豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2018年04月

ボストンマラソンの日本人ウィナーたち


川内優輝(埼玉県庁)のボストン・マラソン優勝は、日本のマラソン史に、というよりは「川内優輝伝説」に新たな1ページを書き加える快挙となりました。
異常とも思える悪天候でのレース、2時間15分台という低調な記録での勝利を「ラッキー」の一言で片づけることはできません。気候のみならずコース特性や実施時間帯、レース展開のアヤなどあらゆる外的条件が想定されるマラソンという種目で「勝った」ことの意義を、本人同様にしっかりと認識することが大切です。オリンピックなどでも、想定外のレース条件になることは十分にあり得るわけですから。

BOSTON2018
 日刊スポーツWEB記事より

ボストンマラソンは1897年に第1回が行われ、以来122年もの長きにわたり、1度たりとも中止や開催時期の変更なく、4月の「Patriots' Day(愛国者の日)」に開催され続けているという、驚くべき伝統を誇るレースです。
かつては『ポリテニック・ハリヤーズ・マラソン』(別名『ウィンザー・マラソン』。直接のつながりはないが事実上『ロンドンマラソン』の前身)、『コシツェ国際平和マラソン』とともに「世界三大マラソン」として位置付けられていました。
現在はIAAFゴールドレーベル、またワールド・マラソン・メジャーズ8大会に指定され、世界中で最も権威と人気を誇るマラソン大会の一つとなっています。格付け上は『ロンドン』『ベルリン』とともに、現時点での世界3大大会と言ってよいでしょう。


またこの大会は、日本のトップ・ランナーにとっても憧れの対象であり、2月に開催される『青梅マラソン』と姉妹提携を結んでいる(青梅優勝者はその年のボストンに派遣される)こともあって、日本人選手にとって非常に馴染みの深い海外レースと言えます。
今回の報道でたびたび伝えられたように、過去には川内を含め8人の日本人選手が通算9回、優勝者の栄誉に浴しています。

 1951年(第55回) 田中 茂樹 2;27'45"
 1953年(第57回) 山田 敬蔵 2:18'51"
 1955年(第59回) 濱村 秀雄2;18'22"
 1965年(第69回) 重松 森雄 2:16'33"
 1966年(第70回) 君原 健二 2:17'11"
 1969年(第73回) 采谷 義秋 2:13'49" CR
 1981年(第85回) 瀬古 利彦 2;09'26" CR
 1987年(第91回) 瀬古 利彦 2:11'50"
 2018年(第122回) 川内 優輝 2:15'58"

 l※第55回から60回までは41.360㎞で実施

日本陸上界にとって第二次大戦後初めてとなる国際大会への選手団派遣となった第55回大会で優勝した田中茂樹は、当時19歳。被爆地にほど近い広島県の出身で、現地の新聞には「アトム・ボーイ(原爆少年)」として紹介され、まるで広島からやって来た亡霊が優勝をさらったかのような衝撃をボストン市民に与えたそうです。
戦後すでにアメリカでは競泳の古橋廣之進らの活躍があって、日本人アスリートの実力に対する認識がまるでないわけではなかったのですが、マラソンという当時としては特殊なスポーツでの日本人の活躍は、それだけインパクトが大きかったということなのでしょう。
もちろん国内でも、この快挙は大いにもてはやされ、田中は古橋や同じ競泳の橋爪四郎、ボクシングの白井義男らと並ぶ「戦後の英雄」として国民に勇気を与える存在となりました。翌年日本大学に進学して、日本が復帰を許された1952年ヘルシンキ・オリンピックでの金メダル候補として期待されましたが、故障に見舞われたこともあり、ボストン以降は成績に恵まれませんでした。
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「陸王」を思わせるマラソン足袋を手にポーズする田中

2年後に山田敬蔵がボストンを制した際には、田中の時を上回るフィーバーぶりとなりました。というのは、山田の優勝タイムが当時の世界最高記録(2時間20分42秒)を大幅に上回る快記録だったからです。ただし、後年の再計測によって、田中が優勝した第55回から60回大会まで、フルマラソン・ディスタンスに800m少々足りないコースで実施されていたことが判明して、山田とさらに2年後これに続いた濱村秀雄の“大記録”は取り消されてしまったのですが、当時の熱狂ぶりが伺えます。
“創成期”の優勝者3人のうち、田中はオリンピック代表にはなれませんでしたが、山田はヘルシンキ大会(25位)、濱村は56年メルボルン大会(16位)に出場しています。

私の子供時代、陸上競技について書かれた本を読むと、田中、山田らのボストンでの活躍ぶりは、戦前の織田幹雄、南部忠平、人見絹枝、吉岡隆徳らの名前とともに、必ず紹介されていたものです。

日本人選手として10年ぶりにボストンを制した重松森雄は、当時24歳。いったん実業団を経て福岡大に入学し4年生となった年でした。64年東京オリンピックでは有力な代表候補の一人でしたが出場は果たせず、その翌年の1965年、突如として“覚醒”したかのようにボストンを制し、さらに2か月後にはポリテニック・ハリヤーズ・マラソンで2時間12分00秒の「世界最高記録」でメジャー大会連覇を果たしました。
イギリスでのタイムは東京オリンピックでアベベ・ビキラ(ETH)がマークした2時間12分11秒2を破るという大記録。アベベの人間離れした強さと円谷幸吉の悔しい(競技場内で抜かれての)3位を目の当たりにしたばかりの日本人にとっては俄かに信じられないほどのニュースで、当時一般紙の1面に掲載されていたのを覚えています。(ただし、この記録も後年、片道コースの“追風参考”だったことが検証されています。それでも「日本人男子選手最後のマラソン世界記録」として語り継がれています)
東京大会を契機にすっかり人気スポーツとなったマラソンで、“新星”重松への期待は高まりましたが、以後は頭打ちの成績となり、66年猛暑のバンコクで行われたアジア大会で君原健二に続く銀メダルとなったレースが目立つくらいでした。



重松の翌年に優勝者の名前を刻んだ君原健二は、1968年メキシコシティ・オリンピック銀メダルの、言わずと知れた日本マラソン史上のレジェンドです。
金メダルを期待されていた東京オリンピックでの惨敗(8位)で、一時は所属チームに退部届を出すなどすっかり走る意欲をなくしていた君原でしたが、約1年半のブランクを経てこの年の別府(現・別府大分)毎日マラソン3位で実戦に復帰。ボストンでの勝利で自信を取り戻すや、12月のアジア大会制覇まで年間6回ものレースを重ねて“完全復活”を果たし、2年後のメキシコでの快挙へとつなげていきました。
ちなみに、前述の「世界三大マラソン(当時)」のすべてで3位以内になった唯一の日本人選手であり、コシツェ(1970年)のみ惜しくも2位、ボストンとウィンザー(68年)では優勝しています。一昨年、75歳にしてボストン優勝50周年の特別招待者として完走(4時間53分14秒)したことは、記憶に新しいですね。

君原とメキシコシティ大会マラソン代表の座を激しく争い、選考会の結果では明らかに上回っていたにも関わらず落選の憂き目に遭っていた采谷義秋は、失意を振り払って翌年のボストンにチャレンジ、見事に大会新記録で優勝を飾りました。
全盛期はほとんどの大会で3位以内を外さないという非常に安定した実力の持ち主で、72年のミュンヘン大会最終選考会となった毎日マラソン(現・びわ湖毎日)では、序盤明らかに不調な様子で早々に先頭集団から脱落しながらも、驚異的な粘り腰で3位に食い込み遂に悲願のオリンピック出場を果たしました。(本番は36位)
また日体大卒業後は広島の県立高校で教員を務めた「元祖公務員ランナー」。一部の記事には「元祖市民ランナーの星」などという記述も見かけますが、現在の川内とは少し状況が異なります。当時の国内マラソン・レースは「市民レース」という発想のない純然たるエリート・レースでしたし、采谷自身も実業団ランナーの自覚をもってレースに臨んでいたと思われますので、「市民ランナーの星」という言い方は当たりません。
ミュンヘン大会の後、心臓疾患を発症して第一線からは引退。その後、『青梅マラソン』でオープン参加した瀬古利彦が現在も残るコース・レコードを出したレースに出場した姿を(私も出ていましたので)よく覚えています。

そして日本マラソン界最大のレジェンド・瀬古利彦
早稲田大在学時の1979年に初参加した時は、当時「世界最強」と言われていたビル・ロジャース(USA)に終盤引き離されて54秒差の2位となりましたが、半年前の『福岡国際』で初優勝を遂げた実力がフロックではないことを証明、その名を轟かせると、モスクワ幻の代表騒ぎを経て2年後の81年、4連覇を狙ったロジャースを寄せ付けず優勝、2年前に目前で出された大会記録も1秒破ってのけました。

1987年に2度目の優勝をしたレースは、初めて日本にも衛星中継されるということで非常に話題となりました。
ところが、強風のため中継用のヘリコプターが飛ばせないという事態になり、深夜のテレビに齧りついていた日本のファンは約2時間、延々とスタート付近や定点カメラ前を通過する市民ランナーの映像ばかりを見せられるという、散々な中継になってしまいました。(ヘリコプターを移動中継基地として飛ばすという手法はマラソン中継先進国の日本が東京オリンピックで開発したものでしたが、現在では固定中継基地を細分化することで箱根山中などからのTV中継も支障なく実施されています)
このレースには瀬古とともに「最強」を謳われたロバート・ド・キャステラ(AUS)や世界記録保持者のスティーヴ・ジョーンズ(GBR)などが出場しており、「実力No.1決定戦」の呼び声が高かった世界的にも注目の一戦でした。そのレースで、いつもコバンザメのように集団の後方に位置して終盤抜け出すという戦術を定石としていた瀬古には珍しく、ハーフ過ぎに一気にスパート。名だたる実力者たちを置き去りにするという圧巻の横綱相撲で、改めて「世界一」を証明して見せたのです。
前年のロンドン、シカゴに続くメジャー・レース3連勝で、ロス五輪での惨敗(14位)を完全に払拭した形となったものの、その後の成績からは「瀬古が強かった最後のレース」とも言われます。
そうした瀬古の快走ぶりが、ゴール間際のほんの数分間しかテレビに映らなかったのは、まことに痛恨というほかはありませんでした。

なお、この当時まで海外レースに陸連から派遣されて出場する日本人選手はいずれもナショナル・ユニフォームを着用して走っており、プライベート・チームのユニフォーム姿でボストンを制したのは、川内が初めてではないかと思われます。(一部写真等で確認できないものがありますが)

以上のような先人たちの「偉業」に並んだ、川内の優勝。ボストンのみならず、日本人選手がワールド・メジャー・クラスの大会を制したのは、ベルリン女子での野口みずき(2005年)以来のことではないでしょうか。(2010年に東京マラソンで藤原正和が優勝していますが、当時は一段格下の大会でした)
実に、「快挙」と言うほかありません。

新生GPシリーズが開幕


◇日本グランプリ・シリーズ、大幅改編
毎年、日本選手権の前哨戦的な位置付で開催されてきた日本GPシリーズが、今季から新たに、日本選手権以降も含め、全国13都市で行なわれる大会を通じたポイントの累計で年間シリーズ・チャンピオン(全種目を通じ男女各1名)を決める壮大なシリーズとしてグレードアップされました。

従来のGP戦、『兵庫リレーカーニバル』『Tokyo Combined』『織田幹雄記念国際』『静岡国際』の4大会を「GPプレミアム」、『金栗四三記念選抜中長距離』『吉岡隆徳記念出雲陸上』『水戸招待』『GG延岡』『木南道孝記念』『布施スプリント』『田島直人記念』『南部忠平記念』『北九州陸上カーニバル』の9大会を「グランプリ」と格付けし、各種目につき「GPプレミアム」では1回ずつ、「GP」では1回ないし2回の試合が組まれます。
(たとえば100mの場合、『織田記念』『出雲』『布施』の3大会でGP対象レースとして行われます。100mは他の大会でも実施される場合がありますが、そちらはGP対象外(Non GP)として行われ、タイムポイントのみがカウントされます。10000m・3000mSC・混成の男女計6種目については、「グランプリ」大会での対象レース実施がなく、日本選手権の成績が代用されます)

『IAAFダイヤモンドリーグ』に代表される「年間チャンピオン」という発想が、ようやく日本国内でも本格的な形で実現するということになったんですね。とはいえ、せっかくこれだけの数の大会を「GP大会」として格上げしておきながら、1種目あたりGP対象レースが多くて計3戦、しかも種目によって2戦だったり、『出雲』名物の300mレースが400mのポイント対象レースとして行われるなど、少々不可解な点は残ります。「記録」と「順位」と「ボーナス」を組み合わせてポイント集計するというコンテストの方式が、MGC以上に解りづらいのも難点です。
しかしながら、とかく「記録」の面だけに関心が行きがちだった国内の陸上競技大会で、いっそう「順位」に注目が集まるようになることは、たいへん結構なことです。
まずは1シーズン、トライしてみて様々な意見を吸い上げ、改善していけばよいのではないでしょうか。願わくば、GLと同様、「ファイナル」を名乗るビッグイベントをシーズンの最後に催してもらいたいところです。

さて、昨日はその第1戦となる『第27回金栗記念選抜陸上中長距離大会』が、熊本市のえがお健康スタジアムで行われました。
「マラソンの父」「駅伝の父」金栗四三氏を記念してその故郷・熊本でシーズン・インを飾る大会として開催されているこの大会、小中高生のレースなども行われる中、GP対象種目は男子5000m、女子1500m、5000mの3種目です。
大会の模様は、日本陸連のHPでストリーミング配信映像を見ることができました。



◇女子1500m
まずは女子1500m。2組のタイム・レースで行われ、1組では注目の高松ムセンビ姉妹の直接対決が実現しました。
この日は全国的に前線の影響で荒れた空模様となり、熊本も強風が吹き荒れている様子。1時間ごとに発表される気象情報ではさほどの風速でもなさそうなんですが、マイクを通して激しい風の音が伝わってきます。小柄な妹・智美にとっては厳しい条件だったでしょうが、スタートから果敢に先行。最後は姉・望の猛追を振り切って、平凡なタイムながら1着。

2組では第一人者の木村友香が同じようにスタートから先頭に立ち、高校を卒業したばかりの田中希実、和田有菜を従えるようにしながら横綱相撲…と思ったら、なんと結果的には1組のタイムに及ばず、高松姉妹のワンツーという結果に。
途中のラップタイムでは完全に1組よりも速いペースを刻んでいたのですから、高松姉妹のラストが相当に速かった、ということになります。同じレースを走っていたら結果は違っていたのかもしれませんが、なんでこの最強姉妹を2組に入れなかったんでしょうかね?
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◇女子5000m
3組のタイム・レース。実質的には最終3組に有力選手が集中しています。
2018kanaguri-L5000-1

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強風に苦しんだとはいえ、1・2組の結果は、なんだかなあ…。シニアの女子5000mで1周のスプリットが80秒に近いような展開は、ちょっと寂しいものがあります。
どうせなら、GPレースにはDL同様にペースメーカーを入れたらどうなんでしょうね?
で、最終組。こちらはペースメーカー役かと思いきや、社会人ルーキーのヘレン・エカラレ(豊田自動織機)とゼイトナ・フーサン(デンソー)が最初からガチでつばぜり合い。おおむね76秒ラップですから日本選手もついていけないペースではなかったと思うのですが、2人のマッチレースに終始してしまいました。それにしても、ラスト1周だけでフーサンをぶっちぎったエカラレの力はなかなかもの凄いですね。
前のレースのようにリザルトを画面に出してくれなかったのと、ふざけたことに公式HPでもリザルトの掲載は今日の昼過ぎだというので、いつもお世話になってるサイトから結果拝借します。
陸連の映像は先頭ばかりを追っていて3位以下のレース模様がまったく分かりませんでしたが、安藤友香がまずまず復調気配で安心しました。

 ① 15'28"87 ヘレン・エカラレ(豊田自動織機)
 ② 15'39"67 ゼイトナ・フーサン(デンソー)
 ③ 15'45"66 安藤 友香 (スズキ浜松AC)
 ④ 15'50"35 矢田 みくに (デンソー)
 ⑤ 15'51"16 逸木 和香菜 (九電工)
 ⑥ 15'51"59 森林 未来 (デンソー)
 ⑦ 15'55"79 荘司 麻衣 (デンソー)
 ⑧ 15'56"44 藪下 明音 (豊田自動織機)
 ⑨ 16'01"20 佐藤 早也伽 (積水化学)
 ⑩ 16'06"94 倉岡 奈々 (デンソー)
 ⑪ 16'24"94 田中 智美 (第一生命G.)
 ⑫ 16'30"50 菅野 七虹 (豊田自動織機)
 ⑬ 16'47"43 加藤 優果 (中京学院大1)
 ⑭ 16'47"63 篠塚 麻衣 (ユニバーサル)

図らずも前回の記事で「デンソーの巻き返し」を予言してしまいましたけど、初っ端から猛威をふるいましたね。新外国人のフーサンは未知数だった実力をある程度開示し、矢田・森林の高卒コンビもいきなり結果を出してます。何よりも、2組で走った池内綾乃・松本亜子を含め、7人もの選手が順調に試合を消化したということが、他の実業団チームからすれば脅威です。(小泉直子のみ、DNS)

なお、廃部となったユタカ技研のエース宮田佳菜代選手は、前回記事への読者様からのコメントで、新潟医療福祉大学に入学したことが判明し、今回も3組にエントリーしていたのですが、残念ながらDNSでした。とにかく、競技を続ける環境に恵まれたこと(新潟医療福祉大は、いまや大所帯の陸上部や競泳部を誇ります)は良かったですね。



◇男子5000m
なんとなんと、倉敷高校2年生のフレモン・キプラガトが最終6組で、もの凄いラストスパートを爆発させて13分37秒12で制し、タイム・レース総合でも1位となりました。6組にはワールド・ランナーのポール・タヌイ(九電工)やロナルド・ケモイ(小森コーポレーション)もエントリーしていましたが、タヌイは後方のまま見せ場なくDNF、ケモイはDNSでした。
上位11人までを5・6組に出場した外国人ランナーが占め、日本人最上位は13分42秒70で12位(6組4位)の市川孝徳(日立物流)、次いで13分44秒80で15位(同5位)の松枝博輝(富士通)、13分45秒13で16位(同6位)の浅岡満憲(日立物流)…という結果。

全般に、女子のデンソー同様に威勢が良かったのが、昨年のこの時期もそうでしたが日立物流勢。今年も暴れそうです。
かつての王者・佐藤悠基(日清食品G.)が6組で、途中まで好位置をキープしていたのが目を惹きましたけれども、終盤のペースアップにまったく付いていけなくなってしまったのが、何とも寂しい光景でした。
なお、6組にエントリーがあった塩尻和也(順天堂大4)は、DNS。

◇ひどかった映像配信、何とかして!
TV中継のない競技の模様をネットで配信してくれるのは大変ありがたいのですが、やるんならもうちょっとお金をかけて、いい業者さん使ったらどうですか、陸連さん?

まず、映像(と同時に音声も)がノイズだらけで見るに堪えない。(当方のネット環境のせいかと思いましたが、何度同じところを再生しても同じようにジャミるので、そうではないようです)
カメラワークが「陸上の素人」丸出しで、見たいところを映してくれない。(先述の女子5000mが好例)
途中経過や記録・順位に関する情報を表示してくれない。(タイマーくらい出しましょう!)
インタビューの音声が小さくて何も聞こえない。(プロの映像業者なら、選手が小声で応答するくらいの想定はしておくべき)
3,4パターンしかない陸連のCMがセンス悪すぎ。(「歴史が生まれる瞬間を目撃しろ」とかって、オマエTBSかよ⁉)
撮影現場を無人で放置するな。(子供にいいように悪戯されてたですぞ)

これ、まだトラック種目だけの大会だからマシだったんですが、昨年の例からいうと、フィールド種目がある大会ではまた、戦況が分からずイライラさせられるんだろうなと思います。1年経っても進歩がないのには、ガッカリです。

2018実業団女子の陣容は如何に?


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 チームのHPには、まだその顔が残っていますが…。
 (https://sports.toyota-shokki.co.jp/taf/ 豊田自動織機女子陸上部)

◇私的に大異変!落胆隠せません…
女子長距離カテゴリのファンにとっては、新年度からの各チームの陣容がいかに変動するか、その動向がとぉーっても気になるところです。
私のこのブログでも、ちょうど1年前に書いた2017年度の実業団女子のチーム動向の記事がいまだに人気ナンバー1を続けているのですから、同じ気持ちの陸上ファンは沢山いらっしゃるということなのでしょう。

で、お待たせしました。4月を迎えて各社のHPがほぼ一斉に新体制を公表してくれましたので、それをまとめます。もちろんチームによってはHPの更新が滞っているところもあり、私自身特別な情報源を持っているわけでもありませんので、知り得る限り、というところでご勘弁ください。

しかしまあ、私自身にとってはたいへん辛い年度替わりとなってしまいました。
これまで当ブログで再三ご紹介してきた記事をお読みいただいた方はお解りでしょうけど、私的「お気に入り」のベスト3とも言える横江里沙選手(豊田自動織機)・中村萌乃選手(ユニバーサル)・菊池理沙選手(日立)がいっぺんに消えちゃったのです!
うわぁ~~!…そういえば、重友梨佐選手(天満屋)も竹中理沙選手(資生堂)も引退しちゃいましたから、長距離界の「リサ」がみんないなくなっちゃいましたねえ。
ひたすら寂しい…。
今年は、女子長距離観戦にも熱が入らないなあ。気を取り直して、と言いたいところですが、新たなヒイキ筋を見つけるのには少し時間がかかりそうです。


◇それはさておき、勢力図も激変か??

では、今季の主要実業団女子チームの新体制です。いちおう、昨年の『全日本実業団女子駅伝』本戦出場チームのすべてと、私的に気になるチームをいくつか。まだまだチームはたくさんありますが、これだけでも半日作業です。ご容赦ください。
シード圏の強豪チームにはさほど大きな変動がありませんが、デンソー、三井住友海上、ワコールといった「かつての女王チーム」がこぞって大幅な改編をしているのが目に付きます。
また、上記でご紹介した「私メのヒイキ筋」以外で、ここのところマラソンなどで好成績を上げてきていた、「これから」と思わせる選手の何名かが引退しています。(加藤麻美、高田晴奈、桑原彩、井上藍、宇都宮姉妹など)やっぱり、女子が競技を続けていくのは何かと難しいのでしょうかね。

それと、老舗チームの一つだったユタカ技研が廃部となりました。ひと頃の部員1名時期から一昨年は見事に立て直して駅伝本戦にまで進出していたのですが、どうもこのチームには内部のゴタゴタも噂されていることなどあって、遂に最悪の結末を迎えてしまったようです。
孤軍奮闘で頑張ってきていた宮田佳菜代選手がその後どのような進路を辿ったのか、今のところ何も情報はありません。



<●は監督、◎は主将。太字は新加入選手、( )内は前所属。※は昨年4月時点での在籍選手中、現在までに引退・退部が確認された選手>


◆ユニバーサルエンターテインメント(14人)
●大澤 啓悟
フェリスタ・ワンジュグ/青山 瑠衣/木村 友香/伊澤 菜々花/
和久 夢来/由水 沙季/篠塚 麻衣/鷲見 梓沙/小吉川 志乃舞/
瀧 紋奈/三島 美咲/秋山 桃子/猿見田 裕香/大西 響(世羅高)
※中村 萌乃/米谷 結希(愛知電機へ) 

昨年の駅伝女王チーム。特に駅伝に強かった中村の抜けた穴は、鷲見、和久、伊澤など主力選手の立ち直りによって十分に補充できそう。今季も「クィーンズ」では主役チームの一つとなるでしょう。

パナソニック(9人)
●安養寺 俊隆
内藤 早紀子/森田 香織/森田 詩織/堀 優花/戸部 千晶/
渡邊 菜々美/川路 芽生/金丸 清香(鹿児島女高)/森 麿晧(有明高)
※加藤 麻美/鈴木 ひとみ

常に人数的にこじんまりとしたチームながら、森田姉妹・堀・渡邊の若手勢が、さしずめ「エンジェルス四天王」の存在感です。美女ランナー加藤の引退は残念!

ダイハツ(13人)
●林 清司
木﨑 良子/吉本 ひかり/前田 彩里/竹上 千咲/久馬 悠/久馬 萌/
大森 菜月/池本 愛/松田 瑞生/竹本 香奈子/下田平 渚/
柴田 佑希/竹山 楓菜(関西外語大)


ここんちは例年HPの更新が遅いので、もしかしたら退部選手がいるのかもしれません。いずれにしろ、ビッグネームひしめくスター軍団。全員の“再生”を心底願います。

日本郵政グループ(12人)
●髙橋 昌彦
◎鈴木 亜由子/柴田 千歳/関根 花観/寺内 希/宇都宮 恵理/
鍋島 莉奈/上原 明悠美/木村 芙有加/澤口 真美絵/
太田 琴菜(立命館大)/樽本 知夏(須磨学園高)/
林 英麻(高崎健康福祉大高崎高)

※岩橋 優/岩髙 莉奈/東出 早紀子/中川 京香/廣瀬 亜美

駅伝で「まさか!」が2年続いた新興チームも、ここへ来ていよいよ高止まり安定の陣容という感じです。太田が復調して“第4の女”にでもなれば、これは相当強い!

第一生命グループ(11人)
●山下 佐知子
◎田中 智美/田中 花歩/上原 美幸/飯野 摩耶/佐々木 文華/
湯田 向日葵/小枝 理奈/嵯峨山 佳菜未/原田 紋里/
向井 優香/出水田眞紀(立教大)
※田中 華絵(資生堂へ)/三ヶ田 楓

出水田の加入以外に大きな変動はなく、常に安定感を感じさせるチームカラーは相変わらず。エース田中智の復調が待たれるところです。

天満屋(10人)
●武富 豊
小原 怜/谷本 観月/藤田 友里恵/西脇 舞/前田 穂南/
高木 綾女/松下 菜摘/坪井 晧香(豊浦高)/三宅 紗蘭(玉野光南高)
青木 未晴(興譲館高)
※重友 梨佐/翁田 あかり/小田切 亜希(竹村製作所へ)/和田 実

大黒柱・重友が引退。無名の高卒ランナーをいつの間にか一流に育て上げる“武富マジック”が、今年はどんなニューカマーを送り出してくるのか?

ヤマダ電機(13人)
●森川 賢一(女子中長距離部門)
西原 加純/竹地 志帆/石井 寿美/筒井 咲帆/安藤 実来/
畠山 実弓/石橋 麻衣/市川 珠李/森本 紗和/青山 友莉菜/
鈴木 翔子(愛知電機)/清水 真帆(大阪学院大)/
宮城 亜支亜(大分東明高)
※高田 晴奈/横瀬 彩也香/渋谷 璃沙

主力の調子が今一つだった昨年度に比べ、即戦力ルーキー3人の加入が良い刺激になりそうな予感がします。チームとしては一皮むけたい勝負の年ですね。

資生堂(11人)
●川越 学(再任)
◎吉川 侑美/須永 千尋/高島 由香/田中 華絵(第一生命)/
奥野 有紀子/ 前川 祐紀/真柄 碧/今村 咲織(順天堂大)/
高見澤 安珠(松山大)/岡本 海愛(諫早高)/
前田 海音(鹿児島女高)
※竹中 理沙/池田 睦美(エディオンへ)

エース竹中が去ったとはいえ田中の中途加入でそれは帳消し、加えて大卒大物ルーキー2人を含む大量補強で、一気にかつての「強い資生堂」が帰ってきたような充実ぶりです。今年の駅伝は、もはや優勝候補の一角ですね。

豊田自動織機(10人)
●長谷川 重夫
◎沼田 未知/藪下 明音/福田 有以/林田 みさき/山本 菜緒/
/前田 梨乃/萩原 歩美菅野 七虹川口 桃佳/アン・カリンジ/
ヘレン・エカラレ(仙台育英高)
万代 美幸/横江 里沙

「眠れる大器」として私がずっと注目し続けてきた横江は、やはり打ち続く故障との戦いに勝てなかったということなのでしょうか?…エカラレの加入は強烈でも、駅伝でカリンジと一緒には使えませんからね。カギを握るのはやはり、萩原の復調でしょうか。

◆九電工(12人)
●藤野 圭太(女子部)
◎加藤 岬/陣内 綾子/宮﨑 悠香/芦 麻生/逸木 和香菜/
安達 佳歩/永沼 侑花/横石 悠貴/マリアム・ワイディラ/山下 莉奈/
唐沢 ゆり(日本体育大)/林田 美咲(北九州市立高)
※濱崎 優汐/園田 聖子

◇積水化学(11人)
●野口 英盛
◎森 智香子/松﨑 璃子/中川 文華/森 京香/宇田川 侑希/
湯澤 ほのか/佐藤 早也伽/中舎 朱音/和田 優香里(立命館大)/
野村 蒼(神島高)/髙野 みなみ(埼玉栄高)
※尾西 美咲/桑原 彩/廣田 麻衣

京セラ(12人)
●佐藤 敦之
古瀬 麻美/足立 由真/立山 沙綾佳/戸田 真由香/藤本 彩夏/
堀口 あずき/盛山 鈴奈床呂 沙紀藤田 理恵松田 杏奈
中島 愛華/山ノ内みなみ(日立市陸協)
  ※

デンソー(11人)
●松元 利弘(新任)
水口 侑子/小泉 直子/荘司 麻衣/倉岡 奈々/池内 綾乃/
和田 さくら/矢田みくに(ルーテル学院高)/森林 未来(諫早高)/
松本 亜子(大牟田高)/ゼイトナ・フーサン(エチオピア)
※橋本 奈海(三井住友海上へ)/光延 友希/岡 未友紀/
 スーサン・ワイリム/足立 知世

予選会出場チームの中では、高卒の大物2人を加入させて最も戦力アップが顕著と思われます。あとは新外国人の実力如何で、地に堕ちた女王チームが今季は確実に巻き返してくるのではないでしょうか?

三井住友海上(12人)
●吉田 富男(新任)
(プレイング・アドバイザー)渋井 陽子
田邊 美咲/野添 佑莉/岡本 春美/溝江 愛花/橋本 奈海(デンソー)
片貝 洋美(しまむら)/関口はるか(川崎橘高)/
飯塚 響(白鷗大足利高)/春野 麻友(西京高)/
古寺 冴佳(学法石川高)/鈴木 颯夏(常葉大菊川高)
日髙 侑紀/阿久津 有加/折野 加奈/中島 葵/九島 麻衣子/
 野田 沙織(肥後銀行へ)/目野 良佳

ここも顔触れが半分以上入れ替わりました。もはや「駅伝女王」の面影はありませんが、その分、高卒ルーキーを中心に新しく生まれ変わろうというところでしょう。

肥後銀行(12人)
●志水 貢一
◎齋藤 真希/池田 絵里香/坂元えり/濱田 美蘭/猪原 千佳/
髙野 鈴菜/福田 妃加里/新井 沙紀枝/松下 茉由/
野田 沙織(三井住友海上)/平井 見季(筑波大)/
福田 詩音(東海大福岡高)

しまむら(9人)
●吉田 富男
阿部 有香里/豊川 真里奈/藤石 佳奈子/大槻 みちる/和田 春香/
横山 友里乃/折笠 有彩/中森 紗南/星 梨佳
※下門 美晴(ニトリへ)/田中 杏梨/三浦 奈々

ワコール(11人)
●永山 忠幸
福士 加代子/安川 侑那/一山 麻緒/小指 有未/南 美沙希/
坪倉 琴美(佛教大)/片山 弓華(立命館宇治高)/
清水 麗奈(出水中央高)/清水 遥加(出水中央高)/
谷口 真菜(京都外大西高)/長谷川 詩乃(桂高)
※樋口 紀子/田渕 怜那/幾野 由里亜/髙木 萌子

こちらも大幅入れ替え。もはや大黒柱と言ってもいい一山が、2歳年下のルーキーを引っ張るというチームカラーになりそうです。その新人たちの中では、片山の大器ぶりに期待。

TOTO(9人)
●森政 芳寿
中原 海鈴/一 紋野女/黒田 純菜/前之原 瑠衣/大森 巴菜/
山本 紗生/大賀 菜央/谷口 愛/シュル・ブロ
川上 さくら/川上 わかば(以上ノーリツへ)嘉本 彩佳

ホクレン(10人)
●長渡 憲司(新任)
宮内 洋子/宮内 宏子/清水 美穂/◎菊地 優子/大蔵 玲乃/
池亀 彩花/加藤 凪紗/河辺 友依/寺島 優奈(ユタカ技研)/
不破 亜莉珠(高崎健康福祉大高崎高)
※岡田 芽/上村 英恵/内山 千夏

シスメックス(12人)
●本田 大造
大貫 真実/高山 琴海/西田 留衣/金平 裕希/坂本 茉矢/
田邊 摩希子/永岡 真衣/中村 智美/宗廣 閑那/瀬川 帆夏/
谷萩 史歩(大東文化大)/鳴瀧ほのか(須磨学園高)
※西川 生夏

ノーリツ(10人)
●森岡 芳彦
小﨑 まり/堀江 美里/中野 円花/津崎 紀久代/松山 芽生/
九嶋 映莉子/新立 啓乃/川上さくら/川上わかば(以上TOTO)
津野 優(光ヶ丘高)
※下山 かなえ/井上 藍/岩出 玲亜(ドームへ)/海野 佳那

スターツ
●中村 悠希
◎佐藤 奈々/グレース・キマンズィ/ローズメリー・ワンジル/
上杉 真穂/西海 花/西野 まほ/小川 香澄/阿部 優香/
清水 穂高(京都産業大)/原田 澪(宇部中央高)
※西口 千尋

日立(11人)
●加藤 宏純
◎鈴木 千晴/伊坂 菜生/田山 満理/山下 真生/小井戸 涼/
小澤 夏美/大塚 理央/佐々木 芽衣佐々木 瑠衣(以上日体大柏高)
新名 風花(大分東明高)/メリー・シプコ・マネラ(開志国際高)
※菊池 理沙/田山 絵里/藤田 愛香里/オバレ・ドリカ・ケルボ

菊池は昨年の状況からいって、よほどのことがない限り再浮上は難しいと思っていました。双子の片割れ・田山絵里は、村山謙太の嫁さんになるんでしたっけ?紘太も満理さんもらっちゃえば、生まれてくる子がどうなるか楽しみですけどね。

キヤノンアスリートクラブ九州
●亀鷹 律良(新任)
平井 恵/青木 優子/後藤みのり/新山 美帆/古川 夏海/
矢野 栞理/高橋 彩良/大塚 英梨子(小島プレスほか)/
鹿内 弥生(松陰大)/大川 菜々子(鳳凰高)
※竹本 由佳/宇都宮 亜未/下藤ひとみ/川嶋 利佳/天児 芽実

昨年ブレイクを予感させていた宇都宮姉妹(姉の亜依は宮崎銀行)が、そろって引退は残念。それはそうと、ここのHPは実にご丁寧です。入退部の情報がきちんと公表され、残されているので、動向がよく分かります。他のチームも見習ってほしいものです。

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