豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

ダイヤモンドリーグ

アリソン2種目制覇、ライルズ幻の18秒90~DL第2戦チューリッヒ大会



WANDAダイヤモンドリーグ第2戦のチューリッヒ大会が、世界7会場を結ぶリモート大会として、ワールド・北米・ヨーロッパの3地域対抗戦形式で開催されました。
以下、ワールドアスレティックス(旧IAAF)のHPから、拙い和訳で結果をご紹介します。誤訳の節は重々お詫び申し上げます。(特にモリーンのくだりが自信ありません)

9日・木曜日、チューリッヒ・ダイヤモンドリーグ主催者が2大陸にまたがる7会場に集結させた30人のアスリートで競うという、痛快にしてコロナウィルス禍への画期的な解答案ともなる大会、『インスピレーション・ゲームズ』が行われ、アリソン・フェリックスが2つの印象的な勝利を挙げて脚光を浴びた。

◇アリソン・フェリックス、輝く
カリフォルニア州ロサンゼルスの近郊・ウォルナットの競技場で参加したフェリックスは、150mレースを快勝して今大会の口火を切り、3×100mリレーのアンカーとして大会を締め括った。
伝説的なキャリアを誇る彼女でも初めての経験に発した第一声は、というと?
「何だかとてもおかしな気分ね」
満面の笑みで、そう言った。
「チームメイトもなしで練習するみたいな、そうでないような」
単独走を走り終えての感想は、
「自分自身にチャレンジするというのは、大変なことね。でも私は陸上が大好きだから、機会を与えられたら飛び付くわ。私には陸上が全てなのよ」

トラック競技の幕開けは、女子150m。地元スイスのスター選手ムジンガ・カンブンジはチューリッヒで、400mのオリンピックチャンピオン、ショーナ・ミラー=ウィボは距離にして8000㎞、時差にして6時間離れたフロリダ州ブレイデントンで、そしてフェリックスはさらに4000㎞も離れた場所での参戦である。
トラックの位置とカメラアングルをほぼズレがないように合わせて映像を同調させてはいても、誰がリードしているかを見て取るのは、3人がフィニッシュラインに近付くまでは難しい。フェリックスが真っ先にゴールに飛び込んだ。タイムは16秒81。ミラーの17秒15、カンブンジの17秒28を余裕で上回った。
奇遇なことに、アメリカの遠く離れた両サイドでレースをしていながら、フェリックスは向い風2.6m、ミラーは向い風2.5mと、ほとんど同じ条件だった。

フェリックスは、キャンディス・ヒル、ティアナ・バートレッタと組んで大会最終種目の3×100mリレーに2つ目の圧倒的勝利を挙げるために、トラックに戻って来た。3人のタイムは32秒25で、チューリッヒのスイス・チーム32秒50、パーペンダールのオランダ軍団32秒94を上回った。
「楽しかったわ」と、フェリックスは言う。
「お客さんのいる中で競技できる日が、待ちきれないわ」

対照的に、男子100ヤードは今大会で唯一、同一会場での直接対戦となり、フランスのジミー・ヴィコー、カナダのアンドレ・ド・グラス、110mHのオリンピック王者オマー・マクレオドがブレイデントンのトラックに集結した。向い風3.4m。前半は3者ほぼ互角に見えたが、中央レーンのド・グラスとインレーンのヴィコーが抜け出した。ド・グラスが0.04秒の僅差でヴィコーに先着し、9秒68。マクレオドは9秒87で離れた3着に終わった。

◇モリーン、復活の勝利
女子300mHでは、ジョーゲイン・モリーンが今までにない遅い時間のコールを受けたことで、それがむしろ、39秒08のタイムで感動的な勝ち星を挙げるのに幸いしたのかもしれない。
「自分に言い聞かせたの。私にはもう後がないし、こんな機会はもうないんだって。当然よね」
と、モリーンは言う。脚の故障で1年半もの間、競技から遠ざかっていたのだ。号砲が鳴るや、彼女がその言葉を自身に言い聞かせ続けているのは明らかだった。
最初のハードルで波に乗り、次からの3台をゆったりと乗り越えると、そこからゴールまでは一気呵成だった。
「練習と同じようにレースに行く、それを心掛けただけ。でも、すごく不安だった」
そう彼女は認めた。2012年ロンドン・オリンピック5位入賞のモリーンは、現世界チャンピオンにして世界記録保持者のダリラ・ムハンマドに代わって、今週初めに出場が決まったばかりだった。
チューリッヒのスタジアムを走ったレア・シュプルンゲルが39秒25で第2位、雨天・低温に見舞われたオランダのパーペンダールで走ったチェコのズザナ・ヘイノヴァは40秒97に終わった。


◇ライルス、スタートラインの間違いに泣く

一方で、ノア・ライルズは200mレースで圧倒的と見える走りを見せ、タイマーが幻の世界記録18秒90で止まったのもむべなるかな、と思わせたのだが、それはやがて大きな落胆に変わった。
後になって判明したところでは、ライルズは誤ったレーンでスタートに就き、走った距離は185メートル・ジャストだったのだ。この不幸なトラブルで彼は1位から3位に降格となり、勝利の栄光と賞金の1万USドルは、チューリッヒで20秒65を記録したクリストフ・ルメートルに渡ることになった。パーペンダールで20秒81だったチュランディ・マルティナが2位となった。

◇ピチャルド、三段跳対決を制す
三段跳では、リスボンのピットに立ったペドロ・パブロ・ピチャルドが2回目に跳んだ17m40(+2.3)で制した。世界選手権とオリンピックのチャンピオン、クリスチャン・テイラーはブレイデントンで序盤伸び悩み、6回目にようやく17m27(+4.2)を跳び逆転の2位、3位になったのはウォルナットで2回目17m04を跳んだオマー・クラドックだった。

男子棒高跳は、サム・ケンドリクスが5m81を1回でクリアして快勝した。2度の世界王座に君臨したケンドリクスの戦地はブレイデントン。この日は好調で、5m36、46、56、66といずれも一発クリア。次の5m76では、風の状態が変わったのが災いして、3回目での成功だった。
スウェーデンのカールスタッドに登場したピョートル・リゼクが5m66で2位。ヴァレンティン・ラヴィレニはNM。

女子棒高跳は、やはりブレイデントンで試技を行ったサンディ・モリスが、4m66で制した。スウェーデンのアンジェリカ・ベングトソンがカールスタッドで4m46を跳び2位。ウォルナットに登場したカテリナ・ステファニディは、男子のV.ラヴィレニと同様記録なしに終わった。

(ボブ・ラムザック:記)

今夜、DL第2戦チューリッヒ大会



2020DLZurich01


2020年の『WANDAダイヤモンドリーグ』第2戦チューリッヒ大会「インスピレーション・ゲームズ」が、日本時間の10日午前3時から行われます。
大会HPがドイツ語版だったりするのでなかなか正確に読解できないのですが、どうも今大会は世界の7会場を結んでのリモート・コンペティションとして行われるもののようです。男女4種目ずつがすべて「チーム・ワールド」「チーム北米」「チーム欧州」の3チームによる対抗戦形式で競われます。まずは、エントリー・リストをご覧ください。

2020DLZurich00

※女子300mHのD.ムハンマドは最新のリストでG.モリーンに変更

右端の欄が、その選手が競技する会場です。各チームの“代表”はいずれも錚々たる世界のスーパースターで、そうした選手たちの元気な近況が垣間見れるだけでも意義深い大会となりそうです。
特殊種目が多い中、男女の棒高跳と男子200m・三段跳は、トップ選手たちによるガチ対決?…長いブランク明けではあっても、トッププロたちの競技力がナマっていないことは前回のオスロ大会でも実証済みですから、記録的にも楽しみなものがあります。アリソン・フェリックスとショーナ・ミラー=ウィボの久々の対決や、エカテリナ・ステファニディとサンディ・モリス、クリスチャン・テイラーとペドロ・パブロ・ピチャルドの勝負など、ワクワクしますね。

リモート・コンペティションがどんな雰囲気のものになるのか、できればLIVE配信をチェックしたいところなんですが、時間が時間なだけに、視聴できますかどうか…。昨年までのG+の中継があれば、留守録でチェックできるんですけどね。

2018シーズンのここまで~国際編


更新をサボってる間にすっかり夏になりました。(今日は台風の影響で肌寒い一日ですけど)
そうこうするうちに日本選手権も、同時期に全米ほか世界各国で開催されていた国内選手権も終わり、いつもなら詳細なレポートを書いているのにと忸怩たる思いです。第1戦・網走大会が行われた『ホクレン・ディスタンスチャレンジ2018』の模様なども書きたいところですが…。
『IAAFダイヤモンドリーグ』も、折り返しを過ぎて第8戦のローザンヌ大会までが終ったところです。今回は、そのDLの話題を中心に、今年の陸上界・国際情勢について簡単にまとめてお茶を濁したいと思います。

◇驚異のニューカマー:男子400mH・A.サンバ
まず、今季最も陸上界を席巻している存在として、男子400mHのアブデルラーマン・サンバ(QAT)を挙げておきましょう。
DL第1戦のドーハ大会を47秒57のPBで勝った時には「地元の利か」程度に受け止めていたのですが、その後の快進撃についてはご承知のとおりです。6月30日のパリ大会では、とうとう世界で2人目となる46秒台の世界へと突入してしまいました。
今年はDLの前半戦にこの種目が連続して組み込まれており、昨日のローザンヌ大会までに6戦を消化してあとはファイナルを残すのみとなっています。全戦に出場したサンバは、全勝で48ポイントを獲得。
※今季のDLは昨年と同様、各種目4~6戦の合計ポイント上位8名または12名がチューリッヒまたはブリュッセルで行われる「ファイナル」に進出し、そこでの優勝者が年間ツアー・チャンピオンとなります。

サンバの強烈な台頭の影響をモロに被ったのが、昨年躍進して世界王者にまで上り詰めたK.ワルホルム(NOR)。全6戦中、5回まで直接対決してそのたびに直線でサンバに水を空けられるという屈辱の連続で、自身もPBを47秒41にまで上げながら、今のところまったく歯が立ちません。
この他ではY.コペリョ(TUR)が3位の常連ながら記録は48秒台と、サンバ・ワルホルムにはちょっと差を付けられています。パリ大会でワルホルムに先着したK.マクマスター(IVB)は次のローザンヌで故障発生でした。K.クレメント、B.ジャクソン(ともにUSA)といった過去のスターたちは、外側のレーンに追いやられる存在となってしまっています。

さて、サンバ一色に塗り潰されているかのように見える男子ヨンパーですが、実は今季の世界ランク2位にいるのがライ・ベンジャミン(ANT)という選手。6月8日にマークしたタイムは何と47秒02!サンバとは0.04秒の差しかありません。
南カリフォルニア大学の学生ベンジャミンは、パリ大会で初めてDLに参戦しましたがこの時の種目は200m、しかもポイント対象外レース。ここで19秒99といきなりPBを大幅に破り、続くローザンヌでも4位に食い込んで初ポイントをゲット、只者ではない存在感を示しました。
いまだ400mHでのDL出場はなく、したがってファイナルの出場権もありませんので、サンバとの直接対決は来年まで見られそうにありません。今年は世界大会がないのが、何とも残念!せいぜい、来月のアジア大会でサンバの雄姿を堪能しようと思います。
来年の世界選手権では、この22歳と20歳(現在)の超新星どうしの、“世紀の対決”が見られることを楽しみにしましょう。もちろん、サンバと同じ22歳のワルホルムの巻き返しにも期待です。

◇“ネクスト・ボルト”は誰だ??
昨年引退したウサイン・ボルト(JAM)に代わる男子スプリント界のニュー・ヒーローとして、その候補者が続々と名乗りを挙げています。
その筆頭は、2年前のU-20世界選手権100m優勝のノア・ライルズ(USA)。200mで2度にわたり19秒69、100mでも全米選手権で9秒88と、いずれもWLタイ記録です。
対抗するのが、100mではDL2戦2勝のロニー・ベイカー(USA)。パリ大会ではライルズに並ぶWLの9秒88で走り、対象外レースのユージーン大会では追風参考(+2.4)で9秒78。
200mでは先に紹介したベンジャミンの同僚、マイケル・ノーマン(USA)、こちらは2016年U-20の200m優勝者ですが、パリ大会(対象外)に19秒84(-0.6)のPBで鮮烈なDLデビューを果たしました。
ただ、ベイカーは全米で、ノーマンはDLローザンヌでライルズの後塵を拝しており、今のところ“ネクスト・ボルト争い”はライルズが一歩リードの感ありです。

スプリント界で特筆すべきは、日本短距離界最大のライバル、中国勢の大躍進です。
スー・ビンチャンが2度にわたって9秒91のアジア・タイ記録を叩き出しただけでなく、シェ・チェンイェも9秒97、200mではGG大阪で20秒16を出して日本勢を圧倒しました。
スーはもはや、「9秒台」に浮かれる日本スプリント界を差し置いて一段上のステージに上がってしまった感じですし、シェの200mでの強さはリレーを考えた場合の脅威です。アジア大会の両種目では大きな壁となって立ちはだかるだけでなく、もう2枚、駒が揃ってくると400mリレーも安泰とは言えなくなってくるかもしれません。


◇女子短距離は戦国時代か?

男子の短距離は新旧交代真っ最中の混沌状態ですが、一方の女子はというと、去年までの“女王”に精彩がなく、下剋上の戦乱模様といった様相です。
本来「2強」的存在だったエレイン・トンプソン(JAM)、ダフネ・スキッパーズ(NDL)ともに元気なく、代わってシーズン序盤の主導権を握ったのがマリー・ジョゼ・タルーとミュリエル・アウレのコートジボアール・コンビでした。特に昨年まで4、5番手の位置にいたタルーは100、200ともに安定したパフォーマンスで勝利を重ね、今季の“女王”と呼べる存在に近づきつつあります。
ただ、ここへ来てディナ・アッシャー-スミス(GBR)が調子を上げてストックホルムではDL初勝利を挙げ、タイムも10秒92でランキング5位と、トップを伺う勢い。またDL未参戦ながら全米を制したアライア・ホッブス(USA)が10秒90を筆頭に10秒台を7回もマーク、これも不調のトリ・ボウイに代わるアメリカのエースとして台頭してきています。

全般的に、今季の女子短距離は主役不在の戦国時代に入っているようです。

ロング・スプリントの方では、これまた主役を演じるはずのショーナ・ミラー-ウィボ(BAH)が200、400ともに1回ずつしかDL出場がなく(いずれも優勝)、400mではそのミラーがゴール前に急失速して波乱となったロンドン世界選手権で2位に飛び込んできたサルワ・エイド・ナセル(BRN)がDLで連戦連勝。ロンドンで金メダルに輝いたフィリス・フランシス(USA)をまったく寄せ付けない強さを発揮しています。
男子400mHのサンバとともに、アジア勢としては今季最も注目されている新星ということになります。

◇男子LJにも超新星現る!
昨年の世界選手権で男子走幅跳チャンピオンに躍り出たルヴォ・マニョンガ(RSA)。今季も8m56、8m58とハイレベルな記録でDLを連勝し、いよいよマニョンガ時代の到来かと思わせていた矢先、ローマ大会でそのマニョンガに5㎝差に迫ったファン・ミゲル・エチェヴァリア(CUB)が、ストックホルム大会で+2.1mの追風参考ながら8m83の大記録でマニョンガを破って優勝、一気に主役の座を奪ってしまいました。
さらにエチェバリアは、ストックホルムの3日後にはチェコで8m60(+1.0)、30日にはドイツで8m68(+1.7)と相次いでPBを更新。1か月後にようやく20歳となる若者が、かつて1990年代に世界記録を脅かし続けたイヴァン・ペドロソ(CUB)の再来と言われるまでの存在になりました。
遂に、積年の夢であった「9m」への扉が開かれる時が近いのか…久しく低レベルな優勝争いが続いてきた男子走幅跳ですが、今やまったく目が離せない大注目種目です。

(つづく)



ーー2018IAAFダイヤモンドリーグ日程ーー

 5/4 ドーハ大会「ドーハ・ダイヤモンドリーグ」 (QAT)
 5/12 上海大会 (CHN)
 5/25-26 ユージーン大会「プレフォンテイン・クラシック」 (USA)
 5/31 ローマ大会「ゴールデン・ガラ ピエトロ・メンネア記念」(ITA)
 6/7 オスロ大会「ビスレット・ゲームズ」 (NOR)
 6/10 ストックホルム大会「バウハウス・ガラン」 (SWE)
 6/30 パリ大会「ミーティング・ド・パリ」 (FRA)
 7/5 ローザンヌ大会「アスレティシマ」 (SUI)
 7/13 ラバト大会「モハメド4世記念陸上」 (MAR)
 7/19 モナコ大会「ヘラクレス」 (MON)
 7/21-22 ロンドン大会「ミュラー・アニバーサリー」 (GBR)
 8/18 バーミンガム大会「ミュラー・グランプリ」 (GBR)
 8/29 チューリッヒ大会「ヴェルトクラッセ・チューリッヒ」 (SUI)
 8/30 ブリュッセル大会「AGヴァン-ダム記念」 (BEL)

開幕から好記録連発!~DLドーハ大会


2018年のIAAFダイヤモンドリーグ(DL)がいよいよ開幕、オリンピックも世界選手権もない中間年に世界の陸上界はどう動くか、注目のシリーズがスタートしました。

まず、女子円盤投の女帝、サンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)がPBにあと3㎝と迫る71m38の大投擲で相変わらずの無敵ぶりを発揮すると、男子やり投では昨年来しのぎを削るトマス・レーラーとヨハネス・フェテル、さらにはアンドレアス・ホフマンを加えたドイツ勢3人で90mスローの競演。
ここ2年間、クリスチャン・テイラー(USA)の独擅場が続いてきた男子三段跳では、ペドロ・ピチャルド(CUB)が 久々に18mラインを脅かす大ジャンプを繰り出し、すぐさまテイラーもこれに迫って3年前の開幕戦を思い出させるハイレベルなマッチレースを展開。

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 400mHのリーダーに躍り出た22歳のサンバ

トラックでは、400mHの新星アブデルラーマン・サンバ(QAT)が47秒57のカタール新記録でカーロン・クレメントやバーショーン・ジャクソン(ともにUSA)らの旧勢力をぶっちぎり、地元の大喝采を浴びました。

女子100mには、リオ2冠のエレイン・トンプソン(JAM)に世界選手権200m連覇のダフネ・スキッパーズ(NDL)、今季室内シーズンから好調のマリー・ジョゼ・タルーにミリエル・アウレ(ともにCIV)、LJとの二刀流ブレッシング・オカグバレ(NGR)と役者が揃いました。レースはタルーが中盤から抜け出し、10秒85(+1.5)はこれまたPBにして今季世界最高。トンプソンは3着ながら10秒93とまずまずながら、スキッパーズはいいところなく、今季この種目は今回不参加のアメリカ勢を絡めて、大混戦となりそうです。


「ポスト・ボルト」が注目された男子200mでは、2年前のU-20世界選手権100mチャンピオンのノア・ライルズ(USA)が19秒83(+1.3)のPBで快勝、調子の上がらないラミル・グリエフ(TUR)やアンドレ・ドグラス(CAN)を置き去りにしました。



好記録にはなりませんでしたがレースとして面白かったのは女子の100mHです。

一昨年の世界新記録と無敵状態から昨年は今一つパッとしなかったケニ・ハリソンをはじめ、アメリカのハードル・スターがズラリと勢ぞろい。中でも注目は、ドーピングに関する規則違反で昨シーズン出場停止を食らっていたリオ女王のブライアナ・マクニール(旧姓:ローリンズ)。復帰するや否や12秒43のWLを叩き出していましたが、終盤ハードリングを乱してハリソンに差されてしまいました。
それにしても、WRホルダーと五輪女王の、ハードリング・フォームも好対照な二人の対決は、さらには世界女王サリー・ピアソン(AUS)も交えて何度も見たいものです。

さて、DLがCS放送で全戦生中継されるようになって数年、毎年チーム(スポーツ・メーカー)のユニフォームがどう変わるのかを見るのが、開幕戦のお楽しみです。
圧倒的な選手数を誇るNIKE軍団は、今季は渋い深緑系。昨年のロンドン世界選手権チャンピオンだけは、ロゴ以外は純白で、ひときわ目立ちます。
そんなチャンピオン・ユニの選手たちの中で、浮かない表情が何度も画面に映し出されたのが女子棒高跳のカテリナ・ステファニディ(GRE)。
昨季無敗で19連勝を続けてきた堅実無比のボウルターが、どうも助走を狂わせている様子で、身体が上がらない跳躍が続きました。3月の室内世界選手権に続いてライバルのサンディ・モリス(USA)と競ることもなく完敗、久々に復活してきた同国の先輩にして2015年のDLチャンピオン、ニコレッタ・キリアポウロウにも上回られ、5位に終ったのは少々深刻です。
ま、私的にはヒイキのモリスが勝って、万々歳なんですけどね…。
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PBとなる5m01に失敗して余裕の苦笑いのモリスと、片隅で黄昏るステファニディ

漸13種目中種目で今季世界最高記録が誕生した今大会のクライマックスを演じたのは、地元のスーパースター、ムタズ・エッサ・バルシム(QAT)。
例によって駆け引きなしに、バーがかけられて順番が回ってくるからにはパスすることなく次々とクリアしていく、その段階から一人異次元の高さを空中遊泳する圧巻のパフォーマンスです。最後は食い下がったエディン・ガザル(SYR)を振り切ると一気に2m40に上げ、これを一発でクリアすると、マットに直立しながらビブを引きちぎるお得意のガッツポーズを決めて見せました。
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昨年まで5年連続で達成してきた2m40超えを第1戦で早くも達成、かつてのライバルたちが次々と凋落していく中で、今季はバルシムの一人劇場となりそうな雰囲気です。

なお、今季DLは昨季同様、第13戦までの順位ポイントの累計で、上位8名(種目により12名)が第14戦・15戦に振り分けられる各種目ファイナルへの出場権を獲得、そこでの勝者がシリーズ・チャンピオンとなる方式で行われます。
以下に、ドーハ大会の3位までのリザルト(DL対象種目のみ)を掲載しておきます。

<男子>
◇200m(+1.3)
 ① 19"83 ノア・ライルズ USA ※MR/PB
 ② 19"99 ジェリーム・リチャーズ TTO
 ③ 20"11 ラミル・グリエフ TUR

◇400m
 ① 43"87 スティーヴン・ガーディナー BAH ※WL/MR/NR
 ② 44"50 アブダレル・ハロウン QAT
 ③ 44"92 アイザック・マクワラ BOT

◇800m
 ① 1'45"21 エマニュエル・コリル KEN
 ② 1'45"60 エリジャ・マナンゴイ KEN
 ③ 1'46"51 ニコラス・キプコエチ KEN

◇400mH
 ① 47"57 アブデルラーマン・サンバ QAT ※WL/DLR/MR/NR
 ② 49"08 バーショーン・ジャクソン USA
 ③ 49"46 カイロン・マクマスター IVB

◇走高跳
 ① 2m40 ムタズ・エッサ・バルシム QAT ※WL
 ② 2m33 メイド・エディン・ガザル SYR
 ③ 2m30 ドナルド・トーマス BAH

◇三段跳
 ① 17m95 ペドロ・パブロ・ピチャルド CUB ※WL
 ② 17m81 クリスチャン・テイラー USA
 ③ 17m21 アレクシス・コペリョ AZE

◇やり投
 ① 91m78 トマス・レーラー GER
 ② 91m56 ヨハネス・フェテル GER
 ③ 90m08 アンドレアス・ホフマン GER

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<女子>

◇100m(+1.5)
 ① 10"85 マリー・ジョゼ・タルー CIV ※WL/PB
 ② 10"90 ブレッシング・オカグバレ NGR
 ③ 10"93 エレイン・トンプソン JAM

◇1500m
 ① 3'59"92 キャスター・セメンヤ RSA ※WL/NR
 ② 4'00"99 ネリ・ジェプコスゲイ KEN ※PB
 ③ 4'01"41 ハビタム・アレム ETH

◇3000m(5000mカテゴリ)
 ① 8'29"05 カロリン・キプキルイ KEN ※WL/PB
 ② 8'29"09 アグネス・ティロップ KEN ※PB
 ③ 8'30"51 ハイヴィン・キエン KEN ※PB

◇100mH(+0.5)
 ① 12"53 ケンドラ・ハリソン USA
 ② 12"58 ブライアナ・マクニール USA
 ③ 12"75 シャリカ・ネルビス USA

◇棒高跳
 ① 4m84 サンディ・モリス USA ※MR
 ② 4m64 ホーリー・ブラッドショー GBR
 ③ 4m64 ケイティ・ナジョッテ USA

◇円盤投
 ① 71m38 サンドラ・ペルコヴィッチ CRO ※WL/DLR/MR
 ② 66m82 ヤイメ・ペレス CUB
 ③ 63n80 デニア・カバジェロ CUB

DLチューリッヒ、5000mの死闘


遅くなってしまいましたが、24日(日本時間25日未明)に行われたDL第13戦・チューリッヒ大会の結果、 ファイナルを制してツアー・チャンピオンに輝いた選手16人を列挙しておきます。

男子100m チジンドゥ・ウジャ(GBR)
男子400m アイザック・マクワラ(BOT)
男子1500m ティモシー・チェルイヨト(KEN)
男子5000m モハメド・ファラー(GBR)
男子400mH カイロン・マクマスター(IVB)
男子走高跳 ムタズ・エッサ・バルシム(QAT)
男子棒高跳 サム・ケンドリクス(USA)
男子走幅跳 ルヴォ・マニョンガ(RSA)
男子やり投 ヤクブ・ヴァドレイヒ(CZE)

女子200m ショーナ・ミラー‐ウィボ(BAH)
女子800m キャスター・セメンヤ(RSA)
女子3000mSC ルース・ジェベト(BRN)
女子100mH サリー・ピアソン(AUS)
女子400mH ズザナ・ヘイノヴァ(CZE)
女子三段跳 オルガ・リパコワ(KAZ)
女子砲丸投 ゴン・リージャオ(CHN)
女子やり投 バルボラ・シュポタコヴァ(CZE)

今季のDLは12戦までのポイント上位者によるファイナル一発勝負ということで、世界選手権などの決勝と同じような緊迫感で各種目が争われました。
特に、事前に「注目種目」として挙げた女子3000mSC、男子5000mでは、期待に違わぬ好レースが展開され、世界記録保持者のジェベト、おそらくトラック最終レースとなるモー・ファラーが、それぞれ世界選手権の雪辱を果たしました。

◇女子3000mSC
①ルース・ジェベト(BRN) 8’55”29(WL)
②ベアトリス・チェプコエチ(KEN) 8’59”84(PB)
③ノラ・ジェルト・タヌイ(KEN) 9’05”31(PB)
④エマ・コバーン(USA) 9’14”81
⑤ハイヴィン・キエン(KEN) 9’14”93
⑧セリフィン・チェスポル(KEN) 9’17”56

今季は昨年のような圧倒的な走力差で後続をぶっちぎるレースがなかなかできずにいたジェベトが、最終戦でようやく本来のロングスパートを爆発させました。中盤ですでにペースメーカーを追い抜くと、追走できたのはロンドンでお騒がせのチェプコエチただ一人。そのチェプコエチもラスト1周で徐々に水を空けられて、ジェベトの独り舞台になりました。タイムは自身の世界記録に次ぐセカンド・ベスト。今のところ、このタイムで走られては誰もジェベトには敵いません。
チェプコエチは未だ無冠ながら、この日のレースで「ちゃんと走れば」ハードリングの上手さといい、安定した走力といい、来季の本命に挙げてもよさそうな資質を見せています。タイムは、史上4人目となる8分台突入の立派なものでした。
「5強」の間に割って入ってきたタヌイも、来季要注意です。この種目をますます面白くしてくれる存在になるでしょうか?
ロンドン優勝のコバーンは、調整レースとして出場した前回バーミンガム大会の3000mでも上位のスピードに付いて行けない状態で、明らかに調子は下降気味。この日も優勝争いに絡む位置には付くことができず、それでも持ち前の粘りで4位にまで押し上げてきたのはさすがでした。

◇男子5000m
①モハメド・ファラー(GBR) 13’06”05
②ムクタル・エドリス(ETH) 13’06”09
③ヨミフ・ケジェルチャ(ETH) 13’06”19
④セレモン・バレガ(ETH) 13’07”35
⑤モハンメド・アーメド(CAN) 13’10”26
-ポール・チェリモ(USA) DQ
42

ロンドン世界選手権の上位6人が、再び大激闘。ただこの日のファラーは、「包囲網」を避けるかのように終盤は前、前でレースを進め、極力プレッシャーのない位置をキープし続けたことが、勝因になったようです。
それでもPMが外れてペースダウンした末のラスト1周は誰が勝つか予断を許さない高速の大混戦。第3コーナーでケジェルチャが逃げるファラーを捕まえにかかる、ファラーが抜かせない、という局面の時、さらに外側を伺ったエドリスとケジェルチャが接触。力づくでケジェルチャの頭を抑えたファラーにはかなりのダメージが残ったと見えただけに、この僚友どうしの接触は結果的に痛恨となりました。
ファラーか、エドリスか、というその狭い間をスルスルと上がってきたチェリモが掻き分けるようにして、さらに大外を巻き返したケジェルチャも重なって、4人がもつれ合うようにゴール。まさに、死闘でしたね。
ファラーとダイビング・フィニッシュの形となったエドリスの差は僅かに100分の3秒。エドリスと同タイムでいったん2位と表示されたチェリモは、後に両手でファラーとエドリスの腕を文字どおり「掻き分けた」インターフェアを取られて失格となりました。

ラスト1周であの位置ならば、ファラーの勝利はもはや既定事実となるような展開。それがあれほどの混戦となったのは、ファラーの力の衰えというよりも、こと5000mに関する限りはライバルたちの追い上げがそこまで来ていた、ということのように思えます。世界選手権でのエドリスの勝利は、まったく実力勝ちだったと言えるでしょう。ファラーにすれば、絶好のタイミングでラスト・レースを見事に締めくくった、ということになると思います。

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その他の種目では、ロンドンに続く頂上決戦が期待された女子三段跳でちょっとした波乱。
「2強」のカテリン・イバルグエン(COL)とユリマール・ロハス(VEN)が揃って14m中盤の低調な記録に喘ぐ隙を衝いて、2012年オリンピックと同年のDL以来のビッグタイトルとなるリパコワが漁夫の利を攫ってしまいました。
またケニ・ハリソン不在の女子100mHはロンドンに続いてサリー・ピアソンが勝ち、400mHでは全米以降パッとしないダリラ・ムハマド(USA)を抑えてズザナ・ヘイノヴァが優勝。ベテラン女子勢が気を吐いた大会となりました。
波乱といえば、男子やり投のドイツ90mコンビをまとめて破ったのがヤクブ・ヴァドレイヒ。とはいえ昨年も最終戦で大逆転優勝を飾っていますから、狙っていたV2でしょう。
女子200mでは大本命のエレイン・トンプソン(JAM)、世界選手権連覇のダフネ・スキッパーズ(NED)、絶好調マリー‐ジョゼ・タルー(CIV)を制してショーナ・ミラー‐ウィボが21秒88の好タイムで快勝。DLでは珍しい「2種目制覇」に王手をかけました。

残りの16種目は、9月1日(日本時間2日未明)に行われるブリュッセル大会でファイナル・ゲームが行われます。三段跳クリスチャン・テイラーや5000mアルマズ・アヤナの世界記録挑戦、女子1500mや走幅跳での世界選手権リマッチ、チューリッヒでも非DL種目で接戦を演じた女子棒高跳の頂上決戦などに期待しています。

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