豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

北村夢

日本インカレ3日目(遅!)~女子800でも快記録誕生!


日曜の夜からブログ更新の時間がとれず、『第86回日本学生陸上競技対抗選手権(日本インカレ)』最終日の結果を未掲載のままになっていました。まあ、大会ページをご覧いただければより詳しい情報が分かりますからお困りの方はいらっしゃらないでしょうが、中途半端な形はよろしくないので、遅ればせながら。
桐生選手の日本新記録で沸きに沸いた今大会、最終日にも素晴らしい記録が出ています。


女子800mで、北村夢選手が2分00秒92の日本学生新記録!
かつて杉森美保さん(当時京セラ、現・京セラコーチ)が2005年にマークした日本記録2分00秒45に迫る、歴代2位の見事なタイムです。女子トラックでは世界大会と最も縁遠いものの一つと言われ、杉森さん以外にオリンピック、世界選手権の参加標準記録を破った選手がいない不毛の種目で、ようやく今年のロンドン世界選手権参加標準記録を上回る快記録が出されたのです。
バックストレートを強い向い風が吹き抜けるコンディションの中で、前後半をほぼ変わらないイーブン・ペースで押し切った力強いレース。杉森さんが日本記録を達成した時には前半の400を59秒前後で入っていましたから、このレース運びは今までの女子800ランナーには見られなかったタイプのものかもしれません。
東京高校出身の北村は、昨年までのベストが2分04秒57。今年6月に2分02秒52、そして今大会と、最終学年で急速な進歩を見せています。関東インカレ・日本選手権そして日本インカレの「3冠」を目標に掲げていたのをも、悠々と達成してのけました。
杉森さんが室内を含め3度にわたって達成した2分00秒台の領域に追いつき、次はいよいよ、男子100mの「10秒の壁」と同様にそびえる「女子800m2分の壁」に挑みます。またまた、楽しみな選手が出てきましたねえ!

◇女子800m
 ① 2'00"92 北村 夢(日本体育大4)NUR GR
 ② 2'05"01 広田 有紀(秋田大4)
 ③ 2'07"38 池崎 愛里(順天堂大1)

男子の方でも、大会新記録が出ています。あの川元奬選手、横田真人さんも達成できなかった、日本インカレで初の1分47秒台をマークしたのは村島匠(順天堂大)。こちらは、前半を中団で進み、第4コーナーで一気にまくり切る豪快なレースでした。

◇男子800m
 ① 1'47"92 村島 匠(順天堂大4)GR
 ② 1'49"41 黒木 卓真(近畿大2)
 ③ 1'49"51 田母神 一喜(中央大2)

3日間を通じて、日本新記録1つを含め大会新記録が7種目と、非常に記録的価値の高い盛況な大会になりました。
陸上トラック&フィールド・シーズンはこの後、全日本実業団選手権と国体を残していますが、男子短距離陣に引っ張られるようにしてどんどんムードが良くなっています。合間に行われる長距離記録会などの動向も併せて、まだまだお楽しみは続きそうですね。
3日目・その他の結果は以下のとおりです。

◇男子200m(+1.6)
 ① 20"58 小池 祐貴(慶應義塾大4)
 ② 20"62 田中 佑典(日本ウェルネス大2)
 ③ 20"77 山下 潤(筑波大2)

◇男子110mH(+3.0)
 ① 13"46 金井 大旺(法政大4)
 ② 13"56 石川 周平(筑波大4)
 ③ 13"66 栗城アンソニー(国際武道大3)

◇男子400mH
 ① 49"80 渡部 佳朗(城西大3)
 ② 50"29 山本 竜大(日本大2)
 ③ 50"36 井上 駆(立命館大4)

◇男子3000mSC
 ① 8'34"80 塩尻 和也(順天堂大3)
 ② 8'45"45 三上 嵩斗(東海大3)
 ③ 8'47"42 滋野 聖也(星槎道都大3)

◇男子4×400mR
 ① 3'07"15 東洋大学
 ② 3'08"16 中京大学
 ③ 3'08"26 大東文化大学

◇男子走高跳
 ① 2m21 赤松 諒一(岐阜大4)
 ② 2m18 藤田 渓太郎(立命館大2)
 ③ 2m18 真野 友博(福岡大3)

◇男子三段跳
 ① 16m77(+2.7)山本 凌雅(順天堂大4)
 ② 16m19(+2.8)中山 昂平(中京大M1)
 ③ 15m99(+2.1)岡部 優真(福岡大M1)

◇男子砲丸投
 ① 17m48 武田 歴次(日本大4)
 ② 17m18 幸長 慎一(四国大2)
 ③ 17m11 村上 輝(国士舘大4)

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◇女子200m(+1.3)
 ① 23"81 中村 水月(大阪成蹊大4)
 ② 23"98 柴山 沙也香(大阪成蹊大2)
 ③ 23"99 前山 美優(新潟医療福祉大4)

◇女子100mH(+2.5)
 ① 13"37 小林 紗矢香(愛知教育大3)
 ② 13"39 福部 真子(日本体育大4)
 ③ 13"46 田中 佑美(立命館大1)

◇女子400mH
 ① 58"28 王子田 萌(立命館大M2)
 ② 58"68 吉田 佳純(駿河台大1)
 ③ 58"87 片山 晴日(福岡大4)

◇女子3000mSC
 ① 10'02"64 藪田 裕衣(京都産業大4)
 ② 10'12"59 岡田 佳子(松山大2)
 ③ 10'19"91 信岡 桃英(京都産業大2)

◇女子4×400mR
 ① 3'37"44 日本体育大学
 ② 3'38"89 立命館大学
 ③ 3'42"05 駿河台大学

◇女子10000mW
 ① 45'49"80 五藤 怜奈(中部学院大4)
 ② 46'24"97 河添 香織(立命館大4)
 ③ 47'07"79 溝口 友己歩(早稲田大2)

◇女子棒高跳
 ① 3m90 那須 眞由(園田学園女子大3)
 ② 3m90 若園 茜(筑波大3)
 ③ 3m80 鈴木 里菜(日本体育大4)

◇女子ハンマー投
 ① 58m81 本村 夏鈴(九州共立大4)
 ② 57m12 小舘 充華(流通経済大1)
 ③ 56m54 桑原 翠(九州共立大1)

第101回日本選手権の見どころ ⑤ ~女子中長距離


このカテゴリーは、私にとってのメインイベントです。
特に女子10000mは、創成期の松野明美と朝比奈美代子の大逆転レース、鈴木博美・千葉真子・川上優子らをラスト1周62秒の猛スパートで一網打尽にした弘山晴美、無敵の6連覇で時代を創った福士加代子、北京代表を争った福士・赤羽有紀子・渋井陽子の鍔迫り合い、2位以下を全員周回遅れにした新谷仁美の圧巻の独走など、いくつもの名勝負・名場面が思い浮かびます。昨年の雨中の激闘も素晴らしいレースでしたが、放送の演出にこだわって大部分を見せなかったNHKのボーンヘッドにはやきもきしました。
今年も、タレントは豊富です。秘かに自分が注目する選手がどんな走りをしてどのポジションに入ってくるか、期待に胸躍るここ数日です。
2016日本選手権10000

◆「女王」待望の800m
400mと並んで、ここのところ上位の顔ぶれが猫の目のように変わる女子800m。2011年の岸川朱里(長谷川体育施設)以降、連覇した選手がいません。昨年高校生で制覇した福田翔子(松江北高→島根大学)も今季はまったく音沙汰なしで、競技を辞めてしまったのでしょうか、エントリーリストにも名前がありません。記録的にも、停滞が続きます。
その中ではインカレの関東・個人を連覇した北村夢(日本体育大4)が2分4秒台で安定した力を発揮、一歩リードの感があります。これに福田の好敵手・池崎愛里(順天堂大1)や卜部蘭(東京学芸大4)といった学生勢、大森郁香(ロッテ)や山田はな(わらべや)といった優勝経験者がどう絡むか。400とのダブルエントリーとなる川田朱夏(東大阪大敬愛高3)、塩見綾乃(京都文教高3)、後藤夢(西脇工業高3)らの高校勢はどうか…・
これだけ大勢の名前を挙げなければならないということは、主役不在ということです。個人的には、2011年の400m優勝者、新宮美歩(東邦銀行)にももう一花咲かせてもらいたいものですが。

◆1500mはニューカマーに期待
昨年何度目かのブレイクを果たした木村友香(ユニバーサル)が、今回は代表権にリーチをかけている5000mをメインで狙ってくると思われますので、この種目も混戦模様です。
優勝経験のある陣内綾子(九電工)や須永千尋(資生堂)、森川千明(ユニクロ)、飯野摩耶(第一生命G.)といったベテランもまだまだやる気の一方で、エントリーリストには高校中長距離界の一線級や高卒ルーキー・2年目の名前がズラリと並びます。
髙橋ひな(NIKE TOKYO)・田中希実・後藤の「西脇工3人娘」やインターハイ戦線での主役が期待される高松智美ムセンビ(薫英女学院高3)、リンズィーヘレナ芽衣(市立金沢高3)、林英麻(健大高崎高3)らにも食指が動きますが、イチオシは昨季の駅伝での快走ぶりが印象深い和田有菜(長野東高3)でしょうか。
かつて小林祐梨子、小林美香(ともに須磨学園高)といった高校生が優勝をさらってあっと言わせたこの種目、今年もその再現が見られるかもしれません。

◆オリンピアン高見澤の安定政権?
3000mSCは、予想外のリオ五輪出場を勝ちとった高見澤安珠(松山大4)の長期安定政権が続きそうな気配です。対抗格の森智香子(積水化学)も故障のない順調ぶりで追随しますが、とにかくあのお粗末なハードリングを改善しないことには、ラスト勝負に持ち込んでも勝ち目はありません。3番手も三郷実沙希(スズキ浜松AC)で安定状態。新勢力、たとえば向井智香(名城大2)あたりに一波乱を期待したいところでしたが、エントリーは1500だけでした。
もちろん(?)、早狩実紀(京都陸協)も出場します。レジェンドです。

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◆百花繚乱の5000、10000
長距離2種目は、セットで語る必要があります。男子も同様ですが、先に行われる10000mの結果を承けて、5000mの動向が変わってくるところがあるからです。
現在、女子の「標準」到達者は全種目を通じて5000mの3名、10000mの16名、これだけです。世界選手権代表が長距離オンリーになってしまう危惧を孕んでいる状況ですが、中で10000の到達者数が突出しているのも珍現象です。(10000mは標準記録の有効期間が昨年1月1日からと長いことと、世界的にレース数が少ない、あるいは強豪国が偏っているためレベルが引き下げられていることが原因)

10000m到達者16人のうち、すでにマラソン代表を決めている安藤友香・清田真央(ともにスズキ浜松AC)と5000mに専念する松﨑璃子(積水化学)を除いた13人が、全員エントリーしています。
リオ代表の鈴木亜由子、関根花観(ともに日本郵政G.)、高島由香(資生堂)はいずれも5月のペイトン・ジョーダン招待を走って順調の模様。この3人が今のところ実力上位である状況は、昨年とそう変わりありません。食い下がる存在としては、5000代表の上原美幸(第一生命G.)、実業団覇者の松田瑞生(ダイハツ)、進境著しい一山麻緒(ワコール)あたりでしょうか。石井寿美(ヤマダ電機)はマラソンにチャレンジした影響が懸念されますし、私が大好きな中村萌乃(ユニバーサル)では今一つ実力不足か?…。

5000の到達者は木村友香、松﨑璃子、森田香織(パナソニック)の3人。ランキングトップの木村が真剣に代表を狙ってきますが、まだ5000mの経験が十分ではなく、一抹の不安を感じさせます。その意味では安定した実力を発揮している松﨑が、5連覇・3大会連続代表を目指す尾西美咲との連携を含めて優位な立場にいると見られます。
先に10000で代表権を確保した選手がどういうレースに持ち込もうとするかで、展開は大きく変わってくるところがあります。その中で、福田有以、横江里沙という有力選手2人を擁する豊田自動織機勢が、助っ人アン・カリンジを使って主導権を取りにくる展開が予想されます。特に春先から好調の福田はあと一歩のところで「標準」を逃すレースが続いており、盤石の仕上げで臨んでくるものと思われます。
男子と違ってまず間違いなく「標準」を見据えた速い展開になるだろうと思いますが、その中で「代表」云々をあまり意識せずに追随する、矢田みくに(ルーテル学院高3)、小笠原朱里(山梨学院高2)、森林未来(諫早高3)といった高校生ランナーの一発にも注目です。となると、佐藤成葉(立命館大2)、関谷夏希(大東文化大2)、岡本春美(三井住友海上)などの若手勢にも奮起を期待したいところ。言うまでもなく、“復活”が待ち望まれる鷲見梓沙(ユニバーサル)からも、目が離せません。

2017日本選手権5000
2017日本選手権10000

ギャラリー
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