「駅伝漬けの日々」もいよいよクライマックス寸前、正月駅伝に向けて気分を盛り上げる年末行事、『2016全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)』が、昨日行われました。

◆創設4年目…「年末の風物詩」になってきた
雨後のタケノコのごとく次々と現れる新興の大会としては、最近最も成功しつつあるものではないでしょうかね。
かつて我が地元近くのつくばで開催されながら、諸般の事情で廃止に追い込まれた「全日本女子選抜大会」を復活させた大義名分的な意味合いが一つ。
正月の「箱根」と同様に、富士の裾野の景観を眺めながらのTV観戦は、年末気分にしっくりと馴染みます。
特に、男子の「箱根」の対極に位置付けるかのように富士の「山登り」をアピールするコース設定は、なかなかスリリングな気分を醸し出してくれています。
そして、この大会の定着によって、「ゆく年」を惜しむ高校駅伝と富士山駅伝、「くる年」を迎えるニューイヤー駅伝と箱根駅伝という、駅伝ファンにとって年末年始の至福の日々が、しっかりと形作られました。
ついでにビジネス的なことまで言うと、スズキ、ヤマザキ、サッポロという各大会の冠スポンサーにとっては、これ以上ない共存共栄ではないかと察せられます。今回、選手のナンバーカードには区間ごとにスズキ自動車の異なる車種名が記載され、「軽自動車の仮想駅伝」といった趣の遊び心を楽しませてもらえました。(これまでも同様のことはやっていたのですが、全区間異なる車種名を記載したのは初めてかと思います)

大会の権威という意味では10月の『選手権(杜の都駅伝)』のほうが上位なのは間違いありませんが、時期的に後から行われることや距離・区間数ともに『選手権』を上回るということもあって、むしろ注目度はこちらのほうが高くなりつつある、とさえ感じられます。伝統はあれども権威としては『全日本』や『出雲』の風下、関東学連のローカル大会に過ぎない『箱根』が、いまや日本一の駅伝イベントとして不動の地位を築いているように、です。
いずれにせよ、女子学生ランナーたちの目標としてロードシーズンにビッグレースが2つ控えているという状況は、たいへん結構なことだと思います。

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◆「王者の駅伝」でリベンジ達成
結果は、『杜の都』で女王のプライドを粉砕された立命館が、万全とは言えない陣容の中で練りに練ったオーダーを組み、各選手が持てる力を必死に振り絞った結果、みごとに雪辱を果たすレースとなりました。
『杜の都』で大森菜月をアンカーに起用したことを「受け身の作戦」と評した当方の声が聞こえたわけでもないでしょうが、今回のリッツは駅伝の鉄則である前半勝負に立ち返り、他校ならコマ不足に悩む終盤も豊富な選手層に任せて押し切る、という王者らしい攻めの流れを企図したように見えました。

それでも、1区・佐藤成葉、2区・菅野七虹という、現有戦力ではある意味“切り札”の2人がともに新女王・松山大学に区間賞をさらわれて少々重苦しいスタートではありました。ただ、ここで決定的なアドバンテージを与えることなく秒差に踏みとどまった粘りと、ベストコンディションからは程遠い状態ながら「大エース」の底力で“奪首”を果たした大森の走りで3区までを互角に渡り合ったところが、さすがです。
そして高校(立命館宇治)1年の時の『都道府県対抗駅伝』以来の区間賞で定位置を確立した池内綾乃は、苦難の連続だった学生生活を締めくくるMVP級の活躍だったと言えるでしょう。
見るからにおっとりした京美人の雰囲気を漂わせる池内は、その高1時代から、私にとって気にかかる存在の選手でした。宇治高4人衆(菅野、廣田麻衣、青木奈波)の一人として鳴り物入りでリッツに加入しながらその年の杜の都には唯一人メンバーから漏れ、今年ようやくメンバー入りを果たした苦労人の遅咲きが、とても嬉しく感じられたのです。

トップを確かなものにしたところで、5区・和田優香里、6区・園田聖子はともに、地味ながら安心して現状維持を任せられる、これも駅伝にはなくてはならないキャラクター、ここの配置が実に絶妙でした。
そして、チームメイトもその起用に驚いたというアンカー・松本彩花。大学駅伝は初見参、薫英女学院時代の記憶もほとんどないリッツの“秘密兵器”です。パッと見で目が行くのは、競輪選手のように発達した太腿の逞しさ。かつて男子で綽名が「フトモモ」と言われた堺晃一選手(駒澤大→富士通→昨年引退)をつい思い出してしまった、それほどの見事に鍛え上げられたおみ足です。「こういう(堺選手のような)フトモモは、登りが強いんですよ」という、瀬古さんの解説も同時に思い出します。
その期待に違わず、タフな坂道を飄々と駆け抜けた松本は、区間賞(細田あい=日体大)から3秒差の区間2位で、結果的にはいつもの立命館同様の「圧勝」でゴールテープに飛び込んだのでした。

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◆さて来年は?
リッツ最大のライバルとなった松山大は、5区の大エース・中原海鈴のブレーキによって自滅した感が強い一方で、オーダー表を見渡しても、「普通にやれば勝てる」という油断があったようにも感じられます。何が起こるか分からない駅伝で、まさか大黒柱が大コケするとは思ってもみなかったでしょうが、そこまで想定して準備を万端整えていたのかどうか…このあたりは「女王」と呼ばれるチームとの経験の差ではなかったでしょうか。
立命館・松山ともに、強い4年生世代が去った後の顔ぶれを見ても、来季新入生の実力のほどは未知数ながら、現有戦力的に松山がやや上回っている感は否めません。来年以降も、立命館が最も恐れるべき相手は、松山ということに変わりはなさそうです。

数年前の「立命館vs.佛教」時代の再来を思わせる今年の大学女子駅伝勢力図と見える一方で、名城大、大阪学院大、日体大、京都産業大、大東文化大と、上位各校のチーム力は明らかに「2強」の時代を許さないほどに接近してきています。
今回は、立命館では太田琴菜(3年)や関紅葉(2年)、松山では『杜の都』の殊勲者だった緒方美咲(2年)、また名城でもエースの湯澤ほのか(4年)や向井智香(1年)といった主力どころを欠いていたがゆえの実力拮抗という見方もできるでしょうが、4位以下の各校にもそれぞれ核になる実力派たちが来年以降への巻き返しを手ぐすね引いているところがあり、今年の4年生世代が卒業した後は、混沌とした状況が予想されてくるのです。

タレント揃いの4年生たちの実業団での飛躍を期待するとともに、来年もまた、大学女子駅伝が「女王・立命館」を軸として熱く盛り上がることを、大いに楽しみとしましょう。