◇男子走高跳決勝
既報のとおり群雄割拠の中で有力候補の一人だったタンベリ(ITA)が故障でエントリーせず、また中国の吉本若手芸人もどき、チャン・グウェイが予選で2m26を落としてしまい、決勝には正統派(?)のハイジャンパー15人が居並びました。
で、昨年WC王者のデレク・ドルーイン(CAN)が2m38を綺麗にクリアして抜け出し、ボンダレンコ(UKR)、バルシム(QAT)の「2強」を破りました。なんか、こう書くと走高跳では久々にメダルを獲るべき人たちが獲ったという結果に思えてきます。

5位のロバート・グラバーツ(GBR)が、2m33の1回目で、大きく揺れたバーがしばし時間が経ってから落下し、すでに白旗を掲げていた審判が赤旗に上げなおしたのを見て、「いっぺん白いの上げたじゃないか」と執拗に抗議、という出来事がありました。結局抗議が認められて「成功」となったのですが、これはどうでしょうねえ。風その他の影響ではなくて、明らかにバーに触れた時の振動によって落ちたわけですから…
ただ、グラバーツはDLバーミンガム大会(だったか?)でも同じような目に遭っています。この時はノータッチでクリアしたのに、バーを置く支柱がマットの衝撃で揺れたためにバーが落ちたもので、見ていた他の選手も一緒になって「いや、今のはアクシデントだ」と抗議したものの通らなかった、ということがあったのです。もちろん審判は別の人でしょうけど、「今度は譲れないぜ!」というところだったのでしょうかね?

◇女子やり投予選(通過記録63m00)
 15WC ①67m69K.モリトール(GER) ②66m13ルー・フィフィ(CHN) ③65m79S.ヴィルジョエン(RSA)
 15DL ①19p/5B.シュポタコヴァ(CZE) ②7p/4ヴィルジョエン ③5p/2M.パラメイカ(LAT)
 16DL ①29p/4パラメイカ ②22p/4K.ミッチェル(AUS)・22p/3ヴィルジョエン
 16SB ①66m87シュポタコヴァ ②66m41C.フソンク(GER) ③66m34T.ハラドヴィッチ(BLR)

今回は通過ラインが61m63とかなり高くて、今季に入って好調とは言えない海老原有希は力が入ったか投擲がまとまらず、57m68であえなく落選。この種目は有望な若手選手が多く育ちそうな予兆があるだけに、それなりの結果でつなげてもらいたかったところですが、残念です。
通過記録は高かったとはいえ、全体にレヴェルが高かったかと言えばそうでもなく、他の投擲種目のような「大本命」がいないのがここのところの女子JT。本来ならその位置にいるべきシュポタコヴァは最近精彩がなく、それでもまずまずの記録で通過。昨年WCを大逆転で制したモリトールは欠場。そこでアジア新を出し6回目までリードしていたルー・フィフィは3回目でやっと63mオーヴァー。オーベルクフェル、フソンクのドイツ勢やミッチェルも冷や汗ものの通過でした。
そんな中で、1投目に軽い感じで67m11のポーランド記録を放った20歳のマリア・アンドレチェクが、一躍優勝候補のトップに躍り出てきました。今年64m08を投げたという以外は、昨年WC予選落ち、一昨年ジュニアWC5位ということくらいしか分からない大穴選手です。こういう種目ですから決勝でも上手くいくとは限りませんが、「超新星」が停滞気味のやり投に一波乱を起こしてくれることを期待します。
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◇女子走幅跳予選(通過記録6m75)
「予選が鬼門」のブリトニー・リース(USA)が一発で通過を決める幸先のいいスタートを切り、ティアナ・バートレッタとともに決勝へ進みました。私のイチオシ、イヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)も6m87のトップ記録で一発通過は、さすが。
日本の甲斐好美は、懸念された踏切の不安定をまたもや露呈してしまい、3月の室内WC以来世界大会5回連続ファウル。3回目に記録を残しはしたものの5m台ではどうにもなりませんでした。
その後のインタヴューでの受け答えが、どうも感じ良くなかったですねえ。「本来のコーチがいなかったから…」などと、現場で世話になった吉田孝久コーチをないがしろにするようなコメントは、いかがなものでしょうか。

◇女子400mH準決勝(3組2着+2)
今年前半は「本命不在」の様相だったこの種目も、どうやらWL(52秒88)のダリラ・ムハマド(USA)の現在の力と勢いは本物のようで、まず金メダルは半分手中にしたような感があります。
本来なら世界選手権連覇中のズザナ・ヘイノヴァ(CZE)が中心になるべきですが、今季のヘイノヴァは故障で出遅れようやくオリンピックに間に合ったというところ。解説の山崎さんはかなり辛口な評価でしたが、思った以上に状態はいいと見えました。アシュリー・スペンサー(USA)、エイリズ・ドイル(GBR)、ジャマイカ勢あたりとの銀メダル争いの中では、一歩リードではないでしょうか。ムハマドとの勝負が楽しみです。
RIO026


◇男子400mH準決勝(3組2着+2)
無念、かえすがえすも無念!
野澤啓佑、1組6着(49秒20)で決勝ならず。
クレメント(USA)が意外にいい走りで優勝候補筆頭に名乗りを挙げたレースでしたが、野澤は何で失速しちゃいましたかねえ…2位が48秒85ですよ、チャンスだっただけに諦めきれない。
200m予選の項でも言及しましたが、野澤にも同じことが言えますね。勝負どころが分かっていないんです。経験不足です。どんどん海外に出て修行してください。
さて、異常事態だった種目もようやく48秒台前半のタイムが続出して、温まってきました。決勝では誰が来るかさっぱり読めません(もう、どうでもいいや)が、47秒台が出るかもしれないですね。

◇女子200m準決勝(3組2着+2)
いきなり1組でトンプソン(JAM)とスキッパーズ(NED)の「頂上決戦」。もちろんセミファイナルでガチンコになるはずもなく、「お先に」「どうぞ」という感じでスキッパーズが先着しましたが、ただ一人の21秒台で仕上げは万全のようです。
タルー(CIV)とボウイ(USA)も引き続き好調のようですけど、やはり決勝は上記2人のハイレヴェルな優勝争いではないか、と見ます。私のご贔屓イヴェット・ラロワ-コリオが見事2組2着で決勝に進んだのは立派!
ところで、なんでTVでは昨年のWC以来、Dafne Schippersを「ダフネ・シパーズ」という呼称をするんでしょうかね?オランダ語読みではそうなのかな?英語の場内アナウンスでははっきりと「すきっぱぁーず!」って言ってますけどね。
外国人選手の呼称については私もいろいろ思うところがあるんですが、明らかに「おかしいんじゃない?」というのがあります。この後の1500mに出てきたイギリス人のLaura Muirは英語ではっきりと「みゅぅあーー!」と呼ばれてるのに、「ムイー」って、何よその呼び方?

◇女子1500m決勝
この大会には、本来大本命であるべき存在なのに今季不調だったりブランクからようやく出場にこぎつけたりと、その動向が注視された選手が何名かいます。
ボルトがその代表格ですし、それ以上に不安視されていた男子800mのルディシャ、女子100mのシェリーアン、男子円盤投のR.ハルティング、前述のヘイノヴァなどもそうですね。
いちばん音沙汰がなかったのがゲンゼベ・ディババで、昨年の大活躍ぶりから一転して「どうなの?」という危惧がありました。で、今回案の定というか、700から猛烈なマクリを決めたかと思ったら、最後の直線で失速するという信じられないような姿で辛うじて2着。
まさか、とは思うんですけど、彼女、一瞬周回を間違えたんじゃないでしょうか?それほど、700からのスパートは「渾身」という感じで、1100からの再スパートは思いつめたような雰囲気があったんですね。思い違いではないにしても、700での仕掛けはどうも戦術上のミスだったように見え、あるいは世界記録で走った時の感覚を信じすぎたか、ブランクによるレース勘のズレのようなものが大きく影響したように思います。
ディババが独り相撲で沈没するのを尻目に、フェイス・キピエゴン(KEN)が余裕の優勝。3着はまたもアメリカ!(ジェニファー・シンプソン)

◇男子110mH決勝
実は私、昨今のこの種目にあんまり興味がないんです。それほどに、主役もいなければ記録も低調。誰が勝っても、あまり記憶に残ることはないだろうな、とそんな思いで見てました。
まずまず大方の予想どおり、WLのオマー・マクレオド(JAM)が13秒05で優勝、キューバからスペインに国籍変更したオーランド・オルテガが2着。
予選の走り直しという前代未聞の出来事以外は、あんまり記憶に残ることはなさそうです。

ああっ、もうDay6が始まってしまう!