豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2017年05月

ガトリンまた惨敗~DLユージーンは波乱続出


IAAFダイヤモンドリーグ第3戦のユージーン大会『プレフォンテイン・クラシック』が27日(日本時間28日早朝)に行われました。

大会名となっているプレフォンテインとは、1970年代に地元オレゴン大学のヒーローとして一世を風靡したスティーヴ・プレフォンテインから採られています。彼は1972年のミュンヘン・オリンピック5000mで4位と健闘したもののメダリストではなく、10000との2種目で優勝したラッセ・ヴィレン(FIN)やマラソン金メダルのフランク・ショーター(USA)に比べれば世界的にはさほど名のある選手ではありませんでしたが、常にフロントランナーとしてぐいぐいレースを引っ張るスタイルで、国内では大変な人気を博しました。ミュンヘンの3年後に交通事故のため24歳で夭折し、その名はこの大会の冠となって、世界最高峰のワールドツアーの一つに残されているのです。

この大会の名物種目となっている「バウアーマン・マイル・レース」(ロナルド・ケモイが優勝)に名を残しているビル・バウアーマンは、プレフォンテインを育てた陸上競技のヘッドコーチであり、ナイキの創業者の一人として知られる人物です。
さらに、バウアーマンの恩師であるビル・ヘイワードは、この大会の会場であるオレゴン大学グラウンドに「ヘイワード・フィールド」という名を残しています。
いわば、3代にわたる師弟関係の物語が、この大会を由緒あるものに仕立て上げているわけですね。
2021年には、この場所で世界選手権が開催される予定です。現在最大で20000人程度を収容できるに過ぎない、日本の大学のグラウンドと同じような空の開けたスタジアムが、どのように変貌していくのかが興味深いところです。

また、この大会で特徴的なものが、選手が装着しているビブスです。
通常ビブス(ナンバーカード)は、固めの化繊布や防水コーティングした紙製のもので、安全ピンもしくはボタンクリップでランニングウェアに装着します。ところがこの大会に限っては、少し小さめのカード(番号はなくPREの3文字とナイキのシンボルロゴ、個人名のみ)が、まるであらかじめ選手のユニフォームにプリントされているかのように、ピタッと貼り付いているのです。
トラックの出場者でも、走高跳の選手のように前面だけの装着。したがって、この大会では選手のIDナンバーはありません。(腰ナンバーのみ)
考えてみれば、ナイキのお膝元ですから、そうした「大会ロゴと個人名をあらかじめプリントしたウエア」を契約選手全員に配布するくらいのことは簡単にできるでしょうが、少数派とはいえ他社契約選手やナショナル・ユニフォームでの参加選手には、そういうわけにもいきません。
テレビの画面越しによくよく見れば、どうやらウエアと同調する程度に柔軟な素材の布製で、ぴったりと貼り付けられているらしいことが伺えます。というか、そう解釈するほかありません。
それにしても、今どきの材質のウエアにあれほど密着して貼り付くとはどんな接着剤を使っているのか、またどの選手も綺麗に身体の真ん中に曲がることなく装着しているのはいかなるわけか、とても不思議です。

まあ。そうした大会にまつわる付加的なあれこれに思いを巡らせながらTV中継を視ているうちに、ふと気付くと随分な割合で大番狂わせが起こっていました。


オープニング・レースの女子400mHでは、昨年全米予選からリオ・オリンピックまで見事なシンデレラ・ストーリーを築いたダリラ・ムハマドが中盤からガタッとペースダウンし、5着に敗退。優勝は五輪3位のアシュリー・スペンサー(USA)。2着には前半飛ばしたシャミーア・リトルが粘りました。リトルはトレードマークのオヤジ眼鏡とおバカ・リボンをマイナーチェンジして、少し雰囲気が落ち着きましたね。ムハマドもロングヘアを束ねて、大人の雰囲気にイメチェンです。


ケニ・ハリソン、ブライアナ・ローリンズの2大女王が不在の女子100mHは、昨年鳴かず飛ばずだったジャスミン・ストワーズ(USA)が12秒59(+0.8)で快勝。キャスリン、アリの両メダリストは6着・7着に沈みました。

主役を200mの方に持って行かれながらもキャンベル‐ブラウン、アウレ、アイー、フェイシー、バートレッタといいメンバーの揃った女子100m(ポイント対象外)は、モロレイク・オカイノサン(USA)が大穴の優勝。記録は+2.1で10秒94。

そして男子100mでは、アメリカの23歳ロニー・ベイカーが9秒86(+2.4)で優勝。川崎で日本勢の後塵を拝したスー・ビンチャン(CHN)が9秒92で続き、公認の風速ならばPBを更新していたでしょう。
アンドレ・デグラス(CAN)は4着、第1戦ドーハで惨敗していたジャスティン・ガトリンはまたもや5着といいところなし。例年、DLでは絶対的な強さを見せつけながら本番の世界選手権やオリンピックでボルトの壁に敗れ続けてきたガトリンが、今季はスロー調整で8月のロンドンに合わせている過程なのか、それとも年齢的な衰えか、一過性の不調か、まだ判断はつきません。

さらに、この日のメインイベントと言ってもよい豪華メンバーによる女子200m。昨年のユージーンでもトンプソン、スキッパーズの2強をまとめてぶっ倒したトリ・ボウイが、今度は21秒77(+1.5)のPBで文句なしの快勝。400mチャンピオンの“ダイビング・フィニッシュ”ショーナ・ミラー‐ウイボが大外から2着に突っ込んで、「2強」は3着・4着と形無しでした。

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 女子200mの1・2着はAdidas勢。

フィールドでも、女子走高跳はオリンピック・チャンピオンのルース・ベイティア(ESP)が4位に敗れ、2m03というハイレベルなレコードで勝ったのはマリア・ラジツケネ(旧姓クチナ。現在IAAFに承認されていないロシアのため国名はANAと表記。何の略号なのかは分かりません)。北京世界選手権の優勝者ですから番狂わせでもないんですが、今年のロンドンには出場可能なんでしょうか?

とどめは最終種目のバウアーマン・マイル(DL1500mカテゴリ)でアスベル・キプロプ(KEN)がなんと完走選手中最下位に撃沈。リオでの惨敗から、立ち直りの兆候は見えません。

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中継はありませんでしたがユージーン大会は前日26日も一部種目が行われており、女子3000mSC(対象外)では世界記録保持者のルース・ジェベト(BRN)が3着と沈み、セリフィン・チェプティーク・チェスポル(KEN)が歴代2位の8分58秒78で優勝。ジェベトは昨年19歳でオリンピックと世界記録の頂点に立ちましたが、こちらはなんとまだ18歳。ジェベトも9分03秒で走っていますから決して不調だったわけでもなく、この種目が新たな局面に突入しっつあることを伺わせます。

また同じく26日に行われた女子5000mでは、ゲンゼベ・ディババが14分25秒22で圧勝。どうやら、今季は彼女の元気な走り、世界記録へのチャレンジが見られそうな予感です。

アプセット続きのトラックで無敵王者ぶりを発揮したのは、男子5000mのモー・ファラーと女子800mのキャスター・セメンヤ。ともに寸分の隙なし。
男子三段跳ではクリスチャン・テイラーが自己記録に迫る18m11(+0.8)のビッグジャンプで圧倒したかに見えながら、同門のウィル・クレイも18m05(+2.4)で追いすがり、リオに続く冷や汗ものの勝利となりました。

次回DLは6月9日のローマ大会。
桐生祥秀の次戦を「日本学生個人選手権か?」なんて書いてましたが、このDL第4戦にエントリーしているようです。楽しみですね。


桐生はスランプか?~第96回関東インカレ


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『第96回関東学生陸上競技対抗選手権』(関東インカレ陸上、通称“関カレ”)が昨25日から4日間の日程で行われています。会場は日産スタジアム。

最大の注目・桐生祥秀(東洋大4)が出場した男子一部100mは今日・2日目に準決勝・決勝が行われ、桐生は2年時を除く3度目の優勝を飾りましたが、期待されたタイムは準決勝10秒15(+1.8)、決勝10秒24(-0.5)に留まりました。

押し寄せるマスコミの重圧にも淡々と対応する桐生の表情からは、一見何も問題はなくリラックスしてレースに臨んでいるかのように伺えますけれども、どうでしょうかね?
問題のスタートは…「失格になったDL以降、修正できた」というようなことが言われており、ある新聞報道では「(練習で見ると)「用意」の構えは微動だにしない」などと書かれていたんですが、準決勝では素人目に見ても明らかにロッキングスタート気味に、きちんと静止できていません。あれでは、DLやオリンピックの公式計時サプライヤーであるOMEGAのシステムには再び「御用」となる可能性大です。(この日の計時システムはニシスポーツ)即時“お帰り”とならないまでも、警告は受けるでしょう。
特に決勝はスターターの号砲が若干早め(手元計時で1.4秒)だったことも影響してか、RT 0.170秒は少々かかり過ぎ。しかも決勝は向い風に妨げられたことに途中戦意喪失したかのように、70~80m付近でリズムが崩れ、終盤のもたつきぶりは本来の走りとはかけ離れたものと見えました。
やはり、重圧やスタートへの不安は、間違いなく桐生を苛んでいるようです。
フライングへの意識は、スプリンターのメンタルを狂わせます。そうならないように、絶対にフライングを取られる心配がない、しかも鋭いスタート技術を磨くことは、現行ルールのもとでのスプリンターの生命線と言ってもよいでしょう。
上海DLをきっかけに始まった(とは本人も周囲も認識していないかもしれませんが)桐生のスランプは、案外根が深いような気がしています。
来週の『布施スプリント』にはエントリーがなく、次は翌々週に『日本学生個人選手権』がありますが、そこを経由するのか、1か月後の『日本選手権』まで調整に専念するのか、動向から目が離せません。

なお、その他の種目では、男子一部走幅跳で最終6回目に、セカンド・レコードの差で先行していた先輩の小田大樹を逆転、しかも自身初の8m超えとなる8m04で優勝した橋岡優輝(日大1)、女子やり投で60m台を3連発、6投目には世界選手権参加標準記録にあと33㎝と迫る61m07を投げた斉藤真理菜(国士舘大4)、この2つの大会新記録が出色でした。

☆関連オススメ記事☆
<連載>100m競走を語ろう ①~⑲

http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/cat_172993.html

笛吹けど踊らず、の『GG川崎』


日曜から昨日にかけて、多くの方々にご訪問いただきながら記事の更新が滞っておりまして、申し訳ございません。
実は、日曜日に久々のレース、とはいってもたかだか一人5km×4人の駅伝大会に出場しており、平素のサボリのツケをモロに露呈いたしまして、大いに肉体的ダメージを蒙っておった次第です。
ご存知の方も多いかとは思いますが、毎年この時期に荒川河川敷コースで行われております『ハイテクタウン駅伝(旧称・谷川真理駅伝)』という、まあ大人の運動会みたいな大会です。血気盛んな高校時代の同級生が集まりまして、初めて参加したのが7年前。全員が還暦目前となった今年は女子3名(こちらはもうちょっと若い)を交えて3チームが出場し、好天のもとで気持ちよく快走。帰り道でゆったりと温泉に浸かってから大宴会、とまあ充実のオヤジな一日を過ごさせていただきました…。
が、肝心のランの方は、メンバー中ほぼ最下位(女子含む)、50過ぎてからのPBからは6分も、つまり1㎞あたり1分以上も遅いという惨憺たる記録で、いくら練習不足とは言っても高校時代の陸上部員は私ただ一人。ふだん偉そうに「陸上競技専門ブログ」なんて書いてる身としては、穴があったら…の心境で、しばし反省に浸っておったというわけです。

そういう事情ですから、『セイコーゴールデングランプリ陸上2017川崎』の放送を見たのは帰宅後、録画で。まあ、この日はまず、「男子100m夢の9秒台」は出ないだろうと踏んでいたので、何が何でも生で見よう、とは考えてませんでしたけどね。

◆どこか変?GG川崎という大会
この『ゴールデングランプリ』という大会、ちょっとヘンですよね。気が付いてます?
いちおう、IAAFによって「ワールド・チャレンジ・ミーティングス」という、2010年に始まったダイヤモンドリーグの下に位置づけされるシリーズの中の一大会ということになっています。今季は9月までに9大会が行われますが、大会数は毎年流動的、というか減少傾向。これ自体、何となく意義のよう分からないシリーズなんですね。
おまけに、今年はなんと、ジャマイカと日本で、日付こそ1日違うものの実質的には同日開催。どちらもヨーロッパ・アフリカ勢の出場はあまりない中で、主にアメリカ、カナダのスター選手が分散して駆り出されています。日本にはガトリンやバートレッタ、ジャマイカにはメリット、デ・グラス、ケンドリクス、アリソン、といった具合です。
ほんと、IAAFの管轄下にあるにしては、よく分からない開催意義です。
おそらく「ワールドチャンレンジ」というのは、「DLには入れてもらえなかったけど、何か権威ください!」という中途半端な国際大会の要望に応える形でひねり出した、お墨付きみたいなもんでしょうかね。

特に『GG川崎』がヘンなのは、主催(共催)名義が朝日新聞社系列(朝日新聞、日刊スポーツ)なのに、TV放送がTBS(毎日新聞社系列)という奇妙なねじれ現象です。これは、同大会の前身とされる『スーパー陸上』の後期から続いています。

◆奇妙な「ねじれ」の経緯
むかーし昔、私がまだ紅顔の美少年だった頃には、5月に『スポニチ国際陸上』(毎日系)、9月に『ニッカンナイター陸上』(朝日系)という2つの国際トラック&フィールド大会が国立競技場で行われていました。どちらも国内では日本選手権に続く盛況の大会で、なかなかの一流外国人選手も来ていました。(言うまでもなく国立競技場にはサブトラックがなく、隣の東京体育館グラウンドを“見なしサブトラック”とすることで胡麻化してたんですが、当時は大会がIAAFの管轄下にあったわけでもないので、あんまり問題にならなかったみたいですね)

私が生まれて初めて陸上競技を生観戦したのが1971年の『スポニチ国際』でした。以後しばらくは、日本選手権、ナイター陸上、インカレと、国立で開催される大会はほとんど見に行っていた記憶があります。入場料なんて、300円か500円くらいのものでしたよ。
テレビ中継は、『スポニチ』がTBS、『ニッカン』のほうはなし。ということで、秋の『ナイター陸上』のほうが地味な印象でしたが、そのうちに大会がテコ入れされて『八か国対抗陸上』というビッグゲームになり、テレビ朝日が中継を始めます。それが『日米対抗』になったり『日米ソ三か国対抗』になったりして、『スポニチ』を圧倒するようになりました。

1984年のロス五輪後にはカール・ルイスが初来日、国立競技場は立錐の余地もない超満員となりました。実は、通常は空席の目立つ陸上の大会のこと、例年テレビ朝日、日刊スポーツ等によって招待券が大量にばら撒かれており、この年に限ってはオリンピックで4冠を達成したルイス見たさにタダ見の観客がこぞって国立に詰めかけたため、とうとう数百人とも数千人とも言われるほどの人々を鉄門を閉めてシャットアウトするという騒ぎになったのです。
私は前売の指定S券(ただし座席指定ではなくブロック指定)を購入していたのにも関わらず、入場してみると空席が一つもないという有様でした。そこは本職がイベント屋なもんですから、会場整理担当者を呼び出して上司の名前をちらつかせつつ何とか席を空けさせた、というひと悶着があったのが、懐かしい思い出です。

気が付くと、国内では『スーパー陸上』となった秋の朝日系大会が国際ゲームのメインになり、毎日系はいつの間にか撤退して5月には『大阪グランプリ陸上』という大会が長居スタジアムで開催されるようになっていました。
『大阪GP』はIAAFが管轄するグランプリ・シリーズの一大会で、「ゴールデン・リーグ」、「スーパー・グランプリ・シリース」の下に位置付けられるものでしたが、大会の成績はGPシリーズのポイントに反映されたのですから、開催意義は明確なものでした。
IAAF傘下の大会としてはっきりとした権威を持つイベントだった反面、陸上競技が急速にコマーシャリズムとの関係を深めていく中で、大会運営に欠かせないものとなっていたスポンサードの面では苦労が絶えなかったようです。中継はNHKが行っており、後援名義に讀賣新聞系が参画はしていたものの、広告代理店が積極的に動くことはなく、大口のスポンサーが付いていなかったのです。

一方の『スーパー陸上』は、そもそもがコマーシャリズムを前提とした興行であり、その冠には『八か国対抗』時代のコカ・コーラに始まって、東芝、TOTO、セイコーと有数のビッグ・スポンサーが名を連ねます。これは、主催者である陸連による使い分けというよりも、大会の運営や広報・集客面を司る広告代理店とメディア側のスタンスによるものなのです。そして、そうしたスタンスにも、課題がありました。
それは、大会を大きく色鮮やかなものにするために招聘する海外のビッグネームが、必ずしも期待どおりのパフォーマンスをしてくれない、というものでした。1997年以降は世界選手権が隔年開催となって、4年のうち3年は『スーパー陸上』がオリンピック・世界選手権直後の開催となるために、有名どころのブッキングが難しく、来日しても単なる顔見世興行に陥る傾向が強くなったという事情があったからです。
その1997年から世界選手権の独占放映権を獲得したTBSが、「陸上と言ったらウチだろう」と横槍を入れ、『スポニチ』の撤退を穴埋めするかのように『スーパー陸上』の放映権を奪い取ったというのが、現在の「ねじれ」に続いているのではないか、と思います。

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感想(1件)



◆GG川崎はどこへ行く?
2010年にIAAFのワールド・ツアーのシステムが「ダイヤモンドリーグ」と「ワールドチャレンジ」に改変された際、『大阪GP』は後者の一大会に組み込まれ、翌年から『大阪GP』と『スーパー陸上』が統合する形で『GG川崎』に生まれ変わりました。
一見、春と秋の国際大会の良い処どりをしたようにも思える一方、会場選択をはじめとする運営方式は『スーパー陸上』のそれを引き継いだために、いくつかの問題点をも継承する形となりました。

一番の問題として、2008年の『スーパー陸上』以降に会場として定着した、等々力競技場のことがあります。
今年の大会でもそうでしたが、この競技場は風の状態が不安定で、特に直線は向い風になる確率が高く、ゴールデングランプリの目玉となる短距離種目にとって、いいトラックとはとても言えません。スタンドの構造物が低く吹き抜けになっているために、もろに風の通り道になってしまうのです。
横浜の日産スタジアムなどは、私自身2003年の日本選手権(末續慎吾が200m日本新記録を出した大会)を観戦した際に驚いたのですが、外で物販のテントが飛びそうな強風が吹いているのに場内はほとんど無風、という素晴らしい構造になっています。大阪の長居、広島のエディオンなども、(私は行ったことがありませんが)おそらく同じでしょう。「高速トラック」と呼ばれる所以ですね。

陸上競技のビッグイベントを行う会場には、いくつもの条件が求められます。
第一種公認競技場(IAAFランクⅠまたはⅡ)であること。
ある程度以上の収容人員(陸上競技の場合、5万だの8万だのは不要)。
集客に問題のないアクセスの良さ。
記録が出やすい舗装と平均的気象条件(高速トラック)。

これを首都圏に当てはめると、国立競技場が「旧」も「新」も使い物にならないとなれば、日程調整の難しい日産くらいしかありません。2013年の日本選手権・国体が開催された味の素スタジアムも、今はサッカー専用仕様に戻ってしまっていますし、熊谷は等々力以上にアクセスが悪い。
記録が出にくく、アクセスも悪い等々力競技場を使い続けなければならない、しかも今年は例年のGW最終盤には日程がとれなかったと見えて、ジャマイカ国際招待および東日本・関西の実業団選手権と同日開催。
一流の出場選手たちを迎え入れるハコが用意できていないことが、『GG川崎』の最大の問題点でしょう。

もう一つの問題点は、これは私の個人的な好き嫌いもありますが、中継と運営に深く関わるTBSの、相も変らぬどうしようもないセンスの無さです。
一般視聴者に伝わりやすいように、あれこれと演出や脚色を施すのは民放として(昨今はNHKでもそうした傾向があります)仕方がないとしても、もう少し陸上競技ファンの方を向いた作りには、できないもんでしょうかねえ?
短距離種目や男子棒高跳、やり投などが目玉になるのはいいとして、他にもせっかくいい選手を呼んでいい試合が行われているのに、それらを全く取り上げないというのは…?

男子走高跳では、衛藤昴が2度目の標準到達となる2m30を跳び、戸邉直人も2m25と復調の兆しを見せています。
走幅跳では、中国勢に交じって下野伸一郎が8mジャンプを見せ、三段跳でも今季好調の山本凌雅がまずまずの跳躍を披露しました。
女子100mHでは、木村文子が13秒10(±0)と、姐さんまだまだやる気だなと思わせる走り。優勝したクィーン・ハリソンの12秒65はともかく、イギリスのオフィリ姉妹らとは大接戦を繰り広げたようです。
そして女子やり投では、中国のリウ・シインが66m47のアジア・レコードを投げたほか、日本勢も海老原有希と宮下梨沙が60mオーバー、北口榛花と斉藤真理菜も好記録で続きました。
これらの種目については、中継番組の中では一片も触れられていません。


番組冒頭で中継された男子3000mは、好調の松枝博輝が奮闘、またこんなところで負けられないポール・タヌイが意地を見せた好レースになりましたが、TBSはこの大して長くもない距離のレースで、必ず途中にCMをぶち込みます。世界選手権などの3000mSCでは、時として2分のCMを2回も入れます。たかだか8分前後のレースに、ですよ。

いちど雛形を作ってしまった番組進行台本(競技スケジュールをもとにCMや事前収録Vの挿入タイミングなどが割り付けされているもの)が、予測の出来ない事態(思わぬ種目で好記録とか)に対応できないという、どうしようもなく凝り固まった制作体質が、この局にはあります。その上に、事前取材が日テレなどに比べて遥かにいい加減ですから、そうした予測のできないことが多過ぎるのです。
「どうせ視聴者は長距離レースなど途中で飽きるだろうからCMチャンス」という思い上がりを持って臨む悪癖も、どうしても治してくれません。
何かやろうとすれば、100mの選手入場にCO2噴射という、今どき陳腐極まりないトホホな演出。
『世界陸上』を中継し始めた頃の意味なし絶叫中継やバラエティもどきのおふざけ企画こそ何年もかかってやっといくらか収束しましたが、ほんと、陸上競技に対する愛がないのはもう一目瞭然です。
まあ、この点については、世界選手権が近付きましたらまたあれこれと突っついてみることにします。

というわけで、いろいろな問題を抱えつつ毎年行われる『GG川崎』。
苦労して世界中からビッグネームを集めて行う割には、「なんだかなあ…」の感想しか出てこないことが恒例になってしまった、ヘンな大会。
何よりも、選手たちが「大事なスポンサー様の前での大会の無事な進行」という大命題の犠牲にされているような印象が強く、歯噛みする思いを禁じ得ません。
何とかならないもんでしょうかね。・・・

仙台ハーフ/中部実業団リザルト


桐生ショックから明けて日曜日。
仙台では「杜の都3大レース」の一つ、『第27回仙台国際ハーフマラソン大会』が雨の中行われました。
かなりな有力ランナーが集結するレースでしたが、全国ネットのTV放送はなく、ゴールや途中の定点カメラによるストリーミング配信でしか様子を伺い知れなかったのが残念です。
リザルト速報を大会HPより転載いたします。

2017sendaiHM1
http://www.sendaihalf.com/uploads/files/halfrikuren_m%283%29.pdf より抜粋
※主なDNS:神野大地(コニカミノルタ),宮脇千博(トヨタ自動車),上野裕一郎(DeNA),ガンドゥ・ベンジャミン(富士通),アレクサンダー・ムティソ(NDソフト)

2017sendaiHM2
http://www.sendaihalf.com/uploads/files/halfrikuren_w%282%29.pdf
※主なDNS:岩出玲亜(ノーリツ),前川晴菜(十八銀行),下門美晴(しまむら…欠場理由が「移籍」となっていたのが気になります),高山琴海(シスメックス)

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昨日からの2日間、長良川競技場では『第61回中部実業団対抗陸上競技大会』が開催されていました。
こちらも種目によって全国的にも注目の選手が出場しています。
私が気になった種目・選手の上位リザルトのみ、ピックアップしてご紹介。

◇男子100m ① 10"57(-2.3) 九鬼 巧(NTN)

◇男子200m ① 20"70(-0.1) 諏訪 達郎(NTN)※GR

◇男子1500m ① 3'47"88 服部 弾馬(トーエネック)
② 3'48"22 中川 智春(トーエネック)
③ 3'48"64 竹内 颯(NTN)
⑥ 3'51"13 服部 勇馬(トヨタ自動車)

◇男子5000m ① 13'45"59 サイラス・ロイコン(愛知製鋼)
② 13'58"10 中川 智春(トーエネック)
③ 14'02"24 石川 裕之(愛三工業)

◇男子10000m ① 27'54"19 ロジャースチュモ・ケモイ(愛三工業)
② 27'54"35 マチャリア・ディラング(愛知製鋼)
③ 27'58"69 パトリックムエンド・ムワカ(愛三工業)
④ 28'31"28 大石 港与(トヨタ自動車)
⑤ 28'33"88 早川 翼(トヨタ自動車)

◇男子走高跳 ① 2m27 衛藤 昴(AGF)※GR
なお、衛藤選手は4月16日、国体三重予選において世界選手権標準記録の2m30をクリアしています。

◇女子100m ① 11"91(-3.2) 市川 華菜(ミズノ)

◇女子200m ① 23"59(+0.4) 市川 華菜(ミズノ)※GR

◇女子800m ① 2'07"53 アン・カリンジ(豊田自動織機)

◇女子1500m ① 4'17"48 福田 有以(豊田自動織機)
② 4'21"87 倉岡 奈々(デンソー)
③ 4'25"25 宮田 佳菜代(ユタカ技研)
④ 4'29"20 横江 里沙(豊田自動織機)

◇女子3000m ① 9'19"55 スーサン・ワイリム(デンソー)
② 9'46"02 池内 綾乃(デンソー)
③ 9'58"25 万代 美幸(豊田自動織機)

◇同Jr. ① 9'33"07 川内 桃佳(豊田自動織機)
② 9'43"41 前田 梨乃(豊田自動織機)
③ 9'49"76 和田 さくら(デンソー)

◇女子5000m ① 16'14"31 萩原 歩美(豊田自動織機)
② 16'15"50 藪下 明音(豊田自動織機)
③ 16'15"85 寺島 優奈(ユタカ技研)
④ 16'16"31 沼田 未知(豊田自動織機)

◇女子10000m ① 33'45"27 橋本 奈海(デンソー)
② 34'36"32 岡 未友紀(デンソー)
③ 34'45"81 光延 友希(デンソー)

ふむふむ、女子の中長距離は、相変わらずデンソーvs.豊田自動織機がバチバチです。何せ、今年の駅伝は両方とも予選会から火花ですからね。微妙に直接対決は避けている感じでリザルト見てるだけで面白いです。
豊田は林田みさき(10000m)と菅野七虹・山本奈緒(オープン5000m)がDNSした以外は全員が脚慣らし。デンソーも水口侑子は仙台でまずまずの順位ですし、小泉直子以外は全員エントリー。ともにチームとしての順調ぶりが伺えます。


桐生失格に茫然~DL第2戦・上海大会


いんやぁ…(と、つい石塚さんふうの溜息)
見事にスカされましたね、上海DL。
何度もビデオをコマ送りで見直してみましたが、フライングとは見えません。
桐生の手が地面を離れるのが他の選手よりも2コマ弱くらい(約0.05秒)早いから、やっぱりその分、早かったんでしょうかねえ。
コマ送りではむしろ分かりにくいんですけど、微妙にロッキングスタート(完全に制止せず身体を揺らすような構え)気味な動きが桐生にあったように見受けられます。これがフライングの正体だとすれば、修正は容易なんですが、自覚もなくなぜフライングをとられたかが分からないままだと、後々悪い影響を残しますよ。
先に明らかなフライングで失格となったイサイア・ヤング(USA)が、「観客の拍手に反応したんだ」と抗議していましたが、そうしたことが桐生にもあったのかもしれません。
前日練習では、土江コーチの叩く手の音に合わせて入念にスタートをチェックする様子が紹介されていました。そこが課題、とは十分に認識があった上での修正途上にあった、仕方がないと考えたいですね。(今後は、OMEGAとSEIKOの音だけに反応する訓練をしないと)
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なお、「フライング(フォールス・スタート)」については以前、「連載・100m競走を語ろう」⑥⑦⑧および番外編で詳しく解説していますんで、事情がよく分からないという方は参考にしてくださいね。
http://www.hohdaisense-athletics.com/archives/cat_172993.html?p=2

サニブラウンが「完全に集中が切れた」てなことをコメントしているようですが、むしろケンブリッジの走りがそんな感じでしたね。もともとスタートがいい方ではないとはいえ、中盤までの走りは何となく上の空な感じでした。完全に一人きりで走るような状況になってしまったことも、アンラッキーでした。
2017DL上海2

で、言ったとおり、スー・ビンチャンだったでしょう?
ロジャースだ、メイテだと言っても、シーズンインの試運転がまだ終わってないような連中よりも、ここに絞って仕上げているはずの地元のエースが、いちばん難敵だと思ったわけです。
それにしても、「どうやらフライングしたのは桐生らしい」という映像が映った途端に、大拍手をする中国人観客って…。
こうなったら、来週の『GG川崎』で、ぜがひでも山縣亮太に敵討ちをしてもらうしか、ないですね。

女子100mでのE.トンプソン(JAM)の快走や男子走幅跳L.マニョンガ(RSA)の8m61、女子5000mH.オビリ(KEN)の14分22秒67といった好記録、また昨年の今ごろを思い出させるD.ルディシャ(KEN)の惨敗ぶりなど、見どころもたくさんあった大会でしたが、今回は私も、意気消沈です。

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  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
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  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#9~1991/第10回大阪国際女子マラソン
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