久しぶりに土曜日が休日となりましたんでノンビリしとりますところで、明日行われる『第36回大阪国際女子マラソン』の展望記事など、ぶちかましてみたいと思います。

番組上は、リオ五輪代表の伊藤舞(大塚製薬)、ロンドン代表の重友梨佐(天満屋)、8回目の出場となる“大阪国際のヌシ”、41歳のママさんランナー・小崎まり(ノーリツ)などのネームバリューがメインで取り沙汰されることになると思いますが、私の注目はそれらに続く世代の選手たちです。

その筆頭は、ここのところ着実にマラソンでの実績を重ねてきた竹中理沙(資生堂)。
何といっても、昨年の高速ペースに中間点過ぎまで余裕をもって対応し、終盤フォームを崩して失速しながらも3位に粘ったレースが評価できます。中間点を、ハーフのPBとさして変わらない70分27秒(奇しくも同日行われた『大阪ハーフマラソン』に調整参加した伊藤の優勝タイムと同じ)で通過できたことは、大きな自信と希望につながったに違いない内容でした。
その後の1年間でどのようなトレーニングを積み上げてきているのかは情報不足で判りませんが、2度の実業団駅伝を見る限りは良い調子を続けてきているように感じられます。
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今回は世界選手権の選考会とはいってもペースメーカー不在、また格別に飛ばしそうな外国人ランナーも見当たらないため、昨年のような3分20秒/kmというようなペースにはならないと思われますので、竹中にとっては後半まで勝負に持ち込める条件が整うのではないでしょうか。
立命館大黄金時代の中心選手も卒業後はしばらく低迷が続いたものの、マラソン進出を目標にじっくりとフォームの矯正と走り込みに費やした数年間は、無駄にはなりませんでした。2015年名古屋で4位、同年ゴールドコーストで優勝、そして昨年の五輪選考会での健闘と、マラソンでは開花まで「もう一歩」のところに差し掛かってきています。全日本実業団女子駅伝で望外のシード権を獲得したチームの雰囲気も急上昇中で、精神的にはいい影響をもたらしていることでしょう。
これまで3度のレースで、いずれも2時間28~29分台と記録的にはやや伸び悩みを続けてきているとはいえ、優勝したゴールドコーストは気温20度以上、そして昨年は前半のオーバーペースと、致し方ない原因もあります。潜在能力的には、2時間23分前後で走れるものを十分に持っているのではないか、と見ています。
伝統のピンクのユニフォームが映える美女ランナーが、スターダムに駆け上がるチャンスです!

これに対抗するのは、同じく昨年大会で6位と健闘した加藤岬(九電工)。
前回は序盤に形成された6人の先頭集団から比較的早い段階で脱落したのですが、その後は大きく崩れることなく順位をキープして、初マラソンとしてはまずまずの成績でまとめました。
その後のトラックシーズンでさらに成長を見せ、全日本実業団選手権では10000m2位(1位は松田瑞生)、5000m4位(日本人トップ)、31分59秒72(世界選手権標準記録突破)、15分23秒98といずれもPBを大幅に塗り替えています。このスピードは今大会参加選手の中でも出色で、ペースが遅くなった時には強力な武器となるに違いありません。波に乗れば、こちらも2時間25分は切ってこれる素材だと思います。
マラソンは2度目ながら、彼女もまたブレイクの大チャンスを迎えている、と言えそうです。
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もう一人、昨年ラストの5kmほどで加藤・重友・竹中をゴボウ抜きにして2位に突っ込んできた堀江美里(ノーリツ)を挙げておきましょう。
先頭集団のハイペースには対応せずに第2グループでじっくりと構え、終盤にペースを落とさず順位を上げてくるあたり、何やら「昭和の“叩き上げ”マラソンスタイル」を思わせる走りっぷりです。昨年はゴールドコーストで優勝し、PBを2時間26分40秒まで上げてきました。年齢的にはやや“遅咲き”のイメージとはいえ、こちらも先頭集団に食らいつける程度のペースに恵まれれば、優勝争いにまで絡んでくることがあるかもしれません。ただし、2時間25分を切るまでの力はないかな、という気がするのですが、どうでしょう?

もちろん、国内3大マラソンに5回出場してすべて5位以内と抜群の安定感を誇る伊藤、歴代11位の持ちタイムがある重友も優勝候補の一角ではありますが、オリンピック翌年の今回に関しては「それ以外」のところからニューヒロインが出てきてほしい、という思いが強くあります。
その意味では、「ネクストヒロイン枠」で招待された前川晴菜(十八銀行/ 実業団駅伝予選会で竹中を抑え1区区間賞)、床呂沙紀(関西外語大4年/ 昨年14位)、新井沙紀枝(大阪学院大4年/ 3年時に全日本インカレ5000m優勝)、前田穂南(天満屋/ 全日本実業団駅伝5区11位)といった選手たちにも、先頭集団でどこまで行けるか、をチャレンジしてもらいたいところです。
いずれにしても、強い外国人ランナーがいない今回、ぜひとも日本選手どうしの優勝争い、そしてニューカマーの活躍を願っています。