2018-11-11 21.17.08

いやあ、ぶったまげましたねえ。
新谷仁美(NIKE TOKYO TC)が『第34回東日本女子駅伝』に東京チームのアンカーとして出場し、第8中継所で1分35秒あった先頭・長野との差を逆転、2003年に渋井陽子(栃木)が樹立した区間記録を3秒上回る31分08秒の区間新記録で優勝のテープを切りました。

新谷選手の電撃復帰については、以前の記事でご紹介したとおりです。
→ 「新谷仁美が帰ってきた!」
25歳で、しかも10000mのPBを出したレースを最後に最初の現役生活を終えた彼女にすれば、まだまだ仕上がり途上と思える数カ月前の状況でしたが、なんのなんの、復帰後初のロードレースでいきなり最盛期、あるいはそれ以上を思わせるほどの快走ぶりでした。
レース前に「1分半から2分差なら覆せる」と自信を漲らせていた新谷、お誂え向きにタスキを受け取ったのは先頭から1分35秒差の4番手。入りの1㎞を2分55秒(!)というケニア人なみの猛ダッシュで突っ込むと、4㎞を12分00秒、5㎞を15分22秒と刻むペースは、まさに私が大好きだった「男前な」ブレイブ・レース。(5㎞以外は中継アナウンサーの手動計時であり、彼らは平気で数秒速い数字をアナウンスしますから一概に信用はできません。また距離表示が間違っていたこともあり得ます)
1分35秒は追い付けるかどうかギリギリのラインかと思われましたが、間にいた千葉(篠塚麻衣)、静岡(清田真央)をあっさりとパスすると、残り2㎞を切ったところで早々に長野(玉城かんな)を捕まえてしまいました。
時計の比較で言えば、長野のアンカー・ 玉城との区間記録差は1分58秒で、もし2分差でスタートしていれば際どい接戦になったのかもしれませんが、実際に追い抜いてからの2㎞弱は新谷もややペースを緩めたように見えましたので、やはり競技場入口あたりで捕まえていたのではないでしょうか。
数々の駅伝に出場してきた新谷も、都道府県対抗戦では(最長区間ということもあり)アンカーを務めることが多かったように思いますが、ここまで鮮やかに大局をひっくり返して見せたのは、初めてのことでしょう。


(最初の)現役最後のレースが、10000mのベストレース!
現役復帰レースが、またまた駅伝でのベストレース!
こんなことをやってのけた選手は、まさしく前代未聞。
すでに「復帰するからには相手は世界」と眦を決している新谷選手。彼女が不在の間に、「世界」はアルマズ・アヤナ(ETH)によって驚異的な10000m世界記録が達成される(2016年リオ五輪)など、5年前とはまた様相を一変させています。
しかし、5年前に比べてもシャープに、凛々しく、そしてイイ女になったと思える新谷選手を、しばらくは力いっぱい応援できると思えば、もうワクワクです。
私とすれば、ヒイキの女子選手が相次いで引退して個人的に落ち込んでいた今季、それを一挙に覆す朗報でした。