豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

キャスター・セメンヤ

ロンドン世界選手権観戦記 ④ ~今大会のベストレース候補!


女子1500m決勝は、その顔ぶれといいスリリングなレース内容といい、大会前半を通じてのベスト・レースとも言える素晴らしいものでした。

世界記録保持者&ディフェンディング・チャンピオンのゲンゼベ・ディババ(ETH)。
オリンピック・チャンピオンのフェイス・キピエゴン(KEN)。
2016DLツアー・チャンピオンにして地元のヒロイン、ローラ・ミュアー(GBR)。
今季無敗のWL、シファン・ハッサン(TUR)。

女子1500mは、2015年からの2年間で、ここに挙げた順に主役の座が入れ替わってきている種目なんですね。
2015年7月、主戦場としていた5000mから突然矛先を向けたDLモナコ大会で、ゲンゼベは22年間難攻不落を誇ったチュ・ユンシャ(CHN)の世界記録を更新、その勢いのままに北京世界選手権も征服。
しかしオリンピック・シーズンになるとゲンゼベは故障で出遅れ、ほぼぶっつけに近い形で臨んだリオの決勝では残り2周でロングスパートの奇襲を試みるも、冷静に距離を測っていたキピエゴンの末脚に屈します。
2016年のDL戦線は、ゲンゼベのいない間に着々と勝利を重ねたキピエゴンが優位に立ち、最終戦でポイントを上げさえすればツアー優勝という状況にありながら、その最終戦は伸びてくるはずの直線でずるずると後退しノーポイント。代わって、このレースで2着に入ったミュアーが大逆転でツアー・チャンピオンを獲得しました。
室内シーズンもミュアーの好調は続いていたのですが、シーズンインしてみると無敵ぶりを発揮したのがハッサンです。ゲンゼベとミュアーはやや調整不足と見える中、パリでキピエゴンとの直接対決も制したハッサンが、今回の中心選手の位置に躍り出てきました。

加えて、
800mの絶対女王、キャスター・セメンヤ(RSA)。
全米チャンピオンで2011年テグ大会優勝、リオ銅メダリストのジェニー・シンプソン(USA)。
セメンヤの1500は未知数ながら、ペースメーカーのいない世界選手権のレースならば、終盤での猛スピードを存分に生かせる展開となることが予想され、脅威の存在です。
また、レース巧者としては随一の強みを持つシンプソンは、テグの再現を図るには相手が強くなっており、こちらもハイペースの展開には少々苦しいものの、4分前後の勝負ならば自在に動いてくる勝負強さは侮れません。

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レースは、この「6強」が鐘の音を聞くとともに猛烈なデッドヒートを展開…いや、一人セメンヤだけは直線勝負を決め込んでいるのか、後方を不気味に追いかけます。
実は有力どころの中には、ゲンゼベ、ミュアー、ハッサンと、いずれもロングスパートを武器とするタイプが多いんですね。それも、それぞれタイプの違うロングスパートです。
ミュアーとゲンゼベは、スタートから速いペースで押し切りたいタイプで、特にゴール前の切れ味がないミュアーとしては、主導権をとって早めに他を引き離しにかかりたいところ。
ゲンゼベは、好調ならばスタートから他を寄せ付けない、またどこからでもスパートできる絶対的脚力がありますが、自身のコメント(状態は70%)のとおり、準決勝で本来の出来でないことを示してしまいました。
ハッサンは、序盤は後方待機で脚を温存して、ラスト1周にかかるところで一気に先頭を奪うタイプ。
言うなれば、「逃げ」「先行」「まくり」という三者三様ぶりです。
他の3人は言うなれば「差し」「追込」というタイプ。
キピエゴンもロングスパートできる柔軟なスピードを持ってはいますが、昨年のDL最終戦でミュアーのロングスパートを抑え込みにかかって失速した苦い経験がありますから、今回は直線勝負に賭けるはず。
シンプソンは、競輪で言うところの「マーク屋」ですね。「こいつだ!」という選手の背後にピッタリ貼り付いて、直線で逆転を図ります。その標的の見極めが常に秀逸。
セメンヤは、後方から爆発的なラストスパートを炸裂させたい追い込み作戦でしょう。

…とまあ、そんなことはレースの前に書けよ、という声が聞こえてきそうですが、すんません。そんなふうに予想しましたよ、ということではなくて、レースを見て振り返ってみると、そういうことだったな、という意味で書いてます。
で、そういう展開になりまして、ミュアーが逃げ、ハッサンがまくり、キピエゴンが差し、シンプソンがなだれ込み、セメンヤが追い込んだ、と。絶不調のゲンゼベも、勝負どころで先団を射程距離に捉える見せ場は作ってくれました。

まさに「名勝負」!舞台が整い役者が揃うと、素晴らしいアンサンブルが堪能できるという見本のような好レースでした。
意外なことに、この種目でケニアが金メダルを獲得したのは、初めてのことなんですね。

 
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ロンドン世界選手権展望 ② ~絶対王者の動向に注目


DLモナコ大会でのウサイン・ボルトを、皆さんどう見られたでしょうか?
私の見立ては、前回の記事を書いた時の状況と変わりなし、というものです。
つまり、今回世界選手権のラスト・レースに臨むボルトは男子100mの中心にはいるものの、絶対的な本命とするほどの高みにいるわけではなく、近年では比較的レベルが低い100mレースの中にあって優勝候補の一人に過ぎない、という状況です。
勝ったとはいっても、日本選手と互角の実力と目されるスー・ビンチャンあたりに「あれ、ひょっとして俺、ボルトに勝っちゃうかも?」と思わせるようなレースであったことは否めません。
もちろん、残りの約2週間できっちりと仕上げてくる可能性は高いでしょうし、それが偉大なるボルトの最大の武器でもあるのですが、それはガトリンやブレイクなど他の選手にも言えることです。結局、その時点で最もいいフィジカル・コンディションを作り上げた選手が勝つ、ということになるでしょう。

ボルトのことはひとまず措いて、今大会で間違いなく「主役」の重責を担い、そしてまず間違いなくその大任を果たすだろう、と思われる選手たちについて、今回はまとめてみたいと思います。

◆こちらも“ラスト・ラン”、地元の英雄モー・ファラー
モハメド・ファラーが世界選手権に初登場したのは、2007年の大阪大会。5000m6位というのがデビュー戦の成績でした。
翌年の北京五輪は予選落ち、続く09年ベルリン大会は7位と振るいませんでしたが、11年テグ大会で5000m優勝、それに先立ち10000mではゴール寸前まで単独トップを快走しながらイブラヒム・ジェイラン(ETH=この年、Hondaに所属)の猛烈な追い込みに屈して2位。翌12年以降は、2度のオリンピック、2度の世界選手権で全て5000・10000の2冠を制し続けています。
そのファラーは昨年のリオ五輪で史上2人目となる「長距離2種目2連覇」を易々と達成した後、34歳となる今年をトラック・レースのラスト・シーズンとすること、以後はマラソンをはじめとするロード戦線に専念すると宣言しています。

その強さ、その鉄板ぶりを支えているのは、どんなペースや展開になっても今のところは100%の確率で繰り出されている、ラスト1周53~54秒(時に52秒台)という強烈なラストスパートです。長距離種目をお家芸とするケニア、エチオピア等が複数のランナーで包囲し、自転車レースさながらのチーム戦術でファラーの勝ちパターンを封じ込めようとしても、一向に動ずることなく最後の1周で勝負を決めてしまいます。
昨年のリオでは、10000mの序盤で転倒しながらも何事もなかったかのように優勝。今年も、DLユージーン大会5000mで、ヨミフ・ケジェルチャ(ETH)、ジョフリー・カムウォロル(KEN)以下に、差は僅かですが測り知れないほどの実力差を見せつけて快勝。調整にも、年齢的な瞬発力の変化にも問題はなさそうです。

このファラーが、2012年以降のレースで途中のペース変化に消耗して失速したり、終盤のデッドヒートに競り負けたりといった光景を、私は見たことがありません。せいぜい、1500mのレースに出てさすがにトップのスピードに追走するのが精一杯だった、ということがあったくらいです。(とはいえ、1500でも3分28秒台!のPBを持っているのです)
まず、負ける場面を想像しがたいというのが正直なところなのですが、勝負に絶対はあり得ません。打倒の候補としては、5000mでは今季WLの12分55秒23を見事なラストの斬れとともに叩き出したムクタル・エドリス(ETH)か、猛暑の全米選手権を13分08秒台で圧勝したポール・チェリモか、といったあたりでしょう。
初日に行われる10000mのほうは、いよいよ盤石です。せいぜい、日本人選手がいないぶん、ポール・タヌイ(九電工)やビダン・カロキ(DeNA)の善戦を期待しましょう。

Mo Farah
オリンピック・チャンピオン・ユニを着てDLレースを走るファラー
(https://www.iaaf.org/news/news/farah-birmingham-iaaf-diamond-league)

◆スプリント新女王トンプソン
前回北京大会まで、女子スプリント、とりわけ100mの絶対女王に君臨していたのは、シェリー‐アン・フレイザー‐プライス(JAM)でした。自身で経営する美容院仕込みのド派手なヘアスタイルが毎回楽しみでしたが、前回は特に、緑色のドレッド・ヘアにヒマワリの花が5つ並んだ髪飾りという艶姿で、あっと驚かせてくれました。
そのシェリーアンの“子分”よろしく、同じヒマワリの髪飾り(ただし花は4つ)をつけて登場し、200mで日の出の勢いのダフネ・スキッパーズ(NED)に肉薄したのが、エレイン・トンプソンの世界デビューでした。
翌年のリオで、あれよあれよという間に100、200を制覇。100m3連覇を狙っていたシェリーアンの正統的後継者と、スキッパーズが手にしかけていたスプリント・スターの座を、いっぺんに手に入れてしまいました。リオで200のレースが終わった時には、トンプソンを祝福した後に鬼のような形相に一変しスパイクを地面に叩きつけて悔しがったスキッパーズでしたが、それ以降も、そのリベンジをトンプソンはことごとく返り討ちにしています。

今季はDLユージーン大会の200mで、21秒77(+1.5)の激走を見せたトリ・ボウイ(USA)の前に一敗地にまみれたとはいえ、DL100mでは4戦全勝。決して大差で勝っているというわけでもありませんが、隙の無さを感じさせる勝ちっぷりで、自身とシェリーアンが共有している10秒70のジャマイカ記録の更新も、十分に期待できそうです。
ロンドンでは、ボルトと同様に200を回避して100mと400mリレーに専念。100mのジャマイカ勢は、シェリーアンが産休に入ったのをはじめ完全に新旧交代の時を迎えており、マリー‐ジョゼ・タルー、ミリエル・アウレ(ともにCIV)、ブレッシング・オカグバレ(NGR)、ミシェリー・アイー(TTO)といった常連組もやや役者不足。女王奪還を目論むアメリカ勢の調子如何にもよるでしょうが、トンプソンが100mの大本命であることは間違いありません。
Elaine Thompson
(https://www.iaaf.org/news/report/thompson-miller-uibo-rabat-diamond-league)



◆強過ぎる!女子800mは「連単」なら1点買い?
キャスター・セメンヤ(RSA)の強さは、もうどうしようもありません。モナコでは1分55秒27のWL(南アフリカ記録)を余裕で叩き出して、30年以上破られていない世界記録すら、視野に入ってきています。
積み上げた連勝記録は現在18。これは女子のこの種目では、驚異的と言っていいでしょう。そのほとんどで2着を占めているのがフランシーヌ・ニヨンサバ(BDI)で、連勝単式ならば1点買いしか考えられないという趨勢です。モナコではセメンヤに0.20秒差と善戦したとはいえ、余裕度が違いました。さらに、3着マーガレット・ワンブイ(KEN)で「三連単」も鉄板、と言いたいところでしたが、こちらはモナコで最下位に沈んでちょっとミソつけちゃいましたね。
ドーピング禍で沈黙しているロシア勢あたりが復活してこないと、セメンヤの快進撃はそうそうストップできないのではないか、という気がしています。

◆「ネクスト・ボルト」はヴァンニーケルク?
ネクスト・ボルト、と言えばいっときヨハン・ブレイク(JAM)の代名詞になっていましたが、現状でこの名にいちばん近いところにいるのが、400mの世界記録保持者ウェイド・ヴァンニーケルク(RSA)でしょう。
リオで記録した43秒03というタイムの物凄さは、ゴールしてまるで表情を変えない静かな佇まいによって、いっそう凄味を増した感があります。その点、テレビ映りを常に意識しつつファンサービスに余念のないボルトとは好対照ですが、その記録が42秒台に突入、ということにでもなれば、いよいよ陸上界の主役は彼のものとなるでしょう。
今季はその足固めをするかのように、100mで9秒94(+0.9)、200mで19秒84(+1.2)と次々にPBを更新。(100で9秒台、200で19秒台、400で43秒台の記録を持っているのは史上ただ一人です)特殊種目の300mでも世界最高記録の30秒81を出しています。本業の400mでは、DLに2回登場していずれも軽~く43秒台で優勝。
今回は400だけでなく200mでも、ボルト4連覇の後を承けてマイケル・ジョンソン以来の二冠を狙ってくる計画のようです。

ただ、記録的に見ると200mではアイザック・マクワラ(BOT)が19秒77(0.0)と一歩リードしており、DLモナコの400mでも先行したヴァンニーケルクをマクワラが直線入り口でいったん追い越すという意外な接戦を展開しています。それを冷静に差し返したヴァンニーケルクの強さが印象的ではありましたが、警戒心は相当に抱いたことでしょう。
それでも、400mに関する限り、42秒台を見据えたヴァンニーケルクの勝利は不動ではないでしょうか。400の準決勝と決勝の間の日に予選が行われる200mのほうは、「勝てれば儲けもの」の心境でいけば、2冠は意外に簡単に転がり込んでくるような気もします。ただし、こちらにはマクワラのほか、100との掛け持ちになるブレイク、アンドレ・ドグラス(CAN)、クリスチャン・コールマン(USA)といった強敵も、手ぐすねを引いているはずです。

いずれ、ヴァンニーケルクが100mにもエントリー、なんてことになったら凄いですね。ちなみに、100m、200m、400mのスプリント3種目すべてで金メダルというのは、1956年のメルボルン五輪(100・200)と64年東京五輪(400)の2大会にまたがって女子のベティ・カスバート(AUS)が達成しているのみです。

◆ラシツケネとヴォダルチク…鉄板中の鉄板はこの二人
と、最後は雑になってしまいますが、強過ぎるぶん、但し書きが少なくなってしまうもので。
女子走高跳のマリア・ラシツケネ(ANA=旧姓・クチナ)と同ハンマー投のアニタ・ヴォダルチク(POL)です。
※ANAは「Authorized Neutral Athlete」…ナショナルチームに所属せず出場権を認められた選手。ドーピング問題で資格停止中のロシア陸連とは無関係に、IAAFの大会に出場を認められているロシア国籍のラシツケネ、セルゲイ・シュベンコフ(男子110mH)、ダリア・クリシナ(女子走幅跳)などの選手たちについての“国名表示”で、国旗は白無地で表現されます。

前回北京大会で先輩のアンナ・チチェロワを下して世界一の座を獲得しながら、ロシアのドーピング問題でオリンピック・イヤーを棒に振らされたラシツケネは、今季解き放たれたかのように5月27日(DLユージーン大会)以降毎週のように試合に出場、14戦全勝、2m06を筆頭に11試合で2m以上をクリアしています。ラシツケネ以外で、今季2mをクリアした選手はまだいません。
オリンピック・チャンピオンのルース・ベイティア(ESP)が38歳となった今季まったく振るわず、銀メダルのミレラ・デミレヴァ(BUL)も低空飛行、となるともはやライバル不在の独擅場となるでしょう。ローザンヌでチャレンジした2m10の世界新記録の高さに、ロンドンで再びバーを上げられるかが興味の焦点です。滅多に見せない美しい笑顔を、ぜひ見たいものです。
あとの興味は2位争い。全米で1m99を跳んだヴァシュティ・カニンガム(USA)、モナコで97まで伸ばしてきたユリア・レフチェンコ(UKR)の19歳コンビ、もしダブルエントリーしてくるならですが、七種競技の優勝候補筆頭ナフィサトゥ・ティアム(BEL)といった新興勢力に期待です。

女子ハンマー投も、非DL種目のためTV等では伝わってきませんが同じような状況で、ヴォダルチクが8戦全勝。79m73をSBとして、すべての試合で75m以上を投げ、ただ今38連勝継続中。
ランキング2位のグウェン・ベイリー(USA)とは3m弱の大差がついており、あとは中国のワン・チェンが73~76m台を安定して投げているくらい。チャン・ウェンシウは72m台と低迷中で、おなじみのベティ・ハイドラー(GER)は音沙汰なし。
どうやら、ヴォダルチク一人が毎年着々と記録を伸ばしているのに対して、対抗格の選手たちが脱落して、ますます格差社会になりつつあるのがこの種目のようです。興味は、ヴォダルチクの4年連続世界新記録なるかどうか、その1点のみでしょう。

今回ご紹介した「鉄板大本命」の選手たちに共通しているのは、その地力もさることながら、大試合できっちりと最高のパフォーマンスを出してくる調整能力の高さです。単にハイレベルな記録を狙うだけでなく、この点を日本人選手たちには真剣に研究してもらいたいものだと思います。

サンディ・モリスが5m征服~DL最終戦ブリュッセル大会



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IAAFダイヤモンドリーク2016の最終戦が、ベルギーのブリュッセルで行われました。
ツアー・チャンピオンを確定的にして、あとは記録を狙うだけということで世界新記録の期待が高まった女子5000mのアルマズ・アヤナ、男子3000mSCのコンセスラス・キプルトは、いずれもペースメーカーに恵まれず彼らとしてみれば平凡な記録に終わったのに対して、女子棒高跳でリオ銀メダリストのサンディ・モリスが5メートルの大台を征服。ツアーチャンピオンこそ安定無比のエカテリニ・ステファニディに譲ったものの、一気にこの種目のリーダーの地位に躍り出て、大会の話題を独占する形となりました。

全体的にはやや盛り上がりを欠いた感があり、16種目中10種目でポイント・リーダーが敗れるという結果になりました。うち8種目ではリーダーが辛うじて逃げ切り、残り2種目(男子走高跳と女子400mH)は逆転劇となったのですが、男子HJなど記録的には極めて低調なものでした。
特記事項としては、女子400mでスポット参戦して優勝をさらったセメンヤでしょうか。
前回の放送で解説の石塚さんが「次の大会の要注目選手」の一人に「800mのセメンヤ」を挙げていたので、あらら、800mはもう終わってセメンヤはちゃんと優勝してるのに、石塚さん、どうかしちゃったかな?…と思わされたのですが、なるほど、400に出る、ということだったんですね。(そうは言ってなかったんで、相方の赤平アナもキョトンとしてましたが)
とはいえ私、今回のエントリー・リストからはセメンヤの名を完全に見落としておりました!これを含めて、「展望」の「主なエントリー選手」のリストに載っていない選手が4人も優勝してしまいまして、まことに紅顔の至り。

<ダイヤモンドレース・チャンピオン>
 (ファイナル優勝者が別の選手だった場合※に表記)
 ◇男子200m アロンソ・エドワード(PAN) ※ジュリアン・フォルテ(JAM)
 ◇男子800m ファーガソン・ロティッチ(KEN) ※アダム・クシュチョト(POL)
 ◇男子1500m アズベル・キプロプ(KEN) ※ティモシー・チェルイヨト(KEN)
 ◇男子110mH オーランド・オルテガ(ESP)
 ◇男子3000mSC コンセスラス・キプルト(KEN)
 ◇男子走高跳 エリック・キナード(USA)
 ◇男子走幅跳 ファビリス・ラピエール(AUS) ※ルーヴォ・マニョンガ(RSA)
 ◇男子円盤投 ピヨトル・マラホフスキー(POL) ※ダニエル・ストール(SWE)
 ◇女子100m エレイン・トンプソン(JAM)
 ◇女子400m ステファニー・アン・マクファーソン(USA) ※キャスター・セメンヤ(RSA)
 ◇女子5000m アルマズ・アヤナ(ETH)
 ◇女子400mH カサンドラ・テート(USA)
 ◇女子棒高跳 エカテリニ・ステファニディ(GRE) ※サンディ・モリス(USA)
 ◇女子三段跳 カテリーネ・イバルゲン(COL)
 ◇女子砲丸投 ヴァレリー・アダムズ(NZL) ※ミッシェル・カーター(USA)
 ◇女子やり投 マデイラ・パラメイカ(LAT)

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さて、今回はもう、モリスの話題だけでいいでしょう!
とにかくこの人、美人でセクシーでかっこイイ。「女性で筋肉モリモリはどうも…」という向きには強いてご推奨はしませんが、なんとなく、「ワンダーウーマン」とかのスーパーヒロインもの映画に出させたいくらい、凄い存在感があります。
私はオリンピック以前からファンでしたが、今や大ファンとなりましたっ!

それにしても「展望」に書いたとおり、ステファニディとモリスの一騎討ち、それも、ステファニディは4m80前後を確実に跳んでくるけど、5mを跳ぶ爆発力はモリス、という予想がバッチリ当たりましたね。
本日のシリーズ・マークは次のとおり。
 4.52 ×○ 4.58 ○ 4.64 ○ 4.70 ×○ 4.76 ×- 4.82 ○ 4.88 ○ 4.94(DLR、WL) ○
 5.00 ×○ 5.07(WR)×××
4m76はステファニディに先を越されてしまったので2回目をパスして4m82を一発クリア。以後、4m94までノーミスでステファニディを競り落とすと、夢の5mへ。
4m82から、ずっと左太腿のポッコリ膨れた筋肉にバーがかすってるんですよね。5m00の時なんかは、太腿、お腹、胸とすべてかすってバーは大きく揺れましたが、「お願い、落ちないで!」のポーズに何とか踏みとどまってくれました。
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毎回同じところを同じようにかするということは、それだけ跳躍の踏切とタイミングが極めて安定していたということでしょう。惜しむらくは、もう少し高い記録から開始していれば、13本目の跳躍で5m07の世界新記録に挑む、ということにはならなかったかもしれません。次の機会からは、とうぜん彼女は5m07を意識して高さを決めてくることになるでしょうね。 
いっぽう、ツアーチャンピオンを確定させながらも主役の座をすっかり奪われた形の、ステファニディの心境やいかに?…この先の2人の対決が、またまた楽しみになりました。

他の競技は先にも書いたとおり概ね低調でしたが、しいて挙げるとすれば、ポイント対象外のB級メンバーながら地元の大声援を受けて優勝した、女子走高跳のティアムでしょう。
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今回は、男子と女子の走高跳が2つ並んだピットで同時進行するという、非常に珍しい競技運営でした。ちょうど、大試合の予選がA・B2つのピットで行われるような感じです。
女子の優勝記録は1m93で、ティアム自身のPB(七種競技中の種目別世界最高記録)には5センチ及びませんでしたが、しなやかなフォームは助走・踏切さえ安定すれば2mオーバーを十分に予感させるものです。ぜひ、来シーズンはこちらも「専門種目」として、取り組んでほしいところです。

これで、今季のダイヤモンドリーク15戦がすべて終了しました。13日にはフランスで「デカネーション」が行われるなど、ローカル大会はまだ残っているでしょうし、日本国内では全日本実業団、国体などを残しているとはいえ、世界のトラック&フィールドはいちおう2016年シーズンの閉幕を告げようとしています。
ここ数日は真夏のような蒸し暑さが続いていますが、もういくらもしないうちに、「駅伝・マラソン」の季節がやって来ます。
 

DLファイナルに野澤啓佑参戦!~第14戦・チューリッヒ大会



世界は慌ただしい。休む暇もなく、明後日1日深夜(2日未明)には、ダイヤモンドリーグ第14戦・チューリッヒ大会が行われます。ダイヤモンドレース32種目のうち、半数の16種目で年間チャンピオンが決まる最終戦が行われます。

プログラム(時間は日本時間)と主なエントリー選手は次のとおり。選手の順番はDLポイント順で、太字の選手は年間王者が確定済です。(最終戦は1位20点、2位12点、3位8点、以下6点・4点・2点。年間王者となるには最終戦出場が条件となります)

 1:45 男子棒高跳 R.ラヴィレニ、ケンドリクス、バーバー、ティアゴ・ブラズ・ダ-シルバ
 2:05 女子走幅跳 I.スパノヴィッチ、ウゲン、リース、バートレッタ、モケナラ、クリシナ
 2:35 女子円盤投 S.ペルコヴィッチ、カバジェロ、ミュラー、ロベールミション
 2:45 女子走高跳 R.ベイティア、スペンサー、トロスト、リキンコ、デミレワ、ユンクフライシュ
― ここから生中継開始 ―
 3:05 女子400mH ※ポイント対象外 ペテルセン、ドイル、リトル
 3:05 男子砲丸投 T.ウォルシュ、コヴァックス、クラウザー、マイエフスキー、シュトール
 3:13 男子5000m M.エドリス、ケジェルチャ、ゲブリウェト、ロンゴシワ、タヌイ、ラガト
 3:34 女子200m D.スキッパーズ、フェイシー、アシャー-スミス、トンプソン、フェリックス
 3:41 女子1500m F.キピエゴン、ミュアー、バータ、ハッサン、セヤウム、シンプソン
 3:50 男子三段跳 C.テイラー、コペイヨ、カーター、ベナード、エヴォラ
 3:53 男子400m L.メリット、マクワラ、タプリン、ガーディナー
 4:00 男子やり投 T.レーラー、ヴァドレイヒ、ウォルコット、ヴェーバー、ピトカマキ
 4:02 女子800m C.セメンヤ、ニヨンサバ、サム、シャープ、ビショップ
 4:12 女子100mH K.ハリソン、ハーパー-ネルソン、ストワーズ、オフィリ、ロールダー
 4:20 男子100m B.Y.メイテ、パウエル、ロジャーズ、マルティナ、コリンズ、マクレオド
 4:28 男子400mH K.クレメント、クルソン、ベット、トゥムティ、マギ、野澤啓佑
 4:36 女子3000mSC R.ジェベト、キエン、アセファ、チェプコエチ、コバーン

放送開始前から始まるフィールド各種目では、すでに年間優勝が確定している種目が並びますが、いずれもトップランカー勢ぞろいという感じで目移りがします。特に注目は、男子棒高跳に、オリンピック・チャンピオンのティアゴ・ブラズ・ダ-シルバが最終戦にして初参戦すること。王者ラヴィレニにとっては千載一遇のリヴェンジのチャンスが、向こうからやって来てくれました。
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トラック種目では、女子200m、100mHを除いて年間優勝争いは大混戦。
最初の男子5000mは、モー・ファラーが1試合にしか出場しなかったことでエチオピアの若手勢にチャンスが生まれました。エドリスとゲブリウェトが22歳、ケジェルチャが19歳…顔を見ただけじゃ分かんないもんです。

女子200mは、すでに年間優勝を決めているスキッパーズとトンプソンの女王対決が実現しそうです。ローザンヌとパリでの走りを見た限りでは、トンプソンが引き続き波に乗っている感じがします。さらにはアリソン・フェリックスやヴェロニカ・キャンベル-ブラウンなどの参戦も、白熱のレースに華を添えてくれます。

女子1500mはフェイス・キピエゴンの独走気配でしたが、パリで鮮やかな逃走劇を決めたローラ・ミュアーが「待った!」をかけました。今度はキピエゴンも楽には逃がさないでしょうし、展開ひとつでどう転ぶか分かりません。

男子三段跳は、意外にもまだクリスチャン・テイラーの優勝が確定していませんが、4位以内なら自力確定ということで問題ないでしょう。今年のテイラーは同僚のウィル・クレイにはたびたび冷や汗をかかされたものの、18mを跳ばないと勝てないというほどのライヴァルには恵まれませんでした。

男子400mはウェイド・ヴァンニーケルクとキラニ・ジェームズが回避したためラショーン・メリットの独擅場になりそうです。


男子やり投は、イハブ・アブデルラーマン(ドーピング)とジュリアス・イェゴ(オリンピックで負傷)が脱落してしまいましたが、今季最も好況を呈した種目の一つでした。タレントが多彩で、一発の面白さもあり、またそこに日本の新井涼平が加わるといっそう興味深い試合が繰り広げられたものです。今回、その新井の参戦がないのは残念ですが、テロ・ピトカマキが久々に登場します。


女子800mは、キャスター・セメンヤの独り舞台でしょうね。今季は出場したすべてのレースで、まったく負ける姿を想像させない強さを見せ続けました。2番手にニヨンサバ、というのも定着してきたパターンです。

女子のMVP候補筆頭のケンドラ・ハリソンが、最終戦をどんな記録で締めくくるか?圧倒的な選手層を見せつけたアメリカ・チームから、オリンピックのメダル・トリオの参加がないのは少しガッカリです。その分ハリソンのぶっちぎりぶりを楽しみたいと思います。

男子100mはボルトはじめ、年間チャンピオンが有望だったガトリン、あるいはデグラスといったメダリストの名前がなく、ファイナリストもシンビネとメイテの2人のみ。元世界記録保持者のパウエルには失礼ながら、DL最終戦にしてはB級メンバーといった中で、面白いのは110mHのチャンピオン、マクレオドの参戦。9秒台の実力がどんなものか、楽しみはここですね。

そして男子400mH、野澤啓佑の勇気あるチャレンジに大喝采!…これです、これが日本の選手にどんどんやって欲しいことなんですよ。オリンピック前までは世界ランキング上位だった野澤も、気が付けばこのメンバーではシーズン7位、PBでは最下位。ですが、こうした経験を積み上げることで、世界と戦える実力を培ってほしいと思います。(ほとんどの選手が契約メーカーのユニフォームを着て出てくるDLには、所属のミズノとしても「もっとアピールせにゃならん!」と思ってるんでしょうね。何せ半分以上がブラック・ストライプのウェアに黄色/ピンクのシューズ履いて出てきますから)

最終戦・前半の締めくくりは、女子3000mSC。よもや中5日で世界記録更新を狙ってくるとは思えませんが、ルース・ジェベト、ハイヴィン・キエン、エマ・コバーンらの走りを堪能しましょう。

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リオ五輪陸上競技TV観戦記・Day7&展望



どこかでやるんじゃないか、とほとんど寝ないでTV放送を注視していましたが、やっぱりDay7のMorning Sessionはまとまった録画放送もしてくれませんでした。僅かに男子400mリレー予選の2レースを見せてくれたのみ。いまだに男子400mH決勝は、ネット以外では見ていません。
レスリングなんて、日本選手が出てくる場面以外を延々と放送してくれてますよね。それはそれで、レスリングも大好きな私としては嬉しいことなんですけど、どっかで陸上に切り替えてくれてもよさそうなもんなのに…なんでゴルフなんか長時間やってるのよ…ブツブツ。

それにしてもっ!…とここで400mリレー日本チームの快挙について語りたいところですが、その前に。
バドミントン女子ダブルスのタカマツペア、最後に16-19の劣勢から5連続ポイントでの素晴らしい大逆転優勝。
振り返れば今回の日本チーム、対戦競技でのメダルマッチの勝率が非常に高いです。「決勝に勝って金メダル」はこれで柔道3、レスリング4、そしてバドミントンで、通算8勝4敗。「勝って終わる銅メダル」は、奥原希望のバドミントンを含めると12勝3敗。で、日本人は大いに溜飲を下げてるわけですね。
すべての事例に当てはまるかどうかは分かりませんが、少なくともタカマツペアの、あるいは体操・内村航平のあの土壇場における集中力や修正能力、抽斗の豊富さ、あれこそが、世界で戦い続けることによって培ってきた「競技力」というものです。

陸上の日本選手たちに決定的に欠けているものは、これだと思います。たかだか2度や3度のオリンピック・世界選手権の出場経験で、どうにかなるものではない「何か」です。
国内競技会を優先しなければならない諸事情や、もちろん経済的・環境的な課題もあるのだとは察しますが、普段から国際試合で揉まれることを繰り返していかないと、いつまでも「日本選手は実力を発揮できず予選敗退」の光景が繰り返されていくに違いありません。陸連のエライさんたちは、根本を見つめ直して強化に反映させていってもらいたいものです。

◇男子400mリレー予選(2組3着+2)
レース模様はおおむね既報のとおりで、付け加えることは大してありません。
アメリカはマイク・ロジャーズ-クリスチャン・コールマン-タイソン・ゲイ-ジャリオン・ローソンのオーダーで37秒65。決勝ではもちろん、ガトリンとブロメルを入れてくるでしょう。
ジャマイカはジェヴォーン・ミンジー-アサファ・パウエル-ニッケル・アシュミード-ケマー・ベイリーコールで37秒94。こちらはボルトとブレイクが入って、1秒近く戦力アップしそうです。
中国はタン・シンクィアン-シエ・チェンイ-スー・ビンチャン-チャン・ペイメンで37秒82。日本との戦力差を単純比較すると、ともに100m準決勝に進んだ山縣とケンブリッジ、スーとシエは合わせてほぼ互角。3番手の比較では10秒00を持つチャンの調子が上がらず、桐生がやや上。アンカー同時スタートなら、ケンブリッジが競り負けることはないでしょう。スターターのタンという選手の情報がほとんどありませんが、100mのベストは10秒30で200mが強いわけでもなく、もしかしたら決勝では昨年の世界選手権と同じメンバーにしてくるかもしれません。

中国は、14年のアジア大会で突然37秒台に突入して以来、バトンワークの乱れというものがほとんどありません。これは相当にチーム練習を重ねてきていると見るべきでしょう。ただ、気にかかるのは100mの走力アップばかりにこだわって、200mに出場するほどのランナーを養成していない点です。話すと長くなりますので別の機会にと思いますが、過去の日本チームの例を見るまでもなく、ヨンケイではロングスプリンターの役割が非常に大きい比重を占めるのです。そのことにまだ中国が気付いていないとすれば、ここに弱点が見出せます。

逆に日本の4人は(決勝も同じオーダーだと思います)、バトンワークもさることながら、全員が200mを20秒5以内で走れることが大きな強みです。(ケンブリッジのPBは20秒62ですが、もともと200mランナーでもあり、現在の走力は優に20秒3前後と考えられます)その意味でも、今回のチームは「史上最強」と言えるのです。
そして天下無敵のアンダーハンドパス。予選を見る限りはほぼ完璧、ということは小さなミスが大きなマイナス材料になるということですから、やはりそこが、同じくバトンワークの安定している中国との勝負を分けるポイントになってくるはずです。
あとは、イギリス。とうぜん決勝ではメンバーを替えてくるでしょうし、もう少し上手くバトンをつなぐはずです。日本のメダル獲得は、この中国・イギリスの難敵2チームに勝つことが、まず重要です。
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◇女子400mリレー

これもアメリカ・チームのお粗末ぶりは既報しましたが、その後インターフェアへの抗議が通って、昨日の夕方、アメリカ1チームだけでの再レースが認められました。ここで慎重にバトンをつなぎながらも41秒77のトップタイムをマークしたアメリカが決勝進出、暫定8位だった中国が予選通過を取り消されるという、前代未聞の成り行きとなりました。(9レーンの競技場でないことが中国には不運でした)
思えば、落としたバトンを改めてきちんとつなぎ直してフィニッシュまで走り切った(66秒71)のは、クレームを通すうえで非常に重要だったはずで、この時のアメリカチームのとっさの判断力は殊勲賞ものです。
相変わらず不安定極まりないアメリカのバトンワークは、前回ロンドンでは鮮やかすぎるほどに決まって40秒82の世界記録に結びつきましたが、いつ再び破綻するとも知れません。
男子も女子も、不思議と失敗しないジャマイカが、どうしても優勝候補筆頭ということになるでしょう。決勝ではアメリカにトリ・ボウイ、ジャマイカにエレイン・トンプソンという、それぞれの切り札が投入されてくると思われます。
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 最後は破れかぶれにバトンを投げたアリソン・フェリックス

◇男子400mH決勝
優勝候補の一角だったハビエル・クルソン(PUR)が、明らかなフライングで失格。泣きながらトラックを去った後にリスタートしたレースで、最初から攻めていったカーロン・クレメントが直線入り口では一人大きく抜け出し、またまた出てきました、という感じのケニア勢ボニフィス・トゥムティの猛追を振り切って47秒73で優勝。
クレメントは2005年ヘルシンキ世界選手権に19歳でデビューして以来、07年大阪、09年ベルリンと連覇する絶頂期を経て、最近はすっかり「決勝の常連」程度の地位に甘んじてきました。とうとう北京(銀)、ロンドン(8位)で果たせなかった悲願のオリンピック・チャンピオンの座に就いたわけで、その喜びようは傍目にも微笑ましいものに感じられました。
クレメントの大会直前からの勢いが、今季全体的に低調を極めたこの種目ではひときわ目立っていたように思います。終わってみれば4位までが47秒台を記録し、ようやく世界のヨンパーに活気が戻ってきました。

◇男子200m決勝
ウサイン・ボルトの完勝…ながら、19秒78(-0.5)というタイムには失望というよりは自身への怒りを覚えたらしく、今までにないくらいに渋い、ゴール直後の表情でしたね。2種目3連覇の締めくくりにしては、「画竜点睛を欠く」といった気分になったのでしょう。
それにしても、ミックスゾーンで待ち受ける何十というメディアからのインタヴューに、小一時間かけて一つ一つ丁寧な受け答えをしていく真摯な姿には、毎度感服してしまいます。大迫傑や甲斐好美に、少し説教してやってほしいもんです。

◇その他
ワンデイ・トーナメントで行われた男子砲丸投は、全米で史上23人目の「22mクラブ」に仲間入りしたばかりのライアン・クラウザーが、その時の記録を41センチ上回る22m52をプット、王者ジョー・コヴァックス(USA)を再度破るとともに、オリンピック記録を28年ぶりに書き替えました。

女子400mHは予想どおり、ダリラ・ムハマド(USA)の圧勝。世界女王ヘイノヴァは復調今一歩で、メダルに届きませんでした。

女子800m準決勝では今季無敵のキャスター・セメンヤ(RSA)の強さが際立ち、金メダルは堅そうな気配です。対抗格と目されていたユニス・ジェプコエチ・サム(KEN)、フランシス・ニヨンサバ(BDI)が消えたことで、これを脅かす存在は見つけにくくなりました。中長距離好調のアメリカはこの種目でもケイト・グレースが上位で決勝進出、リンジー・シャープ(GBR)やメリッサ・ビショップ(CAN)などメダル争いは白人女性の戦いとなりそうです。

男子1500m準決勝では、アズベル・キプロプ(KEN)がこちらも盤石の態勢。2番手筆頭の位置にあったエリジャ・マナンゴイ(KEN)がDNSで、ディフェンディング・チャンピオンのタウフィク・マクルフィー(ALG)とロナルド・ケモイ(KEN)、マシュー・セントロヴィッツ(USA)、アヤンレ・スレイマン(DJI)らの包囲網をキプルトがいかに凌ぐか、ロンドン五輪や今年のモナコDLの時のようなポカをやらかさないか、注目です。
Melissa Bishop
 女子800、やっぱりビショップに頑張ってもらいたい!

◇その他Day8展望
同じ日に男女の競歩が行われるというワケ分からないスケジュール。日本陸上チーム最大の期待、男子50km競歩は8時のスタートになります。
昨年世界選手権を独歩で制したマテイ・トト(SVK)の力が抜きんでているように思われます。今年は50kmレースから遠ざかっているらしいですが、本命は動かしがたいところ。
2位だったジャレド・タレント(AUS)は20kmを捨ててここ一本にかけてきており、中国勢も不気味。日本トリオにとって上位の壁はかなり高いようですが、ロシアのいない今回は大チャンス。ぜひとも、3人がほぼ同等の力を有するチームの利を活かして、メダルは運次第としても、全員入賞を果たしてもらいたいところです。

今日の注目種目の一つは、女子棒高跳決勝です。
今季インドアながら唯一5mを跳んでいるジェニファー・サー(USA)に、後輩のサンディ・モリスと今季無類の安定性を誇るDLリーダーのエカテリニ・ステファニディ(GRE)、さらには世界女王ヤリスレイ・シルバ(CUB)が絡んで、優勝争いはなかなか混沌。記録レヴェルも4m90から5mラインが勝負どころと思われ、仮にエレーナ・イシンバエワが出ていても予測しがたいほどの好勝負が見られそうです。
地元期待のファビアナ・ムーレルの予選落ちは残念でしたが、日本選手のいない種目ながら、TVでもぜひきちんと見せてもらいたいですね。

さらに、女子5000mのアルマズ・アヤナ(ETH)には、再び世界新記録を期待してよさそうです!

Sandi Morris
 私はサンディ・モリスを応援!
 https://www.iaaf.org/news/report/sandi-morris-pole-vault-american-record-houst

 
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