豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

フライング

桐生失格に茫然~DL第2戦・上海大会


いんやぁ…(と、つい石塚さんふうの溜息)
見事にスカされましたね、上海DL。
何度もビデオをコマ送りで見直してみましたが、フライングとは見えません。
桐生の手が地面を離れるのが他の選手よりも2コマ弱くらい(約0.05秒)早いから、やっぱりその分、早かったんでしょうかねえ。
コマ送りではむしろ分かりにくいんですけど、微妙にロッキングスタート(完全に制止せず身体を揺らすような構え)気味な動きが桐生にあったように見受けられます。これがフライングの正体だとすれば、修正は容易なんですが、自覚もなくなぜフライングをとられたかが分からないままだと、後々悪い影響を残しますよ。
先に明らかなフライングで失格となったイサイア・ヤング(USA)が、「観客の拍手に反応したんだ」と抗議していましたが、そうしたことが桐生にもあったのかもしれません。
前日練習では、土江コーチの叩く手の音に合わせて入念にスタートをチェックする様子が紹介されていました。そこが課題、とは十分に認識があった上での修正途上にあった、仕方がないと考えたいですね。(今後は、OMEGAとSEIKOの音だけに反応する訓練をしないと)
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なお、「フライング(フォールス・スタート)」については以前、「連載・100m競走を語ろう」⑥⑦⑧および番外編で詳しく解説していますんで、事情がよく分からないという方は参考にしてくださいね。
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/cat_172993.html?p=2

サニブラウンが「完全に集中が切れた」てなことをコメントしているようですが、むしろケンブリッジの走りがそんな感じでしたね。もともとスタートがいい方ではないとはいえ、中盤までの走りは何となく上の空な感じでした。完全に一人きりで走るような状況になってしまったことも、アンラッキーでした。
2017DL上海2

で、言ったとおり、スー・ビンチャンだったでしょう?
ロジャースだ、メイテだと言っても、シーズンインの試運転がまだ終わってないような連中よりも、ここに絞って仕上げているはずの地元のエースが、いちばん難敵だと思ったわけです。
それにしても、「どうやらフライングしたのは桐生らしい」という映像が映った途端に、大拍手をする中国人観客って…。
こうなったら、来週の『GG川崎』で、ぜがひでも山縣亮太に敵討ちをしてもらうしか、ないですね。

女子100mでのE.トンプソン(JAM)の快走や男子走幅跳L.マニョンガ(RSA)の8m61、女子5000mH.オビリ(KEN)の14分22秒67といった好記録、また昨年の今ごろを思い出させるD.ルディシャ(KEN)の惨敗ぶりなど、見どころもたくさんあった大会でしたが、今回は私も、意気消沈です。

陸上用語のまとめ ②(トラック編)



だいぶ前に投稿した『陸上用語のまとめ(ごく基礎編)』というネタが、常に人気記事の上位に居続けるもんですから、「そういや、基礎編から先を放ったらかしにしてたな。続きを書くべきか…」などとは考えるものの、実は「初級編」とか「中級編」とかって計画があったわけでもないので、ついついそのまま時が過ぎておりました。
さまざまな用語については、これまでの記事の中で細かく触れてきたことでもありますが、そうした説明の重複も含めて、改めて思いつくままに羅列してみたいと思います。


◇トラック(track)
陸上競技場の、レースを行う走路のこと。日本における第1種・2種公認競技場は、すべて1周400メートル。ホームとバックの直線は各80mで、第1・第2コーナーと第3・第4コーナーの曲走路はそれぞれ120mあります。(曲走路の長さは、トラックとフィールド部分を区切る縁石の外側・30㎝の位置で計測)
IAAF公認競技場(クラス1・2)も1周400mですが、直線部分と曲走路の配分は必ずしも日本と同じではなく、直線の短い競技場や、逆に長い分カーブが急になっている競技場などが存在します。
これら公認競技場のサーフェス(表面)は、合成ゴムまたはポリウレタン素材によって舗装されている(全天候型舗装)必要があります。全天候型サーフェスが初めて登場したのは1968年メキシコシティ・オリンピックの会場となったエスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオで、その製品名から「タータン・トラック」と呼ばれ、現在でも「タータン」が「全天候型」の代名詞としてしばしば用いられます。
全天候型が登場する以前は、アンツーカー(レンガを砕いたもの)やシンダー(粘土に石炭殻をまぶしたもの)など、固く水はけの良い土で舗装されたトラックが一般的でした。ちなみに、私が在住する町(市ではない)の町営グラウンドは、いまだに400mのシンダー・トラックです(笑)

近年建設・改修された競技場では、9つのレーン数が確保され、通常8名以下で行われるセパレート・レーンでの競走の際に使用頻度の高い第1レーンの使用を避ける、予選等の結果次ラウンド進出者が定員を超えた場合に対処できる、等のメリットをもたらしています。ただ、ダイヤモンドリーグなど著名な大会や世界選手権が開催される競技場でも、8レーンしか設けられていないトラック、リオ五輪会場のようにホームストレートのみ9レーンとなっているような“一流”競技場も、たくさん存在します。

◇トルソー(torso)
文字どおり「胴体」のことで、ジャンルによっては上半身のみの彫刻や衣料品陳列用の半身マネキンのことを言ったりもしますが、陸上競技では「頭部および四肢を除いた胴体部分」のことです。フィニッシュラインに到達することでフィニッシュと認められる体の部位であり、言い換えれば頭や手足が先に到達しても、まだフィニッシュとは見なされません。(極端な例ですが、ゴール寸前で倒れてしまい、手を伸ばしてゴールラインに触れたとしても、まだ「ゴールイン」ではないのです)

◇ゴールテープ
現在ではマラソンなどのロードレースやトライアスロンでしかお目にかかれない、ゴールライン上の胸の高さくらいの場所に張られる、大会名の記載された帯のようなもの。「ゴールイン」の象徴として、1着の選手だけが体で触れる場合もあれば、上位何着までか繰り返し張り直される場合もあります。
「ゴールテープを切る=レースに勝つ」という言葉があり、中には真ん中から「切れる」ように細工されたテープもありますが、多くは選手の通過によって切れることはなく、両側で保持する係員の力加減によって、地面にハラリと落ちるようになっています。

手動計時の時代にはトラック・ロードすべてのレースで、1着の選手を判定する目安としてゴールライン上の平均的な胸の高さのあたり(だいたい1.3mくらい?)に、白い毛糸が張られていたのが「ゴールテープ」と呼ばれていました。ランナーが走り抜けると、簡単に切れるほどのものです。(トラック以外がゴールになるロードレースの場合は、現在のような幅広のゴールテープを使用していましたが、大会名の記載などはなかったと思います)
ゴールの横にリールのようなものを装着した支柱があり、そのリールから毛糸を引き出して反対側の支柱に固定してピンと張った状態で選手の到着を待ったわけですね。先頭の選手と周回遅れの選手が錯綜する長距離種目では、なかなか大変な作業でした。映画『東京オリンピック』では、10000m競走の激しい優勝争いがフィニッシュに近付いた時、周回遅れの選手を掻き分けるように慌ててゴールテープを張る役員の姿がしっかりと記録されています。
1着の目安とはいっても、必ずしもトルソーで毛糸に触れるとは限らないので、ほんと、あくまでも目安です。顎や鼻柱で毛糸に触れた瞬間の写真があったのを覚えていますし、メキシコシティ・オリンピックのマラソンで優勝したマモ・ウォルデ選手のように、手を伸ばして引きちぎる、などという光景もありました。
むろん、テープを切ったけれども判定の結果僅差で2着だった、というケースもあったとはいえ、「ゴールテープを切る」というのはおおむね最先着選手の特権であり、「1着になる」ということの言い換えとして通用していたものです。

◇フライング・スタート
多くの競走競技で「不正スタート=スタート合図よりも早くスタートする反則行為」の意味で定着しており、日常会話でも、少々逸って行動を起こす様子を揶揄する場合などに使われますが、これらは和製英語です。
本来の「flying start」は、「助走をつけてスタートする行為」のことで、陸上競技ではリレー競走における第2走者以降のスタートがこれに相当します。陸上以外では、自転車競技の「200mフライングラップ」(スプリント競走の予選として行われる)やモータースポーツでの「ローリングスタート」、ボートレース(競艇)のスタート方式などがあります。
一般に言う「フライング」は英語では「false start(フォールス・スタート)」と呼びます。和製英語というのは要は新しい日本語ですから、別に「その言い方は間違っている!」などと神経質になる必要はありませんが、正しい訳語は知っておくべきでしょう。
ちなみに、本来の意味での「flying start」の対義語=静止した状態からのスタートは、「standing start」です。これも、「手を地面に着かない姿勢からのスタート」という別の意味で使われることが多いので、要注意。

◇ゼッケン/ナンバーカード/ビブス
陸上競技大会出場選手は、個々のIDを示す「ナンバー」を表記したカードを体の前後に装着する義務があります。(走高跳・棒高跳のみ片面だけでOK) 昔はこれを「ゼッケン」と呼んでいましたが、1996年に日本陸連のルールが改定されてこの用語は廃止され、「ナンバーカード」と称するようになりました。
さらに近年は大規模大会でフロントのカードには選手の個人名を表記することが一般的になり、「ナンバーカード」とは言えなくなってしまったため「ビブ(ビブス)」という呼称に代わってきています。ただ日本では「ゼッケン」という言葉の認知度が高かったため、現在でも市民マラソン大会などではこの呼称を用いる場合が見られます。
「ゼッケン」は本来は馬術用語で、競馬などでは今でも使われているようです。
ナンバーカード(ビブス)は、大会に協賛するスポンサーにとっては極めて重要な広告素材となります。レース中に故意に外した場合はDNFの意思表示と判断されます。

同じく1996年に廃止された用語に、選手の走路を示す「コース」があります。こちらは「レーン」という用語で完全に定着しています。



◇テイクオーバー・ゾーン

リレー競走でバトンパスを行うことのできる「受け渡し(テイクオーバー)」区域。400mリレーの場合、スタートから100m・200m・300mの各地点から前後10mずつ、合計20mの区域がこのゾーンになります。これより手前で受け渡ししたり、ゾーンを過ぎてからバトンパスが完了した場合などは、そのチームは失格となります。また途中でバトンを落とした場合は、落とした地点に落とした本人が戻ってバトンを拾えば(あるいは拾ってから落とした地点に戻れば)、レースを再開することが認められます。
また、400mリレーでバトンを受け取る走者に限り、ゾーンの開始線よりも最大10メートルまで手前の位置からスタートすることが許されます。つまり第2走者の場合で言うと、80m地点から助走を開始して90m地点から110m地点までの間に第1走者からバトンを受け取る、ということになります。
駅伝における「タスキ・リレー・ゾーン」も基本的なルールは同じで、稀に「タスキ引き継ぎ違反による失格」という裁定が下ることがあります。(例:2015年全国都道府県対抗男子駅伝で、愛知県チームのランナーがゾーン手前で昏倒し、ゾーン内にタスキを放り投げたケースなど) 

◇ブレイクライン
行程の途中までをセパレートレーンで走る必要がある種目(800m、4×400mリレー)で、「ここからオープンレーンで走行可」という地点を示すライン。「レーン規制が解除(ブレイク)されるライン」のことです。
第1・第2コーナーを回り切ってバックストレートに入った地点(日本の陸上競技場では800mの120m地点、4×400mリレーの520m地点)に設けられます。ここから第3コーナーの入り口まで、内側のレーンと外側のレーンとの距離を等しくさせるために、ラインは緩やかな曲線を描きます。またレース中にはラインの存在を明確にするため、各レーンの最内側に小型のコーンが置かれます。自分のレーンのコーンの内側を通ったり、コーンを跳び越えたり蹴飛ばしたりてしまうと、ショートカットの反則行為ということになります。
最内レーンのランナーはブレイクラインを気にする必要はありませんが、それ以外の選手は、早く内側に入りたいという意識が強いとブレイクラインぎりぎりでショートカットをしてしまうケースが時たまあって、専任の審判員=監察員の摘発を受けるとアウトです。近年はヴィデオ判定によって確認が行われますが、基本的には審判員の目視による判定となります。かつて女子中距離界の女王的存在だったマリア・ムトラ選手(MOZ)が、世界選手権で失格になったことがありました。

◇3000mSC(Steeplechace)
3000m障害物競走。「スティープルチェイス」の由来については「ごく基礎編」を参照。
ハードル種目の一つに分類されることもありますが、性格上は長距離種目の、いわば「トラックで行うクロスカントリー」とも言うべきものでしょう。
1周回のうちに4台の置き障害とトラックに常設された1か所の水壕障害を飛越しながら7周+残りの距離を走破します。日本の競技場がほとんどトラックの外側(最外レーンよりも外側)に3000mSC用の水壕を備えているのに対し、欧米の競技場では内側(第1レーンの内側に、一部直線部分を含めたコースを設定)に備えています。1周回の長さは前者が420m、後者が390mで、このためスタート位置が異なるほか、欧米方式のトラックでは、スタートしてから半周以上にわたって障害飛越のないランが続きます。

◇スプリットタイム/ラップタイム
競走種目で、スタートしてからある地点を通過した時の経過時間を「スプリットタイム」と言います。同じような意味合いで「ランニングタイム」という言葉がありますが、これは通過距離に関係なくその時点での経過時間のこと。「いま、スタートして何分何秒経ちました」という意味の言葉です。
また、トラック種目の中長距離走のように周回ごとの定点でタイムが計測できる場合は、各周回ごとの400m区間、あるいは2.5周回ごとの1000m区間などの走破タイムを「ラップタイム」と言います。ロードレースの場合は、1㎞ごと、5kmごとといった尺度で計測・表示されます。
「3000m地点のスプリットタイムは8分30秒、2000mから3000mまでのラップタイムは2分45秒、この1周のラップタイムは65秒」というように使い分けます。
いずれも本人にとりまた観戦者らにとりゴール記録の参考・目安となったり、レース結果を分析する際の指標となるタイムです。以前はこの2つの言葉が完全に逆転して認識されており、私自身もそのように覚えてきました。現在でも少々混乱気味なところが見受けられないでもありません。

 

<連載>100m競走を語ろう ⑧~フライングのルール変遷史・後篇



◆「一発失格」の波紋

2009年にIAAFによって制定された「一度でも不正スタートをした選手は競争から除外」というルールは、大きな論議を巻き起こしました。トップ選手から中学校・高校の部活レベルに至るまで、現役アスリートに与えた衝撃は大変なものでした。
それほどに、「1回は許されるフライング」という認識が短距離走に浸透しきっており、常習的に故意のフライングを続けてきた人、そうした行為や状況への対処に心を砕いてきた人にしてみれば、「短距離走の一要素が全否定された」というくらいの心持ちになったのでしょう。

従来どおり、微細な筋肉の動きでもスタブロが検知すればアウトなのか、完全な静寂を期待できない陸上競技場で他の物音などに反応してしまった場合はどうなるのか、隣の選手が動いたのにつられた場合も同罪なのか……さまざまな“想定論”が取り交わされましたが、そもそも「不正スタート」ということに対する考え方の甘さが、このような議論を巻き起こしたのだと私は思っています。
スプリンターの中には長い選手生活の中で「一度もフライングなどしたことがない」という人が少なからずいるはずで、それは「ピストルの音を聞いてからスタートする、ただそれだけのこと」を真摯に実践してきた者は、よほど運悪く何か別の音や動きに反応してしまった場合はともかく、集中力を高めスタートの技術と反応に磨きをかけてきた結果、そういうスプリンターとして当たり前の資質を身に着けているに違いないと思われるからです。
それまで「フライングをしても構わない」とか「仕方ない」と考えてきたスプリンターは、「絶対にフライングをしない」技術を磨くという新たな短距離走の一要素に取り組む、そういう新しい時代になったというだけのことだ、と思ったわけです。

もう一つ。
短距離走を「観る」側からしますと、フライングの繰り返しによってレースが冗長になることは大いに観戦の妨げになっていたのですが、今度はレースの重要な登場人物である選手の誰かが、いとも簡単に戦わずしてレーンを去っていくという可能性が高まることが懸念されました。新ルールが本格的に導入された2010年から、それはしばしば「現実」となって、そのレースに多くの時間と努力を傾けてきたであろう、そして時には海を超えてはるばると1つのレースだけのためにやって来た選手が、たった1回の過ちで無情にも退去させられる光景に、当事者のみならず観る者もまた心を痛めることになったのです。

そして遂に、世界中の陸上ファンは「最悪の事態」を目の当たりにします。
2011年のテグ世界選手権・男子100m決勝で、連覇がかかっていた陸上界最高のスター選手、「人類最速の男」ウサイン・ボルト(JAM)が失格となった時、全世界が深い溜め息とともに一瞬、「なんでこんなルールにしたんだ?」とやり場のない思いを抱いたのです。
けれども、ボルトには申し訳ないですが、しばし後になって私はこうも思いました。
あのボルトでさえ、このルールのもとでは問答無用に失格になる。それは、スタートに対する修練と集中が未熟だったことへの代償として、当然のことと考えなければならない。当のボルトは、未練はあっただろうが潔くレーンを立ち去った。それは100%、未熟な自分の過失だと承知していたからだろう。悪いのはスタートへの集中をどれほど大切にしなければならないかを甘く見ていた自分に他ならないと、ボルトは瞬時に理解したに違いない……この出来事を糧として、100m競走のスタートは良い方向に変わっていくに違いない、と。

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自身のフライングを瞬時に自覚し、天を仰いだU.ボルト。この後すぐにユニフォームを脱ぎ捨てました。(2011年IAAF世界選手権)



◆現状…まだ課題は多いけど

2013年、ルールに微修正が加えられ、微細な体の動きなど「スタート動作とはならない」と見なされたケースについては、たとえ機械が検知してリコール音が鳴らされたとしても「不正スタート」とはならず、ただ「紛らわしい動き」「正常なスタート完了を妨げた行為」として「警告」に留める、というようになりました。「警告」は2回重ねると「失格」になりますが、選手は意図しない細かい動きにまで神経を配るストレスからは、いくらか解放されることになりました。

「一発失格」のルールはいまだに細部が流動的で、「これがベスト」と言える形には治まっていないように思えます。
スプリンターたちは「ただ一度」のスタートのためにいっそうナーバスになり、運営側もまた同様です。先日の日本選手権・女子100m決勝で、一人の不正スタートもなかったにも関わらず、スタートが3回もやり直しされるというようなケースも発生しており、「今のは“警告”か“失格”か、それとも“お咎めなし”か?」の判定に時間がかかることなどもあって、まだまだ理想の形には至っていないと言わざるを得ません。

ただ、「戦術的なフライングが1度は許される」という従来のスプリンターが持っていた考え方は、駆逐することができたのではないでしょうか。先駆けて「一発失格」を取り入れた競泳の例を見るまでもなく、「スタートとはそういうものであり、失格は不正スタートに対する当然のペナルティだ」という考え方さえ定着すれば、何の問題もなく受け入れられていくだろうと思うのです。
あとは、「まさかのフライング」をしてしまわないよう、選手個々がより一層スタートの技術と反応を磨き上げること、そして全員の選手にいいスタートをさせるためにスターターや競技進行を司る役員も技術をより高めること、そしてスタジアムで観戦する観客も、トラック競技スタートの時間には静寂を心掛けるよう協力すること、です。近い将来に、競泳会場がそうであるように、「On your marks!」(競泳では「Take your marks」)のコールとともに数万人の観客が静まり返る、という光景が当たり前のものになってほしいものです。

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◆(余談)
本当に0.1秒未満での反応はないのか?
先に、「計時装置は合図から0.1秒未満での動作開始を検知した時は自動的にフライングを報せる」というようなことを書きました。これは、生理学的に確実と思われる人間の反応時間の限界をもとに、ある程度の余裕をとって設定した数値だと思われます。現時点では、どんなに速い反応を示した人でも0.12秒程度、これ以上速い場合は、反則にはならないものの「一発引っ掛けた」可能性が高いと思われます。
けれども、素人考えではこうも思われます。「本当に、人間が0.1秒未満で反応することはあり得ないのだろうか?」
100mを10秒を切るタイムで走破する、ということ自体が一般人にとっては「信じられないような超人の領域」なのですが、その上にスタートでピストルの音を聴いてから0.1秒未満のうちにスタートを開始できる「超人」がいたって、おかしくないのじゃないか?……という疑問です。

これはまったく私の個人的見解なのですが、過去に1回だけ、その奇跡を遂げた「超人」がいたのではないか、という「疑い」を持っています。その「超人」は、誰あろう1988年ソウル五輪で男子100mにいったんは「優勝」しながら、筋肉増強剤によるドーピング違反が発覚して成績を没収された、あのベン・ジョンソン(CAN)です。
ソウル五輪の男子100m準決勝で、ジョンソンは1度フライングを犯しました(当時のルールでは即失格ではありません)が、本人は驚いたような呆れたような表情で「冗談言うなよ!」といった仕草をしてみせました。この時のフライングは、一見正常なスタートが切られたかのように見えながら計時装置がジョンソンのスタート反応を「0.1秒未満」と検知してリコール音を鳴らしたもので、彼自身には嘘偽りなく「自覚」がなかったようなのです。結局渋々ながらも再スタートに応じたジョンソンは、今度も素晴らしいスタートを切って楽々と決勝進出を決めました。

この大会でのジョンソンは、「ベン・ジョンソン、筋肉のカタマリ!」という実況フレーズが有名になったほど、上半身・下半身ともに鎧のような筋肉に覆われ、まさに短距離走者として究極の肉体を誇示しているように見受けられました。後になってそれがドーピングの恩恵であったことが明らかになるのですが、そうして研ぎ澄まされた肉体はまた、針のように鋭く繊細な集中力をもたらしており、その結果が通常ではあり得ない「0.1秒未満の反応時間」を実現してしまったのではないか、という気がするのです。
もしそれがそのとおりだったとしても、ドーピング違反を犯していた以上はやはり通常ならばあり得なかったことになり、そこで「真実」を探ることは無意味ということになるでしょう。ただ、今後人間が今以上の鍛錬によって反応時間を短縮することができないとは言い切れないのでは?…という疑問は残ります。(あくまでも素人考えとして、ですよ)
そうなった時、あるいはその「聖域」が脅かされるようなデータが出るようになった時に、再びこの「0.1秒」が論議される時代が来ないとも限らない……まあ、これもファンとしての一つの「夢」ではありますね。

 

<連載>100m競走を語ろう ⑦~フライングのルール変遷史・前篇



◆フライングのルール改定

不正スタートに対するペナルティの課し方は、競技によってさまざまです。
陸上競技では、長らく「一つのレースで同じ走者が2度不正スタートを犯すと失格となりレースから排除される」というルールで行われてきました。
それにより、前に述べたように「1度はフライングをしてもよい」という意識が常に選手にあり、「引っかけ」を試みたり、対戦相手の集中力をかき乱す目的でわざと1回フライングを犯したりというふうに、ルールを逆手に取ったような意図的なフライング戦術をとる選手が後を絶たず、そのため短距離走のプログラム進行が滞ることがままありました。(選手が整列してからスタートを完了するまでは、意外に長い時間がかかるものです)

2003年のシーズンから国際陸連は遂にこの状況に大ナタを振るいました。不正スタートに関するルールを変更し、「一つのレースで2回以上の不正スタートがあった場合、2回目以降に不正スタートをした選手は失格となる」ということになったのです。
つまり、1回のフライングは許されるが、その1回目を誰が犯したかに関係なく、2回目以降のスタートでフライングを犯した選手は失格となる、ということです。もちろん、この場合のフライングには「意図的ではないけれどもちょっとだけピクリ」といった小さな体の動きなども含みます。
早い話が「2回目」をやらかした選手は貧乏くじを引かされたようなもので、いささか理不尽な印象が付きまとうペナルティではありましたが、それだけに選手たちは2回目以降のスタートには慎重になり、全体としてスタートのやり直しを激減させる効果は確かにあったようです。
そしてこの年の夏にフランス・パリで開催された世界選手権で、「事件」が勃発しました。

◆非情の「ドラモンド事件」
男子100mの二次予選で、優勝候補の一人と目されていたジョン・ドラモンド(USA)が号砲前の僅かな動きを検知されてこの「2回目の貧乏くじ」を引いてしまい、失格を宣告されました。
するとドラモンドは「いや、自分は絶対に動いていない」と主張し、レースから外れることを強硬に拒否し続けました。挙句の果てには自分のレーンに長々と仰向けに寝そべって「俺は動いてない!」と叫び、長時間にわたって競技の進行を妨げることになったのでした。

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 自分のレーンに寝そべり「無罪」を主張するドラモンド選手。
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この場合の「争点」はこの年から施行された新ルールの是非ではなく、あくまでも「フライングをしたか否か」ということだったのですが、前年までのルールであればもう一度「やり直し」が可能な状況だったことも、ドラモンドの諦めきれない気持ちに拍車をかけたことは想像に難くありません。「
1度目のフライングをしたのは自分ではないし、2度目も断じて動いた自覚はない」というわけです。
規則から言えばどう見ても「無駄なあがき」ではありましたが、本人の意思とは関係なく機械が検知してしまった微細な動きをもって貧乏くじを引かされる結果となったドラモンドには同情すべきところもあり、改めて不正スタートに関する論議を再燃させる影響を残しました。2000年シドニー五輪400mリレーの金メダル・メンバーで35歳になっていたドラモンドは、この遅延行為によるペナルティを受けたのを機に、大会終盤のリレーに出場することもなく寂しくスパイクを壁に吊るすことになりました。

余談ですが、この同じレースでドラモンドと同時に、後の世界記録保持者ながら当時はまだ無名に近かったアサファ・パウエル(JAM)も、失格の憂き目に遭っています。どうもこの大会は新ルール適用後の最初のビッグイベントということもあってか、スターターのコールがやけに慎重になり、かえってタイミングを狂わされる選手が続出していたように思われます。

◆他の競技ではどうなっている?
陸上競技と対比されることの多い競泳では、不正スタートの扱いはどうなってきたでしょう?
以前のルールでは、「2回までは許されるが3回目以降は誰がフライングしても失格」となっていました。2003年に改定された陸上競技のケースとよく似た、「3回目に貧乏くじ」のパターンです。
やはり意図的なフライングを試みたりジャストミートのスタートを狙う選手は多く、1972年のミュンヘン五輪の男子100m平泳ぎ決勝では、優勝した田口信教選手が「必ず誰かが1度はやると思っていたので、自分はつられて水に落ちないようスタート台の縁を強く掴んでいた」というようなことをコメントしています。田口選手はこの「1回目のフライング」によるスタートやり直しの間に、おもむろに後方のダイビング用プールに飛び込んで周囲を驚かせました。“勝負師”の名を欲しいままにしていた田口選手は、水温が数度高い(あらかじめ調べてあったそうです)水に飛び込んで、次に“本番”のスタートを切った時には競泳用プールの冷たい水で体がキリッと引き締まる……そんなところまで想定してレースをイメージしていたのだというエピソードが伝えられています。

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1988年ソウル・オリンピックで、日本人男子として田口選手の次に競泳の金メダリストとなった鈴木大地選手(現スポーツ庁長官)は、よく「得意のバサロキックを延長する賭けに出て予選でデーヴィッド・バーコフ(USA)につけられた大差を決勝で逆転した」というお決まりのキャプションで語られますが、実は勝敗の明暗を分けたのはスタートでした。

「スタートの下手な選手が決勝では一発引っ掛けてくる」と読んだ鈴木選手は、フライング覚悟で早いタイミングのスタートを試みました。たまたまこのレースではスタートブザーが非常に早く鳴らされたために、鈴木選手のスタートはドンピシャリに決まり、逆にバーコフ選手は目に見えて出遅れました。バーコフ選手は焦って泳いだためにリズムを狂わせ、終盤に失速して予選よりもタイムを落としてしまったところを、バサロ延長によってタイムを上げた鈴木選手が鮮やかに差し切ってみせたのです。

どちらのケースも、「戦術的なフライング」を前提とした作戦のもとに、日本人選手がみごとなレースを見せた快勝劇だったわけです。
100BK-1988
ソウル五輪100m背泳ぎのスタート。奥から3人目が鈴木大地、4人目がバーコフ。

選手が水に飛び込む競泳では、陸上短距離以上に再スタートに時間がかかります。このルールではやはり競技の進行上も望ましくないということで、ソウル五輪の後に「故意のフライングは一発で失格」というルールに変わりました。故意かどうかの判断は難しいところがありましたが、「フライングを絶対にしないという心構えが欠如している」イコール「故意」と見なされたようなところがあり、つまりスターターのタイミングが悪かったとか、スタート合図音以外の音に反応してしまったといったやむを得ないような場合を除き、問答無用だったようです。

その移行期を経て、現在では「一発失格」です。スタート台に計時装置が組み込まれているため、早いスタートは確実に「御用!」となります。しかも、不正スタートがあったとしてもスタートをやり直すことはなく、不正スタートをしてしまった選手は自分の失格を知らずに、または確認できないままにレースをすることになりますが、電光掲示板の該当選手のところには、すでに「DQDisqualify=失格)」の文字が表示されて観客には知らされます。
現行ルールで、不正スタートによる失格を受ける選手は一つの大会で数名、といったところです。決勝に進出してくるようなトップスイマーならば、ほぼ0に近いと言ってよいでしょう。すなわち「一発失格」の認識が選手の間に浸透しきった結果、よほどのことがない限りフライングは起き得ないという状況が確立したわけです。このことは、陸上界の「英断」に際しても大いに参考になったのではないでしょうか。

陸上、競泳と並んで繊細なスタートが求められるスピードスケートでは、陸上競技の方式に倣ってルールが移行しているように見えます。スピードスケートは1レースにつき走者が2人しかいませんので、以前は「同じ選手が2回フライングしたら失格」、2003年の陸上の改定を受けて「2回目はどちらがフライングしても失格」となりました。
まだ「一発失格」への変更には踏み切っていないようですが、この競技ではスタートの構えをとった時に本当の意味で「静止」することが非常に難しいことや、スターティングブロックのように機械で判定することができない点、同走する選手がいなくなってしまうと残された選手にとっても不利益になるという点がネックになっているものと思われます。

◆そして「一発失格」へ
2009年、国際陸連は不正スタートに関するルールをさらに厳しく押し進めました。

「一度でも不正スタートをした選手は競走から除外」

というものです。
この改定が陸上界にもたらした衝撃は、2003年の時とは比べ物にならないほどに大きなものでした。(さらに続く)

 

<連載>100m競走を語ろう ⑥~フライングはこうして暴かれる



短距離走、特に100m競走について語る時、フライング(正しくはフォールス・スタート)について避けて通ることはできません。人はなぜフライングを犯してしまうのか、それを摘発・防止するためにどんな工夫や技術の歩みがあったのか、そのあたりを考えてみたいと思います。


◆フライング判定の仕組み
陸上競技短距離走の場合、号砲の前に「スタート動作を起こす」だけではなく、スタート動作に直接関係のない体の動きがあった場合も不正と見なされることがあります。
さらに厳密に言うと、号砲が鳴らされてから0.1秒未満の間にこれらの動きがあった場合も、不正スタートとなります。これは、現在の生理科学的知見では、「人間の反射神経では合図の音を聞いて動作を起こすのに少なくとも0.1秒以上の時間を要する」とされているためで、すなわち0.1秒より前に動作を起こした場合は「音を聞く前に脳が動作を開始する指令を発した」と解釈されるからです。
この微細な反応時間をチェックするために、スターティングブロックの使用が義務付けられているわけです。スタブロはスタートピストルと計時装置にケーブルで接続されていて、号砲が鳴って選手がスタートを切る、すなわちスタブロに選手の動きが伝わると瞬時に選手ごとの「号砲から動作開始までの時間」を計測し、コンピューターの画面に表示させます。この時間が0.1秒未満だった場合、即座に2度目の号砲音と警告音が鳴って不正スタートを報せるので、選手も即座にスタートのやり直しを知ってレースを中断することができるのです。
スターティングブロックは、スタート動作のために強く蹴られる圧力はもちろんのこと、ちょっとした体の動きがあってもそれが足にまで伝われば、その動きを感知して反応時間として計測します。「動きかけたけどやめた」くらいのピクリとした動作など、簡単に検知してしまいます。

SEIKO01

https://www.seiko-sts.co.jp/products/sports/cat02/002.html
(セイコータイムシステム株式会社HP)より


ちなみに、スタートピストルは一種の電子機器で、ピストルそのものから音が出ているわけではありません。
日本の代表的メーカーであるSEIKOのシステムの場合、ピストルを操作することによって選手のすぐ近くにある「サブピストル」と呼ばれる装置で雷管を爆発させて音を出しています。
SEIKO02

SEIKOのスタートピストルとサブピストル(黄色いボックス状の機器)
「セイコー陸上競技システム総合カタログ」より


いっぽう、オリンピックやダイヤモンドリーグなどの公式計時を担当するOMEGAでは、個々のスターティングブロックに装着されたスピーカーから電子音を出しています。
jpg
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OMEGA社製のスターティングブロックとスタートピストル
https://www.omegawatches.jp/ja/planet-omega/sport/our-sports/athletics/ より



0.0何秒かを競う競技では、スターターのピストルと選手との間にある距離は音の伝達時間が問題になりますし、また選手のスタート位置によって音が到達する時間が微妙に異なってしまいます。これらはそういった問題を解消するための装置です。

手動計時の時代には、雷管を爆発させて大きな音と炎を出す仕組みのピストルが使われていました。電子機器のスタートピストルもそれに似せた形状や音になっています。
もちろん、現在でもこうした計時システムを使えない規模の大会では雷管のピストルを使い、フライングの判定もスターターおよび出発審判員の目視によるものです。走者の動きを外から見ているこれらの役員も、号砲を聞いてから選手の始動を認識しますので、フライングの判定は意外に正確にできるものです。


ただ、電子機器のなかった時代には、いわゆる「見切り発進」を試みる走者がいました。俗に言う「引っかけてやる」という行為で、号砲のタイミングをあらかじめ予測してジャストミートのスタートを狙うというものです。
号砲とまったく同時ではさすがにフライングを取られますが、今では機械が反応してしまう0.0何秒かでのスタートならば、見逃されるチャンスがあります。たとえフライングを取られたとしても、当時は一発で失格になることはありませんでしたから、1回目のスタートでは「狙ったフライング」が後を絶たないような状況でした。優秀なスターターほど「用意」から「ドン!」までの間隔が一定しているので狙われやすかったというのが、皮肉です。

トップクラスのスプリンターの反応時間は、早い人で0.12秒から0.13秒くらい、スタートが苦手とされる人の場合はバラつきが大きく、0.15~0.18秒くらいです。0.2秒かかってしまっては、完全に「失敗スタート」と言えます。前章で述べたように、100m走における100分の何秒かは、走者にとって大変重要です。スタートで0.0何秒かを稼ぐということは距離にして数十センチを稼ぐことになり、それができれば極めて有利にレースを展開することができるのですから、ついついよからぬことを考える人が出てくるわけですね。
今でも小中学校レベルや地区大会などの規模で電子機器を使わずフライングも1回は許されるローカルルールが適用されているレースでは、そういうことを試みる輩がいるかもしれません。しかしそうして勝ち進んだところで、上のレベルの大会へ行ってつい悪い癖を出してしまうとレースをしないうちに失格してしまいます。「絶対にフライングをしない」心構えと習慣は、競技を始めた当初から徹底して身に着けるべき、スプリンターの第一歩と言ってよいでしょう。

IAAF02
2015年北京世界選手権における男子100m決勝のリザルト。右端の「リアクションタイム」が、号砲が鳴って動作を起こすまでの時間です。スタートに難のあるボルトにしては好スタート、逆にスタート得意のはずのガトリンはやや失敗気味。これがフィニッシュの0.01秒の明暗を分けました。

フライングにまつわるお話は、まだまだ続きます。


 
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