昨日から今日にかけて、当ブログの閲覧数がピョーン!♪と跳ね上がり、ビックリ仰天しているのでありますが、そのワケはと言いますと…。
検索キーワードすなわち、陸上競技のある女子選手名にあったようです。
なんたって、昨年までこの選手をイチ押しで応援してたブログなんて、他にないでしょうからね。
陸上界をお騒がせする「ドーピング違反で実業団駅伝優勝チームが失格」のバッド・ニュースが飛び込んできたのは、昨日のことです。
報道では該当選手の名前を明かしていませんし、相当陸上好き、女子長距離ファンの人でもないと、いったい誰が違反したのか見当もつかないでしょうけど。
優勝メンバーのうち「既に競技を引退」した選手といえば、該当するのはただ一人、私が大好きだったあの選手以外にはありません。
しかしねえ…それで閲覧数が増えるってのも、なんだかねえ。
ドーピングという行為は、欧米のように闇の販売ネットワークとアスリートの関係が切っても切れない「確信犯」の世界があるのと同時に、ここのところ日本でも取り沙汰されるように「知らず知らずのうちに犯していた」というケースも多々あります。ちょっと例外的なところでは、昨年1年間の出場停止を食らって今季戦線に復帰したブライアナ・マクニール(旧姓ローリンズ:女子100mH:USA)のように、「抜き打ちドーピング検査に対応できるよう居場所を明確にしておく」という義務に違反した、というようなケースもあります。
諸外国で“意図的な”ドーピングが後を絶たないのは、アスリートを追い回す闇のシンジケートによる「今度のは絶対にバレないから」という甘い囁きが止まないからだ、ということを聞いたことがあります。
ドーピング行為とADA(WADA=世界アンチドーピング機構を筆頭に各国に設けられているアンチドーピング機構)のせめぎ合いは、ある意味イタチごっこの様相を呈します。
たとえば現在も開催中の『ツール・ド・フランス』でかつて前人未到の7連覇を達成しながら、状況証拠を固められた結果最終的に本人が自白してそのすべてを抹消されたランス・アームストロング(USA)のケースのように、ADA(この場合はUSADA=全米アンチドーピング機構)の追及はあくまでも執拗で徹底しており、時として採取検体という物的証拠がなくても「御用!」となってしまうことがあります。
国家ぐるみの違反・隠蔽行為により、いまだに陸上界では国際舞台復帰がかなわないロシア陸連のケースも、生々しく思い出されます。
それでも違反者がなくならないのは、「(現時点では)絶対にバレない」薬物に助けられ、そうしたADAの執拗な追及を逃れきってスポーツ界に健在しているブラック・アスリートが、少なからず存在しているからだとも推察されます。
「確信犯」は禁止薬物による運動能力向上を狙っての行為ですが、「知らず知らず」は本人にその意思がまったくなく、摂取量も競技成績に影響するほどのことはない、というのが通例です。特に日本人選手の場合、「ドーピングは絶対悪」という認識が浸透しきっている上に、発覚した場合のリスクを重視する国民性(といいますか…)から、今のところ、少なくとも陸上競技で故意のドーピングをするアスリートは皆無と言っていいと思います。そうした日本人の特性は“闇”にもよく知られていますから、「悪魔の囁き」に追い回されるということも少ないようです。
しかし、古くは1990年代のトップ・スプリンターだった伊藤喜剛さんの例を持ち出すまでもなく、意図せず禁止薬物を摂ってしまう、あるいは他者によって“ハメられる”というケースは、将来を含めて十分に起こり得ることを、このニュースは改めて想起させてくれます。
ドーピングは故意であるか否かにかかわらず、行なってしまったことはあくまでも本人責任。「知らなかった」「そのつもりはなかった」では済まされないことであり、処分は致し方のないことです。(半年ほど前、カヌー選手が他者から「盛られた」事件がありましたが、本人にお咎めなしとの裁定については、私は「甘いなあ」と思っています。同様のケースで、中国のマラソン選手・孫英傑が競技生命を絶たれているのに比べて、ですが)
ひとつの教訓として、すべてのアスリートがこの件を真摯に受け止めてくれることを、願ってやみません。
「当該選手」によるコメントが日刊スポーツに掲載されていましたので、全文を引用させていただきます。ここに、経緯のすべてが語られていると思われます。くれぐれも、記事を斜め読みしただけで、「そうまでして勝ちたいか」とか「それで引退したのか」とか、ねじ曲がった感想は持たないでいただきたいと思います。
当該選手の痛恨の気持ちを受け止めて、ユニバーサルの選手たちが今年も「予選会」から元気に勝ち上がり、優勝争いを繰り広げてくれることを祈っています。
<7/19 日刊スポーツWeb記事より>
昨年11月に行われた全日本実業団対抗女子駅伝で優勝したユニバーサルエンターテインメントの選手がドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示していた問題で、ユニバーサルエンターテインメントは19日、当該選手のコメントを発表した。
当該選手は意図的な摂取を否定し、すでに引退している。コメントは以下の通り。
「このたびは、私の不注意により日本アンチ・ドーピング規定に違反してしまったことにより、陸上競技を開催またご支援いただいている関係者の皆様、ファンの皆様、所属チーム、及びアンチ・ドーピング活動を推進しておられる関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、深くおわび申し上げます」
「今回の違反の経緯について、簡単にご説明させていただきます。本件について私が初めて認識したのは、日本アンチ・ドーピング機構から、クイーンズ駅伝2017終了後に行われたドーピング検査において、私の検体から禁止薬物が検出された旨の連絡を受けたときでした。しかし、私には、いわゆる『ドーピング』などというものは全く身に覚えのないことでしたので、連絡を受けた直後はすぐに事態を飲み込むことができずに混乱してしまいました」
「私はこれまで何度かドーピング検査の対象になったことがありますが、違反したことは一度もありませんでした。私は日頃から市販薬やサプリメント等の服用もしておらず、また過去の検査では陰性であったのに、なぜ今回の検査では陽性となってしまったのか、その理由を考えた時、去年は婦人科系の疾患の治療のために通院していたということがあったため、それが理由ではないかと考えました」
「そこで、治療をしていただいたお医者様に、これまでに私に投与または処方された薬の中に、禁止薬物があったかどうか伺ったところ、私のカルテを見たお医者様より、昨年9月末に1度だけ使用した注射の中に、禁止薬物が入っているとの指摘を受け、これにより違反の原因を把握したというのが事実の経過です」
「私は今回の違反の指摘を受けるまで、疾患が婦人科系のものということで、なるべく自分の素性を伏せたい、また他人に知られたくないという気持ちがあり、お医者様に対して自分が競技者であることを伝えておりませんでした」
「私は16年間にわたる選手生活の中で、通常の生活を送っていれば、まさかドーピング違反になるようなことはないだろうと思っておりましたが、競技人生の最後の最後で、このような事態を起こしてしまい、自分に競技者としての自覚が足りなかったと深く反省しております」
「また今回の私の違反により、クイーンズ駅伝2017における所属チームの成績(総合成績優勝および区間成績)も失効することとなってしまい、所属チームのチームメート、スタッフ、またファンの皆様には大変申し訳なく、深くおわび申し上げます」
「私はすでに陸上競技を引退しておりますが、クイーンズ駅伝2017における個人成績の失効及び1年3カ月間の資格停止という処分を重く受け止めるとともに、関係者の皆様に、あらためて深くおわび申し上げます」