然。この時点で、豊田は失格、ヤマダとユニバはシード権がどうかという位置で汲々とする有様でした。

◆「3強」それぞれの言い訳
まったく駅伝は何がどうなるか、予測不能で、だから面白い。
豊田にとっては優勝に向け上々の序盤の展開でしたが、第1中継所でのタスキリレーが違反を取られて失格とは!
1区で途中遅れかけた福田有以が実力者の片鱗を見せて3位まで盛り返し、首位から8秒差でリレーゾーンに到達したものの、引き継ぐ島田美穂がスタンバイしていません。数秒のロスの後に待機スペースから慌てて飛び出してきた島田が、前にいた福田からタスキをもぎ取るようにしてスタートしていったのですが、この時に福田がリレーゾーンをオーバーしてしまっていた、ということなのでしょうか?TV画面ではゾーンのエンドライン、選手の足元が見切れてしまっていたので、判りませんでした。
リレーゾーンでのスタンバイが遅れたのは島田の大チョンボでしたし、福田がオーバーゾーンしたとすれば、これも残念なボーンヘッドです。しかし、そこを責めてもしょうがありません。豊田にツキがなかった、という以外には言いようがないですね。
38

実業団駅伝初出場の島田とすれば、先輩方に申し訳ない気持ちでいっぱいの結果となりましたが、まだ失格を知らない状態でスタート時には12~3秒に広がっていた差を一気に詰め、先行する2チームを交わしてトップに立った走りは見事でした。記録には残らないとはいえ、12分10秒で岡本春美(三井住友海上)、堀優花(パナソニック)と並ぶ区間2位タイ。昨年の高校ランキング3000m1位(日本2位)ながら、初出場で不安視された上にリレーのミスで舞い上がってしまっても仕方がなかったこの区間で、百点満点の走りだったと言えるでしょう。
3区の林田も序盤は強豪に互していい走りに見えましたが、後半はズルズルと後退。この時点で失格がなかったとしても、豊田の優勝はかなり苦しいことになっていたように思えます。
それでも、4区から白タスキでの繰り下げ?スタートを課せられ、モチベーションと競走相手を失って走った4区アン・カリンジ、5区・沼田未知、6区・横江里沙の本気の追い込みを、見たかったところでした。ヤマダ電機などとの位置関係からして、もしかしたら終盤もつれる展開があったかもしれません。

ヤマダ電機は、1区・竹地志帆が後手を踏んだことが響き、2区・石橋麻衣が区間8位、3区・石井寿美が10位、4区・森唯我が8位と波に乗れず、5区・6区での猛烈な追い上げでもどうしようもない大差をつけられてしまいました。いかに序盤の流れが重要かを、身をもって思い知らされる結果でした。

ユニバーサルは、3区・鷲見梓沙の状態がすべてでした。4区フェリスタ・ワンジュグと5区・和久夢来の不調も計算外で、これがシード権まで危うし!の要因となったのですが、2区・木村友香の区間賞と6区・中村萌乃の追い上げ(区間2位タイ)は期待どおり。全員が実力を発揮するのは、本当に難しいことですねえ。
ホンネを言えば、シード権を逃してくれるくらいのほうが、来年は予選会からこのチームを見られるのでいいかな、なんて考えてました。予選会システムの微妙なところですね。



◆「予想外の優勝争い」の言い訳

一方で、優勝したJP日本郵政グループは5区・鍋島莉奈の区間賞&トップ奪取が決め手となって、創部3年目にして初優勝の快挙です。
このチームも、大エースの鈴木亜由子が不調、1か月前の予選会ではナンバー2の関根花観とナンバー3の鍋島が目を覆わんばかりの凡走ということで万全の状態かどうかが疑われましたが、この3人が今できる最高の走りを見せ、最低でも区間11位(4区)という堅実なリレーが大金星につながりました。
鈴木がエース区間をぶっちぎれる状態であれば、と考えると、一躍来年以降も優勝候補の一角としてしばらく取り沙汰されることになるでしょう。

増田明美さんの予想が当たった、と思うと少々悔しい(私、この人の解説は「細かすぎる選手情報」以外まったく信用していません)ですが、第一生命グループも、区間賞こそなかったものの両エースが実力を発揮し、不安視されたルーキーも予想以上に健闘して、各区間6位・6位・7位・6位・3位・2位という実に隙のないリレーで優勝争いに食い込みました。特に、4区の湯田向日葵はヤマダの森を抑えて日本人トップで田中智美の追い上げを引き出し、隠れた殊勲賞的存在となりました。

驚いたのはワコールと資生堂のトップ8入りです。
ワコールは福士加代子がまずまずの走りをしたことで後半まで首位戦線に踏み止まる理想的な展開。それを引き出したのが、予選会でも活躍したルーキー一山麻緒の区間賞でした。どうやら、今年の女子長距離は駅伝での活躍に関する限り、高卒ルーキーの当たり年、それもどちらかというと高校時代無名に近い存在だった選手がスターダムに駆け上がってきた感があります。

資生堂は予選会とまったく同じ「先行逃げ粘り」のオーダーで、3区でトップに立つ展開は十分に予想の範疇にありました。しかしこれでは4区以降の凋落は仕方がないかな、と思っていたところ、4区・須永千尋がムルリ・ワイディラ(九電工)を抜き返す根性を見せ、5区・奥野有紀子の粘りにつなげました。両者ともに区間16位、21位とパフォーマンスは良くなかったのですが、「1秒を削り出す」姿勢が7位シード権へと結びついたのだと思います。

昨年の日本選手権1500mチャンピオンの須永は、駅伝では短距離区間でも「長過ぎる」タイプと見え、これまで常にチーム低迷の一因を作ってきたようなところがあった選手。相手が外国人ランナーの中ではやや格下だったとは言え終盤の粘り腰を見せたことで、今後の自信になる走りだったのではないでしょうか。実は「美走者列伝」には欠かせない超美人ランナーで、私、いつも密かに応援はしています。
またアンカーの池田睦美は区間8位とそれなりにいい走りでトップ8を死守し、埋もれかけていた「リッツのキャプテン」がようやく復活のきっかけを掴んだかもしれません。
資生堂に関しては、「シード権までにはあと1年かかる」なんて書いてましたんで赤っ恥の上塗りもいいところですが、もともと私はここのピンクのユニフォームのファンです。2006年の優勝以来、分裂、リストラ等々紆余曲折があって、一時は存続さえ危ぶまれたチーム。来年の補強次第では、もっと面白い存在になっていってくれるでしょう。

予想は大外れに終わったものの、1区や3区の豪華な顔ぶれ、5区からの激しい優勝争いと、今年も素晴らしいレースを見せてくれた『実業団女子駅伝』。これを観終わると、いつも「ああ、今年ももう終わりだなあ…」という気分になったもんですが、開催が早まった今年は、まだ1カ月以上残っているんですね。
年内は高校駅伝、大学女子選抜駅伝、年明けて実業団男子に箱根、都道府県対抗駅伝と、お楽しみはまだまだ続きます。

 
ギャラリー
  • 『第42回全日本実業団対抗女子駅伝』大胆展望
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • 『第105回日本陸上競技選手権』観戦記+α その⑤⑥
楽天市場
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ