『第40回全日本実業団女子駅伝』は、大方の予想通りJP日本郵政グループの圧勝2連覇、巨砲新谷仁美を擁した積水化学が歴代最高順位の2位となり、2連単はガチガチの1番人気で決着となりました。
筆者が推した天満屋、資生堂はシードにすら入れないズッコケぶりとなり、見事な赤っ恥予想となりましたことは、ご覧のとおりであります。ま、駅伝の予想なんてのはこんなもんです。

積水の森智香子、さぞかし悄気てることでしょうね。相手が鈴木亜由子とはいえ、逆転のされ方が無抵抗過ぎて、かつて大東文化大を強豪校に引っ張り上げた闘将の面影はありませんでした。最近では爽やかな笑顔が彼女のトレードマークになっていますが、それもいい走りをしてこそ輝くというもの。もともと力のあるランナーだけに、今日の悔しさを糧にしてもらいたいと願います。それと、学生時代から“本業”にしている3000mSCには、見切りをつけた方がいいと思っています。着地で止まってしまうような障害飛越の仕方では、好成績は無理だと思うのです。
特別にファンというのではないけれども、ずっと気になっているランナー・森智香子。27歳は、まだまだもう一花もふた花も咲かせられる年齢です。新谷の存在が、いい刺激になってくれればと思います。

天満屋は、9月に故障したという三宅紗蘭のブレーキが計算外でしたね。マラソンランナーの谷本美月を2区に使ったのも、不安があったからなのでしょう。1・2区での立ち遅れは致命的でした。
資生堂は、予選会同様前半のルーキーが奮闘しながら、後半の実力者3人が全くの不発ではどうにもなりませんでした。メリッサ選手は昨年春、来日初戦の鮮やかな勝ちっぷりから大いに期待していたのですが、アンカーの木村友香ともども、重度のスランプというところです。

1区の廣中璃梨佳、3区の新谷仁美は、いずれも期待に違わぬ見事なパフォーマンスで、それぞれ5000m、10000mでは世界に最も近い位置にいることを改めてアピールしてくれました。
廣中の記録は区間距離が変わったための参考記録とはいえ、昨年までの中継所通過タイムは自身の区間記録よりも速く、不断の成長ぶりを示しています。これで、駅伝では何回連続の区間賞ということになるんですかね?中3から1度も負けていないというのが本当なら、歴史に残る記録になっている筈です。
そしてもう一つの赤っ恥。「新谷が鍋島より1分も速く走るとは考えられない」なんて書いちゃいましたが、走ってしまいましたねえ。だって、鍋島は去年の日本選手権10000mで、がっぷり四つの勝負で敗れている相手ですから、そう思うのが普通でしょ?その10000mで相手に合わせるようなレースをしてしまったことへの反省から、今度は自分の独走力を信じて立ち合いの一瞬に突き放す、そんな新谷の心意気を見た3区でした。
余談ながら、横田真人コーチによるTwitterの「#レース前の新谷」というシリーズ(?)が超トピカル。今回も、食事中にゴネたり、「キツくなったらコーンを蹴飛ばして外に出ちゃおうか」とかホザく新谷選手の表情が楽しめます。


さて、新谷、廣中、そして多くの有力ランナー(もちろん男子も)が勝負に出る冬のトラック決戦、『第104回日本選手権』の長距離種目が、12月4日(金)、大阪のヤンマースタジアム長居で開催されます。
オリンピック参加標準記録の有効期間に入ること、例年この時期に行われる『実業団女子長距離記録会』で、駅伝の直後にも関わらず好記録が出ていることなどを踏まえて、この日程が組まれました。通常日本選手権は6月開催で、長距離種目にとっては必ずしも好条件には恵まれませんが、今年は“異例”がいい結果を生み出すことに期待します。
各種目のエントリーは、次のとおり。
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1535-4.pdf

注目は、言うまでもなく既に13分10秒、31分25秒の標準を突破している5000mの廣中と田中希実、10000mの新谷。
この3名は優勝した時点で代表内定。他の選手が代表内定するためには、標準記録の突破を伴う優勝が条件となります。

5000mは、廣中が高速ペースを作り、田中・萩谷楓(エディオン)・出てくれば一山麻緒(たぶん10000mの方に出るのでは?)までが追走する展開になるでしょう。過去に優勝経験のある西原加純以下のメンバーでは現状力の差があり過ぎて、追走は難しそう。オープン参加の外国人も、カマウ・タビタジェリとナオミ・ムッソーニでは少々役者不足か。
中盤から終盤にかけては廣中と田中の一騎討ちが予想されます。ラスト勝負にまで持ち込めば田中のスピードに一日の長があるとはいえ、都大路の1区では常に廣中の圧勝に終わっている過去の対戦からすると、廣中が4000mまでに突き放す可能性の方が高いような気がします。昨日の激走が疲労を残すか逆に適度な刺激となるか、そこが明暗の分かれ道になりそうです。

10000mは、「同じ過ちは二度としない」と前回のレースで肝に銘じた新谷のぶっちぎりの独走劇、咋日の3区の再現が期待されます。10㎞を30分30秒で通過した昨日の走りをすれば、誰もついては行けません。
ただ、鍋島以下の選手たちは標準記録突破も大きな目標となるため、ある程度は速いペースに持っていきたいのは同じ。標準記録に届かない限り、優勝しようが2位になろうが代表を目指す選手にとっては何の意味もない結果となる以上、捨て身の追走を試みる選手が出てくる可能性はあります。鍋島はじめ佐藤早也伽、松田瑞生あたりはその候補者。マラソン強化の一環で出てくる一山も、ハイペースは望むところでしょう。
とはいえ、標準記録を狙うペースと日本記録を狙うペースでは、1周あたり2秒近くも違います。新谷が1周73秒の容赦ないペースで、他を寄せ付けないものと信じています。

男子では大迫傑が2種目にエントリーしており、昨年ホクレンで敢行したように1日に2種目出るつもりなのかどうか、ちょっと気になります。(インターバルは1時間半ほど)

なお、現時点でこの大会のTV中継予定はBS・CSを含めて発表されておらず、陸連による(例によって拙い)ライブ配信だけが頼りになりそうな気配です。TV局にとってもこんな美味しいコンテンツなのに、何ともったいない!