豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

サンドラ・ペルコヴィッチ

開幕から好記録連発!~DLドーハ大会


2018年のIAAFダイヤモンドリーグ(DL)がいよいよ開幕、オリンピックも世界選手権もない中間年に世界の陸上界はどう動くか、注目のシリーズがスタートしました。

まず、女子円盤投の女帝、サンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)がPBにあと3㎝と迫る71m38の大投擲で相変わらずの無敵ぶりを発揮すると、男子やり投では昨年来しのぎを削るトマス・レーラーとヨハネス・フェテル、さらにはアンドレアス・ホフマンを加えたドイツ勢3人で90mスローの競演。
ここ2年間、クリスチャン・テイラー(USA)の独擅場が続いてきた男子三段跳では、ペドロ・ピチャルド(CUB)が 久々に18mラインを脅かす大ジャンプを繰り出し、すぐさまテイラーもこれに迫って3年前の開幕戦を思い出させるハイレベルなマッチレースを展開。

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 400mHのリーダーに躍り出た22歳のサンバ

トラックでは、400mHの新星アブデルラーマン・サンバ(QAT)が47秒57のカタール新記録でカーロン・クレメントやバーショーン・ジャクソン(ともにUSA)らの旧勢力をぶっちぎり、地元の大喝采を浴びました。

女子100mには、リオ2冠のエレイン・トンプソン(JAM)に世界選手権200m連覇のダフネ・スキッパーズ(NDL)、今季室内シーズンから好調のマリー・ジョゼ・タルーにミリエル・アウレ(ともにCIV)、LJとの二刀流ブレッシング・オカグバレ(NGR)と役者が揃いました。レースはタルーが中盤から抜け出し、10秒85(+1.5)はこれまたPBにして今季世界最高。トンプソンは3着ながら10秒93とまずまずながら、スキッパーズはいいところなく、今季この種目は今回不参加のアメリカ勢を絡めて、大混戦となりそうです。


「ポスト・ボルト」が注目された男子200mでは、2年前のU-20世界選手権100mチャンピオンのノア・ライルズ(USA)が19秒83(+1.3)のPBで快勝、調子の上がらないラミル・グリエフ(TUR)やアンドレ・ドグラス(CAN)を置き去りにしました。



好記録にはなりませんでしたがレースとして面白かったのは女子の100mHです。

一昨年の世界新記録と無敵状態から昨年は今一つパッとしなかったケニ・ハリソンをはじめ、アメリカのハードル・スターがズラリと勢ぞろい。中でも注目は、ドーピングに関する規則違反で昨シーズン出場停止を食らっていたリオ女王のブライアナ・マクニール(旧姓:ローリンズ)。復帰するや否や12秒43のWLを叩き出していましたが、終盤ハードリングを乱してハリソンに差されてしまいました。
それにしても、WRホルダーと五輪女王の、ハードリング・フォームも好対照な二人の対決は、さらには世界女王サリー・ピアソン(AUS)も交えて何度も見たいものです。

さて、DLがCS放送で全戦生中継されるようになって数年、毎年チーム(スポーツ・メーカー)のユニフォームがどう変わるのかを見るのが、開幕戦のお楽しみです。
圧倒的な選手数を誇るNIKE軍団は、今季は渋い深緑系。昨年のロンドン世界選手権チャンピオンだけは、ロゴ以外は純白で、ひときわ目立ちます。
そんなチャンピオン・ユニの選手たちの中で、浮かない表情が何度も画面に映し出されたのが女子棒高跳のカテリナ・ステファニディ(GRE)。
昨季無敗で19連勝を続けてきた堅実無比のボウルターが、どうも助走を狂わせている様子で、身体が上がらない跳躍が続きました。3月の室内世界選手権に続いてライバルのサンディ・モリス(USA)と競ることもなく完敗、久々に復活してきた同国の先輩にして2015年のDLチャンピオン、ニコレッタ・キリアポウロウにも上回られ、5位に終ったのは少々深刻です。
ま、私的にはヒイキのモリスが勝って、万々歳なんですけどね…。
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PBとなる5m01に失敗して余裕の苦笑いのモリスと、片隅で黄昏るステファニディ

漸13種目中種目で今季世界最高記録が誕生した今大会のクライマックスを演じたのは、地元のスーパースター、ムタズ・エッサ・バルシム(QAT)。
例によって駆け引きなしに、バーがかけられて順番が回ってくるからにはパスすることなく次々とクリアしていく、その段階から一人異次元の高さを空中遊泳する圧巻のパフォーマンスです。最後は食い下がったエディン・ガザル(SYR)を振り切ると一気に2m40に上げ、これを一発でクリアすると、マットに直立しながらビブを引きちぎるお得意のガッツポーズを決めて見せました。
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昨年まで5年連続で達成してきた2m40超えを第1戦で早くも達成、かつてのライバルたちが次々と凋落していく中で、今季はバルシムの一人劇場となりそうな雰囲気です。

なお、今季DLは昨季同様、第13戦までの順位ポイントの累計で、上位8名(種目により12名)が第14戦・15戦に振り分けられる各種目ファイナルへの出場権を獲得、そこでの勝者がシリーズ・チャンピオンとなる方式で行われます。
以下に、ドーハ大会の3位までのリザルト(DL対象種目のみ)を掲載しておきます。

<男子>
◇200m(+1.3)
 ① 19"83 ノア・ライルズ USA ※MR/PB
 ② 19"99 ジェリーム・リチャーズ TTO
 ③ 20"11 ラミル・グリエフ TUR

◇400m
 ① 43"87 スティーヴン・ガーディナー BAH ※WL/MR/NR
 ② 44"50 アブダレル・ハロウン QAT
 ③ 44"92 アイザック・マクワラ BOT

◇800m
 ① 1'45"21 エマニュエル・コリル KEN
 ② 1'45"60 エリジャ・マナンゴイ KEN
 ③ 1'46"51 ニコラス・キプコエチ KEN

◇400mH
 ① 47"57 アブデルラーマン・サンバ QAT ※WL/DLR/MR/NR
 ② 49"08 バーショーン・ジャクソン USA
 ③ 49"46 カイロン・マクマスター IVB

◇走高跳
 ① 2m40 ムタズ・エッサ・バルシム QAT ※WL
 ② 2m33 メイド・エディン・ガザル SYR
 ③ 2m30 ドナルド・トーマス BAH

◇三段跳
 ① 17m95 ペドロ・パブロ・ピチャルド CUB ※WL
 ② 17m81 クリスチャン・テイラー USA
 ③ 17m21 アレクシス・コペリョ AZE

◇やり投
 ① 91m78 トマス・レーラー GER
 ② 91m56 ヨハネス・フェテル GER
 ③ 90m08 アンドレアス・ホフマン GER

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<女子>

◇100m(+1.5)
 ① 10"85 マリー・ジョゼ・タルー CIV ※WL/PB
 ② 10"90 ブレッシング・オカグバレ NGR
 ③ 10"93 エレイン・トンプソン JAM

◇1500m
 ① 3'59"92 キャスター・セメンヤ RSA ※WL/NR
 ② 4'00"99 ネリ・ジェプコスゲイ KEN ※PB
 ③ 4'01"41 ハビタム・アレム ETH

◇3000m(5000mカテゴリ)
 ① 8'29"05 カロリン・キプキルイ KEN ※WL/PB
 ② 8'29"09 アグネス・ティロップ KEN ※PB
 ③ 8'30"51 ハイヴィン・キエン KEN ※PB

◇100mH(+0.5)
 ① 12"53 ケンドラ・ハリソン USA
 ② 12"58 ブライアナ・マクニール USA
 ③ 12"75 シャリカ・ネルビス USA

◇棒高跳
 ① 4m84 サンディ・モリス USA ※MR
 ② 4m64 ホーリー・ブラッドショー GBR
 ③ 4m64 ケイティ・ナジョッテ USA

◇円盤投
 ① 71m38 サンドラ・ペルコヴィッチ CRO ※WL/DLR/MR
 ② 66m82 ヤイメ・ペレス CUB
 ③ 63n80 デニア・カバジェロ CUB

ロンドン世界選手権展望 ③ ~たぶん勝つだろうけど…の本命たち


前回は、私独自に「鉄板!」と認定した6人のアスリートについてご紹介しました。
続く今回は、そこまでは推しきれないながら種目の中で傑出した存在であることは間違いない、それでもどこかに不安要素を感じる「大本命」の選手たちです。
まあ、「鉄板!」という中でも本人のコンディションやアクシデントなどでアプセットが起きる可能性は常にありますから、そうした可能性が多少なりとも目に見える、というのが今回の選手たちです。

◆いまだ調子が掴めないK.ハリソン
Kendra Harrison
https://www.iaaf.org/news/report/us-championships-2017-kendra-harrison)

昨年から今季にかけて、陸上界で最も輝くヒロインの存在となっているのが、女子100mHのケンドラ・ハリソン(USA)です。

昨年のDLロンドン大会で彼女が記録した世界記録12秒20は、1980年代に東欧圏の選手たちによって量産された難攻不落のレコードの一つが攻略されたということで、大きな価値がありました。加えて、DL6戦全勝をはじめほとんどのレースで2位以下を数メートル引き離す圧倒的な力の差を見せつけながら、唯一オリンピック全米予選で失敗してリオに行けなかったこと、そのリオで彼女を除くアメリカ3選手がメダルを独占したことで、ドラマのヒロインとしてはこれ以上ない印象を残したシーズンとなりました。

そのハリソン、今季もこれまで無敗を続け、全米もしっかりと優勝して(すでに代表権は昨年のDLツアー優勝で獲得しています)一見盤石のプロセスを踏んでいるように見えるのですが、どうも昨年に比べると内容が物足りなく見えます。昨年のように、大差で圧勝、という勝ち方があまり見られないのです。
記録的にも12秒5台が続き、正確無比だったハードリングにもどことなく小さなブレが感じられます。今月上旬、ハンガリーの大会で12秒28(+0.1)を出し、その5日後には世界新記録から1年を経たDLロンドンで12秒39(+0.2)をマークして、ようやく調子が上がってきたかと思われたものの、21日のDLモナコでは12秒51(-0.1)でシャリカ・ネルヴィス(USA)に0.01秒差まで追い上げられる薄氷の勝利。今一つ、調子がはっきりしません。

ハードル王国アメリカは今季、リオの金メダリスト、ブライアナ・ローリンズが所在地報告義務(抜き打ちドーピング検査のためにトップアスリートが課されている義務)違反というチョンボを犯して出場停止中ながら、選手層の厚さはこれまで同様。久々にジャスミン・ストワーズが好調でしたが安定感のなさは相変わらずで、全米6着と敗退。ロンドンの代表はハリソンのほか、オリンピック2位のニア・アリとベテランのドーン・ハーパー‐ネルソン、クリスティナ・マニングです。
ハリソンにとっては警戒すべき同国のライバルが3人だけというのは精神的に楽でしょうが、どうしても昨年の全米で敗れたという、ここ一番でのメンタルが気に掛かります。

アメリカ勢以外では、かつての女王サリー・ピアソン(AUS)が、DLロンドンで12秒48と久々に調子を取り戻してきましたが、ハリソンに肉薄するまでは至っていません。
前回北京優勝のダニエレ・ウィリアムズ(JAM)もその後故障に苦しみ、ジャマイカ選手権で12秒56(+0.4)と復活してPBをマークしてきましが、2年間のうちに100mHのレベルは大きく上がってしまっています。
リオで姉妹揃って決勝に進出したティファニー・ポーター、シンディ・オフィリは地元の期待と人気を集めるでしょうが、今季これといった成績をまだ残していません。

もし実力どおり、ハリソンが12秒2~3あたりの記録で駆け抜けるレースをすれば、ロンドンの栄冠は容易に彼女のものとなるでしょう。それが12秒5前後のところへいってしまうと、一転して大混戦ということになりかねません。もちろん、ハードルにはつきもののちょっとしたリズムの狂いで、すべてが変わってしまうこともあり得ます。
スリリングな勝負を制して、ハリソンが真の世界一を証明するレースを期待しています。

◆限りなく「鉄板」に近いクラウザー
Ryan Crouser
(https://www.iaaf.org/news/report/crouser-meeting-record-rabat-diamond-league1)

昨年の全米五輪予選(ユージーン)で突如トップに躍り出て以来、無敵の快進撃を続けているのが、男子砲丸投リオ五輪チャンピオンのライアン・クラウザーです。
「22mクラブに仲間入り」という記事の見出しがまだ記憶に鮮やかなのに、もはや彼にとって22mプットは日常のものとなり、今季は8戦全勝、21m台に終わったのは1回だけです。今年の全米(サクラメント)で投げた22m65は歴代7位にまで上昇。今月に入ってからも、ローザンヌで22m39、ラバトで22m47と、揺るぎはありません。
こうしてみると、まったく死角のない「鉄板」と言ってもよさそうなものですが、見た目の割に波乱が起こりやすいのが砲丸投という種目、という一点が唯一気に掛かっているところです。

解説者の小山裕三さんが再三指摘するように、「一発当たれば大きいがダメな時は全然ダメ」なのが、砲丸投の回転投法。その意味では、クラウザーはおそらく史上最も安定した回転投法のプッターだと思われますが、常にその不安はつきまといます。
その証拠(?)に、今季ランキング2位につけている前回覇者のジョー・コヴァックス(USA)は22m57で、クラウザーとは8センチしか差がありません。トータルな実力比較では明らかにクラウザーが先輩を追い越していると思われる一方で、コヴァックスが一発逆転のビッグショットを放つ可能性も十分にあるのです。
「逆転候補」をもう一人挙げるならば、リオ銅メダルのトム・ウォルシュ(NZL)。昨年はリオ五輪後のDLでクラウザーを連破、DL年間王座を実力でもぎ取った実績があります。

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◆無敵の女王にも一抹の不安

女子円盤投はここ数年、サンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)の独り舞台と言える状況が続いてきました。
そんな無敵の女王も冷や汗をかいたのが、昨年のリオ五輪。どう考えても金メダルは固いという「鉄板」の存在と思われていながら、予選、決勝ともに2投目までファウルという窮地から、3投目の一発のみで切り抜けてきました。
そのペルコヴィッチがDLストックホルム大会でヤイミ・ペレス(CUB)に逃げ切られ、前回世界選手権でデニア・カバレリョ(CUB)に金メダルを攫われて以来の敗北を喫しました。どうやらキューバ勢は彼女にとって天敵のようです。

すでにオリンピックを2連覇しているペルコヴィッチは27歳になったばかりで、投擲選手としてはまだまだこれから脂が乗ってくるところでしょう。それでも常に敗戦の可能性はあるということですね。
だったら、どの選手に対しても軽々しく「鉄板!」などと言うべきではなかろう、ということになるんですけどね。

◆文句なしの大本命だが…
男子棒高跳といえば、現在の中心選手はルノー・ラヴィレニ(FRA)です。
あのブブカの伝説的な世界記録を凌駕した男であり、IAAFダイヤモンドリーグが創設されて以来、唯一7年間すべて年間王座に輝いているPVの帝王。
そのラヴィレニが、今季はなんとDL5戦で未勝利と苦悩の渦中に沈んでいます。故障もありますが、深刻なのは完全に自分の跳躍を忘れてしまっている精神的なスランプで、地元のDLパリ大会では助走の途中でポールを放り出したり、頭からタオルを被って懊悩したり、終始こわ張った表情でファンサービスに応じたり、と王者らしからぬシーンが次々と映し出されたのが印象的でした。

一方で、DL4戦全勝と圧倒しているのがサム・ケンドリクス(USA)です。
もともとラヴィレニを「最大のアイドル」として尊敬し、ゲーム中も小猫が纏わりつくように彼の傍らを付いて回っていたケンドリクスが、今年は完全に立場を逆転させてしまった格好です。しかも、その跳躍はこの種目の宿命とも言える不安定要素がほとんど見られず、全米で遂に6mヴォールターの仲間入りをしたのをはじめ、常に5m80以上で安定しています。

昨年のリオで地元の熱狂的声援の中みごとに6mオーバーを果たして優勝したティアゴ・ブラズ(BRA)は今季5m60で、未確認ながらロンドンの参加標準記録を有効期間内に跳んでいないと思われます。
また前回王者のショーン・バーバー(CAN)は、つい3日前に5m72をクリアしてぎりぎり参加資格獲得に間に合ったとはいえ、こちらも不振は明らか。
つまりケンドリクスにとってはライバル不在の状況で、パヴェル・ヴォイチェコフスキー(POL)がDLローザンヌで5m93を跳び、試技数差で辛勝したのが今季唯一の接戦でした。ケンドリクスにとっては現状唯一警戒すべき相手ということになりそうです。

とはいえ、他のどの種目と比べても何が起きるか分からないのが棒高跳。言うまでもなく、ラヴィレニの起死回生の復活劇、ということも十分にあり得ます。ただ、現時点で無類の安定した強さを誇るケンドリクスが、間違いなく今回の主役候補筆頭ではあるのです。

◆王者キプルトに異変か?
昨季オリンピックを快勝し、DLも6戦全勝で男子3000mSC不動の王座に就いたコンセスラス・キプルト(KEN)。今季もDLローマで余裕の勝利を挙げ、22歳の若きスティープルチェイサーの次のターゲットはまだ達成していない7分台と世界選手権のタイトルだけ、それも時間の問題だろうと思われました。

順当なら「鉄板」の一人に数えてもいい現在のC.キプルトですが、ケニアの国内選手権で故障を発生した、という情報があります。そのことを裏書きするかのように、DLモナコ大会では中盤で謎の急失速。しばらく後方でレースを続けていましたが、結局DNFということになりました。
キプルトの状態が黄信号、ということにでもなれば、前回まで6連覇を続けているケニアのお家芸にも、大ピンチが訪れることになります。モナコを制したエヴァン・ジャガー(USA)が絶好調と見え、すんでのところで逃し続けている7分台も目前という走りを見せているからです。大ベテランのブリミン・キプルトや終盤の爆発力に乏しいジャイラス・ビレチでは、ジャガーがもし自分の速いペースに持ち込めば、勝てないかもしれません。
まずは、予選にC.キプルトが無事に出てくるのかどうか、そこから注目してみたいと思います。

今夜はDLパリ大会



オリンピック以後の再開幕戦・ローザンヌ大会から中2日、ダイヤモンドリーグ第13戦がパリで開催されます。
この大会を終えると、いよいよダイヤモンドレースは各種目最終第7戦が次のチューリッヒ、ブリュッセルの2大会で行われることになり、年間チャンピオンが決まっていきます。
では、パリ大会のタイムテーブルと主なエントリー選手をご紹介しましょう。

(時間は日本時間)
 1:50 男子砲丸投 クラウザー、コヴァックス、ウォルシュ
 2:20 男子三段跳 コンパオレ、ベナード
 2:25 女子円盤投 ペルコヴィッチ、カバジェロ、ミュラー
 2:55 男子棒高跳 ラヴィレニ、ケンドリクス、バーバー
 — ここから生中継開始 ―
 3:04 男子400mH クレメント、ティンズリー、コペリョ、ベット、クルソン、マギ
 3:15 女子走高跳 ベイティア、デミレワ、パルシュテ
 3:17 女子400m マクファーソン、ヘイスティングス
 3:25 男子800m ロティッチ、A.キプケテル、ボス、レヴァンドウスキー、ベリアン
 3:40 女子3000mSC ジェベト、キエン、アセファ、コバーン
 3:45 女子走幅跳 バートレッタ、スパノヴィッチ、ウゲン、クリシナ、オカグバレ
 3:50 男子やり投 レーラー、ウォルコット、ヴェセリー、ヴァドレイヒ、フェテル
 3:55 女子200m スキッパーズ、タ・ルー、プランディーニ
 4:05 女子1500m キピエゴン、ミュアー、ハッサン、セヤウム、シンプソン
 4;20 女子100mH K.ハリソン、ハーパー・ネルソン、ストワーズ、オフィリ、ロールダー
 4:40 男子3000m ロンゴシワ、タヌイ、ゲブリウェト、エドリス、メキシ・ベナバド
 4:51 男子100m ヴィコー、ルメートル、ロジャーズ、コリンズ、シンビネ

Sandra Perkovic02
https://www.iaaf.org/competitions/olympic-games/the-xxxi-olympic-games-5771/news/report/women/discus-throw/final より

すでにDLチャンピオンが確定的(最終戦出場が必要条件)になっている種目もあり、オリンピック直後ということもあって、トップ選手の回避が目立ちますが、女子円盤投のサンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)などは7戦全勝のパーフェクトを狙って出てきますね。絶対女王としては、オリンピック辛勝の憂さを晴らしたいところでしょう。

地元のパリでで負けられないのが棒高跳のルノー・ラヴィレニ。こちらも五輪・ローザンヌ大会と悔しい2位が続いていますので、王者の意地にかけてもというところ。対抗はローザンヌでPBタイを跳んだ好調ケンドリクス。

地元と言えば、100mのジミー・ヴィコーとクリストフ・ルメートル。メンバー的にもワンツーのチャンスです。

女子スプリントは200m。オリンピックでスパイクを叩きつけて悔しがったダフネ・スキッパーズ(NDL)が登場ですが、“仇敵”のトンプソンがローザンヌの100mに出たのにこちらは回避とは、少々肩透かし?
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記録の期待がかかるのは、女子3000mSC。ジェベト、キエンの2強がそろい踏みして、9分の壁を巡る攻防が期待されます。オリンピックでは前半1000mまでのスローペースが嘘のように9分を破ってみせたジェベトが、また突っ走りそうですが、連戦の疲労があるとキエンやコバーンの追い込みにしてやられるかも?

そして何といっても、女子100mH。ケンドラ・ハリソンはいつまた12秒2台で走っても不思議ではないほど好調子をキープ、ここで総合優勝を確定させます。

放送はCS日テレG+で26時45分(明朝2時45分)から。楽しみましょう!

 

リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day5(展望も)

【ミズノ】WAVE EKIDEN 11  ウェーブエキデン/ランニングシューズ/駅伝/ランニングシューズ ミズノ/MIZUNO (U1GD1620) 10 フラッシュオレンジ×ブラック×フラッシュイエロー
【ミズノ】WAVE EKIDEN 11  ウェーブエキデン/ランニングシューズ/駅伝/ランニングシューズ ミズノ/MIZUNO (U1GD1620) 10 フラッシュオレンジ×ブラック×フラッシュイエロー

陸上競技開始の1週間前から書き始めた「直前展望」が、Day5で止まったまんまになってしまって、スイマセン。
前にも書きましたように、私はオリンピック全部が大好物なもんですから、序盤はとうぜん競泳・柔道・体操などに熱中し、今もバドミントンに卓球に、自転車にレスリングにと大忙しです。テレビでやらない馬術とかボートとかも見てました。もうじきトライアスロンもあります。(グエン・ジョーゲンセンのランに、ぜひ注目してください!)
意外に時間のかかるこの記事、もういっぱいいっぱいで書いてますんでね、何とぞご理解を。
そういうわけで、Day6以降の「展望」については、日々の「観戦記」の中で要所要所に触れていきたいと思います。


◇女子5000m予選(2組5着+5)
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いやあ、上原美幸、見事な世界デビューでしたね!
スタート(一度仕切り直しがありましたが、上原がフライングしたわけではなくて、明らかにラインを踏んでいたエチオピアの選手を見咎めてのものと思われます)してすぐ飛び出し、200m34秒のダッシュを決めた上原が、大逃げを打つ展開。一時は集団との差が70mにも開き、「よし行け、プリティキャスト!(…分かる人にしか分からない)」と当方大興奮。
集団の中で翻弄されるよりは行けるところまで先頭を走る、同じ負けるなら目立って負けろ、というのが新谷仁美が日本女子長距離界に授けた遺産なのでしょうか、最近はこうした積極レースが目立ちます。にしても、ここまでの大逃げは初めて見ます。ただ、ラップタイムは75-76秒と遅く、いい記録を目指すとすれば5000なら72-73秒、10000なら73-74秒(まあ新谷でも74秒がやっとでしたが)が望まれるところです。
1000mを過ぎたあたりでいったんイギリス、アメリカの選手が追走を開始しようとしたら、すかさずジャン(TUR)やケニアの2人が「まだ早いわよ!」とばかりに叩いて出て、集団のペースを落としたのは面白い展開。おかげで、上原の逃げは3500mまで持ちこたえ、かなりの長時間楽しませてもらえました。

しかしながら、彼女の真骨頂はここから!こういう展開では、集団に吸収されるとそのままズルズル…というお決まりのパターンを思い描いていたら、意外にも粘るわ粘るわ、力の残っている限りは前を追い越さずにいられないといった感じで再び先頭を奪い返すなど、必死の抵抗を試みます。
いかんせん最後はトップ集団のスピードに置いて行かれたとはいえ、大きく離れることもなく、競り合っていたエチオピアのエシャネを最後はねじ伏せるように先着するという根性を見せてくれました。
素晴らしい!結果的に今日一番のレースを見せてもらえましたね。

2組の尾西美咲、鈴木亜由子はともに昨年の世界選手権で予選を突破していただけに期待が寄せられましたが、いつもの展開に策なし、といったレースになって、敗退です。
鈴木は大会直前に10000mをキャンセルする脚部不安があって、その影響を否定するコメントをしていましたけれども、痛みなどはないとしても調整に狂いが出たことは間違いなく、本来の力を出せずにオリンピックを終えたのは残念でした。
日本の長距離は、多くの競争相手を倒して代表になるのが一番苦労するところなので、せっかくのチャンスは大切にしなければなりません。マラソンとともに、日本選手が今一つ万全のコンディションでリオに臨めていないことが、少々気になります。


◇男子三段跳決勝
ご存知クリスチャン・テイラー(USA)が1回目の17m86であっさりと優勝を決めました。2位ウィル・クレイ(USA)との差は僅か10センチで、意外な僅差に少々浮かない顔。1回目から手拍子を要求し、大きな声を上げて跳躍に臨んでいたのは「6回目のテイラー」にしてはやや珍しい光景で、ピチャルド(CUB)のいない今回、それだけぶっちぎりの楽な展開での金メダルを狙っていたのでしょう。
お得意の6回目、面目躍如とばかりに18メートルラインを超えた着地に見えましたが、赤旗だったのは残念。


◇女子円盤投決勝
「鉄板」と思っていたサンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)が、予選で2回ファウルの後Qライン突破、決勝でも2回右のネットにぶち当てて絶体絶命のピンチに追い込まれました。3投目、「この一投」の集中力はさすがで、ややバランスを崩しながらも69m21の大投擲を繰り出し、結果的には2位以下に大差をつけはしたものの、その後の3回もすべてファウル。「絶対女王」の風格は影を潜めて終始おびえたような表情が目についたのは、オリンピックの魔物との戦いだったのでしょうか。
ゲーム前はノーマークだった一番投擲者メリナ・ロベール-ミションが66m73のナショナルレコードで銀メダル。この記録を超えられない3番手以下の記録が、かなり低調でした。



◇男子1500m予選(3組6着+6)
 15WC ①3'34"40A.キプロプ(KEN) ②3'34"63E.マナンゴイ(KEN) ③3'34"67A.イギデル(MAR)
 15DL ①17p/4 キプロプ ②10p/3 S.キプラガト(KEN) ③4p/1 マナンゴイ
 16DL ①31p/4 キプロプ ②28p/4 マナンゴイ ③10p/1 R.
ケモイ(KEN)
 16SB ①3'29"33 キプロプ ②3'30"49 ケモイ ③3'31"19マナンゴイ
この種目では、アズベル・キプロプという絶対王者がいて、スローペースの優勝争いだろうとペースメーカーつけての記録狙いだろうと、とにかく強い。強さの安定感でいけば、かつてのヒシャム・エルゲルージ(MAR)級ではないかという感じだったのですが、1か月前のモナコDLで惨敗してミソをつけたことから、予選の走りが注目されました。
1周目は後方で様子を伺い、700mでスルスルと前に出て、ラスト1周をぶっ飛ばす、いつものレースパターンでまずは楽勝。この相手では、調子を伺うところまでは行きませんでした。
同僚のマナンゴイ、ケモイ(小森コーポレーション)ではなかなかキプロプの牙城を崩すことはできなさそうですが、ロンドン王者のタオフィク・マクルフィー(ALG)に余裕を感じます。前回も優勝間違いなしと思われたキプロプが謎の失速をしたレースをものにしていますし、DL出場が少ないため直接対決もあまりなく、キプロプにとっては最も警戒する相手だと思われます。
今回男女とも中長距離各種目で健闘が目立つアメリカ勢からも、マシュー・セントロヴィッツのメダル獲りが注目されます。


◇女子100mH予選(6組3着+6)
 15WC ①12"57D.ウィリアムズ(JAM) ②12"59C.ロルダー(GER) ③12"66A.タライ(BLR)
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DL ①18p/4D.ハーパー-ネルソン(USA) ②14p/4S.ネルヴィス(USA) ③12p/4J.ストワーズ(USA)
 16DL ①40p/4K.ハリソン(USA) ②28p/4B.ローリンズ(USA) ③13p/4N.アリ(USA)
 16SB ①12"34 ローリンズ ②12"50 K.キャスト
リン(USA) ③12"55 アリ
何度も死んだ子の齢を数えるようですが、現役世界記録保持者でありDL4戦全勝のケニ・ハリソン(USA)のいないチャンピオンシップというのが、残念。ただ速いだけでなく抜群に安定したハードリングを見せていただけに、全米での敗退というのがいまだに信じられません。
代わって王国アメリカ代表になった3人が、出場選手ランキングの上位を独占。しかし、アメリカは昨年の世界選手権でも同じような状況で、しかもワイルドカードで4人出場という優位性を持っていたにも関わらず、一人も表彰台に立てないという結果に終わっています。(上記データの上から3段目までを見ると、すべて異なる名前がベスト3に入っていて、この種目の混沌ぶりを伺わせます。それを“統一”していたのが、今季のハリソンだったのです)

アメリカ3人は順調な立ち上がりを見せましたが、まぎれの多いこの種目で昨年と同じ轍を踏まないとは限りません。しかしWC女王のダニエレ・ウィリアムズは今回エントリーがなく、ジャマイカ勢は全般に低調。WC2位のシンディ・ロルダーやイギリスのポーター/オフィリ姉妹など、ヨーロッパ勢が虎視眈々と狙っている様子が伺える予選でした。

RIO025

◇男子200m予選(10組2着+4)
期待が大きかっただけに、あまりの体たらくに言葉がありません。あの日本選手権での盛り上がりぶりは、何だったのでしょうか?(長距離種目もそうですが…せめて100mくらいの結果を残してくれれば、こんな言い方はしないと思います)
原因は、絶対的な国際レースの経験不足。これに尽きるかと思います。日本選手は、「ボルトのように速く走る」ことを追及する前に、「ボルトのように試合で実力を発揮する」にはどうしたらいいか、それを真剣に研究するべきだと考えます。ダイヤモンドリーグのレースなどで揉まれ続けない限り、同じ光景が繰り返されるだけでしょう。

Evening Session(日本時間今朝)については、また追ってアップします。


リオ五輪直前展望・Day5(8/16)



いよいよです。いよいよ今夜の9時30分から、リオデジャネイロ・オリンピックの陸上競技がスタートします。
Day1の記事を上げたのが1週間ほど前なので、その後エントリーリストが発表されたり、状況が変わったところもあるのですが、前回までの記事は特に訂正しないでおきます。

陸上競技は、オリンピックの花形種目。日本では柔道、体操、競泳といった前半の有望種目で盛り上がり、後半の陸上でガッカリする、というパターンになりがちですが、それこそ最もワールドワイドな競技が陸上。もし日本選手が入賞ということになれば、それは他の競技ならメダルに匹敵する快挙ですからね、こちらも頑張って応援しますよ。それよりも何よりも、世界最高峰の戦いが、本当に楽しみですね!

◆Day5のプログラム

―Morning Session—
 ( 9:30)女子5000m予選/女子棒高跳予選
 ( 9:50)男子三段跳決勝/男子1500m予選/女子100mH予選
 (11:20)女子円盤投決勝
 (11:50)男子200m予選

―Evening Session—
 ( 8:30)男子走高跳決勝/女子やり投予選/男子110mH準決勝
 ( 9:05)女子走幅跳予選/女子400mH準決勝
 ( 9:35)男子400mH準決勝/女子200m準決勝
 (10:30)女子1500m決勝/男子110mH決勝


前日までが何となくスカスカの印象だったのが、この日から急に盛りだくさんな感じになってきます。
日本選手も続々と登場、注目種目の男子200mがスタートします。


◇女子5000m
 15WC ①14'26"83A.アヤナ(ETH) ②14'44"07S.テフェリ(ETH) ③14'44"14G.ディババ(ETH)
 15DL ①16p/4G.ディババ ②14p/3アヤナ ③5p/2M.チェロノ(KEN)
 16DL ①30p/3アヤナ ②24p/4チェロノ ③13p/2V.J.チェルイヨト(KEN)
 PB ①14'11"15T.ディババ ②14'12"59アヤナ ③14'20"87チェルイヨト ⑲15'08"29鈴木亜由子
 エントリー37名(ただしエチオピアが4人エントリーしており最終出場者は不明)
 ※WC=世界選手権
  DL=ダイヤモンドリーグ…「総ポイント/試合数」(2015年と16年とではポイント設定が異なる)
  PB…5000mの場合SBのみでは比較しにくいため、PBによるエントリー選手ランキングとした。


ゲンゼベ・ディババはギリギリ復帰が間に合いましたが同日に決勝のある1500mに絞っての出場。代わって姉の世界記録保持者ティルネッシュ・ディババが出てきますが、現時点で「世界最強」がアルマズ・アヤナであることは誰の目にも明らかで、ラスト勝負にまで持ち込まれない限り、アヤナのレースとなるでしょう。
その勝ちパターンになれば、残り2周あたりから離れた2番手争いを演じることになるのがT.ディババとヴィヴィアン・チェルイヨトの両ヴェテラン、そしてその他のケニア・エチオピア勢ということになりそうです。14分台のPBは13名いますが、やはりE・Kの6名の力が抜けているようです。

一縷の望みをかけてエントリーはしてきた鈴木亜由子選手ですが、長距離の場合数日で故障がどうにかなるということは考えにくいので、ほぼ欠場と見るべきかと思います。尾西美咲は昨年世界選手権での決勝進出の実績があり、速くも遅くもないペースを自ら作っていく展開に持ち込めれば、その再現も期待できるでしょうが、オリンピックは世界選手権以上に予選が速い展開になりがちで、苦戦は免れないところ。

◇女子円盤投

 15WC ①69m28D.カバレロ(CUB) ②67m39S.ペルコヴィッチ(CRO) ③65m53N.ミュラー(GER)
 15DL ①30p/7ペルコヴィッチ ②7p/3Y.ペレス(CUB) ③5p/2カバレロ
 16DL ①50p/5ペルコヴィッチ ②14p/3ミュラー ③12p/3カバレロ・12p/2D.サミュエルズ(AUS)
 16SB ①70m88ペルコヴィッチ ②68m86ペレス ③68m49J.フィッシャー(GER)
 エントリー35名
Sandra Perkovic
 https://www.iaaf.org/news/preview/rio-2016-womens-discus

今季DL5戦5勝、現役唯一の70mスロワー、サンドラ・ペルコヴィッチの独擅場。5000mのアヤナともども、全種目を通じても最も堅い優勝候補の一人ではないでしょうか。
投擲種目でこれだけの圧倒的優位を築くのは珍しいと思いますが、力量・メンタルともに絶頂期にある今の彼女(26歳)には、何物も通用しそうにありません。ただ、昨年の世界選手権のような波乱が起きる可能性もないわけではなく、その本人・カバレロとペレスのキューバ勢、フィッシャー、ミュラーのドイツ勢に、「金」を狙う意欲は十分にあります。

◇男子200m

 15WC ①19"55U.ボルト(JAM) ②19"74J.ガトリン(USA) ③19"87A.ジョボドワナ(RSA)
 15DL ①16p/3A.エドワード(PAN) ②11p/6ジョボドワナ ③4p/1R.ドワイヤー(JAM)
 16DL ①36p/5エドワード ②22p/3A.ウエブ(USA) ③10p/1A.デ-グラス(CAN)
 16SB ①19"74L.メリット(USA) ②19”75ガトリン ③19"85ウエブ ⑬20"11飯塚翔太
 エントリー81名(ジャマイカ・ブラジルは4名)

100mとともに、ウサイン・ボルトにトラック史上前例のない3連覇の偉業がかかります。
ロンドンでの19秒89で不安を一掃したとされる今季のボルトですが、爆弾を抱えていることに変わりはなく、また十分なトレーニングが積めているかどうか、特に200mを走り切るスタミナに不安は残ります。ジャスティン・ガトリン、ラショーン・メリットのアメリカ2枚看板に19秒5あたりまで見込める能力があり、また19秒26を持つヨハン・ブレイク(JAM)も来ています。
すべては、100mを走ってボルトの調子がどうなのか、にかかってくると思われます。
この種目はDLにトップ選手が揃うことが少なく、その中でコツコツとポイントを稼いでいるアロンゾ・エドワード(PAN)のSBは20秒04に過ぎず、世界選手権では4位と健闘しているもののメダル争いまでは荷が重いか?またゲツリク情報によれば、ミゲル・フランシス(ANT)という選手がWLの19秒67を7月10日に出したとなっていますが、IAAFのリストにその情報はありません。
さて、どうなるでしょう?

日本勢にとっても期待の種目です。記録的には予選通過は楽勝、20秒0台を出せば決勝まで、と皮算用は成り立ちますが、とにかく日本選手には予選から準決勝にかけて記録を落とす傾向があるので、そこを何とか頑張ってもらいたいものです。飯塚翔太はその点、大舞台の経験が豊富で心得ているでしょうが、今季の20秒11は条件に恵まれた中でのものですので、やはり準決勝突破にはよほどの好調が条件となるでしょう。
高瀬、藤光は昨年の調子を取り戻せれば、飯塚と同様の期待が持てます。100mと200mはヨンケイの代表選考会の意味合いもあると思われますので、各選手の奮闘が楽しみです。



◇男子110mH

 15WC ①12"98S.シュベンコフ(RUS) ②13"03H.パーチメント(JAM) ③13"04A.メリット(USA)
 15DL ①16p/6D.オリヴァー(USA) ②12p/4O.オルテガ(CUB) ③11p/3シュベンコフ
 16DL ①30p/4オルテガ(ESP※国籍変更) ②20p/2O.マクレオド(JAM) ③15p/3オリヴァー
 16SB ①12"98マクレオド ②13"03D.アレン(USA) ③13"04オルテガ 30)13"47矢澤航
 エントリー41名


ここ数年、記録的に停滞が続き、またこれといった中心選手がなかなか定まらない種目です。昨年世界覇者のシュベンコフも出場叶わず、世界記録保持者アリエス・メリットやデーヴィッド・オリヴァーも全米予選で姿を消しました。いちおう、DL開幕2戦を連勝したオマー・マクレオドと中盤で2勝のオルランド・オルテガの2人が軸になるでしょうが、優勝の行方は混沌としています。
面白いのは、キューバからかつての世界記録保持者ダイロン・ロブレスがエントリーしてきていることです。大きな大会ではいつも脚のケガを我慢しながら走っていたような印象のあるロブレス、まだ29歳と老け込む年齢ではありません。予選から注目してみたいと思います。
日本の矢澤航は、標準記録ギリギリのタイムですから、ほとんど全員が格上の選手ということで、気負わず日本新記録を目指してほしいところです。

◇女子走幅跳

 15WC ①7m14T.バートレッタ(USA) ②7m07S.プロクター(GBR) ③7m01I.シュパノヴィッチ(SRB)
 15DL ①20p/6バートレッタ ②12p/2シュパノヴィッチ ③9p/5プロクター
 16DL ①36p/4シュパノヴィッチ ②16p/2B.リース ③15p/4C.ネッティー(CAN)
 16SB ①7m31リース ②7m16S.モゲナラ(GER) ③7m05B.ストラットン(AUS)
 エントリー39名


良くも悪くも数年来主役を演じ続けているブリトニー・リース。2009年から世界大会4連覇を飾るも、12年ロンドンでは予選を9位、13年モスクワではギリギリの12位で通過という冷や汗の末の勝利で、次の15年北京ではとうとう予選落ち。これでリースの時代は終わったかと思ったら、今年の全米予選で歴代8位タイの7m31という大ジャンプでまたもや主演女優の座を掴みました。100mとの二刀流に挑み続けるティアナ・バートレッタとともに、アメリカの2強を中心としたゲームになりそうです。
ランク2位のゾスティーン・モゲナラと3位のブルック・ストラットンはともに大舞台での実績に乏しく、むしろ安定しているのは4位(6m95)のイヴァナ・シュパノヴィッチ(セルビア)。もしまたリースの乱調があったり、雨のような厳しいコンディションでのゲームになると、持ち味の堅実性が彼女をトップに押し上げるかもしれません。
日本の甲斐好美は、昨年来6m70以上を4回跳んでいる力があります。小柄ながら武器は助走のスピードで、同時に難点は踏切の不安定。気温の高い中での実施は大歓迎ということなので、一発ドンピシャリのジャンプを期待します。

Ivana Spanovic
 https://www.iaaf.org/news/series/first-impressions-ivana-spanovic

◇女子1500m
 15WC ①4'08"09G.ディババ(ETH) ②4'08"96F.キピエゴン(KEN) ③4'09"34S.ハッサン(NED)
 15DL ①18p/6ハッサン ②12p/3キピエゴン ③6p/3D.セヤウム(ETH)
 16DL ①30p/3キピエゴン ②18p/3L.ミュアー(GBR) ③14p/3M.バータ(SWE)
 16SB ①3'56"41キピエゴン ②3'57"49ミュアー ③3'58"10セヤウム
 エントリー42名


昨年衝撃の世界新記録を出したディババ3姉妹の末妹ゲンゼベが、今年はまったく音沙汰がなく心配していましたが、7月にようやく姿を現し、早々にサブ4を記録して復活をアピールしました。本来の専門種目である5000mとの日程的な兼ね合いがどうかというところ、今回は強敵のアヤナ、姉のティルネッシュがいる5000は回避し、1500一本で勝負をかけます。
ディババ不在中に強さを見せているのが、北京では敗れていたフェイス・キピエゴン。ディババのブランクを考慮すれば、こちらが本命と言ってもよいでしょうが、直線のスピード勝負になると予測がつきません。他にメダル候補として、実力者のシファン・ハッサン、今季急速に力をつけてきたローラ・ミュアー、レース巧者のジェニファー・シンプソン(USA)らの名前を挙げておきましょう。


 
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