豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2016年12月

大学女子駅伝は戦国時代へ




「駅伝漬けの日々」もいよいよクライマックス寸前、正月駅伝に向けて気分を盛り上げる年末行事、『2016全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)』が、昨日行われました。

◆創設4年目…「年末の風物詩」になってきた
雨後のタケノコのごとく次々と現れる新興の大会としては、最近最も成功しつつあるものではないでしょうかね。
かつて我が地元近くのつくばで開催されながら、諸般の事情で廃止に追い込まれた「全日本女子選抜大会」を復活させた大義名分的な意味合いが一つ。
正月の「箱根」と同様に、富士の裾野の景観を眺めながらのTV観戦は、年末気分にしっくりと馴染みます。
特に、男子の「箱根」の対極に位置付けるかのように富士の「山登り」をアピールするコース設定は、なかなかスリリングな気分を醸し出してくれています。
そして、この大会の定着によって、「ゆく年」を惜しむ高校駅伝と富士山駅伝、「くる年」を迎えるニューイヤー駅伝と箱根駅伝という、駅伝ファンにとって年末年始の至福の日々が、しっかりと形作られました。
ついでにビジネス的なことまで言うと、スズキ、ヤマザキ、サッポロという各大会の冠スポンサーにとっては、これ以上ない共存共栄ではないかと察せられます。今回、選手のナンバーカードには区間ごとにスズキ自動車の異なる車種名が記載され、「軽自動車の仮想駅伝」といった趣の遊び心を楽しませてもらえました。(これまでも同様のことはやっていたのですが、全区間異なる車種名を記載したのは初めてかと思います)

大会の権威という意味では10月の『選手権(杜の都駅伝)』のほうが上位なのは間違いありませんが、時期的に後から行われることや距離・区間数ともに『選手権』を上回るということもあって、むしろ注目度はこちらのほうが高くなりつつある、とさえ感じられます。伝統はあれども権威としては『全日本』や『出雲』の風下、関東学連のローカル大会に過ぎない『箱根』が、いまや日本一の駅伝イベントとして不動の地位を築いているように、です。
いずれにせよ、女子学生ランナーたちの目標としてロードシーズンにビッグレースが2つ控えているという状況は、たいへん結構なことだと思います。

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◆「王者の駅伝」でリベンジ達成
結果は、『杜の都』で女王のプライドを粉砕された立命館が、万全とは言えない陣容の中で練りに練ったオーダーを組み、各選手が持てる力を必死に振り絞った結果、みごとに雪辱を果たすレースとなりました。
『杜の都』で大森菜月をアンカーに起用したことを「受け身の作戦」と評した当方の声が聞こえたわけでもないでしょうが、今回のリッツは駅伝の鉄則である前半勝負に立ち返り、他校ならコマ不足に悩む終盤も豊富な選手層に任せて押し切る、という王者らしい攻めの流れを企図したように見えました。

それでも、1区・佐藤成葉、2区・菅野七虹という、現有戦力ではある意味“切り札”の2人がともに新女王・松山大学に区間賞をさらわれて少々重苦しいスタートではありました。ただ、ここで決定的なアドバンテージを与えることなく秒差に踏みとどまった粘りと、ベストコンディションからは程遠い状態ながら「大エース」の底力で“奪首”を果たした大森の走りで3区までを互角に渡り合ったところが、さすがです。
そして高校(立命館宇治)1年の時の『都道府県対抗駅伝』以来の区間賞で定位置を確立した池内綾乃は、苦難の連続だった学生生活を締めくくるMVP級の活躍だったと言えるでしょう。
見るからにおっとりした京美人の雰囲気を漂わせる池内は、その高1時代から、私にとって気にかかる存在の選手でした。宇治高4人衆(菅野、廣田麻衣、青木奈波)の一人として鳴り物入りでリッツに加入しながらその年の杜の都には唯一人メンバーから漏れ、今年ようやくメンバー入りを果たした苦労人の遅咲きが、とても嬉しく感じられたのです。

トップを確かなものにしたところで、5区・和田優香里、6区・園田聖子はともに、地味ながら安心して現状維持を任せられる、これも駅伝にはなくてはならないキャラクター、ここの配置が実に絶妙でした。
そして、チームメイトもその起用に驚いたというアンカー・松本彩花。大学駅伝は初見参、薫英女学院時代の記憶もほとんどないリッツの“秘密兵器”です。パッと見で目が行くのは、競輪選手のように発達した太腿の逞しさ。かつて男子で綽名が「フトモモ」と言われた堺晃一選手(駒澤大→富士通→昨年引退)をつい思い出してしまった、それほどの見事に鍛え上げられたおみ足です。「こういう(堺選手のような)フトモモは、登りが強いんですよ」という、瀬古さんの解説も同時に思い出します。
その期待に違わず、タフな坂道を飄々と駆け抜けた松本は、区間賞(細田あい=日体大)から3秒差の区間2位で、結果的にはいつもの立命館同様の「圧勝」でゴールテープに飛び込んだのでした。

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◆さて来年は?
リッツ最大のライバルとなった松山大は、5区の大エース・中原海鈴のブレーキによって自滅した感が強い一方で、オーダー表を見渡しても、「普通にやれば勝てる」という油断があったようにも感じられます。何が起こるか分からない駅伝で、まさか大黒柱が大コケするとは思ってもみなかったでしょうが、そこまで想定して準備を万端整えていたのかどうか…このあたりは「女王」と呼ばれるチームとの経験の差ではなかったでしょうか。
立命館・松山ともに、強い4年生世代が去った後の顔ぶれを見ても、来季新入生の実力のほどは未知数ながら、現有戦力的に松山がやや上回っている感は否めません。来年以降も、立命館が最も恐れるべき相手は、松山ということに変わりはなさそうです。

数年前の「立命館vs.佛教」時代の再来を思わせる今年の大学女子駅伝勢力図と見える一方で、名城大、大阪学院大、日体大、京都産業大、大東文化大と、上位各校のチーム力は明らかに「2強」の時代を許さないほどに接近してきています。
今回は、立命館では太田琴菜(3年)や関紅葉(2年)、松山では『杜の都』の殊勲者だった緒方美咲(2年)、また名城でもエースの湯澤ほのか(4年)や向井智香(1年)といった主力どころを欠いていたがゆえの実力拮抗という見方もできるでしょうが、4位以下の各校にもそれぞれ核になる実力派たちが来年以降への巻き返しを手ぐすね引いているところがあり、今年の4年生世代が卒業した後は、混沌とした状況が予想されてくるのです。

タレント揃いの4年生たちの実業団での飛躍を期待するとともに、来年もまた、大学女子駅伝が「女王・立命館」を軸として熱く盛り上がることを、大いに楽しみとしましょう。

 

宮田佳菜代が、キタ!




さて、このブログは陸上競技専門とか言いながら、どうも女子長距離に肩入れしすぎるんじゃないかとのご批判もどこ吹く風、今回も駅伝の合間を縫ってのそっち方面情報です。
ただ、当方の都合により2週間以上も経過しての旧情報であります点、平にご容赦を。

12月10日(土)に開催された『日本実業団陸上競技連合女子長距離記録会』の10000mで、宮田佳菜代選手(ユタカ技研)が、32分14秒40の好記録をマークして1着。この記録は従来のPBを28秒も上回る大ベストであると同時に、ロンドン世界選手権の参加標準記録32分15秒00をギリギリながら突破するものでした。
ロンドン標準記録については、トラック種目のうち10000mに限っては今年1月1日以降の記録が有効(他種目は10月1日以降)ということになっていますので、すでに15名ほどの選手が到達を果たしているのですが、豊川高校時代から長距離界随一のアイドルと言われながらも実業団で芽が出ない日々の続いた宮田選手、遂にその一角に名乗りを挙げたというわけです。



レースはペースメーカーも速い外国人ランナーの参加もなく、1周77~78秒、各1000mを3分14~16秒というラップタイムをきっちりと刻んで進行、序盤から上位を形成した5人の選手が最後までトップ争いを繰り広げるという、絵に描いたような平板な展開となりました。
標準記録の32分15秒で走るには、平均ペースとして1周77.4秒、1000mあたり3分13秒5のラップが目安となりますが、これを僅かに超えるペースをずっと維持したまま、ラスト1000のビルドアップで測ったように標準突破が達成されました。
前半積極的にレースを牽引した一山麻緒(ワコール)、6600mから先頭に出てペースダウンを抑えた宮田、9000mでロングスパートを仕掛けてビルドアップに貢献した谷本観月(天満屋)と、平板な中にも記録を生み出す見どころは随所に見られます。
宮田のラスト1周は約70秒。『全日本実業団女子駅伝』1区で強豪・竹中理沙(資生堂)を振り切って区間賞を獲得した一山を抑えての1着は、大きな自信につながるレースとなったのではないでしょうか。
2着の一山は惜しくも標準に0.73秒届かず。しかしおそらく10000mは初レースだったと思いますので、ルーキー・イヤーとしては申し分のない成長ぶりを見せた、と言えるでしょう。

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宮田選手は2010年から3年続けて『全国高校駅伝』のメンバーとなり、1年=4区4位、2年=2区3位、3年=2区8位と、常に女子駅伝の主役の座にあった強豪校の主軸の一人として活躍、そのルックスから、おそらくコアな陸上ファンの間では非常な人気を博した選手ではないかと思われます。(私の“タイプ”ではありませんが)
とりわけ、2012年の豊川は1走から順に、岩出玲亜(3年→ノーリツ)、宮田、鷲見梓沙(1年→ユニバーサル)、関根花観(2年→日本郵政G)、堀優花(1年→パナソニック)と錚々たる顔ぶれが揃った黄金メンバーで、男子で言えば2008年に優勝した佐久長聖の豪華オーダーを彷彿とさせます。ただ、2012年の女子は菅野七虹(→立命館大)を筆頭に1年時から鍛え上げられたメンバーを揃えた立命館宇治が制し、豊川は2位に甘んじています。 

高校を卒業した宮田は、新興実業団チームの時の栖(ときのすみか)に入社、豊川の1年先輩である安藤友香(→スズキ浜松AC)とたった2人での活動を開始しましたが、何やら問題があったのか、2人とも1年ほどで離脱し移籍先を探す苦難に見舞われます。
折しも2005年の豊川駅伝部創設以来、僅か2年目にして『全国』出場(7位)、3年目で初優勝、以後4度の日本一を果たすまでチームを育て上げた名匠・森安彦監督がユタカ技研のヘッドコーチに転任することになり、その誘いを受けたものでしょうか、同チームの一員として落ち着くと、2014年の『実業団駅伝』では1区を走りました。
ところが今度は2015年の春になって、ユタカ技研の選手たちが宮田を残して集団退部(事情はまったく知りません。何やらキナ臭い感じはしますけど…)する事態となり、丸々1年間というもの、駅伝出場はおろか、ユタカ技研は選手=宮田ただ1人での活動を細々と続けることになります。
そして今年、ようやく7人の新人部員を迎え入れて陣容の整ったチームは、『実業団駅伝』予選会で前半首位争いを繰り広げる健闘を見せ、みごとに本戦出場の切符を獲得したのです。

『予選会』で躍動したユタカ技研のルーキーたちは、いずれも高校時代まったくと言っていいほど実績のない、いわゆる無名選手ばかり。そのチームを本戦出場にまで押し上げた森監督の指導力が改めて注目されるとともに、21歳にしてキャプテンの重責を担うことになった宮田選手の気持ちの持ちようが大きく変化し、それが今回の大ベストにつながったのだろう、とは容易に想像されます。
2012年に同じチームで戦った豊川OGたちの中では、唯一紆余曲折に苛まれ記録的にも伸び悩んだ宮田選手。今回の「標準突破」をきっかけに、女子トップランナーへの階段をさらに上がってくれるようになれば、再び人気に火が着くということもあるかもしれません。陸上界全体が盛り上がるためにも、“アイドルランナー”の今後に、注目していきましょう。(あくまでも、私の“タイプ”ではないんですけどね)


 

「駅伝漬け」の日々が、始まったよ!




『実業団女子駅伝』が11月に前倒しになったおかげで、12月は『福岡国際』からしばらくメジャーなレースが途絶えることになり、陸上ロードレース・ファンとしては少々無聊の数週間となってしまいました。
待たされた分を一気に取り返す…いよいよここからは、正月にかけての駅伝ラッシュ、『全国高校駅伝』が昨日行われました! 

◆豊大先生流「高校駅伝のミカタ」
とはゆーてもですね、実は私、陸上競技に限らず高校生以下の大会というのが、従来どうも苦手なタチでして。世間で大騒ぎする「高校野球」や「高校サッカー」なんかも、ほとんど見ません。(だいたい、高校野球で繰り返される「一塁へのヘッドスライディング」というインチキ臭いスタンドプレーが大っ嫌いだったりします)

もともと自身が競技者ではなく陸上競技ウォッチャーとして出発しているものですから、世界やシニアのトップ・アスリートに目が向きがちだったこと、中高時代に競技者のハシクレとなってからも甚だ才能も努力もないスチャラカ・ランナーだったために、同世代のトップの状況などまったく無関心だったことなどが、理由として考えられます。
それと、高校生スポーツ・シーンというのは僅かの間に登場人物が目まぐるしく変わっていってしまうので、私のようなタチとしては、どうも付いていけないところがある。
さらに言えば、野球にしろ陸上にしろ、どこを見渡してもとことん日焼けしたイガグリ頭ばっかりで、誰が誰やら判別するのに時間がかかる…ちょうど、世界のマラソン・シーンを席巻するケニア人ランナーがなかなか区別できないのと、同じです(笑)
そして、いくら私が「好きです、女子!」の女性アスリート追っかけジジイだとしても、幸か不幸か未成年の女の子にはとんと興味がないアンチ・ロリコンおじさんなもんで、シニアのレースほどには熱を入れてレースを見ることができない。

そんなこんなで、『高校駅伝』や『インターハイ』を熱心に見るようになったのも、"陸上・愛”がよりいっそう募ってきた比較的近年のことなんです。今にして思えば、惜しいことをしたな、と思いますがね。
何年か前のビデオを見ては、
「あ、あの選手ここに出てたのか…ああ、あの子も〇〇高校のユニで走ってる」
などと「昔を発見」するのが、私の高校駅伝の"ミカタ”であったようなところがあります。



◆意外な実況アナ

そうして迎えた12月25日・Xmasの日曜日。
夜勤明けの眠い目を指で押し開けて、朝の女子レースに見入りました。
いきなり飛び込んできたのが、豊原謙二郎アナウンサーの声です。
「ん?この人、陸上の中継なんぞ担当したことあったかな?」
豊原アナといえば、張りのある中低音を活かした野球や柔道の実況、というイメージが強く、なんといってもあのラグビー・ワールドカップで日本が南アフリカにジャイアントキリングを果たした歴史的一戦を実況した人です。竹林宏アナの後を継ぐNHKのエースとして、陸上実況に抜擢されたものでしょうか?
(NHKでは、おおむねその時点の「エース」にオリンピックなどの陸上競技実況を担当させます。ただ、陸上の実況は本当に難しく、かつて「エース」と呼ばれた刈谷富士雄アナや工藤三郎アナあたりでも、あまり上手にはこなせていませんでした…そんな「アナウンサー列伝」についても、いつかこのブログで紹介してみたいと思いますので、お楽しみに、と余談)

◆女子はスター軍団・薫英!
今年はリオ五輪に舞い上がって『インターハイ』を見逃し(録画し忘れ)てしまったため、例年にもまして誰が誰やら分かりません。
知ってる名前は、2年前に大阪薫英女学院の初優勝メンバーだった嵯峨山佳菜未とそのタスキを承ける役目を姉から引き継いだ高松智美ムセンビ、昨年初優勝の世羅のエース・向井優香(これも、つい最近まで名城大の向井智香と区別がついてませんでした…汗)、常盤の樺沢和佳奈、豊川の猿見田悠香と、3年かけてやっと覚えた面々や前記事で5000mで好記録を出したことをお伝えした小笠原朱里(山梨学院高)と森林未来(諫早高)くらい。
TVではIHの1500mで表彰台を独占した西脇工業とメンバー充実の薫英を優勝候補に挙げる一方、連覇に挑む世羅や上位常連の豊川・常盤・立命館宇治といったあたりは、あまり前評判が高くないようです。

目まぐるしい状況変化に付いていけないおじさんウォッチャーは、
「え、女子駅伝といったら豊川に興譲館、立命館じゃないの?須磨学園は?…出てないの?」
と、右往左往しつつ、1時間あまりのレースはあっというまに推移して、大阪薫英が2年ぶり2回目の優勝。
「高校駅伝は後から振り返るもの」という私の"ミカタ”からしますと、ここ数年、大森菜月(立命館大)を筆頭に松田瑞生(ダイハツ)、高松望ムセンビ(NIKE)とスター選手を輩出し続ける薫英の存在感は頼もしい限りです。
ひと世代前の豊川高校や、さらに前の興譲館などを彷彿とさせますよね。
選手の入れ替わりだけでなく、森安彦監督(豊川→ユタカ技研)や長谷川重夫監督(須磨学園→豊田自動織機)など、チームを大成させた名指導者の異動に伴う変化なども興味を惹かれる点ですが、今後何年か経った後に、そうしたことを振り返る楽しみを与えてくれる、それが高校駅伝だと割り切ることにいたしましょう。

◆男子は…??
え、男子についてはどうだったか、って?
唯一と言ってもいいくらいに注目していた遠藤日向(学法石川)がインフルで欠場、と聞いてイッキにテンションが下がってしまいました。
1区・名取燎太の目の覚めるようなスパート、留学生ジョエル・ムアウラに追いつかれながら振り切った中谷雄飛と、序盤の佐久長聖の展開は盤石に見えたのですが、終わってみれば倉敷の初優勝。駅伝は、途中まで見ていても結果の予想は無理。
それにしても、ほぼ全員イガグリのうえに優勝争いの2チームはほとんど同じ色味のユニフォーム、ますますもって誰が誰やらわからず、むしろ留学生のケニア人ランナーだけ区別がつくという五里霧中の2時間あまりでした。

この後は30日の『全日本大学選抜女子駅伝(富士山女子駅伝)』、正月の『全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)』『東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)』と、文字どおり駅伝漬けの年末年始が待ち構えています。
皆さん、体調を整えて、長丁場のTV観戦じたくを怠りなきよう!


 

木村友香が5000mランク1位を奪取!



1週間遅れの記事になってしまいましたが、12月4日(日)に横浜市青葉区の日本体育大学健志台陸上競技場で行われた『第255回日本体育大学長距離競技会』女子5000mで、好記録が続出しました。
『全日本実業団女子駅伝』から僅か1週間後のレースながら、この10月1日から有効期間となったロンドン世界選手権の参加標準記録に挑む貴重なチャンスということもあって、実業団・大学・高校の多くのトップランナーが集まる記録会となりました。

<女子5000m第6組成績>

255日体大記録会1-20
255日体大記録会21-41

「日本体育大学長距離競技会」HPより(http://www.nittai-ld.com/result/pc/C201616/main.html)

高校留学生ランナーのエカラレに次いで2着に入った木村友香(ユニバーサルエンターテインメント)のタイムは、7月に横江里沙が『ホクレンディスタンスチャレンジ網走大会』で記録した15分18秒11を僅か0.03秒上回り、堂々2016年の日本ランキング・トップに躍り出ました。
木村は日本選手権を初制覇した1500mでは記録ランキング3位に甘んじていましたが、9月の『デカネーション』で2000mに日本新記録、先週の『実業団駅伝』では初の2区区間賞と続いた充実の1年を締めくくる、見事なレースをしてみせました。これまでの「中距離ランナー」としての活躍から、さらに一皮むけた長距離界のニュー・リーダーへと、着実な成長を続けています。
なお、木村と3着・森田香織(パナソニック)は、ロンドンの標準記録(15分22秒00)を突破。横江や今季2位だった尾西美咲(積水化学)のタイムは有効期間以前に出されたものなので、この2人が来年の代表レースの先陣を切ったことになります。

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4位以降も好記録が続出した中で、特筆すべきは7位・矢田、9位・小笠原、10位・森林と、3人の高校生が出して見せた快記録です。
U-20世界選手権にも出場した矢田の15分25秒87は、藤永佳子(諫早高)の高校記録15分22秒68に次ぐ高校歴代2位。絹川愛、新谷仁美、小林祐梨子、上原美幸といった後の日本代表の高校時代の記録を抜き去ってしまいました。小笠原と森林のタイムもそれぞれ、高校歴代5位・6位にランクされるものです。
エカラレ、矢田、森林は2年生、小笠原に至ってはまだ1年生です。矢田のルーテル学院は残念ながら今年の都大路で見ることはできませんが、高校女子長距離界もしばらくの間、逸材たちの動向がいっそう楽しみになりました。

3人の高校生に挟まれる格好となった立命館大1年・佐藤成葉のタイムも、大森菜月の15分28秒32を上回る学内現役最高記録(もしかして立命記録?)となります。10月の『全日本大学女子駅伝』ではほろ苦い駅伝デビュー戦となった佐藤が、年末の『全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)』で巻き返しを期す立命大の"秘密兵器”として、俄然注目を集めそうです。

年内にはあと1回、『第17回日本体育大学女子長距離競技会』が24日(土)に予定され、5000mと10000mのレースがプログラムされています。時期的に見て、ここにも多くのトップ選手たちが「標準突破」を目指して挑んでくるものと思われます。
クリスマスイヴの記録ラッシュを、楽しみにしましょう!

 

『第70回』…伝統のマラソン大会への嘆き



今季の男子マラソン・レース先陣を切って、『第70回福岡国際マラソン』が行われました。

◆伝統の大会『福岡』のいまむかし
70回目の記念大会という、日本では『びわ湖毎日』に次ぐ歴史あるマラソン。ただ、「福岡」に定着したのは第13回大会以降で、そもそもは"日本マラソン界の父”金栗四三氏の功績を称える『金栗賞朝日マラソン』という名称のもと、1947年に金栗氏の故郷・熊本で行われたのが発祥です。
『朝日マラソン』は毎回開催地を全国各地に移動しながら行われ、第9回に至って『朝日国際マラソン』と改称。2度目の福岡開催となった第13回以降、1963年に翌年の東京オリンピックのリハーサル大会としてオリンピック・コース(国立霞ヶ丘競技場⇔調布市飛田給)で行われた以外は、福岡市内を舞台に行われてきました。

1966年には、IAAFに対して「マラソンに世界選手権を」というメッセージを発信するとともに自らそれまでの大会を発展的に解消し、『第1回国際マラソン選手権』と世界で唯一の"Championship”を謳う大会として生まれ変わり、この名称は現在も受け継がれています。
この大会側の意気込みは早くも第2回大会でみごとに結実、デレク・クレイトン(AUS)による史上初のサブテン(2:09'36"4)という大偉業の達成により、『福岡』は事実上の「マラソン世界選手権」として、国内外から多くのトップランナーが集結する大会として認知されるようになっていったのです。

フランク・ショーター(USA)が大会史上唯一の4連覇を達成した1974年、大会名を『福岡国際マラソン選手権』と改めるとともに、1965年以前の歴史を"復活”させて通算「第28回大会」とし、現在に至ることになります。
ちなみに、当時のコースは現在とは大きく異なり、博多湾を形成する砂州「海の中道」の片側一車線道路を進んで折り返すという海岸沿いの道程。現在よりも風の影響を受けやすかったと言われますが、福岡の観光的魅力が凝縮された、味わい深い趣の風景が見られました。

クレイトンやショーター以降も、歴代優勝者のリストには、ビル・ロジャース(瀬古利彦最大のライバルの一人)、ロバート・ドキャステラ(第35回で世界最高記録)、ジュマ・イカンガー(タンザニアの疾風)、ベライン・デンシモ(史上初の2時間6分台)、イ・ボンジュ(アトランタ銀メダルの韓国の英雄)、ジョサイア・チュグワネ(アトランタ金メダル)、ゲザハン・アベラ(シドニー金メダル)、ハイレ・ゲブルセラシエ(ご存知エチオピアの"皇帝”)、サム・ワンジル(当時トヨタ自動車九州所属の北京金メダリスト)、ツェガエ・ケベデ(北京銅メダル)、ジャウアド・ガリブ(世界選手権2連覇)、そして昨年まで2連覇のパトリック・マカウ(元世界記録保持者)と、錚々たる世界のトップスターの名前が連なります。もちろん、日本の宇佐美彰朗、瀬古利彦、中山竹通、新宅雅也、尾方剛といった、世界に互したエースたちの名前も。優勝こそなかったものの、オリンピック2連覇のワルデマール・チェルピンスキーや現在名指導者として名を馳せるアルベルト・サラザールなどのチャレンジもありました。

80年代以降、ワールドカップ・マラソンやIAAF世界選手権の創設とともに『福岡』のチャンピオンシップとしての権威が脅かされ、また世界のメジャー大会が高額賞金大会へと変わっていく趨勢に、厳しい規制の残っていた日本の大会が乗り遅れたこともあって、少しずつその存在価値は色あせたものになっていきます。
それでも、1987年のソウル・オリンピック選考会(中山の「雨中の激走」)や2003年のアテネ選考会(2時間7分台で日本勢が上位独占)など、スリリングな名勝負を現出する国内最高峰の大会という位置づけは保ってきたのですが、ここ数年は何とも寂しい顔ぶれのレースが続いています。

大きな理由の一つは、年頭の風物詩として定着した『全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)』や『箱根駅伝』の1か月足らず前という開催時期から、「福岡を敬遠して東京かびわ湖で」と考える国内トップランナーが多くなったことでしょう。かつては瀬古や宗兄弟のように、福岡を激走して箱根や実業団(当時は年末開催)でも大活躍という逞しさがありましたが、「正月駅伝」があまりにも国民的イベントに進化してしまった現在では、そうもいかないのです。
国際的には、ワールドメジャー大会の発展ぶりに完全に取り残された、という面は言うまでもありません。
世界選手権やオリンピックの代表選考会とはいっても、「福岡一発」で代表が決まった昔ならともかく、現状ではどうしても後に開催される大会に照準を定めた方が目標が明確になるため、不利な立場は否めません。
今や『福岡』は、そうした回避傾向の隙間を狙って出てくる少数の有力選手の中から意外なブレイクぶりを楽しみとするしかない、そうした寂しい位置づけの大会となってしまっています。
以前の投稿で存続意義に疑問符を投げかけた『さいたま国際マラソン』と意味合いは異なるとはいえ、結果的には同じような状況に立たされていると言ってもよいでしょう。

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◆逆境の川内、奮戦!…されど…
そんな『福岡』が『第1回金栗賞朝日マラソン』から数えて70回目の記念大会を迎え、唯一の、と言ってもいいスター選手としてエントリーしたのが川内優輝(埼玉県庁)。
その彼が、故障の影響で出る、出ないのひと騒ぎを起こしたのが2週間前の上尾ハーフマラソンでのこと。主催者側からすれば3連覇を狙うパトリック・マカウ(KEN)と並ぶ希少な目玉ランナーとあって、その動向には本人以上にやきもきさせられたかもしれません。テレビ朝日では事前PRの意味も込めて制作していた先月27日深夜放送の『Get Sports』内での特集を予定通り"強行”放送して本人ともども「背水の陣」で臨んだ大会本番、まずは想定以上の好結果に、胸を撫でおろした心境だったことでしょう。

めでたしめでたしの結果ではありましたが、2時間9分11秒というタイムは「あの状態にしては、よくやった」というレベルの、言ってしまえば平凡な記録であることに変わりはありません。もっとも、昨シーズンのリオ五輪選考ならば十分に俎上に上ってくるタイムでもあり、つまりは今の日本男子マラソンの基準タイム、というあたりの評価になるでしょう。
ゴールが近付く頃になると、しきりに実況席からは「この気象条件にしては…」と言い訳めいた但し書きコメントが連発されていましたが、この日は気温が幾分高め(12~3度)だったとはいえ、日差しもなく時折小雨、そよ風と、そう悪いコンディションでもありませんでした。

系列のCSチャンネルでは藤田敦史が当時の日本記録(2:06'51")で優勝した2000年大会や、国近友昭ら上位3人が07分台の激闘を繰り広げた2003年大会、佐藤敦之がやはり07分台で北京代表入りを確実にした2007年大会などのレースをフルタイム再放送して大会気分を盛り上げてくれていましたが、確かそれ以降、『福岡』で日本人選手が2時間06~07分台で走ったことはないのではなかったでしょうか。(福岡以外でも、『東京』で藤原新と今井正人が記録したくらいですよね)
川内選手は、現在の男子マラソン界では紛れもなくスター選手の一人に違いありませんが、あまりにも他の実業団選手たちが不甲斐ないために押し出されてきた、異端のランナーであることも確かです。彼に対しては非常に残酷な言い方になりますが、残る2つの代表選考レースで、この2時間9分11秒が軽々とクリアされてしまうようなレースが見られることを、切に希望して止みません。

 
ギャラリー
  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#10~1996/第80回日本選手権
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  • 連載「懐かしVHS時代の陸上競技」#9~1991/第10回大阪国際女子マラソン
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