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今週末もDLローマ大会に始まって、個人インカレ、日本選手権混成競技と陸上競技のイベントは盛りだくさん、好況の男子スプリントを中心に話題のネタは尽きません。本来なら、競技の結果速報を含めて大車輪で戦評をお伝えしたかったところですが、無念なことに混成のライブ配信すら、ほとんど見る時間がありませんでした。
何はともあれ、『第101回日本選手権』を2週間後に控えて、ロンドン世界選手権を目指す有力選手たちのスケジュールが一段落し、あとは代表権争いの本番までの調整期間ということになります。参加標準記録到達者が思いのほか少ないのが気がかりではあるものの、そこは本番で大挙して突破~上位入賞というシーンを期待して、再来週を待つことにしましょう。
そこで、今回からはしばらく、『日本選手権』の展望という形で、今シーズンここまでの状況を確認してみたいと思います。

日本陸連HPより
◆男子100mは激戦模様
10日に行われた『日本学生陸上競技個人選手権』男子100m決勝で、多田修平(関西学院大3)が10秒08(+1.9)を叩き出したことで、安泰と見られていた「3強」(桐生祥秀・山縣亮太・ケンブリッジ飛鳥)による100m代表独占が、俄かに風雲急を告げる展開となってきました。
男子で現在最も「標準」到達者が多い激戦区が、この100mです。
むろん、多田は昨年来関西学生スプリント界の旗手として名のある選手であり、決してぽっと出の“新星”などではありませんが、1年前の段階では桐生の前にまったく歯が立たなかった(桐生10秒10、多田3着10秒36)ことを思えばその躍進ぶりは確かなものがあります。もっとも、桐生にしてみればローマまで遠征してまたもや向い風に祟られ、「個人インカレに出ていれば9秒台が出ていた」と、臍を噛む思いもあるかもしれません。
「標準」に到達済みの選手が4人(100mにエントリーのない飯塚翔太は含まず)。加えて、多田とともに「4番手」の位置を競い合ってきた大瀬戸一馬(安川電機)、長田拓也(富士通)、竹田一平(中央大)、さらに忘れちゃならないサニブラウン・ハキーム(東京陸協)と、9秒台一番乗りを虎視眈々と狙っているスプリンターはまだまだいます。今季いま一つの状態ながら、高瀬慧(富士通)もエントリーしています。
誰が優勝するかの前に、決勝進出することが一苦労という、大変なトーナメントになりそうです。
現状、「9秒台」に最も早くたどり着く実力を有しているのは山縣だと考えている私ですが、3月の海外初戦以来、足首の故障で戦線を離れている間の動向が気になるところです。先日放送されたNHK『“栄光なき天才たち”からの物語』(アニメの吉岡隆徳物語に山縣の近況を重ね合わせたドキュメンタリー番組)によれば、少なくとも5月下旬までは順調に練習を積んでいる様子が伝えられており、『布施スプリント』の欠場も大事をとってのことと思われ、日本選手権にはきっちりと仕上げてくるものと見ています。
そうは言ってもやはり、「ガラスの脚」が最大の懸念材料ということになるでしょうか。
潜在能力随一の桐生にはスタートの課題(完全に修復されたとは思えません)から来るメンタル面の不安、抜群の勝負強さを誇るディフェンディング・チャンピオン、ケンブリッジにはやや連戦の疲労もしくは実戦を重ねる中での競走への迷いが感じられ、飯塚に先着を許した布施スプリントのレースは、どこか中途半端なものでした。
このように「3強」それぞれに不安材料があり、ここに割って入ろうとするのが多田そしてサニブラウン、ということになるでしょう。
100m代表の「3枠」だけではなく、200mと併せたリレーメンバーの「6枠」争いもまた、熾烈なものになります。100mのスペシャリストである多田はこの点、日本選手権で3位以内に入って100mの代表権を得ておかないと「補欠」の芽はなくなるのではないでしょうか。(400mリレーには200mの走力が必要、という私の持論は下記に紹介する以前の投稿をご参照ください)
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◆さらに混戦?男子200m
飯塚が布施スプリントで「絶好調」を証明したことで、日本選手権では予選から「標準」突破を余裕で果たして代表に名乗りを挙げることが予想されます。
現在唯一の標準到達者であるサニブラウンは、その後レース出場がないようですが、100、200ともに3位以内を狙ってくるでしょう。海外での修行の成果が非常に楽しみです。
もう一人、好調なのが原翔太(スズキ浜松AC)。飯塚が10秒08(+1.9)を出した布施スプリントでは2着のケンブリッジに0.01秒差の10秒13でPBを更新しています。昨年僅かのところでオリンピック代表を逃した無念を、今度こそ晴らすことが出来るでしょうか。
こちらの「3強」のうち、藤光謙司(ゼンリン)は同じ布施のレースでPBを0.01秒更新する10秒23で走っており復調気配ですが、今季200mの実績がないのが気がかり。また高瀬の低迷ぶりは日本選手権に間に合うかどうか、かなり疑問です。
予選で規定内の風で「標準」を突破し、精神的に余裕を持った選手が決勝では優位に立つような気がしています。
◆マイル代表争いも熾烈
400mでは、本来ならば大本命となるウォルシュ・ジュリアン(東洋大3)が『ワールドリレーズ』でパンクしたきりインカレ戦線にも戻って来れませんでした。非常に心配なところですが、7月の『アジア選手権』代表に名を連ねたことで、復帰の態勢は整ったものと見てよさそうです。
同じリオ代表の加藤修也(早稲田大4)もインカレ欠場。この2人の状態如何で、マイルリレー代表争いはどう転がるかまったく分かりません。
『ワールドリレーズ』で初代表となった藤原武(ユメオミライ)、関東インカレを制した北川貴理(順天堂大3)、また小林直己(HULFT)、田村朋也(住友電工)、佐藤拳太郎(富士通)、堀井浩介(住友電工)ら、初優勝を狙う面々の誰が上位4人に入るか、何人が45秒台の声を聞かせられるか…。現状、ウォルシュ以外に標準突破の期待がかけにくいのが残念なところではありますが。
言うまでもなく、昨年連覇を途絶えさせられた金丸祐三(大塚製薬)の巻き返しにも期待です。ただ、近況は芳しいものではないようで、予選の走りに注目したいところです。
※参考記事
<連載>100m競走を語ろう
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/cat_172993.html
日本リレーチームはなぜ37秒60で走れたのか
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/6261252.html












