豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

シンディ・オフィリ

DLローザンヌ大会にK.ハリソン登場!



リオ・オリンピックの観戦記も最後の方は息切れしちゃったといいますか、男子ヨンケイの快挙を見て「もういいや」みたいになっちゃいまして、そのまま休憩状態になっておりました。
それも束の間、もう明日の深夜(26日未明)には、スイスはローザンヌでダイヤモンドリーグ(第12戦)が再開されます。
ローザンヌのプログラムは次のとおり(ダイヤモンドレースのみ抜粋。カッコ内は主なエントリー選手)


18:00 男子円盤投(ハルティング兄弟、マラホフスキー、ウルバネク、ミラノフ、カンテルなど)
19:05 女子やり投(ヴィルジョエン、シュポタコヴァ、アンドレイチェク、シュトール、オーべルクフェルなど)
19:15 女子砲丸投(カーター、アダムズ、マルトンなど)
19:40 女子三段跳(イバルゲン、リパコワ、マモナなど)
― ここからTV生中継 ―
20:05 男子棒高跳(ラヴィレニ、バーバー、ケンドリクスなど)
20:12 女子3000m(G.ディババ、オビリ、チェロノ、テフェリ、ブルカなど)
20:20 男子走高跳(バルシム、ボンダレンコ、グラバーツ、キナード、トーマスなど)
20:35 女子800m(ニヨンサバ、ワンブイ、ビショップ、シャープ、サムなど)
20:53 男子400m(メリット、マクワラ、サントス、マッケイなど)
21:00 女子走幅跳(バートレッタ、スパノヴィッチ、クリシナ、オカグバレなど)
21:02 男子3000mSC(B.キプルト、ビレチ、P.コエチなど)
21:16 女子100m(E.トンプソン、タ・ルー、キャンベル・ブラウンなど)
21:25 女子400mH(ムハマド、ペテルセン、スペンサー、リトルなど)
21:34 男子110mH(マクレオド、オルテガ、バスク、オリヴァーなど)
21:43 男子1000m(セントロヴィツ、スレイマン、キプロプ、ケモイなど)
21:52 男子200m(マルティナ、エドワードなど)

なんだか、オリンピック後半の種目が多いような気もしますが、金メダリスト、あるいは金銀銅が揃って出場する種目などもあり、非常に楽しみです。
オリンピックが「復帰戦」となった感のあるゲンゼベ・ディババが3000m(DLでは5000mのポイント・カテゴリー)に出場予定。5000の主役を完全にアルマズ・アヤナに奪われてしまいましたが、まずはこの種目でマー軍団最後の世界記録(ワン・ジュンシャの8分06秒11)更新へ向けて、小手調べというところ。

また非DLレースの男子400mHには、ベット、コエチ、ツムティのケニア・トリオが登場。(20:03)
男子100mは41歳キム・コリンズに注目。(20:26)
そして女子100mHには、リオの表彰台独占に歯噛みする思いだったアメリカ勢、世界記録保持者ケンドラ・ハリソンをはじめ、クィーン・ハリソン、ドーン・ハーパー-ネルソン、シャリカ・ネルヴィス、ジャスミン・ストワーズと代表漏れオールスターが揃って出場。シンディ・オフィリ(GBR)、ミーガン・シモンズ(JAM)を交えてこの日最大の注目レースとなりそうです。

放送は25日(木)26時45分(26日2時45分)からCS日テレG+でLIVE。(後日再放送あり)
日本国内では、早くも9月の全日本実業団対抗で山縣・飯塚・ケンブリッジの「200m対決」が話題になっています。
オリンピックが終わっても、陸上競技のトップシーズンは続きます。目が離せません!

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リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day6&展望



女子レスリングの大逆転金メダル3連発に沸いた大会第13日でしたが、今日14日目は、我が陸上競技(Day7)にとって「異常事態」発生です。
大事な大事な400mリレー予選や、野澤啓佑がもしかしたら進出していたかもしれない男子400mH決勝などがあるこの日のMorning Sessionが、どこを探してもTV放送予定がない!
そりゃ、伊調馨に続く吉田沙保里の4連覇がかかるレスリングや、バドミントンの準決勝・決勝は大事でしょうけど、それからテコンドーやトライアスロンなんかもありますけど、こんだけテレビのチャンネルがうじゃうじゃあるのに、まとまった録画放送の予定すらありません。まあ、リレーで決勝進出、てなことになればどこかの空き時間にやってくれるんでしょうけど、ヒドイ編成もあったもんですね。
日本人は誰も彼も、「メダル」と「女子」しか見たがらないという、スポーツ心のないテレビ関係者の思い上がった考え方が、露骨に出てしまった編成です。
しかたない、心ある陸上ファンは、せめてうるさくて下手くそな実況のないネット配信で、今夜の競技を楽しむことにしましょう。
RIO033
 日本陸連HPより http://www.jaaf.or.jp/taikai/1397/tvtimetable.pdf

昨夜と今朝のDay6では、まず男子やり投での新井涼平の見事な予選通過という嬉しい結果がありました。
少々順番を変えて、この話題からいきましょう。

◇男子やり投げ予選(通過記録83m00)
 15WC ①92m72J.イェゴ(KEN) ②88m99I.アブデルラーマン(EGY) ③87m64T.ピトカマキ(FIN)
 15DL ①17p/4 ピトカマキ ②15p/6 V.ヴェセリ(CZE) ③8p/4 K.ウォルコット(TTO)
 16DL ①30p/4 T.レーラー(GER) ②25p/4 アブデルラーマン ③20p/4 J.ヴァドレイヒ(CZE)
 16SB ①91m28 レーラー ②88m23 J.フェテル(GER)・A.ルースカネン(FIN)

RIO034

A組の1位が84m46(J.ヴェーバー=GER)、通過記録到達が4人と伸び悩んだのを受けて、B組1番手で登場した日本フィールド陣のエース・新井涼平。ラインぎりぎりで踏みとどまる気合の一投でイエローラインを大きく超え、84m16の一発通過を決めて見せました。
すぐ後の投順だったケショーン・ウォルコットが、トラックのスタートでしばし待たされながらも88m68SBの大投擲で続き、6番目のヨハネス・フェテル(GER)も85m96で新井を上回って、いやこの組はレヴェルが高いぞ、と思いましたが、その後は続かず。
結局3回目までの通過記録到達は2人増えただけで、12位81m96までが決勝進出ラインということになりました。
ビッグネームではイハブ・アブデルラーマン(EGY)が大会直前にドーピングで消え、昨シーズン復調気配を見せていたテロ・ピトカマキ、また新井の好敵手的位置にいたスチュアート・ファルクハー(NZL)、ホアン・シフェン(TPE)などが予選で姿を消しましたが、おおむね実力者が勝ち残りました。決勝は昨年の世界選手権同様、83mを投げてもトップ8に行けるかどうかという、質の高い戦いになりそうです。
今季好調なのは、トマス・レーラーを筆頭にランキング4位までに3人入っているドイツ勢で、これに予選でビッグスローを見せたウォルコット、世界選手権覇者のジュリアス・イェゴ、ヴィテズラフ・ヴェセリー以下のチェコ勢3人、王国フィンランドからただ一人残ったアンティ・ルースカネンと、油断のならない面々が絡みます。
優勝、新井の順位ともに、まったく予測がつきません。4年前だって、ウォルコットが優勝するなんて誰一人思ってなかったでしょうしね。

◇男子3000mSC決勝
ケニアの内戦(?)、大御所エゼキエル・ケンボイと新世代のエース、コンセスラス・キプルトの対決は実にみどころ満載でしたが、ケンボイのスプリント力を知悉したキプルトが早めに勝負に出て快勝。ゴール前レースを捨ててしまったケンボイは3着で入線しましたが、後になって走路違反(水壕直後のコーナーを一瞬ショートカット)が発覚してDQとなってしまいました。1968年以降、ケニアが参加したオリンピックのこの種目で金メダル1人しか表彰台に送れないのは、これが2度目です。ケンボイはDQ裁定の下る前に、引退を表明しています。
キプルトの強さは別格として、ケンボイとのマッチレースに終盤まで絡んでいったエヴァン・ジャガー(USA)の底力もなかなかのもの。今後はぜひ、去年のDLパリ大会で最終障害で転倒して惜しくも逃した「7分台」を達成させてあげたいものです。
それにしても、中長距離各種目でのアメリカ勢の活躍はすごいですね。
 男子800m クレイトン・マーフィー3着
 男子5000m 2人決勝進出
 男子10000m ゲーレン・ラップ5着
 女子1500m ジェニファー・シンプソン3着、シャノン・ロウベリー4着
 女子5000m 2人決勝進出
 女子10000m モリー・ハドル6着
 女子3000mSC エマ・コバーン3着
 女子マラソン シャレーン・フラナガン6着、デジリー・リンデン7着
これ、もしケニアとエチオピアがいなければ空前のメダル・ラッシュってことになってますね。日本選手も大いに学ぶべきでしょう。

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◇女子走幅跳決勝

昨年の世界選手権ではブリトニー・リース(USA)の予選落ちによるタナボタ的な優勝のイメージがあったティアナ・バートレッタ(USA)が、今度はその世界選手権を3センチ上回る7m17のPBを跳んで、正真正銘の実力でリースをねじ伏せました。
私めが贔屓するイヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)は、どんな時でも6m80-90は外さない安定感はさすがの一言ながら、7m10を超える優勝争いになってしまうと分が悪かったですね。それでも、1回目6m95でリードし、5回目NRになる7m08でいったん2位に浮上したのは、素晴らしい戦いぶりでした。
ロシアからただ一人、それも予選の前日になってようやく出場を認められた(IAAFはプンプンだそうです)ダリア・クリシナは、美人選手としても世界的な人気がありますが、PB(7m05)に遠く及ばない記録で9位に終わり、お騒がせしたピットを3回跳んだだけで後にしました。

◇男子200m準決勝(3組2着+2)
3組でジャスティン・ガトリンとヨハン・ブレイクがマクラを並べて討ち死に。これで決勝が断然ラクになったウサイン・ボルト、自身のレースはその一つ前で、意外や100m3位のアンドレ・デグラス(CAN)に食い下がられ、「およ?お前さんなかなかやるなあ」といった表情で和やかに談笑(?)しながらゴールを駆け抜けたのが、印象的でした。前にも、練習仲間のリチャード・トンプソン(TTO)やZ.ヒューズ(GBR)との並走では、こんな光景を見たことがありましたね。
デグラスの躍進は目覚ましいものがありますが、決勝はボルトの独り舞台になりそうな予感です。
RIO030

◇女子200m決勝
「頂上決戦」は、エレイン・トンプソンの勝利。
1メートルほどの差をつけた完勝だったにも関わらず、リザルトを確認するまで信じられないといった表情のトンプソンは、カメラマン席の前で晴れやかなポーズをとることができないほどに疲労困憊の様子。そして自信満々だったのでしょう、脱いだスパイクを地面に叩きつけて悔しがったダフネ・スキッパーズ、それぞれの姿がレースの激しさを物語っていました。
RIO035

◇女子100mH決勝
主役不在のまま決勝まで大きな波乱もなく推移したこの種目、決勝も順当に、シーズンランキングのトップ3を占めるアメリカ勢が表彰台を独占し、一歩抜け出た感じでブライアナ・ローリンズが念願の金メダルを手中にしました。つくづくケンドラ・ハリソンのシャープな走りを見たかったとは思いますが、それはDL終盤戦でのお楽しみということで。
ところで、ティファニー・ポーターとシンディ・オフィリの美人姉妹が揃って決勝レースに進んだことは、放送席的には結構な話題になっていいことだと思ったんですけど、もしかして実況の富坂アナ氏、姉妹であることを知らなかったんでしょうかね?…どうも今大会のNHKアナはこと陸上競技に関する限り、ビブを見ないとかなりな有名選手でも名前が伝えられないなど、勉強不足が甚だしいです。
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◇Day7の展望
十種競技の後半・110mHは9時30分の開始。男子400mリレーは11時40分のスタートです。パソコンに齧りつきましょう!

400mリレー予選(2組3着+2)の日本チームは第2組、内から順にイギリス、オランダ、ジャマイカ、ドイツ、キューバ、日本、トリニダードトバゴ、ブラジル…なかなかタフな組になっちゃいましたね。
ジャマイカ、イギリスの2チームはしょうがないとして、今回これといった大ゴマのいないトリニダードトバゴとブラジルには何とか勝ちたいですね。ドイツやオランダに負けるようだと、危うし!です。走順は山縣-飯塚-桐生-ケンブリッジ、もしくは山縣-飯塚-高瀬-桐生というのが有力だと言われています。どちらにしても近年の日本チームとしては最高のメンバーですから、頑張ってほしい!

女子走高跳予選があります。ロシア不参加によってアンナ・チチェロワ、マリア・クチナという2強が消え、最も大きな影響を受けた種目になりました。代わって優勝のチャンスが舞い込んできたのが、今季WL(2m01)のショーンテ・ロウ(USA)、大ヴェテランのルース・ベイティア(ESP)、そしてお馴染みブランカ・ヴラシッチ(CRO)。七種を制して日の出の勢いのナフィサトウ・ティアム(BEL)も絡んでくると、相当な混戦模様のゲームとなりそうです。

夜の部は男子砲丸投、女子やり投、女子400mH、男子200mの各決勝と十種競技の決着。こちらは、何とか放送がありますのでお楽しみに。

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day5(展望も)

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陸上競技開始の1週間前から書き始めた「直前展望」が、Day5で止まったまんまになってしまって、スイマセン。
前にも書きましたように、私はオリンピック全部が大好物なもんですから、序盤はとうぜん競泳・柔道・体操などに熱中し、今もバドミントンに卓球に、自転車にレスリングにと大忙しです。テレビでやらない馬術とかボートとかも見てました。もうじきトライアスロンもあります。(グエン・ジョーゲンセンのランに、ぜひ注目してください!)
意外に時間のかかるこの記事、もういっぱいいっぱいで書いてますんでね、何とぞご理解を。
そういうわけで、Day6以降の「展望」については、日々の「観戦記」の中で要所要所に触れていきたいと思います。


◇女子5000m予選(2組5着+5)
RIO023

いやあ、上原美幸、見事な世界デビューでしたね!
スタート(一度仕切り直しがありましたが、上原がフライングしたわけではなくて、明らかにラインを踏んでいたエチオピアの選手を見咎めてのものと思われます)してすぐ飛び出し、200m34秒のダッシュを決めた上原が、大逃げを打つ展開。一時は集団との差が70mにも開き、「よし行け、プリティキャスト!(…分かる人にしか分からない)」と当方大興奮。
集団の中で翻弄されるよりは行けるところまで先頭を走る、同じ負けるなら目立って負けろ、というのが新谷仁美が日本女子長距離界に授けた遺産なのでしょうか、最近はこうした積極レースが目立ちます。にしても、ここまでの大逃げは初めて見ます。ただ、ラップタイムは75-76秒と遅く、いい記録を目指すとすれば5000なら72-73秒、10000なら73-74秒(まあ新谷でも74秒がやっとでしたが)が望まれるところです。
1000mを過ぎたあたりでいったんイギリス、アメリカの選手が追走を開始しようとしたら、すかさずジャン(TUR)やケニアの2人が「まだ早いわよ!」とばかりに叩いて出て、集団のペースを落としたのは面白い展開。おかげで、上原の逃げは3500mまで持ちこたえ、かなりの長時間楽しませてもらえました。

しかしながら、彼女の真骨頂はここから!こういう展開では、集団に吸収されるとそのままズルズル…というお決まりのパターンを思い描いていたら、意外にも粘るわ粘るわ、力の残っている限りは前を追い越さずにいられないといった感じで再び先頭を奪い返すなど、必死の抵抗を試みます。
いかんせん最後はトップ集団のスピードに置いて行かれたとはいえ、大きく離れることもなく、競り合っていたエチオピアのエシャネを最後はねじ伏せるように先着するという根性を見せてくれました。
素晴らしい!結果的に今日一番のレースを見せてもらえましたね。

2組の尾西美咲、鈴木亜由子はともに昨年の世界選手権で予選を突破していただけに期待が寄せられましたが、いつもの展開に策なし、といったレースになって、敗退です。
鈴木は大会直前に10000mをキャンセルする脚部不安があって、その影響を否定するコメントをしていましたけれども、痛みなどはないとしても調整に狂いが出たことは間違いなく、本来の力を出せずにオリンピックを終えたのは残念でした。
日本の長距離は、多くの競争相手を倒して代表になるのが一番苦労するところなので、せっかくのチャンスは大切にしなければなりません。マラソンとともに、日本選手が今一つ万全のコンディションでリオに臨めていないことが、少々気になります。


◇男子三段跳決勝
ご存知クリスチャン・テイラー(USA)が1回目の17m86であっさりと優勝を決めました。2位ウィル・クレイ(USA)との差は僅か10センチで、意外な僅差に少々浮かない顔。1回目から手拍子を要求し、大きな声を上げて跳躍に臨んでいたのは「6回目のテイラー」にしてはやや珍しい光景で、ピチャルド(CUB)のいない今回、それだけぶっちぎりの楽な展開での金メダルを狙っていたのでしょう。
お得意の6回目、面目躍如とばかりに18メートルラインを超えた着地に見えましたが、赤旗だったのは残念。


◇女子円盤投決勝
「鉄板」と思っていたサンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)が、予選で2回ファウルの後Qライン突破、決勝でも2回右のネットにぶち当てて絶体絶命のピンチに追い込まれました。3投目、「この一投」の集中力はさすがで、ややバランスを崩しながらも69m21の大投擲を繰り出し、結果的には2位以下に大差をつけはしたものの、その後の3回もすべてファウル。「絶対女王」の風格は影を潜めて終始おびえたような表情が目についたのは、オリンピックの魔物との戦いだったのでしょうか。
ゲーム前はノーマークだった一番投擲者メリナ・ロベール-ミションが66m73のナショナルレコードで銀メダル。この記録を超えられない3番手以下の記録が、かなり低調でした。



◇男子1500m予選(3組6着+6)
 15WC ①3'34"40A.キプロプ(KEN) ②3'34"63E.マナンゴイ(KEN) ③3'34"67A.イギデル(MAR)
 15DL ①17p/4 キプロプ ②10p/3 S.キプラガト(KEN) ③4p/1 マナンゴイ
 16DL ①31p/4 キプロプ ②28p/4 マナンゴイ ③10p/1 R.
ケモイ(KEN)
 16SB ①3'29"33 キプロプ ②3'30"49 ケモイ ③3'31"19マナンゴイ
この種目では、アズベル・キプロプという絶対王者がいて、スローペースの優勝争いだろうとペースメーカーつけての記録狙いだろうと、とにかく強い。強さの安定感でいけば、かつてのヒシャム・エルゲルージ(MAR)級ではないかという感じだったのですが、1か月前のモナコDLで惨敗してミソをつけたことから、予選の走りが注目されました。
1周目は後方で様子を伺い、700mでスルスルと前に出て、ラスト1周をぶっ飛ばす、いつものレースパターンでまずは楽勝。この相手では、調子を伺うところまでは行きませんでした。
同僚のマナンゴイ、ケモイ(小森コーポレーション)ではなかなかキプロプの牙城を崩すことはできなさそうですが、ロンドン王者のタオフィク・マクルフィー(ALG)に余裕を感じます。前回も優勝間違いなしと思われたキプロプが謎の失速をしたレースをものにしていますし、DL出場が少ないため直接対決もあまりなく、キプロプにとっては最も警戒する相手だと思われます。
今回男女とも中長距離各種目で健闘が目立つアメリカ勢からも、マシュー・セントロヴィッツのメダル獲りが注目されます。


◇女子100mH予選(6組3着+6)
 15WC ①12"57D.ウィリアムズ(JAM) ②12"59C.ロルダー(GER) ③12"66A.タライ(BLR)
 15
DL ①18p/4D.ハーパー-ネルソン(USA) ②14p/4S.ネルヴィス(USA) ③12p/4J.ストワーズ(USA)
 16DL ①40p/4K.ハリソン(USA) ②28p/4B.ローリンズ(USA) ③13p/4N.アリ(USA)
 16SB ①12"34 ローリンズ ②12"50 K.キャスト
リン(USA) ③12"55 アリ
何度も死んだ子の齢を数えるようですが、現役世界記録保持者でありDL4戦全勝のケニ・ハリソン(USA)のいないチャンピオンシップというのが、残念。ただ速いだけでなく抜群に安定したハードリングを見せていただけに、全米での敗退というのがいまだに信じられません。
代わって王国アメリカ代表になった3人が、出場選手ランキングの上位を独占。しかし、アメリカは昨年の世界選手権でも同じような状況で、しかもワイルドカードで4人出場という優位性を持っていたにも関わらず、一人も表彰台に立てないという結果に終わっています。(上記データの上から3段目までを見ると、すべて異なる名前がベスト3に入っていて、この種目の混沌ぶりを伺わせます。それを“統一”していたのが、今季のハリソンだったのです)

アメリカ3人は順調な立ち上がりを見せましたが、まぎれの多いこの種目で昨年と同じ轍を踏まないとは限りません。しかしWC女王のダニエレ・ウィリアムズは今回エントリーがなく、ジャマイカ勢は全般に低調。WC2位のシンディ・ロルダーやイギリスのポーター/オフィリ姉妹など、ヨーロッパ勢が虎視眈々と狙っている様子が伺える予選でした。

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◇男子200m予選(10組2着+4)
期待が大きかっただけに、あまりの体たらくに言葉がありません。あの日本選手権での盛り上がりぶりは、何だったのでしょうか?(長距離種目もそうですが…せめて100mくらいの結果を残してくれれば、こんな言い方はしないと思います)
原因は、絶対的な国際レースの経験不足。これに尽きるかと思います。日本選手は、「ボルトのように速く走る」ことを追及する前に、「ボルトのように試合で実力を発揮する」にはどうしたらいいか、それを真剣に研究するべきだと考えます。ダイヤモンドリーグのレースなどで揉まれ続けない限り、同じ光景が繰り返されるだけでしょう。

Evening Session(日本時間今朝)については、また追ってアップします。


ギャラリー
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