豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

陸上界にモノ申す

田中希実とメアリー・デッカー…37年の時空を想う



改めて。
田中希実選手(豊田自動織機TC)が『ホクレン・ディスタンスチャレンジ2020』
7月4日、第1戦士別大会1500mで日本歴代2位の4分08秒68、
7月8日、第2戦深川大会3000mでは18年ぶりの日本新記録となる8分41秒35で、
在日外国人選手有数の強豪ヘレン・エカラレ(豊田自動織機)を破って連勝を飾りました。
加えて、12日には兵庫選手権の800mに出場して2分04秒66の兵庫新記録。その前日には豪雨のため中止とはなったものの、1500mの出場も予定していました。これで、15日にはホクレン第3戦の5000mで14分台の自己記録を狙い、18日には3000mで再度の日本新を目論むというのですから、そのハードワークには驚きます。

連戦と種目のマルチぶりについてはさて置き、しばし「1500mと3000m」という話題で、たまたま本ブログにちょっとした偶然の暗合があったものですから、それについて書いてみます。

7月7日に投稿したばかりの『1983年世界陸上競技選手権ヘルシンキ大会』の記事で、大会のヒロインの一人となったメアリー・デッカー選手(USA)について紹介しました。
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/35487640.html
1983HELSINKI09
デッカーはこの大会で、当時のトラック女子最長距離種目だった3000m、続いて1500mを制して2冠女王となり、一躍世界のスター選手として脚光を浴びました。そのレース・スタイルは、徹底した先行逃げ粘り。「私の前を走るのは許さない!」絶対に先頭を渡してなるものかという強気なレースぶりが、人気の理由でもありました。
その優勝タイムは、
1500m 4分00秒90
3000m 8分34秒62
これが37年前の現実です。田中選手の大活躍に水を差すつもりはないのですが、いやー、まだまだ世界は遥か彼方ですね。
いま、2020年の時点で眺めてみると、現在の日本記録がこの大会の優勝記録を上回っている種目は、女子ではマラソンを除き、残念ながら1つもありません。5000m・10000mといった種目があれままた、話は違ってくるでしょうが、前述のように3000mがトラックの最長距離種目でした。銅メダル、というところへハードルを下げてみても、上回るのは走高跳1種目のみ、その走高跳も2001年にようやく83年の銅メダル記録を1㎝上回った後、日本記録の方はまったく更新の気配が見られません。

一方の男子はというと、規格の変わったやり投を除く23種目中、15種目で現在の日本記録が上回っています。
象徴的なのが、長年「世界との距離」を思い知らされてきたスプリント種目で、100mではカール・ルイスの優勝タイムが10秒07(-0.3)。これは近年の日本選手権とほぼ同レベル、と見ることができます。また当時の“高地記録”を除いた世界最高記録が、同じくルイスの9秒97(+1.5)。現在の日本記録がサニブラウン・ハキームの9秒97(+0.8)で、ちょうど「30数年前の世界レベルに追いついた」状況となっています。(やっとそんなもんか、という気もしますけど…)
400mリレーでは、9秒台を2人(ルイス、カルヴィン・スミス)擁したアメリカの優勝記録が37秒86の当時世界新記録。これは2019年の日本チームが同じく9秒台2人(桐生祥秀、サニブラウン)を擁して37秒43と、バトンワークの優位性を物語るように大きく上回っています。
ちなみに、男子でまだ上回れていない種目は、800m・400mH・3000mSC・走幅跳・三段跳・砲丸投・円盤投・十種競技の8つです。
※十種競技もやり投を含んでいるため厳密には現行記録と比較はできないが、現日本記録と83年の優勝記録との隔たりが大きいため、明らかに優劣が判断できるものとしています。

以上のことには、1980年代の陸上競技の記録が東欧圏の選手群を中心とした「推定ドーピング疑惑」に塗れており、その兆候が女子に於いてより顕著だという特殊な事情も関係していると思われますが、本質的には日本の女子アスリートのレベルアップが甚だしく遅れている、もしくはマラソン1種目に特化されている、という厳しい事実の記録的な裏付けだと、解釈されましょう。
日本女性の競技力の向上ぶりは、他のさまざまな競技を見る限りは実に目覚ましいものがあって、近年のオリンピックでの日本選手団の成果は、圧倒的に女子選手による活躍の話題で彩られています。そうした中で、陸上競技だけがいつまで経ってもカヤの外、という状況が、何とも寂しく、もどかしい。どうにかならないものか、というのが陸上ファンの切なる気持ちとしてわだかまり続けているのです。

マラソンを別にすると、オリンピックの歴史上で陸上のメダルを獲得した日本人女性は、人見絹枝さんのみ。(1928年アムステルダム大会800m銀メダル)
同じく世界選手権では、千葉真子さんだけです。(1997年アテネ大会10000m銅メダル)
入賞ということでさえ、指を折って数えるほどしかありません。
子供時代から長期にわたって陸上競技に打ち込む環境、特に文化的な環境が、日本人女性の場合他の様々な要因によって整い切らないという事情があるかもしれません。あるいは、全般的な指導法や組織的な強化方法に、何らかの改革が求められるのではないか、とも言えるでしょう。一概に比較は難しいとはいえ、近年日本人女性が躍進を遂げた多くの競技(スピードスケート、アイスホッケー、バドミントン、自転車、新体操等々)に於いて、外国人指導者の起用や強化体制の見直しが劇的に作用した例があることは、見習うまで行かずとも十分に検討するに値することです。端的なエピソードとしては、MGC方式の考案によって、低迷が続いた男女マラソン界にも一挙に活気が戻りつつある、という身近な実例もあります。

もう一つ、特に中長距離走に於いて確かに言えることは、記録に対する、というより自己実現に対する必要不可欠の要素は、「前へ、前へ!」の姿勢だということです。
ケニア人やエチオピア人ランナーのような柔軟かつ鋭利なスピードを駆使したレースを望むべくもない日本人女子選手が、世界と戦うために採るべき選択肢は、速いペースで押し切る力と最後の粘り腰を磨くこと以外は、今のところありません。ペースメーカーには、「風よけ」以外の使い道を考えるべきではないでしょう。
それを体現しようとしている数少ない選手が田中希実選手であり、新谷仁美選手であり、廣中璃梨佳選手なのです。千葉真子さんもまた、然り。そして、もちろんメアリー・デッカーも。

女子のトラック&フィールドが躍進するためには、技術的にか戦術的にか、精神的にか文化的にか、何らかの改革が必要なことは確かです。その先鞭をつけるべきは、やはり創意と工夫と地道な努力の余地が多く残されている中長距離から、ということになるでしょう。
田中選手には、ぜひその急先鋒となっていただきたいと思います。ホクレン第3戦の網走大会5000m、今度はヘレン・エカラレだけではなく、在日ケニア勢が大挙して相手になります。先頭に立つか否かは相手次第。期するところは頑なに1周72秒。ラスト1000を2分50秒。それだけでいい。

笛吹けど踊らず、の『GG川崎』


日曜から昨日にかけて、多くの方々にご訪問いただきながら記事の更新が滞っておりまして、申し訳ございません。
実は、日曜日に久々のレース、とはいってもたかだか一人5km×4人の駅伝大会に出場しており、平素のサボリのツケをモロに露呈いたしまして、大いに肉体的ダメージを蒙っておった次第です。
ご存知の方も多いかとは思いますが、毎年この時期に荒川河川敷コースで行われております『ハイテクタウン駅伝(旧称・谷川真理駅伝)』という、まあ大人の運動会みたいな大会です。血気盛んな高校時代の同級生が集まりまして、初めて参加したのが7年前。全員が還暦目前となった今年は女子3名(こちらはもうちょっと若い)を交えて3チームが出場し、好天のもとで気持ちよく快走。帰り道でゆったりと温泉に浸かってから大宴会、とまあ充実のオヤジな一日を過ごさせていただきました…。
が、肝心のランの方は、メンバー中ほぼ最下位(女子含む)、50過ぎてからのPBからは6分も、つまり1㎞あたり1分以上も遅いという惨憺たる記録で、いくら練習不足とは言っても高校時代の陸上部員は私ただ一人。ふだん偉そうに「陸上競技専門ブログ」なんて書いてる身としては、穴があったら…の心境で、しばし反省に浸っておったというわけです。

そういう事情ですから、『セイコーゴールデングランプリ陸上2017川崎』の放送を見たのは帰宅後、録画で。まあ、この日はまず、「男子100m夢の9秒台」は出ないだろうと踏んでいたので、何が何でも生で見よう、とは考えてませんでしたけどね。

◆どこか変?GG川崎という大会
この『ゴールデングランプリ』という大会、ちょっとヘンですよね。気が付いてます?
いちおう、IAAFによって「ワールド・チャレンジ・ミーティングス」という、2010年に始まったダイヤモンドリーグの下に位置づけされるシリーズの中の一大会ということになっています。今季は9月までに9大会が行われますが、大会数は毎年流動的、というか減少傾向。これ自体、何となく意義のよう分からないシリーズなんですね。
おまけに、今年はなんと、ジャマイカと日本で、日付こそ1日違うものの実質的には同日開催。どちらもヨーロッパ・アフリカ勢の出場はあまりない中で、主にアメリカ、カナダのスター選手が分散して駆り出されています。日本にはガトリンやバートレッタ、ジャマイカにはメリット、デ・グラス、ケンドリクス、アリソン、といった具合です。
ほんと、IAAFの管轄下にあるにしては、よく分からない開催意義です。
おそらく「ワールドチャンレンジ」というのは、「DLには入れてもらえなかったけど、何か権威ください!」という中途半端な国際大会の要望に応える形でひねり出した、お墨付きみたいなもんでしょうかね。

特に『GG川崎』がヘンなのは、主催(共催)名義が朝日新聞社系列(朝日新聞、日刊スポーツ)なのに、TV放送がTBS(毎日新聞社系列)という奇妙なねじれ現象です。これは、同大会の前身とされる『スーパー陸上』の後期から続いています。

◆奇妙な「ねじれ」の経緯
むかーし昔、私がまだ紅顔の美少年だった頃には、5月に『スポニチ国際陸上』(毎日系)、9月に『ニッカンナイター陸上』(朝日系)という2つの国際トラック&フィールド大会が国立競技場で行われていました。どちらも国内では日本選手権に続く盛況の大会で、なかなかの一流外国人選手も来ていました。(言うまでもなく国立競技場にはサブトラックがなく、隣の東京体育館グラウンドを“見なしサブトラック”とすることで胡麻化してたんですが、当時は大会がIAAFの管轄下にあったわけでもないので、あんまり問題にならなかったみたいですね)

私が生まれて初めて陸上競技を生観戦したのが1971年の『スポニチ国際』でした。以後しばらくは、日本選手権、ナイター陸上、インカレと、国立で開催される大会はほとんど見に行っていた記憶があります。入場料なんて、300円か500円くらいのものでしたよ。
テレビ中継は、『スポニチ』がTBS、『ニッカン』のほうはなし。ということで、秋の『ナイター陸上』のほうが地味な印象でしたが、そのうちに大会がテコ入れされて『八か国対抗陸上』というビッグゲームになり、テレビ朝日が中継を始めます。それが『日米対抗』になったり『日米ソ三か国対抗』になったりして、『スポニチ』を圧倒するようになりました。

1984年のロス五輪後にはカール・ルイスが初来日、国立競技場は立錐の余地もない超満員となりました。実は、通常は空席の目立つ陸上の大会のこと、例年テレビ朝日、日刊スポーツ等によって招待券が大量にばら撒かれており、この年に限ってはオリンピックで4冠を達成したルイス見たさにタダ見の観客がこぞって国立に詰めかけたため、とうとう数百人とも数千人とも言われるほどの人々を鉄門を閉めてシャットアウトするという騒ぎになったのです。
私は前売の指定S券(ただし座席指定ではなくブロック指定)を購入していたのにも関わらず、入場してみると空席が一つもないという有様でした。そこは本職がイベント屋なもんですから、会場整理担当者を呼び出して上司の名前をちらつかせつつ何とか席を空けさせた、というひと悶着があったのが、懐かしい思い出です。

気が付くと、国内では『スーパー陸上』となった秋の朝日系大会が国際ゲームのメインになり、毎日系はいつの間にか撤退して5月には『大阪グランプリ陸上』という大会が長居スタジアムで開催されるようになっていました。
『大阪GP』はIAAFが管轄するグランプリ・シリーズの一大会で、「ゴールデン・リーグ」、「スーパー・グランプリ・シリース」の下に位置付けられるものでしたが、大会の成績はGPシリーズのポイントに反映されたのですから、開催意義は明確なものでした。
IAAF傘下の大会としてはっきりとした権威を持つイベントだった反面、陸上競技が急速にコマーシャリズムとの関係を深めていく中で、大会運営に欠かせないものとなっていたスポンサードの面では苦労が絶えなかったようです。中継はNHKが行っており、後援名義に讀賣新聞系が参画はしていたものの、広告代理店が積極的に動くことはなく、大口のスポンサーが付いていなかったのです。

一方の『スーパー陸上』は、そもそもがコマーシャリズムを前提とした興行であり、その冠には『八か国対抗』時代のコカ・コーラに始まって、東芝、TOTO、セイコーと有数のビッグ・スポンサーが名を連ねます。これは、主催者である陸連による使い分けというよりも、大会の運営や広報・集客面を司る広告代理店とメディア側のスタンスによるものなのです。そして、そうしたスタンスにも、課題がありました。
それは、大会を大きく色鮮やかなものにするために招聘する海外のビッグネームが、必ずしも期待どおりのパフォーマンスをしてくれない、というものでした。1997年以降は世界選手権が隔年開催となって、4年のうち3年は『スーパー陸上』がオリンピック・世界選手権直後の開催となるために、有名どころのブッキングが難しく、来日しても単なる顔見世興行に陥る傾向が強くなったという事情があったからです。
その1997年から世界選手権の独占放映権を獲得したTBSが、「陸上と言ったらウチだろう」と横槍を入れ、『スポニチ』の撤退を穴埋めするかのように『スーパー陸上』の放映権を奪い取ったというのが、現在の「ねじれ」に続いているのではないか、と思います。

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◆GG川崎はどこへ行く?
2010年にIAAFのワールド・ツアーのシステムが「ダイヤモンドリーグ」と「ワールドチャレンジ」に改変された際、『大阪GP』は後者の一大会に組み込まれ、翌年から『大阪GP』と『スーパー陸上』が統合する形で『GG川崎』に生まれ変わりました。
一見、春と秋の国際大会の良い処どりをしたようにも思える一方、会場選択をはじめとする運営方式は『スーパー陸上』のそれを引き継いだために、いくつかの問題点をも継承する形となりました。

一番の問題として、2008年の『スーパー陸上』以降に会場として定着した、等々力競技場のことがあります。
今年の大会でもそうでしたが、この競技場は風の状態が不安定で、特に直線は向い風になる確率が高く、ゴールデングランプリの目玉となる短距離種目にとって、いいトラックとはとても言えません。スタンドの構造物が低く吹き抜けになっているために、もろに風の通り道になってしまうのです。
横浜の日産スタジアムなどは、私自身2003年の日本選手権(末續慎吾が200m日本新記録を出した大会)を観戦した際に驚いたのですが、外で物販のテントが飛びそうな強風が吹いているのに場内はほとんど無風、という素晴らしい構造になっています。大阪の長居、広島のエディオンなども、(私は行ったことがありませんが)おそらく同じでしょう。「高速トラック」と呼ばれる所以ですね。

陸上競技のビッグイベントを行う会場には、いくつもの条件が求められます。
第一種公認競技場(IAAFランクⅠまたはⅡ)であること。
ある程度以上の収容人員(陸上競技の場合、5万だの8万だのは不要)。
集客に問題のないアクセスの良さ。
記録が出やすい舗装と平均的気象条件(高速トラック)。

これを首都圏に当てはめると、国立競技場が「旧」も「新」も使い物にならないとなれば、日程調整の難しい日産くらいしかありません。2013年の日本選手権・国体が開催された味の素スタジアムも、今はサッカー専用仕様に戻ってしまっていますし、熊谷は等々力以上にアクセスが悪い。
記録が出にくく、アクセスも悪い等々力競技場を使い続けなければならない、しかも今年は例年のGW最終盤には日程がとれなかったと見えて、ジャマイカ国際招待および東日本・関西の実業団選手権と同日開催。
一流の出場選手たちを迎え入れるハコが用意できていないことが、『GG川崎』の最大の問題点でしょう。

もう一つの問題点は、これは私の個人的な好き嫌いもありますが、中継と運営に深く関わるTBSの、相も変らぬどうしようもないセンスの無さです。
一般視聴者に伝わりやすいように、あれこれと演出や脚色を施すのは民放として(昨今はNHKでもそうした傾向があります)仕方がないとしても、もう少し陸上競技ファンの方を向いた作りには、できないもんでしょうかねえ?
短距離種目や男子棒高跳、やり投などが目玉になるのはいいとして、他にもせっかくいい選手を呼んでいい試合が行われているのに、それらを全く取り上げないというのは…?

男子走高跳では、衛藤昴が2度目の標準到達となる2m30を跳び、戸邉直人も2m25と復調の兆しを見せています。
走幅跳では、中国勢に交じって下野伸一郎が8mジャンプを見せ、三段跳でも今季好調の山本凌雅がまずまずの跳躍を披露しました。
女子100mHでは、木村文子が13秒10(±0)と、姐さんまだまだやる気だなと思わせる走り。優勝したクィーン・ハリソンの12秒65はともかく、イギリスのオフィリ姉妹らとは大接戦を繰り広げたようです。
そして女子やり投では、中国のリウ・シインが66m47のアジア・レコードを投げたほか、日本勢も海老原有希と宮下梨沙が60mオーバー、北口榛花と斉藤真理菜も好記録で続きました。
これらの種目については、中継番組の中では一片も触れられていません。


番組冒頭で中継された男子3000mは、好調の松枝博輝が奮闘、またこんなところで負けられないポール・タヌイが意地を見せた好レースになりましたが、TBSはこの大して長くもない距離のレースで、必ず途中にCMをぶち込みます。世界選手権などの3000mSCでは、時として2分のCMを2回も入れます。たかだか8分前後のレースに、ですよ。

いちど雛形を作ってしまった番組進行台本(競技スケジュールをもとにCMや事前収録Vの挿入タイミングなどが割り付けされているもの)が、予測の出来ない事態(思わぬ種目で好記録とか)に対応できないという、どうしようもなく凝り固まった制作体質が、この局にはあります。その上に、事前取材が日テレなどに比べて遥かにいい加減ですから、そうした予測のできないことが多過ぎるのです。
「どうせ視聴者は長距離レースなど途中で飽きるだろうからCMチャンス」という思い上がりを持って臨む悪癖も、どうしても治してくれません。
何かやろうとすれば、100mの選手入場にCO2噴射という、今どき陳腐極まりないトホホな演出。
『世界陸上』を中継し始めた頃の意味なし絶叫中継やバラエティもどきのおふざけ企画こそ何年もかかってやっといくらか収束しましたが、ほんと、陸上競技に対する愛がないのはもう一目瞭然です。
まあ、この点については、世界選手権が近付きましたらまたあれこれと突っついてみることにします。

というわけで、いろいろな問題を抱えつつ毎年行われる『GG川崎』。
苦労して世界中からビッグネームを集めて行う割には、「なんだかなあ…」の感想しか出てこないことが恒例になってしまった、ヘンな大会。
何よりも、選手たちが「大事なスポンサー様の前での大会の無事な進行」という大命題の犠牲にされているような印象が強く、歯噛みする思いを禁じ得ません。
何とかならないもんでしょうかね。・・・

静岡国際エントリーリスト


明日29日は、前回エントリー・リストをご案内した『織田幹雄記念国際陸上』が行われます。
午後3時05分から始まるTV放送では、男女のハードルと100m、男子やり投などの注目種目が生中継されることになるようで、これはこれで「桐生祥秀の9秒台なるか!?」に大きな期待が寄せられます。

私が個人的に「注目種目」として挙げておりました女子やり投は、中継時間の前に終わっていると思いますが、記事にもご紹介した昨年のランキング・トップ10のうち、高校生の長麻尋以外は全員顔を揃えるという豪華メンバー。中に「森友佳」という知らない名前があるなと思ったら、これは旧姓佐藤友佳選手ですか…結婚したんですね。かつてのジュニア記録保持者が数年間伸び悩んでましたが、これを機に北口榛花、斉藤真理菜に続く60mクラブの仲間入りを目指してもらいたいもんです。美人は嫁に行っても、応援します!

放送終了後のスタートになる男女5000mも、楽しみです。
女子はランク1位の木村友香(ユニバーサル)をはじめ、学生ランク1位の佐藤成葉(立命大2)・2位の関谷夏希(大東大2)、高校ランク上位の小笠原朱里(山梨学院高2)・森林未来(諫早高3)・田中希実(西脇工3)、また堀優花(パナソニック)や筒井咲帆(ヤマダ電機)、岡本春美(三井住友海上)、復活を期する鷲見梓沙(ユニバ)など、若手有望株が多士済々。私が私的応援団員を務める中村萌乃(ユニバ)、菊池理沙(日立)も出場します。
男子は昨年好調だった上野裕一郎(DeNA)や市田孝(旭化成)、戸田雅稀(日清食品G.)、東海大の三羽ガラス關颯人・鬼塚翔太・館澤亨次、1500mでGPを制している松枝博輝(富士通)、実業団ルーキーの服部弾馬(トーエネック)、平和真(カネボウ)などなど。

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ところで『織田記念陸上』は、先週の『兵庫リレーカーニバル』『TOKYO Combined Events Meet』に始まった「日本グランプリ・シリーズ」の一つで、5月3日の『静岡国際』を含めた4大会で、トラック&フィールドの男女各19種目すべてを1回ずつ、「GP(グランプリ)種目」として実施するというものです。つまりまあ、日本選手権などのチャンピオンシップとは別に、毎年各種目の「GP優勝者」がこの2週間ほどで出揃う、ということです。
このあたり、なんか説明不足だし趣旨がよく分からないですよね。日本選手権との違いは、複数大会に分散していることとランキング順で出場資格が決まること。「甲子園」の「春のセンバツ」「夏の全国」みたいなもんでしょうけど。

もっと「GP」というタイトルを権威あるものにする努力をしたら、どうでしょうかね?
せめて春・夏・秋の3セットくらいの開催にして、総合ポイントで賞金を争うようなゲームにすればいいのに、と思います。夏はホクレンディスタンスや南部記念を流用すればいいし、秋は2日間開催くらいで新設のビッグイベントを創ればいい。たとえ春だけだとしても、そういう賞金とかのインセンティヴ作りは有効だと思いますよ。選手も目の色変えるし、観る側も盛り上がるし、ね。今さら「陸上はアマチュアスポーツだから…」なんて言う人がいるんでしょうか?
資金がない?…それを集めてくるのが、広告代理店の仕事というもんでしょ?カネをかけて良質のゲームを創り注目を集める。かつてマラソンで我先にやろうとしてたこと、なんでこの陸上に関心が高まってきたタイミングで、やろうとしないかなあ?? 
陸上競技の活性化はアスリート頼みばかりでなく、周りの大人たちがもっと必死に仕事していかないと。リレー銀メダルの偉業を無駄にしないでほしいです。

ま、それはともかく、そのグランプリシリーズ最終戦・『第33回静岡国際陸上競技大会』(5月3日・エコパスタジアム)のエントリー・リストです。
相変わらず文字が小さくてスミマセン。

2017Kusanagi1
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陸連発表「MGC方式」に思う



本ブログでもかなり詳細に論評をしておりました「2020年東京オリンピック・男女マラソン代表選考方式」が、一昨日、日本陸連より正式に発表されました。

とりあえず、公式リリースをそのまま貼っておきます。新聞などによっては読者に解りやすく砕いた記述にした結果、内容が正確に読み取れなくなっている記事も見受けられますので、興味のある方は原文でしっかりと確認されることをお薦めします。

選考方針1
選考方針2
選考方針3
選考方針4

http://www.jaaf.or.jp/files/article/document/10127-0.pdf
日本陸連HPより


◆補足説明
さて、ややこしい。

まず、「MGC(マラソングランドチャンピオン)レース」と「MGCシリーズ」、さらに「MGCファイナルチャレンジ」という3つの単語を混同しないように注意しながら読まないといけません。

「MGCレース」とは、2019年9月以降(おそらく9月中旬から遅くとも10月上旬が想定されているでしょう)に開催される、東京オリンピックの「メイン選考会」です。

「MGCシリーズ」というのは、この「MGCレース」に出場するための資格を付与する対象となる、2か年間のいわゆる「3大レース」を中心とした男子10レース、女子8レースのことを指します。第1弾は今年8月に行われる『北海道マラソン2017』(男女)、最終は例年どおりならば2019年3月の『第74回びわ湖毎日マラソン』(男子)、『名古屋ウィメンズマラソン2019』(女子)、ということになります。

これら一連の「MGCシリーズ」で、「7.MGCレースの出場資格」の一覧にあるような順位およびタイム(どちらか一方ではダメ)をクリアするか、「ワイルドカード」として、IAAF公認競技会で標準記録(2段階設定)を突破する、今年のロンドン世界選手権8位以内、2018年ジャカルタ・アジア大会3位以内、また「MGCシリーズ」対象レースで資格者が一人も出なかった場合の陸連推薦、いずれかの実績によって、「MGCレース」への出場権を得られることになる、というわけです。

そして、「MGCレース」の結果、優勝者は即時代表決定。
2位または3位の場合、対象者のいずれかが「MGCレース派遣設定記録」(男子2:05:30/女子2:21:00)を指定期間内(2017年8月~2019年4月)に到達していればその選手、両者とも到達していた場合・両者とも到達していない場合は、2位の選手を即時代表決定とする。(MGCレースそのもので到達した場合は含まれないようです)
つまり、いずれにせよ「MGCレース」終了時点で、「代表枠2つが決定する」ということになります。

残り1枠はどうなるか?
「MGCレース」の後に行われるいわゆる「3大レース」(実施順に『さいたま』『福岡』『大阪』『東京※男子のみ』『びわ湖』『名古屋』)を「MGCファイナルチャレンジ」と称し、そこでのタイムだけ(具体的には未発表の「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録」を突破する最上位者のみ)を基準として男女各1枠を獲得するチャンスを残す、とのことです。
「ファイナルチャレンジ」の資格を見ると、「MGCレース」出場資格を有しながら故障などの理由で出場できなかった選手や、「MGCシリーズ」に出場したが参加資格を得られなかった選手も対象になることが分かります。逆に言えば、今年の安藤友香選手のように初マラソンで派遣設定記録を破っても、代表選出の対象にはならない、ということになります。
一人も派遣設定記録到達者が現れなかった場合は、「MGCレース」で選に漏れた2位または3位の選手がそのまま代表に決定します。

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◆「大人の事情」はどうなるか?

日刊スポーツには、こんな記述があります。

<複数選考会は露出を増やす一方で選考を混乱させた。ある強化担当経験者は「最初から複数選考会ありき、だった。その中でどんな選考をするか、が我々のミッションだった」。複数選考会の存続は現場が手を出せない“聖域”だった。
新方針で、これまでの選考会は「予選会」に格下げ。五輪前年の19年世界選手権ドーハ大会は五輪内定の特典が消滅した。これで有力選手は一切出場しない。
一方でGCレースの2枠決定後、19年冬からの3大レースに1枠をあてて選考会の「看板」を残した。「大人の理由」(瀬古リーダー)で放送局などの顔を立てた形。実質は複数選考と一発選考の「折衷案」といえるが、08年北京以降の惨敗を東京で繰り返せない危機感が“聖域”を切り崩す追い風になった。>(19日紙面より)


「聖域」「大人の理由」とは何なのか、本ブログを読んでくださっている方には、今さら説明の必要はないと思います。
選考会の一本化を阻んできたのは、男女「3大レース」に絡む商業利益を守るためであり、「強化と普及のため」という建前のもとに、複数の大会を共存させる絶対的な事情があったのです。
私は本業がイベント屋(企画・制作業者)ですから、こうした事情は痛いほど身に染みて理解できます。

テレビや新聞などのマスメディアで、「大人の理由」が明確に語られることは、まずありません。なぜなら、それらマスメディアの生殺与奪権を握っているのもまた、マラソン大会開催に寄与するところの大きい資本グループ(広告主および広告代理店)であり、それを直接非難したり批判したりはもとより、世間に好ましくないイメージを与えるようなコメントは絶対的なタブーだからです。
(横道に逸れますが、放送業界では「携帯電話関連のバッドイメージにつながる話題は最大のタブー」とされていて、したがって昨今かなり深刻な社会問題となっている「歩きスマホ」「ながらスマホ」が大々的にクローズアップされることはまずなく、社会的良識啓蒙の発信が行われていないという困った事例があります。自動車を運転しながらのスマホなど一発免停でもいいくらいだと思うのですが、推測ながら経済界との癒着が根深いのが政治の世界ですから、きちんとした法整備もなかなか難しいのではないでしょうか)
こんにちの日本でのマラソン隆盛は、そうしたコマーシャリズムがあってこそのもの。そして、それが代表選考の混乱の元凶ともなっている、だからこそ陸連は永年にわたるジレンマに悩まされ続けてきたのです。

「資本グループ」と「選考会に対する関係者・世間の声」との板挟みに立った陸連が、もしも一本化を強行するのであれば、それら形骸化しかねないビッグレースの立ち行きを考慮してやらねばならない、というのは必須です。
その方策を模索した結果が、今シーズンからの「MGCシリーズ」であり、オリンピック直前シーズンでの「ファイナルチャレンジ・レース」というわけです。
その結果、2019年のドーハ世界選手権は放棄された形となって、おそらく直前の3大レースには「世界選手権代表選考会」という謳い文句はつけられず、2019年春にMGCレースの参加資格者が出揃ったところで、それ以外の“予備軍”から代表が決まるのではないでしょうか。これはこれで、少々ガッカリな気がします。せめて、MGCレース出場までもう一歩の実績を残した有望な若い選手が選ばれることを願います。

「MGCレース」終了後に行われる「3大レース」も、こうしてビッグイベント「ファイナルチャレンジ・レース」としての肩書を与えられることになるわけですが、私が前の投稿で懸念したことがどうしても現実になってしまいそうです。
それは、「MGCレース」から最も短い期間の日程で開催される『さいたま国際』(女子)と『福岡国際』(男子)には、「MGC」から続けて出場しようという選手がほとんどいなくなるだろう、ということです。特に、コースが変化に乏しい上に細かいアップダウンが多い『さいたま』は開催2回にして既に「記録が出ない」というイメージが出来上がっているため、たとえ「MGC」を欠場した選手であっても回避することになるでしょう。まさに有名無実の指定レースです。

そうならないようにするには、この「GC方式」を翌年以降もレギュラー化し、2021年世界選手権(ユージーン)のための「MGCシリーズ」を兼ねる、というオマケ付きにする必要があります。そうすれば、むしろ「強豪選手の参加が少ないから順位が獲りやすいレース」として、穴場的な魅力をアピールすることができるかもしれません。
これは「大人の事情」を上手に処理するためにも、陸連には真剣に検討してもらいたいところです。もし「無理だよ、しょうがない」と言うのであれば、早々に『さいたま』は指定レースの看板を外し、首都圏有数の大規模市民レースへと方向転換するべきだと思います。(まあ、参加料が高過ぎる、コースが面白くないと市民ランナーからも悪評ふんぷんですから、いずれ消滅しちゃいますかね…)


◆「その先」を大切に…
私が本ブログで提案してきた「改革案」とは少し違いましたが、陸連が知恵を絞ってマラソン代表選考を完全にシステム化したことは、大きく評価されるべきだろうと思います。
これで「選考過程が不透明」と当事者がクレームをつけることも、無関係な第三者にやいのやいのと言われることもなくなるということになり、また一連の「MGCシリーズ」「MGCレース」には、これまで私たちが感じたことのない緊迫感・高揚感が生まれて、新鮮な興味をもってマラソンレースを眺めることができるでしょう。陸連とすれば、「選考会の実績ではA選手だが、本当は実力のあるB選手のほうを選びたい」という思惑がいっさい排除されることになるということはありますが、当事者も納得できることとして割り切れば済むことです。
余計な気苦労の少なくなった分、陸連には本来の仕事である選手の強化という点において、本腰を入れて取り組んでもらいたいものです。

「MGC方式」を前回のリオ五輪に当てはめると、「MGCレース」の有資格者は10数名、という出場人数になるそうです。少数精鋭とはいえ、これでは国民が注視する大舞台にしては、いかにも寂しい…選手側の意識の変化に期待するのと同時に、陸連としても手を打っていただきたい。せめて、50人程度の有資格者が出揃うレースになって欲しいものです。
たとえば「MGCレース出場資格を獲得した選手は、その時点からナショナルチームとして強化費支給と練習環境確保」というようなことにでもすれば、選手の目の色は変わってくるでしょうし、レース日程の早い『さいたま』や『福岡』への追風にもなります。
「2020東京」以降も、こうした路線の継続が必要なことは言うまでもありません。もうちょっと一般ファンにとってシステムも名称も分かりやすく、ということであれば、私の「マラソン日本選手権」「グレード制・ポイント制」などの提案も、ぜひ検討してみていただきたいものです。


 

日本マラソン界への提案(3)



前回の続きです。
私なりに「とりあえず」まとめてみた、ロードレース・シーズンの新しいスケジュール案は、
①『マラソン日本選手権』を独立したレースとして新設し、当該シーズンの日本王者決定戦とするとともに、オリンピックなど重要国際大会の最終にして唯一の代表選考会として位置付ける。(=欠場者は選考対象としない)
②上記の実施日程を3月中旬と仮定し、それに伴って既存大会の開催時期を変更・調整する。
③上記変更に際して、実業団連および学連の主催する主要駅伝大会の日程は、原則として変更しない。 
という主旨のもとに設計しています。
国内3大レースと呼ばれる男女6大会の日程を単純にずらすだけでも大変な調整作業が必要な上に、一部は国民的行事ともなっている駅伝大会の日程には実業団連や学連の思惑が色濃く反映されていることでもあり、これを動かすことはさらに難しい。また、選手が3大レースのいずれかに臨むにあたって、そうした駅伝大会やハーフ・30km等のロードレースを“トライアル”として効果的に利用できる流れも重要視したいと考えました。
その結果、特に男子の『びわ湖』や女子の『大阪』『名古屋』などは開催時期が大きく動くことになり、また『香川丸亀』や『青梅』といった現状2月に開催されているレースを秋口に、4月に行われている『長野』を『北海道』と並ぶ夏のレースにと、3大レース以外のところでも大きな時期変更を提案させていただいています。

もちろん、これがベスト!などと言うつもりはありませんし、公表された「陸連案」(『選考会』を秋に開催)であれば、より小さな変更で済むというメリットもありそうです。(ただし、「陸連案」では3大レースの開催意義がまったく違うものになり、記録の出にくいレースは敬遠されるという結果が目に見えています。『選考会』自体もぶっつけ本番的なスケジュールとならざるを得ません)
ですが、ひとまずこのスケジュール案を踏まえたところで、私の提案をもう少しご紹介したいと思います。

◆「グレード」と「ポイント」という考え方
さて、前回ご提案したレース・スケジュールの中で、個人のロードレースにはそれぞれ【 】でGなにがしという記号をつけてあります。
競馬などがお好きな方はお察しかと思いますが、これはマラソン界にも「グレード制」を導入してはどうか、という提案です。
すでに国際的には、主要ロードレスに「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」というレーベル制が施行されているのはご承知のとおりです。IAAFによるこのランク分けは、大会の規模や実施体制などを勘案した世界中の主要レースの格付けであるのに対し、私が提案するのは国内大会における、あくまでも「代表選考」を軸としたレースの重要性を基準にするものです。
なぜグレード制を設けるかと言いますと、『日本選手権』出場資格や代表選考の判断材料となる「ポイント制」を施行してはどうか、という考えからです。
 
GP(グランプリ)…日本選手権
G1 … (男子)福岡国際、びわ湖毎日、東京 
(女子)さいたま国際、大阪国際女子、名古屋ウィメンズ
G2 … (男子)北海道、別府大分、香川丸亀国際ハーフ
(女子)北海道、東京、香川丸亀国際ハーフ
G3 … (男子)長野、防府讀賣、延岡西日本、全日本実業団ハーフ、全日本学生ハーフ他
(女子)長野、全日本実業団ハーフ、全日本学生ハーフほか

「ポイント」は、各グレード・レースの着順、およびタイムなどによるボーナスポイントを設定し、2年間を有効期限として累積することで、マラソン・ランナーそれぞれの現有する実力をタイム以外の指標で、ある程度数字化するという試みと思ってください。
数字の設定には細かい分析や検討が必要になりますが、たとえば次のように仮定してみます。

GP … 1位:500pt. 2位:300pt. 3位:200pt. 4位:150pt. 5位:125pt. 6位:100pt. 7位:75pt 8位:50pt.
G1 … 1位:200pt. 2位:120pt. 3位:80pt. 4位:60pt. 以下、50・40・30・20
G2 … 1位:100pt. 2位:60pt. 3位:40pt. 4位30pt. 以下、25・20・15・10
G3 … 1位:50pt. 2位:30pt. 3位:20pt.  以下なし

G1~G3については日本人選手のみを対象にした順位とし、外国人選手を含めた総合順位の1~3位には相応のボーナス・ポイントを加算します。
このほか、「オリンピック/世界選手権」については総合順位のみを対象として、
GSⅠ … 1位:1000pt. 2位:800pt. 3位:400pt. 4位:300pt. 以下、250・200・150・100
「アジア大会」や「海外ゴールドレーベル・フルマラソン大会」については
GSⅡ … GPと同等前後のポイント設定
とします。

加えて、「タイム・ポイント」として、『日本選手権参加標準記録』をたとえば男子:2時間12分、女子:2時間30分と設定し、陸連公認コースまたは海外で行われるフルマラソン・レースでこのタイムをクリアした選手は最低でも10pt.、10秒上回るごとに10pt.を加算したポイントを獲得できます。(男子で2時間9分00秒で走れば180pt.獲得)

ポイントの有効期間は、当該の日本選手権から遡って2年前の成績までが対象。つまり、2020年の日本選手権に出場することになる選手は、2018-19年シーズンと2019-20年シーズンに獲得したポイントの累計が「持ち点」ということになります。
あとは、「スケジュール案」に記載した主要駅伝大会の長距離区間で区間賞を獲得した選手にボーナス・ポイントを付与するなども考えられますが、駅伝の場合は選手の属性によって参加できる、できないが強く出てしまいますので、少し不公平感を持たれるかもしれません。

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◆「ポイント」を、どう使う?
『日本選手権』の出場資格は、有効ポイントを10pt.以上持っていること、でよろしいかと思います。つまり、どの大会でもいいから「参加標準記録」を突破するか、G2以上の大会で日本人8位以内、もしくはG3大会で3位以内を1度でも記録すれば、参加資格を得ることになります。
これで想定出場有資格者数が何人くらいになるのか、ここ数年の記録や大会順位を精査してみないと何とも言えませんが、「数十名」という適切な人数に落ち着くのではないでしょうか。もし少ないようならば、標準記録を引き下げることで簡単に想定人数を調整できます。

さて、肝心の代表選考レギュレーションをどうするのか?
「日本選手権優勝」あるいは「前年の世界選手権またはオリンピック表彰台」であれば、その年のオリンピックまたは世界選手権、アジア大会の代表に「一発決定」でよろしいかと思いますが、残り1~2枠を選考するに際し、累計ポイントが重要な判断材料となります。
有効期間内にG1レースのどれかで日本人1位になった選手が2位に入ってくれば、累計500pt.。G1の成績が総合3位以内なら、さらに加点。
2年連続2位だったら、それだけで600pt.。前年3位でも500pt.。これも当然引っ掛かってきそうです。いずれにしても、ある程度実績(持ち点)のある選手が当該の日本選手権で2位ならば、選出されることは極めて有望、ということになります。
「前年の日本選手権優勝者」や「海外ゴールドレーベル優勝者」「G1レース1位で標準記録を5分上回った」であれば、少なくとも500pt.を持っているわけですから断然有利。当該年度が8位に終わったとしても、550pt.です。2位(800pt.)や3位(700pt.)なら文句なしに選出でしょう。まあ昨今、日本人選手のゴールドレーベル優勝なんていうのも夢みたいな話になってきていますから、それくらいのアドバンテージをあげても良さそうですね。
「G1レースで2勝(日本人トップ)」の有資格者ならば、400点以上を持っているわけですから、これも3位以内ならまず当確でしょうか。4位とか5位とかの場合に、ちょっと微妙なことになりそうですね。
逆のケースで言えば、日本選手権でいきなり2位や3位に飛び込んできたとしても、それまでの実績が乏しい(持ち点が少ない)場合は厳しいことになりかねない、と考えられます。

◆ポイント争いは面白いことになるかも?
ポイントやその運用レギュレーションの設定の仕方でいかようにも変わりますので、それが当事者や世間全般を納得させる材料になるのかどうかは何とも言えないところがあるものの、時間をかけて設計していけば、そこはクリアできるような気がします。
何よりも、これまでタイム・ランキングや過去のレース内容の印象度だけを頼りに、私のような陸上ヲタクではない一般の方々にはおぼろげにしか見えてこなかった「代表争いの渦中にいる選手たち」が、レースごとに変動するポイント・ランキングの力を借りて、くっきりと見えてくるのではないかと思います。
また、さまざまな競技で「ワールドカップ」「ワールドシリーズ」等の名称のもとに行われているグランプリ方式のポイント争いがそうであるように、マラソン界に新たな興味を喚起するに違いありません。とうぜん、年間(シーズン)のポイント上位者は、陸連により別途表彰されて然るべきでしょう。
で、日本選手権の順位が全てではない(優勝者は即決、欠場者は資格なしとしても)、累計ポイントが全てではない、というところに、日本陸連の「この選手を代表にしたい」という思惑が上手く反映される余地が生まれるとも考えられます。

もう一つのメリットは、選手がポイント獲得のためにレースを選択する判断材料が増える、ということです。特定して申し訳ありませんが、女子のG1レースとなる『さいたま国際マラソン』などは、現況のまま、あるいは「陸連案」のとおりにすれば、トップ選手は寄り付かない有名無実の大会となっていく可能性が高いと思います。(選考会の後に3大レースですと、レース間隔の最も少ない『さいたま』や『福岡』には、有力選手はまず出ないでしょう)
記録が出にくくても順位ポイントが獲りやすい「穴場」だということになれば、そうしたトップ選手の大会離れを防ぐことが可能になると思われるのです。
地方都市が主体となって営々と続けてきたG2、G3クラスの大会にも、思わぬ一流選手の参戦ということが頻繁になるかもしれません。
もちろん、最終的に「代表入り」を目指す選手たちは、すべてのレースに100%の心構えで挑む必要などありません。
「今回はポイントが〇点以上取れればよし」と、肩の力を抜いて、練習の一環くらいのつもりで走るレースをこなしていけばよいのです。シーズンに2度、3度とフルマラソンを走る選手も、増えてくるのではないでしょうか。

「マラソンに日本選手権を!」
「グレード制・ポイント制の導入を!」
なかなか面白そうな試みだとは、思いませんか?



 
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