Day2のハイライトは、日本選手応援団としては正午からの男子100m予選、そして「世界ウォッチング」としては夜の男子10000mと女子100m決勝、ということになるでしょう。

まずは男子100m。仕上がり度合いが注目されたウサイン・ボルト(JAM)は、伸びやかな走りで10秒07(-0.4)と「不安なし」をアピール、3強を形成するジャスティン・ガトリン(10秒01/+0.8)もヨハン・ブレイク(10秒11/-0.8)も、いずれも好調な立ち上がりです。
ボルトと一緒に走った桐生祥秀は、対照的に硬さが感じられて4着に終わり、タイム通過に0.03秒及ばず敗退。
いっぽう、ケンブリッジ飛鳥はジミー・ヴィコー、スー・ビンチャン、チュランディ・マルティナといった9秒台の猛者たちを後半次々と抜き去って4組2着、山縣亮太は鋭いスタート(RT 0.111秒)からのダッシュが冴えて8組2着と、ともに勝負に強いところを見せて準決勝へと進みました。

準決勝は明日の朝9時から。スタートリストは以下のとおりです。
<1組>
 2.ハッサン・タフィアン (IRI)   (PB)10"04   (Heat)10"17
 3.ジミー・ヴィコー  (FRA)  9"86 10”19
 4、ニッケル・アシュミード (JAM)  9"90 10"13
 5.アカニ・シンビネ (RSA)  9"89 10"14
 6.シェ・チェンイェ (CHN) 10"08 10"08
 7.ベン-ユセフ・メイテ (CIV)  9"99 10"03
 8.マーヴィン・ブレイシー (USA)  9"93 10"16
 9.ヤカリ・ハーヴェイ (TUR)  9"92 10"14

<2組>
 2.ケジャエ・グリーン (ANT) 10"01 10"20
 3.キム・コリンズ (SKN)  9"93 10"18
 4.アンドリュー・フィッシャー(BRN)  9"94 10"12
 5.アンドレ・デグラス (CAN)  9"92 10"04
 6.ウサイン・ボルト (JAM)  9"58 10"07
 7.チジンドゥ・ウジャ (GBR)  9"96 10"19
 8.山縣亮太 (JPN) 10"06 10"20
 9.トレイボン・ブロメル (USA)  9"84 10"13

<3組>
 2.ジェームズ・ダサオル (GBR)  9"91 10"18
 3.スー・ビンチャン (CHN)  9"99 10"17
 4.ヨハン・ブレイク (JAM)  9"69 10"11
 5.ケマーリー・ブラウン (BRN)  9"93 10"13
 6.ジャスティン・ガトリン (USA)  9"74 10"01
 7.ケンブリッジ飛鳥 (JPN) 10"10 10"13
 8.ダニエル・ベイリー (ANT)  9"91 10"20
 9.クリストフ・ルメートル (FRA)  9"92 10"16

あいやー、もはや周りはほぼ全員、9秒台の人ばかりですね。
つまり、ケンブリッジも山縣も、その力があるはずだということ…かな?
いかに自分の走りを貫徹できるか、でしょうね。
RIO015

100mに先立って行われた男子円盤投決勝は、クリストフ・ハルティング(GER)が最終6投目に王者ピヨトル・マラホフスキー(POL)を逆転、みごとロベルトに続く珍しい記録「兄弟連覇」を果たしました。
「展望」で「クリストフは一発屋」などと書いた私は赤っ恥もいいところです。こうなったらハルティング家の伝統芸(?かどうかは知りません)「勝利のシャツ破り」を見せてもらいたいもんだと思ったんですけど、やってくれませんでしたね。やっぱりお兄さんの専売特許なんでしょうか?(笑)

夜に入って、日本期待の棒高跳予選。
棒高跳のフルエントリーは、たぶん1964年の東京大会以来でしょうね。ほとんどの大会で代表を送ってきている種目ではありますが、これだけハイレヴェルな3人が揃うのは初めてでしょう。
しかしながら、山本聖途はあえなく最初の高さを失敗してただ一人のNM。荻田大樹も楽勝のはずの5m60で消えて、頼みは大御所・澤野大地ただ一人。その澤野も5m70を失敗しましたが、5m60の一発クリアが利いて決勝に滑り込みました。集大成の決勝、ぜひとも入賞を果たしてほしいものです。
ラヴィレニ、バーバー、ケンドリクスといった優勝候補は、順調に5m70をクリアしています。

男子10000mは、前半で仲間のゲーレン・ラップ(USA)と接触して転倒したモー・ファラー(GBR)が、何事もなかったように涼しい顔で連覇達成。「転んでも金メダル」は、1972年ミュンヘン大会のラッセ・ヴィレン(FIN)以来でしょうか?
できれば最後まで競り合ったポール・タヌイ(KEN/九電工)に勝ってもらって、日本語のインタヴューが聞きたかったところですが、余裕度が全然違いました。

大迫傑は、タフな展開に中盤までよく対応したものの、本人が言うように世界が相手だとまだまだ力不足。せめて第2集団で粘るくらいのところは見せてほしかったのですが…。

男子走幅跳では安定感ナンバーワンと推したグレッグ・ラザフォードが、予選で3回目にようやく10位に入る冷や汗通過で、ますます混戦模様。結局、フィールド種目3回連続での「6回目の大逆転」で、アメリカのジェフ・ヘンダーソンが優勝をさらい、全米での「LJ好景気」をそのまま発揮する結果となりました。ラザフォードも6回目に3位に上がるジャンプで、まずは面目躍如といったところ。

6回目はそれまでトップにいたルポ・マニョンガ(RSA)が、ラスト3人の大ジャンプ連発でヒヤヒヤの連続だったでしょうが、何とか銀メダルは確保。
最終跳躍者だったジャリオン・ローソン(USA)も金メダルラインの付近に着地して場内は騒然となりましたが、記録が出てみると7m78。これにはローソン憤然と抗議し、見ているほうとしても「計測器の間違いでは?」と思いましたが、スロー映像にはローソンの左手が砂場を掃いているところがはっきりと映し出されていて、一件落着。しかし当人にとっては、諦めきれない幻のメダルだったでしょう。



そして、本日のメインディッシュは女子100m。

トラック種目史上初の3連覇を狙ったシェリー-アン・フレイザー-プライスが好スタートを切ったのも束の間、中盤から軽やかに抜け出したエレイン・トンプソンが10秒71で圧勝、シェリーアンから女王の座を継承するレースとなりました。
その1時間半ほど前に行われた準決勝で、2組1着となったシェリーアンをスキッパーズら他の選手が嬉しそうに祝福し、それに彼女が感極まったような表情を浮かべたのが、とても印象的でした。それほど、今季前半の彼女の不調は深刻で、表舞台で笑顔を絶やさない人気者の陰での苦しみを、周りの選手も気遣っていたのだなと推察されました。
みごと本番に間に合わせて全盛時に近いスタートを取り戻したシェリーアンでしたが、若い力の前に屈し、それでもレース後の彼女の表情はとても晴れやかでした。
RIO016

七種競技は、前日走高跳での快記録の流れをそのままに、やり投で大本命のジェシカ・エニス-ヒル(GBR)に7m以上の大差をつけたナフィサトゥ・ティアム(BEL)が、最後の800mで先頭を走るエニスヒルには大きく離されたものの35点差で粘り切り、優勝しました。
記録は、100mH13"56-HJ1m98-SP14m91-200m25"10-LJ6m58-JT53m13-800m2'16"54 で総合6810p.のNR、
対するエニス-ヒルは、12"84-1m89-13m86-23"49-6m34-46m06-2'09"07の6775p.
3位は夫婦金メダルを目指していたブリアン・テイセン-イートン(CAN)でした。
混成競技の最終種目は、レースでありながらまったく自分自身との戦いとなります。最後に待ち受ける最も過酷な種目を終えて、7種目を“完走”した選手たちの笑顔には、いつも感動というよりは、羨望を感じてしまいます。
RIO017

さあ、間もなく女子マラソンがスタートですよ!