豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2017年08月

元陸上競技王者の、いま<第3弾!>


昨日は『第31回北海道マラソン』が行われ、男子で村澤明伸(日清食品G.)、女子で前田穂南(天満屋)が、それぞれ日本陸連が設定したMGC出場資格記録を突破して優勝、話題沸騰の東京オリンピック・マラソン代表へ向けて有資格者第1号としての名乗りを上げました。

女子の前田は、序盤の解説にあったとおり、「キロ3分30秒のペースをずっと続けていける強さがある」という武富豊監督の言葉を見事に実践。途中先頭集団から抜け出した野上恵子(十八銀行)のペースアップにも冷静に対処してイーブンペースを守り、夏の北海道では好記録と言える2時間28分48秒でのフィニッシュとなりました。
北海道マラソンと天満屋と言えば、1997年に優勝してブレイクした山口衛里さん(2000年シドニー五輪7位)を思い出しますが、天満屋はその翌年にも松尾和美さんが、また2011年には森本友さんが、タイトルホルダーになっています。まさに、相性抜群の大会と言えるでしょう。
前田選手は、薫英女学院高校が全国高校駅伝を初制覇した2014年の補欠。1年先輩には世界選手権代表となった松田瑞生、2年先輩には学生長距離界のヒロインだった大森菜月(ともにダイハツ)がいます。
比べてこれといって実績のなかった前田がマラソンの英才教育を施され、チームにとってゲンのいい北海道を制したあたりは、4回連続してオリンピックのマラソン代表を送り出したマジシャン武富監督の手腕未だ衰えず、といったところでしょう。山口さんや坂本直子さんがブレイクした時の状況に通じるものがありますし、長身・脚長の体形は小原怜選手を彷彿とさせます。
私にとっても好きなタイプのランナーとなるかもしれません。安藤友香・清田真央に続くニューカマーとして、大いに注目していこうと思います。

村澤は3月の『びわ湖毎日』で、ハイペースの中、日本人トップを引っ張りながらも撃沈してから約半年。思い知らされたマラソンの怖さを十分な教訓として、この日のレースプランにつなげました。
自身が語っていたように、彼がレースで1着になったというのは、本当に久しぶりのことです。おそらく東海大学1年時の箱根駅伝予選会以来ではないでしょうか。 駅伝男としての活躍ぶりは数々印象に残っている一方で、跳びの大きい走法のためラストにスプリントを利かせられないことが、ヨーイドンのレースになかなか勝てない理由でしょう。その意味では、マラソンは彼にとって最適な種目であり、潜在能力からすれば冬場のレースで2時間6分、7分といったタイムで走る可能性は十分だと考えられます。
なかなかマラソンで芽が出ない「箱根のスター」が多い中で、ようやく期待の星が1人、「夢の東京オリンピック代表」を目指して羽ばたこうとしています。

さて、ここまでは前置きです。


同じ日の夜、TBSテレビで放送された『消えた天才』という番組、ゴールデンタイムの放送でしたからご覧になった方も多いかと思います。
「箱根のスター」と言えば、近年では1、2を争う大スターでありながら、実業団・富士通に入社後は鳴かず飛ばずに終わり、今春27歳の若さで陸上界に別れを告げた柏原竜二さんの近況が紹介されました。
富士通陸上競技部を退部した今、柏原さんは驚いたことにアメリカンフットボール部「富士通フロンティアーズ」のマネジャーとして、一生懸命にスポーツの裏方に励んでいました。(私はまったく知りませんでした)

番組自体は、低俗バラエティそのものの作りでせっかくのイイ話を台無しにしていました(なんで、ああいう無駄な時間ばかりかける演出で視る者をイライラさせるんでしょうかね?特にこの局は『世界陸上』の中継同様ヒドイです)けど、柏原さんのひたむきな仕事ぶりと明るい言動、チームで一番の有名人がマネジャーという状況をプラスの方向に発散している様子などはよく窺い知ることができました。
56

「ランナーの将来を潰す」とまで極論する「箱根駅伝有害論」を再燃させるきっかけともなってしまった、柏原さんの引退劇。
事実、「山の神」というビッグネームが途轍もない重圧になっていたことは彼自身も認めていましたが、低迷から引退へと流れるプロセスには、「4年間箱根を走ったから」という因果関係はまったく認められないと思います。あくまでも、柏原さん自身のアスリートとしての幸運が学生時代に集約され、卒業後にお釣りがくるほどの不運に揺り戻された、というよくある事象なのだと思います。
「有害論」を唱える人々は、オリンピックや世界選手権のマラソン・長距離代表選手が、学生時代はスターと呼ばれる存在でなかったにしろ大部分「箱根」出身者であることを、どう説明するんでしょうか?
「箱根」や「都大路」があるから、男子の長距離界には次から次へと有望なジュニア選手たちがその場所を目指して健脚を磨き、スターとしての名乗りを挙げていく、そのどこが「有害」なのか、私には理解できません。
標高864メートルの「箱根」を征服し、さらに高みを目指そうとした選手が、過度のトレーニングに挫折して心身の故障を抱えてしまうことは、「箱根」の存在とはまったく別の問題です。柏原さんやかつての渡辺康幸さんのように挫折のまま無念の終局を迎えるランナーもいれば、村澤選手や大迫傑選手のように再び大輪の花を咲かせようとする選手もいる。それこそ、選手の数だけいろいろな紆余曲折がある。当たり前のことです。

そんなことを考えさせてくれた、久々にTVを通じて見た柏原さんの笑顔。過ぎ去った陸上人生にさまざまな思いはあるでしょうが、溌溂とした現在の境遇を経て、彼ならではの大輪の花を目指してもらいたいものです。

なお、この番組は数名の「天才アスリート」の現在を追いかけた特集番組で、陸上界からはもう一人の「消えた天才」が紹介されていました。そちらについては、また次回<第4弾!>でということで。
(「元陸上競技王者の、いま」は不定期ながらシリーズ読み物として、新たにカテゴリーを設定しました。)

世界陸上 2017 限定モデル アシックス(asics) トラックジャケット 417A00 蛍光カラー] (L)

DLチューリッヒ、5000mの死闘


遅くなってしまいましたが、24日(日本時間25日未明)に行われたDL第13戦・チューリッヒ大会の結果、 ファイナルを制してツアー・チャンピオンに輝いた選手16人を列挙しておきます。

男子100m チジンドゥ・ウジャ(GBR)
男子400m アイザック・マクワラ(BOT)
男子1500m ティモシー・チェルイヨト(KEN)
男子5000m モハメド・ファラー(GBR)
男子400mH カイロン・マクマスター(IVB)
男子走高跳 ムタズ・エッサ・バルシム(QAT)
男子棒高跳 サム・ケンドリクス(USA)
男子走幅跳 ルヴォ・マニョンガ(RSA)
男子やり投 ヤクブ・ヴァドレイヒ(CZE)

女子200m ショーナ・ミラー‐ウィボ(BAH)
女子800m キャスター・セメンヤ(RSA)
女子3000mSC ルース・ジェベト(BRN)
女子100mH サリー・ピアソン(AUS)
女子400mH ズザナ・ヘイノヴァ(CZE)
女子三段跳 オルガ・リパコワ(KAZ)
女子砲丸投 ゴン・リージャオ(CHN)
女子やり投 バルボラ・シュポタコヴァ(CZE)

今季のDLは12戦までのポイント上位者によるファイナル一発勝負ということで、世界選手権などの決勝と同じような緊迫感で各種目が争われました。
特に、事前に「注目種目」として挙げた女子3000mSC、男子5000mでは、期待に違わぬ好レースが展開され、世界記録保持者のジェベト、おそらくトラック最終レースとなるモー・ファラーが、それぞれ世界選手権の雪辱を果たしました。

◇女子3000mSC
①ルース・ジェベト(BRN) 8’55”29(WL)
②ベアトリス・チェプコエチ(KEN) 8’59”84(PB)
③ノラ・ジェルト・タヌイ(KEN) 9’05”31(PB)
④エマ・コバーン(USA) 9’14”81
⑤ハイヴィン・キエン(KEN) 9’14”93
⑧セリフィン・チェスポル(KEN) 9’17”56

今季は昨年のような圧倒的な走力差で後続をぶっちぎるレースがなかなかできずにいたジェベトが、最終戦でようやく本来のロングスパートを爆発させました。中盤ですでにペースメーカーを追い抜くと、追走できたのはロンドンでお騒がせのチェプコエチただ一人。そのチェプコエチもラスト1周で徐々に水を空けられて、ジェベトの独り舞台になりました。タイムは自身の世界記録に次ぐセカンド・ベスト。今のところ、このタイムで走られては誰もジェベトには敵いません。
チェプコエチは未だ無冠ながら、この日のレースで「ちゃんと走れば」ハードリングの上手さといい、安定した走力といい、来季の本命に挙げてもよさそうな資質を見せています。タイムは、史上4人目となる8分台突入の立派なものでした。
「5強」の間に割って入ってきたタヌイも、来季要注意です。この種目をますます面白くしてくれる存在になるでしょうか?
ロンドン優勝のコバーンは、調整レースとして出場した前回バーミンガム大会の3000mでも上位のスピードに付いて行けない状態で、明らかに調子は下降気味。この日も優勝争いに絡む位置には付くことができず、それでも持ち前の粘りで4位にまで押し上げてきたのはさすがでした。

◇男子5000m
①モハメド・ファラー(GBR) 13’06”05
②ムクタル・エドリス(ETH) 13’06”09
③ヨミフ・ケジェルチャ(ETH) 13’06”19
④セレモン・バレガ(ETH) 13’07”35
⑤モハンメド・アーメド(CAN) 13’10”26
-ポール・チェリモ(USA) DQ
42

ロンドン世界選手権の上位6人が、再び大激闘。ただこの日のファラーは、「包囲網」を避けるかのように終盤は前、前でレースを進め、極力プレッシャーのない位置をキープし続けたことが、勝因になったようです。
それでもPMが外れてペースダウンした末のラスト1周は誰が勝つか予断を許さない高速の大混戦。第3コーナーでケジェルチャが逃げるファラーを捕まえにかかる、ファラーが抜かせない、という局面の時、さらに外側を伺ったエドリスとケジェルチャが接触。力づくでケジェルチャの頭を抑えたファラーにはかなりのダメージが残ったと見えただけに、この僚友どうしの接触は結果的に痛恨となりました。
ファラーか、エドリスか、というその狭い間をスルスルと上がってきたチェリモが掻き分けるようにして、さらに大外を巻き返したケジェルチャも重なって、4人がもつれ合うようにゴール。まさに、死闘でしたね。
ファラーとダイビング・フィニッシュの形となったエドリスの差は僅かに100分の3秒。エドリスと同タイムでいったん2位と表示されたチェリモは、後に両手でファラーとエドリスの腕を文字どおり「掻き分けた」インターフェアを取られて失格となりました。

ラスト1周であの位置ならば、ファラーの勝利はもはや既定事実となるような展開。それがあれほどの混戦となったのは、ファラーの力の衰えというよりも、こと5000mに関する限りはライバルたちの追い上げがそこまで来ていた、ということのように思えます。世界選手権でのエドリスの勝利は、まったく実力勝ちだったと言えるでしょう。ファラーにすれば、絶好のタイミングでラスト・レースを見事に締めくくった、ということになると思います。

7月発売入荷!2017年AWモデル【アシックス】日本代表応援Tシャツ [A17B11] JPブラック×サンライズレッド 世界陸上2017レプリカ取扱店 陸上日本代表 記者発表 ニュース【レターパック】【WCSRE17】
7月発売入荷!2017年AWモデル【アシックス】日本代表応援Tシャツ [A17B11] JPブラック×サンライズレッド 世界陸上2017レプリカ取扱店 陸上日本代表 記者発表 ニュース【レターパック】【WCSRE17】

その他の種目では、ロンドンに続く頂上決戦が期待された女子三段跳でちょっとした波乱。
「2強」のカテリン・イバルグエン(COL)とユリマール・ロハス(VEN)が揃って14m中盤の低調な記録に喘ぐ隙を衝いて、2012年オリンピックと同年のDL以来のビッグタイトルとなるリパコワが漁夫の利を攫ってしまいました。
またケニ・ハリソン不在の女子100mHはロンドンに続いてサリー・ピアソンが勝ち、400mHでは全米以降パッとしないダリラ・ムハマド(USA)を抑えてズザナ・ヘイノヴァが優勝。ベテラン女子勢が気を吐いた大会となりました。
波乱といえば、男子やり投のドイツ90mコンビをまとめて破ったのがヤクブ・ヴァドレイヒ。とはいえ昨年も最終戦で大逆転優勝を飾っていますから、狙っていたV2でしょう。
女子200mでは大本命のエレイン・トンプソン(JAM)、世界選手権連覇のダフネ・スキッパーズ(NED)、絶好調マリー‐ジョゼ・タルー(CIV)を制してショーナ・ミラー‐ウィボが21秒88の好タイムで快勝。DLでは珍しい「2種目制覇」に王手をかけました。

残りの16種目は、9月1日(日本時間2日未明)に行われるブリュッセル大会でファイナル・ゲームが行われます。三段跳クリスチャン・テイラーや5000mアルマズ・アヤナの世界記録挑戦、女子1500mや走幅跳での世界選手権リマッチ、チューリッヒでも非DL種目で接戦を演じた女子棒高跳の頂上決戦などに期待しています。

世界選リマッチの女3000SC、男5000に注目~DLチューリッヒ


本日深夜に行われるIAAFダイヤモンドリーグ・ファイナル第1戦チューリッヒ大会のスタートリストが発表されています。今季のレギュレーションではこのファイナルの勝者がそのままツアー・チャンピオン。半分の16種目で決定します。

注目は、先の世界選手権で大番狂わせとなった女子3000mSC、王者ファラーが一敗地にまみれた男子5000mで、ほぼ同じメンバーによるリマッチが見られそうなこと。
フィールドでは、棒高跳の帝王ラヴィレニが、最終戦で逆転V8なるかどうかが見ものです。

※( )内数字は競技開始時刻(日本時間)、フルネーム記載はポイントリーダー

◇女子三段跳(1:25)
 E.A.パンチュルー(ROM)
 A,ヤガシアク(POL)
 P.マモナ(POR)
 H,クニャチェヴァミネンコ(ISR)
 K.ウィリアムズ(JAM)
 O.リパコワ(KAZ)
 カテリン・イバルグエン(COL)
 Y.ロハス(VEN)

◇男子走高跳(1:35)
 T.ゲイル(GBR)
 L.カストロ‐リヴェラ(PUR)
 D.トーマス(BAH)
 S.ベドナレク(POL)
 G.タンベリ(ITA)
 M.メイソン(CAN)
 A.プロツェンコ(UKR)
 M.プルツィビルコ(GER)
 R.グラバーツ(GBR)
 B.ボンダレンコ(UKR)
 M.E.ガザル(SYR)
 ムタズ・エッサ・バルシム(QAT)

◇男子棒高跳(2:10)
 S.ジョセフ(FRA)
 D.アルベルト(SUI)
 G.チアラヴィグリオ(ARG)
 K.フィリピディス(GRE)
 S.バーバー(CAN)
 J.クドリツカ(CZE)
 K.マーシャル(AUS)
 K.メナルド(FRA)
 P.ヴォイチェコフスキ(POL)
 R.ラヴィレニ(FRA)
 P.リゼク(POL)
 サム・ケンドリクス(USA)

◇女子やり投(2:25)
 G.ルックストゥール(SUI)
 M.パラメイカ(LAT)
 E.グリードル(CAN)
 K.L.ロバーツ(AUS)
 K.ウィンガー(USA)
 M.ラテュ(SLO)
 T.ハラドヴィッチ(BLR)
 S.コラック(CRO)
 バルボラ・シュポタコヴァ(CZE)

◇女子砲丸投(2:35)
 C.ボレル(TTO)
 Y.レアンツィアク(BLR)
 B.スミス(USA)
 A.ドゥビツカヤ(BLR)
 D.バンチ(USA)
 アニタ・マルトン(HUN)
 Mカーター(USA)
 L.ゴン(CHN)

◇男子1500m(3:13)
 J.ホルバ(CZE)
 J.ワイトマン(GBR)
 M.レヴァンドフスキ(POL)
 V.キベト(KEN)
 C.C.シモトゥー(KEN)
 B.ビルゲン(KEN)
 B.ミコウ(BRN)
 S.キプラガト(KEN)
 A.キプロプ(KEN)
 F.インヘブリクトセン(NOR)
 T.チェルイヨト(KEN)
 エライヤ・マナンゴイ(KEN)
 ※ほかペースメーカー2名

◇女子200m(3:24)
 S.フェイシー(JAM)
 M.カンブンジ(SUI)
 K.ジェファーソン(USA)
 M.J.タルー(CIV)
 ダフネ・スキッパーズ(NED)
 E.トンプソン(JAM)
 S.ミラー‐ウィボ(BAH)
 C.エマニュエル(CAN)

◇女子3000mSC(3:31)
 F.サイディ‐マダン(MAR)
 P.キルイ(KEN)
 E.ディロ(ETH)
 F.シュルンプ(SUI)
 N.ジェルト(KEN)
 S.アセファ(ETH)
 G.F.クラウゼ(GER)
 C.C.チェスポル(KEN)
 B.チェプコエチ(KEN)
 R.ジェベト(BRN)
 ハイヴィン・キエン・ジェプケモイ(KEN)
 E.コバーン(USA)
 ※ほかPM2名

7月発売入荷!2017年AWモデル【アシックス】日本代表応援Tシャツ [A17B11] JPブラック×サンライズレッド 世界陸上2017レプリカ取扱店 陸上日本代表 記者発表 ニュース【レターパック】【WCSRE17】
7月発売入荷!2017年AWモデル【アシックス】日本代表応援Tシャツ [A17B11] JPブラック×サンライズレッド 世界陸上2017レプリカ取扱店 陸上日本代表 記者発表 ニュース【レターパック】【WCSRE17】


◇男子走幅跳(3:45)
 B.クフェラー(SUI)
 F.ラピエール(AUS)
 G.K.モコエナ(RSA)
 M.ハートフィールド(USA)
 E.ラサ(URU)
 M.トルネウス(SWE)
 ルスウォル・サマーイ(RSA)
 J.ローソン(USA)
 L.マニョンガ(RSA)

◇男子400mH(3:49)
 LJヴァン‐ジル(RSA)
 B.ジャクソン(USA)
 K.フセイン(SUI)
 K.マクマスター(IVB)
 ヤスマニ・コペリョ(TUR)
 K.ワーホルム(NOR)
 K.クレメント(USA)
 J.グリーン(GBR)

◇男子やり投(3:55)
 N.チョプラ(IND)
 A.B.マグール(QAT)
 M.キルト(EST)
 K.ウォルコット(TTO)
 T.ピトカマキ(FIN)
 J.ヴァドレイヒ(CZE)
 トーマス・レーラー(GER)
 J.フェテル(GER)

◇女子800m(3:58)
 H.アレム(ETH)
 E.J.サム(KEN)
 M.N.ワンブイ(KEN)
 M.ビショップ(CAN)
 S.ハッサン(NED)
 S.ブチェル(SUI)
 F.ニヨンサバ(BDI)
 キャスター・セメンヤ(RSA)
 C.リプシー(USA)
 ※ほかPM1名

◇男子100m(4:08)
 A.ジェミリ(GBR)
 A.パウエル(JAM)
 J.ガトリン(USA)
 A.シンビネ(RSA)
 C.ウジャ(GBR)
 I.ヤング(USA)
 ベン・ユセフ・メイテ(CIV)
 R.ベイカー(USA)
 A.ウィルソン(SUI)

◇男子5000m(4:14)
 B.レゲセ(ETH)
 A.メチャール(ESP)
 B.トゥルー(USA)
 Y.アラミリュ(ETH)
 R.ケモイ(KEN)
 A.ロップ(BRN)
 S.バレガ(ETH)
 M.アーメド(CAN)
 P.チェリモ(USA)
 ヨミフ・ケジェルチャ(ETH)
 M.ファラー(GBR)
 M.エドリス(ETH)
 ※ほかPM2名

◇女子100mH(4:35)
 A.タライ(BLR)
 J.ストワーズ(USA)
 D.ハーパー‐ネルソン(USA)
 シャリカ・ネルヴィス(USA)
 S.ピアソン(AUS)
 C.マニング(USA)
 D.ウィリアムズ(JAM)
 K.キャスリン(USA)

◇男子400m(4:43)
 L.ボナヴェキア(NDL)
 K.ボルリー(BEL)
 ヴァーノン・ノーウッド(USA)
 S.ガードナー(BAH)
 G.ロバーツ(USA)
 I.マクワラ(BOT)
 P.マスラク(CZE)
 P.コンラディエ(RSA)

ファラー国内有終?に大歓声~DL第12戦バーミンガム大会

22

2017DLの予選シリーズ最終戦となる、第12戦『ミュラー・バーミンガムGP』が行なわれました。
獲得ポイントの累計で年間ツアー・チャンピオンを争った昨季までとは異なり、今季はこの第12戦までの合計ポイント上位者(種目により8名または12名)が第13・14戦に振り分けられた各種目の「ファイナル」へと進出し、ファイナルの勝者が年間王者となります。
世界選手権直後の大会とあって、ニュー・ワールド・チャンピオンを軸としたリマッチとしての期待が集まりましたが、たった1~2週間経過しただけで(良くも悪くも)別人のようになってしまった選手もいたりして、予定調和のない陸上競技の面白さを再認識させてもらいました。

◇女子100m決勝(-1.2)
 ① 10"93 E.トンプソン(JAM)
 ② 10"97 M.J.タルー(CIV)
 ③ 11"08 J.レヴィ(JAM)
50
見た目がすっかり変わったS.ミラー‐ウィボの祝福を受けるトンプソン

ロンドンからは良い方に変わったのが、エレイン・トンプソン。「鉄板」と推した世界選手権では故障を発したわけでもないのに5着に敗れ、本人も「何が起こったのかわからない」と茫然としていたのがちょうど2週間前。そのロンドンでダブル銀メダルを獲得し絶好調のタルーを相手に、堂々の横綱相撲でした。決して圧勝とは言えませんが、今季のトンプソンはずっと、こうした「どこまで追いかけて行っても追い抜けない」という勝ち方をしてきたのです。本当に、ロンドンでは何が起こったのでしょう?…リレーに出てこなかったところを見ると、やはりどこかに体調の異変があったのではないか、と推察されますが。
予選2組で行われた今回の100mには、ダフネ・スキッパーズ(NED)、ディナ・アッシャー‐スミス(GBR)、ブレッシン・オカグバレ(NGR)らに加えて400mのショーナ・ミラー‐ウィボ(BAH)、100mHのサリー・ピアソン(AUS)といった賑やかなメンバーが登場、新チャンピオンのトリ・ボウイ(USA)は不在ながら、華やかな顔ぶれが揃いました。

◇女子400m

 ① 50"59 S.E.ナセル(BRN)
 ② 50"63 A.フェリックス(USA)
 ③ 50"66 C.オコロ(USA)
40
19歳ナセルがアリソンに競り勝つ

この種目はロンドンの上位3人によるリマッチ。ただしゴール20m前まで金を確信させる走りをしていたミラー・ウィボが100mに回ってしまったので、画竜点睛を欠く感はありました。
ミラー、アリソンの失速でタナボタめいた銀メダルに食い込んだ19歳のサルワ・エイド・ナセルが、今度は文句なしにデッドヒートの末にアリソンをねじ伏せて優勝。いよいよ、この種目の後継者としての地位を確かなものにしました。
とはいえ、選手紹介の後に判定機器の不具合でかなりの待ち時間が生じたため、選手たちのコンディションにも影響があったと思われます。そのせいかどうか、ロンドン優勝のフィリス・フランシス(USA)はロンドンと同じようにアリソンの1つ外側のレーンを引き当てながら、今回はいいところなく4着に敗退しました。

◇男子走高跳
 ① 2m40 M.E.バルシム(QAT)
 ② 2m31 M.E,ガザル(SYR)
 ③ 2m24 T.ゲイル(GBR)
07
久々の大台クリアに歓喜のバルシム、記念にバーをお持ち帰り?

ロンドンで自国に初のメダルをもたらしたガザルがブレイク。2m31を一発クリアして一時はトップに立つなど、今季やや低調なこの種目で異彩を放ち始めています。一方、ロンドンで格の違いを見せつけたバルシムは、今回どことなく眠そうな表情でテンション低め。31を2回落として窮地に陥るも、3回目にようやく“お目覚め”すると、33、35を一発クリアして勝負に片を付けました。
バーは大会新記録の2m39へ。これを2回落としたところで、何を思ったかバルシムはバーを2m40に上げ、これを鮮やかにクリアしてのけました。
2014年には2m40オーバーが5人も現れて、世界記録更新の機運が高まったこの種目も、ここ3年間の40オーバーはバルシムただ一人、それも年に1回ずつです。特にこの日はグラバーツ、タンベリ、トーマスといった猛者たちが軒並み2m20の低空飛行に終り、コンディションが良くなかったことを伺わせる中、一人バルシムの2m31以降の跳躍は圧巻の一言に尽きました。そのバルシムも、先日のロンドンが悲願の世界初タイトル。あとは、2m46の高みに掛かったバーをクリアすることだけが大目標となり、その可能性を十分に感じさせる大ジャンプでした。


◇男子3000m
 ① 7'38"64 M.ファラー(GBR)
 ② 7'40"34 A.メチャール(ESP)
 ③ 7'40"63 D.キプラガト(KEN)

DLポイント対象外ながら、英雄モー・ファラーのイギリスでの(おそらく)最後のトラック・レースということで、メイン・イベントとして行われました。
ふだんのDLレースならば、ナイキの広告塔でもあるファラーはオリンピック・チャンピオン・ユニ(紺とピンクのグラデーション)を着ているはずなのに、今回はイギリスのナショナル・ユニフォーム。もっとも、今回の地元イギリス選手のうち世界選手権代表組のほとんどがナショナル・ユニを着ていましたから、単に合わせただけかもしれませんが、ゴール後にゆっくりとそれを脱ぎ去った姿には、何となく象徴的な意味もあったのかな、という気がしました。
レースの方は、これといった強敵も参加していない状況では、ラスト100mをちょっと頑張っただけの余裕のモボット・フィニッシュ。このレースに関しては、予定調和な結果でした。なおファラーは、DL5000mファイナルにも出場してくる模様です。
通算オリンピックで4つ、世界選手権で6つの金メダル。短距離のウサイン・ボルトにまったく遜色のない偉大なスーパースターのロードでの今後が楽しみであると同時に、ハイレ・ゲブレセラシエ、ケネニサ・ベケレ、ファラーと続いた長距離絶対王者の時代を、次に引き継ぐ者が現れるのかどうか、興味は尽きません。

その他の種目の結果をまとめて。(DLポイント対象種目のみ)

◇男子200m(-0.1)
 ①20"19 R.グリエフ(TUR)
 ②20"26 A.ウェブ(GBR)
 ③20"30 A.ブラウン(CAN)

◇男子800m
 ①1'44"50 N.アモス(BOT)
 ②1'45"28 A.クチョット(POL)
 ③1'45"33 M.レヴァンドフスキ(POL)

◇男子110mH(-0.6)
 ①13"29 A.メリット(USA)
 ②13"31 S.シュベンコフ(ANA)
 ③13"40 D.アレン(USA)

◇男子走幅跳
 ①8m19(+0.3)J.ローソン(USA)
 ②8m03(+0.9)A.サマーイ(RSA)
 ③8m02(+0.4)M.ハートフィールド(USA)

◇男子砲丸投
 ①21m83 T.ウォルシュ(NZL)
 ②21m55 R.クラウザー(USA)
 ③21m16 T.スタネク(CZE)
 ⑦20m52 J.コヴァックス(USA)

◇女子1500m
 ①4'01"36 D.セヤウム(ETH)
 ②4'02"24 W,チェベト(KEN)
 ③4'02"95 R.アラフィ(MAR)
 ⑦4'03"71 J.シンプソン(USA)

◇女子3000m(5000mカテゴリ)
 ①8'28"90 S.ハッサン(NED)
 ②8"29"89 K.クロシュテルハルフェン(GER)
 ③8'30"11 M.キプケンボイ(KEN)
 ⑨ S.ロウベリー(USA) ⑩ M.ハドル(USA) ⑪ E.コバーン(USA)

◇女子400mH
 ①54"18 Z.ヘイノヴァ(CZE)
 ②54"20 D.ムハマド(USA)
 ③54"67 J.ラッセル(JAM)

◇女子棒高跳
 ①4m75 E.ステファニディ(GRE)
 ②4m61 H.ブラッドショー(GBR)
 ③4m61 M.メリエル(SWE)
 ④4m61 S.モリス(USA)

◇女子三段跳
 ①14m51(0.0) C.イバルグエン(COL)
 ②14m44(+0.1) K.ウィリアムズ(JAM)
 ③14m29(+0.4) O.リパコワ(KAZ)
 ⑦13m94(+0.2) Y.ロハス(VEN)

◇女子円盤投
 ①67m51 S.ペルコヴィッチ(CRO)
 ②65m24 D.カバリェロ(CUB)
 ③65m11 Y.ペレス(CUB)

全般的に、気温が低く記録は停滞気味、そしてアメリカ勢の調子が著しく下降気味ですね。それとも、最終戦に備えての調整試合と割り切っているのか…?
ファイナル第1日のチューリヒ大会は、24日(日本時間25日未明)に行われます。


ロンドン世界選手権観戦記 ⑧ ~チームJAPANのこれから


38

10日間の2017IAAF世界選手権が終って、私のブログもすっかり静かになりました。終盤、無駄に長すぎるTV放映時間(おそらく男子400mリレーのVTRが10回は流れたでしょうね)と仕事と飲み会が錯綜した結果、更新が滞ってしまいましてすみません。
日本にとっては、400mRの銅メダル、男子50km競歩の銀・銅メダル、さらにはDay7の男子200m7位入賞と、終盤にいいところが集中した結果となったわけですけれども、全般的にはメダル3個はよしとして、入賞5名、ほか決勝進出者なし(一発決勝種目除く)という成果は、目標達成には程遠いものだったと思われます。
今回の世界選手権は、事前に何度か触れましたように、世界の陸上界がオリンピック翌年ということもあってか、やや停滞気味な中で行われました。ダイヤモンドリーグなどを見ていても、トップレベルの競争が、実は意外に日本記録などと近いレベルのところで行われている、ということがままあったのです。
典型的だったのが男子の100m、200mで、あのボルトをはじめとする別世界にいたスプリンターたちが、日本選手が手を伸ばせば届くような距離にいた、というところがありました。
ただ、世界の停滞に輪をかけて、日本選手の多くが実力を発揮できませんでした。100mのサニブラウンと400mHの安部孝駿は「ああっ!」の瞬間がなければあるいは、という惜しさはありましたが、その他はほぼ壊滅状態。地区インカレ・レベルの記録に終始した男子400m、4×400mRをはじめ、箸にも棒にも掛からない結果が多過ぎたようです。「なぜそうなったのか」を、単に「実力不足」の一言で片づけずに研究することは、とても重要な課題です。
逆に、そうした研究が積み重ねられ、チームで総力を挙げる結果が実を結んだ種目が、400mリレーと競歩だった、ということが言えるかもしれません。

典型的な個人スポーツである陸上競技に、チームとしての戦いを取り込んでいくことは、リレーに限らず今後の大きなテーマとなっていくことでしょう。
同じ個人スポーツの競泳では、早くからそうした意識が浸透し、「トビウオJAPAN」というチーム名称も定着しています。
種目は違えど同じプールで競技をし、一人がさまざまな種目を掛け持ちすることも多い競泳は、陸上に比べて仲間意識・共有意識が容易に形成される、ということはあるでしょう。ですが、個人競技と言っても一人だけの力で強くなることには限界がある、コーチや仲間や裏方の人々とのコミュニケーションが、個人の成長を大いにサポートするということに早くから着目してきたのが日本の競泳界です。選手選考にまつわる悶着を一掃するなど周辺の環境を整備し、チーム意識を高めることでこんにちの「世界と戦う」日本競泳陣を作り上げてきたことは、ひところ競泳が陸上競技と同じく1個のメダル獲得に四苦八苦するような日本スポーツ界の“お荷物”であったことを思い返せば、その努力と成果は明らかなのです。
激しい競争を経て同じチームになったからには、先輩が後輩の面倒を見たり、後輩がサポートに奔走し力いっぱいの応援に声を涸らしたり、叱咤激励し合うことの効果は計り知れないと思います。そうしたチーム精神は、チームJAPANの大先達である古橋廣之進氏のニックネームから採った「トビウオ」のチーム名と、国際大会ではおなじみとなった士気鼓舞のパフォーマンス「ワンパ」に象徴されています。

陸上競技も競泳と同じように、ということはなかなか難しいかもしれません。短距離、中長距離、ハードル、跳躍、投擲、混成、競歩といった種目ブロックの隔たりがあり、またたった一人で海外遠征に出向くこともままある陸上で、どうやって仲間意識を醸成していけというのか?…まあ、方法はいくらでもあります。基本的な考え方としては、チームJAPANがあくまでも一つの「陸上部」である意識を共有すること、そして一人では強くなれない、みんなであいつを強くしようという意識を共有すること、それでスタートすればよいのです。もちろんそれは、チームの指導者たる立場の人々が率先して持たなければならない意識です。
同時に、種目ブロックごとのチーム体制にも、いっそうの工夫と努力が傾けられなければなりません。

競歩ブロックにチーム意識が強くてマラソンにはそれが欠けている…それは明らかに、実業団という日本の長距離・ロードレース界を支配する構造に起因している弊害です。もちろん、企業のバックアップに支えられた実業団は、個々の競技環境や実力養成に大いに貢献しているのも事実です。実業団どうしの競争と協力、そこのところを大人の話し合いをじっくり重ねてうまくやってもらえたら、頓挫した「日本マラソン・ナショナルチーム」の構想も再び日の目を見ることができるのではないでしょうか。
そしてまた、競泳の平井伯昌氏のような指導力と統率力、政治力を兼ね備えたリーダーシップを、瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーに、そんな長ったらしい肩書はやめて「瀬古ヘッドコーチ」として発揮してもらいたいものだと思います。

世界陸上 2017 限定モデル アシックス(asics) 日本代表オーセンティックTシャツ A17B00 (M)

チームJAPANといえば、リオ五輪に続いて今回も、400mリレーをメダルに導いた短距離ブロックのチーム戦略が大きくクローズアップされています。
今回、400mリレー・チームは選手6人。コーチ陣は短距離・リレー担当オリンピック強化コーチの苅部俊二氏に、土江寛裕・小島茂之の両コーチ。

ご存知のように、陸上競技のリレーでは最大6人を1チームとしてエントリーし、そのうちの4人を予選・決勝のメンバーとして出場させることができます。したがって、予選から決勝に向けて、2人までを入れ替えることが可能となります。
従来、戦力に余裕のない日本チームは、予選からその時点でベストと考えられるオーダーで戦うことが当たり前となっていました。現在でも、同じです。
ところが今回、個々の走力においては現状ナンバーワンと目されるまでに成長したサニブラウン・ハキームが200m決勝でハムストリングスに軽い故障を発生し、当初計画されていた1走での起用を見送られることになりました。代役として起用されたのが、今大会の100mでスタートダッシュの鋭さを世界に印象付けた多田修平です。
予選を6番目のタイムで無事通過した後、今度は従前から脚部に不安を抱えていたケンブリッジ飛鳥に代わって、今回個人種目では標準記録に到達できなかった藤光謙司が投入されることになりました。
期せずして、日本チームは6枚のカードをすべて使う総動員体制でリレーの決勝に臨むことになったわけです。

400mリレーリレーのメンバーは、単純に100mの走力の優れた者が選ばれる、というわけではありません。私があえて「4×100mリレー」ではなく「400mリレー」と表記し続けているのは、「400mリレーは4人が100mずつ走る競走ではない」というかねてからの考えによるものなのです。
(このあたりの論証は、1年前に投稿した以下の記事をご参照ください)
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/6261252.html

多田はスタートの鋭さは世界でも一流であることを示したとはいえ、その分100mないし110mの距離における終盤のスピードには不安があり、それは彼が200mではほとんど試合経験のない100mに特化したスプリンターだということにも表れています。多田が当初から本番メンバー入りの構想に入っていなかったのは、当然と言えば当然だと私には思えましたが、走力の調子は上々と見られます。
また藤光は、6人の中で唯一100mのベストが10秒23と見劣りがするものの、引退した朝原宣治の後任として2009年にアンカーに抜擢されて以来、2015年のワールドリレーズ銅メダル・メンバーでは2走を務めるなど、代表経験は豊富で最も信頼されるバトンワークの持ち主です。
バトンワークの習得に不安の残るサニブラウン、調子の上がらないケンブリッジ、2人に代えて総合的に遜色のない2人のサブを投入できたというのが、日本のチーム力の現れ、その1でした。

その2は、予選通過したとはいえ日本記録からは大きく遅れる38秒21というタイムをいかに修正してメダル圏内まで押し上げるか、というチーム戦略に発揮されました。(結果的には予選のタイムでも同じ着順に入れたのですが、あくまでも結果論です)
リオでも、実は2走から3走、3走から4走のバトンパスは詰まり気味、つまり受け手のスタートが若干遅れ気味でテイクオーバーゾーンの半ばでバトンを受ける形になっていたのが、同じメンバーによる今回も課題として残っていました。1走の多田も、初代表だけに予選のままでよいのか疑問が残ります。このタイミングはスタートマークを変えることで調整するわけですが、一歩間違えると今度はバトンが届かないというミスのリスクが高まります。話し合いの結果、3走までは予選より半足長マークを遠ざけ、4走の藤光は練習時よりも1足長伸ばしたのだそうです。これを躊躇なくやってのけたのが、年間何十日もの合宿を重ね、経験と情報を集積した成果であったことは間違いありません。

実業団や大学といった本来の属性を超えて、チームJAPANとして普段から行動することによって培ってきた日本ヨンケイ・チームの強さが、改めて浮き彫りになった今回の世界選手権でした。
ちなみに、私は当日前々から約束があった宴席に出ていまして、ライブで見られないリレーの結果にソワソワと気を揉んでいたんですけど、そこは陸上観戦半世紀のキャリアにモノを言わせ、
「イギリスが優勝するであろう」
と大胆な予言をカマしていました。
今回のイギリス・チームはチジンドゥ・ウジャをはじめとして戦力は充実、特に200m4位のネザニール・ミッチェル‐ブレイクとサニブラウンより速いタイムながら準決勝敗退したダニエル・タルボットを投入してきたことで、リオ五輪以降、地元開催の今回に向けてヨンケイの本格的強化と研究に取り組んでいることが伺えたからです。(ヨンケイにロングスプリンターを投入するのは、日本の“隠し玉”的な高等戦略なのです)
100mの金・銀を擁するアメリカは例によってバトンワークの成否は五分五分、ボルト・ブレイクがもはや「超人」ではなくなったジャマイカは、日本にとっても与しやすい相手に思えました。いちばんの強敵はイギリスだろう、と思ったわけです。

今や超人不在となった短距離界、「チームのチカラ」は、ますます日本が頂点に駆け上がる可能性を大きくしていくことになるでしょう。その一方でイギリスのように、他の国々もこうしたことに少しずつ目覚めてくるに決まっています。
来年5月の「ワールドリレーズ」では、ますます面白いヨンケイが見られることを楽しみにしています。蛇足ながら、日本ヨンケイの「韋駄天スプリンターズ」という愛称は、さすがにTBSでも一言も使いませんでしたが、もう少しどうにかならないものですかね?

ギャラリー
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#9~1991/第10回大阪国際女子マラソン
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#9~1991/第10回大阪国際女子マラソン
楽天市場
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ