◇ご無沙汰の言い訳
たいへんたいへんご無沙汰いたしました。
4月からの仕事環境の変化で、ブログに費やす時間がほとんどなくなってる状況です。
陸上関連のTV放送などはキーワード留守録でほぼ録り逃しはありません(時々『ダーウィンが来た~陸上生活に進化した〇〇」とか「陸上自衛隊の中東派遣云々」なんてのが録画されてたりします)けど、つい先日も『関東インカレ最終日』のフル中継を視終わるのに何日もかかったりしています。
こんなスチャラカ・ブログでも、いろいろと調べものをするのに結構な時間がかかったりするんですよ。更新の停滞については、どうかご理解くださいまし。

さて、今季の陸上トラック&フィールド・シーズン、国内では日本選手権前の、グランプリ・シリーズを軸とする一連の大会が概ね終了し、今週末から始まる『アジア・ジュニア選手権』、翌週の『日本学生個人選手権』、『日本選手権混成競技』などを経て22(金)~24(日)の『第102回日本陸上競技選手権』へと続きます。
今年はオリンピックも世界選手権もない中間年、いつものように「参加標準記録を突破して日本選手権優勝」みたいな緊迫感はありませんが、ジャカルタ・アジア大会に1種目あたり最大2名までの代表入りを目指す戦いが繰り広げられることになります。

◇“それぞれ順調”の短距離が今年も熱い
ここ数年、空前の盛り上がりを見せているのが男子スプリントのカテゴリー。記念すべき「9秒元年」の翌年とあって、その注目度はますます高まりますが、現状ではランキング1位が山縣亮太(セイコー)とケンブリッジ飛鳥(NIKE)の10秒12(ともに布施スプリント)と、10秒0台がひしめいていた昨年同時期からは少々出遅れムードです。
しかし、今季はその両者をはじめ桐生祥秀(日本生命)、多田修平(関西学院大4)、飯塚翔太(ミズノ)、藤光謙司(ゼンリン)…といったヨンケイ候補のトップ・スプリンターがいずれも順調に試合をこなして調子を上げつつあるのが頼もしいところ。僅かに、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)だけが故障を発生して全米学生選手権への道を断念したのが残念ですが、日本選手権ではまた、ハイレベルかつスリリングな代表争いが見られそうな予感です。

そして、『ゴールデングランプリ大阪』でリオ銀メダルメンバーが見せた、37秒85の圧倒的なリレーのパフォーマンス!
この大会ではどちらかというと、各種目で中国、韓国、台湾といったアジア大会のライバル勢に押され気味だったり、また100mではGG大阪には不出場(リレーのみ出場)だったもののその直前のDL上海大会で桐生に圧勝したスー・ビンチャン(CHN)がインドア・シーズンから引き続いて絶好調を伺わせているということもあり、少々不安な視線を送っていたのですが、ことリレーに関しては盤石の信頼感を新たにすることができました。

◇アジア大会の注目種目は「ヨンパー」
全種目を通じて、今季国内で最も注目度の高い仕上がりを見せているのが400mHの安部孝駿(デサント)でしょう。
『静岡国際』で出した48秒68のPBは現在世界ランク7位。この種目では今季、彗星のごとく現れたアブデルラーマン・サンバ(QAT)が47秒48(DLローマ大会)と世界のリーダーとなり、アジア大会でも絶対的な金メダル候補に躍り出ていますが、安部にはぜひとも、このサンバに真っ向勝負を挑んでほしいところです。ジュニアの頃から恵まれた体躯とスター性あふれる容姿で期待されていた選手が
昨年来ようやく本格化してきた、というところですから、向こう数年は不動のエースとしての活躍を祈ります。

◇女子で面白いのがこの種目
昨季から、盛況が期待されていたのが女子800mという種目です。
2分00秒92というビッグ・レコードを土産に今春大学を卒業した北村夢(エディオン)に夢の1分台なるかという注目が集まる中、GPプレミアの『静岡国際』を制したのは大学1年の川田朱夏(東大阪大)。タイムの2分02秒71もなかなかのもので、同学年のライバル・塩見綾乃(立命館大)を含めた3人が、非常に拮抗したレベルで2分切りの先陣争いを繰り広げています。
4つ年下の川田に敗れた北村も、この日は故障上がりだったようで、日本選手権での巻き返しに期待してよさそうです。

私的に昨シーズンの最注目種目だった女子やり投は、第一人者の海老原有希が引退した後の今季も、次なる女王争いが見ものです。
すでにGG大阪で60mオーバーを果たした大ベテラン・宮下梨沙(大体大TC)が一歩リードの感ですが、海老原の直径後輩・斉藤真理菜(スズキ浜松AC)をはじめ、北口榛花(日大3)、山下実花子(九州共立大3)らも順調、ここ1、2年は調子の上がらなかった久世生宝(コンドーテック)も久々に好調を伺わせています。
大阪で中国勢が圧倒したこの種目で、どうにか一泡吹かせるだけの期待をさせてくれるような、日本選手権での激投を見たいものです。

女子長距離では、どうやら主役の顔ぶれが2、3年前からは一新されてきたようです。
5000mでは、『織田記念』で山ノ内みなみ(京セラ)が15分21秒31、『ペイトン・ジョーダン招待』で福田有以(豊田自動織機)が15分20秒08、『DLユージーン大会』で鍋島莉奈(日本郵政G.)が15分10秒91と次々に今季最高が更新され、これに木村友香(ユニバーサル)や鈴木亜由子(日本郵政G.)らをまじえた日本女王争いはまったく予断を許さない状況。福士加代子(ワコール)以外に誰もなしえていない、14分台突入の夢も膨らみます。
10000mはまだほとんどの選手が『PJ招待』か『兵庫リレーカーニバル』のいずれかを走ったのみで、一山麻緒(ワコール)一人が31分台という状況。当然ながら女王奪回を狙う鈴木亜由子を中心に、関根花観(日本郵政G.)、高島由香(資生堂)と阿部有香里(しまむら)のソックリさんコンビ、さらにはマラソン組から松田瑞生(ダイハツ)、安藤友香(スズキ浜松AC)などが絡んでくることになるでしょう。個人的には、学生レベルから一歩抜け出した感のある関谷夏希(大東文化大3)に注目しています。

あとは、女子の短距離。本調子を取り戻しつつある福島千里(セイコー)と昨年女王の市川華菜(ミズノ)の戦いは、『布施スプリント』で市川の強烈な逆襲があって、混沌としてきました。アジア大会のリレーを考える上でも、ここにもう一枚、齋藤愛美(大阪成蹊大1)あたりの再浮上を望みたいですね。

もう一つ、“本編”の1週前倒しで行われる混成競技では、今季ブレイクしつつある美女アスリート・宇都宮絵莉(長谷川体育施設)と女王・ヘンプヒル恵(中央大4)の戦いに注目です。
『TOKYO COMBINED』で宇都宮・山崎有紀(スズキ浜松AC)に敗れたヘンプヒルは大怪我からの復帰途上で、その1か月後には関東インカレを4連覇して上昇気流に乗ってきています。息の抜けない勝負になるのは必至で、競り合いからの6000オーバーを期待しましょう。
そして、宇都宮には400mHとの日本選手権ダブル・タイトルの期待もかかります。



◇“新生”日本GPシリーズに物申~す!

最後に、今季新たに生まれ変わった「日本グランプリ・シリーズ」について。
「GPプレミア」と呼ばれる4大会と「GP」7大会を終えた(残り「GP」2大会)時点で、全種目を通じ最もポイントの高い選手に与えられる年間GPのポイント・リーダーは誰かといいますと…
合計2365.0ポイントで、大林督享(400mH/石丸製麺)!
誰、それ?
私もほとんど知らない選手です。
以下、ベスト10までを順に紹介しますと、
②山ノ内みなみ(5000m/京セラ)
③井上 駆(400mH/順天堂大)
④宇都宮絵莉(400mH/長谷川体育施設)
⑤清山ちさと(100mH/いちご)
⑥若林康太(400m/駿河台大)
⑦川島鶴槙(LJ/順天堂大)
⑧大六野秀畝(10000m/旭化成)
⑨柴村仁美(100mH/東邦銀行)
⑩増野元太(110mH/ヤマダ電機)

えーと、新生・日本GPシリーズのコンテスト方法はマラソンのMGC以上に複雑で分かりにくい、てなことを以前に書いたんですけど、まったくその通りで、結果(途中経過ではありますが)も摩訶不思議なものになっている、という状況です。
上位にいる選手は全員、GPプレミアとGP、2回の試合を消化して、そこそこの成績を残す、という条件をクリアしています。

トップの大林選手は、GPプレミアの『静岡国際』で49秒93の4位(1133+40pt.)、GPの『木南記念』で49秒75の2位(1142+25+25pt.)で、合計2365pt.。この種目のリーダー安部孝駿はGPプレミアのみの出場で、タイム・ポイント1196、順位ポイント60、ミーティングチャンピオン・ポイント25の合計1281pt.で、GPランキングでは135位。ちなみに、GPプレミア『織田記念』100m優勝の山縣亮太は1233pt.の136位です。
ただし、このランキングにはまだ、今週行われた『布施スプリント』『田島記念』の結果が反映されていないため、男子100mに10秒12で優勝した山縣はタイム・ポイント1165、順位点と優勝点30+25の計1220pt.を加えて、2戦合計2453pt.で断トツの首位に躍り出てくることになります。
安部がもし『南部記念』に出てくるとすれば、さらにこれを上回る得点になる可能性が大いにあります。

それにしてもなんか、釈然としないですねえ。種目によって記録の評価がまちまちなのも問題アリなんですが、そもそも「全種目を通じて」という発想がおかしい上に、「一種目の中でさえ」客観的な評価とは異なる結果が出かねない、という課題がありありと浮き彫りになっています。
ま、この先どのように変わっていくのか、陸連の頭脳にお任せするしかないですね。