豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

ダリラ・ムハマド

ガトリンまた惨敗~DLユージーンは波乱続出


IAAFダイヤモンドリーグ第3戦のユージーン大会『プレフォンテイン・クラシック』が27日(日本時間28日早朝)に行われました。

大会名となっているプレフォンテインとは、1970年代に地元オレゴン大学のヒーローとして一世を風靡したスティーヴ・プレフォンテインから採られています。彼は1972年のミュンヘン・オリンピック5000mで4位と健闘したもののメダリストではなく、10000との2種目で優勝したラッセ・ヴィレン(FIN)やマラソン金メダルのフランク・ショーター(USA)に比べれば世界的にはさほど名のある選手ではありませんでしたが、常にフロントランナーとしてぐいぐいレースを引っ張るスタイルで、国内では大変な人気を博しました。ミュンヘンの3年後に交通事故のため24歳で夭折し、その名はこの大会の冠となって、世界最高峰のワールドツアーの一つに残されているのです。

この大会の名物種目となっている「バウアーマン・マイル・レース」(ロナルド・ケモイが優勝)に名を残しているビル・バウアーマンは、プレフォンテインを育てた陸上競技のヘッドコーチであり、ナイキの創業者の一人として知られる人物です。
さらに、バウアーマンの恩師であるビル・ヘイワードは、この大会の会場であるオレゴン大学グラウンドに「ヘイワード・フィールド」という名を残しています。
いわば、3代にわたる師弟関係の物語が、この大会を由緒あるものに仕立て上げているわけですね。
2021年には、この場所で世界選手権が開催される予定です。現在最大で20000人程度を収容できるに過ぎない、日本の大学のグラウンドと同じような空の開けたスタジアムが、どのように変貌していくのかが興味深いところです。

また、この大会で特徴的なものが、選手が装着しているビブスです。
通常ビブス(ナンバーカード)は、固めの化繊布や防水コーティングした紙製のもので、安全ピンもしくはボタンクリップでランニングウェアに装着します。ところがこの大会に限っては、少し小さめのカード(番号はなくPREの3文字とナイキのシンボルロゴ、個人名のみ)が、まるであらかじめ選手のユニフォームにプリントされているかのように、ピタッと貼り付いているのです。
トラックの出場者でも、走高跳の選手のように前面だけの装着。したがって、この大会では選手のIDナンバーはありません。(腰ナンバーのみ)
考えてみれば、ナイキのお膝元ですから、そうした「大会ロゴと個人名をあらかじめプリントしたウエア」を契約選手全員に配布するくらいのことは簡単にできるでしょうが、少数派とはいえ他社契約選手やナショナル・ユニフォームでの参加選手には、そういうわけにもいきません。
テレビの画面越しによくよく見れば、どうやらウエアと同調する程度に柔軟な素材の布製で、ぴったりと貼り付けられているらしいことが伺えます。というか、そう解釈するほかありません。
それにしても、今どきの材質のウエアにあれほど密着して貼り付くとはどんな接着剤を使っているのか、またどの選手も綺麗に身体の真ん中に曲がることなく装着しているのはいかなるわけか、とても不思議です。

まあ。そうした大会にまつわる付加的なあれこれに思いを巡らせながらTV中継を視ているうちに、ふと気付くと随分な割合で大番狂わせが起こっていました。


オープニング・レースの女子400mHでは、昨年全米予選からリオ・オリンピックまで見事なシンデレラ・ストーリーを築いたダリラ・ムハマドが中盤からガタッとペースダウンし、5着に敗退。優勝は五輪3位のアシュリー・スペンサー(USA)。2着には前半飛ばしたシャミーア・リトルが粘りました。リトルはトレードマークのオヤジ眼鏡とおバカ・リボンをマイナーチェンジして、少し雰囲気が落ち着きましたね。ムハマドもロングヘアを束ねて、大人の雰囲気にイメチェンです。


ケニ・ハリソン、ブライアナ・ローリンズの2大女王が不在の女子100mHは、昨年鳴かず飛ばずだったジャスミン・ストワーズ(USA)が12秒59(+0.8)で快勝。キャスリン、アリの両メダリストは6着・7着に沈みました。

主役を200mの方に持って行かれながらもキャンベル‐ブラウン、アウレ、アイー、フェイシー、バートレッタといいメンバーの揃った女子100m(ポイント対象外)は、モロレイク・オカイノサン(USA)が大穴の優勝。記録は+2.1で10秒94。

そして男子100mでは、アメリカの23歳ロニー・ベイカーが9秒86(+2.4)で優勝。川崎で日本勢の後塵を拝したスー・ビンチャン(CHN)が9秒92で続き、公認の風速ならばPBを更新していたでしょう。
アンドレ・デグラス(CAN)は4着、第1戦ドーハで惨敗していたジャスティン・ガトリンはまたもや5着といいところなし。例年、DLでは絶対的な強さを見せつけながら本番の世界選手権やオリンピックでボルトの壁に敗れ続けてきたガトリンが、今季はスロー調整で8月のロンドンに合わせている過程なのか、それとも年齢的な衰えか、一過性の不調か、まだ判断はつきません。

さらに、この日のメインイベントと言ってもよい豪華メンバーによる女子200m。昨年のユージーンでもトンプソン、スキッパーズの2強をまとめてぶっ倒したトリ・ボウイが、今度は21秒77(+1.5)のPBで文句なしの快勝。400mチャンピオンの“ダイビング・フィニッシュ”ショーナ・ミラー‐ウイボが大外から2着に突っ込んで、「2強」は3着・4着と形無しでした。

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 女子200mの1・2着はAdidas勢。

フィールドでも、女子走高跳はオリンピック・チャンピオンのルース・ベイティア(ESP)が4位に敗れ、2m03というハイレベルなレコードで勝ったのはマリア・ラジツケネ(旧姓クチナ。現在IAAFに承認されていないロシアのため国名はANAと表記。何の略号なのかは分かりません)。北京世界選手権の優勝者ですから番狂わせでもないんですが、今年のロンドンには出場可能なんでしょうか?

とどめは最終種目のバウアーマン・マイル(DL1500mカテゴリ)でアスベル・キプロプ(KEN)がなんと完走選手中最下位に撃沈。リオでの惨敗から、立ち直りの兆候は見えません。

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中継はありませんでしたがユージーン大会は前日26日も一部種目が行われており、女子3000mSC(対象外)では世界記録保持者のルース・ジェベト(BRN)が3着と沈み、セリフィン・チェプティーク・チェスポル(KEN)が歴代2位の8分58秒78で優勝。ジェベトは昨年19歳でオリンピックと世界記録の頂点に立ちましたが、こちらはなんとまだ18歳。ジェベトも9分03秒で走っていますから決して不調だったわけでもなく、この種目が新たな局面に突入しっつあることを伺わせます。

また同じく26日に行われた女子5000mでは、ゲンゼベ・ディババが14分25秒22で圧勝。どうやら、今季は彼女の元気な走り、世界記録へのチャレンジが見られそうな予感です。

アプセット続きのトラックで無敵王者ぶりを発揮したのは、男子5000mのモー・ファラーと女子800mのキャスター・セメンヤ。ともに寸分の隙なし。
男子三段跳ではクリスチャン・テイラーが自己記録に迫る18m11(+0.8)のビッグジャンプで圧倒したかに見えながら、同門のウィル・クレイも18m05(+2.4)で追いすがり、リオに続く冷や汗ものの勝利となりました。

次回DLは6月9日のローマ大会。
桐生祥秀の次戦を「日本学生個人選手権か?」なんて書いてましたが、このDL第4戦にエントリーしているようです。楽しみですね。


“世界”を展望する…新世代「対決」が楽しみだ


オリンピックの翌年シーズンというのは、どの競技でも「新旧交代」が話題になるものです。
リオでの栄光や挫折そのものを機にシューズを壁に吊るす選手もいれば、もう1シーズンを花道に選び引退や転身を決めている選手も。前者の代表と言えば十種競技のアシュトン・イートン(USA)であり、後者は言わずと知れたウサイン・ボルト(JAM)やトラック撤退を明言しているモー・ファラー(GBR)が好例。
また、ビッグネームの中では“産休”を宣言している100m銅のシェリー‐アン・フレイザー‐プライス(JAM)、抜き打ちドーピング検査のための所在報告義務を怠ったために1年間資格停止となってしまった100mH金のブライアナ・ローリンズ(USA)、また五輪後の抜き打ち検査で違反が発覚したマラソン金のジェミマ・スムゴング(KEN…五輪成績には影響なし)など、引退こそしていないものの今季は活躍が見られない、というアスリートもいます。

そもそもリオ五輪の陸上競技には、大会3連覇の資格を有していた選手が5人(6種目)もおり、2種目でこれを達成したボルトを筆頭に、5人全員が出場して入賞を果たす(男子砲丸投のマイエフスキー以外の4人はメダル獲得)という、あまり記事にならなかったトピックがありました。3連覇を目指すというのは少なくとも8年以上世界の第一線で戦い続けているということで、これらの選手もまだまだ引退を表明したわけではないにしても、そろそろ一時代の変わり目を象徴する存在になりつつあることは、確かです。

一方で、昨年来急速に力をつけ、世界の陸上界でニューリーダーの役割を感じさせる選手たちがいます。私の情報収集力では、現時点でまったく無名の“超新星”を紹介するということは無理ですので、今回はこうした「ここ1年前後での上昇株」を何人かピックアップして、今季の世界選手権やDLでの活躍を展望してみましょう。

◆実現するのか、ハードル女王対決?
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昨シーズン最も輝いた陸上アスリートは、100mHのケンドラ・ハリソン(USA)。長距離のアルマズ・アヤナ(ETH)も甲乙つけがたい実績ながら、リオ・オリンピック出場を逃した悲劇の直後に劇的な世界新記録を達成したドラマ性がひときわ光っていたと思います。


5月28日のDL第4戦ユージーン大会『プレフォンテイン・クラシック』で行われた女子100mHのDL初戦。ズラリと顔を揃えたアメリカ勢の中で、この時点でDL未勝利、身長163㎝の小柄なK.ハリソンは決して目立つ存在ではありませんでした。それが、2着以下に大差をつける圧巻のハードリングで
初優勝。タイムは世界歴代2位の12秒24(+0.7)。4月にシーズンに入ってから12秒36、12秒56、12秒42と好記録を連発していたK.ハリソンが、ここしばらく混戦模様が続いていたこの種目のリーダーに躍り出た瞬間でした。

続く第6戦バーミンガム、第9戦ストックホルムでも圧勝を続けたK.ハリソンは、3枚の切符を巡る激戦が予想された全米選考会に“大本命”として乗り込みますが、快記録を出した同じオレゴンのトラックでまさかの6着敗退。しかしすぐに失意から立ち直ると目標を「DL総合優勝」に切り替え、その2週間後、ロンドンで行われた第10戦で12秒20(+0.3)をマーク、1988年以来28年間難攻不落を続けていたヨルダンカ・ドンコワ(BUL)の記録を破りました。

オリンピックに出場できなかった世界記録保持者として、結局DLではオスロ大会を欠場した以外は予選・ポイント対象外レースを含めて8戦全勝のツアー・チャンピオン。どのレースでも正確無比なハードリングで2着以下に大差をつけ、オリンピック・チャンピオンのブライアナ・ローリンズにも3タテを浴びせました。
リオでは表彰台を独占してのけたアメリカ勢の中にあっても、その強さと安定感は図抜けていました。たった一度の失敗レース(全米選考会決勝)を除けば、です。


K.ハリソンはDL制覇によってすでに今年の世界選手権ワイルドカードを手中にしており、今度こそ「大本命」としての力を如何なく発揮しての金メダルが期待されますが、もう一つの興味として、前例のない「400mHとの2冠への挑戦」が果たして試みられるのかどうか、ということがあります。
2015年にはシーズン5位となる54秒09というタイムを出しており、その後の100mHでの成長度を考えると、優に53秒台前半では行ける力があるものと思われます。
もしそれが実現したとして、その前に立ち塞がるのが、オリンピックを53秒13で制したダリラ・ムハマド(USA)です。
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ムハマド自身も、昨年の全米選考会で突如52秒台に突入して混戦の種目を抜け出した急成長株。前年までのPBが55秒76、400mのPBが昨年4月の52秒64というのですから、その急成長ぶりが伺えます。細身の体形と長い黒髪をなびかせて疾走する姿は、アリソン・フェリックスに代わるスター性も十分です。
今季は5月27日のDL第3戦・ユージーン大会に登場。早くもZ.ヘイノヴァ(CZE)、S.ペターセン(DEN)、A.スペンサーといった強豪とぶつかる予定になっています。
いっぽうのK.ハリソンは、5月20日にジャマイカで行われるワールド・チャレンジ・ミーティングに出場予定。今年もすでに室内レースで順調なところを見せており、アウトドアでの世界記録更新にも十分期待が持てそうです。
K.ハリソンとムハマドの400mH対決…ぜひとも実現してもらいたいものですね。

◆直接対決も、世界記録先陣争いも
「新世代どうしの対決」という図式で楽しみな種目は、他にもあります。
一つはA.アヤナとゲンゼベ・ディババ(ともにETH)による5000m、3000mの世界記録争い。
2015年はゲンゼベが1500mで22年ぶりに世界新記録を出し、5000mでもあと4秒少々のところへ迫りましたが、世界選手権ではアヤナがDLパリ大会の雪辱を果たして金メダル、記録ランキングでも僅かにゲンゼベを上回りました。
昨年はゲンゼベが故障でオリンピック間際での復帰となったこともあって、5000mのレースには1回も出場せず、逆にアヤナはリオの10000mで驚異的な世界新記録を叩き出し、5000でもDLローマ大会で世界記録まであと1秒44と迫りました。
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一昨年のDLチューリッヒ大会3000m以来、両者の直接対決はありませんが、ともに順調ならば嫌でもロンドン世界選手権では相まみえることになるでしょう。現状ではアヤナの勢いが一歩リードしている感があるとはいえ、ともにラスト勝負よりはロングスパートで決着をつけたい同タイプどうし。10000m29分17秒を誇るアヤナのスタミナが勝るか、1500を3分50秒で走るゲンゼベのスピードが勝つか、5000mはその時のコンディションによって勝敗が決しそうです。
同時に、DLで5000m種目の一つとして数回行われる3000mでも、レコードブックに唯一残った中国「マー軍団」の記録、1993年にワン・ジュンシャが出した8分06秒11への2人のチャレンジを期待したいところです。
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感想(4件)


◆華やか艶やか“空中決戦”
もう一つの注目種目は、女子棒高跳です。
かつてエレーナ・イシンバエワ(RUS)が華やかに彩ったこの種目も、世代交代を象徴する2人の選手、オリンピック&DLチャンピオンのエカテリニ・ステファニディ(GRE)とランキング1位の5m00を跳んだサンディ・モリス(USA)の“対決”が注目を集めます。

ステファニディは昨年のシーズンイン時点では、同国の2015年DLチャンピオン、ニコレッタ・キリアポウロウの陰に隠れた無名の存在でした。インドアで4m90を跳んで躍進の予兆は見せていましたが、アウトドアでは4m71がPBだったのです。この種目では1月に室内で5m03を跳び3月の世界室内を4m90で制したジェニファー・サー(USA)がまだまだ健在で、世界室内前哨戦で4m95を跳び本番でも2位に食い下がったモリスがこれに続いていました。
DL第1戦のドーハはモリスが4m83で勝ち、ステファニディは3位。しかし4m73は2年ぶりの屋外PBで、ここから彼女の快進撃が始まります。
ドーハ以降はDLに姿を見せなかったモリスと対照的に、オリンピックまでのDL5大会で4勝、記録も4m75から75、77、81、80と、無類の安定感で着実に伸ばし、自国選手権でPBを4m86にまで引き上げました。その勢いのまま、リオでは4m85の同記録でモリスを振り切り金メダル。DLも最終戦を待たずにツアー優勝を確定させ、その飛躍ぶりはまさに2016年の新人賞ものでした。

モリスはDL初戦の後に負傷して全米選考会にギリギリ間に合わせ、ここでもサーに次ぐ2位でオリンピック出場権を獲得。本番で早々に姿を消したサーに代わって、ステファニディとの一騎討ちに惜敗すると、DL最終戦では逆にステファニディを圧倒、史上3人目の5mヴォルターとなりました。
元来、非常に多くの試合に出場するタイプで、今年はすでに室内4戦に出場。うち1回はステファニディとのリマッチとなり、今度はステファニディが4m82で雪辱しています。
ともに順調ならば、DLでも頻繁にマッチアップが見られそうな両者の対決。“安定感”のステファニディ(27)か、“一発5m”のモリス(24)か、はたまた“旧勢力”サー(35)やキリアポウロウ(31)、ヤリスレイ・シルヴァ(CUB=29)らの巻き返しか、もともと予断を許さない種目だけに楽しみ…もちろん、私はモリスの応援です!
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https://www.iaaf.org/news/preview/iaaf-world-indoor-tour-dusseldorf-preview

またまた女子の話題ばっかりですみませんね。他にも注目の「対決」はいろいろとあるんですけど、記録レベルが高い選手どうしの決戦が昨年までは見られそうでなかなか見られなかった、今年は見られるかな?…という意味で今回この3種目を取り上げた次第です。

間もなく『ワールド・リレーズ』が始まりますね。
国内では『ぎふ清流ハーフマラソン』に『兵庫RC』『出雲陸上』、それから混成競技後半。今日の日曜日は忙しくなりそうです。


 

ハリソンvs.ムハマドが来季実現?~DLローザンヌ大会



IAAFダイヤモンドリーグ第12戦・ローザンヌ大会が、昨日(日本時間今日未明)、オリンピックによる中断を経て約1カ月ぶりの大会として開催されました。
ここの競技場は変なトラックで、普通はホームストレッチの直線終点に設けられているフィニッシュラインが、第1コーナーが始まって数メートル先に、曲走路とは別れる形で設けられているのです。つまり、周回の中の直線部分が短い、その分曲走路が長く半径が大きいトラック、ということになります。
選手にとっては走りやすいんでしょうか、にくいんでしょうか??

さて、今回一番のお楽しみは、DLポイント対象外レースながら、全米予選4着以下オールスターズが勢ぞろいした女子100mH。もちろんお目当ては、オリンピックに出られなかった世界記録保持者ケンドラ・ハリソンです。
今季ここまでDLでは4戦負けなし、しかもすべてブッチギリの圧勝で、ユージーンで出した12秒24、ロンドンでの12秒20(世界新)は間違いなくオリンピック以外での今季陸上界ベスト・パフォーマンス。
1カ月ぶりにTV越しにお目にかかったハリソンはヘア・スタイルを変えてイメチェン。豊かなセミロングの髪を揺らしながら今回もスイスイと一人旅、2位のドーン・ハーパー-ネルソンに0.29秒の差をつける12秒42で5連勝を飾りました。
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 ケンドラ・ハリソン(USA)

長い髪をなびかせて、とくれば、今やアリソン・フェリックスに代わってアメリカ女子のスターの座に近づきつつあるのが、400mHの新女王ダリラ・ムハマドです。
2013年モスクワWCの銀メダリストではあるものの、昨年SBは55秒76、400mフラットのPBが52秒64に過ぎなかった26歳が、今年の全米で突如“覚醒”したかのように52秒88のWLで走り、そのままの勢いでリオ五輪を制してしまったことはご承知のとおり。この日もオリンピックのメダリストが全員集合する中で圧倒的な強さを発揮、今や完全にこの種目の支配者となり、ビジュアル的にもスターの素質は十分です。
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 ダリラ・ムハマド(USA)

その400mHムハマドに、来年は100mHのハリソンが挑戦するかもしれない、というのが解説・石塚浩さんの耳より情報。
もともとハリソンは、二足のワラジと言いますか、それともひと頃100mHに伸び悩みを感じていたか、400mHも手掛けて、あいや足掛けておりまして、昨年6月には54秒09というなかなかのタイムを出して年間5位にランクされています。つまり、昨年に限って言えばムハマドよりずっと上にいたのです。
今季、100mHで「ハードリングの極意」みたいな感覚を会得したかに見えるハリソンが、ロンドン世界選手権では400mHでも金メダルと世界新を狙う…実現すれば史上例を見ない快挙です。そうはさせじ、とダリラが立ちはだかる…もう堪りませんね、来シーズンの目玉になりますよ、これ。
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今回は7人の金メダリストが登場するということで前景気が盛り上がり、中でも最大の注目は女子短距離2冠のエレイン・トンプソン。女子100mに出場です。
ところがこのレース、思わぬアクシデントが!
スタートの号砲から一瞬間をおいて、「やり直し」を告げるリコール音が鳴ったのですが、ほとんどの選手は気付かないまま100mを全力疾走。すぐに気付いてやめたのが3レーンのアメリカ白人スプリンター、ジェンナ・プランディーニ、しばらく走ってから「あれ?」という感じで流しにかかったのがトンプソン。あとの6人は、ほぼ全力で走ってマリー・ジョゼ・タルーが「1着」。
プランディーニに僅かな動きがあった(スローヴィデオでも判りませんでした)ということで、イエローカード。5分ほどの「休憩時間」を置いてのリスタートとなりました。
「再レース」ではトンプソンが、オリンピック7レースの激務を感じさせない10秒78(+0.8)で圧勝。思わぬ100m×2回のレペティションを課せられた6人は後半まったくスピードが上がらず、序盤明らかに遅れていたプランディーニがあれよあれよという間に2着に上がりました。(11秒11)
特に1本目で頑張っちゃったタルーは11秒25と散々な結果で、何とも気の毒なレース進行になりました。
(だいたい、OMEGAの信号音は音が小さいですよね。やっぱりSEIKOでないと…)

女子3000m(DLでは5000mのポイント対象)には、「復活」ゲンゼベ・ディババが登場。アヤナもチェルイヨトもいない中ではありましたが、リオ5000m2位のヘレン・オビリを寄せ付けず、大会新記録8分31秒84で快勝。まだ世界記録を狙うところまでは回復していませんが、これで最終戦、もしくは来シーズンにかけて、再びアヤナと世界記録争いを繰り広げる楽しみがつながりました。ゲンゼベとしてはぜひとも5000の世界記録はディババ家に保管したいところですが、現状では次回にでもアヤナが破ってしまいそうな勢いです。
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 ゲンゼベ・ディババ(ETH)

女子の話題ばかりになってしまいましたけど、正直言って男子は今一つ、冴えませんでした。
G+的には110mHをプッシュしていたようですが、私はどうも、現状のこの種目は好きになれません。オリンピックを終えていちおうマクレオド、オルテガの「2強」の図式が定着しつつあり、今回もそのとおりの結果(オルテガ13秒11、マクレオド13秒12)となりました。でも何かこう、パッとしないんですよね…。
「兄弟金メダリスト対決」が注目された円盤投は、弟のクリストフ・ハルティングが回避して、シャツ破りの兄貴も4位と精彩なく、優勝はフィリップ・ミラノフ(BEL)の65m61。安定王者のマラホフスキーも大逆転負けのオリンピックで気落ちしたか、6位と惨敗でした。結果を承けてか、ほとんど放送でも扱われませんでした。

全般に、オリンピック直後だけに記録の停滞は予想されたところですが、おおむね皆さん「出るからには下手なところは見せられない」という気概が伝わってきた今大会。今季のDLも残り3戦となって、年間チャンピオン争いも白熱してきました。
次回は中1日で明日26時45分(28日2時45分)から、パリ大会の生中継があります!

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day7&展望



どこかでやるんじゃないか、とほとんど寝ないでTV放送を注視していましたが、やっぱりDay7のMorning Sessionはまとまった録画放送もしてくれませんでした。僅かに男子400mリレー予選の2レースを見せてくれたのみ。いまだに男子400mH決勝は、ネット以外では見ていません。
レスリングなんて、日本選手が出てくる場面以外を延々と放送してくれてますよね。それはそれで、レスリングも大好きな私としては嬉しいことなんですけど、どっかで陸上に切り替えてくれてもよさそうなもんなのに…なんでゴルフなんか長時間やってるのよ…ブツブツ。

それにしてもっ!…とここで400mリレー日本チームの快挙について語りたいところですが、その前に。
バドミントン女子ダブルスのタカマツペア、最後に16-19の劣勢から5連続ポイントでの素晴らしい大逆転優勝。
振り返れば今回の日本チーム、対戦競技でのメダルマッチの勝率が非常に高いです。「決勝に勝って金メダル」はこれで柔道3、レスリング4、そしてバドミントンで、通算8勝4敗。「勝って終わる銅メダル」は、奥原希望のバドミントンを含めると12勝3敗。で、日本人は大いに溜飲を下げてるわけですね。
すべての事例に当てはまるかどうかは分かりませんが、少なくともタカマツペアの、あるいは体操・内村航平のあの土壇場における集中力や修正能力、抽斗の豊富さ、あれこそが、世界で戦い続けることによって培ってきた「競技力」というものです。

陸上の日本選手たちに決定的に欠けているものは、これだと思います。たかだか2度や3度のオリンピック・世界選手権の出場経験で、どうにかなるものではない「何か」です。
国内競技会を優先しなければならない諸事情や、もちろん経済的・環境的な課題もあるのだとは察しますが、普段から国際試合で揉まれることを繰り返していかないと、いつまでも「日本選手は実力を発揮できず予選敗退」の光景が繰り返されていくに違いありません。陸連のエライさんたちは、根本を見つめ直して強化に反映させていってもらいたいものです。

◇男子400mリレー予選(2組3着+2)
レース模様はおおむね既報のとおりで、付け加えることは大してありません。
アメリカはマイク・ロジャーズ-クリスチャン・コールマン-タイソン・ゲイ-ジャリオン・ローソンのオーダーで37秒65。決勝ではもちろん、ガトリンとブロメルを入れてくるでしょう。
ジャマイカはジェヴォーン・ミンジー-アサファ・パウエル-ニッケル・アシュミード-ケマー・ベイリーコールで37秒94。こちらはボルトとブレイクが入って、1秒近く戦力アップしそうです。
中国はタン・シンクィアン-シエ・チェンイ-スー・ビンチャン-チャン・ペイメンで37秒82。日本との戦力差を単純比較すると、ともに100m準決勝に進んだ山縣とケンブリッジ、スーとシエは合わせてほぼ互角。3番手の比較では10秒00を持つチャンの調子が上がらず、桐生がやや上。アンカー同時スタートなら、ケンブリッジが競り負けることはないでしょう。スターターのタンという選手の情報がほとんどありませんが、100mのベストは10秒30で200mが強いわけでもなく、もしかしたら決勝では昨年の世界選手権と同じメンバーにしてくるかもしれません。

中国は、14年のアジア大会で突然37秒台に突入して以来、バトンワークの乱れというものがほとんどありません。これは相当にチーム練習を重ねてきていると見るべきでしょう。ただ、気にかかるのは100mの走力アップばかりにこだわって、200mに出場するほどのランナーを養成していない点です。話すと長くなりますので別の機会にと思いますが、過去の日本チームの例を見るまでもなく、ヨンケイではロングスプリンターの役割が非常に大きい比重を占めるのです。そのことにまだ中国が気付いていないとすれば、ここに弱点が見出せます。

逆に日本の4人は(決勝も同じオーダーだと思います)、バトンワークもさることながら、全員が200mを20秒5以内で走れることが大きな強みです。(ケンブリッジのPBは20秒62ですが、もともと200mランナーでもあり、現在の走力は優に20秒3前後と考えられます)その意味でも、今回のチームは「史上最強」と言えるのです。
そして天下無敵のアンダーハンドパス。予選を見る限りはほぼ完璧、ということは小さなミスが大きなマイナス材料になるということですから、やはりそこが、同じくバトンワークの安定している中国との勝負を分けるポイントになってくるはずです。
あとは、イギリス。とうぜん決勝ではメンバーを替えてくるでしょうし、もう少し上手くバトンをつなぐはずです。日本のメダル獲得は、この中国・イギリスの難敵2チームに勝つことが、まず重要です。
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◇女子400mリレー

これもアメリカ・チームのお粗末ぶりは既報しましたが、その後インターフェアへの抗議が通って、昨日の夕方、アメリカ1チームだけでの再レースが認められました。ここで慎重にバトンをつなぎながらも41秒77のトップタイムをマークしたアメリカが決勝進出、暫定8位だった中国が予選通過を取り消されるという、前代未聞の成り行きとなりました。(9レーンの競技場でないことが中国には不運でした)
思えば、落としたバトンを改めてきちんとつなぎ直してフィニッシュまで走り切った(66秒71)のは、クレームを通すうえで非常に重要だったはずで、この時のアメリカチームのとっさの判断力は殊勲賞ものです。
相変わらず不安定極まりないアメリカのバトンワークは、前回ロンドンでは鮮やかすぎるほどに決まって40秒82の世界記録に結びつきましたが、いつ再び破綻するとも知れません。
男子も女子も、不思議と失敗しないジャマイカが、どうしても優勝候補筆頭ということになるでしょう。決勝ではアメリカにトリ・ボウイ、ジャマイカにエレイン・トンプソンという、それぞれの切り札が投入されてくると思われます。
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 最後は破れかぶれにバトンを投げたアリソン・フェリックス

◇男子400mH決勝
優勝候補の一角だったハビエル・クルソン(PUR)が、明らかなフライングで失格。泣きながらトラックを去った後にリスタートしたレースで、最初から攻めていったカーロン・クレメントが直線入り口では一人大きく抜け出し、またまた出てきました、という感じのケニア勢ボニフィス・トゥムティの猛追を振り切って47秒73で優勝。
クレメントは2005年ヘルシンキ世界選手権に19歳でデビューして以来、07年大阪、09年ベルリンと連覇する絶頂期を経て、最近はすっかり「決勝の常連」程度の地位に甘んじてきました。とうとう北京(銀)、ロンドン(8位)で果たせなかった悲願のオリンピック・チャンピオンの座に就いたわけで、その喜びようは傍目にも微笑ましいものに感じられました。
クレメントの大会直前からの勢いが、今季全体的に低調を極めたこの種目ではひときわ目立っていたように思います。終わってみれば4位までが47秒台を記録し、ようやく世界のヨンパーに活気が戻ってきました。

◇男子200m決勝
ウサイン・ボルトの完勝…ながら、19秒78(-0.5)というタイムには失望というよりは自身への怒りを覚えたらしく、今までにないくらいに渋い、ゴール直後の表情でしたね。2種目3連覇の締めくくりにしては、「画竜点睛を欠く」といった気分になったのでしょう。
それにしても、ミックスゾーンで待ち受ける何十というメディアからのインタヴューに、小一時間かけて一つ一つ丁寧な受け答えをしていく真摯な姿には、毎度感服してしまいます。大迫傑や甲斐好美に、少し説教してやってほしいもんです。

◇その他
ワンデイ・トーナメントで行われた男子砲丸投は、全米で史上23人目の「22mクラブ」に仲間入りしたばかりのライアン・クラウザーが、その時の記録を41センチ上回る22m52をプット、王者ジョー・コヴァックス(USA)を再度破るとともに、オリンピック記録を28年ぶりに書き替えました。

女子400mHは予想どおり、ダリラ・ムハマド(USA)の圧勝。世界女王ヘイノヴァは復調今一歩で、メダルに届きませんでした。

女子800m準決勝では今季無敵のキャスター・セメンヤ(RSA)の強さが際立ち、金メダルは堅そうな気配です。対抗格と目されていたユニス・ジェプコエチ・サム(KEN)、フランシス・ニヨンサバ(BDI)が消えたことで、これを脅かす存在は見つけにくくなりました。中長距離好調のアメリカはこの種目でもケイト・グレースが上位で決勝進出、リンジー・シャープ(GBR)やメリッサ・ビショップ(CAN)などメダル争いは白人女性の戦いとなりそうです。

男子1500m準決勝では、アズベル・キプロプ(KEN)がこちらも盤石の態勢。2番手筆頭の位置にあったエリジャ・マナンゴイ(KEN)がDNSで、ディフェンディング・チャンピオンのタウフィク・マクルフィー(ALG)とロナルド・ケモイ(KEN)、マシュー・セントロヴィッツ(USA)、アヤンレ・スレイマン(DJI)らの包囲網をキプルトがいかに凌ぐか、ロンドン五輪や今年のモナコDLの時のようなポカをやらかさないか、注目です。
Melissa Bishop
 女子800、やっぱりビショップに頑張ってもらいたい!

◇その他Day8展望
同じ日に男女の競歩が行われるというワケ分からないスケジュール。日本陸上チーム最大の期待、男子50km競歩は8時のスタートになります。
昨年世界選手権を独歩で制したマテイ・トト(SVK)の力が抜きんでているように思われます。今年は50kmレースから遠ざかっているらしいですが、本命は動かしがたいところ。
2位だったジャレド・タレント(AUS)は20kmを捨ててここ一本にかけてきており、中国勢も不気味。日本トリオにとって上位の壁はかなり高いようですが、ロシアのいない今回は大チャンス。ぜひとも、3人がほぼ同等の力を有するチームの利を活かして、メダルは運次第としても、全員入賞を果たしてもらいたいところです。

今日の注目種目の一つは、女子棒高跳決勝です。
今季インドアながら唯一5mを跳んでいるジェニファー・サー(USA)に、後輩のサンディ・モリスと今季無類の安定性を誇るDLリーダーのエカテリニ・ステファニディ(GRE)、さらには世界女王ヤリスレイ・シルバ(CUB)が絡んで、優勝争いはなかなか混沌。記録レヴェルも4m90から5mラインが勝負どころと思われ、仮にエレーナ・イシンバエワが出ていても予測しがたいほどの好勝負が見られそうです。
地元期待のファビアナ・ムーレルの予選落ちは残念でしたが、日本選手のいない種目ながら、TVでもぜひきちんと見せてもらいたいですね。

さらに、女子5000mのアルマズ・アヤナ(ETH)には、再び世界新記録を期待してよさそうです!

Sandi Morris
 私はサンディ・モリスを応援!
 https://www.iaaf.org/news/report/sandi-morris-pole-vault-american-record-houst

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day5~続き



◇男子走高跳決勝
既報のとおり群雄割拠の中で有力候補の一人だったタンベリ(ITA)が故障でエントリーせず、また中国の吉本若手芸人もどき、チャン・グウェイが予選で2m26を落としてしまい、決勝には正統派(?)のハイジャンパー15人が居並びました。
で、昨年WC王者のデレク・ドルーイン(CAN)が2m38を綺麗にクリアして抜け出し、ボンダレンコ(UKR)、バルシム(QAT)の「2強」を破りました。なんか、こう書くと走高跳では久々にメダルを獲るべき人たちが獲ったという結果に思えてきます。

5位のロバート・グラバーツ(GBR)が、2m33の1回目で、大きく揺れたバーがしばし時間が経ってから落下し、すでに白旗を掲げていた審判が赤旗に上げなおしたのを見て、「いっぺん白いの上げたじゃないか」と執拗に抗議、という出来事がありました。結局抗議が認められて「成功」となったのですが、これはどうでしょうねえ。風その他の影響ではなくて、明らかにバーに触れた時の振動によって落ちたわけですから…
ただ、グラバーツはDLバーミンガム大会(だったか?)でも同じような目に遭っています。この時はノータッチでクリアしたのに、バーを置く支柱がマットの衝撃で揺れたためにバーが落ちたもので、見ていた他の選手も一緒になって「いや、今のはアクシデントだ」と抗議したものの通らなかった、ということがあったのです。もちろん審判は別の人でしょうけど、「今度は譲れないぜ!」というところだったのでしょうかね?

◇女子やり投予選(通過記録63m00)
 15WC ①67m69K.モリトール(GER) ②66m13ルー・フィフィ(CHN) ③65m79S.ヴィルジョエン(RSA)
 15DL ①19p/5B.シュポタコヴァ(CZE) ②7p/4ヴィルジョエン ③5p/2M.パラメイカ(LAT)
 16DL ①29p/4パラメイカ ②22p/4K.ミッチェル(AUS)・22p/3ヴィルジョエン
 16SB ①66m87シュポタコヴァ ②66m41C.フソンク(GER) ③66m34T.ハラドヴィッチ(BLR)

今回は通過ラインが61m63とかなり高くて、今季に入って好調とは言えない海老原有希は力が入ったか投擲がまとまらず、57m68であえなく落選。この種目は有望な若手選手が多く育ちそうな予兆があるだけに、それなりの結果でつなげてもらいたかったところですが、残念です。
通過記録は高かったとはいえ、全体にレヴェルが高かったかと言えばそうでもなく、他の投擲種目のような「大本命」がいないのがここのところの女子JT。本来ならその位置にいるべきシュポタコヴァは最近精彩がなく、それでもまずまずの記録で通過。昨年WCを大逆転で制したモリトールは欠場。そこでアジア新を出し6回目までリードしていたルー・フィフィは3回目でやっと63mオーヴァー。オーベルクフェル、フソンクのドイツ勢やミッチェルも冷や汗ものの通過でした。
そんな中で、1投目に軽い感じで67m11のポーランド記録を放った20歳のマリア・アンドレチェクが、一躍優勝候補のトップに躍り出てきました。今年64m08を投げたという以外は、昨年WC予選落ち、一昨年ジュニアWC5位ということくらいしか分からない大穴選手です。こういう種目ですから決勝でも上手くいくとは限りませんが、「超新星」が停滞気味のやり投に一波乱を起こしてくれることを期待します。
RIO028

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◇女子走幅跳予選(通過記録6m75)
「予選が鬼門」のブリトニー・リース(USA)が一発で通過を決める幸先のいいスタートを切り、ティアナ・バートレッタとともに決勝へ進みました。私のイチオシ、イヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)も6m87のトップ記録で一発通過は、さすが。
日本の甲斐好美は、懸念された踏切の不安定をまたもや露呈してしまい、3月の室内WC以来世界大会5回連続ファウル。3回目に記録を残しはしたものの5m台ではどうにもなりませんでした。
その後のインタヴューでの受け答えが、どうも感じ良くなかったですねえ。「本来のコーチがいなかったから…」などと、現場で世話になった吉田孝久コーチをないがしろにするようなコメントは、いかがなものでしょうか。

◇女子400mH準決勝(3組2着+2)
今年前半は「本命不在」の様相だったこの種目も、どうやらWL(52秒88)のダリラ・ムハマド(USA)の現在の力と勢いは本物のようで、まず金メダルは半分手中にしたような感があります。
本来なら世界選手権連覇中のズザナ・ヘイノヴァ(CZE)が中心になるべきですが、今季のヘイノヴァは故障で出遅れようやくオリンピックに間に合ったというところ。解説の山崎さんはかなり辛口な評価でしたが、思った以上に状態はいいと見えました。アシュリー・スペンサー(USA)、エイリズ・ドイル(GBR)、ジャマイカ勢あたりとの銀メダル争いの中では、一歩リードではないでしょうか。ムハマドとの勝負が楽しみです。
RIO026


◇男子400mH準決勝(3組2着+2)
無念、かえすがえすも無念!
野澤啓佑、1組6着(49秒20)で決勝ならず。
クレメント(USA)が意外にいい走りで優勝候補筆頭に名乗りを挙げたレースでしたが、野澤は何で失速しちゃいましたかねえ…2位が48秒85ですよ、チャンスだっただけに諦めきれない。
200m予選の項でも言及しましたが、野澤にも同じことが言えますね。勝負どころが分かっていないんです。経験不足です。どんどん海外に出て修行してください。
さて、異常事態だった種目もようやく48秒台前半のタイムが続出して、温まってきました。決勝では誰が来るかさっぱり読めません(もう、どうでもいいや)が、47秒台が出るかもしれないですね。

◇女子200m準決勝(3組2着+2)
いきなり1組でトンプソン(JAM)とスキッパーズ(NED)の「頂上決戦」。もちろんセミファイナルでガチンコになるはずもなく、「お先に」「どうぞ」という感じでスキッパーズが先着しましたが、ただ一人の21秒台で仕上げは万全のようです。
タルー(CIV)とボウイ(USA)も引き続き好調のようですけど、やはり決勝は上記2人のハイレヴェルな優勝争いではないか、と見ます。私のご贔屓イヴェット・ラロワ-コリオが見事2組2着で決勝に進んだのは立派!
ところで、なんでTVでは昨年のWC以来、Dafne Schippersを「ダフネ・シパーズ」という呼称をするんでしょうかね?オランダ語読みではそうなのかな?英語の場内アナウンスでははっきりと「すきっぱぁーず!」って言ってますけどね。
外国人選手の呼称については私もいろいろ思うところがあるんですが、明らかに「おかしいんじゃない?」というのがあります。この後の1500mに出てきたイギリス人のLaura Muirは英語ではっきりと「みゅぅあーー!」と呼ばれてるのに、「ムイー」って、何よその呼び方?

◇女子1500m決勝
この大会には、本来大本命であるべき存在なのに今季不調だったりブランクからようやく出場にこぎつけたりと、その動向が注視された選手が何名かいます。
ボルトがその代表格ですし、それ以上に不安視されていた男子800mのルディシャ、女子100mのシェリーアン、男子円盤投のR.ハルティング、前述のヘイノヴァなどもそうですね。
いちばん音沙汰がなかったのがゲンゼベ・ディババで、昨年の大活躍ぶりから一転して「どうなの?」という危惧がありました。で、今回案の定というか、700から猛烈なマクリを決めたかと思ったら、最後の直線で失速するという信じられないような姿で辛うじて2着。
まさか、とは思うんですけど、彼女、一瞬周回を間違えたんじゃないでしょうか?それほど、700からのスパートは「渾身」という感じで、1100からの再スパートは思いつめたような雰囲気があったんですね。思い違いではないにしても、700での仕掛けはどうも戦術上のミスだったように見え、あるいは世界記録で走った時の感覚を信じすぎたか、ブランクによるレース勘のズレのようなものが大きく影響したように思います。
ディババが独り相撲で沈没するのを尻目に、フェイス・キピエゴン(KEN)が余裕の優勝。3着はまたもアメリカ!(ジェニファー・シンプソン)

◇男子110mH決勝
実は私、昨今のこの種目にあんまり興味がないんです。それほどに、主役もいなければ記録も低調。誰が勝っても、あまり記憶に残ることはないだろうな、とそんな思いで見てました。
まずまず大方の予想どおり、WLのオマー・マクレオド(JAM)が13秒05で優勝、キューバからスペインに国籍変更したオーランド・オルテガが2着。
予選の走り直しという前代未聞の出来事以外は、あんまり記憶に残ることはなさそうです。

ああっ、もうDay6が始まってしまう!

 
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