豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

スー・ビンチャン

ガトリンまた惨敗~DLユージーンは波乱続出


IAAFダイヤモンドリーグ第3戦のユージーン大会『プレフォンテイン・クラシック』が27日(日本時間28日早朝)に行われました。

大会名となっているプレフォンテインとは、1970年代に地元オレゴン大学のヒーローとして一世を風靡したスティーヴ・プレフォンテインから採られています。彼は1972年のミュンヘン・オリンピック5000mで4位と健闘したもののメダリストではなく、10000との2種目で優勝したラッセ・ヴィレン(FIN)やマラソン金メダルのフランク・ショーター(USA)に比べれば世界的にはさほど名のある選手ではありませんでしたが、常にフロントランナーとしてぐいぐいレースを引っ張るスタイルで、国内では大変な人気を博しました。ミュンヘンの3年後に交通事故のため24歳で夭折し、その名はこの大会の冠となって、世界最高峰のワールドツアーの一つに残されているのです。

この大会の名物種目となっている「バウアーマン・マイル・レース」(ロナルド・ケモイが優勝)に名を残しているビル・バウアーマンは、プレフォンテインを育てた陸上競技のヘッドコーチであり、ナイキの創業者の一人として知られる人物です。
さらに、バウアーマンの恩師であるビル・ヘイワードは、この大会の会場であるオレゴン大学グラウンドに「ヘイワード・フィールド」という名を残しています。
いわば、3代にわたる師弟関係の物語が、この大会を由緒あるものに仕立て上げているわけですね。
2021年には、この場所で世界選手権が開催される予定です。現在最大で20000人程度を収容できるに過ぎない、日本の大学のグラウンドと同じような空の開けたスタジアムが、どのように変貌していくのかが興味深いところです。

また、この大会で特徴的なものが、選手が装着しているビブスです。
通常ビブス(ナンバーカード)は、固めの化繊布や防水コーティングした紙製のもので、安全ピンもしくはボタンクリップでランニングウェアに装着します。ところがこの大会に限っては、少し小さめのカード(番号はなくPREの3文字とナイキのシンボルロゴ、個人名のみ)が、まるであらかじめ選手のユニフォームにプリントされているかのように、ピタッと貼り付いているのです。
トラックの出場者でも、走高跳の選手のように前面だけの装着。したがって、この大会では選手のIDナンバーはありません。(腰ナンバーのみ)
考えてみれば、ナイキのお膝元ですから、そうした「大会ロゴと個人名をあらかじめプリントしたウエア」を契約選手全員に配布するくらいのことは簡単にできるでしょうが、少数派とはいえ他社契約選手やナショナル・ユニフォームでの参加選手には、そういうわけにもいきません。
テレビの画面越しによくよく見れば、どうやらウエアと同調する程度に柔軟な素材の布製で、ぴったりと貼り付けられているらしいことが伺えます。というか、そう解釈するほかありません。
それにしても、今どきの材質のウエアにあれほど密着して貼り付くとはどんな接着剤を使っているのか、またどの選手も綺麗に身体の真ん中に曲がることなく装着しているのはいかなるわけか、とても不思議です。

まあ。そうした大会にまつわる付加的なあれこれに思いを巡らせながらTV中継を視ているうちに、ふと気付くと随分な割合で大番狂わせが起こっていました。


オープニング・レースの女子400mHでは、昨年全米予選からリオ・オリンピックまで見事なシンデレラ・ストーリーを築いたダリラ・ムハマドが中盤からガタッとペースダウンし、5着に敗退。優勝は五輪3位のアシュリー・スペンサー(USA)。2着には前半飛ばしたシャミーア・リトルが粘りました。リトルはトレードマークのオヤジ眼鏡とおバカ・リボンをマイナーチェンジして、少し雰囲気が落ち着きましたね。ムハマドもロングヘアを束ねて、大人の雰囲気にイメチェンです。


ケニ・ハリソン、ブライアナ・ローリンズの2大女王が不在の女子100mHは、昨年鳴かず飛ばずだったジャスミン・ストワーズ(USA)が12秒59(+0.8)で快勝。キャスリン、アリの両メダリストは6着・7着に沈みました。

主役を200mの方に持って行かれながらもキャンベル‐ブラウン、アウレ、アイー、フェイシー、バートレッタといいメンバーの揃った女子100m(ポイント対象外)は、モロレイク・オカイノサン(USA)が大穴の優勝。記録は+2.1で10秒94。

そして男子100mでは、アメリカの23歳ロニー・ベイカーが9秒86(+2.4)で優勝。川崎で日本勢の後塵を拝したスー・ビンチャン(CHN)が9秒92で続き、公認の風速ならばPBを更新していたでしょう。
アンドレ・デグラス(CAN)は4着、第1戦ドーハで惨敗していたジャスティン・ガトリンはまたもや5着といいところなし。例年、DLでは絶対的な強さを見せつけながら本番の世界選手権やオリンピックでボルトの壁に敗れ続けてきたガトリンが、今季はスロー調整で8月のロンドンに合わせている過程なのか、それとも年齢的な衰えか、一過性の不調か、まだ判断はつきません。

さらに、この日のメインイベントと言ってもよい豪華メンバーによる女子200m。昨年のユージーンでもトンプソン、スキッパーズの2強をまとめてぶっ倒したトリ・ボウイが、今度は21秒77(+1.5)のPBで文句なしの快勝。400mチャンピオンの“ダイビング・フィニッシュ”ショーナ・ミラー‐ウイボが大外から2着に突っ込んで、「2強」は3着・4着と形無しでした。

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 女子200mの1・2着はAdidas勢。

フィールドでも、女子走高跳はオリンピック・チャンピオンのルース・ベイティア(ESP)が4位に敗れ、2m03というハイレベルなレコードで勝ったのはマリア・ラジツケネ(旧姓クチナ。現在IAAFに承認されていないロシアのため国名はANAと表記。何の略号なのかは分かりません)。北京世界選手権の優勝者ですから番狂わせでもないんですが、今年のロンドンには出場可能なんでしょうか?

とどめは最終種目のバウアーマン・マイル(DL1500mカテゴリ)でアスベル・キプロプ(KEN)がなんと完走選手中最下位に撃沈。リオでの惨敗から、立ち直りの兆候は見えません。

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中継はありませんでしたがユージーン大会は前日26日も一部種目が行われており、女子3000mSC(対象外)では世界記録保持者のルース・ジェベト(BRN)が3着と沈み、セリフィン・チェプティーク・チェスポル(KEN)が歴代2位の8分58秒78で優勝。ジェベトは昨年19歳でオリンピックと世界記録の頂点に立ちましたが、こちらはなんとまだ18歳。ジェベトも9分03秒で走っていますから決して不調だったわけでもなく、この種目が新たな局面に突入しっつあることを伺わせます。

また同じく26日に行われた女子5000mでは、ゲンゼベ・ディババが14分25秒22で圧勝。どうやら、今季は彼女の元気な走り、世界記録へのチャレンジが見られそうな予感です。

アプセット続きのトラックで無敵王者ぶりを発揮したのは、男子5000mのモー・ファラーと女子800mのキャスター・セメンヤ。ともに寸分の隙なし。
男子三段跳ではクリスチャン・テイラーが自己記録に迫る18m11(+0.8)のビッグジャンプで圧倒したかに見えながら、同門のウィル・クレイも18m05(+2.4)で追いすがり、リオに続く冷や汗ものの勝利となりました。

次回DLは6月9日のローマ大会。
桐生祥秀の次戦を「日本学生個人選手権か?」なんて書いてましたが、このDL第4戦にエントリーしているようです。楽しみですね。


桐生失格に茫然~DL第2戦・上海大会


いんやぁ…(と、つい石塚さんふうの溜息)
見事にスカされましたね、上海DL。
何度もビデオをコマ送りで見直してみましたが、フライングとは見えません。
桐生の手が地面を離れるのが他の選手よりも2コマ弱くらい(約0.05秒)早いから、やっぱりその分、早かったんでしょうかねえ。
コマ送りではむしろ分かりにくいんですけど、微妙にロッキングスタート(完全に制止せず身体を揺らすような構え)気味な動きが桐生にあったように見受けられます。これがフライングの正体だとすれば、修正は容易なんですが、自覚もなくなぜフライングをとられたかが分からないままだと、後々悪い影響を残しますよ。
先に明らかなフライングで失格となったイサイア・ヤング(USA)が、「観客の拍手に反応したんだ」と抗議していましたが、そうしたことが桐生にもあったのかもしれません。
前日練習では、土江コーチの叩く手の音に合わせて入念にスタートをチェックする様子が紹介されていました。そこが課題、とは十分に認識があった上での修正途上にあった、仕方がないと考えたいですね。(今後は、OMEGAとSEIKOの音だけに反応する訓練をしないと)
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なお、「フライング(フォールス・スタート)」については以前、「連載・100m競走を語ろう」⑥⑦⑧および番外編で詳しく解説していますんで、事情がよく分からないという方は参考にしてくださいね。
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/cat_172993.html?p=2

サニブラウンが「完全に集中が切れた」てなことをコメントしているようですが、むしろケンブリッジの走りがそんな感じでしたね。もともとスタートがいい方ではないとはいえ、中盤までの走りは何となく上の空な感じでした。完全に一人きりで走るような状況になってしまったことも、アンラッキーでした。
2017DL上海2

で、言ったとおり、スー・ビンチャンだったでしょう?
ロジャースだ、メイテだと言っても、シーズンインの試運転がまだ終わってないような連中よりも、ここに絞って仕上げているはずの地元のエースが、いちばん難敵だと思ったわけです。
それにしても、「どうやらフライングしたのは桐生らしい」という映像が映った途端に、大拍手をする中国人観客って…。
こうなったら、来週の『GG川崎』で、ぜがひでも山縣亮太に敵討ちをしてもらうしか、ないですね。

女子100mでのE.トンプソン(JAM)の快走や男子走幅跳L.マニョンガ(RSA)の8m61、女子5000mH.オビリ(KEN)の14分22秒67といった好記録、また昨年の今ごろを思い出させるD.ルディシャ(KEN)の惨敗ぶりなど、見どころもたくさんあった大会でしたが、今回は私も、意気消沈です。

サニブラウンもDL上海参戦!


IAAFダイヤモンドリーグ第2戦の上海大会は今週末13日に上海体育場で開催されます。
今季開幕から好調の桐生祥秀(東洋大)、ケンブリッジ飛鳥(NIKE)のエントリーで俄然注目度が高まっていた男子100mに、さらにサニブラウン・ハキーム(東京陸協)の追加参戦が決まりました。
当初出場を予定していたジャスティン・ガトリン(USA)がキャンセルしたための“空き枠”に、幸運にも滑り込んだものです。
2017DL上海

日本人選手以外は全員PB9秒台という状況は変わりありませんが、SBでは桐生の10秒04がトップ、アメリカでの3戦がすべて追風参考ながら10秒0台以下を連発しているケンブリッジも好調で、底知れぬ伸びしろを思わせるサニブラウンはPBを更新済み。まだエンジンが暖まりきっていない感のある各選手の中、好勝負が期待されます。何と言っても、地元の期待を一身に集めるスー・ビンチャンが最大のライバルとなるでしょう。

なお、このレースはDLポイント対象外レースとなります。
初戦のドーハで思わぬ惨敗を喫したガトリンは、次のDLレース(27日・ユージーン大会)へ向けて立て直しを図っての回避と見られ、21日の『GG川崎』にも出てくるかどうか、微妙なところだと思われます。

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