豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

ベン・ジョンソン

<連載>100m競走を語ろう ⑭~9秒台変遷史



◆連載再開!?
リオ五輪のことをいろいろ書かせていただいている間、<連載>がストップしてしまいました。本当のところはリオ五輪の100mレースをウォッチするに際して、少しでも多くの方に予備知識を吹き込んでおきたいなというつもりで書き始めた<連載>なので、いったんその目的が(一部間に合わずに)終わってしまった、という残念な気持ちもあります。
ですが、100m競走について語りたいことは、まだまだ尽きません。
今後は、何かテーマがまとまるごとに、不定期に継続していこうかと思っています。

リオ五輪ではウサイン・ボルトのトラック種目史上初の3連覇達成という大きなトピックがありました。
この大会は、3連覇に挑む選手が非常に多くいて、トラックだけでもボルトの2種目の他に、女子100mのシェリー-アン・フレイザー-プライス(3位)、同10000mのティルネッシュ・ディババ(3位)、またフィールドでは男女砲丸投のトマス・マイエフスキー(6位)とヴァレリー・アダムズ(2位)、女子やり投のバルボラ・シュポタコヴァ(3位)と、5人も挑んでいながら誰も達成できなかったことで、その困難さがよく分かるというものです。(むしろ、この6人全員が無事3連覇の舞台に駒を進め、全員入賞、1人を除く5人がメダルを獲得していることのほうが、驚くべきことかもしれません)

もう一つの話題は、100mという種目からは外れますが、400mリレーでの日本チームの大偉業でしたね。
本道の100mでも、予選を余裕で突破した山縣・ケンブリッジ両選手の走りは、陸上チームの明るい話題の一つでした。
その中であまり触れられませんでしたが、山縣選手が2つのレースで記録した0.111秒、0.109秒という驚異的なリアクションタイムは、知られざるところで大問題を投げかけたのではないか、という気がしています。

このことについては私自身、この<連載>⑧の「余談」で問題提起しているのですが、国際陸連が科学的知見に基づき「人間に可能なRTはせいぜい0.12秒程度」と判断し、若干の余裕をとって「0.1秒」という不正スタートの基準を決めているところへ、常人離れした反応時間を持つ人間もいるのだということを山縣が示してしまったことになります。私の見るところ、ドーピングによって研ぎ澄まされたベン・ジョンソン以来、「0.1秒の壁を破る」可能性を持ったスプリンターが現実に現れてしまったのです。
このことには、山縣自身いくらか懸念を持ったのかもしれず、万が一にもフライングをとられてはならないリレーの2レースではともに0.144秒という「控えめ」なスタートに徹しています。実は山縣は、6月の日本選手権でも予選から順に0.140秒、0.139秒、0.139秒と実に安定した好スタートを決めており、これだけをとっても「スタートの名手」と言って間違いない技量を確立している選手で、加えて極度の集中力を発揮した時に0.11秒前後のスタートを切る能力を示したことになります。
この事実が、IAAFのルールを司る部門にどんな衝撃を与え、どんな議論が戦わされていくのか、とても興味があります。

とはいえ、日本スプリント界の悲願である「10秒の壁突破」は、またもや見果てぬ夢に終わってしまいました。
いつ出てもおかしくないと言われて数年、それはたとえばこの秋の国体あたりかもしれず、引き続きお楽しみは続きますが、早く複数の選手が雪崩を打って9秒台に突入してもらいたいものです。
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◆「初の9秒台」いろいろ
 *手動公式計時初 1964/10/15  9秒9 ボブ・ヘイズ(USA) ※W+5.28mで非公認

 *手動公認初 1968/6/20  9秒9 ジム・ハインズ(USA)ほか
 ※電動計時(参考記録)では10秒03。この大会では他に2人の選手が9秒9を記録(誰が一番先だったのかは、手元の資料では不明)し後年「手動計時による世界記録」として公認されたが、3選手がともに全天候型トラック用に規定よりもピンの多いスパイクシューズを使用していたことが問題とされた。

 *電子計時初 1968/10/14 9秒95(A) ジム・ハインズ(USA)
 ※高地(メキシコシティ)記録


 *平地で初 1983/5/24 9秒97 カール・ルイス(USA)

 *ヨーロッパ初 1988/9/24 9秒97 リンフォード・クリスティ(GBR)

 *1980年代までに突破したのはリロイ・バレルまでの8名(ベン・ジョンソンは除外)

 *初の9秒8台 1991/8/25 9秒86 カール・ルイス(USA) ※東京世界選手権

 *アフリカ初   1991/8/25  9秒95 フランキー・フレデリクス(NAM)


 *幻の日本人初  1998/12/13 10秒00 伊東浩司(富士通) ※速報で「9.99」と表示

 *初の9秒7台
1999/6/16 9秒79 モーリス・グリーン(USA)

 *20世紀中の突破者はフランシス・オビクウェルまでの33名

 *非黒人選手初 2003/5/5 9秒93 パトリック・ジョンソン(AUS)
 ※白人/アボリジニの混血。同時にオセアニア初。


 *アジア初 2007/7/26 9秒99 サミュエル・フランシス(QAT)

 *初の9秒6台 2008/8/16 9秒69 ウサイン・ボルト(JAM)

 *初の9秒5台 2009/8/16 9秒58 ウサイン・ボルト(JAM)

 *白人選手初 2010/7/9 9秒98 クリストフ・ルメートル(FRA)

 *黄色人種初 2015/5/30 9秒99 スー・ビンチャン(CHN)

 *100人目の9秒台 2015/6/7 9秒97 アダム・ジェミリ(GBR)

 *初の「トリプル・サブ」 2016/3/12 9秒98(A)ウェイド・ヴァンニーケルク(RSA)
 ※100m9秒台・200m19秒台・400m43秒台

 *初の「ダブル・サブ」 2016/4/23 9秒99 オマー・マクレオド(JAM)
 ※100m9秒台・110mH12秒台

 *40代初 2016/5/29 9秒93 キム・コリンズ(SKN) ※40歳+54日

 *現在突破者=総計116名

 *日本人初 201X/?/? 9秒XX  ???

 

【短期集中連載】オリンピック回想 ⑦~1988年ソウル大会



前回のロス大会回想に際して、書き忘れた重要なことが2つありました。

1つ目は、中国の初参加です。
中国のNOCは国民政府(台湾)が管轄していたこと、1970年代まで主要諸国との国交が成立していなかったことなどで、そのIOC加盟はようやく1979年に果たされ、当時対立関係にあったソヴィエト連邦で開催されたモスクワ大会では、ボイコット組に回っていました。
現在ではアメリカを凌駕する勢いのスポーツ大国となった中国も、当時はまだ「日々是学習」の時期で、陸上競技ではチュ・ジャンホワ(朱建華)の走高跳銅メダルくらいが目立った成績でした。

2つ目は、私的なことながら、家庭用録画機器の普及です。
放映権料の高騰に伴い、オリンピック中継の放送時間が飛躍的に拡大したこともあり、ちょうど社会人になって初めての夏季オリンピックを迎えていた「オリンピック・ウォッチャー」を自認する私にとって、録画機器は以後欠かすことのできない観戦ツールとなります。
ロス大会の当時は、120分(3倍速360分)収録のVHSテープが1本4,000円くらい(安売り店で半額ほど)もしました。とても、片っ端から録画しまくるというわけにもいかず、私は2台のビデオデッキを駆使して録った映像を短く編集して保存する、という作業に没頭しながら、追いかけられるように中継を視ていた記憶があります。特別な編集ソフトなどなくてもハードディスク上でパッパッと編集してデータ化された映像をBDにコピー、という今からすると、想像を絶するような手間のかかる作業(しかも画質は明らかに悪くなる!)でしたね。
おかげでスポーツ番組を録画しては編集・保存するということ自体が、どこか私の趣味のようになってしまい、膨大な量のVHSテープやDVD、BDに囲まれてしまってはいますが、とにかく「リアルタイムでなくてもオリンピックを観戦できるようになった」ということは、ちょうど会社勤めをするようになって時間が自由にならなくなった私にとって、とても都合のいい出来事だったのです。

さてソウル大会ですが、このお国で開催される国際的スポーツ大会には近年のアジア大会やF1グランプリ・レースなどでも見られるように、何がしかの運営上の不手際やゴタゴタがついて回ります。
ボクシングでの疑惑判定問題や座り込み事件などは、なかなかのトピックではありましたが、それにしても初めてのビッグ・イヴェント開催としてはまずまず上手くやったと言えるのではないでしょうか。(鳩の丸焼きには笑いましたが)

陸上競技では、何といっても男子100m「ベン・ジョンソンのドーピング失格」という超ビッグニュース。
対する女子では、フローレンス・グリフィス-ジョイナーの快走という華やかな話題がありました。
ところでこの大会の陸上は、アメリカのテレビ視聴の都合で、午前中に各種目の決勝を行うという前代未聞のプログラムが組まれました。(同じことは、2008年北京大会の競泳でも行われています)
当時はアフタヌーン・セッションを夜に入ってから行うということはありませんでしたから、時差の少ない日本ではどっちみち昼間の時間帯ということであまり影響はなかったかと思いますが、“犠牲”になった選手は大変だったことでしょう。
いま映像を見返してみると、なるほど、午前中ならではの陽光の明るさが目につくような気がします。

◆各種目の金メダリストと日本選手の成績
 *CZS=チェコスロバキア URS=ソヴィエト連邦 GDR=東ドイツ
<男子>
   100m カール・ルイス(USA) 9"92(WR) ※栗原浩司:2次予選 笠原隆弘・大沢知宏:1次予選
   200m  ジョー・デローチ(USA) 19"75(OR) ※山内健次:2次予選
   400m スティーヴ・ルイス(USA) 43"87 ※高野進:準決勝(日本新)
   800m ポール・エレング(KEN) 1'43"45
  1500m ピーター・ロノ(KEN) 3'35"96
  5000m ジョン・ヌグギ(KEN) 13'11"70 ※米重修一:予選
 10000m ブラヒム・ブータイブ(MAR) 27'21"44(OR) ※阿久津浩三:14位 米重修一:17位 遠藤司:予選
 110mH ロジャー・キングダム(USA) 12"98(OR)
 400mH アンドレ・フィリップス(USA) 47"19(OR) ※吉田良一:予選
 3000mSC ジュリアス・カリウキ(KEN) 8'05"51(OR)
 4×100mR ソヴィエト連邦 38"19 ※日本:準決勝
 4×400mR アメリカ 2'56"91(=WR) ※日本:準決勝
 マラソン ジェリンド・ボルディン(ITA) 2:10'32" 
中山竹通:4位入賞 瀬古利彦:9位 新宅氷灯至:17位
 20kmW ヨぜフ・プリビリネチ(CZS) 1:19'57"(OR) ※酒井浩文:26位 小坂忠広:46位
 50kmW ウィチャスラフ・イワネンコ(URS) 3:38'29"(OR) ※小坂忠弘:31位
 HJ ゲンナジー・アヴディエンコ(URS) 2m38(OR)
 PV セルゲイ・ブブカ(URS) 5m90(OR)
 LJ カール・ルイス(USA) 8m72 ※柴田博之:予選
 TJリスト・マルコフ(BUL) 17m61(OR) ※山下訓史:12位
 SP ウルフ・チンマーマン(GDR) 22m47(OR)
 DT ユルゲン・シュルト(GDR) 68m82(OR)
 HT セルゲイ・リトヴィノフ(URS) 84m80(OR)
 JT タピオ・コリュス(FIN) 84m28 ※吉田雅美・溝口和洋:予選
 DEC クリスチャン・シェンク(GDR) 8488p.


<女子>

   100m フローレンス・グリフィス-ジョイナー(USA) 10"54w
   200m  フローレンス・グリフィス-ジョイナー(USA) 21"34(WR)
   400m オルガ・ブリズギナ(USA) 48"65(OR)
   800m ジークルン・ヴォダルス(GDR) 1'56"10
 1500m パウラ・イヴァン(ROU) 3'53"96(OR)
 3000m タチアナ・サモレンコ(URS) 8'26"53(OR)
  10000m オルガ・ボンダレンコ(URS) 31'05"21(新種目)※松野明美:予選

 100mH ヨルダンカ・ドンコワ(BUL) 12"38(OR)
 400mH デビー・フリントフ-キング(AUS) 53"17(OR)
 4×100mR アメリカ 41"98
 4×400mR ソヴィエト連邦 3'15"17(WR)
 マラソン ロザ・モタ(POR) 2:25'40" ※浅井えり子:25位 荒木久美:28位 宮原美佐子:29位
  HJ ルイス・リッター(USA) 2m03(OR) ※佐藤恵:11位
  LJ ジャッキー・ジョイナー-カーシー(USA)  7m40(OR)
  SP ナタリヤ・リソフスカヤ(URS) 22m24
  DT マルティナ・ヘルマン(GDR) 72m30(OR)
  JT ペトラ・フェルケ(GDR) 74m68(OR) ※松井江美:予選
  HEP ジャッキー・ジョイナー-カーシー(USA) 7291p.(WR) 

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感想(1件)



◆ジョイナー義姉妹の超人的活躍

全般に女子の記録レヴェルが非常に高く、現在でもなかなか太刀打ちできなさそうな記録が並びます。
一方で男子100m決勝を圧勝しながら筋肉増強剤の使用が発覚したベン・ジョンソン(CAN)の騒動もあり、また当時は東欧諸国の国家ぐるみのドーピング疑惑も囁かれていたことで、グレーの霧に覆われた大会、と言えるかもしれません。ただ、ジョンソンほどのビッグネームを追放したことからも、当時としては万全のチェック体制だったということは確かであり、理屈としてはすべての記録を受け入れるほかありません。

フローレンス・グリフィスがジャッキー・ジョイナー-カーシーの実兄アル・ジョイナーと夫婦になったことで義理の姉妹となった「2人のジョイナー」の記録は、とりわけ凄まじいものでした。

フローレンスは7月の全米選手権で10秒49(±0)という驚くべき世界新記録を出していましたが、その時は風速計に顕れない暴風が吹き荒れており(つまりこのレースの時は平均して強い横風だったと推測される)、記録の正当性を疑問視する声も上がっていました。しかし五輪の本番で、フローレンスはディフェンディング・チャンピオンのエヴェリン・アシュフォード以下をまったく寄せ付けない圧勝劇で10秒54(+3.0)をマークしたことで、その疑念を一蹴してしまいました。(2次予選の10秒62が今も残るオリンピック記録)
続く200mも2位以下を5メートルほど引き離す独擅場で、ここで出した21秒34(+1.3)も、以後30年近く、誰も影をも踏めない高みにそびえ立っています。
今年100mHで世界新記録を出したケンドラ・ハリソンのように、突如覚醒したかのように圧倒的な力を示す事例はないことではありませんから、全米とソウルの2回のみ狂い咲いたかのようなフローレンスのパフォーマンスも、そうした勢いの中で繰り広げられたものなのでしょう。
人間離れした記録とともに、その華やかな風貌や全米で話題をさらった「ワンレガー」と呼ばれる奇抜なファッション・センスをもって、フローレンスは一躍世界のスーパースターとなり、400mリレー(金)、1600mリレー(銀)でも見事な疾走で観衆を魅了しましたが、それ以後世界の表舞台に出ることはありませんでした。


一方のジャッキーも、女子100mよりも先に終了した七種競技で自身の記録を破る世界新記録を出し、2位に400点もの大差をつけ、また従来のオリンピック記録を900点も上回ってみせました。7種目のうち砲丸投とやり投を除く5種目は、今年の日本選手権の優勝記録を上回っています。
走幅跳では世界記録に12センチと迫る7m40を5回目に跳んで、「ジョイナー姉妹の永遠のライヴァル」と言われたハイケ・ドレクスラー(GDR=100m、200mともに3着)を逆転し、ダブルタイトルのウィナーとなりました。


◆鳥人ブブカ、飛翔
男子棒高跳では、世界選手権2連覇中のセルゲイ・ブブカが、同じソ連勢3人による高レヴェルな争いを僅差で制して、オリンピック初優勝を飾りました。
意外なことにブブカのオリンピック優勝はこの1回だけで、世界選手権ではその後97年アテネ大会まで、6連覇という偉業を達成しているだけに、バルセロナでの取りこぼしやロス、アトランタの不参加が惜しまれます。


◆日はなかなか昇らない、が…
29人を代表に送り込んだ日本勢は、僅かにマラソンの入賞1つに留まり、これで4大会(モスクワ除く)連続でのメダルなしという成績に終わりました。
しかし、男子100mに久々にフルエントリーを果たしたのをはじめ短距離陣が活況を呈してきており、従来の大会ではなかった「リレー要員」を含めた代表編成で本格的にリレーを重視する傾向が生まれたのが、この大会です。
400mリレーでは100m代表の2人を外し、青戸慎二・山内・栗原・高野というオーダーで決勝進出まであと一歩のところまで迫りました。ヨンケイ出場は68年メキシコシティ大会以来で、その時が飯島秀雄の他は走幅跳代表の3人という急造チームだったことを思えば、大きな一歩と言えました。
高野進は個人種目のほかに両リレーにも出場し、すべて準決勝進出。合計7レースを走るという短距離チームのリーダーにふさわしい大車輪ぶりで、4年後の悲願の決勝進出へとつながっていきます。

 

<連載>100m競走を語ろう ⑧~フライングのルール変遷史・後篇



◆「一発失格」の波紋

2009年にIAAFによって制定された「一度でも不正スタートをした選手は競争から除外」というルールは、大きな論議を巻き起こしました。トップ選手から中学校・高校の部活レベルに至るまで、現役アスリートに与えた衝撃は大変なものでした。
それほどに、「1回は許されるフライング」という認識が短距離走に浸透しきっており、常習的に故意のフライングを続けてきた人、そうした行為や状況への対処に心を砕いてきた人にしてみれば、「短距離走の一要素が全否定された」というくらいの心持ちになったのでしょう。

従来どおり、微細な筋肉の動きでもスタブロが検知すればアウトなのか、完全な静寂を期待できない陸上競技場で他の物音などに反応してしまった場合はどうなるのか、隣の選手が動いたのにつられた場合も同罪なのか……さまざまな“想定論”が取り交わされましたが、そもそも「不正スタート」ということに対する考え方の甘さが、このような議論を巻き起こしたのだと私は思っています。
スプリンターの中には長い選手生活の中で「一度もフライングなどしたことがない」という人が少なからずいるはずで、それは「ピストルの音を聞いてからスタートする、ただそれだけのこと」を真摯に実践してきた者は、よほど運悪く何か別の音や動きに反応してしまった場合はともかく、集中力を高めスタートの技術と反応に磨きをかけてきた結果、そういうスプリンターとして当たり前の資質を身に着けているに違いないと思われるからです。
それまで「フライングをしても構わない」とか「仕方ない」と考えてきたスプリンターは、「絶対にフライングをしない」技術を磨くという新たな短距離走の一要素に取り組む、そういう新しい時代になったというだけのことだ、と思ったわけです。

もう一つ。
短距離走を「観る」側からしますと、フライングの繰り返しによってレースが冗長になることは大いに観戦の妨げになっていたのですが、今度はレースの重要な登場人物である選手の誰かが、いとも簡単に戦わずしてレーンを去っていくという可能性が高まることが懸念されました。新ルールが本格的に導入された2010年から、それはしばしば「現実」となって、そのレースに多くの時間と努力を傾けてきたであろう、そして時には海を超えてはるばると1つのレースだけのためにやって来た選手が、たった1回の過ちで無情にも退去させられる光景に、当事者のみならず観る者もまた心を痛めることになったのです。

そして遂に、世界中の陸上ファンは「最悪の事態」を目の当たりにします。
2011年のテグ世界選手権・男子100m決勝で、連覇がかかっていた陸上界最高のスター選手、「人類最速の男」ウサイン・ボルト(JAM)が失格となった時、全世界が深い溜め息とともに一瞬、「なんでこんなルールにしたんだ?」とやり場のない思いを抱いたのです。
けれども、ボルトには申し訳ないですが、しばし後になって私はこうも思いました。
あのボルトでさえ、このルールのもとでは問答無用に失格になる。それは、スタートに対する修練と集中が未熟だったことへの代償として、当然のことと考えなければならない。当のボルトは、未練はあっただろうが潔くレーンを立ち去った。それは100%、未熟な自分の過失だと承知していたからだろう。悪いのはスタートへの集中をどれほど大切にしなければならないかを甘く見ていた自分に他ならないと、ボルトは瞬時に理解したに違いない……この出来事を糧として、100m競走のスタートは良い方向に変わっていくに違いない、と。

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自身のフライングを瞬時に自覚し、天を仰いだU.ボルト。この後すぐにユニフォームを脱ぎ捨てました。(2011年IAAF世界選手権)



◆現状…まだ課題は多いけど

2013年、ルールに微修正が加えられ、微細な体の動きなど「スタート動作とはならない」と見なされたケースについては、たとえ機械が検知してリコール音が鳴らされたとしても「不正スタート」とはならず、ただ「紛らわしい動き」「正常なスタート完了を妨げた行為」として「警告」に留める、というようになりました。「警告」は2回重ねると「失格」になりますが、選手は意図しない細かい動きにまで神経を配るストレスからは、いくらか解放されることになりました。

「一発失格」のルールはいまだに細部が流動的で、「これがベスト」と言える形には治まっていないように思えます。
スプリンターたちは「ただ一度」のスタートのためにいっそうナーバスになり、運営側もまた同様です。先日の日本選手権・女子100m決勝で、一人の不正スタートもなかったにも関わらず、スタートが3回もやり直しされるというようなケースも発生しており、「今のは“警告”か“失格”か、それとも“お咎めなし”か?」の判定に時間がかかることなどもあって、まだまだ理想の形には至っていないと言わざるを得ません。

ただ、「戦術的なフライングが1度は許される」という従来のスプリンターが持っていた考え方は、駆逐することができたのではないでしょうか。先駆けて「一発失格」を取り入れた競泳の例を見るまでもなく、「スタートとはそういうものであり、失格は不正スタートに対する当然のペナルティだ」という考え方さえ定着すれば、何の問題もなく受け入れられていくだろうと思うのです。
あとは、「まさかのフライング」をしてしまわないよう、選手個々がより一層スタートの技術と反応を磨き上げること、そして全員の選手にいいスタートをさせるためにスターターや競技進行を司る役員も技術をより高めること、そしてスタジアムで観戦する観客も、トラック競技スタートの時間には静寂を心掛けるよう協力すること、です。近い将来に、競泳会場がそうであるように、「On your marks!」(競泳では「Take your marks」)のコールとともに数万人の観客が静まり返る、という光景が当たり前のものになってほしいものです。

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◆(余談)
本当に0.1秒未満での反応はないのか?
先に、「計時装置は合図から0.1秒未満での動作開始を検知した時は自動的にフライングを報せる」というようなことを書きました。これは、生理学的に確実と思われる人間の反応時間の限界をもとに、ある程度の余裕をとって設定した数値だと思われます。現時点では、どんなに速い反応を示した人でも0.12秒程度、これ以上速い場合は、反則にはならないものの「一発引っ掛けた」可能性が高いと思われます。
けれども、素人考えではこうも思われます。「本当に、人間が0.1秒未満で反応することはあり得ないのだろうか?」
100mを10秒を切るタイムで走破する、ということ自体が一般人にとっては「信じられないような超人の領域」なのですが、その上にスタートでピストルの音を聴いてから0.1秒未満のうちにスタートを開始できる「超人」がいたって、おかしくないのじゃないか?……という疑問です。

これはまったく私の個人的見解なのですが、過去に1回だけ、その奇跡を遂げた「超人」がいたのではないか、という「疑い」を持っています。その「超人」は、誰あろう1988年ソウル五輪で男子100mにいったんは「優勝」しながら、筋肉増強剤によるドーピング違反が発覚して成績を没収された、あのベン・ジョンソン(CAN)です。
ソウル五輪の男子100m準決勝で、ジョンソンは1度フライングを犯しました(当時のルールでは即失格ではありません)が、本人は驚いたような呆れたような表情で「冗談言うなよ!」といった仕草をしてみせました。この時のフライングは、一見正常なスタートが切られたかのように見えながら計時装置がジョンソンのスタート反応を「0.1秒未満」と検知してリコール音を鳴らしたもので、彼自身には嘘偽りなく「自覚」がなかったようなのです。結局渋々ながらも再スタートに応じたジョンソンは、今度も素晴らしいスタートを切って楽々と決勝進出を決めました。

この大会でのジョンソンは、「ベン・ジョンソン、筋肉のカタマリ!」という実況フレーズが有名になったほど、上半身・下半身ともに鎧のような筋肉に覆われ、まさに短距離走者として究極の肉体を誇示しているように見受けられました。後になってそれがドーピングの恩恵であったことが明らかになるのですが、そうして研ぎ澄まされた肉体はまた、針のように鋭く繊細な集中力をもたらしており、その結果が通常ではあり得ない「0.1秒未満の反応時間」を実現してしまったのではないか、という気がするのです。
もしそれがそのとおりだったとしても、ドーピング違反を犯していた以上はやはり通常ならばあり得なかったことになり、そこで「真実」を探ることは無意味ということになるでしょう。ただ、今後人間が今以上の鍛錬によって反応時間を短縮することができないとは言い切れないのでは?…という疑問は残ります。(あくまでも素人考えとして、ですよ)
そうなった時、あるいはその「聖域」が脅かされるようなデータが出るようになった時に、再びこの「0.1秒」が論議される時代が来ないとも限らない……まあ、これもファンとしての一つの「夢」ではありますね。

 

<連載>100m競走を語ろう ⑤~ドッキドキのスタート・アクション



◆「イチニツイテ」「ヨーイ!」

短距離競走では、号砲によるスタート合図の前に、発走の合図をする「スターター(正しくは出発係)」という競技役員によって発せられる、「位置について=On your marks」と「用意=Set」という、二段階の「コール」があります。スタンディングスタートの中長距離走では、「位置について」の一回のみです。(陸上競技にあまり詳しくないと、これを知らない方が
意外に多くて、市井のマラソン大会などで「位置について……ヨーイ!」とやってしまいランナーをずっこけさせる、ということがあります)
以前はこのスタートコールは、「開催国の言語で行う」というルールだったのですが、2007年のルール改正で英語の「On your marks」「Set」に統一され、日本国内でも日本陸連が関与する規模の大会では、すべて英語でコールされることになっています。
スターター
  ※「セイコー陸上競技システム総合カタログ」より

短距離走で「位置について」のコールを受けたら、選手はスタートラインの手前ぎりぎりの所に(ラインに触れないように)両手を着き、あらかじめセットしたスターティングブロックに足を乗せて構えます。この構えで静止した状態が、「位置についた」と判断される体勢です。
スターターは、選手全員が「位置についた」ことを確認した上で、「用意」のコールをします。この合図で選手は腰を上げて体の重心を前に移動させることによって、すぐに全力ダッシュが始められる体勢をとります。
この姿勢を長時間続けることは体力的にも精神的にも困難で、1964年東京オリンピックの男子100m決勝でスターターを務めた故・佐々木吉蔵さんによれば、「『用意のヨ』から『ドン!』までは1.6秒から1.8秒が理想」とのことで、選手によっては「2秒を超えると眠くなる」と言う人もいるそうです。選手はそれほどに極限にまで張り詰めた精神状態に置かれるわけですが、近年はより正確で公平なスタートを期するあまりに少々この「間」が長くなる傾向があるように見受けられます。いずれにしろ、短距離走のスタートを取り仕切るスターターの仕事は、極めて繊細で熟練を要するものであることは確かです。

「位置について」の構えは、「用意」で腰を上げた時に最大限の爆発力が得られるよう、体格や体の使い方に合せた姿勢をそれぞれの選手が身に着けていて、それを実現するための手の開き具合と足の位置を決める必要があります。スタートの準備をする選手たちをよく観察していると、スタブロ本体を置く位置、左右の足を置く位置などを慎重に測りながら決めていく人もいれば、大ざっぱに位置決めしてから足を乗せてみて微調整していく人もいるなど、いろいろな流儀があるようです。

たとえば、往年の日本のエース・飯島秀雄さんやドーピングで偉業を台無しにしたベン・ジョンソンが得意にしていた「ロケットスタート」と呼ばれるスタイルでは、両手を大きく開き、足もできるだけ遠めに置いて、まるで地面に這いつくばるような低い体勢からスタートします。よほどの筋力と速いピッチがないと前には進めず倒れてしまったり空転してしまう、極端な前傾スタートです。通常は両手は「肩幅より少し広く」、前足は「ラインから1.5~2足長(「足長」は靴のサイズ)」、後ろ足は「前足から1~1.5足長」といったあたりが標準でしょうか。100m競走のスタート位置に並んだ全選手のスタブロの位置を見比べてみると、人によってかなり足の位置が異なることに驚かれるかもしれません。

エバニュー(Evernew) スターティングブロック 平行連結式スタブロRST EGA017
エバニュー(Evernew) スターティングブロック 平行連結式スタブロRST EGA017

ジョンソン
  ベン・ジョンソンのロケットスタートの構え。

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細かいルールになりますが、「位置について」では「少なくとも片方の膝が地面に着いていること」を規定しています。このルールを曲解した審判員によって、2003年のパリ世界選手権でちょっとした「事件」がありました。
この大会で日本人として初めて短距離種目(ハードルを除く)のメダルを獲得することになる末續慎吾選手が、その200m決勝のスタートの際に、「位置についての姿勢がルールに抵触する」と指摘されて注意を受けたのです。末續選手の「位置について」は、左右の足の前後間隔が極端に少ない(つまり前足を極端に後ろに引いている)独特の構えで、このため「位置について」では両脚の膝が地面に着く体勢になります。前記のルールを生半可に理解していた審判が「両膝を着いてはいけない」と勘違いして注意を与えたというアクシデントでした。幸い末續選手は動ずることなく言われたとおりに姿勢を修正し、その慣れないスタートにも関わらず3着に食い込んで銅メダルを獲得しましたが、結果が悪ければ大問題にもなりかねない審判のミステークでした。
末次慎吾
  「なんば」と言われる末續慎吾選手のスタート独特の構え

◆永遠の課題「フライング」の判定
スタートのピストル音(「号砲」と言います)が鳴る前に走者がスタート動作を開始してしまうと、不正スタートとなる……これは常識ですね。
こうした不正スタートは通常「フライング」と呼ばれて、日常会話の中でも、ちょっと逸って行動を起こしたりする場合などに使われる言葉です。ただしこれは和製英語で、自転車競技やモータースポーツ、ヨット競技などの「助走をつけてスタートラインを通過するスタート方式」を表す「フライング・スタート」に由来しています。英語では「false start(フォールス・スタート)」と言うのが一般的で、これにはいわゆるフライング以外の不正スタートの意味も含まれます。

次回はこのフライング=不正スタートについて、ちょっと掘り下げてみましょう。

 

IAAF、ついにロシアをシャットアウト

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(日刊スポーツWEBサイトより)
 

今や陸上強国とは言い難いながら、それでも有力選手・人気選手を数多く抱えるロシアが、とうとう陸上競技チームとしてはリオ・オリンピックに出場できないことになってしまいました。
ちょっと思い浮かべるだけでも、女子PVのエレーナ・イシンバエワをはじめ、HJのアンナ・チチェロワにマリア・クチナ、110mHのセルゲイ・シュベンコフ、男子LJのアレクサンドル・メンコフといったタイトル・ホルダー、そしていつのオリンピックでも好選手を輩出する女子の中距離やロングスプリント、マイルリレー、男子投擲種目・・・さらにはトップ選手がすでに当事者として処分されているものの、すぐに巻き返せるだけの選手層を持っているはずの男女競歩や女子マラソン。
「潔白な選手に限って出場を認める救済策を…」云々の成り行きが気になりますが、まずは今年のDLシリーズでも続いているロシア不在の状況は、リオでも変わらずということになりそうです。 

もちろんドーピングは、ロシアだけの問題ではなく、陸上競技だけの問題でもありません。
最近の情報にも、見苦しい言い訳や嘆願を続けるマリア・シャラポア(テニス)やパク・テファン(競泳)の動向、あるいは長距離王国ケニアの監視体制の緩さが依然として問題になっていたり、ジャマイカの一部選手の失格が確実になったなどの話題もあります。 

陸上競技に限って言えば、初めて金メダルを剥奪されたことで歴史にその名を残すこととなったベン・ジョンソン(CAN)の”活躍”した時期は、まさに暗黒史の幕開け時代だったと言えます。
IAAFのレコードブックには、おそらくドーピングの、それも国家ぐるみ・地域ぐるみの組織的ドーピングの成果であろうという心証を世界中の関係者が持っているにも関わらず、いまだに「世界記録」として刻まれ続けているものがいくつもあります。
男子円盤投・ハンマー投・女子400m・800m・4×400mR・砲丸投・円盤投・・・これらはいずれも、1980年代中盤からベルリンの壁が崩壊する1989年までの間に、ソ連または東ドイツなど東欧圏の選手によって樹立されたものです。この時期のこれらの種目に関しては、世界記録以外でも多くの記録がいまだに歴代ランキングの上位を占めていることからも、主としてパワー系種目における東欧諸国の選手によるパフォーマンスが突出していた事実は、当時を知る誰もが認めています。 

他に、最近具体的な証言が出てきつつあるという90年代前半の中国女子中長距離「馬軍団」による合法(あくまでも当時の基準で)ドーピング疑惑。1500mの世界記録は昨年22年ぶりに破られましたが、10000mのワン・ジュンシャの29分31秒78という記録は、当分近づくことすらできそうにありません。
フローレンス・グリフィス・ジョイナー(USA)による短距離2種目の世界記録も、あまりに突出していることと結果的にごく短い期間でのパフォーマンスだったことなど、疑惑を口にする人が今でも絶えません。本人が若くして亡くなっていることも、疑惑の根拠となると同時に、解明のチャンスが失われたことを意味する、と言われています。
保存された検体などの物的証拠が残っていないために、そうした証言が精査され事実と認定されない限りはこのまま闇の中ということにもなりそうですが、数々の「疑惑の世界記録」が公式に認められていることは、確かです。 

2000年をまたいで自転車の『ツール・ド・フランス』に総合7連覇の偉業を刻んだかに見えたランス・アームストロング(USA)は、ツール撤退後に別の違反選手による証言がきっかけとなってドーピングの状況証拠が固められ、最終的には「自白」によって全ての成績を抹消される、という処分に至りました。
つまり、物的証拠がなくても「バレる」可能性はあることを示した点に意義はあるのですが、あくまでも自転車競技という、伝統的にドーピングに対するモラルが低く、また陸上競技などに比べれば狭い世界での出来事で、結果を見れば「バレるべくしてバレた」という印象を持ったものです。

自転車競技に関連して、近藤史恵・著『エデン』 (新潮文庫)という、自転車のロードレースを題材にした小説のことを思い出しました。
ここには、「なぜドーピングが後を絶たないのか」という疑問に対するヒントとなるようなくだりが出てきます。
「今度のやつは、絶対にバレないよ」
という”悪魔の囁き”が、常にアスリートたちを追いかけ回している、という状況です。
これだけ多くのトップ・アスリートが汚名にまみれながら、なおも一向にドーピング禍が収束する気配を見せないのは、現実に不正を隠しおおせている事実がまだまだ存在し、そのことを何かの機会で知るアスリートが「バレなければ不正ではない」とばかりに追従するからではないか、と考えさせられます。

日本人的な感覚では、「悪いことして、もしバレたら大変」という意識が先行しますから、そういう感覚はなかなか理解しにくいところです。しかし、モラルだとかスポーツマンシップだとかの意識が薄い環境で育ってきたアスリート、あるいは自分の属する組織の意向に従う社会環境のもとにスポーツに取り組んできた者にとって、「バレそうにない不正と引き換えの栄光と富」の誘惑は、尋常ならざるものであるに違いありません。
ランスのケースなど、もし調査が一歩甘ければ、私たちファンが永久に騙され続けていた可能性も十分にあったのです。(むしろそのほうが、ファンの気持ちとしては幸せだったでしょうが…)それを受けて、「今度はバレない」と考える輩が出てくるのは、なかなか止められません。

公正に競わないスポーツに意味はないし、勝ち負けにスポーツの全ての意義があるわけでもありません。
その価値観を共有するだけで、多くの人々を失望させるような事態を未然に防ぐことは可能だろう、と思う反面、「悪魔の囁き」を仕掛けてくる闇の力は、思いのほか強大なものなのかもしれません。


 
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