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IAAFダイヤモンドリーク2016の最終戦が、ベルギーのブリュッセルで行われました。
ツアー・チャンピオンを確定的にして、あとは記録を狙うだけということで世界新記録の期待が高まった女子5000mのアルマズ・アヤナ、男子3000mSCのコンセスラス・キプルトは、いずれもペースメーカーに恵まれず彼らとしてみれば平凡な記録に終わったのに対して、女子棒高跳でリオ銀メダリストのサンディ・モリスが5メートルの大台を征服。ツアーチャンピオンこそ安定無比のエカテリニ・ステファニディに譲ったものの、一気にこの種目のリーダーの地位に躍り出て、大会の話題を独占する形となりました。

全体的にはやや盛り上がりを欠いた感があり、16種目中10種目でポイント・リーダーが敗れるという結果になりました。うち8種目ではリーダーが辛うじて逃げ切り、残り2種目(男子走高跳と女子400mH)は逆転劇となったのですが、男子HJなど記録的には極めて低調なものでした。
特記事項としては、女子400mでスポット参戦して優勝をさらったセメンヤでしょうか。
前回の放送で解説の石塚さんが「次の大会の要注目選手」の一人に「800mのセメンヤ」を挙げていたので、あらら、800mはもう終わってセメンヤはちゃんと優勝してるのに、石塚さん、どうかしちゃったかな?…と思わされたのですが、なるほど、400に出る、ということだったんですね。(そうは言ってなかったんで、相方の赤平アナもキョトンとしてましたが)
とはいえ私、今回のエントリー・リストからはセメンヤの名を完全に見落としておりました!これを含めて、「展望」の「主なエントリー選手」のリストに載っていない選手が4人も優勝してしまいまして、まことに紅顔の至り。

<ダイヤモンドレース・チャンピオン>
 (ファイナル優勝者が別の選手だった場合※に表記)
 ◇男子200m アロンソ・エドワード(PAN) ※ジュリアン・フォルテ(JAM)
 ◇男子800m ファーガソン・ロティッチ(KEN) ※アダム・クシュチョト(POL)
 ◇男子1500m アズベル・キプロプ(KEN) ※ティモシー・チェルイヨト(KEN)
 ◇男子110mH オーランド・オルテガ(ESP)
 ◇男子3000mSC コンセスラス・キプルト(KEN)
 ◇男子走高跳 エリック・キナード(USA)
 ◇男子走幅跳 ファビリス・ラピエール(AUS) ※ルーヴォ・マニョンガ(RSA)
 ◇男子円盤投 ピヨトル・マラホフスキー(POL) ※ダニエル・ストール(SWE)
 ◇女子100m エレイン・トンプソン(JAM)
 ◇女子400m ステファニー・アン・マクファーソン(USA) ※キャスター・セメンヤ(RSA)
 ◇女子5000m アルマズ・アヤナ(ETH)
 ◇女子400mH カサンドラ・テート(USA)
 ◇女子棒高跳 エカテリニ・ステファニディ(GRE) ※サンディ・モリス(USA)
 ◇女子三段跳 カテリーネ・イバルゲン(COL)
 ◇女子砲丸投 ヴァレリー・アダムズ(NZL) ※ミッシェル・カーター(USA)
 ◇女子やり投 マデイラ・パラメイカ(LAT)

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さて、今回はもう、モリスの話題だけでいいでしょう!
とにかくこの人、美人でセクシーでかっこイイ。「女性で筋肉モリモリはどうも…」という向きには強いてご推奨はしませんが、なんとなく、「ワンダーウーマン」とかのスーパーヒロインもの映画に出させたいくらい、凄い存在感があります。
私はオリンピック以前からファンでしたが、今や大ファンとなりましたっ!

それにしても「展望」に書いたとおり、ステファニディとモリスの一騎討ち、それも、ステファニディは4m80前後を確実に跳んでくるけど、5mを跳ぶ爆発力はモリス、という予想がバッチリ当たりましたね。
本日のシリーズ・マークは次のとおり。
 4.52 ×○ 4.58 ○ 4.64 ○ 4.70 ×○ 4.76 ×- 4.82 ○ 4.88 ○ 4.94(DLR、WL) ○
 5.00 ×○ 5.07(WR)×××
4m76はステファニディに先を越されてしまったので2回目をパスして4m82を一発クリア。以後、4m94までノーミスでステファニディを競り落とすと、夢の5mへ。
4m82から、ずっと左太腿のポッコリ膨れた筋肉にバーがかすってるんですよね。5m00の時なんかは、太腿、お腹、胸とすべてかすってバーは大きく揺れましたが、「お願い、落ちないで!」のポーズに何とか踏みとどまってくれました。
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毎回同じところを同じようにかするということは、それだけ跳躍の踏切とタイミングが極めて安定していたということでしょう。惜しむらくは、もう少し高い記録から開始していれば、13本目の跳躍で5m07の世界新記録に挑む、ということにはならなかったかもしれません。次の機会からは、とうぜん彼女は5m07を意識して高さを決めてくることになるでしょうね。 
いっぽう、ツアーチャンピオンを確定させながらも主役の座をすっかり奪われた形の、ステファニディの心境やいかに?…この先の2人の対決が、またまた楽しみになりました。

他の競技は先にも書いたとおり概ね低調でしたが、しいて挙げるとすれば、ポイント対象外のB級メンバーながら地元の大声援を受けて優勝した、女子走高跳のティアムでしょう。
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今回は、男子と女子の走高跳が2つ並んだピットで同時進行するという、非常に珍しい競技運営でした。ちょうど、大試合の予選がA・B2つのピットで行われるような感じです。
女子の優勝記録は1m93で、ティアム自身のPB(七種競技中の種目別世界最高記録)には5センチ及びませんでしたが、しなやかなフォームは助走・踏切さえ安定すれば2mオーバーを十分に予感させるものです。ぜひ、来シーズンはこちらも「専門種目」として、取り組んでほしいところです。

これで、今季のダイヤモンドリーク15戦がすべて終了しました。13日にはフランスで「デカネーション」が行われるなど、ローカル大会はまだ残っているでしょうし、日本国内では全日本実業団、国体などを残しているとはいえ、世界のトラック&フィールドはいちおう2016年シーズンの閉幕を告げようとしています。
ここ数日は真夏のような蒸し暑さが続いていますが、もういくらもしないうちに、「駅伝・マラソン」の季節がやって来ます。