豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

モリー・ハドル

全米・ユーロ最終日の熱戦



◆アリソン200は敗退!男子400H低調で野澤に期待高まる!
いやあ、全米の戦況って、動画配信こそないんですけど、ほぼリアルタイムでHPに出てくるんですね。リザルトだけでなく、中長距離走はラップごとに全員の通過順位・タイムが表示されるし、フィールド競技は1試技ごとに結果が勝手にどんどん表示される。あとは、想像力でなんとかできます。最終日に気が付きました。(笑)
というわけで、どこよりも早い(たぶん)日本語版速報です!

で、そうやって見ていた女子PVは女王・サーが3人が残った4m70を2回落としてピンチに陥りますが、次の75を一発クリアして逆転勝ち。2位のモリスも3月の室内世界選手権では4m95で銀メダル。本番ではシルバ(CUB)、ムレル(BRA)、ステファニディ(GRE)らとの大激戦になりそうです。

女子5000mは、14分42秒のPBを持つエース・ハドルが最初から引っ張り、1000mを3分12秒のスローペースで通過した後はラップタイムを72秒前後に上げますが、3000mで13人の大集団、ラスト1周でもハドルに5人がぴったりと食い下がる混戦となりました。ハドルはラストも63秒でまとめて実力者ぶりを発揮。ずっと2番手にマークしていたエミリー・インフェルドはラストが利かず4位に落ちました。

注目の男子400mHは、とうぜん48秒台前半から47秒台で決着かと思いきや、48秒50のクレメントがトップ。DLストックホルムで状態が懸念されたティンズリーは何とか3位を死守しましたが、ワールドリーダーのダッチは5位、ベテランB.ジャクソンは最下位に沈みました。
この結果、日本の野澤啓佑のランキングは1つ落ちて5位となりましたが、まだ底を見せていない感じと48秒台3回の安定感は群を抜いており、オリンピックでの決勝進出・上位入賞が現実味を帯びてきました。

一方の女子は、優勝したムハマドのタイムは久々に見る52秒台。この種目のリーダーであるヘイノヴァ(TCE)の動向が今一つ伝わってこないだけに、一躍金メダル候補に躍り出た感があります。そして、オリンピック中に17歳の誕生日を迎えるというマクローリンが、3位で史上最年少のアメリカ陸上代表となりました。

女子200mでは、400mとのダブルを狙ったアリソン・フェリックスが4着敗退の波乱。トリ・ボウイが打倒スキッパーズの一番手に名乗りを挙げています。今季DLでは分がいいだけに、こちらも楽しみ。


<男子>
◇走高跳 ① 2m29  エリック・キナード
② 2m26  カイル・ランドン
③ 2m21  ブラッドリー・アドキンス

◇400mH ① 48"50  カーロン・クレメント
② 48"79  バイロン・ロビンソン
③ 48"82  マイケル・ティンズリー
⑤ 48"92  ジョニー・ダッチ
⑧ 49"96  バーショーン・ジャクソン

◇1500m ① 3’34”09  マシュー・セントロウィッツ
② 3'34"88  ロビー・アンドリューズ
③ 3'36"18  ベン・ブランケンシップ
④ 3'36"62  レオネル・マンザーノ

<女子>
◇400mH ① 52"88  ダリラ・ムハマド
② 54"02  アシュリー・スペンサー
③ 54"15  シドニー・マクローリン

◇七種競技 ① 6494P  バーバラ・ヌワバ
② 6423P  ヘザー・ミラー=コッチ
③ 6402P  ケンデル・ウィリアムズ

◇棒高跳 ① 4m80  ジェニファー・サー
② 4m75  サンディ・モリス
③ 4m70  アレクシス・ウィークス

◇5000m ① 15'05"01  モリー・ハドル
② 15'06"14  シェルビー・ヒューリハン
③ 15'10"62  キム・コンリー

◇1500m ① 4'04"74  ジェニー・シンプソン
② 4'05"39  シャノン・ロウベリー
③ 4'06"16  ブレンダ・マルティネス

◇200m(-0.6) ① 22”25  トリ・ボウイ
② 22"30  ディージャ・スティーヴンス
③ 22"53  ジェンナ・プランディーニ
④ 22"54  アリソン・フェリックス




◆欧州ではポーランド勢が躍進
アムステルダムで行われた“陸上ユーロ”の最終日は、決勝種目盛りだくさん。中長距離種目はいずれも牽制~スプリント合戦の様相(男子5000は3着まで同タイム!)で、格別に記録的な話題はありませんでしたが、長距離種目でトルコ勢、各種目平均的にポーランド勢の躍進が目立ったような気がします。
女子長距離3冠を目指してハーフマラソンに出場してきたジャン(TUR)は、連戦の疲れからか最下位に終わりました。

<男子>
◇ハーフマラソン ① 1:02'03"  タデッセ・アブラハム(SUI)
② 1:02'27"  カーン・キゲン・オズビレン(TUR)
③ 1:02'38"  ダニエレ・メウッチ(ITA)

◇走高跳 ① 2m32  ジャンマルコ・タンベリ(ITA)
② 2m29  ロビー・グラバーツ(GBR)
③ 2m29  クリス・ベイカー(GBR)
③ 2m29  アイク・オンネン(GER)

◇ハンマー投 ① 80m93  パヴェル・ファイデク(POL)
② 78m84  イヴァン・ティホン(BLR)
③ 77m53  ヴォイシェフ・ノヴィツキ(POL)

◇砲丸投 ① 21m31  ダヴィド・シュトール(GER)
② 21m19  ミハル・ハラチュク(POL)
③ 20m59  ツァンコ・アルナウドフ(POR)

◇400mR ① 38"17  イギリス
② 38"38  フランス
③ 38"47  ドイツ

◇5000m ① 13'40"85  イリアス・フィーファ(ESP)
② 13'40"85  アデル・メチャール(ESP)
③ 13'40"85  リヒャルド・リンガー(GER)

◇800m ① 1'45"18  アダム・クシュチョット(POL)
② 1'45"54  マルキン・レヴァンドフスキ(POL)
③ 1'45"54  エリオット・ジャイルズ(GBR)

◇1600mR ① 3'01"10  ベルギー
② 3'01"08  ポーランド
③ 3'01"44  イギリス

<女子>
◇ハーフマラソン ① 1:10'19"  サラ・モレイラ(POR)
② 1:10'35"  ヴェロニカ・イングレセ(ITA)
③ 1:10'55"  ジェシカ・アウグスト(POR)
81 1:23'25"  ヤセミン・ジャン(TUR)

◇400mH ① 55"12  サラ・スロット・ペテルセン(SUI)
② 55"33  ジョアンナ・リンケヴィッチ(POL)
③ 55"41  レア・シュプルンガー(SUI)

◇3000mSC ① 9'18"85  ゲザ・フェリシタス・クラウゼ(GER)
② 9'28"52  ルイザ・ゲガ(ALB)
③ 9'35"05  オツレム・カヤ(TUR)

◇三段跳 ① 14m58(+0.8)  パトリシア・マモナ(POR)
② 14m51(+2.9)  ハナ・ミネンコ(ISR)
③ 14m47(-1.0)  パラスケヴィ・パパフリストウ(GRE)

◇400mR ① 42"04 オランダ
② 42"45  イギリス
③ 42"48  ドイツ

◇1500m ① 4'33"00  アンゲリカ・ツィホツカ(POL)
② 4'33"76  シファン・ハッサン(NED)
③ 4'33"78  シアラ・マギーアン(IRL)

◇1600mR ① 3'25"05  イギリス
② 3'25"96  フランス
③ 3'27"49  イタリア 

注目の全米選手権・前半戦



IAAFのホームページより、ユージーンで開催中の全米選手権兼リオ五輪代表選考会のレポートです。
英語が得意なわけではないので、いくらか誤訳があるかもしれませんが、ご容赦ください。
http://www.iaaf.org/news/report/us-olympic-trials-2016-reese


リース大跳躍!全米オリンピック代表選考会前半のハイライト

由緒あるトラックタウンと呼ばれる地で、アメリカの陸上競技オリンピック・チームの選考が始まった。そこには、多くの新たなオリンピアンとの出会いと同じくらい、かつてのヒーローとの別れがある。

サーニャ・リチャーズ・ロス、ジェレミー・ウォリナー、アダム・ネルソン、リース・ホッファといった面々が、ユージーンでのゲームでの敗退とともに、競技からの引退を表明した。バーナード・ラガトは引退こそしないが、10000mを完走することができなかった。

一方で、長期政権をなお継続する者もいる。2004年以降の世界最高記録である7m31を跳んだ、女子走幅跳のブリトニー・リース。あるいは8回目の男子10000m栄光の王座に就いた、オリンピック銀メダリストのゲーレン・ラップ。

リースのビッグ・ジャンプは土曜日の決勝、4回目に飛び出したが、それまでの2回のファウルは、もしかしたらそれを上回る距離を跳んでいたかもしれない。その記録は、1988年に出された7m21のオリンピック・トライアル・レコードを破るもので、その記録の持ち主ジャッキー・ジョイナー・カーシーはちょうどユージーンに観戦に訪れており、リースを祝福した。

「ずっと、彼女を目標にしていたわ」リースは言う。「ジャッキーは私の先生よ。彼女が私のことを、まだまだ可能性をたくさん持っていると言ってくれたことが、彼女の記録を破る心の支えになってきたという意味でね。記録が破られたのは、私のトレーニングの成果に他ならないわ」

リースの国内タイトルは、この9年間で7回目となった。そのすべてが、3度の世界選手権優勝、3度の世界室内選手権優勝、そして2度のオリンピック代表に結びついているが、もし4年前のロンドンに続く連覇を成し遂げるならば、その時こそ彼女は歴史を作ることになる。女子走幅跳では誰一人としてオリンピック連覇を成し遂げた者はなく、わずかにハイケ・ドレクスラーが1992年と2000年の2度、制している例があるだけなのだ。

リースのジャンプは、2004年7月24日にロシアのタチアナ・レヴェデワが7m33を跳んで以来の記録だった。

ティアナ・バートレッタは走幅跳と100mの1次予選を行ったり来たりする中で、7m02(追風参考)でリースに次ぐ2位となった。

学生時代からの本拠地での走りとなったラップは、いつもとは違う戦法をとりながらも過去7回の全米選手権と同じく首位を占めた。レース中2度にわたる揺さぶりがあったものの、ラストの200mは鮮やかだった。そこでラップはシャドラク・キプチルチルを大きく引き離すと、27分55秒04でゴールを駆け抜けた。

「自分には何もかもが特別だよ。オリンピック選考会でできる走りというのは、通常の国内選手権のレベルとは全然違うものなんだ」と、30歳のラップは言う。「また母国の代表になれることはとても刺激的なことには違いないけど、それよりほら、ここにうちのチビがいるだろう?これが何よりも特別なことなのさ」

すでにリオのマラソン代表に決まっているラップは、今大会この後に行われる5000mへの出場も狙っている。オリンピックで10000に出場することは明言しており、もう1種目を5000にするかマラソンにするか、これから決断することになる。

2位のキプチルチルと3位のレナード・コリルは、 合衆国陸軍のワールドクラス・トレーニグ・プログラムに所属する軍人である。41歳のラガトは「欲張り過ぎた」と言って、得意の5000に向けて体力を温存するためレースを放棄した。

    

クラウザー、「22mクラブ」に入会

ライアン・クラウザーが、ジョー・コヴァックスの持つシーズン最高記録にあと2センチと迫る22m11で男子砲丸投に優勝、史上23人目となる屋外での22mプッターとなった。コヴァックスは6投目の21m95で2位に続いた。

38歳のホッファは5位、40歳のネルソンは7位。「ここんとこは、短い時間で集中してやるようにしているけど、まあこんなもんだろうね」と、2007年の世界チャンピオンだったホッファ。またネルソンは試合後すぐに引退を表明し、1位の選手のドーピングによる失格で繰り上がった2004年のオリンピック金メダルの栄誉を称えるセレモニーで、表彰を受けた。

女子10000mでは、モリー・ハドルが終始先頭を譲らず、31分41秒62で優勝した。前年の世界選手権でハドルをゴール寸前に交わして銅メダルを勝ち取ったエミリー・インフェルドが、31分46秒09で2位に続いた。

全米記録保持者のジア・ルイス‐スモールウッドが故障欠場となった女子円盤投では、ホイットニー・アシュレイが62m25で1位となった。2008年のオリンピック・チャンピオン、ステファニー・ブラウン・トラフトンは5位に終わった。「ここ数年は、確率がよくないわね」と彼女は言う。「もし、どこか他の場所でやらなきゃならないとしたら、ユージーンはいい所ね」

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予選最速は誰だ?

土曜日に行われた男女100m・1次予選のハイライトは、アキレス腱の負傷から復帰した世界選手権銅メダリスト、トレイヴォン・ブロメルの9秒94(+1.2m)と、追風参考(+3.6m)ながらジェンナ・プランディーニの10秒81だった。ブロメルのタイムは、全米選考会の1次予選でマークされたものとしては2012年のジャスティン・ガトリンによる9秒90に次いで2番目に速い記録。また女子の1次予選での追風参考記録としては、イングリッシュ・ガードナーの10秒90がこれまでの最速だった。

世界選手権とオリンピックの十種競技王者、アシュトン・イートンは、十種での大会記録になる46秒30で400mをフィニッシュし、総合でも4560点で1日目をリードした。イートンは100mで10秒34、走幅跳で7m84を記録して最初からトップに立ち、走高跳で、ジェレミー・タイウォがやはり大会新の2m21をクリアした時だけ一瞬その座を明け渡した。
跳躍2種目の後に行われた400mで、過去2度の世界王者となっているトレイ・ハーディーがラスト100mにかかったところでジョギング状態となり、72秒49でゴールした。上位3名に食い込むことは、もはや絶望的となった。

予選での最も大きな波乱は、男子800mだった。2012年オリンピック4位のドゥエイン・ソロモンと、USジュニア記録保持者のドナヴァン・ブレイジャーが、ともに予選落ちしたのだ。

女子走高跳で40歳のエイミー・エイカフは、アメリカでは初となる6回目のオリンピック出場を目指したが、予選で姿を消した。

最も残念だったシーンは、女子400m予選のレース半ばを過ぎたあたりでストップしてしまった、サーニャ・リチャーズ・ロスの姿だった。オリンピック女王は、1か月前からハムストリングスを傷めていたのだ。その光景が何を物語るかに気付いた時、20,987人の観衆は、サーニャに惜しみない拍手を送った。

「素晴らしい陸上人生だったし、こんなにも多くのファンが私を愛してくれているのを見て、最高よ」と、サーニャは言った。「本当にありがたいわ」

400mという種目は、ジェレミー・ウォリナーにも、ディーディー・トロッターにも、十種競技のハーディーにも同じように厳しかった。いずれも、ゆっくりと、あるいは歩くようにしてゴール。2004年に20歳の若さでオリンピックを制したウォリナーは、進出叶わなかった準決勝に思いを馳せるように、カーブのところでステップを踏んでみせた。

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