豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

ブリトニー・リース

ロンドン世界選手権展望 ④ ~頂上決戦を制するのは?


このシリーズを書くにあたり、定期購読している陸上雑誌なども参考にしているのですが、専門誌は毎月14日発売のため情報がせいぜい7月初旬止まりで、少し現状からずれている展望があるようです。その分、IAAFのHPなどからできるだけ最新の情報を取り込んでお送りしようと思っています。
さて今回は、2強あるいは3強と呼ばれるライバルによるハイレベルな優勝争いが期待される、勝負・記録ともに楽しみな種目についてご紹介しましょう。

◆ショーナvsアリソン/リオの再戦は執念の戦い
RIO022

「ダイビング・フォア・ゴールド」による決着が記憶に新しい、リオ五輪の女子400m。1着ショーナ・ミラー(現姓ミラー‐ウィボ=BAH)49秒44、2着アリソン・フェリックス(USA)49秒51。
この種目の第一人者としての地位を着々と築きつつあった新鋭ミラーが唯一人、前年の北京世界選手権決勝、リオの準決勝と先着を許していたのが、フェリックスでした。戦前の予想では日の出の勢いのミラーに分があるという見方が優勢だったにも関わらず、当人とすれば女子スプリント界に長く君臨するレジェンドの存在は、底知れぬ脅威となっていたに違いありません。現実に途中までは圧勝かと思われたレースの最後に忍び寄ってきたレジェンドの影に、追い詰められた末の乾坤一擲が、あのダイビング・フィニッシュでした。

私は、年齢(1985年11月生まれ)的なことや繰り返される故障との闘いなどから、アリソンはリオのあの400m、そして波乱と歓喜に彩られたリレー2種目を花道にするのではないか、と勝手に想像していました。けれども、そうはなっていません。
全米選手権では100m決勝最下位、200m決勝DNSといいところがありませんでしたが、北京大会の優勝によって出場権を持つ、今や「本業」となった400mでは、今季2レース目となったDLロンドンで49秒67と、あっさり今季ランク1位に躍り出ました。

一方のミラー‐ウィボは、5月から7月にかけて3戦して49秒77、86、80とまったく波のない順調なプロセス。またDLユージーンでは200mに出場して21秒91(+1.5)。このレースはトリ・ボウイ(USA)が21秒77のWLで優勝し、女王エレイン・トンプソン(JAM)が3着(21秒98)と敗れたもので、今季ベスト3を独占する好レースの一角を占めたわけです。
この一戦で200mでも優勝候補の一人に挙がってきたミラー‐ウィボはしかし、日程の問題(男子同様400mシリーズの途中に200m予選が組まれている)から400一本に賭けてくる公算大です。

アリソンよりも8歳半年下(1994年4月生まれ)のミラー‐ウィボには勢いと十分な伸びしろがあり、アリソンにはレジェンドと形容するにふさわしい、測り知れない底力がある。
いつかはミラー‐ウィボが凌駕することになるとはいえ、リオでの0.07秒差、というかダイビングで稼ぎ出したトルソー半分の差は、まだまだ決定的な二人の実力差とは考えられません。
今度こそ、目の上のタンコブたるアリソンを明確に破りたいショーナ・ミラー‐ウィボ。対して史上最多9個の金メダルに飽き足らず「まだまだやるわよ」の闘志漲るアリソン・フェリックス。今回、勝利への執念はどちらが優るのか?…
割って入るとすれば、全米を49秒72で制したクォネラ・ヘイズでしょうが、ショーナとアリソンにはサーニャ・リチャーズ・ロス(USA)が2009年に記録して以来絶えて久しい48秒台でのスーパー・バトルを期待しています。

◆ステファニディvsモリス/精密機械と一発屋の争い
女子棒高跳は、昨シーズンから勢力図が一変してしまいました。
長く続いたエレーナ・イシンバエワ(RUS)の支配が事実上終焉し、その好敵手を務め続けたジェニファー・サー(USA)にもかつての力強さはありません。
昨シーズン、前年年間女王となった同国のニコレッタ・キリアポウロウに代わってDL戦線を独走したのが、エカテリニ・ステファニディ(GRE)でした。シーズン序盤から試合ごとに僅かずつの自己新記録を積み重ね、リオ五輪前にそれは4m86にまで到達。驚くべきは、ほぼすべての試合で4m70以上、シーズン中盤からは4m80は外さないという、無類の安定感でした。

五輪直前、すでに室内記録4m95を持っていたサンディ・モリス(USA)が屋外でも4m93を跳んで、俄かにサーに代わるアメリカのエースとしてリオに乗り込むと、ステファニディと激しくマッチアップ。4m85の同記録ながらやはり「安定感」のステファニディに一日の長があって、無効試技数の差で1位ステファニディ、2位モリスという結果になりました。
ところがDL最終戦のブリュッセル大会、すでに年間女王を決め有終の美を飾ろうとしていたステファニディの目の前で、モリスは女子・屋外ではイシンバエワしか到達していなかった5mヴォールターの高みを征服、さらにバーを“禁断”の5m07(成功なら世界新記録)にまで上げ、それが決して不可能なトライではないところを見せたのです。

今季もステファニディの安定感は抜群で、DLはランキングトップでこそありませんが3戦3勝。対するモリスは2位、6位、4位と低迷。ステファニディには室内を含め4連敗です。
正確無比な安定性を誇るステファニディは、「本番」でも確実に4m80から85、あるいは自己記録を僅かに更新して4m90あたりを跳んでくるかもしれません。ただし、ローマで5m07にトライした跳躍を見る限り、まだ5m以上を跳ぶ準備はまったく整っていないと思われます。
もちろん、翳りが見えるとはいっても、サーやDLトップのヤニスレイ・シルバ(CUB)らの旧世代も侮りがたい実力は残していますし、最近不調ながらリオ銅メダルの実績を持つエリザ・マッカートニー(NZL)などの新興勢力も控えていますが、ステファニディの牙城を崩すには4m90以上を跳ぶ必要があります。
その可能性を濃厚に持っているのが、モリスです。5mを跳ぶ力は証明済みながら、4m60、70あたりのバーを落とす可能性も大いにあり、金もあれば表彰台を逃す可能性も少なくない、そこが彼女の魅力とも言えます。ブリュッセルの時のように勢いに乗ってしまえば、誰にも止められないでしょう。
正確無比か、一発の魅力か、どちらを応援しますか?私はもちろんモリスです。なぜなら…美人だから!
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(https://www.iaaf.org/news/preview/iaaf-world-indoor-tour-dusseldorf-preview)

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◆リース・バートレッタ・スパノヴィッチ/女子LJは三つ巴
女子走幅跳でも、リオ五輪で繰り広げられた激闘の再現が見られそうです。
3度の世界王座とロンドン五輪を制したブリトニー・リース(USA)、前回北京でその座を奪いリオでも守り切ったティアナ・バートレッタ(USA)、そして世界大会の金メダルは持っていないものの常にハイレベルで安定した成績を残し続けるイヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)。

昨季は世界記録に迫る7m31(+1.7)、今季も7m13(+2.0)と、強烈な爆発力を誇るのがリース。ただ大試合ではしばしば取りこぼしもあって、前回大会はなんと予選敗退の憂き目に遭っています。
これに対してここ2年、本番での勝負強さを発揮してきたのが、バートレッタ。100mとのダブル出場は叶いませんでしたが、今回も400mリレーのメンバーには入ってくるであろう、そのスピードが最大の武器です。
スパノヴィッチは棒高跳のステファニディ同様、正確無比な助走で測ったように6m80~90台の安定した記録を出してくる精密機械タイプ。とはいえリオでは前2者のせめぎ合い(7m17と7m15)には及ばなかったものの、自身初の7m超えとなる7m08(+0.6)を記録。五輪後にはさらに7m10(+0.3)と伸ばし、今年は室内で7m24と、ビッグジャンプの潜在能力も十分にあることを証明して見せました。

それぞれに個性の異なる3選手による、7mオーバーの空中戦が見られるのが楽しみ。ちょっと心配なのは、スパノヴィッチの屋外シーズンインが7月に入ってからと遅れ、2戦目のDLロンドン(6m88で2位)で少し脚を気にする仕草を見せていたことです。棒高跳とは違って、私はこの種目では“精密機械”を応援しています。

◆イバルゲンvsロハス/絶対女王の牙城崩壊か?
ここ数年、女子三段跳はカテリン・イバルゲン(COL)の独り舞台が続いてきました。30以上積み重ねた連勝記録はいったんベテランのオルガ・リパコワ(KAZ)にストップされたものの、リオでは前評判どおりの圧勝。1年前は間違いなく「鉄板」のジャンルに位置付けられる存在でした。
そのリオ直前に突然15mオーバーを果たし、本番でも銀メダルに食い込んできたのが20歳(当時)の新鋭ユリマール・ロハス(VEN)。今季も6月初旬に14m96(-0.3)でWLに躍り出ると、DLローマでは常勝イバルゲンに土をつけ、続くモナコでも2センチ差に食い下がる戦いを繰り広げました。

なんといってもロハスの強みは、192㎝という長身を躍らせる雄大なジャンプ。粗削りながら、イバルゲンにとっての見果てぬ夢である世界記録すら視野に入る、途轍もなく豊かな素質です。
片やイバルゲンは、モナコでの大逆転を見ても、歴戦の勝利で積み重ねてきた勝負強さに衰えはありません。ただ、今季はそのモナコの14m86(-0.5)がSBで、それまでは14m中盤の記録がほとんど。パフォーマンス・レベルが幾分下降気味なのは否めないところです。
典型的な「新旧対決」はまた、コロンビアとヴェネズエラという陸上界ではあまりお馴染みでない南米の小国を代表する戦いでもあります。興味深く見守りたいと思います。

◆レーラーvsフェテル/90超えのドイツ勢決戦
ここまで女子、特に跳躍種目に偏りがちだった「注目の対決」ですが、男子で一つ挙げるとするならば、やり投ということになります。
リオ五輪覇者のトーマス・レーラーが93m90の大投擲でいきなり度肝を抜いたのが、DL緒戦のドーハ大会。以後どの試合でも90mラインを見据えた高止まりの成績を続け、この紛れの多い種目も今年はレーラーで決まりかな、と思われてきた矢先、7月に入って同じドイツのヨハネス・フェテルが94m44を投げ、レーラーから歴代2位の座を奪取しました。
今季両者の対戦成績はレーラーの5勝3敗。ともに85mを下回ったゲームはありません。
フェテルの90mスローは7月11日ルツェルンの1回だけですが、この日フェテルはなんと4回も90mラインの向こう側にやりを届かせており、レーラーの89m45を圧倒しました。
とはいうものの、他の対戦と同様に、「一発」の威力はフェテルでも、安定したハイ・パフォーマンスはレーラーという図式。順当ならばレーラー、ひっくり返るとすればフェテルの出来次第、ということになるでしょうが、そこはこの種目ならではのどんでん返しがいつ起こるか、分かりません。

やり投のイメージといえば、フィンランドなど北欧諸国を中心に、侮れない力の東欧諸国、そして近年ではケニア、トリニダードトバコ、エジプト、インドといった「えっ?」という国からの猛者の出現、そこに日本勢も何とか食い込みたいというような勢力図でしたが、ここへ来てドイツ勢が完全に支配権を握った感じです。ドイツの3番手には誰が出るのか分かりませんが、ラルス・ハーマン、ユリアン・ヴェーバー、ベルナルド・ザイフェルトなど、まだまだ実力者が続きます。
食い込むとすれば、DL覇者のヤクブ・ヴァドレイヒ(CZE)、ランク3位と復調気配のテロ・ピトカマキ(FIN)、5年前のロンドンであっと言わせたケショーン・ウォルコット(TTO)まででしょうか。
日本勢不在が残念ですが、楽しみな空中戦です。


あっ!本記事をアップした直後に入った情報です。
新井涼平選手(スズキ浜松AC)の追加出場が決まりました。私が予想したとおり、女子の斉藤真理菜選手(国士舘大)ともども繰り上がりによるインヴィテーションです。
女子100mHの木村文子(エディオン)、柴村仁美(東邦銀行)両美人選手も!こちらは予想外。
しっかり頑張ってもらいましょう。


リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day5~続き



◇男子走高跳決勝
既報のとおり群雄割拠の中で有力候補の一人だったタンベリ(ITA)が故障でエントリーせず、また中国の吉本若手芸人もどき、チャン・グウェイが予選で2m26を落としてしまい、決勝には正統派(?)のハイジャンパー15人が居並びました。
で、昨年WC王者のデレク・ドルーイン(CAN)が2m38を綺麗にクリアして抜け出し、ボンダレンコ(UKR)、バルシム(QAT)の「2強」を破りました。なんか、こう書くと走高跳では久々にメダルを獲るべき人たちが獲ったという結果に思えてきます。

5位のロバート・グラバーツ(GBR)が、2m33の1回目で、大きく揺れたバーがしばし時間が経ってから落下し、すでに白旗を掲げていた審判が赤旗に上げなおしたのを見て、「いっぺん白いの上げたじゃないか」と執拗に抗議、という出来事がありました。結局抗議が認められて「成功」となったのですが、これはどうでしょうねえ。風その他の影響ではなくて、明らかにバーに触れた時の振動によって落ちたわけですから…
ただ、グラバーツはDLバーミンガム大会(だったか?)でも同じような目に遭っています。この時はノータッチでクリアしたのに、バーを置く支柱がマットの衝撃で揺れたためにバーが落ちたもので、見ていた他の選手も一緒になって「いや、今のはアクシデントだ」と抗議したものの通らなかった、ということがあったのです。もちろん審判は別の人でしょうけど、「今度は譲れないぜ!」というところだったのでしょうかね?

◇女子やり投予選(通過記録63m00)
 15WC ①67m69K.モリトール(GER) ②66m13ルー・フィフィ(CHN) ③65m79S.ヴィルジョエン(RSA)
 15DL ①19p/5B.シュポタコヴァ(CZE) ②7p/4ヴィルジョエン ③5p/2M.パラメイカ(LAT)
 16DL ①29p/4パラメイカ ②22p/4K.ミッチェル(AUS)・22p/3ヴィルジョエン
 16SB ①66m87シュポタコヴァ ②66m41C.フソンク(GER) ③66m34T.ハラドヴィッチ(BLR)

今回は通過ラインが61m63とかなり高くて、今季に入って好調とは言えない海老原有希は力が入ったか投擲がまとまらず、57m68であえなく落選。この種目は有望な若手選手が多く育ちそうな予兆があるだけに、それなりの結果でつなげてもらいたかったところですが、残念です。
通過記録は高かったとはいえ、全体にレヴェルが高かったかと言えばそうでもなく、他の投擲種目のような「大本命」がいないのがここのところの女子JT。本来ならその位置にいるべきシュポタコヴァは最近精彩がなく、それでもまずまずの記録で通過。昨年WCを大逆転で制したモリトールは欠場。そこでアジア新を出し6回目までリードしていたルー・フィフィは3回目でやっと63mオーヴァー。オーベルクフェル、フソンクのドイツ勢やミッチェルも冷や汗ものの通過でした。
そんな中で、1投目に軽い感じで67m11のポーランド記録を放った20歳のマリア・アンドレチェクが、一躍優勝候補のトップに躍り出てきました。今年64m08を投げたという以外は、昨年WC予選落ち、一昨年ジュニアWC5位ということくらいしか分からない大穴選手です。こういう種目ですから決勝でも上手くいくとは限りませんが、「超新星」が停滞気味のやり投に一波乱を起こしてくれることを期待します。
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◇女子走幅跳予選(通過記録6m75)
「予選が鬼門」のブリトニー・リース(USA)が一発で通過を決める幸先のいいスタートを切り、ティアナ・バートレッタとともに決勝へ進みました。私のイチオシ、イヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)も6m87のトップ記録で一発通過は、さすが。
日本の甲斐好美は、懸念された踏切の不安定をまたもや露呈してしまい、3月の室内WC以来世界大会5回連続ファウル。3回目に記録を残しはしたものの5m台ではどうにもなりませんでした。
その後のインタヴューでの受け答えが、どうも感じ良くなかったですねえ。「本来のコーチがいなかったから…」などと、現場で世話になった吉田孝久コーチをないがしろにするようなコメントは、いかがなものでしょうか。

◇女子400mH準決勝(3組2着+2)
今年前半は「本命不在」の様相だったこの種目も、どうやらWL(52秒88)のダリラ・ムハマド(USA)の現在の力と勢いは本物のようで、まず金メダルは半分手中にしたような感があります。
本来なら世界選手権連覇中のズザナ・ヘイノヴァ(CZE)が中心になるべきですが、今季のヘイノヴァは故障で出遅れようやくオリンピックに間に合ったというところ。解説の山崎さんはかなり辛口な評価でしたが、思った以上に状態はいいと見えました。アシュリー・スペンサー(USA)、エイリズ・ドイル(GBR)、ジャマイカ勢あたりとの銀メダル争いの中では、一歩リードではないでしょうか。ムハマドとの勝負が楽しみです。
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◇男子400mH準決勝(3組2着+2)
無念、かえすがえすも無念!
野澤啓佑、1組6着(49秒20)で決勝ならず。
クレメント(USA)が意外にいい走りで優勝候補筆頭に名乗りを挙げたレースでしたが、野澤は何で失速しちゃいましたかねえ…2位が48秒85ですよ、チャンスだっただけに諦めきれない。
200m予選の項でも言及しましたが、野澤にも同じことが言えますね。勝負どころが分かっていないんです。経験不足です。どんどん海外に出て修行してください。
さて、異常事態だった種目もようやく48秒台前半のタイムが続出して、温まってきました。決勝では誰が来るかさっぱり読めません(もう、どうでもいいや)が、47秒台が出るかもしれないですね。

◇女子200m準決勝(3組2着+2)
いきなり1組でトンプソン(JAM)とスキッパーズ(NED)の「頂上決戦」。もちろんセミファイナルでガチンコになるはずもなく、「お先に」「どうぞ」という感じでスキッパーズが先着しましたが、ただ一人の21秒台で仕上げは万全のようです。
タルー(CIV)とボウイ(USA)も引き続き好調のようですけど、やはり決勝は上記2人のハイレヴェルな優勝争いではないか、と見ます。私のご贔屓イヴェット・ラロワ-コリオが見事2組2着で決勝に進んだのは立派!
ところで、なんでTVでは昨年のWC以来、Dafne Schippersを「ダフネ・シパーズ」という呼称をするんでしょうかね?オランダ語読みではそうなのかな?英語の場内アナウンスでははっきりと「すきっぱぁーず!」って言ってますけどね。
外国人選手の呼称については私もいろいろ思うところがあるんですが、明らかに「おかしいんじゃない?」というのがあります。この後の1500mに出てきたイギリス人のLaura Muirは英語ではっきりと「みゅぅあーー!」と呼ばれてるのに、「ムイー」って、何よその呼び方?

◇女子1500m決勝
この大会には、本来大本命であるべき存在なのに今季不調だったりブランクからようやく出場にこぎつけたりと、その動向が注視された選手が何名かいます。
ボルトがその代表格ですし、それ以上に不安視されていた男子800mのルディシャ、女子100mのシェリーアン、男子円盤投のR.ハルティング、前述のヘイノヴァなどもそうですね。
いちばん音沙汰がなかったのがゲンゼベ・ディババで、昨年の大活躍ぶりから一転して「どうなの?」という危惧がありました。で、今回案の定というか、700から猛烈なマクリを決めたかと思ったら、最後の直線で失速するという信じられないような姿で辛うじて2着。
まさか、とは思うんですけど、彼女、一瞬周回を間違えたんじゃないでしょうか?それほど、700からのスパートは「渾身」という感じで、1100からの再スパートは思いつめたような雰囲気があったんですね。思い違いではないにしても、700での仕掛けはどうも戦術上のミスだったように見え、あるいは世界記録で走った時の感覚を信じすぎたか、ブランクによるレース勘のズレのようなものが大きく影響したように思います。
ディババが独り相撲で沈没するのを尻目に、フェイス・キピエゴン(KEN)が余裕の優勝。3着はまたもアメリカ!(ジェニファー・シンプソン)

◇男子110mH決勝
実は私、昨今のこの種目にあんまり興味がないんです。それほどに、主役もいなければ記録も低調。誰が勝っても、あまり記憶に残ることはないだろうな、とそんな思いで見てました。
まずまず大方の予想どおり、WLのオマー・マクレオド(JAM)が13秒05で優勝、キューバからスペインに国籍変更したオーランド・オルテガが2着。
予選の走り直しという前代未聞の出来事以外は、あんまり記憶に残ることはなさそうです。

ああっ、もうDay6が始まってしまう!

 

リオ五輪直前展望・Day5(8/16)



いよいよです。いよいよ今夜の9時30分から、リオデジャネイロ・オリンピックの陸上競技がスタートします。
Day1の記事を上げたのが1週間ほど前なので、その後エントリーリストが発表されたり、状況が変わったところもあるのですが、前回までの記事は特に訂正しないでおきます。

陸上競技は、オリンピックの花形種目。日本では柔道、体操、競泳といった前半の有望種目で盛り上がり、後半の陸上でガッカリする、というパターンになりがちですが、それこそ最もワールドワイドな競技が陸上。もし日本選手が入賞ということになれば、それは他の競技ならメダルに匹敵する快挙ですからね、こちらも頑張って応援しますよ。それよりも何よりも、世界最高峰の戦いが、本当に楽しみですね!

◆Day5のプログラム

―Morning Session—
 ( 9:30)女子5000m予選/女子棒高跳予選
 ( 9:50)男子三段跳決勝/男子1500m予選/女子100mH予選
 (11:20)女子円盤投決勝
 (11:50)男子200m予選

―Evening Session—
 ( 8:30)男子走高跳決勝/女子やり投予選/男子110mH準決勝
 ( 9:05)女子走幅跳予選/女子400mH準決勝
 ( 9:35)男子400mH準決勝/女子200m準決勝
 (10:30)女子1500m決勝/男子110mH決勝


前日までが何となくスカスカの印象だったのが、この日から急に盛りだくさんな感じになってきます。
日本選手も続々と登場、注目種目の男子200mがスタートします。


◇女子5000m
 15WC ①14'26"83A.アヤナ(ETH) ②14'44"07S.テフェリ(ETH) ③14'44"14G.ディババ(ETH)
 15DL ①16p/4G.ディババ ②14p/3アヤナ ③5p/2M.チェロノ(KEN)
 16DL ①30p/3アヤナ ②24p/4チェロノ ③13p/2V.J.チェルイヨト(KEN)
 PB ①14'11"15T.ディババ ②14'12"59アヤナ ③14'20"87チェルイヨト ⑲15'08"29鈴木亜由子
 エントリー37名(ただしエチオピアが4人エントリーしており最終出場者は不明)
 ※WC=世界選手権
  DL=ダイヤモンドリーグ…「総ポイント/試合数」(2015年と16年とではポイント設定が異なる)
  PB…5000mの場合SBのみでは比較しにくいため、PBによるエントリー選手ランキングとした。


ゲンゼベ・ディババはギリギリ復帰が間に合いましたが同日に決勝のある1500mに絞っての出場。代わって姉の世界記録保持者ティルネッシュ・ディババが出てきますが、現時点で「世界最強」がアルマズ・アヤナであることは誰の目にも明らかで、ラスト勝負にまで持ち込まれない限り、アヤナのレースとなるでしょう。
その勝ちパターンになれば、残り2周あたりから離れた2番手争いを演じることになるのがT.ディババとヴィヴィアン・チェルイヨトの両ヴェテラン、そしてその他のケニア・エチオピア勢ということになりそうです。14分台のPBは13名いますが、やはりE・Kの6名の力が抜けているようです。

一縷の望みをかけてエントリーはしてきた鈴木亜由子選手ですが、長距離の場合数日で故障がどうにかなるということは考えにくいので、ほぼ欠場と見るべきかと思います。尾西美咲は昨年世界選手権での決勝進出の実績があり、速くも遅くもないペースを自ら作っていく展開に持ち込めれば、その再現も期待できるでしょうが、オリンピックは世界選手権以上に予選が速い展開になりがちで、苦戦は免れないところ。

◇女子円盤投

 15WC ①69m28D.カバレロ(CUB) ②67m39S.ペルコヴィッチ(CRO) ③65m53N.ミュラー(GER)
 15DL ①30p/7ペルコヴィッチ ②7p/3Y.ペレス(CUB) ③5p/2カバレロ
 16DL ①50p/5ペルコヴィッチ ②14p/3ミュラー ③12p/3カバレロ・12p/2D.サミュエルズ(AUS)
 16SB ①70m88ペルコヴィッチ ②68m86ペレス ③68m49J.フィッシャー(GER)
 エントリー35名
Sandra Perkovic
 https://www.iaaf.org/news/preview/rio-2016-womens-discus

今季DL5戦5勝、現役唯一の70mスロワー、サンドラ・ペルコヴィッチの独擅場。5000mのアヤナともども、全種目を通じても最も堅い優勝候補の一人ではないでしょうか。
投擲種目でこれだけの圧倒的優位を築くのは珍しいと思いますが、力量・メンタルともに絶頂期にある今の彼女(26歳)には、何物も通用しそうにありません。ただ、昨年の世界選手権のような波乱が起きる可能性もないわけではなく、その本人・カバレロとペレスのキューバ勢、フィッシャー、ミュラーのドイツ勢に、「金」を狙う意欲は十分にあります。

◇男子200m

 15WC ①19"55U.ボルト(JAM) ②19"74J.ガトリン(USA) ③19"87A.ジョボドワナ(RSA)
 15DL ①16p/3A.エドワード(PAN) ②11p/6ジョボドワナ ③4p/1R.ドワイヤー(JAM)
 16DL ①36p/5エドワード ②22p/3A.ウエブ(USA) ③10p/1A.デ-グラス(CAN)
 16SB ①19"74L.メリット(USA) ②19”75ガトリン ③19"85ウエブ ⑬20"11飯塚翔太
 エントリー81名(ジャマイカ・ブラジルは4名)

100mとともに、ウサイン・ボルトにトラック史上前例のない3連覇の偉業がかかります。
ロンドンでの19秒89で不安を一掃したとされる今季のボルトですが、爆弾を抱えていることに変わりはなく、また十分なトレーニングが積めているかどうか、特に200mを走り切るスタミナに不安は残ります。ジャスティン・ガトリン、ラショーン・メリットのアメリカ2枚看板に19秒5あたりまで見込める能力があり、また19秒26を持つヨハン・ブレイク(JAM)も来ています。
すべては、100mを走ってボルトの調子がどうなのか、にかかってくると思われます。
この種目はDLにトップ選手が揃うことが少なく、その中でコツコツとポイントを稼いでいるアロンゾ・エドワード(PAN)のSBは20秒04に過ぎず、世界選手権では4位と健闘しているもののメダル争いまでは荷が重いか?またゲツリク情報によれば、ミゲル・フランシス(ANT)という選手がWLの19秒67を7月10日に出したとなっていますが、IAAFのリストにその情報はありません。
さて、どうなるでしょう?

日本勢にとっても期待の種目です。記録的には予選通過は楽勝、20秒0台を出せば決勝まで、と皮算用は成り立ちますが、とにかく日本選手には予選から準決勝にかけて記録を落とす傾向があるので、そこを何とか頑張ってもらいたいものです。飯塚翔太はその点、大舞台の経験が豊富で心得ているでしょうが、今季の20秒11は条件に恵まれた中でのものですので、やはり準決勝突破にはよほどの好調が条件となるでしょう。
高瀬、藤光は昨年の調子を取り戻せれば、飯塚と同様の期待が持てます。100mと200mはヨンケイの代表選考会の意味合いもあると思われますので、各選手の奮闘が楽しみです。



◇男子110mH

 15WC ①12"98S.シュベンコフ(RUS) ②13"03H.パーチメント(JAM) ③13"04A.メリット(USA)
 15DL ①16p/6D.オリヴァー(USA) ②12p/4O.オルテガ(CUB) ③11p/3シュベンコフ
 16DL ①30p/4オルテガ(ESP※国籍変更) ②20p/2O.マクレオド(JAM) ③15p/3オリヴァー
 16SB ①12"98マクレオド ②13"03D.アレン(USA) ③13"04オルテガ 30)13"47矢澤航
 エントリー41名


ここ数年、記録的に停滞が続き、またこれといった中心選手がなかなか定まらない種目です。昨年世界覇者のシュベンコフも出場叶わず、世界記録保持者アリエス・メリットやデーヴィッド・オリヴァーも全米予選で姿を消しました。いちおう、DL開幕2戦を連勝したオマー・マクレオドと中盤で2勝のオルランド・オルテガの2人が軸になるでしょうが、優勝の行方は混沌としています。
面白いのは、キューバからかつての世界記録保持者ダイロン・ロブレスがエントリーしてきていることです。大きな大会ではいつも脚のケガを我慢しながら走っていたような印象のあるロブレス、まだ29歳と老け込む年齢ではありません。予選から注目してみたいと思います。
日本の矢澤航は、標準記録ギリギリのタイムですから、ほとんど全員が格上の選手ということで、気負わず日本新記録を目指してほしいところです。

◇女子走幅跳

 15WC ①7m14T.バートレッタ(USA) ②7m07S.プロクター(GBR) ③7m01I.シュパノヴィッチ(SRB)
 15DL ①20p/6バートレッタ ②12p/2シュパノヴィッチ ③9p/5プロクター
 16DL ①36p/4シュパノヴィッチ ②16p/2B.リース ③15p/4C.ネッティー(CAN)
 16SB ①7m31リース ②7m16S.モゲナラ(GER) ③7m05B.ストラットン(AUS)
 エントリー39名


良くも悪くも数年来主役を演じ続けているブリトニー・リース。2009年から世界大会4連覇を飾るも、12年ロンドンでは予選を9位、13年モスクワではギリギリの12位で通過という冷や汗の末の勝利で、次の15年北京ではとうとう予選落ち。これでリースの時代は終わったかと思ったら、今年の全米予選で歴代8位タイの7m31という大ジャンプでまたもや主演女優の座を掴みました。100mとの二刀流に挑み続けるティアナ・バートレッタとともに、アメリカの2強を中心としたゲームになりそうです。
ランク2位のゾスティーン・モゲナラと3位のブルック・ストラットンはともに大舞台での実績に乏しく、むしろ安定しているのは4位(6m95)のイヴァナ・シュパノヴィッチ(セルビア)。もしまたリースの乱調があったり、雨のような厳しいコンディションでのゲームになると、持ち味の堅実性が彼女をトップに押し上げるかもしれません。
日本の甲斐好美は、昨年来6m70以上を4回跳んでいる力があります。小柄ながら武器は助走のスピードで、同時に難点は踏切の不安定。気温の高い中での実施は大歓迎ということなので、一発ドンピシャリのジャンプを期待します。

Ivana Spanovic
 https://www.iaaf.org/news/series/first-impressions-ivana-spanovic

◇女子1500m
 15WC ①4'08"09G.ディババ(ETH) ②4'08"96F.キピエゴン(KEN) ③4'09"34S.ハッサン(NED)
 15DL ①18p/6ハッサン ②12p/3キピエゴン ③6p/3D.セヤウム(ETH)
 16DL ①30p/3キピエゴン ②18p/3L.ミュアー(GBR) ③14p/3M.バータ(SWE)
 16SB ①3'56"41キピエゴン ②3'57"49ミュアー ③3'58"10セヤウム
 エントリー42名


昨年衝撃の世界新記録を出したディババ3姉妹の末妹ゲンゼベが、今年はまったく音沙汰がなく心配していましたが、7月にようやく姿を現し、早々にサブ4を記録して復活をアピールしました。本来の専門種目である5000mとの日程的な兼ね合いがどうかというところ、今回は強敵のアヤナ、姉のティルネッシュがいる5000は回避し、1500一本で勝負をかけます。
ディババ不在中に強さを見せているのが、北京では敗れていたフェイス・キピエゴン。ディババのブランクを考慮すれば、こちらが本命と言ってもよいでしょうが、直線のスピード勝負になると予測がつきません。他にメダル候補として、実力者のシファン・ハッサン、今季急速に力をつけてきたローラ・ミュアー、レース巧者のジェニファー・シンプソン(USA)らの名前を挙げておきましょう。


 

注目の全米選手権・前半戦



IAAFのホームページより、ユージーンで開催中の全米選手権兼リオ五輪代表選考会のレポートです。
英語が得意なわけではないので、いくらか誤訳があるかもしれませんが、ご容赦ください。
http://www.iaaf.org/news/report/us-olympic-trials-2016-reese


リース大跳躍!全米オリンピック代表選考会前半のハイライト

由緒あるトラックタウンと呼ばれる地で、アメリカの陸上競技オリンピック・チームの選考が始まった。そこには、多くの新たなオリンピアンとの出会いと同じくらい、かつてのヒーローとの別れがある。

サーニャ・リチャーズ・ロス、ジェレミー・ウォリナー、アダム・ネルソン、リース・ホッファといった面々が、ユージーンでのゲームでの敗退とともに、競技からの引退を表明した。バーナード・ラガトは引退こそしないが、10000mを完走することができなかった。

一方で、長期政権をなお継続する者もいる。2004年以降の世界最高記録である7m31を跳んだ、女子走幅跳のブリトニー・リース。あるいは8回目の男子10000m栄光の王座に就いた、オリンピック銀メダリストのゲーレン・ラップ。

リースのビッグ・ジャンプは土曜日の決勝、4回目に飛び出したが、それまでの2回のファウルは、もしかしたらそれを上回る距離を跳んでいたかもしれない。その記録は、1988年に出された7m21のオリンピック・トライアル・レコードを破るもので、その記録の持ち主ジャッキー・ジョイナー・カーシーはちょうどユージーンに観戦に訪れており、リースを祝福した。

「ずっと、彼女を目標にしていたわ」リースは言う。「ジャッキーは私の先生よ。彼女が私のことを、まだまだ可能性をたくさん持っていると言ってくれたことが、彼女の記録を破る心の支えになってきたという意味でね。記録が破られたのは、私のトレーニングの成果に他ならないわ」

リースの国内タイトルは、この9年間で7回目となった。そのすべてが、3度の世界選手権優勝、3度の世界室内選手権優勝、そして2度のオリンピック代表に結びついているが、もし4年前のロンドンに続く連覇を成し遂げるならば、その時こそ彼女は歴史を作ることになる。女子走幅跳では誰一人としてオリンピック連覇を成し遂げた者はなく、わずかにハイケ・ドレクスラーが1992年と2000年の2度、制している例があるだけなのだ。

リースのジャンプは、2004年7月24日にロシアのタチアナ・レヴェデワが7m33を跳んで以来の記録だった。

ティアナ・バートレッタは走幅跳と100mの1次予選を行ったり来たりする中で、7m02(追風参考)でリースに次ぐ2位となった。

学生時代からの本拠地での走りとなったラップは、いつもとは違う戦法をとりながらも過去7回の全米選手権と同じく首位を占めた。レース中2度にわたる揺さぶりがあったものの、ラストの200mは鮮やかだった。そこでラップはシャドラク・キプチルチルを大きく引き離すと、27分55秒04でゴールを駆け抜けた。

「自分には何もかもが特別だよ。オリンピック選考会でできる走りというのは、通常の国内選手権のレベルとは全然違うものなんだ」と、30歳のラップは言う。「また母国の代表になれることはとても刺激的なことには違いないけど、それよりほら、ここにうちのチビがいるだろう?これが何よりも特別なことなのさ」

すでにリオのマラソン代表に決まっているラップは、今大会この後に行われる5000mへの出場も狙っている。オリンピックで10000に出場することは明言しており、もう1種目を5000にするかマラソンにするか、これから決断することになる。

2位のキプチルチルと3位のレナード・コリルは、 合衆国陸軍のワールドクラス・トレーニグ・プログラムに所属する軍人である。41歳のラガトは「欲張り過ぎた」と言って、得意の5000に向けて体力を温存するためレースを放棄した。

    

クラウザー、「22mクラブ」に入会

ライアン・クラウザーが、ジョー・コヴァックスの持つシーズン最高記録にあと2センチと迫る22m11で男子砲丸投に優勝、史上23人目となる屋外での22mプッターとなった。コヴァックスは6投目の21m95で2位に続いた。

38歳のホッファは5位、40歳のネルソンは7位。「ここんとこは、短い時間で集中してやるようにしているけど、まあこんなもんだろうね」と、2007年の世界チャンピオンだったホッファ。またネルソンは試合後すぐに引退を表明し、1位の選手のドーピングによる失格で繰り上がった2004年のオリンピック金メダルの栄誉を称えるセレモニーで、表彰を受けた。

女子10000mでは、モリー・ハドルが終始先頭を譲らず、31分41秒62で優勝した。前年の世界選手権でハドルをゴール寸前に交わして銅メダルを勝ち取ったエミリー・インフェルドが、31分46秒09で2位に続いた。

全米記録保持者のジア・ルイス‐スモールウッドが故障欠場となった女子円盤投では、ホイットニー・アシュレイが62m25で1位となった。2008年のオリンピック・チャンピオン、ステファニー・ブラウン・トラフトンは5位に終わった。「ここ数年は、確率がよくないわね」と彼女は言う。「もし、どこか他の場所でやらなきゃならないとしたら、ユージーンはいい所ね」

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予選最速は誰だ?

土曜日に行われた男女100m・1次予選のハイライトは、アキレス腱の負傷から復帰した世界選手権銅メダリスト、トレイヴォン・ブロメルの9秒94(+1.2m)と、追風参考(+3.6m)ながらジェンナ・プランディーニの10秒81だった。ブロメルのタイムは、全米選考会の1次予選でマークされたものとしては2012年のジャスティン・ガトリンによる9秒90に次いで2番目に速い記録。また女子の1次予選での追風参考記録としては、イングリッシュ・ガードナーの10秒90がこれまでの最速だった。

世界選手権とオリンピックの十種競技王者、アシュトン・イートンは、十種での大会記録になる46秒30で400mをフィニッシュし、総合でも4560点で1日目をリードした。イートンは100mで10秒34、走幅跳で7m84を記録して最初からトップに立ち、走高跳で、ジェレミー・タイウォがやはり大会新の2m21をクリアした時だけ一瞬その座を明け渡した。
跳躍2種目の後に行われた400mで、過去2度の世界王者となっているトレイ・ハーディーがラスト100mにかかったところでジョギング状態となり、72秒49でゴールした。上位3名に食い込むことは、もはや絶望的となった。

予選での最も大きな波乱は、男子800mだった。2012年オリンピック4位のドゥエイン・ソロモンと、USジュニア記録保持者のドナヴァン・ブレイジャーが、ともに予選落ちしたのだ。

女子走高跳で40歳のエイミー・エイカフは、アメリカでは初となる6回目のオリンピック出場を目指したが、予選で姿を消した。

最も残念だったシーンは、女子400m予選のレース半ばを過ぎたあたりでストップしてしまった、サーニャ・リチャーズ・ロスの姿だった。オリンピック女王は、1か月前からハムストリングスを傷めていたのだ。その光景が何を物語るかに気付いた時、20,987人の観衆は、サーニャに惜しみない拍手を送った。

「素晴らしい陸上人生だったし、こんなにも多くのファンが私を愛してくれているのを見て、最高よ」と、サーニャは言った。「本当にありがたいわ」

400mという種目は、ジェレミー・ウォリナーにも、ディーディー・トロッターにも、十種競技のハーディーにも同じように厳しかった。いずれも、ゆっくりと、あるいは歩くようにしてゴール。2004年に20歳の若さでオリンピックを制したウォリナーは、進出叶わなかった準決勝に思いを馳せるように、カーブのところでステップを踏んでみせた。

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