日本陸連が、2020年東京オリンピックのマラソン代表選考方式について、真剣に「大改革案」を検討していることが本日の新聞等で報道されました。
このテーマについては、当ブログではリオの男子マラソン直後だった8月25日の記事で私なりに「提案」し、その後もより具体的なロードマップを思い描いては“続編”の投稿を目論んでいたところ、図らずも今回、自分の考えに近い形で方向性が示されたことに、少なからず驚いています。

「陸連案」の骨子は、
「2019年秋以降の時期に『東京五輪マラソン代表選考会』を開催し、それ以前の主要レース(男女3大レース・北海道・別大・世界選手権・アジア大会)での成績上位者に出場資格を与える」
「『選考会』での上位2名を即時代表決定し、残り1名は選考会後の指定レースで設定記録を突破した最上位の選手、もしくは選考会3位の選手」
というものです。
私が提案した
「『マラソン日本選手権』を新設して選考会をこれに一本化、3大マラソンをはじめとする主要レースはその出場資格を得るための大会と位置付ける」
という考えと、ほぼ一致します。異なる点は、陸連の腹案が「2020東京」の選考に特化した方式と思われるのに対して私の考えは、当面の世界選手権代表選考を含めた改革案であること。そのため陸連案では2019年度(2019年~20年のシーズン)の初頭に「臨時大会」を設けて以後の国内主要レースに関しては特殊な位置づけをするといったニュアンスがあるのに比して、私は「新規大会の創設」を軸に、もう少し長期的・恒常的な選考ロードマップが必要と考えているあたりが違いでしょうか。
むろん、陸連案はこれまでにない“英断”であることは間違いありませんが、「選考会」ですべてを決めきれないことのジレンマ、解決策としての「3大レースで残り1枠をタイムで選考」というあたりに、少々強引さを感じてしまいます。ま、そのあたりは私も決定的な解決策を持っているわけではないんですけどね。


マラソン選考法
http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20170329/ddm/041/050/160000c
毎日新聞WEB記事より


◆日程の整備が急務
今回の陸連のコメントによれば、
「代表選考会の一本化は同じタイプの選手が揃いがちなことや文字どおり『一発屋』が選考されるリスクがあり、またマラソンが注目を集める機会が減ることで強化・普及につながらない」
ということのようですが、これには私の指摘したような、「国内主要大会にまつわる巨大資本との関わり合いを反故に出来ない」という“ホンネ”のところが隠されています。
3大マラソンのどれか一つで「一発選考」とするには、スポンサー‐広告代理店‐主催新聞社・TV局という形で成立する巨大資本グループのいずれかを犠牲にしなければならず、事実上それは不可能…だったら「3つのうちの一つを選ぶ」のではなく、それ以外により上位の大会を新設すればいい。あとは、“格下げ”される格好となる3大レースが有名無実化することのないよう、立ち行きを考えてやらねばならない…ここまでは、私と陸連の考え方はほぼ一致しています。
ただ、そのためには年中行事としてほぼ固定・踏襲されている現行のレース・スケジュールを大幅に見直し、資本や主催者の異なる各大会の間を調整し、また一つのシーズンが次のシーズンへとスムーズにつながるきめ細かいロードマップを作成していくという、気の遠くなるような作業が必要になるものと思われます。

当面の課題は、「新設される『代表選考会』をどの時期に行うか、そのために既存のレースをどう移行させるか」というスケジュール調整でしょう。これには、マラソンだけでなく、日本の陸上界にとっては選手および主催者、さらにファンの立場からも決してないがしろにできない駅伝その他のロードレースのスケジュールとの絡みもありますので、相当に難しい課題です。
陸連だけでないそれぞれの関係団体にとっては、「大学駅伝」や「実業団駅伝」のスケジュールを変更することはまず不可能、というところを大前提に、この課題について検討してみたいと思います。

私の提案では、そのシーズンの集大成的な位置付で開催する『マラソン日本選手権』を最終選考会とする、ということでしたので、これをシーズンの最後に持ってくる、ということが一つの前提になっていました。
陸連案では、『選考会』の後に追試的な意味合いでそのシーズンの3大レースを実施するということですから、ここに大きな違いがあるのですが、私は2020年以降も定着させるために、また東京オリンピック代表選考に先立って前年の世界選手権代表選考でも「予行演習」をできるようにするためにも、各方面の理解を得られることで定着しやすいと思われる「日本選手権案」を提唱していきたいと思います。

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感想(4件)


◆豊大先生流・新スケジュール案

7月上旬 長野マラソン【G3】【G3】
8月最終週 北海道マラソン【G2】【G2】
10月体育の日 大学選抜駅伝(出雲駅伝)
10月第3週 香川丸亀国際ハーフマラソン【G2】【G2】
10月最終週 全日本大学女子駅伝(杜の都駅伝)
全日本実業団女子駅伝予選会(プリンセス駅伝)
青梅マラソン(30km)【G3】【G3】
11月第1週 全日本大学駅伝(伊勢駅伝)
各地区実業団男子駅伝
11月第2週 さいたま国際マラソン【G1】
11月第3週 福岡国際マラソン【G1】
11月第4週 全日本実業団女子駅伝(クィーンズ駅伝)
12月第1週 全日本学生ハーフマラソン【G3】【G3】
12月第2週 大阪国際女子マラソン【G1】
12月第3週 びわ湖毎日マラソン【G1】
12月第4週 全国高校駅伝

防府讀賣マラソン【G3】
12月30日 大学女子選抜駅伝(富士山駅伝)
1月1日 全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)
1月2・3日 箱根駅伝
1月第2週 全国都道府県対抗駅伝(男女を同日または土日祝日実施)
1月第3週 別大毎日マラソン【G2】
1月第4週 名古屋ウィメンズマラソン【G1】
2月第1週 東京マラソン【G1】【G2】
2月第2週 全日本実業団ハーフマラソン【G3】【G3】
延岡西日本マラソン【G3】
2月第3週 クロスカントリー日本選手権
熊日30km【G3】【G3】
2月第4週 駅伝日本選手権(男女同日または土日実施)
3月中旬 マラソン日本選手権(男女同日または土日祝日実施。2019年に関しては東京五輪本番コース)【GP】【GP】


男女各3大マラソンについては、現在では同一シーズン中はいずれか1レースへの出場という
ことが常態化していることを考慮し、レース間隔を短くしてできるだけ早く“完了”させるこ
とを目指したスケジューリングとなっています。
これによって、『日本選手権』参加資格を得るための大会としては、事実上1月下旬から2月
上旬の『名古屋』『東京』がそれぞれ最終機会となり、「本番」の日本選手権までは約1か
月半の間隔が空くことになります。
極端なことを言えば、同じ日にもっと複数のレースを組み込むことも可能ですが、レースを
仕切る陸連の繁忙ぶりや観客・ファンの立場等を考えますと、それはできるだけ避けたいと
いうことになります。
なお『びわ湖』と『東京』は現行のスケジュールとは順番が入れ替わっていますが、師走に
東京でマラソンレースを実施することの影響を考慮して、このようにしてみました。
ところで、各レースにくっついている【 】の記号ですが、これは何でしょう?
これを含め、『日本選手権』出場権を得るまでのプロセスなどについては、次回の記事で、
ご説明させていただきます。