豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2020年11月

次は2週間後!新谷・廣中・田中希実…



『第40回全日本実業団女子駅伝』は、大方の予想通りJP日本郵政グループの圧勝2連覇、巨砲新谷仁美を擁した積水化学が歴代最高順位の2位となり、2連単はガチガチの1番人気で決着となりました。
筆者が推した天満屋、資生堂はシードにすら入れないズッコケぶりとなり、見事な赤っ恥予想となりましたことは、ご覧のとおりであります。ま、駅伝の予想なんてのはこんなもんです。

積水の森智香子、さぞかし悄気てることでしょうね。相手が鈴木亜由子とはいえ、逆転のされ方が無抵抗過ぎて、かつて大東文化大を強豪校に引っ張り上げた闘将の面影はありませんでした。最近では爽やかな笑顔が彼女のトレードマークになっていますが、それもいい走りをしてこそ輝くというもの。もともと力のあるランナーだけに、今日の悔しさを糧にしてもらいたいと願います。それと、学生時代から“本業”にしている3000mSCには、見切りをつけた方がいいと思っています。着地で止まってしまうような障害飛越の仕方では、好成績は無理だと思うのです。
特別にファンというのではないけれども、ずっと気になっているランナー・森智香子。27歳は、まだまだもう一花もふた花も咲かせられる年齢です。新谷の存在が、いい刺激になってくれればと思います。

天満屋は、9月に故障したという三宅紗蘭のブレーキが計算外でしたね。マラソンランナーの谷本美月を2区に使ったのも、不安があったからなのでしょう。1・2区での立ち遅れは致命的でした。
資生堂は、予選会同様前半のルーキーが奮闘しながら、後半の実力者3人が全くの不発ではどうにもなりませんでした。メリッサ選手は昨年春、来日初戦の鮮やかな勝ちっぷりから大いに期待していたのですが、アンカーの木村友香ともども、重度のスランプというところです。

1区の廣中璃梨佳、3区の新谷仁美は、いずれも期待に違わぬ見事なパフォーマンスで、それぞれ5000m、10000mでは世界に最も近い位置にいることを改めてアピールしてくれました。
廣中の記録は区間距離が変わったための参考記録とはいえ、昨年までの中継所通過タイムは自身の区間記録よりも速く、不断の成長ぶりを示しています。これで、駅伝では何回連続の区間賞ということになるんですかね?中3から1度も負けていないというのが本当なら、歴史に残る記録になっている筈です。
そしてもう一つの赤っ恥。「新谷が鍋島より1分も速く走るとは考えられない」なんて書いちゃいましたが、走ってしまいましたねえ。だって、鍋島は去年の日本選手権10000mで、がっぷり四つの勝負で敗れている相手ですから、そう思うのが普通でしょ?その10000mで相手に合わせるようなレースをしてしまったことへの反省から、今度は自分の独走力を信じて立ち合いの一瞬に突き放す、そんな新谷の心意気を見た3区でした。
余談ながら、横田真人コーチによるTwitterの「#レース前の新谷」というシリーズ(?)が超トピカル。今回も、食事中にゴネたり、「キツくなったらコーンを蹴飛ばして外に出ちゃおうか」とかホザく新谷選手の表情が楽しめます。


さて、新谷、廣中、そして多くの有力ランナー(もちろん男子も)が勝負に出る冬のトラック決戦、『第104回日本選手権』の長距離種目が、12月4日(金)、大阪のヤンマースタジアム長居で開催されます。
オリンピック参加標準記録の有効期間に入ること、例年この時期に行われる『実業団女子長距離記録会』で、駅伝の直後にも関わらず好記録が出ていることなどを踏まえて、この日程が組まれました。通常日本選手権は6月開催で、長距離種目にとっては必ずしも好条件には恵まれませんが、今年は“異例”がいい結果を生み出すことに期待します。
各種目のエントリーは、次のとおり。
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1535-4.pdf

注目は、言うまでもなく既に13分10秒、31分25秒の標準を突破している5000mの廣中と田中希実、10000mの新谷。
この3名は優勝した時点で代表内定。他の選手が代表内定するためには、標準記録の突破を伴う優勝が条件となります。

5000mは、廣中が高速ペースを作り、田中・萩谷楓(エディオン)・出てくれば一山麻緒(たぶん10000mの方に出るのでは?)までが追走する展開になるでしょう。過去に優勝経験のある西原加純以下のメンバーでは現状力の差があり過ぎて、追走は難しそう。オープン参加の外国人も、カマウ・タビタジェリとナオミ・ムッソーニでは少々役者不足か。
中盤から終盤にかけては廣中と田中の一騎討ちが予想されます。ラスト勝負にまで持ち込めば田中のスピードに一日の長があるとはいえ、都大路の1区では常に廣中の圧勝に終わっている過去の対戦からすると、廣中が4000mまでに突き放す可能性の方が高いような気がします。昨日の激走が疲労を残すか逆に適度な刺激となるか、そこが明暗の分かれ道になりそうです。

10000mは、「同じ過ちは二度としない」と前回のレースで肝に銘じた新谷のぶっちぎりの独走劇、咋日の3区の再現が期待されます。10㎞を30分30秒で通過した昨日の走りをすれば、誰もついては行けません。
ただ、鍋島以下の選手たちは標準記録突破も大きな目標となるため、ある程度は速いペースに持っていきたいのは同じ。標準記録に届かない限り、優勝しようが2位になろうが代表を目指す選手にとっては何の意味もない結果となる以上、捨て身の追走を試みる選手が出てくる可能性はあります。鍋島はじめ佐藤早也伽、松田瑞生あたりはその候補者。マラソン強化の一環で出てくる一山も、ハイペースは望むところでしょう。
とはいえ、標準記録を狙うペースと日本記録を狙うペースでは、1周あたり2秒近くも違います。新谷が1周73秒の容赦ないペースで、他を寄せ付けないものと信じています。

男子では大迫傑が2種目にエントリーしており、昨年ホクレンで敢行したように1日に2種目出るつもりなのかどうか、ちょっと気になります。(インターバルは1時間半ほど)

なお、現時点でこの大会のTV中継予定はBS・CSを含めて発表されておらず、陸連による(例によって拙い)ライブ配信だけが頼りになりそうな気配です。TV局にとってもこんな美味しいコンテンツなのに、何ともったいない!

なるか、新谷仁美のV3 !?…全日本実業団女子駅伝


さあ、さあ、今年もやって参りました。
やって来ないかもしれないと薄々怯えつつも、ぎりぎりセーフ!…もし以前のような12月第2週開催であれば、ここ数日の状況からすると急遽中止のやむなきもあり得たかな、と思わされます。
陸上競技年間行事の中でも本ブログ最大の注目イベント、それが『全日本実業団対抗女子駅伝』であることは、ご贔屓くださっている皆様にはご承知のとおりです。
ブログオーナー(すなわち私)の好みがスポーツ>陸上競技>女子長距離>…の順に特化されているところからすると、『全日本大学女子駅伝』『全日本実業団女子駅伝』『都道府県対抗全国女子駅伝』(残念ながら今季は中止)こそは、天下の三大駅伝!
さらに>…の先を言うならば、そこには「新谷仁美」の文字が燦然と輝きます。

「帰ってきた新谷仁美」が、引退前に比べて凄まじいばかりのカリスマ性に彩られて、マラソン代表トリオをも上回る眩いオーラに包まれているかに見えるこの1~2年。その姿は、スポーツ・マスコミはもとより、Twitterを通じて、本人、さらには横田真人氏という、コーチとしても情報発信者としても類まれな人物の手によって日々伝えられ、私たちファンの心をときめかせてくれています。
1か月前の予選会、大事なレースを前に「走りたくないよぉ~…」とゴネる彼女の動画に胸を鷲掴みにされたファンが、いったい何人いたことでしょうか。(笑)

そんな新谷が、今年新たに加入した積水化学で、空前の大記録に挑みます。
“華の3区”でのぶっちぎり区間新記録?…まあ、それもありますけど、もっとレアな記録への期待、
それは、「異なる3チームでの全日本実業団女子駅伝優勝」という快挙です。
過去に、「2チームでの優勝」を果たしているランナーはたったの2人。
坂下奈穂美(ワコール/三井海上~三井住友海上)と新谷(豊田自動織機/ユニバーサルエンターテインメント)の2人だけです。
そもそも1つのチームで競走人生を全うすることが「普通」とされる長距離業界にあって、2つのチームで優勝に貢献するという経験は、本人の実力・努力だけで成しえるものではありません。過去には鈴木博美や野口みずき、千葉真子、那須川瑞穂といった実力者が2つ以上のチームを渡り歩きながら、この中ではリクルート時代の鈴木が2度優勝しているだけ。実際には別々のユニフォームを着て本大会を走った経験すらしていない選手がほとんどで、今年の大会で言えば、新谷の他にもう一人、他チームで優勝経験のある高島由香(デンソー/資生堂)が補欠に回ってしまったので、新たな「V2達成者」が出る可能性はなくなっています。
3チーム目となれば、これは文字通りの「優勝請負人」。プロ野球界でも、落合博満さんと工藤公康さんくらいしか思い浮かびませんよ。(ただし落合さんロッテ時代は「前期優勝」のみ)
駅伝の場合、男子でも聞いたことがない。実業団女子駅伝でとなると或いは永遠不滅の記録となるかもしれません。(高校、大学、都道府県対抗などを含めるとどんな記録があるのか、いつか暇があったらちょっと調べてみましょう)

さあ、その新谷仁美が加入した積水化学、果たして優勝のメはあるのか?…
何が起こるか分からない駅伝の予想ほどバカげたものはない、とは毎回思う処ですが、これも性分ということで展望してみたいと思います。
下馬評では「日本郵政と積水の一騎討ち」てな声が強いみたいですが、冷静に考えてみると、「JP絶対優位」は動かしがたいように思えてきます。
何といってもマラソン代表の鈴木亜由子を軸に、女子駅伝史上最強ランナーかもしれない廣中璃梨佳に日本選手権トラック3連覇中の鍋島莉奈がいて、あとの3人も去年の優勝メンバー。関根花観を欠いてこの陣容ですから、机上の観測ではちょっと強過ぎです。

対する積水はというと、「前半の3本柱で逃げ切り戦法」とよく言われるように、後半のオーダーがいかにも心許ない。3本柱にしたところで、佐藤早也伽がトップランナーに成長したといっても、相手が廣中ではいかに傷口を少なくするかという戦いを余儀なくされるし、卜部蘭にとって2区の距離短縮は好材料とはいえ、本職が1500mの彼女にぶっちぎりを期待するのは酷。またいくら新谷が規格外のスーパーヒロインでも、10㎞少々で鍋島より1分以上も速く突っ走るとはなかなか考えにくいですよね。
となると、後半を託される3人の奮起と粘りがカギ。積水は後半3区間を予選会とはガラリと組み替えて安定性よりも若い力の一発にイチかバチか賭けているようにも見えます。もう1枚か2枚、松﨑璃子が残っていれば、森智香子にかつての力が戻ってくれば…と思わずにはいられません。
ズバリ、新谷V3の可能性は20%、といったところでしょう。


他の有力チームに目を転じてみると、昨年2位のダイハツは今回もベストメンバーには程遠く、大エース松田瑞生を1区に持ってくる奇襲作戦。廣中の存在を考えればもったいないなという気もしますが、これで機先を制すことができたら2区以降も面白い存在になります。ただ松田個人に関して言えば、視線は完全に2週間後を向いているように思われ、そこを見据えての山中采配ではないでしょうか。

2017-18と連覇したパナソニックは、主力がいずれも故障に苦しむシーズンとなって、今回の目標はシード権が精一杯とのこと。若いチームだけに次回以降に期待しましょう。

オリンピック金メダルを期待される前田穂南を擁する天満屋は、実質的には日本郵政への対抗馬筆頭でしょう。前田・小原・谷本の3本柱は他の強豪チームに決して引けを取らないし、前回5区区間賞の三宅紗蘭も今季5000mで13分30秒を切りました(その後軽い故障をしたようですが)。実績のない大東優奈を5区に持ってきたオーダーも不気味です。

もう一人のマラソン代表・一山麻緒のいるワコールは、「3本柱」は盤石ながら優勝を目指すにはまだコマ不足。

コマ数で言えば、まずまず揃えてきたのは資生堂と大塚製薬です。
資生堂は大黒柱の高島が外れましたが、1区・佐藤成葉、2区・日隈彩美、3区・五島莉乃と並べたルーキーが予選会での奮闘を再現すれば、メリッサ・ダンカン、田中華絵、木村友香という実力者にも火が着きそう。天満屋とのピンク旋風が巻き起こるかもしれません。

大塚は福良郁美、藪田裕衣、棚池穂乃香らが力を付け、大ベテラン伊藤舞が復活。本来ならエースとなる横江里沙を短距離区間に使わざるを得ないのが残念ですが、総合力は着実にシード・クラスに来ています。

さらに、シードの三井住友海上、デンソー、豊田自動織機、予選会上位のヤマダ、九電工、エディオンあたりまでが今年のベスト8を争う候補でしょうか。この中では、やはりコマ数豊富な豊田織機。ここ数年、注目し続けてきているだけに、なんとかここいらでという気分です。

ということで、私の結論。
◎ JP日本郵政グループ
〇 天満屋
▲ 積水化学
△ 資生堂
△ 豊田自動織機

区間賞予想。
1区 ◎廣中璃梨佳 〇萩谷楓
2区 ◎福田有以 〇卜部蘭
3区 ◎新谷仁美
4区 ◎ヘレン・エカラレ 〇パウリン・カムル
5区 ◎鈴木亜由子 〇石井寿美
6区 ◎小原怜 〇大西ひかり

終ってから読んだ方、どうぞお笑いください。

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