オリンピック翌年の静けさ、といっても今までとは少々雰囲気が異なる気がするのが、世界の陸上界です。
どの競技にも言えることながら、己の選手寿命を見限るタイミングというものが先延ばしになる傾向が強くなった結果、オリンピックという節目で姿を消す選手が少なくなり、そのため以前は顕著だった新旧交代という図式が描きにくくなっています。
その一方で、オリンピック翌年のひと息、というムードが充満しているのもまた明らかで、ダイヤモンドリーグなんか見ていますと何となく記録的に盛り上がりが少なく、平板なまま推移している感じもします。DL出場選手の過半数を占めるNIKE契約の選手の場合、リオ五輪金メダリストだけが他と異なるユニフォームを着用しているので非常に分かりやすいのですが、多くの金メダリストが参戦しているにも関わらず、なのです。
今季のDLはツアー・チャンピオンシップ方式が大きく変更されたことや、たとえ総合優勝しても翌年の世界選手権のワイルドカードを得るというメリットがないことも、いま一つ盛り上がりを欠く理由の一つなのかもしれません。

そんな状況ですから、男子スプリントの活況を中心に、日本の陸上界が世界に少しでも追い付くチャンスではあるのです。トラック&フィールド・シーズンの最初の天王山、『第101回日本陸上競技選手権』まで、いよいよあと5日と迫ってきました!

◆女王・福島、大ピンチ
女子スプリント界の、いや日本陸上界のヒロインである福島千里(札幌陸協)の100m8連覇、200m7連覇に黄信号が灯っています。
長年所属した北海道ハイテクACを退団しプロとして独立するという決断をもってスタートした今季は、織田記念でのDNF以降まったく精彩を欠き、選手権前の調整試合に選んだ布施スプリントでも決勝でほぼDNFに近い状態で最下位と敗れました。
オリンピック代表選考戦線が続いた昨季も同じように脚の状態に不安を抱えていたとはいえ、無事に走り切ったレースではそこそこのタイムを出していたのに比べ、今季はまったくいいところがありません。プロとしての選手生活が影響しているのでしょうか、それともそのこととは無関係な不調および体調の悪さと見るべきでしょうか。

これまでの数年間であれば、少々の不調ではあっても福島選手の実力があまりにも図抜けていたために、連覇記録は途絶えることがありませんでした。
ただ今季は、某スポーツ紙が盛んに「美女スプリンター」と囃し立てる(私にはどうしてもそう見えないんですけどね)市川華菜(ミズノ)が、春先から絶好調です。
布施の予選では、実際にガチンコのレースで福島に完勝しており、6年ぶりにPBタイの11秒43(+1.1)を記録。決勝は+2.1mの参考記録となりましたが11秒38と、2着の世古和(クレイン)に3メートル差の圧勝劇を演じました。
過去に福島の前に立ち塞がった髙橋萌木子、土居杏南といったライバルの場合は、福島がそれ以上の実力を見せつけることでねじ伏せてきたのですが、その地力が発揮できるかどうかが疑わしい今回、スプリント界の女王にとっては最大のピンチが訪れた、と言ってもよいでしょう。
 

もう一人、昨年高校2年生で100・200ともに2位となった齋藤愛美(倉敷中央高3)が、今季はスロースタートです。インターハイ岡山県および中国地区大会では相変わらず無敵ぶりを見せてはいますが、+2.8mの中国大会100m決勝では11秒83と、かなり物足りない内容。もし、福島が王座を明け渡すのならば次代を担う齋藤に、と願っているのですが、どうなるでしょう?

注目の女子100mは、全種目のオープニングレースとして、23日(金)の15時過ぎから予選が始まります。

ランニングシャツ 半袖シャツ レディース NIKE ナイキ ランニングウェア Tシャツ ウィメンズ DRI-FIT マイラー プリンテッド クルートップ 女性用 半そで Dry Miler Running Top /847999

価格:3,850円
(2017/6/18 09:34時点)
感想(0件)


◆女子400も混戦
日本記録保持者の千葉麻美が引退、99回大会優勝の青木沙弥佳(東邦銀行)、さらには石塚晴子(東大阪大2)や吉良愛美(アットホーム)らが400mHに専念する中で、不動の第一人者の地位を築きつつあった青山聖佳(大阪成蹊大3)が日本個人インカレで5位と惨敗して、こちらも混戦模様です。
昨年高校3年で2位と奮闘した青木りん(東邦銀行)の近況が先日TVで紹介されましたが、虎視眈々と狙っている感じがします。あとは関東インカレ(54秒36)、個人インカレ(54秒05)を制した岩田優奈(中大2)が好調。毎回高校生の活躍が目立つ種目ですので、IH近畿大会で53秒台に突入してきた川田朱夏(東大阪大敬愛高3)にも注目しておきたいところです。