豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2017年10月

「大学女子」は2年生の天下か?~第35回全日本大学女子駅伝



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『第35回全日本大学女子駅伝対校選手権(杜の都駅伝)』が、仙台市内・6区間38.0㎞のコースで行われました。
先週に続き、台風の通過に伴う天候悪化が心配されたものの、降りしきる雨はともかく風はさほどの影響なく、「大学女子駅伝戦国時代」にふさわしい熱戦が繰り広げられました。

優勝争いは、連覇を狙う松山大、一昨年まで「一校独裁」体制を続けてきた立命館大、戦力充実して2度目のVの呼び声が高い名城大、関西インカレ、関西駅伝を総ナメしてきた古豪・京都産業大あたりが横並びの様相で、まったく予想がつきません。
日本インカレを見る限り、松山に昨年のような勢いがない上に大黒柱の高見澤安珠が故障で戦線離脱、今日になって判明したオーダーははっきり言って平凡な顔ぶれで、苦戦は必至と思われました。
女王奪還を目指す立命館も、4年生の太田琴菜、和田優香里に精彩がなく、これといった大物ルーキーの加入もないという、総合力に疑問符がつきまとう端境期の様相です。
京産大は、前回ルーキーで1区区間賞の橋本奈津が不調で重要区間を任せられずという状況。
こうなると、やはり実績のあるコマを揃える名城大か?
いずれにしろ、もともと駅伝の予想なんて至難の業なところへ持ってきてのこの混戦ぶりですから、今回は個人のパフォーマンスに重点を置いて観戦することに決め込みました。

今年の大学女子は、2年生の当たり年、と言えます。
棟久由貴(東京農業大) …ユニバーシアードHM金メダル、10000m現役最高
佐藤成葉(立命館大)  …5000m現役最高記録
関谷夏希(大東文化大) …関東インカレ長距離2冠
山口可純(大東文化大) …ユニバHM代表
高見沢里歩(松山大) …前回4区区間新 →欠場
橋本奈津(京都産業大) …前回1区区間賞
五藤莉乃(中央大) …関カレ・全カレ入賞
向井智香(名城大) …U-20世界選手権出場 →欠場

この中で私が最も期待しているのが“鼻テープ”がトレードマークの関谷。
関カレでの大東大勢というと福内櫻子を思い出しますが、ラストに斬れのあった福内に比べるとスピード不足が課題と言われる一方、速いペースで主導権を握るスタイルは駅伝向き。将来、マラソンを走らせてみたい選手です。

これに対抗するのは4年生の意地。
太田琴菜(立命館大) …2区・5区区間記録保持者
高見澤安珠(松山大) …リオ五輪3000mSC代表 →欠場
細田あい(日本体育大) …ユニバ10000m銅メダル
福居紗希(城西大) …ユニバHM銅メダル
出水田眞紀(立教大) …ユニバHM5位 →予選敗退
清水真帆(大阪学院大) …日本インカレ5000m優勝
今村咲織(順天堂大) …日本インカレ10000m優勝
赤坂よもぎ(名城大)
唐沢ゆり(日本体育大)

この中での“お気に入り”は順大の今村。見た目といい走り方といい、先輩の清水裕子を彷彿とさせます。ぜひ、実業団へ進んで活躍して欲しい選手の一人です。

もちろん、「スーパールーキー」の呼び声高い加世田梨花(名城大)や3年生では松山大の古谷奏(欠場)、緒方美咲、立命館には加賀山姉妹や関紅葉、京産大には関西インカレ2冠の棚池穂乃香などもいますが、総じて今年はニューカマー的人材がイマイチで、余計に2年生の存在感が光っています。



昨年終了時点の展望では、各学年に満遍なく分厚い選手層を築いた松山大の連覇はかなり有力と思われたのですが、主力を欠く陣容でスタートを切ってみれば、1区の緒方がブレーキどころの騒ぎでない墜落ぶりで、早々にお呼びでなくなってしまいました。
京産大も、2区・橋本の急降下で首位戦線離脱。
立命館は1区・加賀山実里が期待を裏切ったものの、2区・佐藤がエースの力量を発揮して挽回、4区ではこれまた2年生の田中綾乃が区間賞の激走でチームとして2年ぶりの首位に躍り出ましたが、最長5区の太田が撃沈して試合終了。

結局、全区間で5位以内と抜群の選手層を誇った名城大が、2005年以来2度目の優勝を飾りました。「戦国」と言われた大会で、駅伝の必勝法であるスキのないオーダーを組むことのできた唯一のチームだった、と言えるでしょう。
私のイチオシ2年生・関谷の快走で2位にまで浮上した大東大が、そのままの順位でゴール。アンカーに渡る時点では関東勢として15年ぶりの優勝がチラついただけに、4回目の2位はあまり嬉しくない結果だったようです。
2003年の初優勝以来、優勝10回・2位4回と一度たりとも3位以下のなかった立命館は、辛うじて3位を死守、1998年以来続いている連続5位以内の記録は20回に伸ばしました。あまり言いたくはないですが、学年が進むにつれて成績を落としていくこの大学ならではの傾向が、頼みとする太田や和田にも顕れてしまったようです。

注目の「個人戦」では、2年生が1区・五藤、2区・佐藤、4区・田中、5区・関谷と4区間で区間賞を攫い、細田・玉城かんな(名城大3)の各1区間に留まった4年生、3年生を圧倒しました。
エース区間の5区で、前評判の高かった棟久、加世田、棚池、清水真、太田らを向こうに回して大差で区間賞を獲った関谷には、この先さらに期待しちゃいます。
また4区の田中については不明にして予備知識がありませんでしたが、身長の割には長い脚がまっすぐ伸びてくる走りが印象的で、特に登り坂を滑るようにしてスイスイ上がっていくところは、富士山のアンカー適性もあり、と見えました。

大学女子駅伝は、この後、年末の『全日本大学女子選抜駅伝(富士山駅伝)』で、再度「戦国」の激戦が待ち受けています。どうやら総合力の高い名城と、この後陣容を立て直してくるはずの立命館との一騎討ちでしょうか…お楽しみに!

駅伝シーズン到来


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…などと呑気なタイトル付けちゃいましたが、「もうとっくにだよ!」と怒られそうです。
スミマセン、すっかりご無沙汰こいてしまいました。前回記事からほぼ1カ月、『えひめ国体』『出雲駅伝』『箱根駅伝予選会』と相次いだビッグゲームをスルーしての長期サボリ、まことに申し訳ありません。
なにせ仕事が急に忙しくなったのと、個人的にちょっと厄介な書き物を抱えておりまして、更新が滞っていた次第。定期的にご訪問いただいている方々には、何度も肩透かしさせてしまったかと思えば、お詫びの言葉もございません。
そんなヘタレブログながら、今日久々に管理ページを開けてみればたくさんのご訪問…これは、「女子長距離へのエコヒイキ」が売り(?)の当ページのカラーが反映されてのことかと、いささか驚いております。

というわけで、「宮城への道」…『第3回全日本実業団対抗女子駅伝統一予選会』(プリンセス駅伝)が、福岡県宗像市・福津市で行われ、本戦(11月26日)に出場する14チーム(シード含め22チーム)が確定しました。

大会結果ページ ↓
http://gold.jaic.org/jaic/res2017/princesseki/pcsp/rel001.html

◇レース回顧の前に…
まず言いたいことは、「よくぞ開催してくれたな」の感謝の気持ち。
まさに台風21号がほぼ真南を掠めようかという時間帯に、気象状況を見極め開催の決断を下した関係者のご英断は見事でした。
結果として、吹き荒れる強風がランナーを苦しめたとは言え、身体を飛ばされたり物が飛んできたりというほどの危険はなく、レースはつつがなく進行しました。
日頃あんまりマラソンとかロードレースとか見ない人は、「あんな風の中で走らせるなんて…」と思ったかもしれませんが、それは今年の『全国都道府県対抗女子駅伝』の大雪レースと同様で、走る側にとっては言わばイベント的な、いつもとちょっと変わったコンディションに過ぎず、「中止にしてほしい」なんて考える選手は(よっぽど自分の調子が悪いからとかの個人的事情は別にして)一人もいないだろうと思います。私自身ですら、TVを通じて伝わるあの風速程度の条件下でレースに出たこともありますよ。 
とにかく、台風=中止、と即断せずに状況を見極めた主催者・関係者、強風の中で遺漏なく大会運営にご尽力いただいたスタッフの皆さんに拍手です。

次に言いたいのは、これは去年も書いたことの繰り返しになりますが、
「予選会の1位を『優勝』って言うな!」
ということです。
私は物書きの仕事もする、いちおう日本語のプロフェッショナルですから、このことは強く言っておきたいと思います。
この大会は、あくまでも前年の本戦上位チームが出場を免除されている「予選会」であり、別の言葉で言えば「敗者復活戦」もしくは「入れ替え戦」です。
逆に言えばシード・チームが「出たくても(出たくないでしょうけど)出られない」大会で、そこの1位を「優勝」扱いするのはどう考えてもおかしい。
「優勝」したチームは、来年、再来年と「連覇」を狙うんですかね?そうじゃないでしょう?
二度とこの大会には出ないですむようにしたい、でもまた来ちゃうかもしれない…そんなことを考える「優勝」があってたまるもんですか、っての。
日本実業団陸上競技連合さん、TBSさん、言葉は正しく運用しましょうや!

言いたいことその3。
増田明美さんの「細かすぎる解説」、どうも空回りが多くて耳障り。
まあ、どんな情報を披露しても何気にスルーする新夕アナの対応にも問題があるんですけど、増田さん自身、選手の細かすぎるエピソードを「面白い話」として伝えようとするのはいいとして、どうも最近、話をまとめる語彙が見つからなくて尻切れな物語に終るというのが多いようです。
「本業」である選手の走りについての解説(技術面とか選手の状態とか)では、もともと「この人、本当に昔はランナーだったの?」と思わせるほどいい加減なことしか言わない、というか前を走っている選手を褒めちぎることしかしない解説者ですが、増田さんを増田さんたらしめている「細かすぎる情報」のほうも、もう少し「オチ」のつけ方を考えて喋ってもらわないと、視聴者もみんな新夕アナのようになっちゃいますよ。

とまあ、本筋のレース内容云々よりも、変なところにばかり気が散ってしまったのは、さすがにTBSの陸上中継、面目躍如というところでしょうかね。
で、ここからは少々真面目に、『第37回全日本実業団対抗女子駅伝』へ向けての展望をまじえて、レース結果を分析してみましょう。



◇本戦も上位期待

“優勝”したのは、本来ならばここに出てくるはずのない戦力を擁する豊田自動織機。
本戦でも、連覇へ向けて意気軒高なJP日本郵政グループへの対抗格の筆頭と言ってよいでしょう。
今年は福田有以の成長が目覚ましく、春先から5000mでロンドン標準記録にあと一歩に迫るタイムを連発、秋には『実業団選手権』でPBと好調を維持しています。今回は長距離区間(3区)に起用されて堂々のエース扱い。10km超を無事に区間上位でこなしたことで、本戦でも信頼度厚い存在となります。
1区・菅野七虹、2区・藪下明音という立命館黄金期のような序盤のオーダーになりましたが、菅野がいみじくも言ったように、「このチームではレギュラーになることが大変」…今回のメンバーに加えて横江里沙、萩原歩美、山本菜緒などが絡んでくるわけですから、その気持ちは分かります。

2位のパナソニックは、昨年まで主力の山崎里菜、中村仁美が引退して先行きが心配されましたが、堀優花・森田姉妹の成長に加えて新人・渡邊菜々美の区間賞という金星があって、ゴール直前まで豊田織機を苦しめました。
マラソン・エース加藤麻美の出番が必要ないほどに充実したメンバーが確認でき、本戦でも十分シードが狙えるチームになったようです。

3位ダイハツは、言わずと知れたビッグネーム軍団。中でも既報のとおり海外レースで2年ぶりの復帰を果たしたばかりの前田彩里が元気なところを見せてくれ、本戦への期待は高まります。松田瑞生と前田の存在は、「2枚看板」としてはシードチームに互しても強力です。
1区を任された𠮷本ひかりも、学生時代の走りを取り戻すまでにもう少し、というところ。あとは、まだまだ太目残りが目に付く久馬姉妹と、大御所・木﨑良子の復調がなるかどうか。それによっては、本戦でのトップ争いまで行っても不思議はないチームです。

4位・積水化学も、清水裕子と井原美帆が抜けても相変わらず充実したオーダー。エース区間の松﨑璃子が少々期待外れではありましたが、それでも1区区間賞の森智香子を筆頭に全員が区間1ケタは立派なもんです。

“前女王”のデンソーは、現状としてはこんなもん(5位)でしょうか。スーサン・ワイリムを敢えて外し、倉岡奈々や足立知世を残してはいますが、やはり3連覇を支えていた高島由香の穴は埋め切れていないようです。

昨年は上位3位までを「大穴」のチームが占めたのですが、今年の予選会はまずまず順当な上位の顔ぶれ。だいたいこの5チームくらいまでが、本戦で優勝争い・シード争いに食い込んでくるんではないか、と思われます。
もちろん、毎回堅実に本戦出場を決めてくるホクレン、しまむら、あるいはTOTOといったあたりにも8位前後のチャンスは十分にありそうです。特にホクレンは、キャプテン清水美穂やシード逃しのリベンジに燃える大蔵玲乃といったあたりを補強できれば、まだ上がり目はあるかもしれません。

◇今年も“滑り込み”にドラマあり
シード圏ギリギリを争った京セラと三井住友海上の接戦は見ごたえがありました。京セラのアンカー・松田杏奈の激走はお見事の一言。今大会のMVPでしょうな。
三井住友も、予選落ちで渋井陽子の本戦連続出場が途絶えるというのもナンでしたから、経緯はともあれ最下位通過は祝着。

九分九厘13位確定からDNFに終ったエディオンは、何ともお気の毒でした。ゴール50m前で昏倒した若林由佳選手は、脱水症状で意識不明となり救急搬送されましたが、その後の経過は無事なようです。体調はもとより心痛の深さが心配されるところ、一日も早く復帰できるよう、周囲の温かいサポートを望みます。

前回本戦出場を果たしたチームのうち、脱落したのは日立と十八銀行、それから今大会に出場できなかったユタカ技研の3チーム。
日立はエースの小井戸涼が故障上がりということで2区起用。本来なら1区か長距離区間を任される伊坂菜生も外れ、頼みの菊池理沙が1区でブレーキ。転倒に若干巻き込まれかけたこともありましたが、その前からジワジワと遅れ気味だったので、あれが現状の走力なのでしょう。今季は3000mSCにトライするなど現状打開を模索しているものの、もう一つ以前の力が戻ってこないようです。インターナショナル区間のオバレ・ドリカも不発気味では万事休すでした。

堅実な駅伝が持ち味の十八銀行は、今季好調な野上恵子が3区で11人抜きを演じシード争いに顔を出しましたが、他の5選手が全員区間20位台ではどうにもなりません。

ユタカ技研は、エース・宮田佳菜代が『実業団選手権』をキャンセルしていたのが気になっていました。以前豊田自動織機にいたワイナイナ・ムルギが加入して戦力アップが期待されていたので、今回の欠場は残念です。

◇さて、改めて1か月後の「本戦」を占うと…
鈴木亜由子・関根花観・鍋島莉奈の3本柱が健在の日本郵政G.の連覇はきわめて有力。
対抗は今大会1位の豊田自動織機と鷲見梓沙がかなり復調してきたユニバーサルエンターテインメント。ただしユニバは鷲見と木村友香以外は今季ほとんど個人の実績がなく、総合戦力や個人の状態は未知数なところがあります。そこは「駅伝女」の中村萌乃あたりがきちんとカバーするとは思いますが…。
そして向井優香、嵯峨山佳菜未らの有力新人や昨年健闘した2年目勢が活躍すれば、の第一生命グループ。
ヤマダ電機は主力の西原加純や石井寿美、筒井咲帆らが昨年の状態から一歩後退している感が否めず、天満屋は小原怜の春先の故障が痛いところ。九電工、資生堂には大きな上積み要素がなく、ワコールも一山麻緒の孤軍奮闘では心許ない…と、このあたりのチームは予選会上位との激しい「入れ替え戦」が予想されます。

この後は、3週間後に行われる日体大記録会あたりが有力選手たちのトライアル・レースになってくると思われます。
『実業団女子駅伝』は、私が年間でも最も楽しみにしているレースの一つです。今からワクワク、11月26日の「宮城」が待ち遠しくなってきましたね。

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