ここまでダイヤモンドリーグ実施種目に限定して2018シーズンを振り返ってきましたが、触れることのできなかった種目についても少々言及しておきましょう。
DL非実施種目である10000mやハンマー投、マラソン・競歩のロード種目、混成種目、リレー種目については、それぞれ試合数が少なかったり、まだ試合を残していたりと、現時点でシーズン全体を総括することにあまり意味はありません。
もちろん、世界記録が塗り替えられた男子マラソン・十種競技をはじめ、これらの種目でも例年に増して話題に事欠くことなく、五輪中間年ながら陸上競技界の盛り上がりに大いに寄与していたのは間違いないところです。それらに関しては、また個々に述べる機会もあろうかと思います。
それでは、シリーズ最後のパートとなります「女子フィールド」カテゴリについて、DLファイナルの結果をもとにまとめておきます。
※(Z)はチューリッヒ大会、(B)はブリュッセル大会のリザルト
<女子跳躍>
◇走高跳(Z)
① 1m97 マリア・ラシツケネ(ANA)
② 1m94 ユリヤ・レフチェンコ(UKR)
③ 1m90 マリー-ローレンス・ユングフライシュ(GER)
7月のラバト大会で衝撃の連勝ストップがかかったラシツケネは、ヨーロッパ選手権でもミレラ・デミレヴァ(BUL)に薄氷の勝利と、今季は「絶対女王」の名が揺らぐ場面もありました。2度にわたり女王の座を脅かしたデミレヴァの姿がなかったファイナルでは、記録は低調ながらラシツケネの完勝に終っています。
今季、記録的には2m04を筆頭に9回2mをクリアしたラシツケネの独擅場で、まだまだその優位は来季以降も続きそうです。その他では、26歳にして突如それまでのPB1m91から大幅アップの2m02を跳んだエレナ・ヴァロルティガラ(ITA)、七種競技の種目別世界最高記録を2m01にまで高めたナフィサトゥ・ティアム(BEL)の名が2mリストにあるのみ。この2人は、ラシツケネにとってデミレヴァ以上に気になるところでしょう。
◇棒高跳(Z)
① 4m87 カテリナ・ステファニディ(GRE)
② 4m82 サンディ・モリス(USA)
③ 4m82 アンジェリカ・シドロワ(ANA)
シーズン序盤は「絶不調」の苦悩を見せていたステファニディが、中盤から安定した跳躍を取り戻し、終わってみれば定位置に収まった、という結果です。
上位3名は昨年来のスタンダードですが、今季はベテランのジェニファー・サー(USA)、ニコレッタ・キリアポウロウ(GRE)、ヤリスレイ・シルバ(CUB)、あるいはリオ銅メダルのアイドル・ボウルター、エリザ・マッカートニー(NZL)といった面々が随所で上位に食い込む活躍を見せ、ゲームに厚みと彩りが増した感じがします。華やかな女子空中戦が、もっともっと盛り上がってくれることを期待します。
◇走幅跳(B)
① 6m80(+0.3) カテリン・イバルゲン(COL)
② 6m70(-0.4) シェイラ・プロクター(GBR)
③ 6m68(-0.2) シャキーラー・ソーンダース(USA)
昨年の世界選手権でしのぎを削った「4強」・・・ブリトニー・リーズ(USA)、ダリア・クリシナ(ANA)、ティアナ・バートレッタ(USA)、イヴァナ・スパノヴィッチ(SRB)の名がどれもファイナルのスタート・リストになく、率直に言ってレベルの低い戦いの中で、「鬼(たち)の居ぬ間に」とばかりにイバルゲンが三段跳との2冠を達成しました。
シーズン唯一人の7mジャンパーとなっているロレイン・ユーゲン(GBR)や好調を続けてきたマライカ・ミハンボ(GER)は下位入賞にとどまり、今季この種目の低空飛行ぶりを象徴しています。
◇三段跳(Z)
① 14m56(-0.3) カテリン・イバルゲン(COL)
② 14m55(-0.8) シャニーカ・リケッツ(JAM)
③ 14m47(+0.3) キンバリー・ウィリアムズ(JAM)
こちらは強敵のユリマール・ロハス(VEN)が3月の室内を最後に三段跳の試合に出場せず、イバルゲンの独り舞台…かと思われましたが14m台中盤の記録では意外な苦戦もやむなし、というところでしょう。ここ2年間15mオーバーが見られず、34歳になったイバルゲン、進退のはっきりしないロハス、あるいはこちらもベテランのオルガ・リパコワ(KAZ)…このあたりと好勝負ができる選手が出てこないと、この種目はしばらく地味な存在に陥ってしまうかもしれません。
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<女子投擲>
◇砲丸投
① 19m83 ゴン・リージャオ(CHN)
② 19m64 レイヴン・ソーンダース(USA)
③ 19m50 クリスティナ・シュワニツ(GER)
この種目も、今季は低調なまま推移し、ランキング(20m38)、DLともに制したのはゴン・リージャオでした。ヴァレリー・アダムズ(NZL)、クリスティナ・シュヴァニツ(GER)、ミシェル・カーター(USA)といった実力者が30代半ばにさしかかって下降線を辿っている現状では、来季のニューカマー到来を期待するしかありません。
◇円盤投
① 65m00 ヤイメ・ペレス(CUB)
② 64m65 アンドレサ・デ-モライス(BRA)
③ 64m31 サンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)
女王ペルコヴィッチは今季開幕戦でいきなりセカンド・ベストの71m38を投擲し、その後も好調を維持して円熟期の充実ぶりを見せていましたが、ファイナルでまさかのチョンボを演じてしまい、年間チャンピオンの単独最多記録(8回)を達成するチャンスを棒に振ってしまいました。
毎試合ペルコヴィッチに続く2位の座を堅守してきたペレスが、タナボタの勝利にニンマリ、といったところです。
◇やり投(Z)
① 66m99 タチアナ・ハラドヴィッチ(BLR)
② 66m00 リウ・シイン(CHN)
③ 64m75 カーラ・ウィンガー(USA)
この種目も主役不在の低レベル混戦が続きました。その間隙を縫って、ルー・フイフイとリウ・シインの中国コンビが各大会で上位を賑わし、シーズン後半にアジア大会を制するなど調子を上げたリウがファイナルでも2位に食い込んでいます。優勝したハラドヴィッチは、やや成績にムラが大きいところがまだ「女王」の名に及ばない印象。今季ランキング首位のキャスリン・ミッチェル(AUS)がDL戦線に参加しなかったことも、今一つ盛り上がりを欠いた要因となりました。
(シリーズおわり)











