豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

日記・ニュース

『第105回日本陸上競技選手権』観戦記+α その⑤⑥



その⑤ 男子4×100mリレー代表選考事情

7月2日、オリンピック陸上競技代表選手の全容が発表されましたね。
発表されてみれば、結局のところ個人種目で資格(標準記録突破またはワールドランキング圏内)を持つ選手は、種目あたり3人を超えない限りは全員が、4人目がいる場合は補欠として、すべて代表に選出されたことになります。( 2日以降にWR圏内に入った3000mSCの塩尻選手も、補欠に追加されました)
実はWRでぎりぎりターゲットナンバーに届かず涙を呑んだ選手の何人かは、今後最終エントリーまでの間に出場辞退を表明する選手が出ると、追加で招集される可能性があります。
女子やり投では、今季ブレイクの上田百寧選手が“次点”の33位。佐藤由佳選手が34位。また男子10000mではTN27に対して田澤簾選手が29位と、このあたりは結構な確率でインヴィテーションが来るのではないでしょうか?ただ女子JTの場合、33位と34位はまったくの同ポイント(ビッグポイントの差)で、32位とは僅か1点差。このまま追加がなかったとしたら、日本選手権の結果が悔やみきれないものとなるでしょうね。(日本選手権で1つでも順位を上げていれば、圏内でした)

またリレー代表としては、事前に陸連が提示した「代表選考要領」のとおりにロジカルな手続きを以て、代表選出となりました。
全体として結果を見ると、女子やり投のように順位がポイントにシビアに影響したケース、およびリレーのような特殊ケース以外は、日本選手権の成績はあんまり関係がなかったのかな、というのが率直な感想です。

この中で一般の方々に分かりにくかった点としては、リレー代表の選考過程でしょうね。
まず、3年前の世界選手権で既に代表権を得ていた男子4×100mRと、今年のワールドリレー・シレジア大会で権利を獲得した男子4×400mRおよび女子4×100mRとでは、選考過程が異なります。また、今大会ではリレーのエントリーについてのWA(世界陸連)ルールが変わり、従来の「1カ国6名」から「5名」に、また4×100mRならば100m、4×400mRならば400mの個人種目で代表に選出されている選手は必ずメンバー入りするというように、編成が条件づけられているのです。

男子4×100mRの場合、これに従って日本選手権で100mの代表内定となった多田・山縣の両選手は、リレーメンバーとしても即日内定。7月2日の時点で3人目の100m代表となった小池選手もこれに加わりました。残る2枠には、第2の選考要綱として「第 105 回日本選手権、参考競技会の成績を総合的に判断し、リレーの特性と戦略を考慮して 選考された競技者」とあり、これに沿って桐生・デーデーが選出され、高校生の桝田選手が補欠となりました。
この第2の選考要綱というのが結構曖昧模糊としていて、陸連幹部による「総合的判断」が働いたであろうことは、仕方がないでしょう。

もともと男子4継は金メダルを目標とする最重点種目であり、最終選考会の結果はもとよりそれ以外の要素も勘案したうえで、最高の布陣を築くことが求められています。純粋にロジカルな選考過程を踏まえなければならない一方で、私が本ブログでも再三指摘してきたように、「100mの走力×4人分が400mRの実力ではない」という、奥深い4継理論を具現化するメンバー選びが必要なのです。つまり、
 ①100m競走の絶対的走力
 ②実際の4継で個々が担当する距離および走路条件を考慮し、200mの走力および走順適性
 ③バトンワークの熟練性…経験値と合同練習の頻度
 ④現時点から本番までの過程における心身のコンディション
 ⑤その他
と、さまざまな要素を加味して検討していくと、まず個人での参加資格を持ちながら個人種目で代表選出が叶わなかった桐生のメンバー入りは問題なく確定。上記では④にやや不安がありますが、その他の要件としては文句なしの有資格者です。
続いて、最終選考会の順位からいうとデーデー選手。実績としてはサニブラウン選手、さらには200mで追加代表となった飯塚および山下選手の比較ということになりますが、当面のメンバー選出としてはデーデー選手で妥当でしょう。
彼は①についての実績がまだまだ不十分ながら、最終的なメンバー選定への選択肢として残しておくためには、ここで「リレー代表」としておかなければなりません。結果的に、日本選手権の100m上位5人がリレー代表となることで、内外の賛同も得られやすい選考と言えます。
サニブラウン選手に関しては、①②の実績では抜きん出ていますが③④に大きな問題があって、「最強メンバー」の名を採るか実を採るかというところで、構想からは外れざるを得ないところがありました。

今後、選出された5人および桝田選手を加えた6人以外に飯塚・山下両選手を含めた中から、5人の最終エントリー・メンバーが絞り込まれ、予選・決勝のオーダーが組まれていくものと思われます。
最終的には代表メンバーの5人がそのままエントリーされると思いますし、全員のコンディションに問題がなければ、決勝のオーダーは「多田-小池-桐生-山縣」ということになるのではないか、というのが私の予想です。バトンワークの予行演習とメンバーの調子の確認の意味で、予選もまた同じメンバーとなることでしょう。
飯塚選手にはチームJAPANのリーダーとして、また桝田選手には将来の幹部候補生として、それぞれチーム内での役割を果たしていただけたら、と思います。
RIO040


その⑥ 男子4×400mR・女子4×100mR選考事情

この両種目の代表選考については、「オリンピック代表候補選手のうち、…」という前提条件が提示されています。この「オリンピック代表候補選手」というのは、「シレジア世界リレー選手権大会(選手権大会ではないんですけど、まあいいか)の日本代表派遣者」および「参考競技会(WAが記録を認定する競技会)でのリレー代表候補選手設定記録突破者」となっており、要は「シレジアでメンバーだったこと」が一つの条件になっています。4×400mRの場合は、混合の代表も含みます。ちなみに後者の「リレー代表候補設定記録突破者」という要件を満たしたのは、女子100mの兒玉選手ただ一人です。

さてここからは、両種目で少し選考要領が異なります。
まず男子マイル継は、「①400m代表選手」「②オリンピックリレー代表候補選手のうち、第105回日本選手権400m/200mの結果から、リレーの特性と戦略を考慮して先行された競技者」となっていて、まず個人枠で代表になったウォルシュ選手が確定。残りの4名は、世界リレーの銀メダル・メンバーがそのまま日本選手権の上位4名を占め、すんなりと決まりました。
もしも5位以下で記録的に図抜けていたり、実績・経験で考慮すべき選手がいれば一考の余地はあったかもしれませんが、まず順当な選出と言えるでしょう。

一方の女子4継は、「①100m代表選手」でこれは該当者なし。で、肝心の②ですが
「オリンピックリレー代表候補選手のうち、シレジア世界リレーに出場し、出場権を獲得した競技者…」云々となっており、これに該当するのが兒玉・鶴田・齋藤・青山の4選手。実際のレース(予選・決勝)に出場できなかった石川選手もまた、代表メンバーです。したがって、こちらもすんなりと、5人のメンバーが確定したと思われます。
ネット・ニュースの書き込み欄などを見ますと、日本選手権100m2位の壱岐あいこ選手や3位の名倉選手が選ばれなかったことについて、「不公正だ」とか「陸連に説明責任を求める」などといったコメントが目につきました。中には「8位の青山選手が選ばれたのはどう考えてもルックス重視」などという声もありましたが、調べればすぐに分かる事情をきちんと調べもしないで、無責任な投稿をするのはいかがなものかと。(とは言うものの、陸連さんの「選考要領」ページ、かなり分かり辛い処にありましたね)
今回、メンバーの1人・鶴田選手が体調万全でなかったために100mを回避、200mで2位になったことで「本番はOK」を証明してみせましたが、もし鶴田選手の脚の状態が深刻なものであれば、100m2位の壱岐(妹)選手は真っ先に選考されたでしょうが、結局補欠登録に留まった事情は、そういうことです。

かつての女王・福島千里選手の全盛期に近い実力を身に着けつつある兒玉芽生選手を筆頭に、学生陣にずらりと実力者が揃う女子短距離は、今季11秒4~5台が7人と、徐々に全体のレベルが上がっています。とりわけ兒玉選手の日本人離れした雄大な(?)下半身や石川、青山両選手の育ち切った(?)長い手足を見ていると、ますます数年後を期待してしまいます。東京大会をステップに、彼女たちが福島選手や髙橋萌木子さん、中村宝子さんらが築いた女子スプリントの財産を受け継いでくれることを、心から願っていますよ!

この記録ラッシュは、もしかして空前?



20210606

いやー、凄いですね、陸上界。日本国内も、世界も。
このご時世下、「オリンピックやるの?やらないの?」といたたまれない不安に揺れるスポーツの 世界にあって、客観的に見ても陸上界のムーヴメントは際立っているように見えます。
こんなに不安定で、練習環境も試合も満足に提供されない時間が1年以上も続いているというのに、当事者たちのこの頑張り、闘争心はいったいどこから来るんでしょうか?…。
楽天デリバリー

先だっての日曜日。諸事情もあって、日本GPシリーズの2大会が新潟と鳥取で同日開催、さらに平塚では個人インカレの最終日までが重なって、陸上ファンは情報の洪水にもうパニック状態でしたね。
朝から私のパソコンとスマホは各大会の生配信とともに、TwitterやYahoo!ニュース・サイトをフル稼働させて、次々入るニュースを消化するのに大わらわでした。

「寺田、またまた予選から12秒台!」
「福島、日本選手権申込記録を突破!」
「山縣、標準突破の10秒01!」
「桐生も追参ながら10秒01!」
と、午前中から「布施」の予選レースでの快報が続々と入ってきます。この時点で、「布施」のライブ配信(Hulu)を視聴することができなかった私は、おまけに「布施」のHPにある「リザルト速報」のページがいつまで経っても(いま現在もなお)「只今準備中」のため、頼みとするのはTwitterからの情報だけです。

昼にさしかかってくると、
「大阪体育大の武本紗栄が、やり投日本歴代4位の62m39!」(平塚)
「堤、今季初の60mオーバー!」
「橋岡、2回目に公認8m23!」(以上デンカ)
と、フィールド競技も負けじと好記録ラッシュの盛況。
本来ならフィールドがメインながらデンカのライブ配信をじっくり見ていたいところですが、Twitterチェックが忙し過ぎて、こちらは文字通りの「速報」を載せてくれるデンカのHPと平塚のライブ配信を併走中。あとついでに、競泳JAPAN OPENの予選の動向も。

「源裕貴(環太平洋大)1分46秒50!」(デンカ)
「青木益未が12秒87日本タイ!」(布施)
え、なんと寺田負けた?

そうこうするうち、いよいよ布施の男子100m決勝の時刻が迫ります。
「今日の山縣はきっとやる。背に腹は代えられない」
とばかりに急遽Huluに1か月無料登録を敢行。(と書くといかにも大仰ですけど、私、少々有料動画サイト登録過多なもんで、Hulu加入はこれまで控えていたのです)
生視聴態勢を整えると、PCをフル画面にして「その時」を待ちます。
この配信は、関東では視聴できない北日本放送による中継とリンクしていたんでしょうか、A決勝にはちゃんとした実況と朝原さんの解説までついて、さすがYouTubeの垂れ流し中継とは一線を画した立派なものでした。
願わくば画面にタイマーを表示してほしかったところですが、山縣選手フィニッシュとともに
「おおーっ、9秒97!!」(速報)
とアナ氏が絶叫してくれたために、十分リアルタイムの興奮を味わうことができました。いやあ、ヨカッタヨカッタ!(ちなみに私の手動計時は、ちょっと失敗して10秒00でした)

それにしても…
オリンピックまで7週間と、いよいよ秒読みに入ったこの時点で、陸上界の盛り上がりぶりは何とした事でしょう。
やはり先週末に開催されていた競泳の「JAPAN OPEN 50m」が、代表選手に強化練習中の疲労が溜まる中だったとはいえ記録的に低調に終わったのと比べると、「陸上、どうしちゃったの?」と嬉しい疑問符を投げかけざるを得ません。(長年世界のトップクラスにいる競泳と比べるのは、あんまり意味ないんですけどね)
これは世界的に見ても同様で、競泳界ではさして驚くような記録の話題が聞こえてこないのに対して、陸上では
「34歳のシェリー・アンが100mで歴代2位!」
とか、女子10000mでは立て続けに、新谷仁美が周回遅れにされてしまうような世界新記録のニュースとか、威勢のいい話題が次々と飛び込んできます。

今年に入ってから樹立された日本記録を並べてみると、
 2/28 男子マラソン 鈴木 健吾 2:04’56"
 4/29 女子100mH 寺田 明日香 12"96
 4/29 男子110mH 金井 大旺 13”16
 5/1 混合4×400mR 日 本 3’18”76
 5/9 男子3000mSC 三浦 龍司 8’17”46
 5/23 女子七種競技 山﨑 有紀 5975pt.
 5/30 男子1500m 荒井 七海 3’37”05
 6/1 女子100mH 寺田 明日香 12”87
 6/1 混合4×400mR 日本選抜 3’16”67
 6/6 女子100mH 青木 益未 12”87
 6/6 男子100m 山縣 亮太 9”95


これに、昨年1年間の分を付け加えますと、
 3/1 男子マラソン 大迫 傑 2:05'29"
 3/8 女子マラソン 一山 真緒 2:20'29"
※女子単独レース

 3/27 男子円盤投 堤 雄司 62m59
 8/23 女子1500m 田中 希実 4’05”27
12/4 女子10000m 新谷 仁美 30’20”44
12/4 男子10000m 相澤 晃 27'18"75

と、トータルで実に13種目・17回に及びます。あくまでもオリンピック実施種目に限ってのことで、男女のハーフマラソンや田中希実選手の3000mなどは含めていません。

ちなみに2016年のリオデジャネイロ五輪の前はどうだったかといいますと…
男子5000m、10000m、20㎞W(世界記録)、砲丸投、女子4×400mRでそれぞれ前年の2015年に記録され、オリンピック・イヤーでの日本記録更新は、女子200mの福島千里、そして大会本番中の男子4×100mRのみでした。
また本来であれば東京五輪前年となるはずだった2019年には、男子100m、110mH、4×100mR、50㎞W、走高跳、走幅跳、女子20kmW、円盤投、やり投と9種目で日本新記録が生まれています。リオ前年の2015年を軽く上回っている上に、内容的にも多くは10年ぶり以上となる歴史的な更新であり、また多くが世界トップリストに名を連ねるハイレベルなものばかりでした。
総括すれば、この3年間で全48種目中実に20種目で日本記録が更新されているという、日本の陸上競技史上類を見ない躍進が、しかもこの困難な情勢下で達成されている、ということになります。

もはや、どう落ち着くにせよ東京オリンピックが健全な形で開催されることにはなりません。たとえ当初の予定通りのスケジュールで競技が実施されるとしても、自ら大会を回避する選手や記録を作る機会に恵まれず断念する選手などが、かなりの人数に及ぶことになるでしょう。大観衆・大声援のもとで、オリンピックならではの名勝負が演出され祝福されることも叶いません。
けれども、己のなすべきことだけを念じて競技に打ち込み、苦難を克服して結果を出してゆくアスリートたちの強い信念には、ただただ敬服するばかりです。それらを見つめるだけでも、五輪は私にとって素晴らしいスポーツの祭典となるはずです。
楽しみだ、などと言うには申し訳ない。心して、この先の日本選手権、オリンピックを見守っていきたいと思っています。

快記録続々!田中・一山も有終の美~ホクレンDC第4戦


『ホクレン・ディスタンスチャレンジ2020』第4戦の千歳大会が行われました。
本ブログでは女子長距離ビイキということで、これまで男子選手の成績についてはほとんど触れてきませんでしたが、最終戦の今回は特に男子のほうで見過ごせない記録が続々と誕生しましたので、そこを交えてお伝えします。
気象コンディションは16時現在で気温16.5度、湿度89%、南西の風3m/s。風はマイクに響くほど吹いていますが、バックストレート側を覆うように林が囲んでいる競技場の特性上、ホームが強い追い風、バックは微風という絶好の条件になっています。
今回も実況は大塚製薬・河野匡監督、解説は前半が川内優輝選手、後半は東海大・両角速監督でした。

◇男子3000mSC
昨年の日本選手権覇者・阪口竜平(東海大)の姿こそありませんが、3位から7位までが揃った今季初戦。先頭を走ると見られたキプラガット(愛三工業)のハナを叩いて楠康成(阿見AC)が速いペースで引っ張ります。後半はキプラガット、山口浩勢(愛三工業)、三浦龍司(順天堂大1)、青木涼真(Honda)の4人に絞られ、ラスト1周の鐘が鳴った時点ではキプラガットと三浦、高校時代からのライバル対決となり、7分15秒での通過。「ラスト1周70秒なら8分25秒!」と気色ばんだ河野監督でしたが、壮絶な競り合いはラスト1周(420m)を64秒にまで押し上げて、強いライバルを競り落とした三浦のタイムは何と8分19秒37。日本歴代2位・国内最高・日本学生新・U-20日本新記録、と、いくつもの肩書が付く快記録が誕生しました。特に日本学生記録は、新宅雅也さん(日体大→エスビー食品)以来、実に41年ぶりの更新です。
3位の山口、4位・青木も大幅なPB更新、多くの選手にとって実りある3000mSCの初戦となったのは祝着でした。
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◇男子5000m
開口一番のE組から13分台が飛び出す出足に、本日の活況への期待が高まります。
B組では「これでB組か?」というコメントが出るほどの有力メンバーの中で、昨年の日本選手権で故障を発症して以来久々のトラック登場となった塩尻和也(富士通)に注目。
13分45秒の設定タイムに多くの選手が追従し、ラストにスプリントが利かない塩尻が残り600でロングスパート。これに食い下がったのが、河合代二(トーエネック)と中学時代から怪童の名を欲しいままにしてきた石田洸介(東農大二高)。最後は深川で10000m27分台に突入し絶好調の伊藤達彦(Honda)が、いったん遅れた位置から猛然と巻き返して1着。
高田康暉(住友電工)に続いて3着に粘り込んだ石川のタイムは13分36秒89。仙台育英高校時代に佐藤悠基(佐久長聖高)と「ダブル佐藤」と言われていた佐藤秀和の記録を約3秒破る、高校新記録を樹立しました。
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続くA組は設定タイムが13分35秒。ペースメーカーよりも前に出た数人の集団に松枝博輝と遠藤日向(住友電工)が食い下がって、時には先頭にも出る勢い。強化選手2人の争いは、残り600で仕掛けた遠藤が制して13分18秒99の大幅PBで2位。5位に入った松枝もPB。そして6位に食い込んだ吉居大和(中央大1)が13分28秒31。これはU-20日本新記録!「ダブル佐藤」の悠基の方が持っていた東海大1年時のタイムを3秒41上回りました。
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◇女子3000m
B組では中距離の第一人者・卜部蘭(積水化学)が和田有菜(名城大)との競り合いを余裕で制して貫禄の1着。9分06秒18は大幅なPBです。
A組には、この2週間フィーバーし続けた田中希実(豊田自動織機TC)が有終の美を飾るべく登場。
今までのレースとは打って変わって先頭グループの後方に控えたのは、連戦の疲れということもあるでしょうが、むしろその状態の中で後半どれだけビルドアップできるかを試すプランだったのだと思います。
虎視眈々、2000mで先頭に並びかけると、残り800mで一気に身体が前に傾きました。スパートというよりは、それまでの2200mが助走でそこから800mのレースをスタートさせたかのように、次の1周を61秒台で突っ走ると、外国人ランナーたちを遥かにぶっちぎってしまいました。
ラスト1周を66秒でまとめて8分51秒49。ラスト1000mは2分43秒、800は2分07秒…世界に通用することになるかもしれない、見事なビルドアップでした。
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◇女子5000m
前田穂南と一山麻緒、マラソン代表の2人が臨む最終戦は、一山の快勝に終わりました。
3戦続けて田中希実と激闘を繰り広げたヘレン・エカラレがPM。しかし高校生のシンシア・バイレ(神村学園高)が70秒ペースで引っ張り、デンソーの外国人2人と一山・前田・矢田みくに・矢野栞(以上デンソー)・三宅紗蘭(天満屋)が追走。
前田は中盤からついていけなくなり、先頭グループに残る日本選手は一山と矢田の2人。3年前のこの大会で高校生ながら快記録を出した矢田が、久々の快走です。
3日前の10000mと同様、速くてもイーブンならば一山の対応力は抜群で、3600mでペースダウンしたシンシアに代わって先頭に立つと、最後は激しいトップ争いも、「高校生に負けるわけにはいかない」とばかりに見事に再逆転を決めて15分06秒66の大ベスト。田中に続いて胸のすくようなレースを見せてくれました。最後の1周は67秒。10日の間に10000を2本走った後のレースとしては、十分以上の結果でした。
前田は今回のペースには対応できず、後続にも抜かれて10位でフィニッシュ。しかしその前田まで、上位全員がPBというハイレベルなレースでした。
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最終レースの男子10000mでも、鈴木健吾(富士通)が最後ヨレヨレになりながらも27分台のPBで、盛況の大会を締め括りました。ちなみに日本選手の上位は洋平(愛三工業)、塁人(SBH)と、「鈴木」が独占です。
コロナ禍このかた、今季初めてとなる全国規模の大会が幾多の困難の中で開催されたことは、選手にとってもファンにとっても大変喜ばしいことでした。世界的に見ても、これだけの人数のアスリートが一堂に会してのイベントは、まだ行われていないと思われます。願わくば、今後2週間程度の様子見を経て、この大会でのウィルス感染者が出ませんように。
関係者の皆様、ありがとうございました。

一山、「世界2位」を奪取!~ホクレンDC第3戦続々報


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『ホクレン・ディスタンスチャレンジ2020』第3戦網走大会のダブル・メインイベントは、女子5000mAに続いて女子10000m。
1週間前の深川では、1戦消化した後の前田穂南(天満屋)の前に、実力差を見せつけられるかのような苦杯を喫した一山麻緒(ワコール)が、今度はローズメリー・ワンジル・モニカ(スターツ)の高速ペースに乗っかり、しぶとく粘った末に、PBとともに前田の記録をも10秒以上更新。30分38秒18でワールドリーダーとなったモニカに続いて31分23秒30、今季世界第2位の快走を見せました。
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スタートしてから一度もペースメーカー(日立のオマレ・ドルフィン)が先頭に立てない…モニカの高速ペースは終始3分03~04秒/㎞で押し通したのですが、一山は迷うことなくPMを追い抜いてこれを追いかけ、4000mまで食い下がります。離れた後もガックリと落ちることなく中盤を3分12秒/㎞前後でガマン。序盤で一山とともにモニカを追った松田瑞生がズルズルと下がったのとは対照的に、8000mを過ぎて再度ペースアップを図ると最後の1000を3分03秒でまとめ、マラソン日本代表として実力のほどを見せつけました。

この大会、試合の機会を奪われ、トレーニングでも制限を受けた中での過ごし方やモチベーションの持ち方が問われるものでしたが、「なるほど」と言いますか、すでに五輪代表が決まっている選手、そこにごく近いところにいる選手の走りが、男子も含め一様に、一味違うという印象があります。女子マラソン代表の前田・一山両選手は、その典型でしょうね。どちらも見ていてうっとりしてしまうような美しい走りが、研ぎ澄まされてきていますよ。一山の好タイムは、好コンディション(放送席の観測では気温15度程度、弱風)に恵まれた結果という要素もあり、直接対決で圧倒した前田が一歩リードの感がありますが。
田中希実フィーバーとは一度も交わることなく、もう一つの極上連続ドラマを見せてもらっているようなこちらのシリーズは、最終戦・千歳大会、5000mAに再び前田、一山、そして安藤友香らが干戈を交えてフィナーレを迎えます。
『ホクレン・ディスタンスチャレンジ』は、夏場の好条件下での記録会という気安さで多くの中長距離選手が活用している大会ですが、年末年始にオーストリア・ドイツで行われるスキージャンプの『4ヒルズ・トーナメント』のようにシリーズ優勝を競う大会になると、もっと盛り上がるかもしれませんね。そこまで行かなくても、「MVR(最高殊勲ランナー)」や「優秀選手賞」「敢闘賞」「新人賞」などを顕彰することを考えてみては、いかがでしょうか?
2020071508
 

田中希実がまた魅せた…14分台は惜しくも逃す~ホクレンDC第3戦・続報



前々回の記事で、田中希実選手(豊田自動織機TC)のハードワークぶりについて触れましたが、今日の実況を聞いていると、「11日には兵庫選手権の1500mが中止になったので、別の所へ行って4分15秒で走った」という話が出て、またまたビックリ!
するてえと、今日の5000mは7月に入って半月で5レース目!

結果は …

◇女子5000mA
2020071504
2020071505

期待どおりにスタートから先頭を譲らず、ラストの強烈なスプリントでエカラレを捻じ伏せる。記録を狙うには1000m以降のペースダウンが惜しまれますが、まあ、過密スケジュールのせい、と言っておきましょう。新谷もスピード練習がしたかったんなら、このレースでPMやればよかったのに!
レースがトレーニングを兼ねるのだとすれば、この2週間で彼女はまた恐ろしく強くなってしまったかもしれません。
ラスト1000mが2分50秒、400mが64秒。日本新を出した先日の3000mの上がりと遜色ないです。記録絶対ではなく、「勝てる」ペース配分を貫いた結果ですから、評価できますね。
常に田中の後塵を拝してはいますけど、萩谷楓の大PB(これまでは15分28秒13)も見事。
最終戦・千歳大会では、田中、萩谷ともに、3000mAに出場します。

※前回で速報したレースのリザルトを掲載しておきます。

◇女子3000mA
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◇女子1500m
2020071503

ギャラリー
  • 『第42回全日本実業団対抗女子駅伝』大胆展望
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
  • <再掲載>連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#3 ~1987年/第22回福岡国際マラソン
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