豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

新井涼平

第101回日本選手権の見どころ ⑥ ~男女フィールド


いよいよ『第101回日本陸上競技選手権』が、明日からの開催と迫ってまいりました。
2週間前から書き始めた「見どころ」ですが、会期前にひととおり書き終えるかどうか、どうも怪しくなってきました。
ブログデビュー直後だった昨年は、会期前から会期中と、書く時間がたっぷりあったんですが、今回は仕事の合間を縫ってということで、なかなか思うに任せないんですよ。初日の金曜日もリアルタイムでのインターネット観戦~速報記事という去年のパターンはできません。ということで「見どころ」も少々端折りますけど、よろしくご容赦願います。

◆<跳躍>活況の男子、不況の女子
1990年代であれば、跳躍種目の注目度ナンバーワンといえば女子走高跳、2000年代なら女子走幅跳、というのが日本陸上界の傾向でしたが、現在のところは男子が各種目に代表を送り出す勢いがあるのに対して、女子はまったくいけません。
男子では、走高跳=衛藤昴(AGF)、棒高跳=山本聖途(トヨタ自動車)・荻田大樹(ミズノ)、三段跳=山本凌雅(順天堂大4)と「標準」到達者が4名。走幅跳でも、サラブレッド橋岡優輝(日大1)を筆頭に8m15の「標準」を視野に入れている選手は大勢います。
対して女子はというと、各種目の「標準」が、HJ=1m94、PV=4m55、LJ=6m75、TJ=14m10ということで、現有戦力ではとても「無理無理!」。唯一リオ五輪代表になったLJの甲斐好美(VOLVER)はノー・エントリー。どうにもなりません。
何か、理由というか、この傾向をもたらしている要因があるのでしょうね。私には今のところ思い当たることがありません。なぜ、日本の女子アスリートはバネをなくしてしまったのでしょう?

種目別に見ると、男子走高跳は「標準」を2度クリアしている好調の衛藤に対してエースの意地を見せたい戸邉直人(つくばTP)、ベテランの高張広海(日立ICT)が絡む展開。平松祐司(筑波大3)が不参加のため、「標準」に近い争いになるとこの3人以外ではちょっと荷が重くなります。
棒高跳は「標準」の2人に今季はセミリタイア状態か?とも思われた澤野大地(富士通)が巻き返しを図る構図は去年と同じですが、ここに進境著しい江島雅紀(日大1)が加わります。標準記録云々はともかく、自身が塗り替えたばかりのU-20日本記録5m61の更新を狙っていただきたいものです。
走幅跳は今季唯一8mを超えているのが関東インカレの橋岡。昨年大台に乗せた城山正太郎(ゼンリン)、山川夏輝(日大4)、他は峯村鴻汰(モンテローザ→富士通)、下野伸一郎(九電工)、小田大樹(日大4)などが7m90台にひしめくという感じですが、条件次第で8mラッシュという状況も起きるかもしれません。8m18を持つ菅井洋平(ミズノ)の復活にも期待したいところです。
三段跳はリオ組の長谷川大悟(横浜市陸協)と山下航平(福島陸協)がともに「一発屋」で終わっており、唯一の「標準」到達者・山本の安定感が群を抜きます。昨年大会新記録を跳びながら山下に敗れた関東インカレの悔しさが、いいモチベーションになったのではないでしょうかね。

女子は、優勝者予想くらいしかできないのが寂しいですけど。
走高跳はここのところ安定して1m80をクリアしているのが仲野春花(早稲田大3)くらいという状況。本人はユニバ標準記録の1m84を大目標に掲げていますので、視線が高い分、有利だと思います。大雨の中で行われた昨年を制した京谷萌子(北海道ハイテクAC)やベテランの福本幸(甲南学園AC)らがどこまで食い込めるか。
棒高跳は第一人者の我孫子智美(滋賀レイクスターズ)の出来次第というところ。4m20程度のバーであれば、まだ優勝経験のない仲田愛(水戸信金)、昨年の覇者・青島綾子(新潟アルビレックスRC)、最近ネットで注目度の高い今野美穂(トーエル)らが台頭してきそうです。
走幅跳はまさにドングリの背比べ状態で予測不能。持ち記録最上位の枡見咲智子(九電工)も全盛期の勢いはなく、ヘンプヒル恵(中央大3)に初優勝・混成と二冠のチャンスがあります。
美人の多い三段跳は、宮坂楓(ニッパツ)の独擅場でしょう。

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◆<投擲>ごめんなさい!注目は男女ともやり投だけ
ということで、男子は今季スランプの新井涼平(スズキ浜松AC)に「標準・楽勝」の斬れ味が戻っているかどうか。うかうかしていると、重鎮・村上幸史(スズキ浜松AC)はおろか、長谷川鉱平(福井陸協)や伸び盛りの佐藤隼矢(東海大3)あたりにも足元を掬われかねません。

そして女子は、私的には今季のフィールド・イチオシ注目種目。
大エースの海老原有希(スズキ浜松AC)、時々穴をあける宮下梨沙(大体大TC)、若手最有望株の北口榛花(日大2)、そして今年新たに60mスロワーに仲間入りした斉藤真理菜(国士舘大4)。さらには瀧川寛子(中京大大学院)、當間汐織(九州共立大4)、山下実花子(九州共立大2)、長麻尋(和歌山北高3)といったイキのいい若手が55~60mの間にズラリと順番を待っています。嫁に行って(だと思いますが)名前が変わった森友佳(東大阪市陸協)も元気です。
やり投って、冬のスキージャンプ競技に似た面白さがありますよね。いい向かい風を貰って、白熱の空中戦を、ぜひとも!

ほんと、思いっきし端折っちゃって、スイマセン。

JTレーラーがビッグスロー!~DL第1戦ドーハ


IAAFダイヤモンドリーグ開幕戦・ドーハ大会が行われ、リオ五輪の金メダリスト9人を含むトップ・アスリートが4カ月間にわたるツアー・シリーズのオープニングを彩りました。
今季はツアー方式が大きく変更になりました。従来各ゲームの順位ポイントの累計でチャンピオンが決まっていたのが、第12戦までの累計ポイント上位者(トラック8名、フィールド12名)が最終戦(第13戦と14戦に分けて実施)に進出し、そこでの勝者がツアー・チャンピオンになる、というものです。
(昨日、「全15戦」と書きましたが、今季は例年2日間開催で2戦扱いだったロンドンが1日のみとなったため、「全14戦」となります。開催地は昨季と変わらず)
また付与されるポイントも、1位の8点から8位の1点まで1点刻みとなり、昨季はトップ4で行っていたフィールド種目の6回試技が、通常の大会同様トップ8になりました。
主に参加選手の契約メーカーで色分けされるユニフォームもガラリと変わり、また記録などの画面表示方式も工夫されて、新鮮な気分で中継を眺めることができました。

好況を呈したのは男子やり投。
ドイツ三羽ガラスの一人、ヨハネス・フェテルが3投目に89m68の大投擲。PBを11㎝更新して、普通なら「今日は決まり!」の局面です。
ところが昨季のツアー・チャンピオン、ヤクブ・ヴァドレイヒ(CZE)が4投目に87m91で「このまま終わると思うなよ」とニラミを効かせた直後、今度は金メダリスト、トマス・レーラーが渾身の一発。投げた瞬間に解説の石塚浩さんが「あっ、行った!」とつぶやいたほどの会心のやりは、計測員の頭上も90mラインも遥かに超えて、正面映像を撮影するカメラの直前で地面に突き刺さりました。(カメラマン、微動だにせず)
世界歴代2位の93m90!…真夜中なのに思わず「ウォッ!」と声をあげてしまいました。
昨年に続いてDL参戦の新井涼平(スズキ浜松AC)は、3回とも75mを越せない残念な投擲で、トップ8にも残れず10人中9位。ノーポイントに終わりました。めげずにまたチャレンジしてください!
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女子800mにサプライズ・エントリーしたゲンゼベ・ディババ(ETH)でしたが、さすがに見せ場を作ることもできず5着。勝ったセメンヤ(RSA)、2着のマーガレット・ワンブイ(KEN)がともに“巨漢”女性なだけに比べるのは気の毒ですが、この種目の中に入ると線の細さが目立ってしまいます。それでも集団の軋轢を避けて前に出て行った序盤のスピード、そして2分を切ったタイムは、5000mを走る上では自信になるのではないでしょうか?

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女子200mの「オンナの熱きバトル」を制したのは、エレイン・トンプソン(JAM)。-2.3mで22秒19は、シーズン初めとしては好仕上がりと言っていいでしょう。対するダフネ・スキッパーズ(NED)はせっかくスタートが良かったのに肝心のコーナー出口でもたつき、本領の差し脚も不発。石塚さんも言ってましたが、少しぽちゃっとした感じだったので、仕上げはまだまだこれから、ということならいいんですが。

それにしても、いくらお下げに結っているとはいえスタートの構えで地面に着いちゃうほどに髪を長く伸ばしたトンプソンといい、100mHでスタートに失敗しつつ平凡な記録ながら他を寄せ付けなかったケンドラ・ハリソンのキノコ頭といい、どう見ても走るのに邪魔だろうという気がするんですけど、いかがなもんなんでしょうね?
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男子100mは、アカニ・シンビネ(RSA)が9秒99(-1.2)で優勝。南半球の国だけにすでに自国のトップシーズンを経てきているとはいえ、相当強いです。
ここ数年、抜群の安定感を誇っていたジャスティン・ガトリンは珍しく4位と大敗。好調時に見せる「檻開き」のアクションがなかったので、不調を自覚していたのでしょう。アンドレ・ドグラス(CAN)もいいところなく5着。この両者は『ワールド・リレーズ』にも出ていたので、特に調整が不順ということはないと思いますが。

男子400mH(ポイント対象外)を圧勝した地元カタールの21歳、アブデルラーマン・サンバも強力な新興勢力です。48秒31のWLが伊達ではないことを証明する48秒44。2位クレメントが49秒40ですから他の選手が軒並み不甲斐なさすぎたとも言えますが、バックストレートでの加速力は圧巻でした。昨季全般的にやや精彩を欠いたこの種目では、女子のダリラ・ムハマドのようにいきなり頭一つ抜け出す存在となるかもしれません。

女子棒高跳はエカテリニ・ステファニディ(GRE)が相変わらず定位置の4m80を綺麗にクリアして優勝。私の“I LOVE”サンディ・モリス(USA)は、金髪にピンクのメッシュを入れてますますビューティフル…成功時にはかなり高い所を跳んでいますがまだ助走にムラがあって、4m80、85で3回失敗。この高さの勝負になるとやっぱりステファニディですね。今季は着実に、自己記録を数センチ伸ばしてくるような気がします。
がっ!5mの勝負になれば、モリスのもんだぜ!
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2017DLがスタート!


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時系列的にはこっちを先に展望すべきでした。
いよいよ今季のIAAFダイヤモンドリーグ全15戦が、カタール~ドーハのスハイム・ビン・ハマド・スタジアムで開幕します。
まあ展望と言いましても、4月23日の投稿で結構なところまで書いちゃってますんで、あとは見てのお楽しみ、ということで、いつものように実施スケジュールと主な出場選手をご紹介しておきます。

(スケジュールは日本時間で紹介。太字はリオ五輪優勝者)

24:00 女子砲丸投(M.カーター,A.マールトン,Y.レオンチュク)

24:15 女子棒高跳(E.ステファニディ,S.モリス,Y.シルバ,N.ビュヒラー)

24:45 男子走高跳(M.E.バルシム,A.プロツェンコ,R.グラバーツ,D.トーマス)

25:03 男子400m(L.メリット,T.マッケイ,S.ガーディナー,K.シバンダ)

25:05 男子やり投(T.レーラー,J.イェゴ,J.ヴァドレイヒ,新井涼平)

25:14 男子1500m(E.マナンゴイ,S.キプラガト,R.ビウォット,B.ブランケンシップ)

25:25 女子800m(C.セメンヤ,E.J.スム,M.N.ワンブイ,G.ディババ)

25:35 女子200m(E.トンプソン,D.スキッパーズ,B.オカグバレ,V.キャンベル-ブラウン)

25:45 男子三段跳(C.テイラー,A.コペイヨ,ドン・ビン)

25:50 女子100mH(K.ハリソン,N.アリ,S.ネルヴィス,S.オフィリ)

26:05 女子3000mSC(R.ジェベト,H.キエン,E.コバーン,H.グリビ)

26:25 男子100m(J.ガトリン,A.デグラス,A.パウエル,K.コリンズ)

26:35 男子400mH※nonDL(K.クレメント,N.ベット,LJ.ヴァンジル)

26:45 男子3000m(Y.ケジェルチャ,M.エドリス,T.ロンゴシワ,C.キプルト



まずは女子棒高跳。ステファニディ(GRE)とモリス(USA)の頂上決戦が早くも見られます。モリスぐぁんばれ!

同じく頂上決戦は女子200m。トンプソン(JAM)とスキッパーズ(NED)のライバル関係は北京世界選手権がスキッパーズ、リオ五輪がトンプソン。今年はどっちに傾くでしょうか??

男子やり投には新井涼平が参戦。昨年日本人最多ポイント獲得者です。こちらの種目も、五輪王者レーラー(GER)に銀の剛腕イェゴ(KEN)、DL覇者のヴェドレイヒと揃いました。リストは最大4名にしようと思ったので書き切れませんでしたが、テロ・ピトカマキ(FIN)やヨハネス・フェテル(GER)もエントリー。新井はぜひともトップ4を!

驚いたのは、ゲンゼベ・ディババ(ETH)の800m参戦です。IAAFの情報では公式記録を持っていませんので、この種目は初レースということなのでしょう。日本ではあり得ないような短い距離への転身ですけど、むかし、モロッコの名ランナー、サイド・アウィタが5000mから800mにシフトしていったケースを思い出します。今年は1500mを中心とした参戦になるということでしょうか?セメンヤには勝てないまでも、最後の直線まで勝負出来たら凄いですよ。

同じように、いつもは障害物つきで走っている3000mのフラット・レースにエントリーしているのがコンセスラス・キプルト(KEN)。こちらは、本業がプログラムにないのでこっちでいいやという感じですかね。

ボルトの最終章となる今季の男子100mは、新興勢力の筆頭アンドレ・デグラス(CAN)にとってのチャンスです。さすがに上がり目の期待できないガトリン、パウエルを相手の試金石がこのレースとなるでしょう。

あとはケンドラ・ハリソン!今季はまだ12秒56がSBとゆったりめの立ち上がりですが、ここで流れに乗れるか?

放送は明日の深夜24時45分から日テレG+で、25時頃から現地映像の生中継に入るはずです。



リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day8



昨夜から今朝にかけては、もうお祭り騒ぎ。遂にオリンピック報道の中で、陸上競技が主役になった1日でした。
このブログ始めて、よかったなとつくづく思います。


◇男子50km競歩
荒井広宙選手―レースそのものが、ものすごくスリリングだったし、4時間テレビに釘付けにさせてくれた上に、競歩界初の大偉業。しかも終わってからのスッタモンダがまたスリリング。表彰式での笑顔を見るまで、気の抜けない丸々半日のドラマでした。

実は私、あの接触があった瞬間から、「あ、これはもしかして…?」と、気が気でなかったんです。というのも、前日に女子400mリレーでアメリカ・チームのクレーム~単独再レースという珍事を見せられていますから、なんでもかんでもとりあえずクレーム付けとけの風潮が甚だしい昨今のこととて、これは少なくとも何らかのアクションはあるだろうなと。
で、ゴール後の特にミックスゾーン付近の様子を注視してたんですが、特に何事も見つけられないままに中継は終了。各ネットニュースにも「荒井、銅メダル!」の見出しが踊り、一件落着かと…その後の数時間、あんなことになってたわけです。

冷静にヴィデオを見直してみました。
まず、競歩に限らず陸上のレースで、肩や腕が接触するなんてことは日常茶飯事のことで、いちいち文句を言う筋合いのものではありません。
ところがこのケース、荒井選手を追い抜いたエヴァン・ダンフィー(CAN)が、その勢いの割には実のところ疲労困憊の極みにあって、ちょっとした衝撃にも耐えられないほどに張り詰めた状態で歩いていたところへ、抜かれた荒井が再度左側から抜き返そうとする際に、チョコンと肩と肩が当たったわけです。ダンフィーが一瞬よろけそうになりますが、それほど大きな衝撃ではなく、10歩ほど何事もなかったように進みます。と、そこで僅かなバランスの崩れが響いたのか、それとも抜き返されたことに心が折れたのか、ヨロヨロっと膝が崩れて決定的な遅れを作ってしまったのでした。
問題は、①荒井選手の能動性による接触事故は確かにあったが、②ダンフィーの失速は接触が直接的原因か?というあたりですね。①については疑いようがなく、それによってダンフィーが軽い衝撃を受けたのも確かです。しかし、それはレース中には「よくあること」。そこで②が問われるのですが、①が何がしかのきっかけになったかもしれないとは推測できても、ダンフィーのよろめきは自身の疲れによるもの、という見方ができそうです。
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 問題のシーン

ここで、現地の陸連スタッフはすぐに日本の放送局からヴィデオを取り寄せて、文書での経過説明を交えて荒井の「無罪」を説明する資料を提出し、いったん競技委員長が下した「失格」の裁定への提訴をIAAF理事会に申し立てたのだそうです。
この政治的アクション、大事ですね。2000年シドニー大会・柔道での篠原信一選手の「世紀の大誤審」の時は、これが決定的に欠落してたんです。あの時の全柔連の対応は、まさに「無能」でした。

とにかく、荒井選手にとってハッピーエンドで本当によかった。
「失格」の一報を聞いた時には、当事者のダンフィー選手に対して
「抜き返されたらもうダメだということは、君自身がよく分かっていたはずだ。そんな形でメダリストになって、満足なのか?あそこまでの君の素晴らしいレースが、台無しにならないか?」
などと心中問いかけたりしておりましたが、聞くところでは当のダンフィー選手にクレームの意思はなく、周囲のスタッフが起こしたアクションだったようです。どこの国でも、メダルってそんなに大事なものなんでしょうかね?(日本側の再クレームは、荒井の名誉がかかっていますから当然です)

レースは、素晴らしいものでした。中盤以降、目まぐるしく変わるトップ争いに追走グループの主導権争い。終盤のまったく予測がつかないデッドヒート。序盤から飛び出した世界記録保持者のヨハン・ディニズ(FRA)が、途中潰れながらもレースを捨てずに8位入賞にこぎつけた姿。メダル争いを繰り広げる選手たちの傍らで、1周・2周とラップされた下位の選手たちが、普通の散歩のようなゆったりしたウォーキングを続けている姿が、レースの過酷さを雄弁に物語っていました。

◇男子400mリレー
もう、震えちゃいましたね。もちろん号泣ですよ。ああ、陸上が好きで良かった!ってね。
一人の9秒台もいない。一人のファイナリストもいない。全員が昨年世界選手権に出ていない。
そんな、目に眩しいサンライズ・レッドのサムライたちが、外国の陸上関係者やファンの間には、どのように映ったのでしょうか?…
「彼らがどうしてあれほど速く走れたのか?」ということは、それら海外の人々やふだんあまり陸上を見ない方々にとってはとても不思議なことに違いありません。
「奴ら、ニンジュツを使ったんじゃないか?」とかね。
このことについては、稿を改めてじっくりと書いてみたいと思います。

1位ジャマイカとの差は、0.32秒。ボルトが一線から身を退き、パウエルも…となった暁には、日本は本当にガチでジャマイカに勝てるかもしれません。事実、ボルト・ブレイク抜きのメンバーには完勝してるんですから。
アメリカも、ガトリン、ゲイ、ロジャーズあたりはそろそろ潮時でしょうが、また誰か出てくることでしょう。ブロメルは脚を痛めたみたいですね。それでもあそこまでケンブリッジを追い込んだのは、さすが恐るべし!
今後はいよいよ日本のリレーでの強さの秘訣を、各国が真剣に研究してきます。日本のように年間を通してチーム練習に時間を割くことや、バトンワークの科学的精査が争うようにして行われるはずです。『ワールドリレーズ』という大会ができた(来年は4月22・23日)ことも、そうした動きに拍車をかけるでしょう。
日本チームに求められるのは、個人の競技力のいっそうの向上、ということになります。
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◇その他

女子5000mでは、アルマズ・アヤナがまさかの3着敗退。
ぶっちぎりの独走態勢に持ち込むいつものレース模様にも諦めなかったヴィヴィアン・チェルイヨトとヘレン・オビリのケニア勢は見事な戦いぶりだった一方で、アヤナはさすがに10000mの大記録が想像以上に堪えていたのかもしれません。

女子棒高跳は、私の目論見どおり(そう予想はしませんでしたが願っておりました)ステファニディとモリスの一騎討ち。ただ、どちらも4m90を跳べなかったのが、記録的には物足りなかったです。
どんな時でも4m80前後を外さないステファニディの今季の安定感は、ちょっと驚異的です。昨年のDLでは、同国のキリアポウロウ(予選DNS)が年間タイトルを制していて、今季初めのステファニディは「ギリシャの新人」みたいな扱いだったのに、とうとうここまで来たか、という感じです。

男子ハンマー投。解説の小山裕三さんが嘆息するように、「30年前に戻ってしまった」(実際には1986年はセディフ、リトビノフのソ連2強によって85m前後がポンポン投げられていた時代なんですが、彼らが出場しなかった84年ロサンゼルス大会以来の優勝記録70m台という意味では、そのとおり)記録の低調さは、いったいどうしたことでしょう?
優勝候補筆頭のファイデク(POL)が予選落ちしてしまったこともありますが、この種目自体がダイヤモンドリーグから外されているなど、競技としての低迷には根深い要因がありそうです。室伏広治も、もう少し早く本腰入れて復帰していたら、というか去年休まなければ、いいところまで行ってたかもしれません。

◇Day9展望
あっという間でしたね。トラック&フィールドは最終日です。
ロードとトラックで相次いでメダル獲得の日本陸上、ここはもういっちょう今度はフィールドで、新井涼平におまかせ!という期待のかかるDay9です。
何が起きるか分からないやり投。女子でも、まったく予測不能の結果でしたし、今季の男子はそれなりにハイレヴェルながら、誰が最もリオの夜空を切り裂くかは、誰にも予想できないでしょう。いちおう、ドイツ勢3人の誰か、とだけ私なりの予想をしときましょう。
新井は、予選と同様とにかく1投目から全開で。ぜひとも、6回私たちをワクワクさせてもらいたいです。

その他の各種目については前の投稿で展望してますので、あとは男子5000mですか…ファラーでしょう!
で、最後は“お祭り”の女子・男子4×400mリレーを、日本チームが出ない気楽さで、せいぜい楽しみましょう。
女子は、アリソンの有終の走り(だと思います)に、男子は予選で振るわなかったボツワナの巻き返しに、それぞれ注目しています。

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day6&展望



女子レスリングの大逆転金メダル3連発に沸いた大会第13日でしたが、今日14日目は、我が陸上競技(Day7)にとって「異常事態」発生です。
大事な大事な400mリレー予選や、野澤啓佑がもしかしたら進出していたかもしれない男子400mH決勝などがあるこの日のMorning Sessionが、どこを探してもTV放送予定がない!
そりゃ、伊調馨に続く吉田沙保里の4連覇がかかるレスリングや、バドミントンの準決勝・決勝は大事でしょうけど、それからテコンドーやトライアスロンなんかもありますけど、こんだけテレビのチャンネルがうじゃうじゃあるのに、まとまった録画放送の予定すらありません。まあ、リレーで決勝進出、てなことになればどこかの空き時間にやってくれるんでしょうけど、ヒドイ編成もあったもんですね。
日本人は誰も彼も、「メダル」と「女子」しか見たがらないという、スポーツ心のないテレビ関係者の思い上がった考え方が、露骨に出てしまった編成です。
しかたない、心ある陸上ファンは、せめてうるさくて下手くそな実況のないネット配信で、今夜の競技を楽しむことにしましょう。
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 日本陸連HPより http://www.jaaf.or.jp/taikai/1397/tvtimetable.pdf

昨夜と今朝のDay6では、まず男子やり投での新井涼平の見事な予選通過という嬉しい結果がありました。
少々順番を変えて、この話題からいきましょう。

◇男子やり投げ予選(通過記録83m00)
 15WC ①92m72J.イェゴ(KEN) ②88m99I.アブデルラーマン(EGY) ③87m64T.ピトカマキ(FIN)
 15DL ①17p/4 ピトカマキ ②15p/6 V.ヴェセリ(CZE) ③8p/4 K.ウォルコット(TTO)
 16DL ①30p/4 T.レーラー(GER) ②25p/4 アブデルラーマン ③20p/4 J.ヴァドレイヒ(CZE)
 16SB ①91m28 レーラー ②88m23 J.フェテル(GER)・A.ルースカネン(FIN)

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A組の1位が84m46(J.ヴェーバー=GER)、通過記録到達が4人と伸び悩んだのを受けて、B組1番手で登場した日本フィールド陣のエース・新井涼平。ラインぎりぎりで踏みとどまる気合の一投でイエローラインを大きく超え、84m16の一発通過を決めて見せました。
すぐ後の投順だったケショーン・ウォルコットが、トラックのスタートでしばし待たされながらも88m68SBの大投擲で続き、6番目のヨハネス・フェテル(GER)も85m96で新井を上回って、いやこの組はレヴェルが高いぞ、と思いましたが、その後は続かず。
結局3回目までの通過記録到達は2人増えただけで、12位81m96までが決勝進出ラインということになりました。
ビッグネームではイハブ・アブデルラーマン(EGY)が大会直前にドーピングで消え、昨シーズン復調気配を見せていたテロ・ピトカマキ、また新井の好敵手的位置にいたスチュアート・ファルクハー(NZL)、ホアン・シフェン(TPE)などが予選で姿を消しましたが、おおむね実力者が勝ち残りました。決勝は昨年の世界選手権同様、83mを投げてもトップ8に行けるかどうかという、質の高い戦いになりそうです。
今季好調なのは、トマス・レーラーを筆頭にランキング4位までに3人入っているドイツ勢で、これに予選でビッグスローを見せたウォルコット、世界選手権覇者のジュリアス・イェゴ、ヴィテズラフ・ヴェセリー以下のチェコ勢3人、王国フィンランドからただ一人残ったアンティ・ルースカネンと、油断のならない面々が絡みます。
優勝、新井の順位ともに、まったく予測がつきません。4年前だって、ウォルコットが優勝するなんて誰一人思ってなかったでしょうしね。

◇男子3000mSC決勝
ケニアの内戦(?)、大御所エゼキエル・ケンボイと新世代のエース、コンセスラス・キプルトの対決は実にみどころ満載でしたが、ケンボイのスプリント力を知悉したキプルトが早めに勝負に出て快勝。ゴール前レースを捨ててしまったケンボイは3着で入線しましたが、後になって走路違反(水壕直後のコーナーを一瞬ショートカット)が発覚してDQとなってしまいました。1968年以降、ケニアが参加したオリンピックのこの種目で金メダル1人しか表彰台に送れないのは、これが2度目です。ケンボイはDQ裁定の下る前に、引退を表明しています。
キプルトの強さは別格として、ケンボイとのマッチレースに終盤まで絡んでいったエヴァン・ジャガー(USA)の底力もなかなかのもの。今後はぜひ、去年のDLパリ大会で最終障害で転倒して惜しくも逃した「7分台」を達成させてあげたいものです。
それにしても、中長距離各種目でのアメリカ勢の活躍はすごいですね。
 男子800m クレイトン・マーフィー3着
 男子5000m 2人決勝進出
 男子10000m ゲーレン・ラップ5着
 女子1500m ジェニファー・シンプソン3着、シャノン・ロウベリー4着
 女子5000m 2人決勝進出
 女子10000m モリー・ハドル6着
 女子3000mSC エマ・コバーン3着
 女子マラソン シャレーン・フラナガン6着、デジリー・リンデン7着
これ、もしケニアとエチオピアがいなければ空前のメダル・ラッシュってことになってますね。日本選手も大いに学ぶべきでしょう。

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◇女子走幅跳決勝

昨年の世界選手権ではブリトニー・リース(USA)の予選落ちによるタナボタ的な優勝のイメージがあったティアナ・バートレッタ(USA)が、今度はその世界選手権を3センチ上回る7m17のPBを跳んで、正真正銘の実力でリースをねじ伏せました。
私めが贔屓するイヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)は、どんな時でも6m80-90は外さない安定感はさすがの一言ながら、7m10を超える優勝争いになってしまうと分が悪かったですね。それでも、1回目6m95でリードし、5回目NRになる7m08でいったん2位に浮上したのは、素晴らしい戦いぶりでした。
ロシアからただ一人、それも予選の前日になってようやく出場を認められた(IAAFはプンプンだそうです)ダリア・クリシナは、美人選手としても世界的な人気がありますが、PB(7m05)に遠く及ばない記録で9位に終わり、お騒がせしたピットを3回跳んだだけで後にしました。

◇男子200m準決勝(3組2着+2)
3組でジャスティン・ガトリンとヨハン・ブレイクがマクラを並べて討ち死に。これで決勝が断然ラクになったウサイン・ボルト、自身のレースはその一つ前で、意外や100m3位のアンドレ・デグラス(CAN)に食い下がられ、「およ?お前さんなかなかやるなあ」といった表情で和やかに談笑(?)しながらゴールを駆け抜けたのが、印象的でした。前にも、練習仲間のリチャード・トンプソン(TTO)やZ.ヒューズ(GBR)との並走では、こんな光景を見たことがありましたね。
デグラスの躍進は目覚ましいものがありますが、決勝はボルトの独り舞台になりそうな予感です。
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◇女子200m決勝
「頂上決戦」は、エレイン・トンプソンの勝利。
1メートルほどの差をつけた完勝だったにも関わらず、リザルトを確認するまで信じられないといった表情のトンプソンは、カメラマン席の前で晴れやかなポーズをとることができないほどに疲労困憊の様子。そして自信満々だったのでしょう、脱いだスパイクを地面に叩きつけて悔しがったダフネ・スキッパーズ、それぞれの姿がレースの激しさを物語っていました。
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◇女子100mH決勝
主役不在のまま決勝まで大きな波乱もなく推移したこの種目、決勝も順当に、シーズンランキングのトップ3を占めるアメリカ勢が表彰台を独占し、一歩抜け出た感じでブライアナ・ローリンズが念願の金メダルを手中にしました。つくづくケンドラ・ハリソンのシャープな走りを見たかったとは思いますが、それはDL終盤戦でのお楽しみということで。
ところで、ティファニー・ポーターとシンディ・オフィリの美人姉妹が揃って決勝レースに進んだことは、放送席的には結構な話題になっていいことだと思ったんですけど、もしかして実況の富坂アナ氏、姉妹であることを知らなかったんでしょうかね?…どうも今大会のNHKアナはこと陸上競技に関する限り、ビブを見ないとかなりな有名選手でも名前が伝えられないなど、勉強不足が甚だしいです。
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◇Day7の展望
十種競技の後半・110mHは9時30分の開始。男子400mリレーは11時40分のスタートです。パソコンに齧りつきましょう!

400mリレー予選(2組3着+2)の日本チームは第2組、内から順にイギリス、オランダ、ジャマイカ、ドイツ、キューバ、日本、トリニダードトバゴ、ブラジル…なかなかタフな組になっちゃいましたね。
ジャマイカ、イギリスの2チームはしょうがないとして、今回これといった大ゴマのいないトリニダードトバゴとブラジルには何とか勝ちたいですね。ドイツやオランダに負けるようだと、危うし!です。走順は山縣-飯塚-桐生-ケンブリッジ、もしくは山縣-飯塚-高瀬-桐生というのが有力だと言われています。どちらにしても近年の日本チームとしては最高のメンバーですから、頑張ってほしい!

女子走高跳予選があります。ロシア不参加によってアンナ・チチェロワ、マリア・クチナという2強が消え、最も大きな影響を受けた種目になりました。代わって優勝のチャンスが舞い込んできたのが、今季WL(2m01)のショーンテ・ロウ(USA)、大ヴェテランのルース・ベイティア(ESP)、そしてお馴染みブランカ・ヴラシッチ(CRO)。七種を制して日の出の勢いのナフィサトウ・ティアム(BEL)も絡んでくると、相当な混戦模様のゲームとなりそうです。

夜の部は男子砲丸投、女子やり投、女子400mH、男子200mの各決勝と十種競技の決着。こちらは、何とか放送がありますのでお楽しみに。

 
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