さて、1本1本がけっこう手間のかかる「連載」を2つも進行させていながらナンですが、そろそろリオの予想記事を書き始めないと、間に合わない。大会そのものは、もうサッカーから始まっちゃってますから。
陸上競技の開幕は、いよいよ1週間後…8月12日(金)の夜10時が、初日の放送開始時刻です。

Day1のプログラムは、次のとおり。


― MORNING SESSION ―
 *(9:30)男子円盤投・予選 *女子七種競技・100mH/HJ *女子砲丸投・予選 *男子800m・予選
 *(11:10)女子10000m・決勝 *女子100m予備予選 

 *(14:30)男子20kmW・決勝

― EVENING SESSION ―
 *(20:30)女子1500m・予選 *女子七種競技・SP/200m *女子ハンマー投・予選 *男子400m・予選
 *男子走幅跳・予選 *女子砲丸投・決勝 *(22:40)女子100m・予選


何ちうイレギュラーなプログラムでしょうか!
最初の決勝種目、女子10000が午前中って…!?
14時半スタートのロード種目ってのも、あまり見たことない。
で、夜のメインは女子100m予選?しかも7組終わる頃はほとんど真夜中…なんじゃこりゃ?

ソウル大会の陸上や北京大会の競泳が、アメリカのテレビ視聴の都合で決勝を午前中にやった、ってなお話を連載の中でしましたが、どうもそういうのとは違う事情なのでしょうね。(アメリカは時差少ないはずだし)
まあ、普段やり慣れない時間帯が競技に及ぼす影響とか考えても素人には分かりっこないので、気にせず展望を進めていくことにします。

◇女子七種競技

 15WC ①6669p J.エニス-ヒル(GBR) ②6554p B.テイセン-イートン(CAN)
③6516p L.イカウニーツェ・アドミディーニャ(LAT)
 16WL ①6745p テイセン-イートン ②6733p エニス-ヒル ③6626p アヌーク・フェテル(NED)
 ※WC=世界選手権 WL=シーズン・ランキング
  七種は該当しませんが、他に2015・16年のダイヤモンドリーグ順位を参考データとして掲載。
  日本選手が出場する場合は、ランキング最上位のみ掲載。(1か国4人目以降はランクより除外)

七種の100mHがトラックのオープニング・レースになるところは、レギュラーなプログラムなんですけどね。
イギリスのスーパーヒロイン、ジェシカ・エニス-ヒルの2連覇か、あるいはブリアン・テイセン-イートンがザトペック夫妻に次ぐ史上2組目の「夫婦金メダル」に王手をかけるか?

長丁場の混成競技にはどんなアクシデントが待ち構えるか、誰にも予測はできませんが、順当ならばこの「2強」のどちらかで堅そうですし、エニスの試合巧者ぶりに利がありそうです。今年度ランキングでのエニスの得点は、最初の100mHで13秒13もかかってのものですので、ここをロンドンの12秒54とまではいかなくても、そこそこにまとめておけば、かなり有利な展開となるでしょう。
楽しみな存在は、昨年世界選手権で得意の走幅跳を失敗して脱落したカタリナ・ジョンソン-トンプソン(GBR)。七種のランキングは14位ですが、DLロンドン大会では、HJでPB(1m95)、LJでも6m84を跳んでおり好調です。

Katarina Johnson-Thompson
https://www.iaaf.org/news/report/british-indoor-championships-johnson-thompson
※写真は各種目、私の個人的趣味を交えて選んどります。


◇男子800m

 15WC ① 1’45”85 D.ルディシャ(KEN) ② 1’46”08 A.クシュチョト(POL) ③ 1’46”30 A.トゥカ(BIH
 15DL   ① 16p./5 N.アモス(BOT) ② 10p./2 クシュチョト ③ 6p./2 トゥカ
 16DL   ① 30p./4 F.C.ロティッチ(KEN) ② 26p./3 P.A.ボス(FRA) ③ 10p./1 B.ビリアン(USA
 16WL  ① 1’43”35 ルディシャ ② 1’43”55 D.ブレイジャー(USA) ③ 1’43”73 A.キプケテル(KEN
    44 1’45”97 川元奬(スズキ浜松AC
 ※DL成績は「総計ポイント/試合数」で表記。15年と16年ではポイントの配分方式が異なります。 

史上最強とまで呼ばれた世界記録(1分40秒91)保持者デーヴィッド・ルディシャ(KEN)に今シーズン精彩がなく、DLではズルズルと下位に沈んでいく姿をさらし、ケニア選考会も辛うじて通過といったところ。かと言って誰が本命か、まったく予断を許さない混戦の様相です。まずは予選で、先月ようやくWLをマークするところまで来たルディシャの復調具合を確かめることにしましょう。
川元は正直なところ、準決勝進出は非常に厳しいですが、タイム的には自己記録あたりが予選通過ラインになると思われますので、自分のレースに徹するほかはありません。

◇女子10000m

 15WC ① 31’41”31 V.J.チェルイヨト ② 31’41”77 G.ブルカ(ETH) ③ 31’43”49 E.インフェルド(USA
 16WL  ① 30’07”00 A.アヤナ ② 30'26"94 A.A.ナウォヴナ(KEN) ③ 30’28”47 ブルカ
④ 30’28”53 T.ディババ(ETH) ⑧ 31'18"16 鈴木亜由子

5000の女王アルマズ・アヤナが10000とのダブル・タイトルを狙って国内予選を圧勝。差をつけられたとはいえゲレテ・ブルカ、テイルネッシュ・ディババも含めたエチオピアの「表彰台独占体制」は盤石のようです。言うまでもなく抵抗勢力となりそうなのは、アフリカ選手権を勝ったアリス・アプロット・ナウォヴナと世界女王のヴィヴィアン・チェルイヨトを擁するケニア勢。
日本の鈴木はランキングでは8位、関根花観も10位につけていますが、10000mはレース数が少ないためランク外からも予期せぬ選手が上位に飛び込んでくる可能性が大いにあります。それでも昨年から今年にかけての上昇度合いからすると、日本郵政ガールズに日本選手権以上の走りを期待してもよいかもしれません。
実力的に日本選手のライヴァルとなりそうなのがモリー・ハドルやエミリー・インフェルドらのアメリカ勢。この2人が出ていなかったパロ・アルトでアメリカ選手にことごとく勝っている鈴木にとっては、昨年銅のインフェルドあたりは与しやすい相手かもしれません。 

JAC39
 日本代表トリオに期待。


◇男子20kmW

 15WC ①1:19'14" M.A.ロペス(ESP) ②1:19'29" ワン・チン(CHN) ③1:19'57" B.ソーン(CAN)
 16WL ①1:18'26" 高橋英輝 ②1:18'45" 藤澤 勇 ③1:18'53" 松永大介

とうとう最後まで、日本代表トリオがランキング上位3人を独占するという前代未聞の状況で、本番を迎えることになってしまいました。この上にさらに、世界記録保持者の鈴木雄介がいるんですから、大したもんです。
とはいえ、5月にローマで行われた「世界競歩チーム選手権」では高橋が12位、藤澤は69位と惨敗しており、ワンツーと団体を中国勢に奪われたほか、カナダ、オーストラリア、スペイン、エクアドルといった「常連国」の選手たちに上位を占められています。日本男子は団体8位でした。
あくまでも、持ちタイムは高速レースになった場合の自信の拠り所、という程度に捉え、腰を落ち着けたチーム戦術で、「男子入賞第1号」を目指すレースに専念してもらいたいところです。

◇男子400m

 15WC 43”48 W.ヴァンニーケルク(RSA) ②43”65 メリット ③43”78 K.ジェームズ(GRN
 15DL  14p./4 ジェームズ ②11p./3 メリット ③10p./3 ヴァンニーケルク
 16DL  20p./2 メリット・ヴァンニーケルク ③17p./5 I.マクワラ(BOT) ⑥10p./1 ジェームズ
 16WL  43”97 メリット ②44”08 ジェームズ ③44”18 ヴァンニーケルク
32 45”35ウォルシュ・ジュリアン
ここ数年はキラニ・ジェームズとラショーン・メリットの「2強時代」が続き、ダイヤモンドリーグでも出場機会の多いこの両者が勝ったり負けたりを繰り返す、といった状況でしたが、そこへ昨年から割って入ってきたのが南アフリカのウェイド・ヴァンニーケルク。今年も400mでは負け知らず、そして100m9秒台・200m19秒台・400m43秒台を達成した史上唯一のスプリンターとして、名を馳せることになりました。

三つ巴の優勝争いながら、ずばり、本命はヴァンニーケルクでしょう。これに、ツェベ、マクワラの新旧ボツワナ・コンビやサウジアラビアのマスラヒなどがしのぎを削る決勝ラインに近づくことは、日の出の勢いのウォルシュ・ジュリアンと言えども容易なことではありません。
金丸祐三にはリレーにつながる走りの復活を期待したいと思いますが、調子が上がっていないとメンバーから弾かれてしまいかねないので、予選が正念場となります。
Wayde van Niekerk
https://www.iaaf.org/news/series/wayde-van-niekerk-400m-south-africa1

◇女子砲丸投

 15WC ①20m37 C.シュヴァニツ(GER) ②20m30 ゴン・リジャオ(CHN) ③19m76 M.カーター(USA)
 15DL ①26p./6 シュヴァニツ ②13p./5 カーター ③3p./2 A.マールトン(HUN)
 16DL ①36p./4 V.アダムズ(NZL) ②25p./4 T.ブルックス(USA) ③23p./5 マールトン
 16WL ①20m43 ゴン・リジャオ ②20m19 アダムズ ③20m17 シュヴァニツ

大会3連覇に挑むヴァレリー・アダムズは、産休明けの昨シーズンは18m台がベストとパッとしなかったものの、今年は着々と調子を上げて、先月には20m台に“復帰”してきました。ただ、ひと頃見せていたような圧倒的な力量差というものはなく、ややスリムになった外観は「普通の選手」といった印象でさえあります。
20m後半にまで伸ばせれば当面敵はいないでしょうが、3投目までそれ以下のところでもたつくようだと、誰が勝ってもおかしくない混戦模様となっていきます。
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◇女子100m

 15WC 10”76 S.A.フレイザー=プライス(JAM) ②10”81 D.スキッパーズ ③10”86 T.ボウイ(USA
 15DL  20p./4 フレイザープライス ②12p./4 B.オカグバレ(NGR) ③7p./4 ボウイ
 16DL  22p./3 スキッパーズ ②20p./2 E.トンプソン(JAM) ③16p./2 E.ガードナー(USA
 16WL  10”70 トンプソン ②10”74 ガ-ドナー ③10”78 M.アウレ(CIV)・T.バートレッタ(USA)・ボウイ

こちらも、トラックでは誰も成し遂げていないオリンピック3連覇に向けて、シェリー-アン・フレイザー-プライスが発進します。ただ、今季のシェリーアンは少々深刻な絶不調で、対するジャマイカの若手エレイン・トンプソンやアメリカのトリオなどがハイ・レヴェルなランキングを形成し、ダフネ・スキッパーズも虎視眈々と後半勝負を狙っているだけに、うかうかしていると決勝進出さえ取りこぼす可能性があります。
自ら経営する美容院仕込みのヘア・スタイルが世界選手権のように華やかならば上昇気配の証と見られますが、地味~な感じだとやや危険信号かも?ですね。
我らがヒロイン・福島千里は100mのSBが良くない(11秒38)のでランキングには載せませんでした(全選手中160位)が、出場選手のランキングからすると、ベスト24が11秒15あたりですので、世界選手権同様に日本記録(11秒21)の前後ならば十分予選突破は可能でしょう。決勝へ行くには10秒台が必要でしょうが…。
 Shelly-Ann Fraser-PRYCE
 これくらい“お花畑”してれば、心身ともに上昇気配と言えるでしょうが…
 (2015年世界選手権より)


Ivet Lalova-Collio
https://spikes.iaaf.org/post/did-you-know-ivet-lalova-collio?utm_source=iaaf.org&utm_medium=gridclick
 私の趣味ですいません。イヴェット・ラロワ-コリオ選手(BUL)です。