豊大先生流・陸上競技のミカタ

陸上競技を見続けて半世紀。「かけっこ」をこよなく愛するオヤジの長文日記です。 (2016年6月9日開設)

2016年08月

<連載>100m競走を語ろう ⑭~9秒台変遷史



◆連載再開!?
リオ五輪のことをいろいろ書かせていただいている間、<連載>がストップしてしまいました。本当のところはリオ五輪の100mレースをウォッチするに際して、少しでも多くの方に予備知識を吹き込んでおきたいなというつもりで書き始めた<連載>なので、いったんその目的が(一部間に合わずに)終わってしまった、という残念な気持ちもあります。
ですが、100m競走について語りたいことは、まだまだ尽きません。
今後は、何かテーマがまとまるごとに、不定期に継続していこうかと思っています。

リオ五輪ではウサイン・ボルトのトラック種目史上初の3連覇達成という大きなトピックがありました。
この大会は、3連覇に挑む選手が非常に多くいて、トラックだけでもボルトの2種目の他に、女子100mのシェリー-アン・フレイザー-プライス(3位)、同10000mのティルネッシュ・ディババ(3位)、またフィールドでは男女砲丸投のトマス・マイエフスキー(6位)とヴァレリー・アダムズ(2位)、女子やり投のバルボラ・シュポタコヴァ(3位)と、5人も挑んでいながら誰も達成できなかったことで、その困難さがよく分かるというものです。(むしろ、この6人全員が無事3連覇の舞台に駒を進め、全員入賞、1人を除く5人がメダルを獲得していることのほうが、驚くべきことかもしれません)

もう一つの話題は、100mという種目からは外れますが、400mリレーでの日本チームの大偉業でしたね。
本道の100mでも、予選を余裕で突破した山縣・ケンブリッジ両選手の走りは、陸上チームの明るい話題の一つでした。
その中であまり触れられませんでしたが、山縣選手が2つのレースで記録した0.111秒、0.109秒という驚異的なリアクションタイムは、知られざるところで大問題を投げかけたのではないか、という気がしています。

このことについては私自身、この<連載>⑧の「余談」で問題提起しているのですが、国際陸連が科学的知見に基づき「人間に可能なRTはせいぜい0.12秒程度」と判断し、若干の余裕をとって「0.1秒」という不正スタートの基準を決めているところへ、常人離れした反応時間を持つ人間もいるのだということを山縣が示してしまったことになります。私の見るところ、ドーピングによって研ぎ澄まされたベン・ジョンソン以来、「0.1秒の壁を破る」可能性を持ったスプリンターが現実に現れてしまったのです。
このことには、山縣自身いくらか懸念を持ったのかもしれず、万が一にもフライングをとられてはならないリレーの2レースではともに0.144秒という「控えめ」なスタートに徹しています。実は山縣は、6月の日本選手権でも予選から順に0.140秒、0.139秒、0.139秒と実に安定した好スタートを決めており、これだけをとっても「スタートの名手」と言って間違いない技量を確立している選手で、加えて極度の集中力を発揮した時に0.11秒前後のスタートを切る能力を示したことになります。
この事実が、IAAFのルールを司る部門にどんな衝撃を与え、どんな議論が戦わされていくのか、とても興味があります。

とはいえ、日本スプリント界の悲願である「10秒の壁突破」は、またもや見果てぬ夢に終わってしまいました。
いつ出てもおかしくないと言われて数年、それはたとえばこの秋の国体あたりかもしれず、引き続きお楽しみは続きますが、早く複数の選手が雪崩を打って9秒台に突入してもらいたいものです。
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◆「初の9秒台」いろいろ
 *手動公式計時初 1964/10/15  9秒9 ボブ・ヘイズ(USA) ※W+5.28mで非公認

 *手動公認初 1968/6/20  9秒9 ジム・ハインズ(USA)ほか
 ※電動計時(参考記録)では10秒03。この大会では他に2人の選手が9秒9を記録(誰が一番先だったのかは、手元の資料では不明)し後年「手動計時による世界記録」として公認されたが、3選手がともに全天候型トラック用に規定よりもピンの多いスパイクシューズを使用していたことが問題とされた。

 *電子計時初 1968/10/14 9秒95(A) ジム・ハインズ(USA)
 ※高地(メキシコシティ)記録


 *平地で初 1983/5/24 9秒97 カール・ルイス(USA)

 *ヨーロッパ初 1988/9/24 9秒97 リンフォード・クリスティ(GBR)

 *1980年代までに突破したのはリロイ・バレルまでの8名(ベン・ジョンソンは除外)

 *初の9秒8台 1991/8/25 9秒86 カール・ルイス(USA) ※東京世界選手権

 *アフリカ初   1991/8/25  9秒95 フランキー・フレデリクス(NAM)


 *幻の日本人初  1998/12/13 10秒00 伊東浩司(富士通) ※速報で「9.99」と表示

 *初の9秒7台
1999/6/16 9秒79 モーリス・グリーン(USA)

 *20世紀中の突破者はフランシス・オビクウェルまでの33名

 *非黒人選手初 2003/5/5 9秒93 パトリック・ジョンソン(AUS)
 ※白人/アボリジニの混血。同時にオセアニア初。


 *アジア初 2007/7/26 9秒99 サミュエル・フランシス(QAT)

 *初の9秒6台 2008/8/16 9秒69 ウサイン・ボルト(JAM)

 *初の9秒5台 2009/8/16 9秒58 ウサイン・ボルト(JAM)

 *白人選手初 2010/7/9 9秒98 クリストフ・ルメートル(FRA)

 *黄色人種初 2015/5/30 9秒99 スー・ビンチャン(CHN)

 *100人目の9秒台 2015/6/7 9秒97 アダム・ジェミリ(GBR)

 *初の「トリプル・サブ」 2016/3/12 9秒98(A)ウェイド・ヴァンニーケルク(RSA)
 ※100m9秒台・200m19秒台・400m43秒台

 *初の「ダブル・サブ」 2016/4/23 9秒99 オマー・マクレオド(JAM)
 ※100m9秒台・110mH12秒台

 *40代初 2016/5/29 9秒93 キム・コリンズ(SKN) ※40歳+54日

 *現在突破者=総計116名

 *日本人初 201X/?/? 9秒XX  ???

 

DLファイナルに野澤啓佑参戦!~第14戦・チューリッヒ大会



世界は慌ただしい。休む暇もなく、明後日1日深夜(2日未明)には、ダイヤモンドリーグ第14戦・チューリッヒ大会が行われます。ダイヤモンドレース32種目のうち、半数の16種目で年間チャンピオンが決まる最終戦が行われます。

プログラム(時間は日本時間)と主なエントリー選手は次のとおり。選手の順番はDLポイント順で、太字の選手は年間王者が確定済です。(最終戦は1位20点、2位12点、3位8点、以下6点・4点・2点。年間王者となるには最終戦出場が条件となります)

 1:45 男子棒高跳 R.ラヴィレニ、ケンドリクス、バーバー、ティアゴ・ブラズ・ダ-シルバ
 2:05 女子走幅跳 I.スパノヴィッチ、ウゲン、リース、バートレッタ、モケナラ、クリシナ
 2:35 女子円盤投 S.ペルコヴィッチ、カバジェロ、ミュラー、ロベールミション
 2:45 女子走高跳 R.ベイティア、スペンサー、トロスト、リキンコ、デミレワ、ユンクフライシュ
― ここから生中継開始 ―
 3:05 女子400mH ※ポイント対象外 ペテルセン、ドイル、リトル
 3:05 男子砲丸投 T.ウォルシュ、コヴァックス、クラウザー、マイエフスキー、シュトール
 3:13 男子5000m M.エドリス、ケジェルチャ、ゲブリウェト、ロンゴシワ、タヌイ、ラガト
 3:34 女子200m D.スキッパーズ、フェイシー、アシャー-スミス、トンプソン、フェリックス
 3:41 女子1500m F.キピエゴン、ミュアー、バータ、ハッサン、セヤウム、シンプソン
 3:50 男子三段跳 C.テイラー、コペイヨ、カーター、ベナード、エヴォラ
 3:53 男子400m L.メリット、マクワラ、タプリン、ガーディナー
 4:00 男子やり投 T.レーラー、ヴァドレイヒ、ウォルコット、ヴェーバー、ピトカマキ
 4:02 女子800m C.セメンヤ、ニヨンサバ、サム、シャープ、ビショップ
 4:12 女子100mH K.ハリソン、ハーパー-ネルソン、ストワーズ、オフィリ、ロールダー
 4:20 男子100m B.Y.メイテ、パウエル、ロジャーズ、マルティナ、コリンズ、マクレオド
 4:28 男子400mH K.クレメント、クルソン、ベット、トゥムティ、マギ、野澤啓佑
 4:36 女子3000mSC R.ジェベト、キエン、アセファ、チェプコエチ、コバーン

放送開始前から始まるフィールド各種目では、すでに年間優勝が確定している種目が並びますが、いずれもトップランカー勢ぞろいという感じで目移りがします。特に注目は、男子棒高跳に、オリンピック・チャンピオンのティアゴ・ブラズ・ダ-シルバが最終戦にして初参戦すること。王者ラヴィレニにとっては千載一遇のリヴェンジのチャンスが、向こうからやって来てくれました。
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トラック種目では、女子200m、100mHを除いて年間優勝争いは大混戦。
最初の男子5000mは、モー・ファラーが1試合にしか出場しなかったことでエチオピアの若手勢にチャンスが生まれました。エドリスとゲブリウェトが22歳、ケジェルチャが19歳…顔を見ただけじゃ分かんないもんです。

女子200mは、すでに年間優勝を決めているスキッパーズとトンプソンの女王対決が実現しそうです。ローザンヌとパリでの走りを見た限りでは、トンプソンが引き続き波に乗っている感じがします。さらにはアリソン・フェリックスやヴェロニカ・キャンベル-ブラウンなどの参戦も、白熱のレースに華を添えてくれます。

女子1500mはフェイス・キピエゴンの独走気配でしたが、パリで鮮やかな逃走劇を決めたローラ・ミュアーが「待った!」をかけました。今度はキピエゴンも楽には逃がさないでしょうし、展開ひとつでどう転ぶか分かりません。

男子三段跳は、意外にもまだクリスチャン・テイラーの優勝が確定していませんが、4位以内なら自力確定ということで問題ないでしょう。今年のテイラーは同僚のウィル・クレイにはたびたび冷や汗をかかされたものの、18mを跳ばないと勝てないというほどのライヴァルには恵まれませんでした。

男子400mはウェイド・ヴァンニーケルクとキラニ・ジェームズが回避したためラショーン・メリットの独擅場になりそうです。


男子やり投は、イハブ・アブデルラーマン(ドーピング)とジュリアス・イェゴ(オリンピックで負傷)が脱落してしまいましたが、今季最も好況を呈した種目の一つでした。タレントが多彩で、一発の面白さもあり、またそこに日本の新井涼平が加わるといっそう興味深い試合が繰り広げられたものです。今回、その新井の参戦がないのは残念ですが、テロ・ピトカマキが久々に登場します。


女子800mは、キャスター・セメンヤの独り舞台でしょうね。今季は出場したすべてのレースで、まったく負ける姿を想像させない強さを見せ続けました。2番手にニヨンサバ、というのも定着してきたパターンです。

女子のMVP候補筆頭のケンドラ・ハリソンが、最終戦をどんな記録で締めくくるか?圧倒的な選手層を見せつけたアメリカ・チームから、オリンピックのメダル・トリオの参加がないのは少しガッカリです。その分ハリソンのぶっちぎりぶりを楽しみたいと思います。

男子100mはボルトはじめ、年間チャンピオンが有望だったガトリン、あるいはデグラスといったメダリストの名前がなく、ファイナリストもシンビネとメイテの2人のみ。元世界記録保持者のパウエルには失礼ながら、DL最終戦にしてはB級メンバーといった中で、面白いのは110mHのチャンピオン、マクレオドの参戦。9秒台の実力がどんなものか、楽しみはここですね。

そして男子400mH、野澤啓佑の勇気あるチャレンジに大喝采!…これです、これが日本の選手にどんどんやって欲しいことなんですよ。オリンピック前までは世界ランキング上位だった野澤も、気が付けばこのメンバーではシーズン7位、PBでは最下位。ですが、こうした経験を積み上げることで、世界と戦える実力を培ってほしいと思います。(ほとんどの選手が契約メーカーのユニフォームを着て出てくるDLには、所属のミズノとしても「もっとアピールせにゃならん!」と思ってるんでしょうね。何せ半分以上がブラック・ストライプのウェアに黄色/ピンクのシューズ履いて出てきますから)

最終戦・前半の締めくくりは、女子3000mSC。よもや中5日で世界記録更新を狙ってくるとは思えませんが、ルース・ジェベト、ハイヴィン・キエン、エマ・コバーンらの走りを堪能しましょう。

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ジェベトついに世界新~DL第13戦・パリ大会



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ひょっとしたらオリンピックで出るかな、と期待していた女子3000mSCの世界新記録が、1試合遅れて誕生しました。しかもそれは、従来の記録を6秒も縮める途轍もない大記録。出したのはもちろん、19歳のルース・ジェベト(BRN)です。
最初からジェベトとハイヴィン・キエン・ジェプケモイ(KEN)のマッチレースの様相だったこのレース、しばしカメラがフィールドの展開を映して戻ってきたとき、放送席では
「おや、予定よりも早くペースメーカーが離脱している…」
と困惑気味のコメントでしたがそれもそのはず、2人のペースメーカーはこの時ジェベトとキエンのはるか後方に置き去りにされていたのです。
で、これまでと同様、2000m付近からキエンをグイグイ離し始めたジェベトが、ユージーンの時のようにラストでタレることもなく駆け抜け、日本選手なら障害がなくても敵わないようなタイムで走り切ってしまいました。
これには9分1秒台の好タイムで2位に入ったキエンも脱帽するしかなく、ジェベトを笑顔で祝福。今季のこの種目で完全決着を見た、ゴール後のシーンとなりました。

女子1500mも好タイム。オリンピックではG.ディババの引っ掻き回し戦術に対応できず7位に沈んだ上に、日本の放送席からは「ムイー」という変な発音で名前を呼ばれ続けたローラ・ミュアー(GBR)がほぼ中間地点からのロングスパートで、今季オリンピックを含め全勝のフェイス・キピエゴン(KEN)以下に圧勝。3分55秒22はWLでもちろんPB、どころか英国新記録。見事なレースでした。オリンピック銅メダルのジェニー・シンプソン(USA)は6着。
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女子200mは、四角い顔のダフネ・スキッパーズ(NED)が22秒13で楽勝したものの、後半の走りはどこかぎこちなさが感じられました。この調子では、エレイン・トンプソン(JAM)と顔を合わせたら間違いなく返り討ちに遭いそうです。
2着候補だったマリー-ジョゼ・タ-ルー(CIV)は第4コーナーで故障発生して立ち上がれず。可哀そうに、一昨日100mを5分間隔で2本走らされたツケがとうとう回ってきてしまいました。

そして100mHのケンドラ・ハリソン(USA)は、今宵も元気に独走V。ただスロー映像ではいつになくハードルに掠っている回数が多く、12秒44はやや不満の残る結果だったかもしれません。
これで今季DLは6戦中5戦全勝で、最終戦に出れば年間女王は決まり。となると、来年のロンドン世界選手権の出場権も獲得しますので、今季のような全米予選落ちの心配はなくなります。
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また今回も、女子の話題ばかり先行してすみません。女子と書いて好きと読むもんで。

男子棒高跳は、ようやくラヴィレニが地元の大歓声と、競争相手サム・ケンドリクスの熱烈応援をバックに5m93で連敗脱出です。それにしても、怪しい関係なんじゃないかと疑うくらいに仲睦まじいラヴィレニとケンドリクス。全米の時のインタヴューでも語っていますけど、ラヴィレニはケンドリクスにとって最高のヒーローなんですね。
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 まだ自身も競技中なのに対戦相手を至近で応援するとは、どんだけ仲がいいんでしょう?
 (それともフランスのファンへの過剰サービス?)


男子でもう一つ目を瞠ったのが、オープニング・レースの400mH。オリンピックもローザンヌも、シーズン前半のダイヤモンドレースでもまるでいいところのなかった世界チャンピオン、ニコラス・ベットが突然復活です。
「ここもイタダキ!」とばかりに直線で先頭に立ちかけたカーロン・クレメント(USA)に競りかけ、下手くそなハードリングで遅れかけながらも平地で踏ん張って48秒01のSBは、「起きるのがちょっと遅かったね」といった復活劇でした。

ところで、中継の日テレG+で実況を担当しているのはいずれも局アナではなくてフリーのスポーツアナさんたちなんですが、この日の担当の赤平大というアナさん。「陸上をよく見てるな」という感じの自信満々の語り口は結構なんですが、どうもここんとこ、画面情報を見逃したり視聴者が(つまり私が、ですが)とっくに気が付いていることを最後まで気付かずに終わる、ということが多いです。棒高跳の進行なども、IAAFのページにリアルタイム速報が出ているはずなのに、状況が説明できないというのは少し困ります。(手近にパソコン置いてないことはないと思いますが)
落ち着いた低音の語りなど、TBSの無理やりな絶叫中継よりもずっといいと思いますので、もう少しうまくやっていただけると嬉しいんですけどね。


今夜はDLパリ大会



オリンピック以後の再開幕戦・ローザンヌ大会から中2日、ダイヤモンドリーグ第13戦がパリで開催されます。
この大会を終えると、いよいよダイヤモンドレースは各種目最終第7戦が次のチューリッヒ、ブリュッセルの2大会で行われることになり、年間チャンピオンが決まっていきます。
では、パリ大会のタイムテーブルと主なエントリー選手をご紹介しましょう。

(時間は日本時間)
 1:50 男子砲丸投 クラウザー、コヴァックス、ウォルシュ
 2:20 男子三段跳 コンパオレ、ベナード
 2:25 女子円盤投 ペルコヴィッチ、カバジェロ、ミュラー
 2:55 男子棒高跳 ラヴィレニ、ケンドリクス、バーバー
 — ここから生中継開始 ―
 3:04 男子400mH クレメント、ティンズリー、コペリョ、ベット、クルソン、マギ
 3:15 女子走高跳 ベイティア、デミレワ、パルシュテ
 3:17 女子400m マクファーソン、ヘイスティングス
 3:25 男子800m ロティッチ、A.キプケテル、ボス、レヴァンドウスキー、ベリアン
 3:40 女子3000mSC ジェベト、キエン、アセファ、コバーン
 3:45 女子走幅跳 バートレッタ、スパノヴィッチ、ウゲン、クリシナ、オカグバレ
 3:50 男子やり投 レーラー、ウォルコット、ヴェセリー、ヴァドレイヒ、フェテル
 3:55 女子200m スキッパーズ、タ・ルー、プランディーニ
 4:05 女子1500m キピエゴン、ミュアー、ハッサン、セヤウム、シンプソン
 4;20 女子100mH K.ハリソン、ハーパー・ネルソン、ストワーズ、オフィリ、ロールダー
 4:40 男子3000m ロンゴシワ、タヌイ、ゲブリウェト、エドリス、メキシ・ベナバド
 4:51 男子100m ヴィコー、ルメートル、ロジャーズ、コリンズ、シンビネ

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https://www.iaaf.org/competitions/olympic-games/the-xxxi-olympic-games-5771/news/report/women/discus-throw/final より

すでにDLチャンピオンが確定的(最終戦出場が必要条件)になっている種目もあり、オリンピック直後ということもあって、トップ選手の回避が目立ちますが、女子円盤投のサンドラ・ペルコヴィッチ(CRO)などは7戦全勝のパーフェクトを狙って出てきますね。絶対女王としては、オリンピック辛勝の憂さを晴らしたいところでしょう。

地元のパリでで負けられないのが棒高跳のルノー・ラヴィレニ。こちらも五輪・ローザンヌ大会と悔しい2位が続いていますので、王者の意地にかけてもというところ。対抗はローザンヌでPBタイを跳んだ好調ケンドリクス。

地元と言えば、100mのジミー・ヴィコーとクリストフ・ルメートル。メンバー的にもワンツーのチャンスです。

女子スプリントは200m。オリンピックでスパイクを叩きつけて悔しがったダフネ・スキッパーズ(NDL)が登場ですが、“仇敵”のトンプソンがローザンヌの100mに出たのにこちらは回避とは、少々肩透かし?
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記録の期待がかかるのは、女子3000mSC。ジェベト、キエンの2強がそろい踏みして、9分の壁を巡る攻防が期待されます。オリンピックでは前半1000mまでのスローペースが嘘のように9分を破ってみせたジェベトが、また突っ走りそうですが、連戦の疲労があるとキエンやコバーンの追い込みにしてやられるかも?

そして何といっても、女子100mH。ケンドラ・ハリソンはいつまた12秒2台で走っても不思議ではないほど好調子をキープ、ここで総合優勝を確定させます。

放送はCS日テレG+で26時45分(明朝2時45分)から。楽しみましょう!

 

ハリソンvs.ムハマドが来季実現?~DLローザンヌ大会



IAAFダイヤモンドリーグ第12戦・ローザンヌ大会が、昨日(日本時間今日未明)、オリンピックによる中断を経て約1カ月ぶりの大会として開催されました。
ここの競技場は変なトラックで、普通はホームストレッチの直線終点に設けられているフィニッシュラインが、第1コーナーが始まって数メートル先に、曲走路とは別れる形で設けられているのです。つまり、周回の中の直線部分が短い、その分曲走路が長く半径が大きいトラック、ということになります。
選手にとっては走りやすいんでしょうか、にくいんでしょうか??

さて、今回一番のお楽しみは、DLポイント対象外レースながら、全米予選4着以下オールスターズが勢ぞろいした女子100mH。もちろんお目当ては、オリンピックに出られなかった世界記録保持者ケンドラ・ハリソンです。
今季ここまでDLでは4戦負けなし、しかもすべてブッチギリの圧勝で、ユージーンで出した12秒24、ロンドンでの12秒20(世界新)は間違いなくオリンピック以外での今季陸上界ベスト・パフォーマンス。
1カ月ぶりにTV越しにお目にかかったハリソンはヘア・スタイルを変えてイメチェン。豊かなセミロングの髪を揺らしながら今回もスイスイと一人旅、2位のドーン・ハーパー-ネルソンに0.29秒の差をつける12秒42で5連勝を飾りました。
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 ケンドラ・ハリソン(USA)

長い髪をなびかせて、とくれば、今やアリソン・フェリックスに代わってアメリカ女子のスターの座に近づきつつあるのが、400mHの新女王ダリラ・ムハマドです。
2013年モスクワWCの銀メダリストではあるものの、昨年SBは55秒76、400mフラットのPBが52秒64に過ぎなかった26歳が、今年の全米で突如“覚醒”したかのように52秒88のWLで走り、そのままの勢いでリオ五輪を制してしまったことはご承知のとおり。この日もオリンピックのメダリストが全員集合する中で圧倒的な強さを発揮、今や完全にこの種目の支配者となり、ビジュアル的にもスターの素質は十分です。
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 ダリラ・ムハマド(USA)

その400mHムハマドに、来年は100mHのハリソンが挑戦するかもしれない、というのが解説・石塚浩さんの耳より情報。
もともとハリソンは、二足のワラジと言いますか、それともひと頃100mHに伸び悩みを感じていたか、400mHも手掛けて、あいや足掛けておりまして、昨年6月には54秒09というなかなかのタイムを出して年間5位にランクされています。つまり、昨年に限って言えばムハマドよりずっと上にいたのです。
今季、100mHで「ハードリングの極意」みたいな感覚を会得したかに見えるハリソンが、ロンドン世界選手権では400mHでも金メダルと世界新を狙う…実現すれば史上例を見ない快挙です。そうはさせじ、とダリラが立ちはだかる…もう堪りませんね、来シーズンの目玉になりますよ、これ。
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今回は7人の金メダリストが登場するということで前景気が盛り上がり、中でも最大の注目は女子短距離2冠のエレイン・トンプソン。女子100mに出場です。
ところがこのレース、思わぬアクシデントが!
スタートの号砲から一瞬間をおいて、「やり直し」を告げるリコール音が鳴ったのですが、ほとんどの選手は気付かないまま100mを全力疾走。すぐに気付いてやめたのが3レーンのアメリカ白人スプリンター、ジェンナ・プランディーニ、しばらく走ってから「あれ?」という感じで流しにかかったのがトンプソン。あとの6人は、ほぼ全力で走ってマリー・ジョゼ・タルーが「1着」。
プランディーニに僅かな動きがあった(スローヴィデオでも判りませんでした)ということで、イエローカード。5分ほどの「休憩時間」を置いてのリスタートとなりました。
「再レース」ではトンプソンが、オリンピック7レースの激務を感じさせない10秒78(+0.8)で圧勝。思わぬ100m×2回のレペティションを課せられた6人は後半まったくスピードが上がらず、序盤明らかに遅れていたプランディーニがあれよあれよという間に2着に上がりました。(11秒11)
特に1本目で頑張っちゃったタルーは11秒25と散々な結果で、何とも気の毒なレース進行になりました。
(だいたい、OMEGAの信号音は音が小さいですよね。やっぱりSEIKOでないと…)

女子3000m(DLでは5000mのポイント対象)には、「復活」ゲンゼベ・ディババが登場。アヤナもチェルイヨトもいない中ではありましたが、リオ5000m2位のヘレン・オビリを寄せ付けず、大会新記録8分31秒84で快勝。まだ世界記録を狙うところまでは回復していませんが、これで最終戦、もしくは来シーズンにかけて、再びアヤナと世界記録争いを繰り広げる楽しみがつながりました。ゲンゼベとしてはぜひとも5000の世界記録はディババ家に保管したいところですが、現状では次回にでもアヤナが破ってしまいそうな勢いです。
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 ゲンゼベ・ディババ(ETH)

女子の話題ばかりになってしまいましたけど、正直言って男子は今一つ、冴えませんでした。
G+的には110mHをプッシュしていたようですが、私はどうも、現状のこの種目は好きになれません。オリンピックを終えていちおうマクレオド、オルテガの「2強」の図式が定着しつつあり、今回もそのとおりの結果(オルテガ13秒11、マクレオド13秒12)となりました。でも何かこう、パッとしないんですよね…。
「兄弟金メダリスト対決」が注目された円盤投は、弟のクリストフ・ハルティングが回避して、シャツ破りの兄貴も4位と精彩なく、優勝はフィリップ・ミラノフ(BEL)の65m61。安定王者のマラホフスキーも大逆転負けのオリンピックで気落ちしたか、6位と惨敗でした。結果を承けてか、ほとんど放送でも扱われませんでした。

全般に、オリンピック直後だけに記録の停滞は予想されたところですが、おおむね皆さん「出るからには下手なところは見せられない」という気概が伝わってきた今大会。今季のDLも残り3戦となって、年間チャンピオン争いも白熱してきました。
次回は中1日で明日26時45分(28日2時45分)から、パリ大会の生中継があります!

 
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